基礎からわかる世界史 第 6 講 ポリスの成立と発展 1. ポリスの成立 1 ポリスの成立と構造 ポリス 古代ギリシアの都市国家 前 8 世紀頃から 貴族などの指導のもと人々が要地に集住 ( シノイキスモス ) して成立 中心に守護神をまつるアクロポリス ( 城山 ) そのふもとにアゴラ ( 公共広場 ) 市民は周囲の村落に私有地 ( クレーロス ) をもつ 2 ポリス世界の民族意識ポリスは独立国家で 古代ギリシアではアテネやスパルタをはじめとする多数のポリスが分立 抗争し 統一国家は形成されなかったが ギリシア人としての同族意識は強かった 言語 : 共通の言語 ( ギリシア語 ) を話す者としてヘレネスを自称 異民族をバルバロイと呼ぶ 神話: オリンポス 12 神を中心とするギリシア神話を共有 オリンピアの祭典の開催ややデルフォイ ( デルフィ ) の神託の信仰 1
第 6 講ポリスの成立と発展 3 ポリスの植民活動 ポリス社会の安定で人口増加 前 8 世紀頃から地中海や黒海の沿岸各地に植民市を建設 2. アテネとスパルタ 1 アテネ 建設者 : イオニア人 成立形態 : 集住によって成立 住人構成 : 市民 ( 貴族 平民 ) 奴隷メトイコイ ( 在留外人 ) 産業 軍事 : 商業発達 海軍国 立法者 : ドラコン 前 7 世紀に慣習法を成文化 同盟 : デロス同盟 ( 前 5 世紀成立 ) の中心 2
基礎からわかる世界史 2 スパルタ 建設者 : ドーリア人 成立形態 : ドーリア人が先住民を征服して成立 住人構成 : 完全市民 ドーリア人不完全市民 ペリオイコイ ( 商工業に従事 ) 隷属農民 ヘイロータイ ( ヘロット )( 農業に従事 ) 産業 軍事 : 農業国 陸軍国 立法者 : リュクルゴス 軍国主義的制度を確立したとされる伝説的立法者 同盟 : ペロポネソス同盟 ( 前 6 世紀成立 ) の中心 3. アテネ民主政の展開とペルシア戦争 商業の発達や貨幣経済の進展で富裕な平民の出現 武器を自弁した平民がファランクス ( 密集隊形 ) の戦法をとる重装歩兵として戦争で活躍 政治を独占する貴族に対して参政権要求 1 ドラコンの立法 ( 前 7 世紀後半 ) 立法者ドラコンが慣習法を成文化 平民にも法が公開される 2 ソロンの改革 ( 前 594 年 ) 負債の帳消しと債務奴隷の禁止 市民の奴隷への転落を防止し 重装歩兵軍の弱体化を防ぐ 財産政治 財産に応じて軍務と参政権を規定 平民の政治参加の道が開かれる せんしゅ 3 ペイシストラトスの僭主政治 ( 前 561~ 前 528 年 ) 僭主 ( 平民の不満を利用して非合法に政権を握った独裁者 ) のペイシストラトスが 貴族の土地 を没収して無産市民に分配するなど中小農民を保護 貴族政に打撃 3 4クレイステネスの改革 ( 前 508 年 ) 部族制改革 貴族の基盤であった血縁にもとづく部族制を廃止し デーモス ( 区 ) 単位の地縁的部族制に移行 貴族政再現の防止 オストラシズム ( 陶片追放 ) 僭主になる可能性のある人物の名をオストラコンと呼ばれる陶片に記して投票する制度 僭主政再現の防止アテネ民主政の基礎が確立
第 6 講ポリスの成立と発展 ペルシア戦争 ( 前 500~ 前 449 年 ) 概要 : ギリシア諸ポリスとアケメネス朝ペルシアとの戦争原因 : 小アジアのイオニア植民市がミレトスを中心にアケメネス朝 ( ダレイオス 1 世時代 ) の支配に対して反乱経過 : マラトンの戦い ( 前 490 年 ) アテネの重装歩兵軍が勝利テルモピレーの戦い ( 前 480 年 ) スパルタが大敗サラミスの海戦 ( 前 480 年 ) テミストクレス率いるアテネ海軍が勝利プラタイア ( プラテーエ ) の戦い ( 前 479 年 ) アテネ スパルタ連合軍の勝利結果 : ギリシアの勝利 アテネの覇権 ( アケメネス朝の再攻にそなえたデロス同盟の盟主となる ) 4
基礎からわかる世界史 ペリクレス時代 ( 前 443~ 前 429 年 ) かいせんサラミスの海戦で三段櫂船の漕ぎ手として活躍した無産市民に 戦後 参政権を付与将軍ペリクレスのもとで民主政治が完成 アテネ民主政の特徴 全成年男性市民で構成される民会を最高機関とする直接民主政 奴隷制の存在を前提とする 女性 奴隷 在留外人に参政権なし 自由民 貴族 クレイステネスの改革 (= 市民 ) 平民 中小農民 ( 重装歩兵 ) ペリクレス時代 無産市民 奴隷 <アテネにおける参政権の拡大 > 4. ポリス社会の衰退 1 ペロポネソス戦争 ( 前 431~ 前 404 年 ) アテネ中心のデロス同盟とスパルタ中心のペロポネソス同盟との間の戦争 戦争中 デマゴーゴス ( デマゴーグ ) に扇動されて衆愚政治に陥ったアテネが敗北 2 ペロポネソス戦争後 ポリス間の抗争が常態化 スパルタが覇権を握るも まもなくテーベ ( テーバイ )( アイオリス人のポリス ) に覇権が移る 多年の従軍や貧富の差の拡大で 重装歩兵の担い手である中小農民が没落 傭兵の流行 = ポリス社会の基礎であった市民皆兵の原則の崩壊 5
第 6 講ポリスの成立と発展 6
基礎からわかる世界史 ポリス社会の成立 発展 衰退について述べた次の文章を読んで 以下の問いに答えよ 前 8 世紀ごろから ギリシアにポリスと呼ばれる都市国家が形成されていった やがてギリシア人は 地中海や黒海の沿岸に (1) 植民市をつくり 交易をさかんに行った 彼らは (2) ギリシア人としての共通の民族意識を持っていたが 各ポリスはたがいに抗争を繰り広げた その中で特に有力だったのが アテネとスパルタである アテネでは民主政が発達し (3) 陶片追放 ( オストラシズム ) などの制度が整備された 一方のスパルタでは (4) 独特の政治体制がとられた 前 5 世紀に入ると アケメネス朝ペルシアの支配を受けていた (5) ミレトスなどで起こった反乱をきっかけとして (6) ペルシアとギリシア間の戦争が勃発した アテネを中心とするギリシア側は大国であるペルシアの侵入を撃退し 前 5 世紀半ばに勝利をおさめた ギリシア諸ポリスは独立を守り またこの戦争の勝利に大きく貢献したアテネの発言力が高まっていった 戦後 ギリシアの諸ポリスはペルシアの再攻に備えて アテネを盟主とする a 同盟を結成した この同盟によって強大化したアテネに対して b 同盟の盟主であるスパルタは脅威を感じ やがて両者の対立は大規模な戦争へと発展した 長期に渡ったこの戦争でギリシアの農地は荒廃し 衰退していった諸ポリスは 前 4 世紀後半 北方のマケドニアとの戦いに敗北した 問 1. 空欄 a b に入る語句の組合せとして最も適当なものを 次の 1~6 の中から一つ 選べ 1 a コリントス b デロス 2 a コリントス b ペロポネソス 3 a デロス b コリントス 4 a デロス b ペロポネソス 5 a ペロポネソス b コリントス 6 a ペロポネソス b デロス 問 2. 下線部 (1) に関連して ギリシア人の建設した植民市を 次の 1~4 の中から一つ選べ 1 ティルス 2 カルタゴ 3 ビザンティオン 4 カイロ 7
第 6 講ポリスの成立と発展 問 3. 下線部 (2) について 共通の民族意識のあらわれとして誤っているものを 次の 1~4 の中から一つ選べ 1 4 年に1 度オリンピアの祭典を行った 2 コロッセウム ( 円形闘技場 ) に集まり 剣奴の試合などを楽しんだ 3 デルフォイのアポロン神の神託を重んじた 4 みずからをヘレネスと称し 異民族であるバルバロイと区別した 問 4. 下線部 (3) に関連して 陶片追放 ( オストラシズム ) の制度をつくった人物を 次の 1~4 の中 から一つ選べ 1 クレイステネス 2 ソロン 3 ドラコン 4 ペイシストラトス 問 5. 下線部 (4) に関連して スパルタがとった政策について述べた文 a b の正誤の組合せとして最 も適当なものを 下の 1~4 の中から一つ選べ a スパルタは リュクルゴスの制と呼ばれる独特の政策をとった b 少数の市民がペリオイコイと呼ばれる奴隷身分の農民を支配した 1 a 正 b 正 2 a 正 b 誤 3 a 誤 b 正 4 a 誤 b 誤 問 6. 下線部 (5) に関連して ミレトスの位置を 次の地図中の 1~4 の中から一つ選べ 8
基礎からわかる世界史 問 7. 下線部 (6) に関連して ペルシア戦争中の出来事 a~c が起こった順序として最も適当なものを 下の1~6 の中から一つ選べ a サラミスの海戦では アテネのテミストクレスがギリシア艦隊を指揮した b マラトンの戦いでは アテネの重装歩兵軍が活躍した c プラタイアの戦いでは ギリシア連合軍がペルシア軍と戦った 1 a b c 2 a c b 3 b a c 4 b c a 5 c a b 6 c b a 9
第 6 講ポリスの成立と発展 古代ギリシアにかんする以下の文を読んで 問に答えなさい (1) ペルシア戦争でのギリシア連合軍勝利に貢献したアテネは 戦後ペルシアがふたたび来襲するときに備えて 前 478 年 ( a ) 海を中心とする諸 ( b ) と軍事同盟を結び 圧倒的な海軍力を背景にその盟主の地位におさまった これを ( c ) 同盟という ペルシア戦争の行方を決定づけた ( d ) の大海戦 ( 前 480 年 ) で ギリシア連合艦隊が劣勢にもかかわらずアテネの指導によって奇跡的な大勝利をおさめて以来 アテネの国際的信望はいやがうえにも高まり これを盟主と仰ぐ ( b ) があいついだのである ( c ) 同盟の加盟国は 軍船 兵士ないし ( e ) を提供する義務を負っていた 同盟軍艦隊の司令権と ( e ) の管理権はアテネが掌握したし 提供すべき軍船や ( e ) の各国への割りあての査定もアテネが行った 大部分の同盟国は より容易な ( e ) 提供のほうを選んだ ( 中略 ) 最初のうちこそ ( c ) 島で開催される同盟会議が同盟の運営方針を決定していた しかしやがて 戦後もなお続くペルシアとの地域紛争や アテネの台頭をこころよく思わない (2) スパルタの率いる ( f ) 同盟との対決において アテネの軍事指導権が発揮されるようになると 同盟組織はしだいにアテネの対外拡張政策の手段という性格を色濃くしてゆく 前 470 60 年代は アテネがそれまでギリシアの最強国であったスパルタに対抗し 新たな覇権を ( a ) 海の海上支配に強引に求めてゆく時代であった (3) ペリクレスが政界に登場したのもこのころのことである ( 橋場弦 丘のうえの民主政 古代アテネの実験 東京大学出版会より一部書きかえて引用 ) 問 1.( a )~( f ) にもっともあてはまる語句を入れなさい 問 2. 下線部について 以下の問に答えなさい ( あ ) 下線部 (1) について ペルシア戦争を始めたペルシア国王の名を答えなさい ( い ) 下線部 (2) について スパルタの社会体制の樹立に功績を残したとされる伝説的な支配者の名を答えなさい ( う ) 下線部 (3) について ペリクレス以前にアテネの民主政を発展させた人物として クレイステネスがいる この人物の業績をふたつ挙げなさい 10