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1 監督 検査の意義監督 検査は 会計法 に基づき 契約の適正な履行を確保するための手段です 監督は 通常 製造又は役務の請負契約の履行過程において 必要な立会 工程管理 材料 部品等の審査又は試験 細部設計書の審査 承認等の方法により 検査では確認できない部分について 契約物品に対する要求事項が確実に具現されるよう要時要点に対して行うものであり これによって 納期までに満足し得るものを確実に取得できることになります 検査は 契約履行の最終段階において 給付内容の適否及び給付の完了を確認するために行われるものであり 防衛省では これを完成検査と受領検査に分けて実施しています 監督と検査の関係は右図のとおりです 特 に防衛装備品には 複雑高度なものが多いた 契約 工場 納入 め 後述する 3つの方式を要求内容に応じて選択し 監督 検査の効率的 効果的な実施に努めています 監督 完成検査 受領検査 (1) 完成検査 完成検査は 契約物品が納入場所に送られるのに先立ち 契約相手方の工場等において品質を確認するために行う検査で 契約物品が契約書 仕様書等の要求事項に合致するか否かを判定するために行われます 完成検査で合格と判定されると完成検査合格証が交付されます しかし 完成検査に合格しても 受領検査において合格と判定されなければ 契約に基づく給付の完了とはなりません (2) 受領検査受領検査は 契約物品が納入場所に搬入された後 納入場所において 契約物品が契約書 仕様書等の要求事項に合致するか否かを判定するために行われます 受領検査には 数量及び輸送中の事故の有無のみを確認する検査と部隊等 - 47 -

において据付調整等を要する装備品等について 品質及び数量の確認を行う 検査の 2 方式があり 前者が大部分となっています 2 監督 完成検査の方式 監督 完成検査には 直接監督 検査方式 品質証拠監督 検査方式及び資料 監督 検査方式の 3 方式があります (1) 直接監督 検査方式 材料 部品及び半製品又は調達品等について 直接に検査又は試験をして 要求事項に合致しているか否かを確認し 合否の判定を行う方式をいいます (2) 品質証拠監督 検査方式 仕様書において品質管理方式による製造 修理等が要求されている場合に 適用される方式であり 契約相手方が品質管理方式を適用した材料 部品及 び半製品等又は調達品等に対して品質証拠の審査を行うことによって 当該 調達品が仕様書の要求事項に合致しているか否かを確認し 合否の判定を行 う方式をいいます (3) 資料監督 検査方式 材料 部品及び半製品又は調達品等について 国の機関又はこれに準ずる 機関が検定等に基づき品質を保証している場合 装備品等の製造設備等の 認定に関する訓令 に基づき製造設備等の認定が行われている場合又は品質 契約相手方の技術水準等が一定の基準に達しており かつ 契約上取替え等 が担保されている場合において その契約相手方から 提出された品質保証 資料等を審査して仕様書の要求事項に合致しているか否かを確認し 合否の 判定を行う方式をいいます 品質管理方式 : 品質管理方式には 防衛省仕様書 (DSP) によるもの及び国際規格 (ISO 規格 翻訳したものを J IS 規格としている ) によるものがあります - 48 -

3 監督 検査の実施監督 検査は 監督 検査に関する手続 手法 評価基準等を定めた関係規程類 契約書 仕様書等に基づき 支出負担行為担当官の補助者として任命された監督官及び検査官が実施しています 監督官又は検査官に充てられる職員は 下表のとおりです 監督官 防衛装備庁に所属する職員又は地方防衛局に所属する職員 ただし 特別の理由がある場合は部隊等に所属する職員 検査官 完成検査 受領検査 防衛装備庁に所属する職員又は地方防衛局に所属する職員 ただし 特別の理由がある場合は部隊等に所属する職員 調達品等を契約履行の場所に送付する場合にあっては当該調達品等の送付を受ける部隊等に所属する職員 その他の場合にあっては防衛装備庁に所属する職員又は地方防衛局に所属する職員 また 監督 検査に加えて 品質向上のための体制強化の一環として 平成 1 7 年度から 品質監査の制度が設けられ 防衛装備庁の職員がこれを実施しています 品質監査は 監督の一部として 契約相手方の品質確保の活動に対し監査を行うものであり 品質情報の不具合分析を基に計画的に行う 計画品質監査 必要に応じて随時に行う 特別品質監査 契約相手方の品質管理に係る資料の信頼性を確認するために行う 品質信頼性確認 に区分されます なお 品質信頼性確認は 平成 25 年 6 月に発覚した製品試験結果改ざん等の事案を受け その再発防止策の一環として 平成 26 年 7 月から実施しており 主として 検査記録改ざんの有無 検査手順書等の適正性及び不適合製品の管理状況についての監査を重点的に行っています これら品質監査の実施により 不具合の発生を未然に防止するとともに 調達品等の品質の改善を図ることとしています 受領検査は 通常 装備品等の受領部隊等が行っているほか 工場を納入場所とする場合には 当該工場を管轄する地方防衛局が行っています また 監督 完成検査は 対象品目ごとに 次のような監督 検査方式により実施しています (1) 一般装備品一般装備品 ( 火器 通信器材 弾火薬類 需品 機械 車両等 ) の監督 - 49 -

完成検査は 主として直接監督 検査方式によるほか 品質証拠監督 検査 方式及び資料監督 検査方式で実施しています (2) 船舶等 船舶等の監督 完成検査は 主として直接監督 検査方式によるほか 品 質証拠監督 検査方式及び資料監督 検査方式で実施しています (3) 航空機等 航空機等の監督 完成検査には 品質証拠監督 検査方式と資料監督 検 査方式があり 品質証拠監督 検査方式は製造請負契約の大部分に 資料監 督 検査方式は売買契約に適用しています (4) 誘導武器等 誘導武器等の監督 完成検査は 主として品質証拠監督 検査方式によっ て行っていますが 一部の構成品については 直接監督 検査方式又は資料 監督 検査方式で実施しています (5) FMS 物品 FMS 物品は 原則として 米国内の米軍補給廠又は米国製造業者の工場 で 米軍が検査の上 輸送代行業者に引き渡されることになっており 当該 物品の受領検査は 受領する部隊等が行っています 4 監督 検査と ISO 規格 品質マネジメントシステムに関する国際規格である I SO 規格 (ISO9001/ JIS Q 9001) は 市場の国際化に伴い 我が国においても ISO 規格の認証 を取得する企業が増加しています 防衛省では 従来 仕様書において品質管理 方式による製造 修理等が要求されていた場合で 契約相手方が品質管理方式を 適用した材料 部品及び半製品等又は調達品等について 平成 10 年度から こ の ISO 規格を段階的に適用することとし 次のとおり改善を図っています 輸送代行業者 :FMS 物品の受渡場所 ( 米軍補給廠 米国製造業者の工場 ) で米国政府から引き取り 支出負担行為担当官の指定する引渡場所 ( 例えば京浜港 ) まで輸送を行う業者をいいます ISO 規格 (ISO9001/JIS Q 9001):ISO9001 は 国際標準化機構が制定した 品質マネジメントシステム であり 国内では JIS Q 9001 として制定されています - 50 -

(1) ISO 規格適用の経緯防衛関係企業においては 防衛省の要求する DSPによる品質管理体制と民需において要求されるISO 規格の品質マネジメントシステムの二重の体制がとられることに配慮し 品質マネジメントシステムの一本化による合理化を図ることを目的に ISO 規格を適用することとしました しかしながら ISO 規格では防衛省の要求を満足できない項目があり これらが防衛装備品の調達には欠かせない事項であることから ISO 規格を適用する場合には 当該不足部分を付加することにしました この結果 防衛省としては 平成 10 年度の契約書 ( 仕様書 ) から 品質管理体制として 企業側が DSPあるいは ISO 規格及び当該不足部分を付加したもののどちらかを選択できるようにしました (2) 監督 検査要領の改善とその期待する効果本章第 2 項 監督 完成検査の方式 で記述したとおり 監督 検査を 3 つの方式で実施していますが ISO 規格は品質管理体制に関する規格であることから その中の 品質証拠監督 検査方式 に該当します 従来 防衛省の監督官が企業の品質管理体制を直接確認していましたが 契約相手方が ISO 規格の認証を取得している場合には 当該契約相手方を審査した認証機関の審査結果を活用できるように 標準品質証拠監督 完成検査実施要領 を改正し 監督の効率化を図りました (3) ISO 規格の認証取得と契約の関係 ISO 規格の認証取得は 防衛省と契約を締結する上での条件となっておりません このため ISO 規格の認証を取得していない場合 従来どおり 地方防衛局の監督官による品質管理体制の審査を受けることは可能です また ISO 規格の認証を取得しようとする企業は 公益財団法人日本適合性認定協会 (JAB)( 海外の類似の認定機関を含む ) により認定されている認証機関の中から選択して認証を取得することができます (4)JIS Q 9100の導入防衛省は ISO 規格に加え 平成 13 年度からDSP の要求をほぼ満足 - 51 -

している航空宇宙産業用の品質マネジメントシステム規格である JIS Q 9100を導入し 平成 22 年度にJIS Q 9001とJIS Q 9100を適用した DSP Z 9008( 品質管理等共通仕様書 ) を制定しました (5)DSP Z 9008への一本化これまで使用されてきたDSP Z 9000 DSP Z 9001 DSP Z 9002 DSP Z 9003 DSP Z 9007の5 本の防衛省仕様書が平成 24 年度末で廃止され 国際規格をベースとした DSP Z 9008に一本化されました 防衛省は ISO 規格の普及に併せて企業の負担を軽減すべく ISO 規格の導入を促進してきましたが 今後 防衛関係企業が当該規格の認証を取得することにより 監督 検査に対する更なる効率化を図ることができるものと期待しています (6) 防衛関連企業における ISO 規格等 (ISO 規格及びJIS Q 9100) の認証取得状況平成 29 年度における品質証拠監督 検査方式による監督 検査を適用している企業は190 社あり このうち ISO 規格等の認証を取得している企業は 169 社 (89%) でした ( 図 4 参照 ) ISO 規格等の認証を取得した企業のうち 審査を実施した認証機関の審査結果を活用する監督 検査 ( 第三者監査監督 ) を適用している企業は 1 61 社 (95%) であり 10 年度に導入して以来 第三者監査監督は各企業に浸透しており 監督 検査の効率化が図られているものと考えています また ISO 規格等の認証を取得した 取扱品目別防衛関係企業の割合は 図 5のとおりです - 52 -

図 4 認証取得状況 会社数 250 200 150 164 新規登録者数取得数第三者監査監督 128 170 147 191 196 168 171 187 164 197 176 202 187 177 162 193 194 180 178 178 177 161 164 170 172 169 160 163 161 100 50 0 26 23 19 1 4 10 4 11 20 16 20 21 15 26 24 年度 図 5 認証取得企業の認証範囲の分類 ( 対象 : 品質証拠監督 検査方式適用の企業 ) ゴム製品 プラスチック製品 1% その他輸送装置 2% 科学薬品 科学製品及び繊維 3% 情報技術 5% 基礎金属 加工金属製品 6% その他 4% 電気的及び光学的装置 33% 航空宇宙産業 21% 機械 装置 25% - 53 -