IFRS_14_03_12_02const.indd

Similar documents
IFRS_15-01_02_re.indd

IFRS_15-01_02_ls.indd

収益認識に関する会計基準

IFRS基礎講座 IAS第11号/18号 収益

IFRS_2017_sp_01.indd

新収益認識基準に関するFASB及びIASBの改訂案

03-08_会計監査(収益認識に関するインダストリー別③)小売業-ポイント制度、商品券

IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の概要

会計上異なる結果が生じる可能性があるとしていま す イセンス付与に関しても 約定の性質の定義に係る ガイダンス等 IASB がの必要なしと決定した論 点についてを加えています 両審議会は 以下の論点については同じ修正を行っています a. 履行義務の識別 b. 本人か代理人かの検討 c. 売上高ベース

日本基準基礎講座 収益

(10) 顧客による検収 80 (11) 返品権付きの販売 工事契約等から損失が見込まれる場合の取扱い 重要性等に関する代替的な取扱い 91 (1) 契約変更 91 (2) 履行義務の識別 92 (3) 一定の期間にわたり充足される履行義務 94 (4) 一時点で充足される履

新しい収益認識基準が収益以外に及ぼす影響

(10) 顧客による検収 80 (11) 返品権付きの販売 工事契約等から損失が見込まれる場合の取扱い 重要性等に関する代替的な取扱い 92 (1) 契約変更 92 (2) 履行義務の識別 93 (3) 一定の期間にわたり充足される履行義務 95 (4) 一時点で充足される履

1 本会計基準等の概要以下の概要は 本会計基準等の内容を要約したものです 本会計基準等の理解のために 本会計基準等の基本となる原則である収益を認識するための 5 つのステップについて 別紙 1 に取引例及びフローを含めた説明を示しています また 本会計基準等と従来の日本基準又は日本基準における実務と

1. のれんを資産として認識し その後の期間にわたり償却するという要求事項を設けるべきであることに同意するか 同意する場合 次のどの理由で償却を支持するのか (a) 取得日時点で存在しているのれんは 時の経過に応じて消費され 自己創設のれんに置き換わる したがって のれんは 企業を取得するコストの一

(1) 契約の識別契約の識別にあたって 厳密な法律上の解釈まで必要とするのか あるいは過去の商慣習等で双方の履行が合理的に期待される程度の確認で済むのかが論点となります 基本的に新しい収益認識基準では 原則として法的な権利義務関係の存在を前提とします また 業界によっては 長年の取引慣行のみで双方が

「収益認識に関する会計基準等」インダストリー別解説シリーズ(1)_第1回_メディア・コンテンツ業界─ライセンスの供与

従って IFRSにおいては これらの減価償却計算の構成要素について どこまで どのように厳密に見積りを行うかについて下記の 減価償却とIFRS についての説明で述べるような論点が生じます なお 無形固定資産の償却については 日本基準では一般に税法に準拠して定額法によることが多いですが IFRSにおい

質問 2 財務諸表作成者の実務負荷及び監査人の監査負荷を必要以上に増大させる契約の分割には反対である その理由は以下のとおりである 当初の取引価格算定時点においては 契約の分割と履行義務の識別という2 段階のステップを経ずとも 履行義務の識別が適正になされれば適正な取引価格が算定可能である 契約の分

IFRS Global office 2011 年 11 月 IFRS in Focus 注 : 本資料は Deloitte の IFRS Global Office が作成し 有限責任監査法人トーマツが翻訳したものです この日本語版は 読者のご理解の参考までに作成したものであり 原文については英語

[ 設例 11] 返品権付きの販売 [ 設例 12] 価格の引下げ [ 設例 12-1] 変動対価の見積りが制限されない場合 [ 設例 12-2] 変動対価の見積りが制限される場合 [ 設例 13] 数量値引きの見積り 7. 顧客に支払われる対価 [ 設例 14] 顧客に支払われる対価 8. 履行義

ならないとされている (IFRS 第 15 号第 8 項 ) 4. 顧客との契約の一部が IFRS 第 15 号の範囲に含まれ 一部が他の基準の範囲に含まれる場合については 取引価格の測定に関する要求事項を設けている (IFRS 第 15 号第 7 項 ) ( 意見募集文書に寄せられた意見 ) 5.

IFRS基礎講座 IAS第37号 引当金、偶発負債及び偶発資産

Microsoft Word - Applying IFRS - Software and cloud services.docx

米国会計関連情報 最近の論点 No.14-49

目次 このガイドについて 1 概要 2 範囲およびコア原則 4 収益認識モデルの 5 ステップ 5 さらなるガイダンスの分野 14 追加の検討 16 開示 17 経過措置 19 最終的な考察および広範囲の論点 21

IFRS 第 15 号の定めの表現の置換え 4. 下表では IFRS 第 15 号の基準本文 ( 適用指針を含む ) の日本語訳を左の列に示し 表現を見直した文案を右の列に示している (1) 表に用いられている色は 以下を表す ( ) は IFRS 第 15 号における項番号を表す 青色 : 企業会

念.pwd

スライド 1

図と設例による解説 IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」

売上減少か?-「収益認識に関する論点の整理」

開発にあたっての基本的な方針 97 Ⅰ. 範囲 102 Ⅱ. 用語の定義 110 Ⅲ. 会計処理等 114 (IFRS 第 15 号の定め及び結論の根拠を基礎としたもの ) 基本となる原則 収益の認識基準 117 (1) 契約の識別 117 (2) 契約の結合 121 (

Microsoft Word - M&A会計 日本基準とIFRS 第5回.doc

<4D F736F F D208CDA8B7182C682CC8C5F96F182A982E790B682B682E98EFB897682C98AD682B782E9985F935F82CC90AE979D2E646F6378>

IFRS第15号 顧客との契約から生じる収益

MOTHER BRAIN MONTHLY REPORT 30 SEPTEMBER 2018 ステップ 5 では まず一定期間にわたって売上を計上すべき取引かどうかを判定します 以下 (1)(2)(3) の要件いずれかを満たす場合は 物品またはサービスに対する支配が一定の期間にわたり顧客に移転するもの

無断複写 転用 転記を禁じます 国際財務報告基準 (IFRS) 連結財務諸表シリーズ シリーズ <5>IAS 第 31 号 ジョイント ベンチャーに対する持分 ( 平成 22 年 7 月 31 日現在 ) 1. ジョイント ベンチャーの対する持分 ( 総論 ) 本シリーズでは ジョイント ベンチャー

収益論点整理

Report

日本基準基礎講座 有形固定資産

関する IFRS-IC の議論が IASB と FASB により共同で行われている IFRS 第 15 号に関する移行リソースグループ (TRG) における議論と不整合を生じさせる可能性が危惧されたためである 論点の所在 4. 今回 明確化が要請された会計処理に関する主な論点は 銀行がプリペイド カ

図と設例による解説 IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」

できる 105. 前項の取扱いを適用する場合には 次の事項を注記する (1) その旨及び決算月に実施した計量の日から決算日までに生じた収益の見積りが極めて困難と認められる理由 (2) 当連結会計年度及び当事業年度の決算月の翌月に実施した計量により確認した使用量に基づく収益の額 ( この収益の額が 決

Microsoft PowerPoint - ASC 606 New Revenue Recognition in JP

IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」

平成 26 年 5 月に 顧客との契約から生じる収益 (IASB においては IFRS 第 15 号 ( 平成 30 年 1 月 1 日 以後開始事業年度から適用 ) FASB においては Topic606( 平成 29 年 12 月 15 日後開始事業年度から適 用 )) を公表しました これらの

Microsoft Word - 07 資料_3_-4.doc

IFRS 新リース会計基準 公開草案の概要 社団法人リース事業協会 本稿は 国際会計基準審議会 (IASB) 及び米国財務会計基準審議会 (FASB) が 2010 年 8 月 17 日に公表した公開草案 リース ( 以下 リース ED という ) の概要である リース ED の原文は英語であるが

Microsoft Word - 不動産ファンドに関する国際財務報告基準 第6回.doc

IFRS News Flash

3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

「資産除去債務に関する会計基準(案)」及び

IFRS実務トピックニューズレター ~銀行業~

IFRS基礎講座 IFRS第1号 初度適用

IFRS基礎講座 IAS第12号 法人所得税

平成30年公認会計士試験

Microsoft Word - IFRS news JulyAugust IFRS 3R and IAS 27Rrr.doc

2. 基準差調整表 当行は 日本基準に準拠した財務諸表に加えて IFRS 財務諸表を参考情報として開示しております 日本基準と IFRS では重要な会計方針が異なることから 以下のとおり当行の資産 負債及び資本に対する調整表並びに当期利益の調整表を記載しております (1) 資産 負債及び資本に対する

審議_3_収益認識資料.doc

IASB、IFRS第16号「リース」を公表

Microsoft Word - 会計監査トピックス_35.doc

日本基準でいう 法人税等 に相当するものです 繰延税金負債 将来加算一時差異に関連して将来の期に課される税額をいいます 繰延税金資産 将来減算一時差異 税務上の欠損金の繰越し 税額控除の繰越し に関連して将来の期に 回収されることとなる税額をいいます 一時差異 ある資産または負債の財政状態計算書上の

第 298 回企業会計基準委員会 資料番号 日付 審議事項 (2)-4 DT 年 10 月 23 日 プロジェクト 項目 税効果会計 今後の検討の進め方 本資料の目的 1. 本資料は 繰延税金資産の回収可能性に関わるグループ 2 の検討状況を踏まえ 今 後の検討の進め方につ

IASB、最終版のIFRS第9号「金融商品」を公表

本実務対応報告の概要 以下の概要は 本実務対応報告の内容を要約したものです 範囲 ( 本実務対応報告第 3 項 ) 本実務対応報告は 資金決済法に規定する仮想通貨を対象とする ただし 自己 ( 自己の関係会社を含む ) の発行した資金決済法に規定する仮想通貨は除く 仮想通貨交換業者又はが保有する仮想

念.pwd

Microsoft Word 午前角田★RHC-Leases-May2016_日本語版.docx

IFRS基礎講座 IAS第21号 外貨換算

1. 国際財務報告基準に準拠した財務諸表 ( 抜粋 翻訳 ) 国際財務報告基準に準拠した財務諸表の作成方法について当行の国際財務報告基準に準拠した財務諸表 ( 以下 IFRS 財務諸表 という ) は 平成 27 年 3 月末時点で国際会計基準審議会 (IAS B) が公表している基準及び解釈指針に

審議_5_ 収益認識資料.doc

新しい連結基準 IASBは グループの連結に係る問題およびオフバランスシート活動について取り扱っている以下の5 つの新基準を公表しました IFRS 第 10 号 連結財務諸表 IFRS 第 11 号 ジョイント アレンジメント IFRS 第 12 号 他の企業に対する持分の開示 IAS 第 27 号

IFRS 第 11 号および IFRS 第 12 号は 不動産業界におけるジョイント アレンジメントの会計処理について重要な影響を及ぼす可能性がある ジョイント アレンジメントは 例えば リスクの共有 資金調達 付加的な専門的ノウハウを取り入れる手段といった様々な理由により 不動産業界では一般的であ

どのような便益があり得るか? より重要な ( ハイリスクの ) プロセス及びそれらのアウトプットに焦点が当たる 相互に依存するプロセスについての理解 定義及び統合が改善される プロセス及びマネジメントシステム全体の計画策定 実施 確認及び改善の体系的なマネジメント 資源の有効利用及び説明責任の強化

念.pwd

平均株価は 東証が公表する当該企業普通株式の終値の算術平均値を基準とした値とする 調整取引の結果 経済的には自社株を平均株価で取得したのと同様の結果となる 企業は株価上昇時の支払いのために 証券会社に新株予約権を割り当てる ステップ 3 : 株価上昇時は 新株予約権が権利行使され 差額分に相当する株

第 1 章はじめに ( 本ペーパーの位置付け等について記載であるため 省略 ) 第 2 章キャッシュ フロー情報の有用性 1. 業績についての情報は 主として発生主義による財務諸表によって提供される キャッシュ フローの開示の目的は 業績に関する代替的な測定値を表示することではないが 発生主義ベース

資産除去債務の会計処理(コンバージェンス)

IFRSにおける適用上の論点 第27回

7. 我が国の場合 第 4 項に示される政府が企業に課す賦課金の例としては 固定資産税 特別土地保有税 自動車取得税などが挙げられる 8. 日本基準において諸税金に関する会計処理については 監査 保証委員会実務指針第 63 号 諸税金に関する会計処理及び表示に係る監査上の取り扱い があるが ここでは

リリース

参考資料 日本語粗訳 このペーパーは IASB による公開会議での討論のために IFRS 財団のスタッフによって作られたものであり IASB または IASB のメンバー個人の見解を表していているものではありません IFRS の適用に関するコメントは それが受け入れ可能な見解であるか否かを定める目的

新収益認識基準が企業経営に与える影響の考察~業種別シリーズ 小売流通業~

念.pwd

適用時期 5. 本実務対応報告は 公表日以後最初に終了する事業年度のみに適用する ただし 平成 28 年 4 月 1 日以後最初に終了する事業年度が本実務対応報告の公表日前に終了している場合には 当該事業年度に本実務対応報告を適用することができる 議決 6. 本実務対応報告は 第 338 回企業会計

第 373 回企業会計基準委員会 資料番号審議事項 (7)-2 日付 2017 年 11 月 22 日 プロジェクト 項目 収益認識に関する会計基準の開発 公開草案に寄せられた主なコメントの概要 本資料の目的 1. 企業会計基準委員会は 2017 年 7 月 20 日に 次の企業会計基準及び企業会計

審議事項 (2) 年 7 月 ASBJ/EFRAG のスタッフがのれんと減損に関する定量的調査の付属資料として作成した付録付録 1: 定量的調査の概要付録 2: 主要なデータ セット 参考訳 財務会計基準機構の Web サイトに掲載した情報は 著作権法及び国際著作権条約をはじめ

Microsoft Word - M&A会計 日本基準とIFRS 第1回.doc

IFRS Global office 2013 年 3 月 IFRS in Focus 予想信用損失 - 公開草案 注 : 本資料は Deloitte の IFRS Global Office が作成し 有限責任監査法人トーマツが翻訳したものです この日本語版は 読者のご理解の参考までに作成したもの

CL23 PwCあらた監査法人 平成 28 年 5 月 31 日 企業会計基準委員会御中 PwC あらた監査法人品質管理本部アカウンティング サポート部 収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集 に対するコメント 拝啓時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます さて 貴委員会から

IFRSポイント講座 第9部 引当金

に暫定的に合意した 特定の状況 ( 例えば 企業に税務当局との未解決の係争がある状況 ) に範囲を限定しようとすると 恣意的なルールにつながるであろうと考えたからである ただ 2015 年 1 月の委員会の議論で 繰延税金を含まないことに対する懸念が出され 最終的には当期税金及び派生する繰延税金を対

各位 2018 年 11 月 13 日 会社名株式会社リクルートホールディングス代表者名代表取締役社長兼 CEO 峰岸真澄 ( コード番号 :6098 東証一部 ) 問合せ先取締役兼専務執行役員兼 CFO 佐川恵一 ( 電話番号 ) ( 訂正 数値データ訂正 ) 2019 年

特 別 座 談 会 収益認識に関する 会計基準 案 のポイント 売上計上基準はどう変わるのか 2017年 7月 ASBJより公開草案 収益認識に関する会計基準 案 等が公表されました これは 売上計上に関 する包括的な会計基準の草案です わが国においては収益認識に関する包括的な会計基準が設定されてい

Microsoft Word - Q&A 第22回 2892号2008年11月08日.doc

「会計上の変更及び過去の誤謬に関する会計基準(案)」及び

計算書類 貸 損 借益 対計 照算 表書 株主資本等変動計算書 個 別 注 記 表 自 : 年 4 月 1 日 至 : 年 3 月 3 1 日 株式会社ウイン インターナショナル

貸借対照表 ( 平成 25 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 科目金額科目金額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 流動資産 14,146,891 流動負債 10,030,277 現金及び預金 2,491,769 買 掛 金 7,290,606 売 掛 金 9,256,869 リ

4. ポイントは 対象取引が行われてから 当社が定める一定の期間を経た後に付与します この期間内に 当社が対象取引において取り消し 解除等があったことを確認した場合 当該対象取引に対するポイントは付与せず また対象料金の金額に変更があった場合は 変更後の金額に基づきポイントを付与します 5. 当社は

<4D F736F F D B835E8BA4974C8EE888F E63294C5816A8F4390B E31322E F4390B394C5816A2E646F63>

新日本有限責任監査法人東京都千代田区内幸町二丁目 2 番 3 号日比谷国際ビル Tel: Fax: 年 5 月 9 日 公表されているが 未だ適用されていない米国会計基準の一覧 (

Transcription:

この基準が建設業に与える影響 IASBと米国 FASBは ついに収益に関する新基準 -IFRS 第 15 号 顧客との契約から生じる収益 ( 米国では ASU2014-09 又はTopic606) を公表しました 本資料は新しい要求事項と それが建設業に与える影響がどのようなものであるのかを 概観しています 最近公表された IFRS 第 15 号は IAS 第 11 号 工事契約 を置き換え 例えば次のような主要な問題に対処した 重要で新たなガイダンスを提供しています : 収益は一定の期間にわたり認識できるか それとも完成時点のみになるか? サービスの束が 別個の履行義務を表わす時はいつになるか? 契約変更 ( 注文変更 ) が 現在及び将来の収益に与える影響とは何か? 同一顧客との間で 続けて契約を締結する時に 原契約に関する収益に影響を与える場合はあるか? 原価比例法を使用して履行を見積る場合 含めなければならないコストは何か? インセンティブの支払いはどう会計処理されなければならないか? 契約獲得コストは 資産化できるか それとも費用としなければならないか? 認識される収益の時期と金額について 潜在的に重要な影響があることから 建設業に属する企業は すべての重大な影響を識別し 適用について深く理解するために 事前に時間を掛けることになるでしょう

新基準の概観 新基準は IAS 第 11 号 IAS 第 18 号及び収益に関連する解釈指針を置換えます この範囲に含まれ るすべての取引は 以下の 5 ステップの 単一で支配ベースのモデルを適用します : ステップ 1 : 顧客との契約を識別するステップ 2 : 履行義務を識別するステップ 3 : 取引価格を算定するステップ 4 : 取引価格を履行義務に配分する IFRS 第 15 号は 収益が一時点で又は一定の期間にわたり認識されるのかを決定する要件を変更します さらに 次のポイントは 予想される建設業への影響により異なりますが IASBは現行のIFRSsに欠けている多くの領域における追加のガイダンスも提供しています : 複数要素契約 契約変更 現金以外の対価及び変動対価 返品権及び顧客のオプション 売り手の買戻しオプション及び買戻し契約 製品保証 本人か代理人かの検討 ( 総額か純額か ) 知的財産のライセンス供与 権利の未行使 返還不能の前払手数料 委託販売契約及び請求済未出荷契約 ステップ 5 : 履行義務の充足時又は充足するにつれて収益を認識する IFRS 第 15 号は 契約残高 残りの履行義務 ( 受注残 ) 及び収益認識の時期並びに方法についての重要な判断に関する情報を含む 収益についてかなり多くの開示を要求しています 経過措置及び発効日 IFRS 第 15 号は 2017 年 1 月 1 日以後開始する事業年度から適用になります 経過措置としての比較年度を修正再表示しない選択肢を含んだ簡素化をして 遡及適用します また 早期適用が容認されています 2

建設業 この基準が建設業に与える影響 建設業における収益の会計は 頻繁な契約変更の会計処理の取扱い及び進捗度を反映しない発生コストの識別から 契約上の財又はサービスがより大きな履行義務の一部であるかどうかを決定するまでの 業種特有の課題があります IAS 第 11 号はこれらの種類の契約について いくつかの詳細な会計処理方法を示していますが 多くのより複雑な論点には対応しておらず 現在の多くの企業は より詳細なガイダンスとして FASBのASC605-35を類推適用しています IAS 第 11 号と ASC605-35のほとんどは廃止され ( 損失引当金の必要性の判断についての例外を除く ) IFRS 第 15 号の新しいガイダンスの下で 企業は契約を分析することに焦点を当てる必要があるでしょう ステップ 1 : 顧客との契約を識別する IAS 第 11 号は 工事契約 に適 用されますが IFRS 第 15 号はより広 範に適用されます 限定的な例外を除き IFRS 第 15 号は 財又はサービス ( 例えば 財の販売 サービスの提 企業が各当事者の権利及び支払条件を識別できる 企業が対価を回収する可能性が高い 供 工事契約 ライセンス供与契約 要件を満たさない など ) を提供するすべての顧客との 上記のすべての要件を満たす前 契約に適用されます に顧客から支払いを受けた場合 こ 適用範囲が広範なことから れらの支払いは 要件を満たすか IFRS 第 15 号は 詳細なガイダンス 次のいずれかが起きるまでは負債 が適用され得る前に 次のような追 に表示されなければなりません : 加の要件を契約が満たすことを要 履行が完了し 受領したすべて 求しています : の対価は返還不能である 契約に経済的実質がある 契約は解除され 受領した対価 当事者が契約を承認している が返還不能である IAS 第 11 号は 工事契約 に適用されますが IFRS 第 15 号はより広範に適用されます 契約の結合 IAS 第 11 号の現行のガイダンスは 複数の契約が同一の経済的契約の一部を構成する場合の 一連の指標のみを提供しており 契約を結合しなければならないかを決定する場合に 相当な判断を行使することを要求しています 3

対照的に IFRS 第 15 号は 次の 要件のいずれか一つ以上に該当 する場合には 同一の顧客と同時 又はほぼ同時に契約した複数の契約を結合することを企業に明示的に要求しています : 契約が単一の商業的な目的を有するパッケージとして交渉されている 1 つの契約で支払われる対価の金額が 他の契約の価格又は履行に左右される IFRS 第 15 号の下では 当事者が契約の範囲の変更を承認しても 対応する価格の変更の合意に至っていない場合 企業が関連する変動価格と収益制限の概念を適用して価格を見積ることを要求しています 複数の契約で約束した財又はサービスが 単一の履行義務である明示的な要件 ( そして 一つだけが満たされなければならない事実 ) の存在により いくつかの契約の会計処理の結果を変更する可能性があります 契約変更 IAS 第 11 号の下では 契約範囲の変更 と 価格の変更 の両方またはいずれか一方は 以下の条件を満たす場合には契約収益に反映されます : 顧客が変動及び金額を承認する可能性が高い 収益の金額を信頼性をもって測定できる IFRS 第 15 号の下では 当事者が契約範囲の変更を承認しても 対応する価格の変更の合意に至っていない場合 企業が関連する変動価格と収益制限 ( ステップ 3 参照 ) の概念を適用して価格を見積ることを要求しています 状況によって 契約変更は 別個の契約として 現行契約の終了と新契約の創出として 又は現行契約の一部として会計処理されます 例えば 固定価格の製造契約が 事後の契約変更により影響を受ける場合 原履行義務から 区別できる とは考えられず 売り手は取引価格と進捗度の測定の両方を調整 し 収益を 累積的なキャッチアッ プ 方法 ( 見積の変更をした期に過年度の影響額をすべて反映させる方法 ) により調整します ステップ 2 : 履行義務を識別する IFRS 第 15 号の基本的なモデル は 契約全体ではなく 区別できる 履行義務の充足により収益が認識 されるというものです 約束された財 又はサービスは 次の両方を満た す場合 区別できます : 顧客が便益を それ単独で又は 顧客にとって容易に利用可能な他の資源と一緒にして得ることができる 別個に識別可能 である 例えば 仕入先が多様な履行義務を統合 修正又はカスタマイズする著しいサービスを提供しない IFRS 第 15 号の基本的なモデルは 区別できる 履行義務の充足により収益が認識されるというものです 4

建設業 単一の工事契約は 別個の履行義務として会計処理される可能性があるエンジニアリング 資材調達及び建設サービスを含むことがあります IFRS 第 15 号は 顧客に結合されたアウトプットを提供する契約における他の財又はサービスを統合する著しいサービスを企業が提供する場合の単一の履行義務を明確にしています その結果 多くの工事契約は単一の履行義務として会計処理されることになるでしょう 上記のとおり 区別できる 要件に基づいて複 数要素の分離可能性を評価するために 重大な判断が求められ これは多くの又は異なる要素が分離される結果となる場合があります 例えば 単一の工事契約は 別個の履行義務として会計処理される可能性があるエンジニアリング 資材調達及び建設サービスを含むことがあります ステップ 3 : 取引価格を算定する IFRS 第 15 号において 取引価格 とは 顧客への約束された財又はサービスの移転と交換に企業が権利を得ると見込んでいる対価の金額 です この対価は固定又は変動 あるいはその両方を含むことがあります 変動対価一種類又はその他の種類の変動価格契約 ( 例えば リベート 特典又はインセンティブの支払い ) は 建設業においては一般的です 企業は 確率加重金額又は最も発生の可能性が高い金額のいずれかを用 いて 変動支払金額を契約価格の見積りに含めます 変動対価の金額は 見積りの事後の変動が 認識された契約収益の累計額の重要な戻入れをもたらさない可能性が非常に高いという限度内で 契約価格に含めることができます 新しいモデルの下では変動対価の多くの種類を評価するために 重大な判断が必要となるかもしれませ んが 私どもは これらの要求事項は 次の両方の場合に既存のガイダンスがインセンティブの支払いを契約収益に含めることを要求していることから 特に重要な影響を与えると は考えておりません 履行基準自体が充足されるか それを超える可能性がある インセンティブの支払金額を 信頼性をもって測定できる 5

ステップ 4 : 取引価格を履行義務に配分する 企業が 契約に複数の履行義務 が含まれていると決定する場合に は 取引価格を独立販売価格の比 想しています ) 利用可能なすべての情報を用いて さらに観察可能なインプットを最大限に使用して 独立 率で別個の履行義務に配分します 販売価格を見積ります IFRS 第 15 号は 独立販売価格の適切な見積独立販売価格の見積りり方法として次の 3つを提案していま IFRS 第 15 号は 独立販売価格をすが 要求するものではありません : 企業が顧客に 約束した財又は 調整後市場評価法サービスを別個に販売するであろう 見積コストにマージンを加算する価格 として定義しています 企業方法が請求する観察可能な販売価格 残余アプローチが利用可能な場合 それが独立販売価格の最良の証拠となります そ現在 IAS 第 11 号には 工事契れが利用できない場合には ( 私ども約において収益を複数の提供物には多くの工事契約が該当すると予配分する特定のガイダンスはありま 新しいガイダンスが企業に影響を与える程度は 既存の基準の下で適用していた会計方針によるでしょう せん 従って 新しいガイダンスが企業に影響を与える程度は 既存の基準の下で適用していた会計方針によるでしょう ステップ 5 : 履行義務の充足時又は充足するにつれて収益を認識する 企業は 契約の開始時に それぞれの履行義務が一定の期間にわたり充足されるか 一時点で充足されるかを決定します 充足とはすなわち 支配の移転です 概して 次の条件のうちのいずれかが存在する場合には 支配は一定の期間にわたり移転するものと考えられます : 企業が履行するにつれて 顧客が便益を受け取り消費する 資産が創出されるか又は増価するにつれて顧客が当該資産を支配する 売主にとって他に転用できない資産で 売主は現在までに履行した作業についての支払を受ける権利を有している 多くの工事型の契約は一定の期間にわたり支配を移転することになるでしょう 従って IFRS 第 11 号の下で定義されていた収益認識のパターンと類似する結果となりますが 企業は収益の時期に変更はないとみなしてはいけませんし IFRS 第 15 号の下で収益を認識する時期を決定するためにいつ支配が移転するかを慎重に評価しなければなりません 一定の期間にわたりまたは一時点で移転する 財又は サービスの支配の 顧客への移転 一定の期間にわたり 一時点で 6

建設業 これらの条件のいずれも満たさない場合 企業は一時点で収益を認識します 多くの工事型の契約は一定の期間にわたり支配を移転することになるでしょう 従って IFRS 第 11 号の下で定義されていた収益認識のパターンと類似する結果となりますが 企業は収益の時期に変更はないとみなしてはいけませんし IFRS 第 15 号の下で収益を認識する時期を決定するためにいつ支配が移転するかを慎重に評価しなければなりません 一定の期間にわたり充足される履行義務については 企業は 財又はサービスの顧客への支配の移転のパターンを描写する方法で進捗度を測定します IFRS 第 15 号は2つの方法を記述しています : インプット法及びアウトプット法です 企業は IFRS 第 15 号の下での目的に合致するために 従来の方法を見直さなければなりません 一定の期間にわたり充足される履行義務については 現在多く適用されている原価比例によるインプット法が 進捗度の測定に最も適しているとは限りません 同様に プロジェクトの資材に関連して購買サービスを基本的に提供する場合 資材が購入されたとしても 据付けが完了しない限り 企業はインプット法を調整し 原価が発生した範囲において そのような資材の収益のみを認識することになります マージンは 資材が据付けられるまでは認識できません これは 契約期間にわたって不均等なマージンが計上される結果となるかもしれません IAS 第 11 号はその他のガイダンス契約初期段階において 工事に先立ち一時に支払われる 費用を資産計上し 契約コスト 新しいガイダンスは 事業において 契約年数に応じて償却することを IFRS 第 15 号は 契約獲得の増契約初期段階において工事に先立認めていましたが 多くの工事業では このコストは発生時に費用処理されていた分コストを回収することがを見込まれち一時に支払われるコストの会計方傾向があります IFRS 第 15 号は る場合には資産計上することを求め針を再検討することになるでしょう 所定の要件を満たした場合には ています 契約獲得の増分コスト とは 契約を獲得していなければ発生しなかったであろうコスト ( 例えば 販売手数料 ) と定義されています 契約を獲得したかどうかに関係なく発生したであろうコスト ( 例えば 入札コスト ) は 発生時に費用となります ただし 当該コストが 契約を獲得したかどうかに関係なく顧客に明示的に請求可能な場合を除きます IAS 第 11 号はこれらのコストを資産計上し 契約期間にわたって償却することを認めていましたが 多くの工事業では このコストは発生時に費用処理されていた傾向があります IFRS 第 15 号は 所定の要件を満たした場合には これらのコストを資産計上することを要求しています 開示 これらのコストを資産計上することを要求しています いることよりも追加的な開示を求められます 結果的に 新しい要求事項に準拠するために必要な追加的な 特に1 年間以上の契約を有する 情報を把握し サマリーするシステム すべての企業は 現在要求されて と手続が必要になります 7

www.gti.org Grant Thornton Taiyo LLC この刊行物は グラントソントン インターナショナル リミテッドが作成したものを太陽有限責任監査法人が翻訳したもので 内容のご理解については原文もご参照下さい グラントソントン は 保証 税務及びアドバイザリー サービスをクライアントに提供するグラントソントンのメンバーファームのブランドで 文脈上は一つ又は複数のメンバーファームを表します グラントソントン インターナショナル リミテッド (GTIL) とメンバーファームは世界的なパートナーシップ関係にはありません GTIL と各メンバーファームは別個の法人です 各種サービスはメンバーファームが独自に提供しています GTIL はその名称で一切サービスを提供しません GTIL とメンバーファームは 相互に代理せず 義務を負うこともなく 相互の作為又は不作為についての債務はありません 8