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(資料3) 奄美大島・徳之島におけるスギ人工林の広葉樹林復元の検討

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しかし, 間伐から1 年経った 23 年の開花雄花量の割合は, 間伐率の高い区の方が多くなった ( 図 -1) 間伐によって開花雄花量が増加したと言える結果である この調査からは, 一般的な間伐は, その後の雄花形成を促進し, 間伐を行わなかった場合と比較して, 花粉飛散量を増加させる効果があると考

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3 再診患者数の変動 再診患者数の立ち上がりは 3 月 6 日の週からで ピークは 3 月 27 日の週であった ピーク後も 4 月中は 3 人以上 / 週の状況が続いた この時期の患者は ヒノキ花粉の影響を受けているものと思われる 飛散花粉数の 2 次ピークは 再診患者数 ( 週計 ) のピークの

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冬期間を除き 5~10 日おきに 1971 年 6 月 9 日まで雄花を採取し それらの試料はプア [ マー液 ( 無水ア

地区名 所在地 表 4.1 天然力を活用した森林施業の事例調査地の概要 調査地番号 植栽木 林齢 整備面積 (ha) 所管 宮崎宮崎県宮崎市 J1 スギ 40 年生 2.2 宮崎森林管理署 長崎長崎県大村市 J2 スギ 53 年生 14.9 長崎森林管理署 佐賀佐賀県武雄市 J3 ヒノキ 53 年生

資料調査結果 ( 栗野岳地区 ) 64

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(11) 主要機器 計測及びデータ作成に使用した機器は下表のとおりである 表 Ⅱ-5-(11)-1 主要機器一覧 作業工程 名称 数量 計測 撮影用固定翼機レーザ測距装置 GPS/IMU 装置 セスナ社製 208 型 LeicaGeosystems 社 ALS70 LeicaGeosystems 社

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(4) 横断面形調査要領では メッシュの中心点と 中心点を通る等高線が内接円に交わる 2 点を結んだ 2 直線の山麓側の角度 ( メッシュの中心点を通る等高線がない場合は 中心点に最も近接している等高線から類推する角度 ) を計測し 10 度括約で求める とされている 横断面形の概念図を図 4.4

資料3-5  モニタリング方法ガイドライン(森林管理プロジェクト用)(案)

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森林資源の循環利用に向けた再造林の推進伐採と造林の一貫作業システムは 伐採に使用した高性能林業機械を用いて残された末木枝条を整理して地拵えを行ったり 搬出に使用したフォワーダを用いて苗木を運搬して 植栽を行う方法です 従来の人力による方法に比べ 林業機械を活用することにより伐採から地拵え 植栽までの


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欄の記載方法について 原則として 都道府県毎の天然更新完了基準に定められた更新調査 ( 標準地調査 ) の結果を元に造林本数欄に更新本数を記載する ただし 調査せずとも天然更新完了基準を明らかに満たしていると判断できる場合 ( 例えば 小面積の伐採等 ) には 造林地の写真その他の更新状況のわかる資

様式 2 作成年度 平成 28 年度 森林整備加速化 林業再生基金変更事業計画書 区分 : 強い林業 木材産業構築緊急対策 区分 : 林業成長産業化総合対策 福井県

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長野県林総セ研報第 25 号 (211) 表 -1 と調査工程一覧 樹種 面積調査工程 (ha) 伐倒木寄集材造材集搬 佐久穂 カラマツ 富士見 カラマツ 28.4 伊那 アカマツ 1.25 天龍 スギ 1.25 開田 カラマツ 塩尻 カラマツ 5.53 白馬 1 スギ 6.

2 山梨県森林総合研究所研究報告 NO.27 (2008) のスギ林で薬剤散布するためには さらなる安全性と経済性の面での向上が必要であるため 製薬メーカーでは 改良タイプのトリネキサパックエチルの開発を進めている また 処理方法については 地上散布方式を検討した 注入方式は環境への拡散がほとんどな

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表 を基本として 渓床勾配の区分に応じて 流木災害対策を中心とする配置計画の目安を示したものが図 である 治山事業においては 発生区域から堆積区域に至るまで 多様な渓流生態系の保全に留意しながら 森林整備と治山施設整備を可能な限り一体として実施していくよう留意する 図 6.1

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と 測定を繰り返した時のばらつき の和が 全体のばらつき () に対して どれくらいの割合となるかがわかり 測定システムを評価することができる MSA 第 4 版スタディガイド ジャパン プレクサス (010)p.104 では % GRR の値が10% 未満であれば 一般に受容れられる測定システムと

(1) 購入苗 品種 サイズ 苗数 購入日 ( 植付日 ) くろがね 大玉 2 本 4 月 24 日 マイボーイ 中玉 3 本 4 月 24 日 愛娘 小玉 3 本 5 月 2 日 黒姫 小玉 3 本 5 月 2 日 縞王 大玉 1 本 5 月 16 日 合計 11 本 平成 26 年スイカ作り 2

国有林における生物多様性の定量化について 林野庁国有林野部経営企画課国有林野生態系保全室兼光修平 1 はじめに生物多様性保全に対する関心や期待の高まりの中 林野庁は平成 21 年 7 月に 森林における生物多様性の保全及び持続可能な利用の推進方策 をまとめ 森林計画策定プロセスの一層の透明化等の観点

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かかり木の処理の作業における労働災害防止のためのガイドライン 第 1 目的等 1 目的 本ガイドラインは 近年の人工林における間伐作業の増加等を背景に かかり木の処理の作業における死亡災害が増加する傾向にあること等を踏まえ 労働安全衛生関係法令と相まって かかり木の処理に係る事前の実地調査の実施 新

3-3 現地調査 ( カレイ類稚魚生息状況調査 ) 既存文献とヒアリング調査の結果 漁獲の対象となる成魚期の生息環境 移動 回遊形態 食性などの生活史に関する知見については多くの情報を得ることができた しかしながら 東京湾では卵期 浮遊期 極沿岸生活期ならびに沿岸生活期の知見が不足しており これらの

平成 30 年度造林補助事業 (1- 四半期 ) の標準単価適用にあたっての留意事項 ( 共通事項等 ) 1 (1) ア イ ウ (2) アイウ エ (3) ア イ (4) 単価は 請負施行 請負施行以外 及び 消費税抜き の 3 通りとし その適用については次による 請負施行市町村 おかやまの森整

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第 198 号 平成 28 年 1 月号 北海道水産林務部 森林施業プランナーと連携した普及指導活動の展開 総括普及指導員兼主幹菅崎治宏 平成 21 年 12 月に策定された 森林 林業再生プラン では 10 年後の国内の木材自給率を50 % 以上に向上させることを政策目標としました 北海道の木材自

モニタリングのガイドライン 交付金の効果の調査 確認方策について 目次 1 なぜ調査を行うのか 1 2 調査の流れ 2 3 目標設定の進め方 4 4 調査場所の決め方について 8 5 初回調査 11 地域環境保全タイプ 里山林保全活動 11 地域環境保全タイプ 侵入竹除去 竹林整備 16 森林資源利

はじめに 本 県 の 森 林 資 源 は スギを 中 心 とした 人 工 林 の 過 半 が 主 伐 期 を 迎 える 等 着 実 に 充 実 して きているが その 一 方 スギ 人 工 林 は7~9 齢 級 (31~45 年 生 )が 全 体 の 約 53%を 占 め 齢 級 構 成 に 大 き

第 1. 基本的事項 1. 都道府県の森林整備及び林業 木材産業の現状と課題 1 森林整備の現状と課題本県の人工林面積の主な樹種別の構成割合は スギ 71% アテ 12% マツ 9% である 齢級構成は 10~11 齢級をピークとした偏った構成となっており 保育や間伐を必要とする 9 齢級以下のもの

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2. 保全の取り組み 表 -1 母樹の成長量 ( 平成 28 年 7 月 ~ 平成 29 年 10 月 ) (1) 育成間引き試験 a) 試験方法渚滑川右岸 KP3.0 において 平成 28 年 2 月に育成間引き試験を実施した 群落内のケショウヤナギを間引きすることで 高密度状態での成長阻害を防ぎ

森林の放射性セシウム分布の現状と今後の見通し 国立研究開発法人森林研究 整備機構 森林総合研究所三浦覚 平成 30 年 11 月 17 日平成 30 年度 福島の森林 林業再生に向けたシンポジウム 1 本日の内容 放射性セシウム分布の現状 1) 7 年間の推移と現状 2) 木材の汚染 3) 野生の山

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1 次期計画の策定の基本的考え方 県民会議は 県民参加による水源環境保全 再生のための新たな仕組みづくり として 設置され 現在まで 3 年にわたり 県民フォーラム等により県民参加を図りながら 各年度の点検を行い 県に報告してきたところである その中において 現行計画の各施策は 水源環境の保全 再生

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(3-1) スギ ヒノキ花粉削減に関する総合研究 課題名 E 花粉間伐実施後のモニタリング 1 調査年度 平成 2 年度 2 予算区分 県単 ( 県有林事業 ) 3 担当者 越地 正 毛利敏夫 三橋正敏 齋藤央嗣 ( 平成 14 年度 ~ 平成 16 年度実施 ) 4 目的スギ花粉症は大きな社会問題になっており 山側でも緊急の花粉発生源対策が求められている 神奈川県ではこれまでに花粉の少ないスギ品種を選抜し実用化している しかし 植林面積が減少している中で花粉対策品種苗の植え替えはあまり進んでいない 一方 現存するスギ植林地において 花粉発生の原因となる雄花の着花状況をみると 雄花着花量の多い個体や少ない個体が認められる したがって 雄花着花量の多い個体を優先的に抜き切りする花粉間伐により雄花量を削減する可能性が高い このような花粉間伐により雄花量の削減を図ることができるかどうかを検討する なお 今回の平成 2 年調査は 花粉間伐実施後 広町地区では 5 年目 陣馬地区 4 年目 大山地区 3 年目となるが この時点での花粉間伐実施後の持続効果を評価する 5 調査方法 (1) 事業実施年度および実施箇所 1 平成 14 年度 : 南足柄市広町 ( 以下 広町地区とする ) 南足柄管理区 15 16 林班 53 64 年生 ( 設定時 ) スギ林分 2 平成 15 年度 : 藤野町沢井 ( 以下 陣馬地区とする ) 藤野管理区 1 林班 65 年生 ( 設定時 ) スギ林分 3 平成 16 年度 : 伊勢原市大山 ( 以下 大山地区とする ) 伊勢原管理区 5 林班 52 54 年生 ( 設定時 ) スギ林分 (2) 花粉間伐処理区の設定 1 広町地区は 2 m 方形の大きさの処理区を設定し 花粉間伐の 3 処理区 (A 区 C1 区 D 区 ) と 無施業の対照区 (B 区 ) 通常の間伐 ( 劣勢間伐 ) を行った対照区 (C2 区 ) の 5 処理区を設定した 2 陣馬地区および大山地区は 花粉間伐区と無施業の対照区を 2 区づつ隣接する形で 3 組 6 処理区を設定した すなわち A 区 C 区 E 区を花粉間伐区 B 区 D 区 F 区を無施業の対照区として比較した 処理区の大きさは 広町地区と同様である 花粉間伐は 事業実施年度の 2 月に行い 本数間伐率で 21 ~ 22.5 % の弱度間伐とした なお 間伐木は花粉の多い個体を優先的に選木したが 目視が困難な場合は雄花着花量が多いと考えられる大径木を選定した (3) 間伐効果の評価法ア. 目視調査による評価双眼鏡を用いて目視により 2 m 方形内のスギ 1 本ごとに雄花着花量を次の 4 ランクの基準により評価した 3(1 点 ): 雄花が樹冠全面に密に着花 2( 5 点 ): 雄花が樹冠のほぼ全体に着花 または部分的に高密度に着花 1( 1 点 ): 雄花がまだらにもしくは限られた部分に着花 ( 点 ): 雄花が観察されないランク別に評価した本数に着花点数を乗じて その合計値を処理区別に求め比較した イ. トラップ調査による評価間伐後の林分の雄花量を測定するため 各処理区ごとに直径約 4cm.1288 m2の円形トラップを各処理区 1 基づつ設置した トラップ設置期間は 施業後の 4 月から 6 月とし 毎月 1 回の月の終わりに回収した 回収した試料は 乾燥後 夾雑物を分別し 雄花数とその乾燥重量を測定した 測定値は 1m 2 当たりの雄花数と雄花重に換算して評価した

ウ. 地区別のモニタリングの調査時期は 表 1 のとおりである 表 1 モニタリング調査時期 広町地区 目視調査 1 間伐前 :H14 年 12 月 2 間伐直後 :H15 年 3 月 3 間伐 1 年後 :H15 年 12 月 4 間伐 2 年後 : H16 年 12 月 5 間伐 5 年後 : H2 年 12 月 トラップ調査 1 間伐年 :H15 年 6 月 2 間伐 2 年後 : H16 年 6 月 3 間伐 3 年後 : H17 年 6 月 陣馬地区 目視調査 1 間伐前 :H15 年 11 月 2 間伐直後 :H16 年 3 月 3 間伐 1 年後 :H17 年 2 月 4 間伐 4 年後 : H2 年 12 月 トラップ調査 1 間伐年 :H16 年 6 月 2 間伐 2 年後 : H17 年 6 月 大山地区 目視調査 1 間伐前 :H16 年 12 月 2 間伐直後 :H17 年 3 月 3 間伐 3 年後 : H2 年 12 月 トラップ調査 1 間伐年 :H17 年 6 月 2 間伐 2 年後 : H18 年 6 月 3 林分調査事業実施年度に各処理区ごとに毎木調査を行い 立木本数 樹高 胸高直径 枝下高を測定した 6 調査結果 ( 1) 平成 2 年度の調査結果花粉間伐実施後 平成 2 年度は 広町地区 5 年目 陣馬地区 4 年目 大山地区 3 年目となる 今回は目視調査のみで実施したが その結果は図 1 図 2 図 3 のとおりである 3 処理区の着花点数の平均値では 広町地区は対照区に比較して 1.72 倍 陣馬地区 1.7 倍 大山地区 1.42 倍に増加したことから いずれの地区も花粉間伐により雄花量が増加した 従って 平成 2 年調査時点では 3 地区とも花粉間伐によるマイナス効果が認められた 16 14 12 着花点数合計値 1 8 6 4 2 A 区 ( 花粉間伐 ) B 区 ( 対照 ) C1 区 ( 花粉間伐 ) C2 区 ( 通常間伐 ) D1 区 ( 花粉間伐 ) 図 1 広町地区の花粉間伐実施 5 年後の着花点数 6 5 4 着花点数合計値 3 2 1 図 2 陣馬地区の花粉間伐実施 4 年後の着花点数

16 14 12 着花点数合計値 1 8 6 4 2 図 3 大山地区の花粉間伐実施 3 年後の着花点数 (2) 間伐実施前後の目視調査の結果花粉間伐の効果がいつまで持続したのかを解析するため 過去に調査した資料を検討した 1 広町地区 - 図 4 参照広町地区の間伐直後は 本数間伐率 22% の花粉間伐を実施した結果 着花点数の合計値でみると 3 処理区平均で間伐処理区は対照区の 25% 減少となった 間伐実施 1 年後は 図 4 に示すように雄花着花量が非常に少ない年であったため 着花点数も小さい値となり 処理による差は明らかではなかった しかし 間伐実施 2 年後は 花粉間伐した 3 処理区平均では対照区に比較して 26% 減少しており 花粉間伐の効果が認められた 着花点数の合計値 4 35 3 25 2 15 1 5 A 区 ( 花粉間伐 ) B 区 ( 対照区 ) C1 区 ( 花粉間伐 ) C2 区 ( 通常間伐 ) D 区 ( 花粉間伐 ) 図 4 間伐前後及び 2 年後までの着花点数 ( 広町 ) 間伐前間伐直後 1 年後 2 年後 2 陣馬地区 - 図 5 参照陣馬地区の間伐直後は 本数間伐率 21% の花粉間伐を実施したところ 着花点数の合計値でみると 3 処理区平均で間伐処理区は対照区の 41% 減少となった しかし 間伐前および間伐直後は 図 5 に示すように雄花着花量が非常に少なかった年であったため 着花点数が非常に小さい値となり比較が難しかった 間伐実施 1 年後は 間伐 3 処理区平均でみると 対照区とほぼ同じ値となっており花粉間伐の効果は認められなかった 着花点数の合計値 35 3 25 2 15 1 間伐前 間伐直後 1 年後 5 図 5 間伐前後および 1 年後までの着花点数 ( 陣馬 )

3 大山地区 - 図 6 参照大山地区の間伐直後をみると 本数間伐率で 22.5% の花粉間伐を実施したところ 着花点数の合計値でみると 3 処理区平均で間伐処理区は対照区の 34% 減少となった なお 間伐実施 1 年以後の目視調査は実施していないので不明である 45 4 35 間伐前 間伐直後 3 着花点数の合計値 25 2 15 1 5 図 6 間伐前後の着花点数 ( 大山 ) ( 3) 間伐実施前後のトラップ調査の結果 1 広町地区 - 図 7 参照広町地区の雄花数は 間伐 1 年後の雄花着花量の非常に少なかった年を除いて 間伐実施年および間伐 2 年後は 処理区によりばらつきが大きいが 3 処理区平均で 26.7% 減少し 間伐効果が認められた この減少率は 目視調査の結果とほぼ同様であった 7 6 間伐実施年間伐 1 年後間伐 2 年後 1m2 当たりの雄花数 5 4 3 2 1 A 区 ( 花粉間伐 ) B 区 ( 対照区 ) C1 区 ( 花粉間伐 ) C2 区 ( 通常間伐 ) D 区 ( 花粉間伐 ) 図 7 広町地区の処理区別雄花数の変化 2 陣馬地区 - 図 8 参照陣馬地区の雄花数は 間伐 1 年後には A 区および C 区の平均で対照区に比較して 32% 減少し 間伐効果が認められた しかし E 区の雄花数をみると対照区の 169% 増となった この原因としては 間伐実施前から E 区は対照区の 155% 増と雄花数が多かったことが考えられる 3 大山地区 - 図 9 参照大山地区の雄花数は 間伐実施年では間伐処理区と対照区との差はほとんどなかった また 間伐 1 年後は A 区および C 区の間伐処理区平均は対照区の 124% 増となった しかし E 区の間伐処理区は対照区の 22% 減少となり 間伐効果は認められた 大山地区は処理区によってばらつきがあり一定の傾向を捉えることができなかった

35, 3, 間伐前年間伐実施年間伐 1 年後 1m2 当たりの雄花数 25, 2, 15, 1, 5, 図 8 陣馬地区の処理別雄花数の変化 1m2 当たりの雄花数 5, 45, 4, 35, 3, 25, 2, 15, 1, 5, 間伐前年間伐実施年間伐 1 年後 図 9 大山地区の処理別雄花数の変化 7 まとめ雄花着花量の多い個体を優先的に抜き切りする花粉間伐を実施した結果 ( 本数間伐率約 22%) 間伐直後は雄花着花量が 3 地区平均で 33% 減少した その後 広町地区は間伐実施 2 年後には目視調査およびトラップ調査のいずれの方法で測定した結果では約 26% の減少となった 従って広町地区は間伐実施から 2 年後まで花粉間伐の効果が持続したといえる 一方 陣馬地区と大山地区では 間伐実施 1 年後には一部の処理区で間伐効果がみられたが 他の処理区ではモニタリング期間が短いこともあり一定の傾向を捉えることができなかった 花粉間伐の持続効果を確認するために実施した平成 2 年調査では 3 地区とも花粉間伐処理区で雄花着花量が増加したことから花粉間伐のマイナス効果が認められた この点については 間伐しない無施業区を対照区としたため対照区の雄花着花量自体が減少したことも考えられた いずれにしても 今回のモニタリング結果からすると花粉間伐の持続効果は比較的短期間であると考えられた 以上の結果から 花粉間伐の効果を発揮させるには 今回実施したような雄花着花量の多い木を優先的に抜き切りし 2 ~ 25% の弱度間伐により 5 年以内の短期間に繰り返し間伐を実施していく必要がある また 花粉間伐は花粉発生量の多い地域を中心に実施していく必要があろう これらの花粉間伐と平行して さらに根本的な花粉症発生源対策につなげるためには 花粉の少ない品種の積極的な導入を図り 現存するスギ林の更新を進めていく必要もある 8 今後の課題 1 一般に太陽光が良く当たる斜面において雄花の着花量が多くなる傾向がある 平成 2 年調査で増加した原因も 間伐により林内に光が入るようになり着花量が多くなったのではないかと考えられた 花粉間伐の効果を確認するには 通常間伐処理区を対照区にした花粉間伐試験地 ( 広町地区の 1 処理区で実施 ) を今後いくつか検討してみる必要がある 2 今回の事業期間は 3 年間であり 3 箇所の地域を毎年 1 地区ずつ実施したため広町地区以外は間伐実施後 1 年目までしかモニタリングできなかった 花粉間伐の効果を評価するには間伐実施後 3 年間は継続してモニタリングする必要がある

3 モニタリングは 目視による方法とトラップによる方法で行ったが トラップ法はトラップ設置 月 1 回の試料回収 その後の試料分別等の多種にわたる作業が必要となり労力負担が大きい 両者の測定法は相関関係が高いこと 目視による方法は比較的簡便であることを考慮すると 目視法が実用的と思われる 4 今回の調査期間中 雄花の着花量が非常に少ない年があった この年は目視とトラップのいずれの方法でも雄花の絶対量が少ないので比較が難しかった このような年はモニタリングには適さないことがわかった