平成 28 年度小学校音楽教育課程研究集会 平成 28 年 8 月 4 日 次期学習指導要領について 小学校音楽科 小学校は平成 32 年度から完全実施予定 徳島県総合教育センター 育成すべき資質 能力の三つの柱中央審議会企画特別部会論点整理 H27 年 8 月 ⅰ) 何を知っているか, 何ができるか ( 個別の知識 技能 ) 育成すべき資質 能力の三つの柱 ( 案 ) 学びに向かう力人間性等 どのように社会と関わりよりよい人生を送るか ⅱ) 知っていること できることをどう使うか ( 思考力 判断力 表現力 ) ⅲ) どのように社会 世界と関わり よりよい人生を送るか ( 学びに向かう力 人間性等 ) 何を理解しているか何ができるか 知識 技能 理解していること できることをどう使うか 思考力 判断力 表現力等
学習指導要領改訂のポイント ( 教育の強靱化に向けて ) 平成 28 年 5 月 10 日 ゆとり教育 か 詰め込み教育 かといった二項対立的な議論には戻らない 知識と思考力の双方をバランスよく, 確実に育むという基本を踏襲し, 学習内容の削減を行うことはしない 学校教育のよさをさらに深化させることを目指し, 学校教育を通じてどのような力を育むのか を明確にして育成する アクティブ ラーニング の視点は, 知識が生きて働くものとして習得され, 必要な力が身につくことを目指すもの 知識の量を削減せず, 質の高い理解を図るための学習過程の質的改善を行う こうした方向性のもと, 必要な教科 科目構成等の見直しも行う ( 小学校の外国語教育の教科化, 高校の新科目 公共 等の新設など ) 本年度中に学習指導要領を改訂し,2020 年から順次実施 学習評価の充実 観点別学習状況の評価について 現行 検討 学習評価の 学力の3 要素 4 観点 関心 意欲 態度 知識及び技能 思考 判断 表現 思考力 判断力 技能 表現力 知識 理解 主体的に学習取り 態度 主体的に取り組む態度 授業中の挙手の回数やノートの取り方などの部分的な 意欲 などを切り取って評価している現状を改める 知識 生徒が知覚 ( 聴き取る ) と感受 ( 感じ取る ) を伴いながら, 知識を獲得していくこと, つまり, 暗記でなく音楽活動を伴うことを通して学ぶことが重要 音楽の学習を通して自分で構築する 知識 評価の対象となる 知識 技能 一定の手順に沿った技能のみならず, 変化する状況に応じて主体的に活用できる技能の習熟 熟達に向かうことが重要
アクティブ ラーニングの 3 つの視点 アクティブ ラーニング の視点からの学習指導の改善 充実においては, 深い学び 対話的な学び 主体的な学び の実現が大切 今後 アクティブ ラーニング の視点に立ち 活動と学びの関係性 ( 活動あって学び無し?) 活動と学びの関係性 ( 活動あって学び無し?) 活動を通して, 何が身についたのかという観点 ~ 法 ~ 型 を求めてない 画一的な指導にならないように留意し, 指導方法の不断の見直しや改善を求めている 言語活動や体験活動, 問題解決的な学習 見通し 振り返り等との関係の整理が必要 学習指導の改善 充実 子供にどのような力が付いたのかを見取る学習評価が重要 特別支援教育の充実, 個に応じた学習の充実 各教科等における具体的な場面で考えられる 困難さの状態 に対する 配慮の意図 と 手立て の例音楽科, 芸術科における配慮の例 音楽を形づくっている要素の聴き取りが難しい 音楽に合わせて一緒に拍を打ったり体を動かしたりして, 音楽的な特徴を視覚化, 動作化する 自分の内面に生まれる様々なイメージや感情を言語化することが難しい感情やイメージを表す形容詞などのキーワードを示し, 選択できるようにする 11 楽器の扱い, 奏法の理解や習得が難しい 手順や体の使い方, 指の動かし方を捉えられるように, 図示したり, スモールステップが踏めるようにしたり, 録画をし自分の動きを客観的に振り返られる配慮をする 一方的に自分の解釈や考えを話し続けてしまう 話す時間やルールが分かるように話す際のルールを明確にし, 視覚化する配慮 多くの情報量でどこに注目すればよいのか混乱しやすい 部分的な理解を深めるよう拡大楽譜を用いてパートを色分けしたり, リズムや旋律を部分的に取り出しカードにしたりし, 視覚的に情報を整理する配慮 12
< 小学校から中学校へ > 5 歌唱共通教材 小学校 中学校 歌唱共通教材 ア音楽を形づくっている要素のうち次の ( ア ) 及び ( イ ) を聴き取り, それらの働きが生み出すよさや面白さ, 美しさを感じ取ること ( ア ) 音楽を特徴付けている要素音色, リズム, 速度, 旋律, 強弱, 拍の流れ, フレーズ, 音の重なり, 音階, 調, 和声の響きなど ( イ ) 音楽の仕組み ア音楽を形づくっている要素や要素同士の関連を知覚し, それらの働きが生み出す特質や雰囲気を感受すること ( ア ) 音楽を形づくっている要素音色, リズム, 速度, 旋律, 強弱, テクスチェア, 形式, 構成など 第 1 学年 うみ かたつむり 日のまる ひらいたひらいた 第 2 学年 かくれんぼ 春がきた 虫のこえ 夕やけこやけ 第 3 学年 うさぎ 茶つみ 春の小川 ふじ山 第 4 学年 さくらさくら とんび まきばの朝 もみじ 第 5 学年 こいのぼり 子もり歌 スキーの歌 冬げしき 第 6 学年 越天楽今様 おぼろ月夜 ふるさと われは海の子 反復, 問いと答え, 変化音楽の縦と横の関係など 4 曲すべてを扱う 3 曲を含めて扱う 音楽づくり 音楽づくりは, 児童自らの感性や創造性を働かせながら自分にとって価値のある音や音楽をつくる 音を音楽に構成する過程を大切にし, 音楽の仕組みを手がかりにして, 児童が思いや意図をもって音楽をつくるようにする 音楽づくりにはルールが必要 鑑賞教材における我が国の音楽の充実 鑑賞教材選択の観点について, これまでの第 5 学年及び第 6 学年に位置付けていた我が国の音楽を第 3 学年及び第 4 学年にも新たに位置付けることとした
言語活動の充実 について 音楽が表現している内容について その全てを言葉に置き換えて表すことはできない しかし 感じ取ったことを何らかの言葉で表そうとすることによって 一層音楽に向き合うことにつながる 音楽から引き起こされる自分の感情やその変化がどのようなものかについて より意識できるようになる 言語と音楽との関係を大切にした指導を重視 (1) 鑑賞 ( 合唱 合奏等 ) において, 記録 発表すること (2) 表現活動の方法や工夫したことについて発表すること (3) 歌や楽器で表現すること (4) 集団的な活動 ( 合唱 合奏 ) で演奏や体の動き ( ボディーパーカッション ) で表現すること (5) 他者と伝えあったり共感したりすること (6) 調べたことをまとめて発表すること (7) 楽曲の構成をわかりやすく説明すること (8) 歌詞の解説をすることで, イメージにつなげること (9) プレゼンテーションすることなど 17 評価について 表現力 2 つの表現力 1 言語活動を通じての表現力 2 音楽 の表現力 評価の観点 音楽表現の創意工夫 で 1 をみる 音楽表現の技能 で 2 をみる 19 観点の趣旨 音楽への関心 意欲 態度 第 1 観点 学習習慣 しつけなどにかかわるのみで評価する観点ではない ( 話をよく聞いている? 忘れ物がない?) 主体的に取り組む態度興味関心をもたせるためにどのような計画をするか ( 教師の力 ) 音楽表現の創意工夫 第 2 観点 音楽を形づくっている要素を聴き取り, それらの働きが生み出すよさや面白さを感じ取りながら, 音楽表現を工夫し, どのように表すかについて思いや意図をもっている ( 過程を大切にする ) ( 音楽科における思考 判断 表現について評価 ) 20
観点の趣旨 音楽表現の技能 第 3 観点 音楽表現をするための基礎的な技能を身に付け, 歌ったり, 楽器を演奏したり, 音楽をつくったりしている 鑑賞の能力 第 4 観点 音楽を形づくっている要素がもと それを聴き取り ( 知覚 ) 感じ取る ( 感受 ) ( 音楽科における思考 判断 表現について評価 ) 聴き取る と 感じ取る 聴き取る とは 客観的事実 ( みんなの考えがそろっていて 感じ取る とは ほしいもの ) 客観的事実のみでなく感じたこと ( 答えのない世界 一人一人違っていいもの ) 22 聴き取る 例 ) テンポが速い だんだん大きくなっているなど ( 小 ) は 聴き取る ( 中 高 ) は 知覚 双方がいる往還関係 感じ取る 例 ) 自分に迫ってくるようだ 柔らかい羽のような優しさが伝わるなど ( 小 ) は 感じ取る ( 中 高 ) は 感受 学習指導案について (1) ねらいと学習指導と評価の一体化 ( めあて ゴールの可視化 ) (2) 評価及び指導 ( 手立て ) 十分満足できる と判断される具体的な状況児童の高まった様子をイメージして ( どういうことができるようになって欲しいのか ) おおむね満足できる 状況を実現するための指導 児童をイメージして, 具体的な手立てを 2 つ以上考えておく 23
(3) 共通事項 について 2 つか 3 つに絞る (4) 板書計画も念頭に置いておく 授業構想シート 授業改善シートの活用 (5) 適切な学習形態個人 ペア グループ 一斉 (6) その他 身体表現 という言葉は使わない 身体の動きを伴った活動 身体的表現活動 身体反応 グループでの発表を聴きあうときは 鑑賞の 能力で評価しない 評価基準 物事の基礎となる標準比較して考えるためのよりどころ相対評価 評価規準 規範 標準とするもの目標に照らして, その子がどのような状態にあるのか 小学校音楽の授業実践にみられる課題 おわりに 言語活動がやや目的化し, 音楽表現そのものを高めることや, 音楽のよさ等を味わって聴くことが十分でない傾向 音楽表現に対する思いや意図をもつようにしているが, そのことが実際の音楽表現に十分表されていない傾向 子供の工夫した表現 音楽を聴いたり感じ取ったことについて, 子供の学習の充実に資するよう, 適切に価値づけたり具体的にアドバイスしたりすることが十分でない傾向 学習評価が曖昧に行われている傾向 目標 学習指導要領の内容, 教材, 指導内容, 学習活動学習評価の一貫性 整合性が十分でない傾向 ありがとうございました