No.321 社会医療法人母恋の使命 医療人として組織として社会に貢献する 平成 25 年 12
睡眠時無呼吸症候群 耳鼻咽喉科科長 おおさきたかし大崎隆士医師 昭和 62 年旭川医科大学卒 / 日本耳鼻咽喉科学会専門医 眠っているときに無呼吸や低呼吸が繰り返しおこる病気で SAS(Sleep Apnea Syndrome) とも呼ばれています 無呼吸とは 呼吸が10 秒以上止まることであり 低呼吸とは10 秒以上 50% 以上の換気量の低下がある状態のことです 1 時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数をたした指標を無呼吸低呼吸指数 AHI(apnea and hypopnea index) といいます AHIが7 時間に30 回以上 あるいは1 時間あたりAHIが5 回以上かつ日中の過度の睡眠があると睡眠時無呼吸症候群 (SAS) と診断されます 無呼吸があると血液中の酸素が足りなくなり 本人は気づかずに眠っているときでも何度も体が目覚めてしまいます 実際には睡眠がとれていない状態となるため疲労感が残り 昼間に眠気を感じたり 居眠りなどを引き起こし交通事故や労働災害の原因となることもあります また 交感神経が興奮状態となり動脈硬化が進行し 心疾患や脳血管障害が引き起こされる確率も高くなるといわれています SASの原因については多くの場合は上気道の狭窄が原因となります このようなものを閉塞性睡眠時無呼吸といい たとえば鼻閉 ( 鼻づまり ) や扁桃の肥大 下顎の小さい方あるいは肥満などにより空気の通り道が狭い場合に睡眠により筋肉が弛緩して空気の通り道が閉塞してしまいます 特に多量の飲酒などをすると筋肉が弛緩し閉塞が 起こりやすくなります また 高齢者に見られる脳の呼吸中枢の異常に より睡眠とともに呼吸運動そのものが停止してし まう中枢性睡眠時無呼吸という場合もあります 日中の過度の眠気や睡眠中に大きなイビキを指 摘され 耳鼻科外来を受診した場合 まず咽頭や 鼻の診察を行い上気道に異常がないか調べます 鼻の通り具合をはかったりする検査が行われる場 合もあります さらに睡眠呼吸障害の検査の必要 性を認めた場合 簡易型検査装置によるスクリー ニング検査を行います これは一晩入院していた だき鼻や口の気流 気管音 血液中酸素飽和度 (SpO2) 呼吸運動を簡易型検査装置で記録して 無呼吸の状態の程度および原因が閉塞性か中枢性 かの診断を行います 重症度の判断基準となる指数として前述の無呼 吸低呼吸指数 (AHI) を測定します AHI が簡易 検査で 40 以上ある場合は すぐに後述する CPAP 治療を開始することが保険適応で認められていま す AHI が 20 以上 40 未満であれば さらに詳し い終夜睡眠ポリグラフ (PSG) を行います 2
睡眠時無呼吸であることを確定的に診断するために行う検査で 終夜睡眠ポリグラフィー と言います 一泊入院していただき睡眠中の低酸素状態や脳波による覚醒状態 鼻口気流の途絶 再開 胸腹部の呼吸運動などからSASの状態を詳しく判定します 検査中は体に電極やセンサーを付けて行いますが 痛みのある検査ではありません この治療は保険治療には適用範囲が決まっており 簡易型の検査でAHI40 以上の場合または PSGの検査でAHIが20 以上で眠気などの症状がある場合です それらを明らかにするためにも精密検査は大変重要な過程です また SASは大人だけでなく 子供にも見られる病気で子供のSASは扁桃腺の肥大などによりおこります 成長期に十分な睡眠が取れないため影響が大きいといわれ積極的な治療が必要といわれています 子供の場合は扁桃やアデノイドの切除により SASは改善します 他にはスリープスプリントとよばれるマウスピースを用いて下顎を前進させ気道の狭窄を防ぐ治療も行われます また 外科的治療としては鼻閉を改善してCPAPの効果を上げるため鼻の手術がおこなわれたり 気道を広げる目的で扁桃やのどの粘膜の一部を切除したり 舌の付け根の部分を一部切除する方法もあります SAS が軽症の場合や肥満者の場合 まず減量が 必要となります 他には鼻閉などがある場合は まず鼻閉に対する治療をおこないます 特に重度な場合やこれらの治療で効果がない 場合 持続陽圧呼吸療法 CPAP(continuous positive airway pressure ) とよばれる治療を おこないます これは鼻につけたマスクに加圧 された空気を送り その空気がのどの空間を広げ 吸気時の気道狭窄を防ぎ 閉塞性の SAS の場合 すぐに無呼吸を無くすことができる治療です SASの合併症として高血圧 多血症 虚血性心疾患 脳血管障害などがあり AHIが20 以上の人はそうでない人と比べ死亡率が高いといわれています 睡眠は体と脳を休息させる大変重要な役割を持っています もし 日ごろ以下のような状態が生じていたり 家族から指摘があった場合は一度お近くの耳鼻咽喉科または呼吸器科にご相談ください 3
室蘭市医療安全ネットワーク会議を行っています 医療安全対策室 看護主任 やないふみこ 室蘭地域の患者さんの安全を守るため 市立室蘭総合病院と製鉄記念室蘭病院の医療安全管理室と当院の医療安全対策室が 2 ヵ月に一度 会議を開いて情報交換など話し合いをしています 今回は 11 月 15 日に日鋼記念病院で開催されたネットワーク会議の様子をご紹介します 当院の情報を発表する梁井医療安全管理者 向かって左が市立室蘭総合病院 右側が製鉄記念室蘭病院 それぞれの医療安全管理室のみなさんです 室蘭市内 3 つの総合病院の医療安全関係者が市立病院さんの呼びかけで今年 6 月に初めて集まりました 今まで 3 回会議を行い情報交換して意見を出し合ってきました 各施設の対応や課題を話し合うことで互いに医療安全への取り組みの参考にしています 私たちはひとつの病院にとどまらず 地域住民の医療安全にも積極的に取り組んでいます 当院は医療安全対策に積極的に取り組んでいます 医療安全対策室 医療安全対策委員会 看護安全対策委員会など組織的に医療の安全を守るための活動を行っています 4
みんなで楽しもう! 老人保健施設母恋管理栄養士 しのはら篠原めぐみ この季節は家族 親戚 お友達とみんなでワイワイごちそうを囲む機会が増えますね そんな時 病気などで食事制限がある方も 遊びに来たお孫さんも みんなでおいしく食べられるひと工夫を紹介します 今回は パーティーメニューの代表 みんな大好き! 鶏のから揚げ 基本の 鶏のから揚げ お豆腐でフワッと 下味つけずに揚げ衣で一工夫 下味つけずに揚げ衣で一工夫 お肉の部位をチェンジ 5
インフォメーション NewFace 12 月着任医師のご紹介 小児科本庄遼太 ( ほんじょうりょうた ) 医師 平成 22 年旭川医科大学卒 赤ちゃん 子供たちの力になれるよう精いっぱい頑張ります がんで在宅療養中の皆様へ あっとほーむ開催のご案内 がん治療に伴う痛みや不安などの様々な悩みを相談したり 患者さんやご家族にお茶でも飲みながらリラックスして自由に過ごしていただけるよう展示や催しを行っております 日時 1 月 24 日 ( 金 ) 11:00 13:00 場所地域医療研修センター小会議室 これまでと開催場所が変わりました 内 容 やってみよう 自分でできるアロママッサージ 緩和ケア認定看護師高橋純子 音楽療法 展示コーナー 音楽療法士四方明子 このほか 専門職へのご相談も随時承っておりますのでお気軽にお声掛けください 申込 お問い合わせがん相談支援センター TEL 0143-22-2225 ( 直通 ) クーポンの有効期限が間近です! 有効期限内のご利用を 自治体から発行されている大腸がん 肝炎ウイルス検診の無料検診クーポンは有効期限が定められています お手元にクーポン券が届いている方は是非ご活用ください 有効期限 1 月 31 日 ( 金 ) まで 予約 お問い合わせ 健診センター TEL 0120-257-457 平日 :9:00 16:00 6
年末年始一般診療休診のご案内 12 月 28 日 ( 土 ) 1 月 5 日 ( 日 ) は外来診療を休診いたします 次のような方は早めの受診をお願いします いつも飲んでるお薬が足りなくなるかも 最近 気になる症状がある 病院休日時の救急対応 1. 重症な患者さんから診察します救急外来では 緊急性の高い重症な患者さんを優先的に診察をいたします 状況によっては 待ち時間が長くなることがあります 2. 救急外来では当番医師が診察します専門的な医師による検査や診察を希望される方は 平日の外来診療時間内の受診を お勧めします 3. 最低限のお薬の処方です夜間 休日のお薬の処方は 応急処置のため原則として必要最低限の日数を処方します 専門科の受診を勧められた方は 後日改めて通常診療時の専門外来を受診ください お見舞いに来られる皆様へのお願い入院患者さんの安静と安全のための 3 つの約束 地域のインフルエンザ流行状況により面会を一部制限させていただく場合があります 面会制限については病院ホームページまたは お電話にてお問い合わせください 7
日鋼記念病院各種教室のご案内 病気の予防や健康維持を目的に日鋼記念病院では各種講座 ラジオ番組を放送しています 普段 なかなか質問することができないことなど 気軽にご相談いただく機会としてもご活用ください 皆様のご参加お待ちしています 糖尿病教室 健康プラザ 開催時間 申込 問合 開催日時場所テーマ持ち物申込 問合 母親学級 両親学級 ラジオ健康プラザ 母親学級 申込 問合 両親学級 FM 周波数 放送時間 発行 051-8501 室蘭市新富町 1 丁目 5 番 13 号 TEL FAX e-mail ホームページ 0143-24-1331 0143-22-5296 koho@nikko-kinen.or.jp http://www.nikko-kinen.or.jp 編集広報誌編集委員会委員長林茂 8