新技術説明会 様式例

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3.1 億ガロン (120 万 kl) と発表した セルロースエタノールは トウモロコシ等の農業残渣を原料として生産されることからCO 2 排出削減効果が大きく 食料資源とも競合しないことから 大きな期待が寄せられている 現在 米国 ブラジル イタリアでセルロースバイオマスを原料とした10 万 kl

手順 ) 1) プライマーの設計 発注変異導入部位がプライマーのほぼ中央になるようにする 可能であれば 制限酵素サイトができるようにすると確認が容易になる プライマーは 25-45mer で TM 値が 78 以上になるようにする Tm= (%GC)-675/N-%mismatch

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Hi-level 生物 II( 国公立二次私大対応 ) DNA 1.DNA の構造, 半保存的複製 1.DNA の構造, 半保存的複製 1.DNA の構造 ア.DNA の二重らせんモデル ( ワトソンとクリック,1953 年 ) 塩基 A: アデニン T: チミン G: グアニン C: シトシン U

4. 加熱食肉製品 ( 乾燥食肉製品 非加熱食肉製品及び特定加熱食肉製品以外の食肉製品をいう 以下同じ ) のうち 容器包装に入れた後加熱殺菌したものは 次の規格に適合するものでなければならない a 大腸菌群陰性でなければならない b クロストリジウム属菌が 検体 1gにつき 1,000 以下でなけ

Transcription:

1 新規酵母株を用いた バイオマスからの油脂の一貫分泌生産 龍谷大学島純京都大学谷村あゆみ理化学研究所高島昌子遠藤力也大熊盛也明治薬科大学杉田隆

2 新技術開発の背景 温暖化ガス排出抑制技術の必要化石燃料依存から脱却する必要未利用バイオマスを有効利用する必要 酵母等による発酵 多方面からの取り組み エタノール バイオ燃料 草本系 木本系 食品廃棄物 食品ロス 未利用バイオマス 微細藻による油脂生産の問題点 生産性 ( 生産速度 ) が低い 広範な培養スペースが必要 油脂抽出のコスト高 プロセス複雑 微生物等による発酵炭化水素類 ( 油脂 アルカン ) 化成品 食品素材原料としても有用 ディーゼル航空燃料 微細藻を中心に研究展開 光合成

3 食品廃棄物等のエネルギー化 環境保全の必要性 フードセキュリティー : 健康で活動的な生活をおくるために全ての人が常に安全かつ十分な食糧を入手できる状態 フードセキュリティーが世界規模で崩壊に近づいている! 食の循環プロセス全体のコスト増温室効果ガスの発生 食の循環の崩壊 環境への悪影響の加速 栄養不足 飢餓 発展途上国 日本 食品廃棄物 1700 万トンうち 食品ロス 800 万トン ( 食べられる状態で捨てられている食品 ) 我が国の米の生産量に匹敵ほとんど埋め立て 焼却処分

食品廃棄物等のエネルギー化の阻害要因 食品廃棄物等の循環利用に向けて エネルギーへの再生利用の阻害要因 エネルギー収支のアンバランス 化石燃料よりコスト高 典型的な食品廃棄物の組成 (1 kg あたり ) デンプンリグノセルロースタンパク質脂質リグニン灰分水分 51.4 g 20.6 g 36.1 g 24.1 g 23.2 g 16.3 g 828.0 g 糖化 ( 酵素が高価 ) 雑菌汚染 高温 酸化ストレス 酵母を用いたエネルギー変換 液体燃料 化成品 食品素材原料としての利用も視野 本技術開発では 微生物油脂の低コスト生産に注目! 4

西表島および利尻島から酵母の分離 (Suspend and spread directly) (Suspend and spread directly or Ballistospore-fall method) (Spread directly) Incubate and pick up colony Determine the sequence of PCR products 亜熱帯域亜熱帯林 マングローブ黄色土 ( 平均 ph6.6) Compare with those of type strains pairwisely Tentatively identify (same species: within 0-3 base differences) 亜寒帯域針葉樹林 伏流水のみ火山灰土壌 ( 平均 ph5.4) 主に担子菌酵母種の多様性に伴い機能も多様? Nakama River and mangrove on Iriomote Island Mt Rishiri from Hime-numa marsh at Rishiri Island 5

酵母ー環境を支える微生物 子囊菌酵母 ( カビに近い ) と担子菌酵母 ( キノコに近い ) 6

菌株数 Number of strains 7 担子菌酵母の油脂蓄積性 分離した酵母株 ( 約 1,000 株 ) を用いてバイオリファイナリーに活用可能な成分 ( アルコール 油脂等 ) の生産性を網羅的に評価 300 250 200 6 炭糖からの脂質生産性の評価 ほとんどが担子菌酵母担子菌酵母には優れた油脂生産性株が含まれる! 150 100 50 0 0 0.2 0.2 0.4 0.4 0.6 0.6 0.8 0.8 1.0 1.0 1.2 1.2 1.4 1.4 1.6 Lipid concentration [g/l] 脂質生産量 (g/l) The distribution of lipid accumulating ability in terms of lipid concentration in primary screening. 1.6 担子菌酵母は多様な炭素源の資化能を有する 多糖から一気に脂質生産できる?

JCM 24514 JCM 24515 JCM 24516 JCM 24518 JCM 24519 JCM 24520 JCM 24521 JCM 24522 JCM 24523 脂肪酸比率 Lipid Lipid contents [%] (%) (%) デンプン資化性 油脂蓄積性酵母の探索 典型的な食品廃棄物の組成 (1 kg あたり ) デンプン 51.4 g リグノセルロース 20.6 g タンパク質 36.1 g 水分 828.0 g b 40 1960 年代に油脂蓄積の報告 C. terricola の脂質生産性及び組成 C16:0 palmitic 30 20 10 0 C16:1 palmitoleic C18:0 stearic C18:1 oleic C18:2 linoleic C18:3 linolenic other fatty acids 9 株全て Cryptococcus terricola バイオディーゼル製造に適する脂肪酸組成 8

脂質比率 (%) Lipid content [%] 9 従来技術とその問題点 C. terricola によるデンプンからの脂質生産 a 80 70 60 50 40 30 20 10 C. terricola JCM 24518 * C. terricola JCM 24523 L. starkeyi NBRC 10381 酵母細胞壁は厚く強固 細胞内からの油脂の抽出は煩雑かつ高コストであり 産業利用上のボトルネック 0 0 2 4 6 8 10 day 培養日数 Lipomyces 属酵母 ( 子嚢菌酵母 ) と比較して 早く 大量にデンプンから直接的に脂質を生産

10 油糧酵母 ( 細胞重量あたり 20% 以上の油脂を生産 ) を用いた油脂生産のメリット ナタネなどの植物と比較して 生産効率が著しく高い 微細藻と比較しても 生産効率が高い 雑食性であり未利用バイオマスを活用可能である 地域レベルでの油脂変換システムの可能性が大きい 従属栄養であり 暗条件でも効率的に油脂へ変換 油糧酵母を用いた油脂生産の問題点 ナタネや微細藻と同様に 細胞内に脂質を蓄積した場合に 抽出が煩雑となる 特に 原料バイオマスとの分離が困難 解決法は 油脂を油糧酵母に細胞外に分泌生産させる

11 担子菌酵母から油脂分泌性を有する酵母を発見 生育温度 10-37 自然環境における油脂生産可能 資化性グルコースキシロースアラビノースグリセロールセロビオースデンプンキシランフェルラ酸没食子酸等 多様なバイオマス資源から油脂生産可能 西表島から単離された Rhodosporidium toruloides 33-18 株他の R. toruloides 株で分泌現象は報告されていない

全脂質量 (g/l) lipid concentration [g/l] 12 R. toruloides 33-18 株における油脂の蓄積量と分泌量の変化 0.9 0.8 菌体内脂肪酸 0.7 0.6 0.5 0.4 菌体外脂肪酸 細胞内 : 細胞外 7:5 0.3 0.2 0.1 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 [day] 培養日数 突然変異育種及び培養条件の検討により さらなる油脂分泌量の増加が期待できる

脂肪酸組成 13 菌体内外の脂肪酸組成はほぼ同等 かつ バイオディーゼル生産に 適した脂肪酸組成である 細胞内 細胞外

脂質量 (g/l) Lipid concentration [g/l] 油脂生産能の効率化に向けた突然変異の導入 0.8 0.6 2-デオキシグルコース耐性変異株の油脂生産量 SyntheticXylose 培地 (0.17%YNB, 0.5%AS, 6%Xylose) からの油脂蓄積 突然変異の導入により生産性 分泌性の向上の可能性 0.4 2-DG 耐性変異株 11 野生型株 R. toruloides 33-18 0.2 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 培養日数 day 14

新技術の特徴 従来技術との比較 従来技術とその問題点 バイオディーゼルはナタネなどの植物由来であり 生産性が低い 微細藻を用いた場合には 広範な培養設備が必要かつ生産性も不十分 抽出プロセスが複雑かつ高コスト 本技術の技術的特徴 1) 雑食性 ( でんぷん 5 炭糖を含む ) で高効率で油脂を生産する酵母株を発見 2) 油脂を細胞外に分泌することから抽出プロセスの低コスト化 簡便化がはかれる 3) 新規性 : 野生型酵母 ( 遺伝子操作をしていない酵母 ) において 初の細胞外油脂分泌現象の発見 15

16 想定される用途 油脂は バイオディーゼル等のバイオ燃料用原料 化学工業原料 繊維製造原料など 幅広く利用可能である 現在は化石燃料への依存度が高いが 微生物油脂に代替していくことが期待できる 本技術により 未利用バイオマス等を活用して 安価に油脂製造が可能となることが期待でき 上記をはじめとした様々な工業への利用が想定される

17 実用化に向けた課題 現在 油脂分泌に関する最適培養条件の検討 を進めている段階 今後 突然変異を誘発するなど 分泌能を高め た変異株の取得の必要 また 未利用バイオマスの利用条件についても 検討を加える必要も

18 企業への期待 油脂分泌量の増加やバイオマス利用性については 微生物育種手法により克服できると考えている 油脂の培養液からの回収技術や油脂精製技術を持 つ 企業との共同研究を希望 また 化石燃料からの脱却に関する技術開発中の 企業 環境分野への展開を考えている企業には 本 技術の導入が有効と思われる

19 お問い合わせ先 龍谷大学龍谷エクステンションセンタ (REC) 産学連携コーディネーター真部永地 TEL 077-544-7279 FAX 077-543-7771 e-mail manabe@ad.ryukoku.ac.jp