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地震や微動の発生状況( 図 8-2~4 図 9-23 図 10~11 表 1~4) 火山性地震は 3 月から5 月にかけて一時的に減少した期間もありましたが 概ね多い状態で経過しました 火山性地震の震源は 主に中岳第一火口付近のごく浅い所から深さ0km に分布しました 孤立型微動は 3 月以降増加し

地震や微動の発生状況( 図 5-23 図 6-2~4 図 7 表 1~4) 火山性微動の振幅は 3 月にやや大きな状態となる期間もありましたが その他の月は概ね小さな状態で経過しました 火山性地震は 1 月から2 月にかけてやや少ない状態で経過しましたが 3 月以降は概ね多い状態で経過しました 火山

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降灰の状況( 図 6 図 8) 8 日実施した現地調査及び電話による聞き取り調査では 15 時現在で熊本県 大分県 愛媛県 香川県で降灰を確認しました 火口から北東約 6km にある阿蘇警察署で約 3cm 積もるなど の北東側で多量の降灰となっています 噴煙の状況( 図 7) 中岳第一火口では 8

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ガス観測の状況( 図 3-36) 2 日に実施した現地調査では 二酸化硫黄は検出されませんでした ( 最後に検出されたのは 2012 年 9 月 26 日の1 日あたり 10 トン ) 図 1 ( 新燃岳 ) 噴煙の状況 (10 月 18 日 韓国岳遠望カメラによる ) :2015 年 10 月の震

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年間の火山活動

草 津 白 根 山

(3) 爆発的噴火の基準上述の噴火の区分とは別に 爆発的噴火 という呼称を使うことがある 阿蘇山における爆発的噴火とは 爆発地震があり 古坊中 ( 火口から約 1km) の観測点で 30Pa 以上の空振 もしくは仙酔峡 ( 火口から約 2km) の観測点で 20Pa 以上の空振を伴うものとしている

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200km 20 30km EDM GPS JERS-1 SAR

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(/9) 07 年に発生した地震の概要. 佐賀県の地震活動 07 年に佐賀県で震度 以上を観測した地震は 9 回 (06 年は 85 回 ) でした ( 表 図 3) このうち 震度 3 以上を観測した地震はありませんでした (06 年は 9 回 ) 表 07 年に佐賀県内で震度 以上を観測した地震

日向灘 佐伯市で震度 2 を観測 8 日 08 時 33 分に日向灘で発生した M3.9 の地震 ( 深さ 31km) により 佐伯市 愛媛県西予市 高知県宿毛市などで震度 2 を観測したほか 大分県 宮崎県 愛媛県および高知県で震度 1 を観測しました ( 図 1) 今回の地震の震源付近 ( 図

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布 ) の提供を開始するとともに 国民に対し分かりやすい説明を行い普及に努めること 図った 複数地震の同時発生時においても緊急地震速報の精度を維持するための手法を導入するとともに 緊急地震速報の迅速化を進める 特に 日本海溝沿いで発生する地震については 緊急地震速報 ( 予報 ) の第 1 報を発表

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スライド 1

2 月 20 日 に 実 施 した 現 地 調 査 では 2014 年 11 月 25 日 以 降 の 噴 火 活 動 により 中 岳 第 一 火 口 南 側 付 近 に 火 山 灰 やスコリア 6) が6~26cm 堆 積 しているのを 確 認 しました 2 月 23 日 に 熊 本 県 及 び2

平成 22 年度科学技術振興調整費 重要政策課題への機動的対応の推進 課題 成果速報 平成 23 年霧島山新燃岳噴火に関する緊急調査研究 1-4 広帯域地震 計による 観測 広帯域地震計による観測 東京大学地震研究所

目 次 1. 想定する巨大地震 強震断層モデルと震度分布... 2 (1) 推計の考え方... 2 (2) 震度分布の推計結果 津波断層モデルと津波高 浸水域等... 8 (1) 推計の考え方... 8 (2) 津波高等の推計結果 時間差を持って地震が

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概論 : 人工の爆発と自然地震の違い ~ 波形の違いを調べる前に ~ 人為起源の爆発が起こり得ない場所がある 震源決定の結果から 人為起源の爆発ではない事象が ある程度ふるい分けられる 1 深い場所 ( 深さ約 2km 以上での爆発は困難 ) 2 海底下 ( 海底下での爆発は技術的に困難 ) 海中や

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68 国土地理院時報 2016 No だいち 2 号による緊急観測だいち 2 号は, だいちの後継機として 2014 年 8 月から定常的な観測を開始し,2014 年 11 月からデータの定常配布が始まった. だいち 2 号の主な性能は表 -1 のとおりである. 表 -1 だいち 2

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詳細な説明 2016 年 4 月 16 日に発生した熊本地震 ( マグニチュード (M) 7.3)( 図 1) は 熊本県 大分県を中心に甚大な被害をもたらしました 九州地方は 北東 - 南西方向に縦走する 別府 - 島原地溝帯 と呼ばれる顕著な地殻の裂け目によって特徴づけられます 別府 - 島原地

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現 地 調 査 では 火 口 周 辺 の 地 形 や 噴 気 等 の 状 況 に 変 化 は 見 られませんでした また 赤 外 熱 映 像 装 置 5) による 観 測 では 2015 年 3 月 頃 から5 月 29 日 の 噴 火 前 に 温 度 上 昇 が 認 められていた 新 岳 火 口

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熊谷地方気象台対象地域埼玉県 平成 26 年 2 月 8 日から 9 日にかけての大雪に関する 埼玉県気象速報 1 資料作成の目的 2 気象の状況 3 警報等の発表状況 4 災害の状況 平成 26 年 2 月 10 日 熊谷地方気象台 この資料は速報として取り急ぎまとめたもので 後日内容の一部訂正や

4-2 伊豆地方の地殻変動

Transcription:

の火山活動解説資料 ( 平成 30 年 10 月 ) 福岡管区気象台地域火山監視 警報センター 1) 2) 火山性地震及び孤立型微動は多い状態で経過し 火山ガス ( 二酸化硫黄 ) の放出量は 概ねやや多い状態で経過しました その他の観測データに火山活動の高まりは認められませんでした 火口内では土砂や火山灰が噴出する可能性があります また 火口付近では火山ガスに注意してください 噴火予報 ( 噴火警戒レベル1 活火山であることに留意) の予報事項に変更はありません 活動概況 噴煙など表面現象の状況( 図 1~7 図 8-167 図 9-156) 白色の噴煙が 3 日に最高で火口縁上 1,000m(9 月 :1,000m) まで上がりました 3) 中岳第一火口では 2018 年 5 月 3 日以降 夜間に高感度の監視カメラで火映を時々観測していましたが 10 月 2 日以降は認められません 現地調査では 中岳第一火口内で引き続き緑色の湯だまり 4) を確認しました 湯だまり量は 中岳第一火口底の10 割と前月 (9 月 :10 割 ) から変化はありませんでした 湯だまり内では 前月に引き続き噴湯を観測しました 中岳第一火口南側及び南西側火口壁では 白色の噴煙が噴出しているのを確認しました 5) 赤外熱映像装置による観測では 湯だまりの表面温度は67~74 (9 月 :69~75 ) でした 南側火口壁の一部で引き続き熱異常域 (10 月 22 日 : 最高温度約 60 ) を確認しました 最高温度は前月 (9 月 : 最高温度約 640 ) と比べやや低くなりましたが 引き続き高い状態が続いています また 南西側火口壁の一部でも引き続き熱異常域 (10 月 22 日 : 最高温度約 340 ) を確認しました 最高温度は前月 (9 月 : 約 390 ) と比べてやや低くなりました 地震 微動の発生状況( 図 8-2~4 図 9-23 図 10 図 11) 孤立型微動の月回数は7,977 回 (9 月 :8,332 回 ) と引き続き多い状態で経過しました 火山性地震の月回数は5,716 回 (9 月 :4,954 回 ) と引き続き多い状態で経過しました 震源が求まった火山性地震は28 回で 震源は主に中岳第一火口付近のごく浅いところから深さ0km 付近に分布しました 火山性微動の振幅は 期間を通して小さい状態で経過しました この火山活動解説資料は福岡管区気象台ホームページ (https://www.jma-net.go.jp /fukuok a/) や気象庁ホームページ (https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/stock/monthly_v-act_doc/monthly_vact.php) でも閲覧することができます 次回の火山活動解説資料 ( 平成 30 年 11 月分 ) は平成 30 年 12 月 10 日に発表する予定です この資料は気象庁のほか 国土地理院 京都大学 九州大学 国立研究開発法人防災科学技術研究所 国立研究開発法人産業技術総合研究所及び阿蘇火山博物館のデータも利用して作成しています 資料中の地図の作成に当たっては 国土地理院長の承認を得て 同院発行の 数値地図 50m メッシュ ( 標高 ) 基盤地図情報 基盤地図情報( 数値標高モデル ) を使用しています( 承認番号 : 平 29 情使 第 798 号 ) -1-

火山ガスの状況 ( 図 8-5 図 9-4) 10 月 2 日 9 日 17 日 18 日 23 日に実施した現地調査では 火山ガス ( 二酸化硫黄 ) の 1 日あ たりの放出量は 500~1,700 トン (9 月 :90~1,400 トン ) と 概ねやや多い状態で経過しました 地殻変動の状況 ( 図 12~14) 傾斜計 6) 及び GNSS 7) 連続観測では 火山活動に伴う特段の変化は認められません 南阿蘇村吉岡の噴気地帯の状況 ( 図 15~17) 30 日に実施した現地調査では 前回 (2018 年 7 月 25~27 日 ) と同様にやや活発な噴気活動が続 いていることを確認しました 図 1 噴煙の状況 (10 月 3 日 草千里監視カメラによる ) 白色の噴煙が 3 日に最高で火口縁上 1,00m(9 月 :1,000m) まで上がりました 1) 特有の微動で 火口直下のごく浅い場所で発生しており 周期 0.5~1.0 秒 継続時間 10 秒程度で 中岳西山腹観測点の南北動の振幅が 5μm/s 以上のものを孤立型微動としています 通常 一日あたり 50~100 回発生しています 2) 火口から放出される火山ガスはマグマが浅部へ上昇すると放出量が増加します 火山ガスの成分はマグマに溶けていた水 二酸化炭素 二酸化硫黄 硫化水素などです 気象庁ではこれら火山ガス成分のうち 二酸化硫黄の放出量を観測し 火山活動の評価に活用しています 3) 赤熱した溶岩や高温の火山ガス等が 噴煙や雲に映って明るく見える現象です 4) 活動静穏期の中岳第一火口には 地下水などを起源とする約 40~60 の緑色の湯がたまっており これを湯だまりと呼んでいます 火山活動が活発化するにつれ 湯だまり温度が上昇 噴湯して湯量の減少や濁りがみられ その過程で土砂を噴き上げる土砂噴出現象等が起こり始めることが知られています 5) 赤外熱映像装置は物体が放射する赤外線を感知して温度分布を測定する測器です 熱源から離れた場所から測定することができる利点がありますが 測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合があります 6) 火山活動による山体の傾きを精密に観測する機器 火山体直下へのマグマの貫入等により変化が観測されることがあります 1μradian( マイクロラジアン ) は 1 km先が 1mm 上下するような変化です 7)GNSS(GlobalNavigationSatelliteSystems) とは GPS をはじめとする衛星測位システム全般を示す呼称です -2-

地理院地図 火口北側観測定点 ( 図 3 5 の観測位置 ) 中岳第一火口南西側火口壁 火口南西側観測定点 ( 図 4 6 7 の観測位置 ) 中岳第一火口南側火口壁 : 観測位置 : 撮影方向 図 2 中岳第一火口の現地調査観測位置 火口南西側観測定点 ( 図 4 6 7 の観測位置 ) 中岳第一火口 南側火口壁 中岳第一火口 南西側火口壁 図 3 中岳第一火口北側観測定点からの火口全景 火口北側観測定点 ( 図 3 5 の観測位置 ) 中岳第一火口 南側火口壁 図 4 中岳第一火口南西側観測定点からの火口全景 -3-

気温 :13.2 湿度 :48% 2018 年 10 月 22 日 ( 曇 ) 2018 年 10 月 22 日 13 時 33 分 2018 年 10 月 22 日 13 時 24 分 2018 年 9 月 25 日 14 時 59 分 2018 年 9 月 25 日 14 時 43 分 図 5 中岳第一火口南側火口壁及び南西側火口壁の状況 ( 中岳第一火口北側から観測 ) 中岳第一火口南側火口壁の一部 ( 赤破線 ) で引き続き熱異常域を確認しました 中岳第一火口南西側火口壁の一部 ( 青破線 ) でも引き続き熱異常域 ( 最高温度 : 約 340 ) を確認しました 最高温度は前月 (9 月 : 約 390 ) と比べてやや低くなりました -4-

気温 :13.2 湿度 :48% 2018 年 10 月 22 日 13 時 00 分 2018 年 10 月 22 日 ( 曇 ) 気温 :19.5 湿度 :73% 2018 年 9 月 25 日 14 時 07 分 2018 年 9 月 25 日 ( 晴 ) 図 6 中岳第一火口の状況 ( 中岳第一火口南西側から観測 ) 中岳第一火口内で引き続き緑色の湯だまりを確認しました 湯だまり量は 中岳第一火口底の 10 割と前月 (9 月 :10 割 ) から変化はありませんでした 湯だまりの表面温度は 67~74 (9 月 :69~75 ) でした 湯だまり内では 前月に引き続き噴湯を観測しました 湯だまりからの噴煙が濃い部分については 温度が低めに測定されます 気温 :13.2 湿度 :48% 2018 年 10 月 22 日 13 時 08 分 2018 年 10 月 22 日 ( 曇 ) 気温 :19.5 湿度 :73% 2018 年 9 月 25 日 14 時 18 分 2018 年 9 月 25 日 ( 晴 ) 図 7 中岳第一火口南側火口壁の状況 ( 中岳第一火口南西側から観測 ) 中岳第一火口南側火口壁では 引き続き白色の噴煙が噴出しているのを確認しました 南側火口壁の一部で引き続き熱異常域(10 月 22 日 : 最高温度約 60 ) を確認しました 最高温度は前月 (9 月 : 最高温度約 640 ) と比べやや低くなりましたが 引き続き高い状態が続いています -5-

図 8 火山活動経過図 (2016 年 11 月 ~2018 年 10 月 ) 孤立型微動は多い状態で経過しました 火山性地震は多い状態で経過しました 火山性微動の振幅は 期間を通して小さい状態で経過しました 火山ガス( 二酸化硫黄 ) の1 日あたりの放出量は 500~1,70 トンと概ねやや多い状態で経過しました 湯だまりの表面温度は 67~74 (9 月 :69~75 ) でした 南側火口壁の一部で引き続き熱異常域(10 月 22 日 : 最高温度約 600 ) を確認しました 最高温度は前月 (9 月 : 最高温度約 640 ) と比べやや低くなりましたが 引き続き高い状態が続いています 2 と 3 の赤線は回数の積算を示しています 火山性微動の振幅が大きい状態では 火山性地震 孤立型微動の回数は計数できなくなっています 7 の湯だまり温度等は赤外熱映像装置により計測しています -6-

図 9 火山活動経過図 (1989 年 1 月 ~2018 年 10 月 ) 2 と 3 の計数に用いる震動波形を 2002 年 3 月 1 日に変位波形から速度波形に変更しています 2 と 3 の赤線は回数の積算を示しています 6 の湯だまり温度等は赤外放射温度計で計測していましたが 2015 年 6 月から赤外熱映像装置により計測しています 湯だまり量は 量を確認できた場合のみ表示し 1 割に満たない場合は 0 割としています -7-

震央分布図 南北時空間図 中岳第一火口 2018 東西断面図 深さ時系列図 :2018 年 10 月の震源 :2010 年 1 月 ~2018 年 9 月の震源 2018 図 10 火山性地震の震源分布 (2010 年 1 月 ~2018 年 10 月 ) 震源が求まった火山性地震は 28 回で 震源は主に中岳第一火口付近のごく浅いところから深さ 0km 付近に分布しました -8-

図 11 1 分間平均振幅の時間変化 ( 中岳西山腹観測点南北動成分 2018 年 9 月 ~10 月 ) 火山性微動の振幅は 期間を通して小さい状態で経過しました -9-

降水による影響 0.5μrad. ( 北 -UP) ( 東 -UP) 降水による影響 南北方向 東西方向 図 12 古坊中観測点の傾斜変動及び阿蘇乙姫地域気象観測所の日降水量 (2018 年 5 月 ~2018 年 10 月 ) 傾斜計では 火山活動に伴う特段の変化は認められません -10-

図 13-1 GNSS 連続観測による長期の基線長変化 (2010 年 10 月 ~2018 年 10 月 ) これらの基線は図 14 の 1~5 に対応しています 基線の空白部分は欠測を示しています 2016 年 4 月 16 日以降の基線長は 平成 28 年 (2016 年 ) 熊本地震の影響による変動が大きかったため この地震に伴うステップを補正しています 2016 年 1 月以降のデータについては 解析方法を変更しています ( 国 ): 国土地理院 -11-

図 13-2 GNSS 観測による短期の基線長変化 (2016 年 1 月 ~2018 年 10 月 ) GNSS 連続観測では 火山活動に伴う特段の変化は認められません これらの基線は図 14 の 1~5 に対応しています 基線の空白部分は欠測を示しています 2016 年 4 月 16 日以降の基線長は 平成 28 年 (2016 年 ) 熊本地震の影響による変動が大きかったため この地震に伴うステップを補正しています 2016 年 1 月以降のデータについては 解析方法を変更しています ( 国 ): 国土地理院 図 14 GNSS 連続観測点と基線番号 小さな白丸 ( ) は気象庁 小さな黒丸 ( ) は気象庁以外の機関の観測点位置を示しています ( 国 ): 国土地理院 -12-

2018 年 10 月 30 日 図 15 南阿蘇村吉岡の噴気 ( 赤丸内 )( 南阿蘇村長陽から撮影 ) 2018 年 7 月 25 日 前回 (7 月 25 日 ) と同様に白色の噴気を確認しました 2018 年 10 月 30 日 図 16 南阿蘇村吉岡噴気地帯の状況 ( 噴気地帯を南西側から撮影 ) 2018 年 7 月 25 日 前回 (7 月 25 日 ) と同様にやや活発な噴気活動 ( 赤丸内 ) が続いていることを確認しました 図 15 撮影位置 噴気地帯 図 16 撮影位置 : 観測位置 : 撮影方向 図 17 南阿蘇村吉岡の噴気地帯位置図 -13-

図 18 観測点配置図 小さな白丸 ( ) は気象庁 小さな黒丸 ( ) は気象庁以外の機関の観測点位置を示しています ( 京 ): 京都大学 ( 防 ): 防災科学技術研究所 ( 博 ): 阿蘇火山博物館 ( 国 ): 国土地理院図中の灰色の観測点名は 噴火により障害となった観測点を示しています -14-