1. 地域側の視点に立った観光振興 ( 地域振興 ) について 長期的な地域づくりを行い 内発的な地域資源の活用を促進 滞在交流は 地域ツーリズム型観光 観光による地域づくり 観光関係者が 観光側からの視点で地域を開発し そこに数多くの人々を送り込み 経済的な波及効果をもたらすこと ( 主は観光関係

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4. 都市づくりの目標と方針 4-1 都市づくりの基本理念 地域の個性が輝く生活快適都市 上田 ~ 魅力あるふるさと活気ある交流風格ただようまち ~ 基本理念の意味あい 上田市は 歴史 文化 自然 産業などに恵まれた特色ある地域から成り立っており 各地域が個性を発揮し 連携し合い 交流を促進しながら

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

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7-3 上田城南地域 (1) 将来像 ( 将来像 ) 水と緑と多様な都市機能が調和し快適な暮らしの環境が整ったまち ( 基本目標 ) 千曲川をはじめ産川や浦野川 小牧山や上田原古戦場 半過岩鼻など奇景や原風景の残る豊かな自然や農地を大切に保全するとともに 秩序ある都市空間づくりを進めます 良好な住環

2. 現状と課題 3 大津市の観光地としての課題 大津市の観光地として成長するには強みを磨き上げていく事と並行して 他の観光地と比較し課題を明らかにする事が大切です 大津市の観光地としての課題は 複数の調査結果をまとめ 次の5つであると考えています 1 一人あたりの来訪者の現地小遣いが低い 2 来訪

の復旧状況に関する長期的な見通しを可能な限り明らかにしながら 復旧の段階に 応じた役割の分析を行う 5) 交通事業者ヒアリング調査沿線地域に関係する交通事業者 ( 鉄道事業者 2 社 バス事業者 2 社 タクシー事業者 2 社その他 ) に聞き取り調査を行い 定性的な利用特性や地域の公共交通の問題点


北海道グリーン ツーリズム展開方針 平成 25 年 5 月 北海道経済部観光局

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長野県みらい基金からのお知らせ 2

阿賀野市の発展と市民福祉の向上を図ることを目的とした 行政運営の指針となる 阿賀野市総合計画 に定める本市の将来像 人 まち 自然が輝く幸福祉都市阿賀野 の実現に向けて また こよなく愛するふる里創造のため 全力を上げ取り組んでいるところでございます 国から地方への事務 権限移譲や三位一体改革が加速

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表紙案1

地域再生計画 1 地域再生計画の名称 チャリ旅!~ 栃木県北サイクルツーリズム事業 ~ 2 地域再生計画の作成主体の名称大田原市及び矢板市並びに栃木県那須郡那須町 3 地域再生計画の区域大田原市及び矢板市並びに栃木県那須郡那須町の全域 4 地域再生計画の目標 4-1 地方創生の実現における構造的な課

2


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福知山市中心市街地活性化基本計画

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(5) 老上西学区 1 まちづくりの方向性 1-1. 生活拠点の形成と交通環境の充実 既存の生活拠点を中心とした 50 戸連坦制度の厳守等により市街地の拡散を抑制するこ とで 利便性の高い生活環境を維持していくものとします 老上西学区は 東側から南側にかけての一帯が市街化区域に含まれ ( 主 ) 大

% 4.4% % 5.0% % 4.5% % 2.7% % 2.0% % 3.6% 5.1% 4.5% 2.6% 3.6%

第 3 次 山形県総合発展計画 短期アクションプラン ( 平成 25 年度 ~28 年度 ) 平成 2 5 年 3 月 山形県

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別紙 町田市観光まちづくり リーディングプロジェクト ( 案 ) 町田市

渚泊推進対策 平成 29 年 3 月に閣議決定された 観光立国推進基本計画 において 農山漁村滞在型旅行をビジネスとして実施できる体制を持った地域を平成 32 年度までに 500 地域創出することにより 農泊 の推進による農山漁村の所得向上を実現する と位置づけられたところ 農泊 を持続的なビジネス

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2. 各学区のまちづくりの方向性と将来ビジョン 第 3 章で整理した各学区の現状 課題等を踏まえ 学区ごとにまちづくりの方向性 ( 基本方針の 3 つの柱の何に該当するのか ) を整理します 方向性を踏まえ 施策の柱ごとに具体的なビジョンを検討します (1) 常盤学区 1 まちづくりの方向性 1-1

5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概要 5-2(3) に記載 5-2 第 5 章の特別の措置を適用して行う事業まち ひと しごと創生寄附活用事業に関連する寄附を行なった法人に対する特例 ( 内閣府 ): A2007 (1) 事業名 : 勝山市まちなか誘客プロジェクト ( 拠点文化財改修

北海道ドライブ観光促進社会実験 実施結果 1 例N 3を表示凡アプリ利用者の属性 実験期間中 1,211 人の外国人観光客が北海道内でアプリ Drive Hokkaido! を利用 ( 実験期間中の全道の外国人レンタカー貸渡台数 19,543 台の約 6% に相当 ) 国 地域別では香港 シンガポー

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稲沢市の観光に関するインターネット調査調査項目 未定稿 1 回答者の属性 Q1 あなたの性別 1 男性 2 女性 1 つだけ選択 Q2 あなたの年齢 1 10 歳代 2 20 歳代 3 30 歳代 4 40 歳代 5 50 歳代 6 60 歳以上 1 つだけ選択 Q3 あなたの職業 1つだけ選択 1

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当社において釧路への長期滞在の旅の企画は 今年で3 年目を迎えます 今年の参加者数は前年比 114% 一昨年比 16 となり年々増加傾向にあります 今回のアンケートの結果から リタイアした都会のシニア層は より人生を豊かにする目的で 手軽なセカンドハウスで過ごす感覚で参加されている方が大半ですが 中

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7-7 丸子地域 (1) 将来像 ( 将来像 ) 水辺 里山 人きらめき 産業活力が満ちた依田川流域のまち ( 基本目標 ) 製造業の集積が高い地域であることから 職住近接のゆとりある生活空間の創出をめざすとともに 地域内外の交流促進や日常生活のための道路交通環境整備を進めます 依田川 内村川周辺に

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平成 25 年 2013 年 2013 加賀市観光 加賀市観光統計 統計 長期推移 大聖寺川 流し舟 舟 片山津温泉 花火大会 山中温泉 鶴仙渓川床 川床 加佐の岬 岬 山代温泉 大田楽 =========================== 目 次 ========================

八街市教育振興基本計画(平成26年~平成35年)

( 別途 500 円にて購入可能 ) アンケートにご協力頂いた方の中から抽選で毎月 1 名様に島原のお土産 (10,000 円相当 ) をプレゼント 観光施設への入館や店舗での商品購入でスタンプを集めるとオリジナル缶バッジがもらえるスタンプラリー 販売価格 大人 1,000 円 小人 ( 小学 ~


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寄居町中心市街地活性化基本計画

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目 次 1 目指すべき方向の策定に当たって 背景 目的 2 山梨県内の公共交通の現状と課題 本県を取り巻く環境 本県のバス交通の現状等 観光客と利用する交通手段等 3 山梨県のバス交通の目指すべき方向 背景と課題 基本的な考え方 基本理念 実現する将来像 基本目標 4 広域的な路線 5 地域内路線

資料 5 総務省提出資料 平成 30 年 12 月 21 日 総務省情報流通行政局

市街化調整区域の土地利用方針の施策体系 神奈川県 平塚市 神奈川県総合計画 神奈川県国土利用計画 平塚市総合計画 かながわ都市マスタープラン 同地域別計画 平塚市都市マスタープラン ( 都市計画に関する基本方針 ) 平塚都市計画都市計画区域の 整備 開発及び保全の方針 神奈川県土地利用方針 神奈川県

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目的 川越市は 埼玉県の南西部に位置し 新河岸川の舟運や川越街道を通じた江戸との交流により発展してきました 蔵造りの町並みや時の鐘などの歴史的な観光資源に恵まれ 都心からのアクセスも良いことから 毎年多くの観光客が本市を訪れています このような中 本市では 平成 20(2008) 年に 川越市観光振

(2) 富士北麓都市計画都市計画区域の整備 開発及び保全の方針 ( 平成 23 年 3 月 ) 山梨県では 既に人口減少 超高齢社会が到来しており 都市経営コストの最適化 自動車を自由に使えない高齢者等の移動手段の確保 公共公益施設や大規模集客施設の適正立地 地球環境問題への対応など様々な課題が都市

レジャー産業と顧客満足の課題

石巻市総合計画 方針図 交通に関する方針交通に関する施策 地域連携軸と広域連携軸について市としての一体化の促進と地域間交流 連携の活性化を図るため 地域核を結ぶ地域連携軸の整備を推進する また 地理的条件から他都市との連携が不可欠であるため 地域連携軸の整備とあわせて 他都市との交流を促進する広域連


渋川市都市計画マスタープラン意見シート

平成 30 年度上期観光入込客数状況について Ⅰ. 本市の上期観光入込客数の概要について 平成 30 年度上期観光入込客数は 総数 380,100 人で 前年の 399,700 人より 19,600 人 4.9% の 減となった (1) 道内客 道外客の状況 道内客が 98,200 人で 前年の 9


市町合併という基本的枠組みの変更に対応した 市全域を対象とした計画の見直し 少子高齢化をはじめとする本市を取り巻く社会経済情勢の変化に対応した計画づくり 総合計画や都市計画区域マスタープランなど 上位関連計画との整合 調整の必要性 都市計画マスタープランは 都市計画法第 18 条の 2 に基づいて策

Ⅴ.( 仮称 ) 登大路バスターミナル整備計画 3-3. 平面図 (1) 地上部 1 階平面図 33

北部大阪都市計画彩都地区計画 ( 案 ) 北部大阪都市計画彩都地区計画を 次のとおり変更する 1. 地区計画の方針 名称彩都地区計画 位 置 茨木市大字粟生岩阪 大字宿久庄 大字清水 大字佐保 大字泉原 大字千提寺 大字大岩 大字福井 大字大門寺 大字生保 大字安威 山手台一丁目 山手台三丁目 山手

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2. 本市の上期観光入込客数について平成 27 年度上期観光入込客数は 総数 377,300 人で 前年の 351,600 人より 25,700 人 7.3% の増となった その内訳として 道内客が 84,900 人で 前年の 94,200 人より 9,300 人 9.9% の減 道外客が 292,

都市づくりの目標 2 多彩な地域資源の有効活用と相乗効果による 人々の交流を育む都市 目標に向けた方針 1 恵まれた地域資源を大切にする都市づくり (1) 基本方針 豊かな自然環境の保全と活用菅平と美ヶ原の 2 つの高原をはじめ市域の約 7 割を覆う山林 千曲川やその支流の河川のほか ため池群や農地

2-1-5 屋外広告物の制限

8略都市スライド東北(郡山市)全部 [互換モード]

中国トラック協会 公益社団法人広島県トラック協会 会 長 小丸 成洋 ご挨拶 このたび 第21回全国トラック運送事業者大会 が中国ブロックの担当により 来る10月6 日の木曜日に鳥取県米子市で開催されることとなりました 本事業者大会を中国ブロックが担当するのは 今回が3回目になりますが 20年もの長

中井町緑の基本計画(概要版)

上田市都市計画マスタープラン地域別構想 上田中央地域(案)

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赤坂里づくり計画 平成 28 年 11 月 赤坂里づくり協議会

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交通結節点が備えるべき機能を整理すると 最も基本となるものとして があり これに加えて 都市機能の誘導 集積を促進させ 都市内の中心的な拠点地区を形成する 及び 都市の顔 となる 交通結節点の計画 整備の検討においては 先に示した の三種の機能がそれぞれ交通結節性 人の交流や景観等の面で役割を果たし

3. 国 地域別調査結果 (1) 中国国籍 問 2. あなたの性別 年齢を教えてください 性別 中国国籍では 女性 が 56.3% 男性 が 43.7% となっています 年齢 中国国籍で最も多いのは 30 歳代 で 42.2% 次いで 20 歳代 25.6% 40 歳代 17.1% となっています

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5. 政治経済学部 ( 政治行政学科 経済経営学科 ) (1) 学部学科の特色政治経済学部は 政治 経済の各分野を広く俯瞰し 各分野における豊かな専門的知識 理論に裏打ちされた実学的 実践的視点を育成する ことを教育の目標としており 政治 経済の各分野を広く見渡す視点 そして 実践につながる知識理論

北陸バックパッカー(仮)

問 2. 現在 該当区域内に居住していますか 1. 居住している % 2. 居住していない % 無回答 % % 単位 : 人 1.9% 32.7% 65.4% 1. 居住している 2. 居住していない無回答 回答者のうち 居住者が約 65

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05+説明資料

さらに 情報発信が進むことにより 観光客が増加していく そして 通過点となっている本市の観光を 滞留 滞在型の観光とし 交流人口の拡大による観光産業や地場産業などの振興を図ることで市全体の経済効果を高め 定住促進 雇用創出を図るものである 数値目標 施設内アンテナショップ売上額 ( 事業開始前 (

トヨタの森づくり 地域・社会の基盤である森づくりに取り組む

区域の整備 開発及び保全に関する方針土地利用の方針 地区施設の整備の方針 地区の立地特性を踏まえ 土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るため 土地利用の方針を以下に定める 1 国際化に対応した業務 商業 宿泊等の多様な機能に加え 氷川神社と連携した江戸文化や赤坂地域の魅力を伝える歴史

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会議結果のお知らせ

Transcription:

Ⅰ. 地域づくりをベースにした観光振興への取り組み 長期的な地域づくりを行い 内発的な地域資源の活用を促進 状況 1: 多様な観光資源が 観光客を惹きつける阿蘇地域平成 14 年当初 年間約 1,700 万人から 1,900 万人ものお客様が阿蘇地域へ訪れるにもかかわらず 商店街は寂れつつあり 農村集落も少子高齢化の波が押し寄せていた 課題 1: 観光が地域振興に繋がっていない このことは いかに観光客が多くても 地域振興には繋がっていかないことを露呈していた 課題 2: 時代の変化 阿蘇地域においても旅行の個人化 マイカーでの来訪の増加等 旅行形態の変化により 来訪者の特性やニーズが多様化し 地域資源の再認識や農村や商店街の魅力の創造が必要になっていた 25

1. 地域側の視点に立った観光振興 ( 地域振興 ) について 長期的な地域づくりを行い 内発的な地域資源の活用を促進 滞在交流は 地域ツーリズム型観光 観光による地域づくり 観光関係者が 観光側からの視点で地域を開発し そこに数多くの人々を送り込み 経済的な波及効果をもたらすこと ( 主は観光関係者 ) 地域づくりによる観光商店街や農村などの地域住民が 自分たちの暮らしの中で 楽しみながら地域づくりや自然資源の活用を行うこと 商店街であれば 特産品を活かした商品開発や食べ歩きなどのまちめぐり 農村は地産地消の田舎料理の提供や歴史や文化を案内するむらめぐり その結果として 魅力的な地域が生まれ そこに人が集まり 経済的な波及効果をもたらし 観光にも結びついていく ( 主は地域住民 ) 26

2. 地域側の視点に立った観光振興 ( 地域振興 ) について 長期的な地域づくりを行い 内発的な地域資源の活用を促進 阿蘇地域は 滞在型観光をめざしている ポイント 1. 滞在型は 観光スポットめぐりだけではなく 地域 ( 自然 農村 商店街等 ) を活用する 阿蘇の自然空間の活用や地域づくりを進め 農村であれば 民泊 農村レストラン 農業体験などを組み合わせて 地域に滞在しながら エコツーリズムやグリーンツーリズム タウンツーリズムがネットワークしていく ポイント 2. 実践する地域住民を育てる 地域づくりを実践するのは あくまでも地域住民 地域に人が育てば その人達が動き出し 地域に活動が波及していく効果が期待できる これらの地域をつなぐのが 循環バスなどの公共交通等 27

Ⅱ. 阿蘇広域連携プロジェクト : スローな阿蘇づくり なぜ今 スローな阿蘇 なのか 観光ポイントを飛び回る旅からゆっくりと時間を過ごすスローな旅へ これまでの阿蘇の観光は マイカーや観光バスを使い旅行雑誌に掲載されている有名観光地を飛び回る旅が主流 阿蘇くじゅう国立公園の再認識や世界的なカルデラに住む誇りを取り戻し 阿蘇の自然や歴史 文化 そして食 暮らしなどツーリズムの資源となる地域の良さを味わったり 地元の人たちとの交流は ゆっくり歩く 自転車で走る程度のスローな旅にギヤチェンジ 阿蘇は ゆっくり過ごすところ 滞在交流の促進 28

1. 事業の背景 1 阿蘇の現状と課題 その 1 ( 平成 15 年構想策定時 ) 阿蘇の潜在能力 阿蘇地域は 1 市 6 町村で阿蘇くじゅう国立公園を擁し 約 1,200 平方 km の面積に 7 万 5 千人が住む自然 歴史 文化に恵まれた地域 阿蘇の二大資源は自然と温泉 自然は 阿蘇五岳を中心とした 周囲約 128km にも及ぶ世界最大級のカルデラとカルデラを囲む外輪山 広大な草原や森林などの豊かな自然に抱かれた美しい地域であり 各地の湧水も豊富 温泉は 全国的にも有名になった黒川温泉をはじめ 内牧温泉や杖立温泉 垂玉 地獄温泉など 夏目漱石や与謝野鉄幹 晶子などの文豪たちにも愛されました 平成 14 年の熊本県観光統計では年間約 1,889 万人 ( 平成 1 9 年は 1,864 万人 ) もの観光客が訪れる県内はもとより 九州でも最大の観光地となっています また 旅行スタイルの変化に伴い 阿蘇地域へのマイカー旅行が急増している状況です 29

1. 事業の背景 2 阿蘇の現状と課題 その 2 ( 平成 15 年構想策定時 ) 地域の抱える課題 課題 1: 広域回遊 観光施設や見どころが単体として存在している現在の観光のあり方では 農村や商店街など地元地域への大きな波及効果を生み出すことが難しい状況です 観光地を含め阿蘇地域全体を回遊できるシステムを構築できれば 地元への経済効果を拡大することができると考えられます 課題 2: 観光客のニーズ変化 これまで 阿蘇山火口 草千里 レジャー施設 温泉 物産館 食事処等の有名な立ち寄り所に観光客が訪れていました これからもこの傾向は続くと考えられますが 阿蘇へ訪れる人々は多様化し 都会の普段の生活ではできない農村の暮らしそのものを体験し 地元の人と交流するニーズも高まっています 阿蘇地域でも このニーズにこたえられる地域資源の再認識や農村 商店街の魅力の創造が必要になりました 課題 3: 幹線道路の渋滞 土 日休日は幹線道路である国道 5 7 号線は大渋滞になり 渋滞を回避するための 抜け道マップ が作成されるほどです 平成 15 年 10 月には南阿蘇の西原村 ~ 久木野村間に俵山トンネルが開通しましたが ピーク時は地域内の交通渋滞も見られるほどです 課題 1~3 の複合した結果として 課題 4: ひとつの地域としての 阿蘇 のイメージ不足 阿蘇地域は平成 17 年 2 月に町村合併が終わり 阿蘇 12 町村から 1 市 6 町村になりましたが 阿蘇地域は広く 観光資源も豊かであるがゆえに 阿蘇地域が一体になった魅力の構築と情報発信 が不足していました しかし 阿蘇地域が 1 市 6 町村の個性を連携させれば 大きな魅力ある地域として 強い求心力を持つはずです 30

2. 課題解決のため ( 平成 15 年構想策定時 ) 課題を解決するための 3 つの 旅のスタイル これらの課題を解決するためには 阿蘇が持つ多様な地域資源 ( 素顔の阿蘇 ) をアピール ( 阿蘇遺産 ASO 大陸等 ) しながら 阿蘇のありのままを活かす環境共生型の新しい観光 交流の仕組み スローな阿蘇づくり が必要となってきました 課題 1: 広域回遊 ツーリズムと回遊のコースづくり ゆっくり町を歩き 自転車で農村集落や田園地帯 史跡などの観光地も回る 大自然に触れる そのような阿蘇ツーリズムや回遊のコースをつくります 課題 2: 観光客のニーズの変化 もてなしの人づくり 地元の人とおしゃべりしながら お茶やお菓子をほおばる 農家や牧場に立ち寄ったり いろいろな体験をする もてなしをしてくれる人材を発掘したり 人材を育成し 交流と体験のできる体制を整えます 課題 3: 幹線道路の渋滞 回避交通体系づくり JR 豊肥本線沿線にパークアンドレイルライドの採用 サイクルトレインや町村を結ぶ循環バスの運行など公共の交通機関で阿蘇地域を訪れることのできる仕組みをつくります

3. 事業概要 スローな阿蘇づくり とは ( 平成 15 年構想策定時 ) 3 つの新しい 旅のスタイル を実現させるために さまざまな取り組みを行ないます 回遊のコースづくり ( 阿蘇カルデラツーリズム ) もてなしの人づくり 交通体系づくり タウンツーリズム 商店街の魅力づくりや町なか散策の開発 グリーンツーリズム 滞在や交流型の農村体験の開発 エコツーリズム 自然案内人が案内する自然体験の開発 サイクリングや歩き 農村の集落や田園空間 町の中をのんびりと走る自転車コースや歩きの開発 待ち受け機能 ( ふるまい 交流 ) 地元農家では手作りのお漬物やお菓子で訪れた人をもてなしてくれます 商店街では食べ歩き散策ツアーなど 地元で評判のおいしい商品を試食して歩きます 案内人 阿蘇の自然を案内する自然案内人や農村集落の案内人 町なか散策の案内人が素顔の阿蘇を紹介します パークアンドライド 渋滞緩和のために JR 豊肥本線の駅で自動車を駐車し 列車に乗り換えたり 阿蘇地域内の駐車場で循環バスに乗り換えるなどの公共交通機関の利用開発 サイクルトレインの運行 自転車も一緒に乗ることのできる JR 列車と 南阿蘇鉄道列車の運行 循環バスの運行 阿蘇カルデラの阿蘇谷 南郷谷や北外輪の小国郷 東部高原や南外輪を走る循環バスの運行