目次 < 栄養表示の特徴 > 栄養表示の特徴 1 < 健康 栄養政策と栄養表示の関係 > 健康 栄養政策と栄養表示基準 2 健康 栄養政策と栄養表示 3 健康 栄養政策と栄養表示の関係 4 21 世紀における国民健康づくり運動 ( 健康日本 21) の具体的な推進について 5 < 栄養表示の重要性の

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栄養成分等の分析方法等及び「誤差の許容範囲」の考え方について

保健機能食品制度 特定保健用食品 には その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をすることができる 栄養機能食品 には 栄養成分の機能の表示をすることができる 食品 医薬品 健康食品 栄養機能食品 栄養成分の機能の表示ができる ( 例 ) カルシウムは骨や歯の形成に 特別用途食品 特定保健用

次世代ヘルスケア産業協議会第 17 回健康投資 WG 資料 6 職場における食生活改善の質の向上に向けて 武見ゆかり第 6 期食育推進評価専門委員会委員 ( 女子栄養大学教授, 日本栄養改善学会理事長 )

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1 栄養成分表示を活用してみませんか? 媒体の内容 1 ページ 導入 ねらい : 栄養成分表示 とは 食品に含まれているエネルギー及びたんぱく質 脂質 炭水化物 食塩相当量などを表示したものであることを理解する 栄養成分表示を見たことがありますか? と問いかけ 普段から栄養成分表示を見ているか 見て

2. 栄養管理計画のすすめ方 給食施設における栄養管理計画は, 提供する食事を中心とした計画と, 対象者を中心とした計画があります 計画を進める際は, それぞれの施設の種類や目的に応じて,PDCA サイクルに基づき行うことが重要です 1. 食事を提供する対象者の特性の把握 ( 個人のアセスメントと栄

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2214kcal 410g 9.7g 1 Point Advice

1カップ 74gあたり エネルギー (kcal) 57 ビタミンE(mg) 14 ブイ クレスゼリーカップタイプりんご水分 (g) 59 ビタミンB1(mg) 2.1 たんぱく質 (g) 0.5 ビタミンB2(mg) 2.1 脂質 (g) 0 ナイアシン (mg) 10.5 炭水化物 (

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日本スポーツ栄養研究誌 vol 目次 総説 原著 11 短報 19 実践報告 資料 45 抄録

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61023 明治インスロー 1 本 200mlあたり エネルギー (kcal) 200 ビオチン (μg) 30 水分 (g) パントテン酸 (mg) 2.00 たんぱく質 (g) 10.0 ビタミンC(mg) 80 脂質 (g) 6.6 コリン (mg) 36.4 炭水化物 (g) 2

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第 1 章 ヘルスプランぎふ 21 の基本的な考え方 1 計画策定の趣旨 ヘルスプランぎふ 21 は 岐阜県健康増進計画として平成 14 年 3 月に策定し その後平成 20 年度には 国が策定した 健康日本 21 と連動しながら メタボリックシンドロームに着目した生活習慣病の一次予防に重点をおいた

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第 4 章 地域における食育の推進 1 栄養バランスに優れた 日本型食生活 の実践 ごはんを中心に 魚 肉 牛乳 乳製品 野菜 海藻 豆類 果物 茶など多様な副食などを組み合わせて食べる 日本型食生活 は 健康的で栄養バランスにも優れている 農林水産省では 日本型食生活 の実践等を促進するため 消費

1カップ 74gあたり 6311 エネルギー (kcal) ブイ クレスゼリーカップタイプりんご水分 (g) たんぱく質 (g) 脂質 (g) ナイアシン (mg) 1.5 炭水化物 (g) ナトリウム (mg) 22 ビタミンB12(μg)

Ⅳ 第 2 次計画の目標 : 第 2 次計画で新たに設定した項目 府民主体 府民と行政と団体 行政と団体 1 内 容 新 規 栄養バランス等に配慮した食生活を送っている府民の割合 2 朝食欠食率 第 1 次計画策定時 35 現状値 第 2 次計画目標 第 2 次基本計画目標 24% 15% 60%

青年期を対象とした携帯食事手帳システムの提供 目 次 1. 目的 1 2. 携帯食事手帳システムの概要 1 (1) システムの基礎データ 1 (2) 利用方法 1 (3) 確認できる情報 1 3. 携帯食事手帳利用の手引き 2 (1) 携帯食事手帳 (QRコード) 3 (2) 料理選択の仕方 4 (

Microsoft PowerPoint 【資料3】主な改定内容と課題について0405

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山梨県生活習慣病実態調査の状況 1 調査目的平成 20 年 4 月に施行される医療制度改革において生活習慣病対策が一つの大きな柱となっている このため 糖尿病等生活習慣病の有病者 予備群の減少を図るために健康増進計画を見直し メタボリックシンドロームの概念を導入した 糖尿病等生活習慣病の有病者や予備

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具体的論点 1( 栄養成分 ) ( 案 ) 平成 28 年 2 月 16 日第 2 回検討会資料 2 から抜粋 1 栄養成分を機能性表示食品制度の対象とする意義 2 安全性の確保 対象となる食品 成分の範囲 摂取量の在り方 3 機能性の表示 適切な機能性表示の範囲 消費者に誤解を与えないための情報の

(3) 栄養強調表示 ( 一般用加工食品の場合 基準第 7 条第 1 項 一般用生鮮食品の場合 任意表示 ( 第 21 条第 1 項 ) 別表第 12 13) 別表第 に掲げている栄養成分及び熱量を強調する場合は 当該栄養成分の量及び熱量は 別表第 9 の第 3 欄 ( 測定及び算出の方

私の食生活アセスメント

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2013 年 4 月 26 日 消費者委員会第 22 回食品表示部会の資料に対するコメント 日本生活協同組合連合会 品質保証本部 / 安全政策推進室 鬼武一夫 実りある議論のためのコメント ( 赤字が資料に関するコメントである ) 栄養表示における重要な事項は どのような国においても 1. 表示値を

平成 29 年度食育活動の全国展開委託事業報告書 ( 食生活と農林漁業体験に関する調査 ) 平成 30 年 2 月

第 3 部食生活の状況 1 食塩食塩摂取量については 成人男性では平均 11.6g 成人女性では平均 10.1gとなっており 全国と比較すると大きな差は見られない状況にあります 図 15 食塩摂取量 ( 成人 1 日当たり ) g 男性

目次 頁 1. はじめに 1 2. 我が国の健康 栄養政策を踏まえた栄養表示 2 3. 表示の優先度が高い栄養成分 3 (1) エネルギー 4 (2) ナトリウム 4 (3) 脂質 5 (3-1) 飽和脂肪酸 5 (3-2) トランス脂肪酸 6 (3-3) コレステロール 6 (4) 炭水化物 6

Shokei College Investigation into the Physical Condition, Lifestyle and Dietary Habits of the Members of a Boy s Soccer Team and their Families (1) Ph

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H22栄養調査

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食生活指針の解説要領 1. 食生活指針改定の趣旨我が国は世界でも有数の長寿国であり 平均寿命は男女ともに 80 年を超え 今後も平均寿命が延びることが予測されています こうした平均寿命の延伸には 日本人の食事が一助になっていると考えられます 日本人の食事の特徴としては 気候と地域の多様性に恵まれ 旬

07 SDGsとCSV演習

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食育って, ご存知ですか? 食育とは 生きる上での基本であって, 知育, 徳育及び体育の基礎となるべきもの 様々な経験を通じて 食 に関する知識と 食 を選択する力を習得し, 食育の推進に取り組んでいます! 28 年 ( 平成 2 年 )3 月に 福山市食育推進計画,213 年 ( 平成 25 年

2) エネルギー 栄養素の各食事からの摂取割合 (%) 学年 性別ごとに 平日 休日の各食事からのエネルギー 栄養素の摂取割合を記述した 休日は 平日よりも昼食からのエネルギー摂取割合が下がり (28~31% 程度 ) 朝食 夕食 間食からのエネルギー摂取割合が上昇した 特に間食からのエネルギー摂取

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【資料1】栄養強調表示等について

生活福祉研レポートの雛形

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社団法人日本果汁協会 認定業務規程

「健康食品」の定義

00. (案トレ)調査の概要

ウ 一 日 当 たりの 摂 取 目 安 量 粒 ~ 粒 お 召 し 上 がりください という 旨 の 幅 の 両 端 をもって 表 示 することも 可 能 です エ 栄 養 成 分 の 量 及 び 熱 量 ( 栄 養 成 分 表 示 ) 一 日 の 摂 取 目 安 量 当 たりの 栄 養 成 分 の

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具体的論点 1( 栄養成分 ) ( 案 ) 平成 28 年 2 月 16 日第 2 回検討会資料 2 から抜粋 1 栄養成分を機能性表示食品制度の対象とする意義 2 安全性の確保 対象となる食品 成分の範囲 摂取量の在り方 3 機能性の表示 適切な機能性表示の範囲 消費者に誤解を与えないための情報の

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カテゴリー別人数 ( リスク : 体格 肥満 に該当 血圧 血糖において特定保健指導及びハイリスク追跡非該当 ) 健康課題保有者 ( 軽度リスク者 :H6 国保受診者中特定保健指導外 ) 結果 8190 リスク重なりなし BMI5 以上 ( 肥満 ) 腹囲判定値以上者( 血圧 (130 ) HbA1


Ⅵ ライフステージごとの取り組み 1 妊娠期 2 乳幼児期 (0~5 歳 ) 3 学童期 (6~12 歳 ) 4 思春期 (13~19 歳 ) 5 成年期 (20~39 歳 ) 6 壮年期 (40~64 歳 ) 7 高年期 (65 歳以上 ) ライフステージごとの取り組み ( 図 )

2

シェイクイット! ダイエットプロテインシェイク ( シリアルフレーバー ) [ID 201-JP] 15,000 ( 税込 ) 植物性タンパク質を主原料に グルコマンナン 穀物 ビタミン ミネラル 乳酸菌などを含む 栄養の偏りがちな現代人におすすめの栄養補助食品です ダイエットのために 1 食分の置

学校給食摂取基準の活用 学校給食摂取基準は全国平均を示したものであるから その考え方を踏まえた上で 各学校の実態に応じた摂取基準 ( 給与栄養目標量 ) 作成する必要がある EER 算出シートに数字を打ち込めば EER( 推定エネルギー必要量 ) は算出できるが 専門職 ( 管理栄養士 栄養士 )

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目次 1, 研究背景 1-1, ダイエッに対する関心 1-2, 現代の食生活の問題 2, 肥満になる原因 2-1, 肥満になるメカニズム 2-2, 原因 3, 食事パターンによる比較 3-1, 食事パターンの構造と栄養素等の摂取状況の研究 4, 研究目的と分析手順 4-1, データ概要 4-2, 用

できるようにするため 現行の規制を見直すことが必要となる の記述は 2 つのクラスの食品に言及していると考えられる 一つは 栄養成分は 原材料の製造場所や収穫時期等の違いにより 同様のサンプルであっても 含有量のばらつきが大きく 個体差の大きい食品などでは誤差が許容範囲に収まることが困難な場合もある

2 夜食 毎日夜食をとっている者は では 22.5%( 平成 23 年 23.9%) であり で % と割合が高い では 18.3%( 平成 23 年 25.2%) であり 40 歳代で割合が高い 図 夜食の喫食状況 (15 歳以上 性別 年齢階級別 )

ウ食事で摂る食材の種類別頻度野菜 きのこ 海藻 牛乳 乳製品 果物を摂る回数が大きく異なる 例えば 野菜を一週間に 14 回以上 (1 日に2 回以上 ) 摂る人の割合が 20 代で 32% 30 代で 31% 40 代で 38% であるのに対して 65 歳以上 75 歳未満では 60% 75 歳以

健康くるめ21概要

Q ふだん どんな食事を食べていますか? よく食べる料理は? あまり食べない料理は? よく食べる料理に をつけてみましょう 副菜 野菜やいも 海藻などを主な材料とした料理主食や主菜で不足する栄養面の補強をし 食事に味や彩りなどの多様さをもたらす 主菜 魚や肉 卵や大豆などを主な材料とした料理副食の中

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特定健康診査等実施計画 ( 第二期 ) 三重交通健康保険組合 平成 25 年 7 月

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特定健診の受診率は毎年上昇しており 平成 28 年度は県平均よりも 7% 高い状況 となっていますが 国が示す目標値 60% を達成するには更なる工夫や PR が必要とな っています 長与町国保の医療費は平成 25 年度から上昇していましたが 平成 28 年度は前年度より約 3 億円減少し 1 人当

経管栄養食 アイソカル RTU アイソカルプラス EX ネスレヘルスサイエンス ネスレヘルスサイエンス 1.0kcal/ml の流動食さらにやさしく より確かな安全を 1.5kcal/ml の高濃度流動食 アルギニン配合 アイソカルプラス アイソカル 1K ネスレヘルスサイエンス ネスレヘルスサイエ

結果の概要 1 栄養 食生活に関する状況 (1) 野菜の摂取状況 20 歳以上における 1 日の野菜摂取量の平均値は 288.1g 性別にみると男性 297.1g 女性 281.1g 年齢階級別にみると 男女ともに 40 歳代で最も少ない 図 1 野菜摂取量の平均値 (20 歳以上 性 年齢階級別

結果の概要

2 11. 脂肪 蓄 必 12. 競技 引退 食事 気 使 13. 日 練習内容 食事内容 量 気 使 14. 競技 目標 達成 多少身体 無理 食事 仕方 15. 摂取 16. 以外 摂取 17. 自身 一日 摂取 量 把握 18. 一般男性 ( 性. 一日 必要 摂取 把握 19. 既往歴 図

特定健康診査等実施計画 ( 第 2 期 ) ベルシステム 24 健康保険組合 平成 25 年 3 月 1 日

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特定健康診査等実施計画 東京スター銀行健康保険組合 平成 25 年 4 月

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学校給食摂取基準の策定について(報告)

「健康寿命」の伸長には若い頃からの健康改善が重要~2012年「健康寿命」の公表について考える

記 第 1 平成 13 年通知の 第 1 栄養機能食品の取扱いについて の一部を次の ように改正する 2の表を次のように改める ( ミネラル類 ) 亜鉛 カルシウム 鉄 銅 マグネシウム 上限値 15mg 600mg 10mg 6mg 300mg 下限値 2.10mg 210mg 2.25mg 0.

計画改訂の趣旨 社会構造が大きく変化し 少子高齢化が進む中 生活環境の改善や医療の進歩などにより 平均寿命が延びている一方で 肥満や糖尿病などの生活習慣病が増加しており 健康づくりや疾病予防の重要性はますます高まっています 子どもから高齢者まで すべての県民が 健やかな生活をおくるために ヘルスプロ

学校給食実施基準施行通知

平成 29 年度 消費者の意識に関する調査 結果報告書 食品ロス削減の周知及び実践状況に関する調査 平成 30 年 3 月 消費者庁消費者政策課

調書のの見方 新規 新規事業の実施 現行どおり 事業をする 充実 事業の充実 強化を図る 改善 事業の見直し 改善を図る 縮小 事業規模を縮小する 廃止 事業を廃止する 2

栄養表示 - 一般市民向けよくある質問 A. 改訂規則および栄養表示の枠組み B. 栄養表示 C. 栄養素情報 D. 栄養強調表示 A) 改訂規則および栄養表示の枠組み Q1. 食品および薬品 ( 成分および表示 )( 改訂 : 栄養表示および栄養強調表示の規定 ) 2008 年度規則 ( 改訂規則

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参考資料 1 現在の栄養表示制度並びに 栄養表示の義務化に向けた検討の背景 平成 24 年 1 月消費者庁食品表示課

目次 < 栄養表示の特徴 > 栄養表示の特徴 1 < 健康 栄養政策と栄養表示の関係 > 健康 栄養政策と栄養表示基準 2 健康 栄養政策と栄養表示 3 健康 栄養政策と栄養表示の関係 4 21 世紀における国民健康づくり運動 ( 健康日本 21) の具体的な推進について 5 < 栄養表示の重要性の増大 > 過去 10 年に及ぶ 健康日本 21 の 栄養 食生活 における具体的な目標の評価 6 < 消費者の健康意識の高まり> 消費者の健康意識の高まり 7 栄養表示の利用率の増加 8 < 栄養表示を義務化する諸外国の状況 > 栄養表示を義務化する諸外国の状況 9 世界における健康 栄養政策と栄養表示の位置づけ 10 コーデックスにおける栄養表示に関する議論 11

栄養表示の特徴 栄養の可視化 を進めるツール 栄養表示は 消費者の目に触れることのない食品に含まれる栄養成分の構成などの情報を消費者に届けるもの また その食品が人体の中でどのように役立つかについて 消費者が理解できるようにするもの 参考となる目安量を示すものであり 長期間にわたり活用するもの 消費者にとって 健康で栄養バランスのとれた食生活を実現させるためには 個々の食品に含まれる栄養成分の量を知るだけでなく 一食分の栄養成分の摂取量の総和や 長期間にわたる摂取量の蓄積量を知ることに大きな意義がある 多くの食品につけられるべきもの生鮮食品や直接販売される惣菜 弁当 外食で提供される食事など 通常は包装されていない食品についても 消費者の食生活の改善に資するためには 栄養に関する情報が積極的に情報提供されるべきである 食品に含まれる栄養成分の含有量にはそもそも幅があるもの製造場所や季節によって栄養成分の含有量に差が生じることを回避することはできず 特に 生鮮食品や惣菜などでは 個体差もより大きくなる 栄養表示の義務化と普及啓発はセットで推進すべきもの消費者が栄養表示を商品選択や食生活の実践に役立てていくためには 食生活への関心が無い消費者や 自ら食生活 に関心は持っているものの十分に情報をいかしきれていない消費者が 栄養表示に関心を持ち その内容を理解し 適切な食生活の実践のための活用が図られるよう 普及啓発をあわせて進めることが重要である 活用が図られるようある 1

健康 栄養政策と栄養表示基準 健康増進法では 厚生労働省において進められる健康 栄養政策と 消費者庁において進める栄養表示政策とは 整合性がとられる仕組みとなっている 健康増進法施行規則 ( 厚生労働省令 ) ( 健康増進法第 30 条の 2 に基づく ) 国民の栄養摂取の状況からみてその欠乏 過剰な摂取が国民の健康の保持増進に影響を与えている栄養素を定める 内閣府令 ( 健康増進法第 31 条に基づく ) 健康増進法施行規則に定められた栄養素のうち正確な情報伝達が必要な栄養成分を定める 食事摂取基準 ( 厚生労働省告示 ) 健康増進法施行規則に定められた各栄養素につき 摂取量の基準を定める 健康 栄養政策と栄養表示政策との調整 栄養表示基準 ( 消費者庁告示 ) 1 健康増進法施行規則に定められた栄養素の中から 必要な栄養成分を選択し その量に関し表示すべき事項及び表示の方法を定める 2 内閣府令に定められた栄養成分について 補給 適切な摂取ができる旨を表示する際の遵守事項を定める 2

健康 栄養政策と栄養表示 栄養表示基準において表示の基準が定められている栄養成分は 食事摂取基準において摂取量表準養成分準摂の基準が定められている栄養素である 食事摂取基準において摂取量の基準が定められている栄養素 たんぱく質 欠乏が健康の保持増進に影響を与えるもの 過剰な摂取が健康の保持増進に影響を与えるもの 熱量 n-6 系脂肪酸 n-3 系脂肪酸脂質 飽和脂肪酸 コレステロール 炭水化物 食物繊維 糖類 ( 単糖類又は二糖類であって 糖アルコールでないものに限る ) ビタミンA ビタミンD ビタミンE ビタミンK ビタミンB 1 ビタミン B 2 ナイアシン ビタミン B 6 ビタミン B 12 葉酸 パントテン酸 ビオチン ビタミンC カリウム カルシウム マグネシウム リン 鉄 亜鉛 銅 マンガン ヨウ素 セレン クロム モリブデン ナトリウム 栄養表示基準において表示の基準が定められている栄養成分 栄養表示基準に含有量表示を定めている栄養成分 補給ができる旨 の基準を定めている栄養成分 適切な摂取ができる旨 の基準を定めている栄養成分 3

健康 栄養政策と栄養表示の関係 栄養成分表示検討会において 栄養表示は健康栄養表示は健康 栄養政策と連動して検討すべきとされ栄養政策と連動して検討すべきとされ 特に 健康日本 21 や 食生活指針 諸外国の健康 栄養政策を参考に再検討されたところ 第 5 回 栄養成分表示検討会 厚生労働省資料 我が国の健康 栄養政策のねらいと内容 より改変 背景 目的 内容 健康日本 21 の推進 ( 平成 12~24 年度 ) 食生活指針 ( 平成 12 年 ) がん 心疾患 脳卒中 糖尿病等の生活習慣病の増加が深刻な問題となってきており これらの発症に栄養 食生活の関連がみられるものも多い 21 世紀の我が国を すべての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会とするため 壮年期死亡の減少 健康寿命の延伸 生活の質の向上 を実現 基本方針 (1) 一次予防の重視 (2) 健康増進支援のための環境整備 (3) 目標等の設定と評価 (4) 多様な関係者による連携のとれた効果的な健康増進の取組の推進 対象分野 栄養 食生活 分野 1 栄養 食生活 2 身体活動 運動 3 休養 こころの健康づくり 4たばこ 5アルコール 6 歯の健康 7 糖尿病 8 循環器病 9がん における目標 ( 一例 ) 1 適正体重を維持している人の増加 2 脂肪エネルギー比率の減少 3 食塩摂取量の減少 9 外食や食品を購入する時に栄養成分表示を参考にする人の増加 がん 心臓病 糖尿病などの生活習慣病が健康問題として大きな課題となっており その予防のために食生活の改善はますます重要となっている 国民の健康の増進 生活の質 (QOL) の向上及び食料の安定供給の確保を図るため 文部省 厚生省及び農林水産省 ( 当時 ) は連携して 10 項目からなる 食生活指針 を策定 あわせて各項目ごとにその実践のために取り組むべき具体的内容を規定 食事を楽しみましょう 1 日の食事のリズムから 健やかな生活リズムを 主食 主菜 副菜を基本に 食事のバランスを ごはんなどの穀類をしっかりと 野菜 果物 牛乳 乳製品 豆類 魚なども組み合わせて 食塩や脂肪は控えめに 栄養成分表示を見て 食品や外食を選ぶ習慣を身につけることを位置づけ 適正体重を知り 日々の活動に見合った食事量を 食文化や地域の産物を活かし ときには新しい料理も 調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なく 自分の食生活を見直してみましょう < 食生活指針の推進について ( 平成 12 年 3 月閣議決定 )> 食生活改善分野における推進ア適正な栄養 食生活に関する知識の普及イ健康で主体的な食習慣の形成を目指した働きかけウ地域や, 各ライフステージの特徴に応じた栄養教育の展開エ栄養成分表示の普及をはじめとした食環境の整備 4

21 世紀における国民健康づくり運動 ( 健康日本 21) の具体的な推進について 国民の主体的な健康づくりを推進するために 具体的な推進方策及び目標等が定められており 運動の推進に当たっては 国 地方公共団体 各種健康関連団体等が連携し 健康づくりのための事業が一体的かつ効果的に実施されるよう 環境整備等が図られている 期間 平成 12~24 年度 具体的な指標 適正体重を維持している人の増加 成人の肥満者(BMI 25.0) の減少 [ 肥満者等の割合 ] ( 一部抜粋 ) 目標値 : 20~60 歳代男性 15% 以下 関係者 40~60 歳代女性 20% 以下 21 世紀における国民健康づくり運動基準値 : 20~60 歳代男性 24.3% ( 健康日本 21) の推進に当たっては 地方公共団体 40~60 歳代女性 25.2% ( 平成 9 年国民栄養調査 ( 地域住民の健康づくり対策について ) 20 歳代女性のやせの者 (BMI<18.5) の減少中核的な役割を担う ) 目標値 : 15% 以下 医療保険者基準値 : 23.3%( 平成 9 年国民栄養調査 ) 保健医療機関 教育関係機関 マスコミ 企業 ボランティア団体等の広く健康づくりに関連する団体等が連携し 継続的かつ協調のとれた取組を進める 脂肪エネルギー比率の減少 [1 日当たりの平均摂取比率 ] 食塩摂取量の減少 [1 日当たりの平均摂取量 ] 目標値 : 20~40 歳代 25% 以下基準値 : 27.1%( 平成 9 年国民栄養調査 ) 目標値 : 成人 10g 未満基準値 : 13.5g( 平成 9 年国民栄養調査 ) 外食や食品を購入する時に栄養目標値 : 男性 (20~69 歳 ) 30% 以上 成分表示を参考にする人の増加女性 (20~69 歳 ) 55% 以上 [ 参考にする人の割合 ] 基準値 : 男性 20.1% 女性 41.0% ( 平成 12 年国民栄養調査 ) 5

過去 10 年に及ぶ 健康日本 21 の 栄養 食生活 における具体的な目標の評価 適正体重を維持している人の増加や 脂肪エネルギー比率の減少については 20~30 歳代へのアプローチが必要 食塩摂取量の減少については 個人の努力だけでは限界があることから栄養成分表示の義務化や環境介入が必要 適正体重を維持している人の増加脂肪エネルギー比率の減少 (%) (%) ( 肥満者等の割合 ) 一部抜粋 (1 日当たりの平均摂取比率 ) (g) 35 20~60 歳代男性 30 15 31.7 肥満者 15% 以下 29.0 30 27.1 20 歳代女性 26.7 27.1 24.3 24.6 やせの者 15% 以下 10 25 25.2 21.8 23.3 21.4 22.3 25 20 40~60 歳代 25% 以下 5 女性肥満者 20% 以下 15 食塩摂取量の減少 (1 日当たりの平均摂取量 ) 13.5 11.2 10.7 10g 以下 10 20 0 ベースライン値中間評価直近実績値ベースライン値中間評価直近実績値ベースライン値中間評価直近実績値 ( 平成 9 年 ) ( 平成 16 年 ) ( 平成 21 年 ) ( 平成 9 年 ) ( 平成 16 年 ) ( 平成 21 年 ) ( 平成 9 年 ) ( 平成 16 年 ) ( 平成 21 年 ) 最終評価 40~60 歳代女性の肥満者の割合は目標に向けて改善 20~60 歳代男性の肥満者の割合は増加したが 平成 12 年以降の肥満者の増加傾向は それ以前の5 年間に比べ鈍化 20 歳代女性のやせの者の割合は変わらない 今後の課題及び対策の抽出 抜粋 現在の 30 歳代男性の肥満の増加割合が最も大きいため 20~30 歳代にかけて体重を増やさないためのアプローチが必要 最終評価 有意な変化は見られなかった 最終評価 有意に減少した 今後の課題及び対策の抽出今後の課題及び対策の抽出 これ以上の減少については 脂肪エネルギー比率が30% 以個人の努力だけでは限界があ上の者の割合は 男女とも20 ることから 食事内容や量の調歳代で最も高く この世代への整ができるよう栄養成分表示のアプローチが必要 義務化や 食品に含まれる食塩含有量を減らすための企業努力を促す環境介入も必要 参考 : 健康日本 21 評価作業チーム 健康日本 21 最終評価( 平成 23 年 10 月 ) 6

消費者の健康意識の高まり 栄養バランスを意識していると回答した人は全体の約 8 割を占め 年代とともに意識が高くなる傾向を示した また 男性の約 6 割 女性の約 7 割が 食習慣の改善に栄養成分表示が必要だと回答した < 栄養バランスの意識 > ( 問 ) あなたは 栄養バランスを意識して食事を摂っていますか < 食習慣改善のために必要なこと > ( 問 ) どのようなことが必要と思いますか調査対象 : 全国 18 歳以上の男女調査期間 : 平成 21 年 11 月 19 日 ( 木 )~12 月 4 日 ( 金 ) 食習慣を改善しようとする場合 どのようなことが必要と思いますか 性男性女調査方法 : 調査会社の登録モニターに対するインターネット調査回答者数 :1,820 人時間的なゆとり (77.4%) 総数 WB 51.7 32.2 12.6 3.5 (1,820 人 ) 市販食品や外食メニューの 18 歳 ~19 歳時間的なゆとり (73.5%) 21.5 45.0 24.2 9.2 栄養成分表示 (70.9%) (260 人 ) 70 学校での教育 (70.4%) 20 歳 ~29 歳 28.8 46.9 16.9 7.3 年(260 人 ) 食品メーカーからの情報提供 (67.8%) 30 歳 ~39 歳学校での教育 (66.1%) 齢38.1 42.7 15.0 (260 人 ) 4.2 40 歳 ~49 歳市販食品や外食メニューの保健所 保健センター等 行政からの保健セ 50.4 31.9 13.5 4.2 (260 人 ) 栄養成分表示 (62.1%) 情報提供 (64.7%) 50 歳 ~59 歳 53.8 30.8 13.1 2.3 食品メーカーからの情報提供スーパーマーケット コンビニエンス (260 人 ) (60.4%) 60 ストア等での情報提供 (60.9%) 60 歳 ~69 歳 71.9 18.8 7.7 1.5 (260 人 ) 保健所 保健センター等 行政 70 歳以上 70.8 20.8 7.7 0.8 からの情報提供 (58.6%) (260 人 ) スーパーマーケット コンビニエンス性ストア等での情報提供 (52.1%) 50 飲食店での情報提供 (51.4%) 男性 (910 人 ) 40.7 34.7 19.11 5.5 飲食店での情報提供 (46.4%) 別男性 (910 人 ) 女性 (910 人 ) 55.2 33.0 8.9 3.0 47.9 33.8 14.0 4.2 0% 20% 40% 60% 80% 100% 0 参考 : 単純集計 (1,820 人 ) 概ね意識している時々意識しているあまり意識していないほとんど意識していない WB( ウェイトバック ) 我が国の人口の年齢別の構成比に応じてデータに重みをつけた集計結果 参考 : 内閣府 食事に関する習慣と規範意識に関する調査報告書 40 職場での情報提供 (33.8%) 職場での情報提供 (34.2%) (%) 参考 : 厚生労働省 平成 17 年度国民健康 栄養調査 7

栄養表示の利用率の増加 2000 年からの約 10 年で 外食や食品を購入するときに栄養成分表示を参考にする人は増加している (%) 60 50 外食や食品を購入するときに栄養成分表示を参考にする人の増加 ( 厚生労働省 : 健康日本 21 より ) 41.0 55.3 女性目標 55% 以上 直近値に係るデータ分析 男性 女性ともに有意に増加した 40 30 20 女性 (20-69 歳 ) 20.1 40.44 25.0 男性目標 30% 以上 最終評価 男性は目標に向けて改善したが 目標値には目標値には達していない 女性は目標に達した 10 0 男性 (20-69 歳 ) 18.0 ベースライン値 中間評価 直近実績値 平成 12 年 平成 16 年 平成 21 年 国民栄養調査 国民健康 栄養調査 国民健康 栄養調査 今後の課題及び対策の抽出 栄養成分表示は 食事内容や量の調整に活用できることから 栄養成分表示の義務化といった環境整備を促す制度の見直しも必要である 参考 : 健康日本 21 評価作業チーム 健康日本 21 最終評価 ( 平成 23 年 10 月 ) 8

栄養表示を義務化する諸外国の状況 米国 (1994 年 ) が栄養成分表示を義務化した後 ブラジル (2001 年 ) オーストラリア ニュージーランド(2002 年 ) 台湾 (2002 年 ) カナダ(2005 年 ) 韓国(2006 年 ) 中国(2008 年 ) インド(2009 年 ) EU(2011 年義務化を公表 ) で義務化されている 栄養表示に関する世界の動向 9

世界における健康 栄養政策と栄養表示の位置づけ 世界でも科学的根拠に基づき 世界的戦略が公表され その中で表示としての役割やコ世界的戦略が公表されその中で表示としての役割やコーデックス規格を活用しても構わない旨が示されている 第 5 回 栄養成分表示検討会 世界における健康 栄養政策と栄養表示との関係 より ( 一部改変 ) 健康 栄養政策 科学的根拠 2003 年 WHO 食事 栄養及び慢性疾患の予防 2008 年 FAO/WHO 脂肪及び脂肪酸に関する合同専門家会合 2004 年 WHO 食事 運動 健康に関する世界的戦略 各栄養成分と非感染性疾患との関連 ( 根拠の強さ ) について 背景 2003 年及び2008 年に関連機関で検討が行われ とりまとめられ 増え続ける非感染性疾患は世界的に大きな負担となって た おり 予防に取り組む必要性 主なリスク因子 非健康的な食事と運動不足 対象者 集団全体 食事に関する勧告 1. エネルギーバランスと健康的な体重の維持 2. 総脂肪の摂取の制限 飽和脂肪酸の摂取から不飽和脂肪酸への切替え 及びトランス脂肪酸の排除 3. 果物 野菜 豆類 全粒穀類 ナッツ類の摂取増加 4. 遊離糖類の摂取の制限 5. 全ての摂取源からの食塩 ( ナトリウム ) について摂取の制限 及び食塩のヨウ素化を確保 表示 消費者は健康的な食品選択を行うために食品の内容について正確で 標準化され かつ理解しやすい情報を求めている 公共における健康への取組を強化させる上で コーデックス規格を活用しても構わない 栄養表示 栄養成分表示を行う場合 必ず表示すべき事項 コーデックス 栄養表示に関するガイドライン 1985 年 熱量 たんぱく質 糖質 ( 炭水化物から食物繊維を除いたもの ) 脂質 各国の法令又は食事指針による求めに応じ 良好な栄養状態を維持するのに役立つと考えられる栄養素の量 2011 年 左記の栄養成分に加え 以下を追加 総糖類 飽和脂肪酸 ナトリウム 10

コーデックスにおける栄養表示に関する議論 コーデックスにおいても WHO 食事 運動 健康に関する世界的戦略 の実行をめざし 栄養表示の義務化に関する討議が始まり 昨年までに必ず表示すべき事項が追加されるとともに 引き続き 栄養表示の義務化に関する討議等が 現在 進行中である 背景 第 28 回コーデックス総会 (CAC:2005 年 7 月 ) において 食事 運動 健康に関する世界的戦略 の実行に関連して 食品表示部会と栄養 特殊用途食品部会とで作業を進めることが決定 翌年 (2006 年 9 月 ) にCAC 文書が策定 CAC 文書を受けて作業部会が設置され 栄養表示ガイドライン及び包装食品の表示一般規格における改正の必要性と表示事項について 検討されているところ 主な議論と現状 1. 栄養表示を行う場合 必ず表示すべき事項として 熱量 たんぱく質 糖質 ( 炭水化物から食物繊維を除いたもの ) 脂質に 総糖類 飽和脂肪酸 ナトリウムが追加された (2011 年 ) 2. 栄養表示の義務化については 引き続き 検討中である 11