3. 開水路の主要な機能診断調査手法 3. 現地調査手法の検討 現地調査は 事前調査 現地踏査で得られた結果及び施設の重要度や経過年数等を踏まえ 適切な調査範囲において実施するもので 施設性能の低下状態やその要因について定量的な調査を行う 現地調査による調査結果だけでは判定できず さらに詳細な調査が必要であると判断された場合には 専門家や試験研究機関等による調査 ( 詳細調査 ) を実施する また 調査費用と求めたい結果との費用対効果についても十分検討し 例えば 小断面開水路で施設の重要度が低く 事故歴や変状が無い場合や機能診断調査を行うよりも事後保全の方が明らかに経済的と判断される場合には 現地調査の対象外とすることも検討する () 調査の留意点 ) 鉄筋 無筋コンクリート水路コンクリート水路は 躯体部分のひび割れと摩耗 不同沈下や外荷重による変形 及び目地部の劣化が多いので 調査にあたっては 躯体の一般的な劣化の他に 周辺地盤の状況や目地部の調査に注意を払うことが必要である ( 図 3- 図 3-) バレル全面 ( 側壁 底版 ) について ひび割れや剥離 析出物 欠損 構造物の変形変状を調査する 背面土の不同沈下 陥没 崩落を調べ 側壁部で打音調査と併せて空洞化の兆候を判断 不同沈下 地盤の状況は 躯体調査地点の上下流も含めて行う バレル中央部で リバウンドハンマー 中性化試験を行う 図 3- 鉄筋 無筋コンクリート水路調査のポイント () 参 -5
なお ひび割れや摩耗などの躯体の劣化は 位置によって特徴的に現れることが多いので 下図に示す位置については特に留意することが望ましい 図 3- 鉄筋 無筋コンクリート水路調査のポイント () 二次製品の場合において PC 鋼線により接続されている水路については ひび割れを許容できないことから特に注意して調査することが重要である ) 矢板水路 ( 柵きょ含む ) 矢板水路や柵きょは 鋼矢板の腐食 コンクリート矢板の劣化のほかに地盤の変状の影響が大きく 笠コンクリートや矢板の沈下 はらみ ズレ 変形 背面地盤の陥没 崩壊及び滑りなどの変状に留意して調査する必要がある ( 図 3-3) 参 -53
図 3-3 矢板水路 ( 柵きょ含む ) 調査のポイント 3) コンクリートブロック積水路 石積水路 無ライニング水路コンクリートブロック積水路 石積水路 無ライニング水路は 矢板水路 ( 柵きょ含む ) と同様に 地盤の変状の影響が大きく 笠コンクリート ブロックの剥落 沈下 はらみ ズレ 背面地盤の陥没 崩壊及び滑りなどの変状に留意して調査する ( 図 3-4) なお 石積水路では歴史的な価値がある場合があり 現状保存が要求される水路であるかどうかについて 予め把握しておく必要がある 図 3-4 コンクリートブロック積水路調査 参 -54
() 調査地点の表示現地調査 ( 定点調査 ) 地点を以後の継続調査時に現地で容易に特定できるように 以下のような方法で現地調査 ( 定点調査 ) 地点を明確にしておく 図上表示現地調査 ( 定点調査 ) 地点を平面図に記載し ( 現地調査 ( 定点調査 ) 番号 施設番号 測点等 ) 保存しておく ( 図 3-5) 図 図 3-5 現地調査 ( 定点調査 ) 図の例 マーキング調査地点が現地で確認できるように 杭 ピン ペンキ等によってマーキングする 雑草繁茂等で見通しが悪い場所では 旗など目印になるようなものを設置しておくと良い 3GPSの利用 GPSを利用した位置確認方法も有効であり ハンディタイプのものもある 4 地理情報システム (GIS) の利用 GISの整備が進んでいる地区では 現地調査 ( 定点調査 ) 位置や調査地点の写真 調査記録等をGISの属性データとして登録しておくとよい ( 図 3-6) 図 図 3-6 GIS の属性データ化の例 参 -55
(3) 性能低下要因の推定調査手法の検討にあたっては 水路形式の特徴に合わせた調査手法を選択するとともに 類似地区の事故事例や使用 劣化環境条件も参考にする必要がある 具体的には 事前調査 現地踏査で得られた資料をもとに劣化要因推定表 ( 表 3-) による主要な性能低下要因の推定を踏まえ 調査項目を設定する 表 3- 開水路の劣化要因推定表 劣化要因 内部要因コンクリート 鋼矢板 外部要因 使用 劣化環境 中性化塩害 ASR 化学的凍害疲労腐食 摩耗風化 腐食 土圧 凍上圧地下後背土水圧滑り 地盤その他底面沈下転石衝浸食突等盤膨れ 供用年数 40 年以上 0~40 年未満 施工年 986 年以前 978 年以前 鉄筋被り t<30mm 地域 塩害を起こしやすい ( 起きた ) 地域 ASRを起こしやすい ( 起きた ) 地域 3 凍害を起こしやすい ( 起きた ) 環境 4ASR 塩害複合劣化地域 5 塩害 凍害複合劣化地域 6 凍害 ASR 複合劣化地域 南向き面の部材 融雪剤 凍結防止剤の使用 供用環境 3 接水時間が長い ( 常時 ) 4 周辺に樹木等の植生あり 5 海水の流入あり 水セメント比 60% 以上 材料 海砂の使用 3 反応性材料使用 硫黄分水質 ( 温泉 ) 水質 化学工場 食品加工場等の廃液流入 3 硬度が小さい 腐食性土壌 ( 酸性土壌 ) 地下水位 ( 高い ) 土壌 地盤 3 軟弱地盤 4 片盛土区間 切盛境界 5 地山の透水性が高い 繰返荷重 自動車荷重 ( 直接 ) 自動車以外の荷重 地圧 設計荷重を大きく上回る荷重の負荷 極端な偏荷重が作用 3 過去に地震被害を受けた 摩耗条件 射流の水路 砂礫 転石の流下 関連性: 高 なし 低 無筋コンクリートの場合は劣化要因としない 986 年以降の施工の場合は劣化要因としない 注 ) 劣化要因推定表による劣化要因の推定 ( 例 ) 下表において まず対象施設の使用 劣化環境を赤枠で囲み 次に劣化要因の各列と赤枠の交点において や複数のが該当する列を青枠で囲み 関連性が高い劣化要因と評価する また や複数のがなく が該当する列にあっても 事前調査や現地踏査の結果を踏まえ 状況に応じ劣化要因と推定する 劣化要因推定表による評価 ( 例 ) 内部要因劣化要因コンクリート鋼矢板 外部要因 使用 劣化環境 中性化塩害 ASR 化学的凍害疲労腐食 摩耗風化 腐食 土圧 凍上圧地下後背土水圧滑り 地盤その他底面沈下転石衝浸食突等盤膨れ 供用年数 40 年以上 0~40 年未満 施工年 986 年以前 978 年以前 鉄筋被り t<30mm 地域 塩害を起こしやすい ( 起きた ) 地域 ASRを起こしやすい ( 起きた ) 地域 3 凍害を起こしやすい ( 起きた ) 環境 4ASR 塩害複合劣化地域 5 塩害 凍害複合劣化地域 6 凍害 ASR 複合劣化地域 南向き面の部材 融雪剤 凍結防止剤の使用 供用環境 3 接水時間が長い ( 常時 ) 4 周辺に樹木等の植生あり 5 海水の流入あり 水セメント比 60% 以上 材料 海砂の使用 3 反応性材料使用 硫黄分水質 ( 温泉 ) 水質 化学工場 食品加工場等の廃液流入 3 硬度が小さい 腐食性土壌 ( 酸性土壌 ) 地下水位 ( 高い ) 土壌 地盤 3 軟弱地盤 4 片盛土区間 切盛境界 5 地山の透水性が高い 繰返荷重 自動車荷重 ( 直接 ) 自動車以外の荷重 地圧 設計荷重を大きく上回る荷重の負荷 極端な偏荷重が作用 3 過去に地震被害を受けた 摩耗条件 射流の水路 砂礫 転石の流下 関連性: 高 なし 低 無筋コンクリートの場合は劣化要因としない 986 年以降の施工の場合は劣化要因としない 参 -56
3. 開水路の主要な機能診断調査手法 開水路の機能診断調査における主要な現地調査項目及びその内容を表 3- に示す 表 3- 標準的な現地調査項目の例 内部要因 外部要因 その他の要因 コンクリート 鋼矢板 区分 調査項目 調査手法 記録手法 ひび割れ最大幅 定量計測 ( ひび割れスケール ) 定量記録 写真記録 ひび割れ定量記録 ひび割れ延長定量計測 ( スケール ) 写真記録 ひび割れタイプ タイプ判別 浮き 目視による観察 写真記録 図化 剥離 剥落 スケーリング ポップアウト 析出物 ( エフロレッセンス ) 材料劣化 析出物 ( ゲルの滲出 ) 錆汁 変色 磨耗 風化 漏水 ( 痕跡 ) 鉄筋露出 圧縮強度 反発硬度 リバウンドハンマー 定量記録 中性化 中性化深さ / 中性化残りドリル法 鉄筋被り設計図書等 材料劣化鋼矢板の腐食目視による観察 簡易計測 変形 歪み 目視による有無有無の記録 写真簡易計測 ( 下げ振り ポール等 ) 記録 定量記録 転倒 滑動 浮上 欠損 損傷 目視による有無 不同沈下 構造物の沈下 蛇行 目視による有無有無の記録 写真簡易計測 ( 下振り ポール等 ) 記録 定量記録 側壁 法面部材のズレ 有無の記録 目視による有無緩み 欠損 消失写真記録 漏水 湧水目視による有無背面土砂吸出し スタッフ挿入等による確認写真記録 侵食 深掘れ底版 水路底 ( 必要に応じて測量 ) スケッチ 矢板の露出 目視による有無 有無の記録 写真記録 背面土の空洞化 打撃法 定量記録 有無の記録 周辺地盤の陥没 ひび割れ目視による有無地盤変形写真記録 抜け上がり 目視による有無 簡易計測 有無の記録 写真記録 定量記録 目地の開き 目視による有無 有無の記録 写真記録 段差 目地の劣化 止水板の破断 漏水痕跡 周縁コンクリートの欠損等 附帯構造物との取付境目視による有無 界部の変状 有無を目視で調査する項目で 変状が 有 の場合は 定量的な調査を行う 参 -57
() コンクリート表面の外観目視等調査方法 ) 調査方法と変状 劣化の記録ひび割れ位置やその他の表面変状は 調査物表面に直接チョークで書き込み 写真で記録しておき 写真記録と調査票から変状展開図を作成すると効率的である ( 写真 3-) チョーキング記載例 ひび割れ記載例 写真 3- 記録写真例 図 3-8 変状展開図の作図例 ) ひび割れ及びひび割れ付随物の調査 ひび割れ幅の測定 図 3-9に示すようなクラックスケール ルーペなどを用いて行う 測定単位は mm 単位とし 小数第 位まで 0.05mmきざみで測定する 図 3-9 ひび割れ幅測定器具 測定値は最大値とするが 最大幅を示すひび割れ全長のうち 僅かな一部分である場合などには適当な数箇所のひび割れ幅を測定し 記録しておく 参 -58
ひび割れ長さの測定 通常用いられるスケールなどを用いて ひび割れに沿って測定する あまり厳密にひび割れの屈曲に沿った長さの測定をする必要はない 測定単位は cm 単位とし 小数第 位まで測定する 3 その他の変状調査 その他の変状 ( エフロレッセンス ゲルの滲出 錆汁 変色 漏水 ( 痕跡 ) 鉄筋露出 目 地の劣化等 ) は 変状箇所の有無 箇所数 位置を記録する 3) 空洞化の調査 ( 水路側壁 ) 目視調査する際にハンマーなどを用いた打音法を併用することにより コンクリート表面近傍の浮き 剥離 空洞の有無をある程度把握できる 打音法はコンクリート表面をハンマーで打撃し その音質によりそれらの有無を推定する方法である 音質 カンカン キンキンなど硬い音がする ボコボコのように鈍い音がする 空洞化の可能性 空洞化は起きていない 空洞化が起きている可能性が高い 4) 構造物の変形等 構造物全体が観察できる位置から構造部位を目視し 側壁の変形 傾きや水路全体の不同沈下 蛇行の有無を確認する 変形 歪みが発生している箇所の最大量を測定 記録する ( mm単位 ) 下げ振り 水平器 メジャー 簡易な測量器具等を利用する ( 図 3-0) 図 3-0 下げ振りを用いた水路の変形測定 5) 摩耗 風化一般に 摩耗は 表面の相対運動の結果として起きる物体の操作面からの物質の逐次損失 と定義されるが 農業水利施設においては流水の作用による表面からコンクリート材料の流失が主要な現象である 参 -59
実際の農業水利施設の摩耗は 流速や土砂 礫の混入率 流下物の大きさなどによって多様な形態をとり 現象としてもエロージョン摩耗 衝撃摩耗 キャビテーションなどのほか 経年的なコンクリート表面の凍結融解や乾湿繰り返しなど水流とは直接関係のない風化作用とも関連して進行していると考えられる 一般に 農業水利施設でよく見られる摩耗のイメージを図 3- に示す 図に示すとおり 比較的流れが緩やかで土砂の混入が少ないフリューム開水路では側壁を中心として選択的な摩耗 が多く観察され 頭首工の床版やダムの越流部底版では選択的ではない摩耗が認められる 粗骨材露出 粗骨材剥離 選択的な摩耗 : フリューム開水路で多く見られる 選択的ではない摩耗 : 頭首工の堰堤で多く見られる 図 3- 農業水利施設でよく見られる摩耗のイメージ 写真 3- 開水路における選択的な摩耗 写真 3-3 頭首工の越流部での選択的ではない摩耗 ここでいう選択的な摩耗とは 施設の構成材料がコンクリートであった場合 その摩耗現象は比較的脆弱なモルタルで顕著となり 粗骨材が露出する状態をいう 参 -60
また 農業水利施設 ( コンクリート構造物 ) に対する摩耗 風化の影響は 構造性能に影響 を与える断面の損耗 と 水理性能に影響を及ぼす表面の粗度 に大別される このうち 摩耗 風化が 構造性能 に与える影響としては以下のことが挙げられる 表面部のコンクリートが消失または粗になることで かぶりコンクリートの耐久性が低下し 内部鉄筋の腐食が進みやすくなる 表面部のコンクリートが消失または粗になることで 部材厚が薄くなり 構造体として耐荷性が低下する 摩耗 風化のうち 選択的な摩耗については 細骨材の流出と粗骨材の露出の形態になる ( 写真 3-4) また 粗骨材の露出後は 一般に摩耗の進行速度が遅くなり 骨材の剥離に至る例は少なく 通常のかぶりコンクリートが確保されていれば 選択的な摩耗によってコンクリートの耐久性 耐荷性が極端に低下することはない しかし 施工によりコンクリートのかぶりがもともと小さい場合には これらの摩耗が直接 内部鉄筋の腐食の原因になることもあるため 注意を要す る 写真 3-4 摩耗による鉄筋の露出 一方 摩耗 風化が 水理性能 に与える影響としては 表面の凹凸が生じることによる粗度の上昇とこれによる 通水性の低下 が挙げられる これらの問題については 近年 現場でのコンクリート開水路の表面の凹凸と粗度の関係に関する研究が多く実施されている このなか 水路表面の形状から粗度を算定する手法や水路表面状態を段階的に区分し これらの変化の経年予測手法などが明らかにされている しかし 一方で 摩耗 風化による粗度の上昇が現場の通水性能に影響を与えている状況や機構については 未だ明らかになっておらず 今後の検討が期待され かつ 現状では総合的な判断が必要な事項となっている 参 -6
5) リバウンドハンマーによる圧縮強度試験コンクリートの表面をリバウンドハンマーによって打撃し その反発硬度から圧縮強度を求める方法である リバウンドハンマーの調査位置は 左右側壁 箇所について行い 箇所あたり9 点の測定値の平均を求める (JIS A 55)( 図 3-) なお リバウンドハンマーによる圧縮強度は ハンマー角度 コンクリート表面の乾湿を考慮して補正する必要がある 概ねバレル中央付近とする リバウンドハンマー調査位置 ( 水位の上の位置 ) H 最多頻度水位.5~5cm リバウンドハンマー調査位置拡大図 5cm 5cm マス目を 3 3=9 点打撃する 打撃点を最低.5~5cm 離す必要があるため 安全を見て 5cm 間隔とする 図 3- 開水路におけるリバウンドハンマー調査位置 リバウンドハンマーによる調査の留意点は以下のとおりである 表面処理付着物があるような場合には砥石等を用いてこれらを除去する 測定 箇所につき9 回打撃を行うものとし同一点は打撃しない 打撃は 測定器を測定面に対して垂直に配置し ゆっくり壁面に押し付けるようにして打撃する 3 特異値の除外 平均反発度の算定記録紙から測定値を読み取り 反響やくぼみ具合などから判断して明らかに異常と認められる値 または その偏差が平均値の0% 以上になる値であれば その反発度を捨て これに変わる測定値を補うものとする 反発度は有効な9 個の測定値から計算した平均値とする 4 強度の推定現地調査後に反発度を集計し 角度補正 乾湿状態に応じた補正を行い 換算式により推定強度を求める F=.7 (R+R+R)-8.0 ここに F : 推定強度 (N/mm) R : 平均反発度 ( 有効反発度の平均値 ) R: 打撃角度による補正値 R: コンクリート表面の乾湿による補正値 参 -6
各補正係数 補正値は以下のように求める なお 材齢補正は行わない R 角度補正打撃角度 (α) が水平でない場合 平均反発度 (R) に角度補正値 (R) を加える 表 3-4 打撃角度による補正値 (R) 平均反発度 (R) 打撃角度 (α) +90 +45 ±0-45 -90 備考 0 - - - +.4 +3. 0-5.4-3.5 - +.5 +3.4 30-4.7-3. - +.3 +3. 40-3.9 -.6 - +.0 +.7 50-3. -. - +.5 +. 60 -.3 -.6 - +.3 +.7 なお 使用機材のマニュアル等に補正係数が示されている場合はこれを用いる R コンクリート表面の乾湿による補正定点調査時に乾燥状態にあるコンクリート表面が得られない場合などは 打撃面の状態に応じて下表に示す補正を行う 表 3-5 コンクリート表面の乾湿による補正値 (R) 打撃面が気乾の場合打撃面が湿っており打撃の跡が黒点になる場合打撃面が濡れている場合 補正なし平均反発度 (R) に3 を加える平均反発度 (R) に 5 を加える 参 -63
6) 中性化深さドリルでコンクリートを削孔し 試薬 ( フェノールフタレインの% 溶液 ) をしみ込ませた試験紙の反応から中性化深さを測定する ( 図 3-3) 削孔径が小さいので 構造物に対する負担が少なく 非破壊検査に分類されている なお 調査実施の際には 試薬の反応速度に見合った削孔速度で行い 正確な中性化深さを確認できるように注意する 出典 : コンクリート診断技術 09( 社団法人日本コンクリート工学協会 ) 図 3-3 ドリル法による中性化試験 参 -64
3.3 開水路の機能診断調査方法の総括現地調査における機能診断調査は 施設種類 求められるデータ 精度に応じて適切な選択が必要となる コンクリート構造物に適用される機能診断手法をとりまとめたものを表 3-6~ 表 3-8 に示す なお 専門的な詳細調査を実施する場合には その目的により適切なものを選定するものとし 採用にあたっては 必要最小限とし調査費用にも十分留意する 参 -65
表 3-6 コンクリート構造物の機能診断調査方法総括表 (/3) 調査内容 検査 試験項目 検査 試験方法 調査概要 0 機能劣化度 劣化状況の 目視 コンクリート表面に顕在化した損傷の状況やコ 概要把握 記ンクリート構造物全体の変形状況 構造物周辺の 録環境状況等を目視観察や簡単な器具等を用いて 把握する. 写真撮影 コンクリート構造物の点検 調査にデジタルカメ ラを利用することにより効率化や電子ファイル 化を容易にする. Ⅰ 引張 圧縮強度 コア強度圧縮試験方法コア試料による圧縮強度試験により 構造体の強 JIS A 07,08 度を評価する. 反発 ( 硬 ) 度 法による強度推定 リバウンドハンマー 法 JIS A 55,003 コンクリートの表面をリバウンドハンマーによって打撃し その反発強度から圧縮強度を求める. Ⅱ 鉄筋腐食 3 4 5 3 4 5 局部破壊試験による強度推定 弾性係数 3 超音波パルス速度 プルオフ法 プルアウト法 ブレークオフ法 弾性係数 超音波パルス速度 コンクリート表面に鋼製ディスクを接着し, ディスク外のコンクリート表面に反力をとってディスクに接着されたコンクリートを引張破断させ, 最大引張荷重により求めたプルオフ強度から圧縮強度を推定する. コンクリート表層に埋込み具をセットし 反力リングを用いて円錐台状のコンクリートコーンを引き抜き 引き抜くのに要する最大荷重 ( 引抜き耐力 ) から圧縮強度を推定する. コンクリート表層にコアスリットを設け コア上端部を加力してコア底部を曲げ破壊させ 破壊時の曲げ折り耐力から圧縮強度を推定する. 静的載荷によって得られた応力 - 歪み曲線から求める静弾性係数とコンクリートに縦振動またはたわみ振動を与えてコンクリート中に伝播する弾性波速度から求める動弾性係数がある. 超音波伝搬速度 ( 音速 ) を求め コンクリート強度の管理および構造体コンクリートの強度推定を行う. 中性化深さ コア法中性化深さを測定し コンクリート構造物の劣化予測を行う. はつり法 3 ドリル法ドリルの削孔粉を用いて中性化深さを測定し 劣化予測を行う. 塩化物イオン含有量 鉄筋腐食量 腐食の可能性 腐食速度 ドリル法ドリル削孔粉による塩化物イオン量を測定し 塩害やアルカリ骨材反応の劣化予測を行う. 重量法 ( 塩化銀沈殿硫酸塩溶液中で, 塩化物イオンが銀イオンと反応 法 ) して生じる塩化銀 ( 沈殿物 ) の重量を測定するこ とにより 塩化物イオン量を算出する. 含有塩化物イオン量を測定し 塩害やアルカリ骨材反応の劣化予測を行う. 含有塩化物イオン量を測定し 塩害やアルカリ骨材反応の劣化予測を行う. 5 モール法指示薬としてクロム酸カリウムを用い 硝酸銀溶 3 クロム酸銀吸光光度法電位差滴定法 4 腐食面積率の算出 鉄筋重量減少率の算出 コンクリート構造物における自然電位測定方法 ( 案 ) JCSE-E60-007 分極抵抗法 液で塩化物イオンを滴定する. コンクリート中の鉄筋の腐食面積率を調べることにより 鉄筋の腐食状態を把握でき そのコンクリート構造物が保有している耐荷性能や耐久性能を評価する. コンクリート中の鉄筋の腐食面積率を調べることにより 鉄筋の腐食状態を把握でき そのコンクリート構造物が保有している耐荷性能や耐久性能を評価する. コンクリート表面で測定されたコンクリート中の鋼材の自然電位の値から 鋼材の腐食状況を推定する. コンクリート表面に当てた外部電極から内部鉄筋に微弱な電流または電位差を負荷したときに生じる電位変化量または電流変化量から 腐食速度 ( 腐食電流密度 ) と反比例の関係にある分極抵抗を求め 内部鉄筋の腐食速度を推定する. 参 -66
表 3-7 コンクリート構造物の機能診断調査方法総括表 (/3) 調査内容 検査 試験項目 検査 試験方法 Ⅱ 鉄筋腐食 腐食性評価 電気抵抗法 Ⅲ アルカリシリカ反応 6 アルカリ量 アルカリシリカ反応性 水溶性アルカリ 酸溶性アルカリ 化学法 JIS A 45 調査概要かぶりコンクリートの電気抵抗を測定することによって その腐食性および鉄筋の腐食進行のしやすさについて評価する. コンクリート中のアルカリ量を測定することによって アルカリシリカ反応の可能性を予想する. コンクリート中のアルカリ量を測定することによって アルカリシリカ反応の可能性を予想する. コンクリート用骨材のアルカリシリカ反応性を 化学的な方法によって判断する. モルタルバー法 JIS A モルタルバーの長さ変化を測定することによって 46 骨材のアルカリシリカ反応性を判定する. 3 4 迅速法 JIS A 804 促進モルタルバー法 ASTM C 60 主としてコンクリートの生産工程管理用に適用するもので モルタルバーを高温 高圧で養生し その特性の変化を測定することによって 骨材のアルカリシリカ反応性を迅速に判定する. 迅速にモルタルバーの長さ変化を測定することによって 骨材のアルカリシリカ反応性を判定する. Ⅳ Ⅴ Ⅵ コンクリートの配合 コンクリートの微細構造 コンクリートの化学成分 3 4 アルカリシリカゲルの判定 残存膨張量 ( コアの促進養生試験 ) 骨材の岩種および反応性鉱物の種類 走査型電子顕微鏡観察電子顕微鏡によりコンクリートに生じているアルカ (SEM-EDXA) リシリカゲルを 遊離石灰やエフロレッセンスと識別する. て試験する方法 ). JCI-DD 法 解放膨張率および残存膨張率を測定する ( 湿気槽に NaOHが供給される条件下で試験する方法 ). デンマーク法 解放膨張率および残存膨張率を測定する ( 外部から 3 NaClが供給される条件下で試験する方法 ). カナダ法 (NBRI 法 ) 解放膨張率および残存膨張率を測定する ( 外部から 量分析し コンクリートの配合を把握する. セメント協会法 コア試料を採取し セメント量 水量 骨材量を定 3 4 ICP を用いる方法 コア試料を採取し セメント量 水量 骨材量を ICP 装置 ( 誘導プラズマ発光分光分析装置 ) により測定を行うものである. 偏光顕微鏡観察コンクリートの劣化に関係する骨材の観察. 粉末 X 線回折 水和物 骨材などを問わず その含有鉱物の定性 定量を行う. 赤外線吸収スペクトル各種結晶における原子団の存在や 構成原子間の相分析互の結合状態を確認検討する. 走査電子顕微鏡粗骨材周囲の内部 ゲル 粗骨材の割れの観察を行 (SEM) う. 電子線マイクロアナラ X 線などでは分析が難しいアルカリ骨材反応に関連イザー (EPMA) する骨材の含有鉱物を観察する. 参 -67
調査内容 Ⅶ ひび割れ 剥離 空洞 表 3-8 コンクリート構造物の機能診断調査方法総括表 (3/3) 検査 試験項目赤外線法 検査 試験方法サーモグラフィー 調査概要物体の表面温度分布を映像として記録できる温度計装置を用い 浮き ( 剥離 ) 漏水調査等を行う. 弾性波法 3 超音波法 衝撃弾性波法 打音法 使用周波数が0kHz 以上の超音波域と呼ばれる周波数帯を主に使用し 到達時間 波形 周波数 位相などの変化を測定装置で読み取ることにより表面ひび割れ深さ内部の空隙および鉄筋および鉄筋位置を測定する. ハンマーなどによりコンクリート表面を打撃して弾性波を発生させ これを受振子で測定し ひび割れ深さおよび内部欠陥の検出. 打撃によって生じる空気振動を音響機器を使用して検出し ひび割れ 剥離 空洞を測定する. 4 アコースティックエひび割れ発生や既存ひび割れ面のこすれのような音ミッション法 (AE) 源からのAEが 対象物に設置されたAE 変換子 ( センサ ) によって検出し コンクリート構造物内部におけるひび割れ進展を空間的に調査する. 3 電磁波レーダー法 電磁波レーダー法 電磁波をコンクリート内へ放射し 躯体厚 空洞の調査を行う. Ⅷ 鉄筋 かぶり 埋設物 電磁誘導試験 電磁誘導法 鉄筋との間に発生する電磁誘導現象を利用してコンクリート中の鉄筋 埋設金属の探査を行う. Ⅸ 凍害 電磁波レーダー法 電磁波をコンクリート内へ放射し コンクリートと電気的性質の異なる物体 ( 鉄筋 埋設管 ) を検知する. JIS A 48-500 コンクリートの凍結融解作用に対する抵抗性を 供 X 線透過撮影法 構造物に対して一方からX 線を照射し 対向する裏 3 面にフィルムを配置することによって透過像を撮影し 鉄筋径 鉄筋配置 鉄筋かぶり 埋設物を把握 凍結融解試験 ( 試料作成 ) 試体を用いて凍結及び融解の急速な繰り返しによって試験する. 参 -68