は関連する学会 専門医制度と連携しており, 今後さらに拡大していきます. 日本外科学会 ( 外科専門医 ) 日本消化器外科学会 ( 消化器外科専門医 ) 消化器外科領域については, 以下の学会が 消化器外科データベース関連学会協議会 を組織して,NCD と連携する : 日本消化器外科学会, 日本肝胆

Similar documents
3. 本事業の詳細 3.1. 運営形態手術 治療に関する情報の登録は, 本事業に参加する施設の診療科でおこなわれます. 登録されたデータは一般社団法人 National Clinical Database ( 以下,NCD) 図 1 参照 がとりまとめます.NCD は下記の学会 専門医制度と連携して

資料1_事業実施計画書

手術予定登録_入力マニュアル

外科領域の専門医共通 領域講習の開催一覧 (2018 年 5 月現在 ) ( 現行制度下の外科専門医更新の研修実績としては 一律 1 回あたり 3 単位を算定します ) 開催日 主催学会 講習会名称 開催地 種別 単位 2016 年 4 月 14 日日本外科学会 特別企画 外科医に求められる医療安全

食道癌登録 入力マニュアル 一般社団法人 National Clinical Database Ver

TOHOKU UNIVERSITY HOSPITAL 今回はすこし長文です このミニコラムを読んでいただいているみなさんにとって 救命救急センターは 文字どおり 命 を救うところ という印象が強いことと思います もちろん われわれ救急医と看護師は 患者さんの救命を第一に考え どんな絶望の状況でも 他

埼玉医科大学倫理委員会

PowerPoint プレゼンテーション

岸和田徳洲会病院 当院では以下の研究に協力し情報を提供しております この研究は 国が定めた指針に基づき 対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得るかわりに 研究の目的を含む研究の実施についての情報を公開しています 研究結果は学会等で発表されることがありますが その際も個人を特定する情報は公表し

12_モニタリングの実施に関する手順書 

<4D F736F F D A835E838A F8B7982D18AC48DB85F20534F A68CEB8E9A E9A8F4390B38DCF2

( 様式 1-1) 日本専門医機構認定形成外科専門医資格更新申請書 20 年月日フリガナ 氏 名 生年月日年月日 所属施設 ( 病院 医院 ) 名 勤務先住所 連絡先 ( 電話 : - - ) ( FAX : - - ) アドレス 1: アドレス 2: 専門医登録番号 - 医籍登録番号

1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後 予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究 (JACCRO GC-07AR) という臨床研究について説明したものです この文書と私の説明のな かで わかりにくいと

【押印あり】日本医学会宛

Microsoft Word - JONIE-TR 患者説明書.docx

課題名

岩手医科大学医学部及び附属病院における人を対象とする医学系研究に係るモニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学医学部及び附属病院における 人を対象とする医学系研究に係る モニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学 第 1.0 版平成 29 年 10 月 1 日

料 情報の提供に関する記録 を作成する方法 ( 作成する時期 記録の媒体 作成する研究者等の氏名 別に作成する書類による代用の有無等 ) 及び保管する方法 ( 場所 第 12 の1⑴の解説 5に規定する提供元の機関における義務 8 個人情報等の取扱い ( 匿名化する場合にはその方法等を含む ) 9

5. 診療科名他の情報と診療科名を照合することにより患者が特定され得る場合, 診療科名は記載しない. 6. 患者が診断 治療を受けた施設名等既に他院などで診断 治療を受けている場合, その施設名ならびに所在地を記載しない. 但し, 救急医療などで搬送元の記載が不可欠の場合はこの限りではない. 7.

<4D F736F F D20819B8CA48B868C7689E68F D A8CA9967B5F E646F63>

1. 概要 2010 年 12 月から開始された群馬大学医学部附属病院第二外科の腹腔鏡下肝切除術において, 複数の死亡例があることが判明した 本院医療安全管理部による予備調査では,2014 年 6 月までに実施された 92 例の腹腔鏡下肝切除術のうち,58 例が保険適用外の疑いがあり, その内の 8

する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には

(目的)

同意説明文書(見本)

8 整形外科 骨肉腫 9 脳神経外科 8 0 皮膚科 皮膚腫瘍 初発中枢神経系原発悪性リンパ腫 神経膠腫 脳腫瘍 膠芽腫 頭蓋内原発胚細胞腫 膠芽腫 小児神経膠腫 /4 別紙 5( 臨床試験 治験 )

付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房 全体

6. 研究が終わった後 血液を他の研究に使わせてください 詳しくは ページへ 病には未解決の部分がまだ多く残っています 今後のさらなる研究のため ご協力をお願いいたします ( 必要に応じて ) バンク事業へのご協力をお願いします 遺伝子を扱う研究を推進するため 多くの人の遺伝子の情報を集めて研究に使

蘇生をしない指示(DNR)に関する指針

大阪赤十字病院麻酔科専門研修プログラム (2019 年度 ) 1. 専門医制度の理念と専門医の使命 1 麻酔科専門医制度の理念麻酔科専門医制度は, 周術期の患者の生体管理を中心としながら, 救急医療や集中治療における生体管理, 種々の疾病および手術を起因とする疼痛 緩和医療などの領域において, 患者

3. 対象となる NCD データ NCD に登録された全てのデータを対象とします. ただし, データは, 申請 採択された 項目を NCD でリスク調整した形で提供されます. 4. 応募資格対象となるのは, 日本外科学会, 及び 消化器外科データベース関連学会協議会 に参加する学会又は研究会 ( 日

小児外科学 (-Pediatric Surgery-) Ⅰ 教育の基本方針小児外科は 子供 (16 歳未満 ) の一般外科と消化器外科を扱う科です 消化器 一般外科学並びに小児外科学に対する基礎医学から臨床にわたる幅広い知識をあらゆる診断 治療技術を習得し 高い技術力と探究心及び倫理観を兼ね備えた小

付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房

研修プログラム モデル例

ただし 対象となることを希望されないご連絡が 2016 年 5 月 31 日以降にな った場合には 研究に使用される可能性があることをご了承ください 研究期間 研究を行う期間は医学部長承認日より 2019 年 3 月 31 日までです 研究に用いる試料 情報の項目群馬大学医学部附属病院産科婦人科で行

<4D F736F F D208DB289EA8CA788E397C3835A E815B8D4490B68AD98A4F89C850478DFB8E712E646F6378>

<4D F736F F D EA94CA8ED C93FA967B945D905F8C6F8A4F89C88A7789EF B835E B83588CA48B868E968BC D905


最終.indd

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

診療情報を利用した臨床研究について 虎の門病院肝臓内科では 以下の臨床研究を実施しております この研究は 通常の診療で得られた記録をまとめるものです この案内をお読みになり ご自身がこの研究の対象者にあたると思われる方の中で ご質問がある場合 またはこの研究に 自分の診療情報を使ってほしくない とお

水光No49 最終.indd

Microsoft PowerPoint _manual.ppt

Microsoft Word - HP用 同意書・説明書 130121

手順書03

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

研修・関連施設のWEB申請・

I

病理剖検登録の手引き_剖検情報

Vol 夏号 最先端の腹腔鏡下手術を本格導入 東海中央病院では 平成25年1月から 胃癌 大腸癌に対する腹腔鏡下手術を本格導入しており 術後の合併症もなく 早期の退院が可能となっています 4月からは 内視鏡外科技術認定資格を有する 日比健志消化器外科部長が赴任し 通常の腹腔 鏡下手術に

血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 に関する説明書 一般財団法人脳神経疾患研究所先端医療研究センター 所属長衞藤義勝 この説明書は 血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 の内容について説明したものです この研究についてご理解 ご賛同いただける場合は, 被

がん登録実務について

PowerPoint プレゼンテーション

る として 平成 20 年 12 月に公表された 規制改革推進のための第 3 次答申 において 医療機器開発の円滑化の観点から 薬事法の適用範囲の明確化を図るためのガイドラインを作成すべきであると提言したところである 今般 薬事法の適用に関する判断の透明性 予見可能性の向上を図るため 臨床研究におい

PowerPoint プレゼンテーション

新規文書1

研究課題名 臨床研究実施計画書 研究責任者 : 独立行政法人地域医療推進機構群馬中央病院 群馬県前橋市紅雲町 1 丁目 7 番 13 号 Tel: ( 内線 )Fax: 臨床研究期間 : 年月 ~ 年月 作成日 : 年月日 ( 第 版

JED 参加申込みまでの フローチャート

北里大学病院モニタリング 監査 調査の受け入れ標準業務手順 ( 製造販売後臨床試験 ) 第 1 条 ( 目的 ) 本手順書は 北里大学病院において製造販売後臨床試験 ( 以下 試験とする ) 依頼者 ( 試験依頼者が業務を委託した者を含む 以下同じ ) が実施する直接閲覧を伴うモニタリング ( 以下

Ⅰ バイタルリンク 利用申込書 ( 様式 1-1)( 様式 ) の手続 バイタルリンク を利用する者 ( 以下 システム利用者 という ) は 小松島市医師会長宛に あらかじ め次の手順による手続きが必要になります 新規登録手続の手順 1 <システム利用者 ( 医療 介護事業者 )>

今回から電子申請システムを 利用することとなる手続き

サマリー記載について

<4D F736F F D208B9E937391E693F190D48F5C8E9A A4F89C890EA96E58CA48F D834F F E646F6378>

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専

Microsoft Word NTT関東病院研修プログラム.docx

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73>

メールアドレスから作成される匿名化された ( ハッシュ とも呼ばれる) 文字列は 訪問者が?Gravatar? サービスを使用中かどうか確認するため同サービスに提供されることがありま同サービスのプライバシーポリシーを確認する場合は こちらをクリックしてください 利用目的について 荒し対

日本内科学会雑誌第101巻第11号

Microsoft PowerPoint - 薬物療法専門薬剤師制度_症例サマリー例_HP掲載用.pptx

拍, 血圧等 ) を, ユーザー本人または当社の提携先からと提携先などとの間でなされたユーザーの個人情報を含む取引記録や, 決済に関する情報を当社の提携先 ( 情報提供元, 広告主, 広告配信先などを含みます 以下, 提携先 といいます ) などから収集することがあります 4. 当社は, ユーザーが

NCDデータを用いた全国消化器外科領域内視鏡手術の現況に関する調査結果(速報)

日本泌尿器科学会「Myweb」会員専用ページ【管理画面】操作マニュアル(初版)

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73>

2-3. 上記 2-2 以外の利用目的は以下の通りです 利用目的対応する利用者情報の項目 (1) 当社のサービスに関連して 個人を識別できない 端末情報形式に加工した統計データを作成するため ログ情報 Cookie 及び匿名 ID 位置情報 (2) 当社又は第三者の広告の配信又は表示のため 端末情報

2017年度患者さん満足度調査結果(入院)

臨床研究許可申請書の提出に際しての留意事項

( 様式第 6) 病院の管理及び運営に関する諸記録の閲覧方法に関する書類 病院の管理及び運営に関する諸記録の閲覧方法 計画 現状の別 1. 計画 2. 現状 閲 覧 責 任 者 氏 名 閲 覧 担 当 者 氏 名 閲覧の求めに応じる場所 閲覧の手続の概要 ( 注 ) 既に医療法施行規則第 9 条の

臨床研究に関する研修会1

Microsoft Word _発刊にあたって.doc

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

履修案内 平成 25(2013) 年度 千葉大学医学部

研修プログラム 1

医療事故防止対策に関するワーキング・グループにおいて、下記の点につき協議検討する

説明文書作成上の留意点

医療事故調査・支援センター~センターの役割と手引~

スライド 1

研修プログラム モデル例

27 年度調査結果 ( 入院部門 ) 表 1 入院されている診療科についてお教えください 度数パーセント有効パーセント累積パーセント 有効 内科 循環器内科 神経内科 緩和ケア内科

< A815B B83578D E9197BF5F906697C38B40945C F92F18B9F91CC90A72E786C73>

がんの診療の流れ この図は がんの 受診 から 経過観察 への流れです 大まかでも 流れがみえると心にゆとりが生まれます ゆとりは 医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう あなたらしく過ごすためにお役立てください がんの疑い 体調がおかしいな と思ったまま 放っておかないでください な

3) 好生館研修プログラム : 初期臨床研修スケジュール ( 例 ) 4) 臨床研修を行う分野並びに当該分野ごとの研修期間及び臨床研修病院又は臨床研修協力施設 臨床研修を行う分野 病院又は施設の名称 研修期間 *1 内科 佐賀県医療センター好生館 6ケ月 救命救急センター 佐賀県医療センター好生館

平成 26 年度厚生労働科学研究費補助金地域医療基盤開発推進研究事業診療行為に関連した死亡の調査の手法に関する研究班議論の整理 研究代表者全日本病院協会会長西澤寬俊 Ⅰ. 議論の経過 1. 研究班開催の趣旨 平成 26 年 6 月に 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( / ) 上記外来の名称 ストマ外来 対象となるストーマの種類 コロストーマとウロストーマ 4 大腸がん 腎がん 膀胱がん ストーマ管理 ( 腎ろう, 膀胱ろう含む ) ろう孔管理 (PEG 含む ) 尿失禁の管理 ストーマ外

個人情報の取り扱いについて 公益財団法人岩手県予防医学協会 個人情報保護管理責任者常務理事 公益財団法人岩手県予防医学協会 ( 以下 協会 という ) は 健康診断等で取得した個人情報 を協会の個人情報保護基本規程に従って適正に管理し 以下のとおりお取り扱いさせていただき ますので 個人情報の提供

症候性サーベイランス実施 手順書 インフルエンザ様症候性サーベイランス 編 平成 28 年 5 月 26 日 群馬県感染症対策連絡協議会 ICN 分科会サーベイランスチーム作成

H1

3 医療安全管理委員会病院長のもと 国府台病院における医療事故防止対策 発生した医療事故について速やかに適切な対応を図るための審議は 医療安全管理委員会において行うものとする リスクの把握 分析 改善 評価にあたっては 個人ではなく システムの問題としてとらえ 医療安全管理委員会を中心として 国府台

訪問審査当日の進行表 審査体制区分 1: 主機能のみ < 訪問 2 日目 > 時間 内容 8:50~9:00 10 分程度休憩を入れる可能性があります 9:00~10:30 薬剤部門 臨床検査部門 画像診断部門 地域医療連携室 相談室 リハビリテーション部門 医療機器管理部門 中央滅菌材料部門 =

申請の際に必要な情報 Webにてご申請の際 以下の情報が必要となります 日本循環器学会の会員番号ログインの際併せて必要となるパスワードは システム上で新規に発行します 医籍情報 医籍番号 医籍登録年月日 医籍情報は一度登録すると変更できませんのでご注意下さい 基本領域資格情報 資格名称 ( 総合内科

<4D F736F F F696E74202D208E9197BF B9957B8CA78BA68B6389EF B83678C8B89CA82BD82CE82B188C432>

2009年8月17日

Transcription:

資料 1 事業実施計画書 ( 事業実施計画書第 3.2 版平成 30 年 3 月 26 日更新 ) 事業実施計画書 平成 30 年 3 月 26 日 一般社団法人 National Clinical Database 100-0005 東京都千代田区丸の内 1-8-3 丸の内トラストタワー本館 20 階 1. 事業の名称 一般社団法人 National Clinical Database における手術 治療情報データベース事業 2. 本事業の目的と概要本事業は, 日本全国の手術 治療情報を登録し, 集計 分析することで医療の質の向上に役立て, 患者さんに最善の医療を提供することを目指すプロジェクトです. 本事業で集められたデータを分析することで以下のことを明らかにすることができます. 手術や治療を行っている施設診療科の特徴 医療水準の評価 適正な専門医の配置 手術や治療を受けた方の予後 これから手術や治療を受ける方の死亡 合併症の危険性, などこれにより, 各診療科は自診療科の特徴や課題をはっきりと理解した上で, 改善にとりくむことができます. そして, 診療科, 施設単位だけでなく, 地域レベル, 全国レベルで医療の水準を明らかにして, 地域単位, 国単位で比較することもできるようになります. また, 手術や治療にともなうリスクを理解した上で, 患者さんやご家族とともに手術 治療の方針を決定することができるようになります. さらに, 全国の皆様が安心して手術 治療を受けられるようにするため, よりよい専門医制度のあり方を検証するための基礎資料ともなります. 加えて, さまざまな研究と連携して運営することで, 臨床現場がさらに充実した医療を提供できるようとりくむ手助けをすることができます. 3. 本事業の詳細 3.1. 運営形態手術 治療に関する情報の登録は, 本事業に参加する施設の診療科で行われます. 登録されたデータは一般社団法人 National Clinical Database( 以下,NCD) 図 1 参照 がとりまとめます. 下記の通り,NCD 1 / 9

は関連する学会 専門医制度と連携しており, 今後さらに拡大していきます. 日本外科学会 ( 外科専門医 ) 日本消化器外科学会 ( 消化器外科専門医 ) 消化器外科領域については, 以下の学会が 消化器外科データベース関連学会協議会 を組織して,NCD と連携する : 日本消化器外科学会, 日本肝胆膵外科学会, 日本食道学会, 日本胃癌学会, 大腸癌研究会, 日本肝癌研究会, 日本膵臓学会, 日本内視鏡外科学会, 日本腹部救急医学会, 肝臓内視鏡外科研究会, 膵臓内視鏡外科研究会, 日本肝移植研究会, 日本ヘルニア学会, 日本肥満症治療学会 日本小児外科学会 ( 小児外科専門医 ) 日本血管外科学会, 日本心臓血管外科学会, 日本胸部外科学会 ( 心臓血管外科専門医 ) 日本心血管インターベンション治療学会 (CVIT 修練医 ) 日本 Pediatric Interventional Cardiology 学会 日本呼吸器外科学会, 日本胸部外科学会 ( 呼吸器外科専門医 ) 日本内分泌外科学会 ( 内分泌 甲状腺外科専門医 ) 日本乳癌学会 ( 乳腺専門医 ) 日本脳神経外科学会 日本病理学会 日本泌尿器科学会 日本形成外科学会 日本内視鏡外科学会 図 1.National Clinical Database の概要 3.2. 登録対象のデータ登録対象となるのは, 各種の専門医制度に関係する, 日本で行われた手術 治療です. 診療科単位で登録をおこない, その内容には診療科長が責任を負います.2011 年 1 月 1 日以降におこなわれた手術 2 / 9

治療から登録がはじまり, 現在では日本全国の 5000 施設以上が参加し, 図 2 参照, 年間およそ 170 万件の登録が行われています. 基盤領域学会として 2014 年から日本脳神経外科学会が NCD に加盟し,2015 年からは日本病理学会が, そして 2016 年から日本泌尿器科学会および日本形成外科学会が NCD に加盟し, 各領域の手術 治療 剖検の症例データが NCD に集積されています. 病院全数 NCD 参加施設 図 2. 本事業の対象施設 登録される情報は以下のように分けられます 図 3 参照. 1) すべての手術 治療について登録する基本項目 (13 項目前後, 統計的調査 ) 資料 1-1 外科共通基本入力項目 を参照 2) 手術 治療ごとに異なる詳細な項目 ( 医療評価調査 ) 1) の基本項目よりも詳しい患者さんの情報, 手術入院情報, 術後情報などが入力されます. 項目の詳細や項目数は専門医制度や領域に応じて異なります. 数十項目から数百項目の登録が予定されています. 具体例として最も調査項目の多い心臓外科領域の調査用紙を添付します 資料 1-2 心臓外科における医療評価調査項目の例 を参照. なお, 本事業のシステムを利用して, 検査が加えられたり, 投薬が加えられたりするような, 診療に何らかの影響を与える研究 ( 以下, 介入をともなう研究 ) がおこなわれる場合, 調査項目が加えられることがあります. 加えられる項目や参加する施設は各研究の計画によって異なります. この場合, 研究ごとに倫理審査等を行ない, 加えられる項目が適切であるか否かを判断します. 3 / 9

図 3. 収集するデータの概要 3.3. データの収集方法日本全国の参加施設診療科からインターネットを介して中央の組織にデータを集めます 図 4 参照. データ登録のためのウェブサイトを開設し, 参加施設診療科のデータ登録担当者が手術 治療 剖検の情報を登録します 図 5, 図 6, 図 7 参照. データ登録担当者は NCD から認証を受けた診療科のスタッフです. 日本全国の参加施設診療科 NCD の認証を受けたスタッフが症例を登録 図 4. 本事業におけるデータの収集方法 4 / 9

図 5. 症例登録を行うウェブサイトのログイン画面 図 6. 症例登録を行うウェブサイトのメニュー画面 5 / 9

図 7. 実際の症例登録画面 3.4. データの活用方法本事業に収集されたデータは, 各種委員会が討議した上で, 次のような形で活用されます. 治療を行っている施設診療科の特徴 医療水準の評価 適正な専門医の配置 治療を受けた方の予後 これから治療を受ける方の死亡 合併症の危険性, などのフィードバックこれらのデータは専門誌や学術集会, ウェブサイト等で発表され, 参加している各診療科にも報告が始まっています. 各施設診療科は自科の治療成績を, 全国の治療成績や欧米施設の治療成績とくらべてみることができるので, 自施設の手術 治療の質の向上をはかるための貴重な資料となります. また, 手術前にどの程度, 死亡や合併症の危険性があるかを知ることができるので, 治療方針を決める際の資料とすることもできます 図 8 参照. 6 / 9

図 8.NCD フィードバック機能 4. 本事業における倫理的問題 4.1. 個人情報の保護本事業で収集される患者さんの手術 治療に関する情報は, 個人を識別することができる情報を除き, その方と関わりのない符号をつけて入力されます. 但し, その新たにつけられた符号がどなたのものであるのかを記した対応表が施設側に残されます ( 連結可能匿名化 ). これは, 手術 治療後一定期間が経ったあとの情報を集めたり, 入力された情報に誤りがないかを確かめたりする際に, 入力された情報と患者さん個人の情報を照合しなければならなくなる可能性があるためです. この対応表は参加施設内で厳重に保管し, 本事業のデータベースには提供されません. したがって, データベース運営者や管理者が, 入力されたデータから患者さん個人の氏名を知ることはできません 図 9 参照. ただし, 本事業で施設訪問を担当する者が, 診療記録と照らし合わせて入力された情報の検証をすることがあります. その際に個人情報が流出することがないよう, 訪問にあたっては, 担当者の身分を明らかにして, 施設長からの許可を得ます. そして, データの検証に関する情報以外については守秘義務を負い, 施設から氏名などの個人情報を持ち出すことがないようにします. 7 / 9

図 9. 本事業におけるデータの匿名化 また, 匿名化されたデータであっても, データを閲覧する者によっては, 個人が特定できる可能性があ ります. データベースに集められた情報を閲覧するにあたっては, 取扱規約を定め, 各種委員会の判断の 下で, 登録された方に生じうる危険と不快に配慮した上で運用します. 4.2. データの公表本事業で集められたデータの分析結果は, 学術集会や専門雑誌, ウェブサイト等で発表されています. また, 参加施設診療科は自診療科の手術 治療成績が全国の施設と比べてどのようなものであるかを知ることができます. データが発表されたり, 各診療科に伝えられたりする際は, 集計された数値や分析された結果としてのみ公表されるため, 患者さん個人が特定されることはありません. 4.3. 同意の取得と参加の拒否について本事業でデータを集めるために, 検査が追加されたり, 治療が変更されたりするなど, 診療自体に影響が出ることはありません. 通常の診療で集められたデータを登録します. また, 登録されたデータは各種委員会の承認のもとに活用します. したがって, 本事業でデータベースに集められる情報に関して患者さん個人から同意書を得ることはありません. ただし, 患者さんが個別に本事業への参加を拒否することは可能です. 参加を拒否することを診療科に伝えていただくと, その方の情報はデータベースに提供されません. また, 治療 手術を受けた施設に申し出ると, ご自身のデータに限って閲覧することができます. 閲覧の上, 修正 削除をしていただくことも可能です. 以上の内容は, 一般社団法人 National Clinical Database のウェブサイトにて示すとともに, 各施設のウェブサイトや施設の掲示板などを用いて告示しています (http://www.ncd.or.jp/about/ethical_considerations.html) 資料 2 患者さん向け資料 資料 3 ホームページ掲載用テンプレート を参照. また, 患者さんが未成年である場合や, 緊急手術が行われた場合など, 患者さん自身が参加するか否かを表明できない場合は, ご家族の意向にもとづいて本事業に参加するか否かの判断をします. なお, 本事業のシステムを利用して介入をともなう研究を行う場合は, 個別に説明を行い, 同意を取得します. また, 研究ごとに倫理審査を受けることをシステム利用の必須条件とします. 8 / 9

4.4. 患者さんに生じる危険本事業でデータを集めることで診療自体に影響が出ることはありません. したがって, 各施設診療科が本事業に参加し, データの登録をおこなうことで患者さんに危険が生じることはありません. ただし, 本事業のシステムを利用して介入をともなう研究を行う場合, 患者さんに何らかの危険が生じる可能性があります. こうした研究において生じる危険に関してはそれぞれの研究計画に合わせて適切に対応します. また, 研究ごとに倫理審査を受けることをシステム利用の必須条件とします. 4.5. 倫理審査 NCD は, 定期的に倫理委員会 ( 以下 本委員会 という ) の審査を受け, 事業の法的妥当性 倫理的妥当性を継続的に検証していきます. 本申請の期間は 5 年とし,2020 年 1 月 1 日以降の入力症例に対しては, 再度審査をおこないます. また, 本事業は連結可能匿名化された情報を登録していただく観察研究であり, 本委員会での審査結果に基づき, 施設長の判断で各参加施設での倫理委員会の開催を省略することが可能です. なお, 本事業のシステムを利用して介入をともなう研究を行う場合は, 研究プロジェクトごとに倫理審査を受けることを必須条件とします. 4.6. 本事業の経費本事業は日本外科学会および日本消化器外科学会などの各種臨床学会からの基金によって運営されてきました.2015 年からデータの収集, 管理 分析に対する経費の一部は施設会費から賄われています データの管理 運営は NCD がおこないます. 9 / 9