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別子銅山の産業遺産 東平 ( 新居浜市 ) 2017/ 9 Guarantee Information Column 地域の魅力発信 お知らせ平成 29 年 6 月 7 日から 7 月 27 日までの間の豪雨及び暴風雨による災害についての激甚災害並びにこれに対し適用すべき措置の指定について経営安定関


2014年 希望小売価格表 クボタ

する指導の手引き でも高校生への食育については具体的にふれられていない. 高校進学率 ₉₈.₄%( 平成 ₂₅ 年度学校基本調査 ) である高校生は, 社会に巣立つ前に, 学校教育で一斉に健康に対する自己管理能力を養うことができる最後の機会である. 健康日本 ₂₁( 第二次 ) がめざす次世代の健康

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問 題 1 ₁ ₃ ₅ ₂ ₄ ₆ 問 題 2 ₁ ₂ ₃ 問 題 3 ₁ ₂ ₃ ₄ ₅ 2 2

石鎚山 ( 西条市 ) 2019/ 1 Guarantee Information Column いろいろ日本百選 お知らせ 超長期借換保証 スーパーランディング 20 を創設しました 愛媛銀行女性行員との第 2 回合同研修会を開催しました伊予銀行法人融資アカデミーで講義を行いました愛媛大学ビジネス

山西央朗 山田裕也 清水斉 層 ₈ ₇ ₆ ₅ ₄ ₃ ₂ ₁ 表 ₁ 部材リスト 柱 梁 C₁, C₂ C₃ G₁ G₂ H-₄₀₀ ₂₀₀ ₉ ₁₆ H-₄₀₀ ₂₀₀ ₉ ₁₂ -₄₀₀ ₄₀₀ ₁₉ -₄₀₀ ₄₀₀ ₁₆ H-₄₅₀ ₂₅₀ ₉ ₁₆ H-₄₀₀ ₂₀₀ ₁₂ ₂₂ -₄₀

₁₀) 表 1. 穀類 100 あたりの栄養成分 エネルギー kcal タンパク質 脂質 炭水化物 カリウム m 水溶性食物繊維 不溶性食物繊維 大麦押麦 ₃₄₀ ₆.₂ ₁.₃ ₇₇.₈ ₁₇₀ ₆.₀ ₃.₆ 大麦米粒麦 ₃₄₀ ₇.₀ ₂.₁ ₇₆.₂ ₁₇₀ ₆.₀ ₂.₇ 小麦 ₃₃₇ ₁

仲下 中村 木山 北村 影響を及ぼす要因について検討することを目的とした. 減量成功に影響を及ぼす促進および阻害要因を明らかにすることは, 特定保健指導を効果的に実施するうえで有用と考えた. Ⅱ 方法 1. 研究デザインと対象本研究は縦断的研究デザインを用いた.₂₀₀₈ 年 ₄ 月から₂₀₀₉ 年

2016/ 5 Contents Guarantee Information 平 成 27 年 度 事 業 実 績 お 知 らせ 融 資 保 証 制 度 一 覧 ( 保 証 月 報 4 月 号 )のお 詫 びと 訂 正 経 営 安 定 関 連 4 号 に 規 定 する 災 害 及 び 地 域 の 指

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図 ₁ 試験体 図 ₂ 試験体の接合金物 図 ₃ 鋼製金物詳細 表 ₁ 試験体名と形態 斜材 ( 段組数 ( 段 ) 設置形態 B₄₀-₃D ₄₀ ₁₀₅ ₃ 対角止め B₄₀-₃C₁ ₄₀ ₁₀₅ ₃ 中央止め B₄₀-₃C₂ ₄₀ ₁₀₅ ₃ 中央止め B₄₀-₁D ₄₀ ₁₀₅ ₁ 対角止め

上 野 山 崎 石 川 の 理 解 ₆,₁₃) や 医 療 従 事 者 との 良 好 な 関 係 ₁₄,₁₅), 治 療 への 参 加 意 識 ₃), 治 療 への 同 意 ₃) や 納 得 ₁₆), 疾 患 に 対 するリスクや 薬 の 必 要 性 についての 知 識 を 得 て いること ₃,₁

石 橋 堀 口 丸 井 稲 田 を 明 らかにし 理 解 することが 必 要 である ₁₀,₁₁).リ スク 認 知 とは,リスクに 対 する 主 観 的 なイメージ であり, 認 知 心 理 学 より 発 達 し 研 究 されてきた. 一 般 の 人 々と 専 門 家 でリスク 認 知 が 違 う

す, 搗く, 焼く, 茹でるの ₄ 種類に分けられ, ソルギトックは蒸して作る餅の基本であり米粉に水, 砂糖, 蜂蜜などを加えふるいにかけ, 型に入れてから蒸した餅である ₁₀)₁₁). 本研究では本来うるち米粉を蒸して作るソルギトックにもち米粉を加え, もち米で作った粘りのある餅を食べてきた日本人

₁₈ ₂ RI フード ( オークリッジ型 ) ₁₃₀ 万円 ( 本体 )~ ₁.₅ ヵ月 千代田テクノル ₁₈ ₂ 核医学施設向けセフティキャビネット SCシリーズ 別途打合 ₁.₅ヵ月 千代田テクノル ₁₈ ₂ フード ( オークリッジ型 ) NSO ₁₂₀₀ ₁₅₀₀ ₁₈₀₀ ₁₁₈ ₁₃₂

刻な児童虐待であり, その防止が行政の最優先課題であることは異論がないであろう 児童虐待死亡ケースは, 家庭内で起きる 親による子殺し であるが, 日本における 殺人事件全体, 殺人事件の半数は家族親族の児童虐待, 100 間で起きる

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ウォーキングに 対 する 恩 恵 認 知 尺 度 の 開 発 身 体 活 動 運 動 と 関 連 性 のある 恩 恵 を 同 定 するこ とが 重 要 である. 日 常 活 動 に 多 く 含 まれるウォーキングは, 最 も 基 本 的 な 身 体 活 動 であり ₈,₉),₆₀ 歳 代 においても

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放射線管理用品 ₂₄ ₁ 多機能除染用ワイパー別途見積 ₁₀ 日 アトックス ₂₄ ₁ RI 実験衣 ₀.₄₅ 万円 ( 税抜 ) ₁₀ 日 アトックス ₂₄ ₁ 放射線管理区域標識別途見積別途打合医建エンジニアリング ₂₄ ₁ LED 表示灯 ( 使用中表示灯 ) 別途見積別途打合医建エンジニアリ

2 長田尚子 板橋衛 活用しつつ自給率の低い転作作物等の需要に応じた生産拡大が図られた.2010 年に戸別所得補償モデル対策が開始され, 米の 生産数量目標 に即した生産を行った販売農家 ( 集落営農を含む ) に対して所得補償を行い, 今後の戸別所得補償制度で米以外の多くの品目を広く組み込む方向を

32, 15, 3 EUS TIC 1 db,eus EG SR EUS 60, 27, 24 EUS EG SR 0. 11, , EUS EUS EG ₂₆ ₆ 1, 2, 1, 1, 3, 2, 4, 1 1, 2, 3, 4 FibroScan,

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入 門 都 市 計 画 サンプルページ この 本 の 定 価 判 型 などは, 以 下 の URL からご 覧 いただけます. このサンプルページの 内 容 は, 初 版 1 刷 発 行 時 のものです.

美作大学 美作大学短期大学部紀要 2011, Vol ~ 14 論 文 GABA(γ- アミノ酪酸 ) の味覚への関与について ~ 酸味と塩味への関与 ~ Involvement of GABA in taste sensation : interaction with acid ta

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短 報 Nurses recognition and practice about psychological preparation for children in child health nursing in the combined child and adult ward Ta

佐見 植田 結びつくと考えられている ₅). 畑は, その疾病をいかに深刻なものととらえていたとしても, 罹患の可能性がないと考えている場合には, その疾病への恐れは存在しないことになり, 結果としていかなる予防行動も起こりえないとしている. また, この 重大性 の自覚と 罹患性 の自覚の ₂ つ

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広島工業大学紀要教育編第 ₁₅ 巻 (₂₀₁₆)1 10 論文 同期型 CSCL を使った国際協調的外国語学習の実践 ツールの違いにおける社会的存在感と満足度との関係性 安部由美子 * 益子行弘 ** ( 平成 ₂₇ 年 ₁₀ 月 ₂₇ 日受付 ) International Collaborati

Fire Department - - 広 報 ざ. 広 報 ざ. 室 定 先 着 順 講 無 期 間 氺 署 講 事 項 乙 訓 組 署 救 係 乙 訓 組 救 救 昼 間 初 式 優 良 体 育 館 初 式 式 典 頃 火 災 献 身 的 努 貢 献 優 良 次 敬 称 略 京 都 府 協 会

2018,30,41-51 資料 におけるダイエット とメディアの を とした より 1 めぐみ 2 3 Dieting behaviors and the media influence in females: A cross-sectional study with female student

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pp h SAKAI, T., IKEZAKI, K., : Research on the hand-sewing of home economics in the elementary school (2) Actual situation of


指定演題 1 D 2 経頭蓋直流電気刺激による歩行 認知課題の機能向上効果 篠田亮平 1) 松浦晃宏 1) 石川衛 1) 苅田哲也 1) 森大志 2) key word: 二重課題 経頭蓋直流電気刺激 歩行 1) 大山リハビリテーション病院 2) 県立広島大学 目的 歩きながら話をするなど 動作の遂

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風間慶祐, 他 ながら,LACの安全性や忍容性の検討は, これまで主に ₇₅ 歳以下もしくは₈₀ 歳以下を対象に検討が行われてきた. 一方で, 加齢により ADLの低下が見られ有訴率は上昇し ₅), 全身臓器機能低下が予想され, 一般に術後合併症のリスクは増加すると言われている ₆). このため ₈

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観 測 点 名 称 住 所 表 ₁ 防 災 科 学 研 究 所 強 震 ネットの 実 地 震 記 録 波 から 求 めた 計 測 震 度 計 測 震 度 震 度 階 ₃ 合 成 最 大 加 速 度 継 続 時 間 地 動 最 大 加 速 度 地 動 最 大 速 度 地 動 最 大 変 位 gal s

広島工業大学紀要教育編第 ₁₂ 巻 (₂₀₁₃)21 27 論文 CIEDE2000 色差式を用いたディジタルシネマ画像の所要ビット長の評価 古川功 * 鈴木純司 ** Evaluation of Required Bit Depth for Digital Cinema using CIEDE20

(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

前田美和子, 田中 沙織 の起源は₁₈₉₅ 年にさかのぼる. もともと本学はキリスト教主義の女子教育を掲げ,₁₈₈₆ 年広島女学会として創立した. ₃ 年後の₁₈₈₉ 年に現在校母と呼ばれている N.B. ゲーンスが校長に就任し,₁₈₉₂ 年に幼稚園を開設, ₃ 年後の₁₈₉₅ 年に保姆養成科を発足

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学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

338 西博行 生中雅也 西村良夫 H Br F 図 ₁ ラニレスタットの構造式 のエナンチオマー評価法の開発研究を行っている 本論文では, ラニレスタットの光学活性中間体につき, キラル HPLC を用いた評価法の検討を行った結果について報告する なお, ラニレスタットは, 糖尿病合併症薬として臨


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はじめに慶應義塾では, 海外で教育を受けた受験生の学歴背景を尊重し, 能力 適性等を多面的に評価することで, 広く多様性のある優秀な入学者受入れをすべく,₁₉₇₉ 年 ₄ 月より帰国生入試を実施しています この 募集要項 には, 入学試験の概要と, 出願準備から入学手続までのすべての事項を時間の流れ

5 月 クロスステッチ ( ピンクッション製作 ) ししゅう実習 裁縫道具 クロス布 ししゅう糸 ししゅう針 クロスステッチ ( ピンクッション製作 ) ピンクッション仕上げ ( なみ縫い 綿つめ まつり縫い ) 刺し子の方法について 裁縫道具 わた 名札 上 評価の観点下 評価の方法関心 意欲 態

田中武 栗栖慎也 甲斐健 山崎勇 織田浩二 﨑将智 植月唯夫 に対する評価基準が異なっても良いと考えられる ₂ ) 体育館のスポーツ照明として,LED 光源を用い, ₁ ) 照明用光源の LED 素子単体が見えない状態にする ₂ ) 実際の直下照度を低下させない ことで, 体育館内の照度分布の達成,

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表 6.1 横浜市民の横浜ベイスターズに対する関心 (2011 年 ) % 特に何もしていない スポーツニュースで見る テレビで観戦する 新聞で結果を確認する 野球場に観戦に行く インターネットで結果を確認する 4.

放射線 ( 能 ) 測定システム ₁₁ ₁ 簡易型ホールボディカウンタ AT₁₃₁₆ 別途見積別途問合 ₁₁ ₁* ベッド式ホールボディカウンタ ACCUSCAN 別途見積別途問合 アドフューテックベラルーシ ATOMTEX 社 アドフューテックキャンベラジャパン 米国キャンベラ社 ₁₁ ₁* 立式

日本家政学会誌 Vol. ₆₆ No. ₅ 197~212(₂₀₁₅) 報文 近現代における 着物 の表記法とその意味の変遷 1874 年 ~1980 年の新聞記事を中心に 森理恵 ₁* Changes in the Term Kimono in 1870 s 1970 s Japan Rie MO

情報 BOX 申込み方法 募集 講演 電話以外で申込む場合は次の応募事項を書いてください 名など ( コースも ) 氏名 ( ふりがな ) 電話番号 郵便番号 住所 年齢 小中学生は学校名 学年 福岡市政だより 2016( 平成 28) 年 7 月 1 日 14 講座 などで 特に記載がないものは

はじめに慶應義塾では, 海外で教育を受けた受験生の学歴背景を尊重し, 能力 適性等を多面的に評価することで, 広く多様性のある優秀な入学者の受入れを目指しています このため,₁₉₆₅ 年 ₄ 月より外国人留学生対象入学試験を実施しています この 募集要項 には, 入学試験の概要と, 出願準備から入学

下里侑子, 他 写真 ₁ 胸痛自覚時の胸部 X 線右胸水を認めた. 写真 ₂ a を開始された. 移植 ₉ 年後より拘束性換気障害 (%VC ₄₁% FEV₁.₀ % ₁₁₆%) を認めたが, 慢性咳嗽の増悪はなく,SpO ₂は大気下で₉₈% と保たれ Activity of daily life

第 1 章調査の実施概要 1. 調査の目的 子ども 子育て支援事業計画策定に向けて 仕事と家庭の両立支援 に関し 民間事業者に対する意識啓発を含め 具体的施策の検討に資することを目的に 市内の事業所を対象とするアンケート調査を実施しました 2. 調査の方法 千歳商工会議所の協力を得て 4 月 21

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高流量鼻カニュラ酸素療法 ( ネーザルハイフロー ) 図 1 HFNC による換気パターンの変化 2) 健常人,COPD 患者,IPF 患者それぞれ ₁₂ 人の HFNC 前後の変化 量の増大が見られたが, 健常者では減少した. 全ての群で呼吸数と分時換気量は減少し,COPD と IPF 患者では毛

ネーザルハイフロー療法の適応と限界 図 1 左 : フィッシャーアンドパイケル社システム ( 出典 : 社内資料 ) 右 : パシフィックメディコ社システム ( 出典 : 社内資料 ) と酸素濃度計が付属している. ブレンダーには酸素配管と圧縮空気配管からのガスを混合させるものと, 酸素配管からの酸

調査結果の概要

ごあいさつ 平 素 から 広 島 県 における 血 液 事 業 の 推 進 につきましては 献 血 者 の 皆 さまをはじめ 広 島 県 献 血 推 進 協 議 会 献 血 推 進 団 体 医 療 機 関 関 係 各 団 体 のご 理 解 とご 協 力 を 賜 り 厚 く 御 礼 申 し 上 げます

1. 交際や結婚について 4 人に3 人は 恋人がいる または 恋人はいないが 欲しいと思っている と回答している 図表 1 恋人が欲しいと思わない理由は 自分の趣味に力を入れたい 恋愛が面倒 勉強や就職活動に力を入れたい の順に多い 図表 2 結婚について肯定的な考え方 ( 結婚はするべきだ 結婚

2 お好み焼は約半数が 家庭で作る派 お店派 は約 4 割 1 年以内に食べたことのあるお好み焼 についての問い ( 複数選択 ) において 家庭で作る関西お好み焼 を選んだ人が約半数の 55.5% 次いで多かったのが お好み焼店などの外食店で食べるお好み焼( 持ち帰り含む ) ( 以下 お店 )

市中学校の状況及び体力向上策 ( 学校数 : 校 生徒数 :13,836 名 ) を とした時の数値 (T 得点 ) をレーダーチャートで表示 [ ] [ ] ハンドボール ハンドボール投げ投げ H29 市中学校 H29 m 走 m 走 表中の 網掛け 数値は 平均と同等または上回っているもの 付き

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日本家政学会誌 Vol. ₆₆ No. ₂ 65~72(₂₀₁₅) 資料 幼稚園児をもつ母親の手芸 裁縫活動に対する意識と実態 梶山曜子 ₁, 下窪美咲 ₁ ₁, 鈴木明子 Consciousness and Actual Handicraft and Sewing Activities among Kindergartners Mothers Yoko KAJIYAMA ₁, Misaki SHIMOKUBO ₁ and Akiko SUZUKI ₁ We investigated the consciousness and the actual handicraft and sewing activities in the everyday life of kindergarteners' mothers. We obtained the following results. The rate of acquisition of basic handicraft and sewing skills was high. The ratio of people who learned those basic skills in home economics classes was the highest. There was a significant relationship between "the degree of time spent for handicrafts and sewing" and "the degree of mastery of basic handicraft and sewing skills." Therefore, it was suggested that basic skills are required for handcrafts and sewing. There was a significant relationship between "the degree of time spent for handicrafts and sewing" and "experience in making handmade items for children." Therefore, it was suggested that the presence of children is a factor in determining how much practice goes into handicrafts and sewing. There was a significant relationship between "preference for handicrafts and sewing" and "the degree of practice that goes into handicrafts and sewing" as well as "experience in making handmade items for children." These findings suggested the importance of teaching materials and home economics classes in which students enjoy themselves while making something for someone. Key words: handicraft 手芸,sewing 裁縫,mother 母親,kindergartner 幼稚園児,basic skill 基礎的技能 1. 緒言 近年, 生活の合理化が進み, 既製品の普及によって, 日常生活の中で手芸 裁縫活動を行う機会は減少してお り, それらの技能が日常生活に役立つという認識をもち にくい時代となった. その一方で, 手芸や裁縫は余暇活 動としても行われており, 物心両面における 豊かな生 活を創るための技術 の一つと考えられている ₁). 学校教育において, 手芸 裁縫の内容を取り扱うのは 家庭科であるが, 時代背景や授業時間数の削減等により, 製作の機会が減少しており, 家庭科の授業で手芸 裁縫 等の ものづくり をする意義が問われている ₂). ₃) 大学生を対象に手芸に対する意識を問うた先行研究 においては, 学校の授業以外で趣味として手芸をする者 は少なく, 物が豊かで迅速に情報を得られる現代におい て, 時間や物の使い方自体が変化してきており, 手芸の 位置づけや形も変わってきていると推察している. しか し手作りのもの自体は好きで温かみを感じる者が多いこ と, いつかはやってみたいという者もいることから, 各 世代のニーズに合わせた機会の必要性を報告している. 幼稚園児をもつ母親は, 通園バックやお弁当袋の製作 や, バザーでの手芸品の出品等, 学校教育終了後, 手芸 や裁縫に関わる機会の多い世代であると考えられる. そ のような幼稚園児をもつ母親たちを対象に, 手芸 裁縫 ₄) に対する意識や実態を調査した研究はなく, 先行研究 においては, 経験の有無や裁縫道具の所有実態について の追究にとどまっている. そこで本研究では, 幼稚園児をもつ母親を対象に, 学 所属機関名 : 1 広島大学大学院教育学研究科 1 Graduate School of Education, Hiroshima University, Hiroshima, 739-8524 原稿受付 : 平成 26 年 6 月 24 日 原稿受理 : 平成 26 年 11 月 25 日 To whom correspondence should be addressed E-mail:kaji3yr@yahoo.co.jp Copyright 2015 The Japan Society of Home Economics (65) ₂₇

Vol. No. 校教育修了後の日常生活における, 手芸 裁縫活動の嗜好意識や実践度, 技能の習得状況等の調査を行い, 手芸 裁縫活動に対する意識と実態を明らかにすることを目的とした. それによって, 日常生活における ものづくり の意義や今日の手芸 裁縫活動及びそれらの技能の習得の意義について再考し, 学校教育における家庭科の当該内容や活動のあり方について示唆を得たい. 2. 方法 (1) 調査対象者, 調査時期及び調査方法広島県 H 市内の幼稚園に通う園児をもつ母親を調査対象とした. 園は国立 H 幼稚園, 公立 M 幼稚園, 私立 I 幼稚園の ₃ 園であった. 調査時期は₂₀₀₇ 年 ₉ 月で, 留置法による質問紙調査を実施した. 有効回答率は₇₇.₂% であった. (2) 調査内容調査内容は,1 調査対象者の属性と就業形態及び家族構成,2 裁縫道具の使用頻度,3 手芸 裁縫の基礎的技能の習得状況,4 手芸 裁縫の製作技能の習得状況と習得方法,5 日常生活における手芸 裁縫活動の意識と実態,6 手芸 裁縫活動を行う条件,7 子どものための手芸 裁縫活動に対する母親の意識,8ものづくりと生活の豊かさへの意識であった. 専業主婦 が ₈₅.₅% であり, 次いで パートタイム勤 務 が ₇.₀% という結果であった. 家族構成は 核家族 が ₉₁.₁%, 非核家族 が ₈.₉% であった. (2) 裁縫道具の使用頻度 裁縫道具の使用頻度について問うた結果を使用頻度の 高い順に図 ₁ に示した. 最も使用頻度の高いのは アイ ロン で, 次いで 縫い針, アイロン台, まち針 であった. ほぼ毎日 使用しているのは アイロン, 男女 H 年長 ₁₁ ₁₃ M 年長 ₂₂ ₂₃ I 表 1. 調査対象者の属性と人数 ( 人 ) 園児の性別 年中 ₁₀ ₁₇ 年少 ₇ ₉ 年中 ₃₂ ₂₉ 年少 ₀ ₀ 年中 ₀ ₀ 年少 ₀ ₀ 年長 ₄₂ ₃₂ 計 ₆₇ ₁₀₆ 計 ₁₂₄ ₁₂₃ ₂₄₇ ₇₄ (3) 集計方法 (₂) の1から8の各調査項目は, それぞれ度数を求め, 項目ごとの回答者を₁₀₀% としてその内訳を示した. 手芸 裁縫に対する 基礎的技能の習得度, 嗜好意識, 実践度, 子どものための手作り経験 及び 生活の価値意識 相互の関係については, 関連の質問項目ごとにそれぞれの群別に分類した. 分類の方法については, ₃. 結果及び考察 (₉) で示す. それぞれの群でクロス集計を行い, 群間差比較は χ ₂ 検定を行った. 調査の集計及び解析には, 統計用ソフト IBM SPSS Statistics ₂₂ を使用した. 3. 結果及び考察 (1) 調査対象者の属性と就業形態及び家族構成調査対象者の属性を表 ₁ に示した. 各園によって学年の対象者数に差がみられるのは, 調査に協力を得られた方のみの集計結果となっているためであり, 分析は学年や保育年数の差を考慮に入れず行った. ₃ 園の幼稚園児の母親の平均年齢は₃₄.₃ 歳, 各年代の内訳は₂₀ 代が ₁₀.₆%,₃₀ 代が₇₉.₇%,₄₀ 代が₉.₇% であった. 対象者の ₈₂.₂% が昭和 ₅₃ 年告示の小学校学習指導要領にもとづいて家庭科を学習している者であった. 母親の就業形態は アイロン縫い針アイロン台まち針針山ゴム通し糸切りバサミメジャーミシンチャコペンシルかぎ針 ( 編み物用 ) ゆびぬき棒針 ( 編み物用 ) ルレットチャコペーパー刺しゅう針へら刺しゅう枠へら台ニードル用針 ほぼ毎日週数回月数回年数回持っていない, 使わない無回答図 1. 裁縫道具の使用頻度 (n=247) ₂₈ (66)

アイロン台 のみであった. ミシン については, ₇₆.₆% が使用しており, その頻度については 年数回 が最も多く₅₁.₆% であった. 幼稚園児をもつ保護者を対象にした₁₉₈₀ 年の調査 ₄) においては, アイロン の所有率は₁₀₀%, ミシン は₉₃.₆% で本調査の₇₆.₆% と比較して₁₇.₀% 減少していた.₁₉₈₀ 年の保護者と比較し, 裁縫道具の所有率は低下の傾向が見られた. 一方で かぎ針, 棒針, 刺しゅう針, 刺しゅう枠 及び ニードル用針 は使用頻度が低い結果となった. また, ルレット, チャコぺーパー へら の使用頻度が低く, チャコペンシル の使用頻度が高いことから, 印つけの道具として チャコペンシル を主に使用していることが推察される. (3) 手芸 裁縫の基礎的技能の習得状況手芸 裁縫の基礎的技能の習得状況を 自信をもってできる と できる を合わせた割合の高い順に並べた結果, 最も習得率の高いのは, アイロンがけ (₉₈.₄%) で, 次いで ボタン付け (₉₈.₀%) であった ( 図 ₂ ). 平成 ₂₀ 年告示の小学校学習指導要領家庭編の衣生活領域で取り上げられている基礎的技能, 玉結び, 玉どめ, なみ縫い, 返し縫い, かがり縫い, ボタン付け, ミシン縫い の ₇ 項目についてはいずれも高い割合で習得していた. 果を図 ₃ に示した. 裁縫については, 雑巾, 袋等や修繕, 丈詰め等は できる と回答した者の割合が₅₀% 以上みられたが, 衣服製作や難しい部位の修繕はそれ以下であった. 手芸については, 編み物と刺しゅうは₅₀% 以上が できる と回答したが, ビーズワークやパッチワークはそれ以下であった. 図 ₁ において かぎ針, 棒針, 刺しゅう針, 刺しゅう枠 及び ニードル用針 は使用頻度が低いにもかかわらず, 編み物と刺しゅうは ₅₀% 以上ができると回答している結果から, それらの手芸は専門の道具がなくてもできる簡単なものとして捉えられていると推察される. しかし 自信をもってできる と回答した者は非常に少ないという結果から, 基礎的技能の習得率が高い者が必ずしも製作技能の習得率が高いとはいえず, 基礎的技能を活かして何かを作ることにはつながっていない現状があると推察できる. 手芸 裁縫の製作技能の習得方法を図 ₄ に示した. 基礎縫い, ミシン縫い, ボタン付け といった基礎的技能は, いずれも 家庭科で学んだ とするものが最も多かった. また, いずれも家庭科で扱う技能であるにもかかわらず, 少数ながら 習っていない という回答がみられた. 家庭科は手芸 裁縫技能の伝承の場としての役割を果たしていると推察できる. 母親 や 祖母 に習ったと回答した者もおり, 家庭も手芸 裁縫技能の伝承の場として機能していることがうかがえた. (4) 手芸 裁縫の製作技能の習得状況と習得方法手芸 裁縫の製作技能の習得状況を 自信をもってできる と できる を合わせた割合の高い順に並べた結アイロンがけボタン付け玉結び玉どめなみ縫いミシン縫いまつり縫いスナップ付け返し縫いかぎホック付けかがり縫いボタン穴かがリ 自信を持ってできるできるできないやったことがない無回答図 2. 基礎的技能の習得状況 (n=247) 雑巾縫製袋, カバー縫製ほころび直し型紙利用編み物刺しゅう丈詰め, 裾直し子供服縫製スカート縫製ビーズワークパジャマ縫製袖丈直し型紙製図ファスナー直しワンピース縫製パッチワークズボン縫製浴衣, 甚平縫製ウエスト直しリフォームジャケット縫製 自信を持ってできるできるできないやったことがない無回答図 3. 製作技能の習得状況 (n=247) (67) ₂₉

Vol. No. (5) 日常生活における手芸 裁縫活動の意識と実態手芸 裁縫活動に対する意識を図 ₅ に示した. 手芸 裁縫が好きである の問いに対して, とてもよくあてはまる, あてはまる と回答した者の割合は₃₉.₇% で, あてはまらない, 全くあてはまらない と回答した者の割合は₃₁.₂% で, 手芸 裁縫の嗜好意識は肯定派と否定派が互いに拮抗している結果となった. 手芸 裁縫技能は日常生活に役立つ に とてもよくあてはまる, あてはまる と回答した者の割合は₈₅.₈%, 手芸 裁縫が得意であることは生活を豊かにする は₆₉.₇% であった. 手芸 裁縫技能の日常生活への役立ち感や必要性を強く感じるとともに, それらの技能が生活を豊かにするという認識も高い傾向にあった. 手芸 裁縫の知識 技能は次世代に伝える必要がある は₈₁.₀% の者が とてもよくあてはまる, あてはまる と回答しており, 次世代に伝える必要性を感じていることがうかがえた. 手芸 裁縫をする人は ₁₃₄ 人 ₆₆.₃% で, しない人は₄₁ 人 ₂₀.₃% であった. 手芸 裁縫をする理由を選択式の複数基礎縫いミシン縫いボタン付けアイロンがけ洋裁和裁 母親祖母友人家庭科専門の学校習ってない ( 独学 ) 習ってない ( できない ) その他無回答図 4. 製作技能の習得方法 (n=247) 回答で問うた結果, 最も多かったのは 必要にせまられ て で, 好きだから より多かった ( 図 ₆ ). このこと から, 今日の手芸 裁縫活動には 必要にせまられて 行う行動と, 手芸 裁縫が好きだから 行う行動がみら れ, これらはそれぞれ家事的側面, 趣味的側面という二 つの側面からとらえることができよう. 手芸 裁縫活動に対する嗜好意識と技能の習得率の関 係を図 ₇ に示した. 手芸 裁縫が好きな者ほど趣味的側 面の強い活動と考えられるパッチワーク, 編み物, ビー ズワーク, 刺しゅうの技能の習得率は高い傾向にあった. 手芸 裁縫をしない理由を選択式の複数回答で問うた 結果, 最も多かったのは 余暇時間が十分ないから で あった ( 図 ₈ ). 対象者のほとんどが家庭科で基礎的技能 を習得しているにもかかわらず, 手芸 裁縫技能がな い と回答した者も多かった. 岡村ら (₂₀₀₅) ₅) は, 家庭 科の製作実習において, 作品を上手く仕上げようとして 指示されるままに行動し, 結果として方法にみられる原 必要に迫られて 手芸 裁縫が好き 製作するのが楽しい 製作物が生活の中にあると楽しい 家族への愛情表現 買うより作った物の方が愛着がわく 衣料支出の節約になる 材料 道具がそろっている 一緒にする友人がいる 余暇 ( 製作 ) 時間が十分にある デザインするのが好き, 楽しい 既製品が体型や好みに合わない 手芸 裁縫が得意 その他 52 39 25 20 18 12 8 8 7 12 75 71 71 図 6. 手芸 裁縫活動をする理由 ( 複数回答 ) 107 ( 人 ) 0 20 40 60 80 100 120 自分は手芸 裁縫が好きである 自分は手芸 裁縫に興味がある手芸 裁縫技能は日常生活に必要だ手芸 裁縫技能は日常生活に役立つ 自分は日常生活の中で手芸 裁縫をする自分は日常生活の中で手芸 裁縫をしたい手芸 裁縫が得意であることは生活を豊かにする 女性は手芸 裁縫が得意であるほうがよい男性は手芸 裁縫が得意であるほうがよい 手芸 裁縫活動の知識 技術を次世代に伝える必要がある とてもよく当てはまる 当てはまる どちらともいえない 当てはまらない 全く当てはまらない 無回答 図 5. 手芸 裁縫活動に対する意識 (n=247) ₃₀ (68)

パッチワーク ビーズワーク編物 刺しゅう できる (64) できない (174) できる (143) できない (97) できる (98) できない (143) できる (138) できない (98) すきどちらでもない嫌い 余暇 ( 製作 ) 時間が十分にあれば 136 子どもや家族から頼まれたら 111 楽しんでできる場 機会があれば 110 周囲に教えてくれる人がいたら 81 手芸 裁縫技能が身についたら 60 キットですぐ作れる状態なら 57 一緒に活動する人がいたら 38 忙しくても時間をみつけてしたい 36 条件がそろってもしたくない 10 その他 4 ( 人 ) 0 20 40 60 80 100 120 140 図 9. 手芸 裁縫活動を行う条件 ( 複数回答 ) 図 7. 手芸 裁縫活動に対する嗜好意識と技能の習得率の関係 余暇 ( 製作 ) 時間が十分ない 手芸 裁縫技術がない 買ったほうが早い 安価に出来ない 製作を楽しめるところまでいかない 手芸 裁縫が嫌い デザインするのが嫌い 苦手 作る必要性を感じない 手作りのものはどこかやぼったい 道具, 材料がない 既製品にイメージのものがある 一緒にする友人がいない 家族への愛情表現は他でする その他 図 8. 手芸 裁縫活動をしない理由 ( 複数回答 ) 理や根拠に関する知識が身に付いていないことを報告し ており, 布施谷ら (₂₀₀₃) ₆) は, 被服製作に関して, 個性 や独創性といった生徒主体の実習の必要性を報告してい る. 家庭科の製作実習は, 基礎的技能の習得や, 作品を 完成させることに主眼がおかれやすく, 生徒が考え創り 出す主体となっていない, 自己有用感や達成感をもてな いという実態があり, そのことが製作嫌いや苦手意識を もつことにつながり, ひいては 手芸 裁縫技能がない という理由に影響しているとも考えられる. (6) 手芸 裁縫活動を行う条件 28 26 22 21 17 16 12 9 6 2 3 45 43 37 ( 人 ) 0 10 20 30 40 50 手芸 裁縫活動をおこなう条件を選択式の複数回答で 問うた結果を図 ₉ に示した. 複数回答で最も多かったの が 余暇時間 ( 製作時間 ) が十分あれば, 次いで 子ど もや家族から頼まれたら, 活動できる場所や機会があ れば であった. 手芸 裁縫活動には, 余暇時間 ( 製作 時間 ) の十分な確保や, 子どもや家族との関係が影響し ていると考えられる. また, 楽しみながら活動できる場所, 機会に加え, 教えてくれる人が身近にいることが重要であると推察できる. (7) 子どものための手芸 裁縫活動に対する母親の意識子どものための手芸 裁縫経験について, 幼稚園から 布を素材としたものを作って持たせるように 要請された経験があるか問うたところ, 調査対象 ₂₄₇ 人の母親の内 ₂₂₄ 人 (₉₀.₇%) が幼稚園から要請された経験があった. この中で, 自分で作った と答えた者は ₁₈₂ 人 (₇₃.₇%) であった. また ある と回答した者にその内容を質問したところ, 袋類, 雑巾 が多い結果となった. この ₂ つは, 図 ₃ において 自信を持ってできる と回答した上位 ₂ つであった. その他には 体操服袋, 手提げかばん, スモック 等が挙げられた. 作って持たせた ₁₈₂ 人にその時の気持ちについて質問したところ, 複数回答で多かった回答は 子どもに喜んで欲しい ₁₄₃ 人, 子どもが使いやすいものを作りたい ₁₀₁ 人であった. また 楽しい は₄₅ 人の記述がみられたが, 面倒 という回答も₂₇ 人みられた. 一方, 作って持たせなかった ₃₈ 人 (₁₅.₄%) に その時持たせたもの を質問したところ, 複数回答で最も多かったのが 自分以外の誰かの手作り ₂₅ 人, 市販のもの ₁₈ 人であった. 自分で作らなかった理由を質問したところ複数回答で最も多かったのが ミシン等の道具がないから ₂₀ 人, 次いで 手芸 裁縫が苦手だから ₁₇ 人であった. その他の回答として 下手なものを子どもに持たせるのは恥ずかしい, 完成したものに自信がない 等の回答がみられた. 以上の結果から, ほとんどの対象者が幼稚園から手作りを要請されており, その要請を受けて手芸 裁縫をすると答えた者が多く, 子どもがいることは手芸 裁縫を行う大きな要因の一つといえる. 手作りを持たせるのは (69) ₃₁

Vol. No. 面倒であると感じる者も少なからずいるが, 子どものことを考えながら作品の製作を楽しんでいることがうかがえた. 自分で作らない者も, その約半数が自分以外の誰かの手作りを持たせており, 対象者の多くが子どもに手作りのものを持たせることへの意義を感じていると思われる. (9) 手芸 裁縫に対する 基礎的技能の習得度, 嗜好意識, 実践度, 子どものための手作り経験 及び 生活の価値意識 相互の関係 基礎的技能の習得度 は, 図 ₂ の₁₂ 項目の 自信をもってできる を ₃ 点, できる を ₂ 点, できない やったことがない を ₁ 点として₁₂ 項目の合計得点を算 出した.₂₄₇ 人の平均得点は ₂₀.₀₄ であり, それより高い (8) ものづくりと生活の豊かさへの意識 ものづくりの文化をいかして生活を豊かにしたいか という問いに対し, 全体の₁₈₀ 人 (₇₂.₉%) が はい と回答した. その内 ₁₄₉ 人の自由記述から はい と回答した理由や背景ととらえられる内容を読み取り,₆₃ 項目を抽出した. ₁ 人の回答から複数の項目が読み取れ, のべ件数は₃₁₁ 件であった. これらをそれぞれの内容項目の件数として計上した.₆₃ 項目の上位 ₁₀ 項目は 物を大切にする ₂₇ 件, 家族が喜んでくれる ₂₃ 件, 手作りの物は温かみや味わいがある ₂₀ 件, 手作りすることが楽しい ₂₀ 件であった. いいえ と回答した ₃₇ 人 (₁₅.₀%) のうち₃₃ 人の自由記述から, 同様にその理由や背景ととらえられる内容を読み取り,₂₇ 項目を抽出した. のべ件数は₅₉ 件となり, ₂₇ 項目のうち上位 ₅ 項目は 自分で作ることが豊かな生活ではない ₁₀ 件, 時間や気持ち 金銭的に余裕がないのでできない, 手芸 裁縫に興味がない, 市販品で充分に生活を満たせる, 必要な時にだけすればよい という内容であった. 群を 高 群, 低い群を 低 群とした. 嗜好意識 は, 図 ₅ の 手芸 裁縫が好きである に とてもよくあてはまる, あてはまる と回答した者を 好き 群, どちらでもない と回答した者を どちらでもない 群, あてはまらない, 全くあてはまらない と回答した者を 嫌い 群とした. 実践度 は, 図 ₅ の 日常生活の中で手芸 裁縫をすることがある に とてもよくあてはまる, あてはまる と回答した者を 実践 群, どちらでもない と回答した者を どちらでもない 群, あてはまらない, 全くあてはまらない と回答した者を 非実践 群とした. 子どものための手作り経験 は,(₇) において幼稚園から要請され自分で作った ₁₈₂ 人を 経験有 群, 自分で作らなかった ₃₈ 人を 経験無 群とした. 生活の価値意識 は,(₈) の ものづくりの文化をいかして生活を豊かにしたいか という問いに対し, はい と答えた者を 豊かにしたいと思う 群, いいえ と答えた者を 豊かにしたいと思わない 群とした. 無回答を除いた₂₀₂ 人において, それぞれの群ごとにクロス集計を行い,χ ₂ 検定を行った結果を表 ₂ に 示した. 表 2. 手芸 裁縫に対する 基礎的技能の習得度 嗜好意識 実践度 子どものための手作り経験 及び 生活の価値意 識 相互の関係 基礎的技能の習得度 嗜好意識 実践度 子どものための手作り経験 生活の価値意識 高 :₈₁(₄₀.₁%) 低 :₁₂₁(₅₉.₉%) 好き :₈₆(₄₂.₆%) 嫌い :₆₂(₃₀.₇%) 実践 :₁₃₄(₆₆.₃%) 非実践 :₄₁(₂₀.₃%) どちらでもない :₅₄(₂₆.₇%) どちらでもない :₂₇(₁₃.₄%) 経験有 :₁₇₀(₈₄.₂%) 経験無 :₃₂(₁₅.₈%) 思う :₁₆₃(₈₀.₇%) 思わない :₃₂(₁₅.₈%) どちらでもない : ₇(₃.₅%) 基礎的技能の習得度 嗜好意識 高 > 低 ( 好き群 ) 実践度 高 < 低 ( 非実践群 ) 好き < 嫌い ( 非実践群 ) 子どものための手作り経験 高 < 低 ( 経験無群 ) 好き < 嫌い ( 経験無群 ) 実践 < 非実践 ( 経験無群 ) 生活の価値意識 高 < 低 ( 豊かにしたいと思わない群 ) 好き > 嫌い ( 豊かにしたいと思う群 ) n.s. 経験有 > 経験無 ( 豊かにしたいと思う群 ) χ ₂ 検定の結果, 有意な関係が認められた集計結果に有意水準 (p<₀.₀₅,p<₀.₀₁,p<₀.₀₀₁, 有意差なし n.s.) を示した. さらに残差分析を行い, 回答割合に最も差が認められた回答項目を抜粋し, 高低差を不等号で示した. ₃₂ (70)

手芸 裁縫の 嗜好意識 と 実践度 には有意な関係性がみられ, 手芸 裁縫が好きな者は実践する者が多く, 嫌いな者は実践しないという傾向にあった (p< ₀.₀₀₁). 実践には嗜好意識が影響していた. 嗜好意識 と 基礎的技能の習得度 においても有意な関係性がみられ, 基礎的技能の習得度が高いほうが手芸 裁縫が好きである割合が高かった (p<₀.₀₀₁). 手芸 裁縫を楽しむためには基礎的技能の習得が必要であることが推察される. また, 嗜好意識 と 子どものための手作り経験 にも有意な関係性がみられ, 手芸 裁縫が好きな者ほど子どものための手作りをしていた (p<₀.₀₀₁). 加えて, 嗜好意識 と 生活の価値意識 には有意な関係性があり, 手芸 裁縫が好きな者ほどものづくりで生活を豊かにしたいと思っている割合が高かった (p<₀.₀₅). 手芸 裁縫が好きであることは, 子どものために手作りを行うことにつながり, 生活の価値意識に影響を及ぼすと推察される. 手芸 裁縫の 実践度 と 基礎的技能の習得度 には有意な関係性があり, 基礎的技能の習得度が低い者ほど実践していなかった (p<₀.₀₅). また, 実践度 と 子どものための手作り経験 には有意な関係性がみられ, 日常生活で手芸 裁縫を実践している者は子どもにも手作りをしている割合が高かった (p<₀.₀₀₁). また, 子どものための手作り経験 と 基礎的技能の習得度 には有意な関係性があり, 子どものための手作り経験の無い者は基礎的技能低群の割合が高かった (p<₀.₀₅). 実践には基礎的技能の習得が必要であり, 子どもの存在が実践につながることが考えられる. 生活の価値意識 と 子どものための手作り経験 には有意な関係性があり, 子どものために手作りをしている者は, ものづくりで生活を豊かにしたいと思っている割合が高かった (p<₀.₀₅). また, 生活の価値意識 と 基礎的技能の習得度 には有意な関係性があり, 基礎的技能の低い者はものづくりで生活を豊かにしたいと思わない者の割合が高かった (p<₀.₀₅). 基礎的技能の習得や子どものために手作りをする経験は生活の価値意識に影響を及ぼすと推察される. 以上の結果から, 手芸 裁縫の基礎的技能の習得意義や学校教育における家庭科の布を用いた製作実習等の位置付けに対して次のような示唆が得られた. まず, 手芸 裁縫の基礎的技能を家庭科で習得したと答えた者の割合が高いことから, 家庭科の製作実習において, 確実な基礎的技能の習得と定着の必要性が再認識された. 次に, 基礎的技能の習得度 と手芸 裁縫の 嗜好意識 において有意な関係性があることから, 基礎的技能の習得によって, 手芸 裁縫を日常生活の中で活用し楽しむことが可能になるということが示唆された. さらに, 手 芸 裁縫の 嗜好意識 と 実践度, 子どものための手作り経験 及び 生活の価値意識 に有意な関係性があることから, 家庭科の製作実習では, 基礎的技能の習得にとどまらず, 作る楽しみを実感できる教材や学習方法で学ぶこと, 及び誰かのために作ることの意義が示唆された. また, 子どものための手作り経験 と 生活の価値意識 に有意な関係性があることから, 作る相手を思いながら製作活動をすることによって, 生活の豊かさや価値を問い直す機会を与えることができると考えられる. 本研究では, 幼稚園児をもつ母親のみを対象としており, 専業主婦の割合が高かったことからも, 結果は限られた集団のものである. また, 家庭科との関連性において, 母親の学習履歴及び学習経験に対する意識等との関係については調査していない. 今後は, 様々な背景をもつ母親や子どもをもたない女性さらに男性等対象者を広げ, 対象者の学習履歴との関連性についての継続的な調査が必要であると考える. それにより, 日常生活における一般的な手芸 裁縫活動の意識と実態を広くとらえ, 手芸 裁縫技能の習得意義を再考し, 学校教育のあり方への具体的な示唆を得ることも課題である. 4. 要約幼稚園児をもつ母親を対象とした質問紙調査によって, 日常生活における手芸 裁縫活動に対する意識と実態を明らかにした結果, 次のような知見が得られた. ₁) 手芸 裁縫の基礎的技能の習得率は高く, いずれも 家庭科 で学んだとするものが最も多かった. ₂) 手芸 裁縫の 嗜好意識 は肯定派と否定派が互いに拮抗していたが, 手芸 裁縫の 嗜好意識 と 実践度 には有意な関係性があり, 手芸 裁縫が好きな者ほど実践していた. ₃) 手芸 裁縫の 実践度 と 基礎的技能の習得度 には有意な関係性があることから, 実践には基礎的技能の習得が必要であることが示唆された. ₄) 手芸 裁縫の 実践度 と 子どものための手作り経験 には有意な関係性があることから, 子どもの存在が手芸 裁縫を行う大きな要因であることが推察された. ₅) 手芸 裁縫の 嗜好意識 と 実践度, 子どものための手作り経験 及び 生活の価値意識 に有意な関係性があることから, 家庭科の製作実習では, 基礎的技能の習得にとどまらず, 作る楽しみを実感できる教材や学習方法で学ぶこと, 及び誰かのために作ることの意義が示唆された. 謝辞本研究の調査に多大なご協力をいただいた, 広島県 H (71) ₃₃

Vol. No. 市内の国立 H 幼稚園, 公立 M 幼稚園, 私立 I 幼稚園のお母様方及び先生方, 本調査の集計 分析に協力をしていただいた三村晴香さんに深く感謝申し上げます. 引用文献 ₁) 堀内かおる, 武井洋子, 田部井恵美子. 被服製作及び手芸の教育的意義 学習要求からの考察. 東京学芸大学紀要第 ₆ 部門産業技術 家政.₁₉₈₈, 40, ₁₂₇-₁₄₀ ₂) 鈴木明子. 家庭科教育における 布を用いた製作 の教育的意義の検討 体験としての意義と基礎的 基本的技能習得との関係を中心に. 広島大学大学院教育学研究科紀要第二部文化教育開発関連領域. ₂₀₀₉, 58, ₃₀₁-₃₀₇ ₃) 江崎智子. 現代の大学生における手芸に対する意識. 早稲田大学人間科学学術院人間科学研.₂₀₁₃, 26, ₁₂₈- ₁₂₈ ₄) 本郷美枝, 潮田美智子. 幼稚園児を持つ主婦の家庭洋裁について ( 第 ₁ 報 ). 東京家政大学研究紀要.₁₉₈₀, 第 ₂₀ 集 (₂), ₇₅-₈₀ ₅) 岡村好美, 平田雅代. 家庭科の被服 における学生の意識と理解に関する調査研究. 宮崎大学教育文化学部紀要芸術 保健体育 家政 技術学.₂₀₀₅, 第 ₁₂ 号, ₁-₆ ₆) 布施谷節子, 高部啓子. 家政系女子短大生と母親の被服製作能力と被服製作の必要性に関する意識と実態. 家教誌.₂₀₀₃, 46, ₂₅₅-₂₆₄ ₃₄ (72)