目 次 はじめに 1 Ⅰ 福島第一原子力発電所における固体廃棄物貯蔵庫について 1 固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟増設の目的と計画 2 (1) 固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟増設の目的 (2) 固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟増設の計画 2 固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟増設に関する安全性 4 (1) 周辺地域への放

Similar documents
 

資料 1-4 廃棄物対策に関わる対応状況について 資料 福島第一原子力発電所固体廃棄物の保管管理計画 ~2018 年度改訂について~ 2018 年 8 月 23 日 東京電力ホールディングス株式会社

-2 進捗状況 ( クレーン設置 ) クレーン関連設備設置工事を 207 年 9 月に着手 クレーンの水切り ( 海上から構内へ搬入 ) を 月 日に のガーダ上への設置を 月 2 日に クレーンのガータ上への設置を 月 20 日に クレーン用電源ケーブル及び制御ケーブルの布設を継続実施中 クレーン


1. はじめに 1 2. 変更の概要 2 3. 変更に係る安全性 平常時の一般公衆の線量評価 放射線しゃへい評価 建屋強度評価 地震時の転倒評価 火災に対する評価 作業安全 6 4. まとめ 7 2

2 号機及び 3 号機 PCV - 分析内容 原子炉格納容器 (PCV) 内部調査 (2 号機平成 25 年 8 月 3 号機平成 27 年 10 月 ) にて採取された (LI-2RB5-1~2 LI-3RB5-1~2) を試料として 以下の核種を分析した 3 H, Co, 90 Sr, 94 N

実用発電用原子炉の設置 運転等に関する規則 ( 抜粋 ) ( 昭和 53 年 最終改正 : 平成 25 年 )( 通商産業省令 ) ( 工場又は事業所において行われる廃棄 ) 第九十条法第四十三条の三の二十二第一項の規定により 発電用原子炉設置者は 発電用原子炉施設を設置した工場又は事業所において行

資料 4 廃止措置施設における 保障措置について 2019 年 4 月 24 日 Copyright CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved. 1

1 海水 (1) 平成 30 年 2 月の放射性セシウム 海水の放射性セシウム濃度 (Cs )(BqL) 平成 30 年 平成 29 年 4 月 ~ 平成 30 年 1 月 平成 25 ~28 年度 ~0.073 ~ ~0.

資料2

第 2 回保障措置実施に係る連絡会 ( 原子力規制庁 ) 資料 3 廃止措置施設における保障措置 ( 規制庁及び IAEA との協力 ) 平成 31 年 4 月 24 日 日本原子力研究開発機構安全 核セキュリティ統括部 中村仁宣

新旧対照表

<4D F736F F F696E74202D2088C08AC78BA D A8E7589EA32835E815B DB8AC78CC972372E B8CDD8AB783828

<30345F D834F E8F48816A2D8AAE90AC2E6D6364>

Microsoft PowerPoint - (3)-③ 廃炉協資料(3号カバー)_rev2

プレゼンテーションタイトル

福島県内の災害廃棄物の処理の方針

目次 1 1. はじめに 2. フクシマエコテッククリーンセンターの概要 (1) 施設概要 (2) 遮水工 3. 埋立処分計画 (1) 埋立対象廃棄物 (2) 埋立処分期間 搬入方法 (3) 埋立方法 (4) 安全評価 4. 維持管理 モニタリング (1) 施設の点検 モニタリング (2) 環境省の

< D834F E8F74816A2D8AAE90AC2E6D6364>

資料 3 前回の小委員会の振り返りについて 多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会 事務局

2018 年 5 月 22 日 中部電力株式会社 浜岡原子力発電所低レベル放射性廃棄物底面塗装剥がれおよび水滴付着の確認に伴い 廃棄物埋設確認申請を取り下げる廃棄体の原子炉施設保安規定上の扱いについて 1 経緯および目的 2018 年 3 月 19,20 日に中部電力 ( 株 ) 浜岡原子力発電所か

< D834F E8F48816A2D8AAE90AC2E6D6364>

学んで、考えてみよう 除染・放射線のこと 使い方

< D834F E8F48816A2D8AAE90AC2E6D6364>

スライド 1

福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第276 報)

福島第一発電所構内で採取した建屋内瓦礫の放射能分析

福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第227報)

福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第350 報)

第 2 日 放射性廃棄物処分と環境 A21 A22 A23 A24 A25 A26 放射性廃棄物処分と環境 A27 A28 A29 A30 バックエンド部会 第 38 回全体会議 休 憩 放射性廃棄物処分と環境 A31 A32 A33 A34 放射性廃棄物処分と環境 A35 A36 A37 A38

られなかった また 内部確認において ドラム缶内側は 大きな廃棄物袋 ( 以下 充填用袋 という ) で養生され その中に スラッジを 3~12kg 毎に二枚以上重ねた廃棄物袋に封入したものが複数個充填されガムテープ等で閉じられていた さらに 廃棄物袋を容器から取り出し観察したところ a) 廃棄物袋

(審31)資料5-1 住民意向調査の結果及び住民帰還等に向けた取組について


電力土木報告書.indb

JT-60ジャイロトロンで高出力運転の世界最長記録(1

除染後、仮置場、中間貯蔵の今を知る

放射性廃棄物の発生 Q 放射性廃棄物 ってなに? 放射性廃棄物の発生場所 使用済燃料のリサイクルに伴って発生する廃棄物 放射性廃棄物 は 原子力発電や 使用済燃料のリサイクルなどに伴って発生する ( 放射線を出す ) 放射性物質を含む廃棄物 です 原子力発電所の運転に伴って発生する放射性廃棄物 ラン

A23 A24 A25 A26 A27 A28 A38 A39 燃料再処理 A40 A41 A42 A43 第 3 日 休 憩 総合講演 報告 3 日本型性能保証システム 燃料再処理 A29 A30 A31 A32 A33 A34 A35 燃料再処理 A36 A37 燃料再処理 A44 A45 A4


とを目指す必要がある このためには以下の10 領域における政策課題に取組む必要がある また 分類 Ⅳに分類される意見に基づく場合であっても 原子力施設の廃止措置やこれまで原子力発電の利用に伴い発生した放射性廃棄物の処分の取組に関するこれらの領域における政策課題に取組まなければならない (1) 福島第

福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第148 報)

福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第307 報)

概 要 2015 年 4 月 液体及びダストを中心に敷地境界外に影響を与える可能性があるリスクを広く対象としたリスク総点検を実施し, リスク低減対策の取組みは, 環境変化等を反映し適宜見直しを行っている リスク低減対策未着手の項目 ( 下記 1) については, 月末時点で 10 項目であ

安全防災特別シンポ「原子力発電所の新規制基準と背景」r1

Microsoft Word - 表紙(資料編).docx

日程表 mcd

2. 各社の取り組み 各社においては 六ヶ所再処理工場の竣工に向けた取り組み等に加え これまで使用済燃料の発生量見通し等に応じて 使用済燃料貯蔵設備のリラッキングによる増容量 敷地内乾式貯蔵施設の設置 敷地外中間貯蔵施設の設置等の必要な貯蔵対策に取り組んできている ( 添付資料 1 参照 ) 今後も

スライド 1


16-40.indd

資料 -2 固体廃棄物一時保管室での線量の設定 保管容量及び想定発生量について 固体廃棄物一時保管室の線量は 管理区域の区域区分 D(0.25mSv/h 未満 ) に従って管理する 固体廃棄物一時保管室の保管容量は 角形収納容器で 128 個相当である なお 想定する角形収納容器の容量は 約 1m


<93FA92F6955C2E6D6364>

福島県原子力発電所の廃炉に関する安全監視協議会 資料 (1)-2 2 号機原子炉建屋西側外壁開口後のオペフロ調査の実施について 2018 年 7 月 26 日 東京電力ホールディングス株式会社 無断複製 転載禁止東京電力ホールディングス株式会社 1. 西側壁開口後のオペフロ調査の実施について 2 号

<4D F736F F F696E74202D BD8A6A8EED8F9C8B8E90DD94F582CC90DD E707074>

2017 年 7 月 30 日 福島県七方部市町村空間放射線量 6 年間の変遷について 一般社団法人南相馬除染研究所 Chief Coordinator 田中節夫 はじめに東日本大震災に端を発した福島第一原発事故より 6 年余を経過しました 事故発生以来 測定機器の整備に伴い福島県では空間放射線量の

1-1. 水処理二次廃棄物の保管形態 水処理二次廃棄物のうち 水分が主体の除染装置スラッジ ALPS スラリーの安定化処理を優先的に検討 吸着塔類 使用済吸着塔一時保管施設に保管 除染装置スラッジ 廃スラッジ貯蔵施設に保管 ( プロセス主建屋地下の貯槽 D) 廃棄物規制検討会第 6 回資料 2 を更

<4D F736F F D20315F8E64976C8F915F AD90B697CA955D89BF82C98C5782E98E8E8CB182C982A882AF82E98E8E97BF95AA90CD816982BB82CC31816A>

平成 19 年 7 月 16 日に発生した新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所への影響についてご説明いたします また, 福島第一 福島第二原子力発電所における地質調査についても合わせてご説明いたします 2007 年 7 月 27 日 1

設計小委第 号 国内 BWR プラントの非常用電源設備の配置について 平成 23 年 8 月 23 日電気事業連合会 国内 BWR プラントの非常用電源設備の構成例 及び非常用 DG 等の電源設備の配置設計の変遷を東京電力のプラントを例に示す 1. 非常用電源設備の構成図 1~2に 所内

1 現場の状況と技術的知見へのニーズ 東京電力 ( 株 ) 福島第一原子力発電所 1~4 号機の廃止措置等に向けた研究開発計画に係る国際シンポジウム 2012 年 3 月 14 日 東京電力株式会社 無断複製 転載禁止 東京電力株式会社

資料 2 原 災害からの福島復興の進捗について 平成 30 年 3 原 災害対策本部

別紙 福島復興風力株式会社 ( 仮称 ) 阿武隈風力発電事業環境影響評価 準備書 に対する勧告について 1. 総論事業実施に当たっては 以下の取組を行うこと (1) 関係機関等との連携及び住民への説明対象事業実施区域の周辺には 東京電力福島第一原子力発電所の事故により避難していた住民の帰還が進むなど

仮設焼却施設の運転状況(11月4日~12月26日)

<82A082C682E082B731318C8E8D862E696E6464>

() 汚染水の貯蔵状況 建屋貯蔵量 : サブドレン水位低下に合わせた建屋水位低下に伴い 水量が徐々に減少 タンク貯蔵量 : 建屋内滞留水 Sr 処理水の処理により処理水 (ALPS 処理済水 ) が増加 仮設 RHRS P P ~2 号建屋 [ 約 500m] [ 約 20850m] [ 約 897

海外における高レベル放射性廃棄物 処理 処分の取組み事例について 平成 26 年 2 月 18 日 公益財団法人原子力環境整備促進 資金管理センター 1

通りである レベル1 津波 :100 年に 1 度程度発生する規模で, この津波に対しては, 人命, 財産, 経済活動を守る レベル 2 津波 :1000 年に 1 度程度発生する規模で, この津波に対しては, 人命を守り, 経済的損失をできるだけ軽減する また, 大きな二次災害を引き起こさず, 早

<955C8E D342E6169>

福島原発事故はチェルノブイリ事故と比べて ほんとうに被害は小さいの?

<4D F736F F F696E74202D2091EA924A8D6888EA88C995FB825288D98B63905C82B597A782C492C28F712E B8CDD8AB B83685D>

東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故直後の平成 23 年 3 月 17 日には 原子力安全委員会の示した指標値を暫定規制値として設定し 対応を行ってきました 平成 24 年 4 月 1 日からは 厚生労働省薬事 食品衛生審議会などでの議論を踏まえて設定した基準値に基づき対応を行っています 食品

<4D F736F F D F8CA48B CF906B42438C7689E68F9192F18F6F C835895B65F8E518D6C8E9197BF325F4A4D54522E646F63>


中長期ロードマップ改訂のポイント 1. リスク低減の重視 スピード重視 リスク低減重視 スピードだけでなく 長期的にリスクが確実に下がるよう 優先順位を付けて対応 汚染水 プール内燃料 燃料デブリ 固体廃棄物 水処理二次廃棄物 可及的速やかに対処 周到な準備の上 安全 確実 慎重に対処 長期的に対処

仮取扱いを行う場合は その形態に応じた安全対策や必要な資機材等の準備方法の具体的な実施計画 事務手続きについて事前に消防本部予防課危険物係と協議 ( 以下 事前協議 という ) したうえで震災時等の危険物仮貯蔵又は仮取扱い実施計画書 ( 様式第 1 号 以下 実施計画書 という ) を作成し 消防本

バックチェック計画書

IAEA Report DOC

Microsoft PowerPoint - 学会発表用(HP掲載用)

「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」の改訂に伴う島根原子力発電所3号機の耐震安全性評価結果中間報告書の提出について

熊原第 号 廃止措置実施方針 ( 公表 ) 平成 30 年 12 月 25 日 原子燃料工業株式会社 熊取事業所

1. はじめに 原子力科学研究所では 保管廃棄施設 Lに長期に亘って保管しているドラム缶について 容器の健全性を維持するため すべてのドラム缶をピットから取り出し 容器の健全性確認 ( 外観点検 補修など ) を行うこととし 年間約 1,000 本のドラム缶 (1ピット相当) 全 53ピット ( ド

原子炉物理学 第一週

<4D F736F F D CF906B88C AB8CFC8FE BB82CC A E646F63>

表紙 NRA 新規制基準概要

敦賀発電所 1 号機廃止措置に係る 地元企業の発展 雇用促進策 平成 28 年 5 月 19 日 日本原子力発電株式会社

2 及び 3 号機 PCV - 試料の性状 分析内容 PCV 内部調査 (2 号機 2013 年 8 月 3 号機 2015 年 10 月 ) にて採取された (LI- 2RB5-1~2 LI-3RB5-1~2) を試料として 以下の核種を分析した ICP-AES を用いた元素分析も実施した 3 H

2. 主要な政策課題領域原子力発電の利用に関する意見が分類 Ⅰ Ⅱ Ⅲのいずれに分類されるものであっても 国民に安心をもって原子力発電の利用を受け入れていただくことを目指す必要がある このためには以下の10 領域における政策課題に取組む必要がある また 分類 Ⅳに分類される意見に基づく場合であっても

福井県建設リサイクルガイドライン 第 1. 目的資源の有効な利用の確保および建設副産物の適正な処理を図るためには 建設資材の開発 製造から土木構造物や建築物等の設計 建設資材の選択 分別解体等を含む建設工事の施工 建設廃棄物の廃棄等に至る各段階において 建設副産物の排出の抑制 建設資材の再使用および

新システム概念図 変更点及び今後の課題 新システムの検討にあたっては 当初 シールを用いた徴収方法を検討していたが 関係者との調整の結果 以下のような変更及び課題が生じている 1 変更点 : 製品価格に内部化する費用の性質発炎筒の流通は 主として 新車搭載用として自動車製造業者等 交換用として自動車

福島第一原子力発電所多核種除去設備(ALPS)の概要等

研究炉班 : 審査会合 (28 回実施 ) ヒアリング (111 回実施 ) 地震津波班 : 審査会合 (33 回実施 ) ヒアリング (73 回実施 ) 新規制基準対応の想定スケジュール (HTTR) 設置変更許可申請 : 平成 26 年 11 月 26 日 第 1 回 : 平成 28 年 10

目 次 1 計画策定の意義 1 2 基本的方向 2 3 計画期間 2 4 対象品目 各年度における容器包装廃棄物の排出量の見込み 4 6 容器包装廃棄物の排出の抑制の促進するための方策に 関する事項 5 7 分別収集をするものとした容器包装廃棄物の種類及び当該容器 包装廃棄物の収集に係る

Commissariat à l’énergie atomique

目的 2 汚染水処理対策委員会のサブグループ 1 地下水 雨水等の挙動等の把握 可視化 が実施している地下水流動解析モデルの妥当性を確認すること ( 汚染水処理対策委員会事務局からの依頼事項 )

1 調査概要調査手法 : 各県 300 票インターネットによるモニター調査調査時期 :2018 年 12 月 7 日 ~10 日調査対象 : 300 票宮城県 茨城県 東京都 大阪府各 300 票調査方法 : 合計 1500 票の調査を実施抽出方法 : 年層 (20 代 ~60 代 ) 男女割当法

<4D F736F F D DC58F4994C5817A836F E E8C7689E68F DC48F88979D816A E32322E646F63>

県管理の河川区域内における支障木伐採利用に係る取扱要領 1 目的本事業は 県が管理する河川区域内の支障木に関し 住民との協働による河川管理の一環として 河川支障木の効率かつ計画的な伐採による適切な維持管理に向け 公募型による支障木の伐採利用を推進する取扱いを行い もって河川区域内の支障木撤去の促進と

平成22年度「技報」原稿の執筆について

放射性物質汚染対処特措法に関するよくある御質問への回答 ( 廃棄物関係 ) 平成 24 年 7 月 6 日版 赤字は 2 月 8 日版からの更新事項 1. 廃棄物の汚染状況の調査 ( 特措法第 16 条 ) 関係御質問回答 1 特措法第 16 条に基づく廃棄物の 汚染状況調査方法ガイドライン 調査義

Transcription:

東京電力株式会社福島第一原子力発電所における固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟の増設に関する協議結果 平成 26 年 1 月 20 日 福島県原子力発電所安全確保技術連絡会安全対策部会

目 次 はじめに 1 Ⅰ 福島第一原子力発電所における固体廃棄物貯蔵庫について 1 固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟増設の目的と計画 2 (1) 固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟増設の目的 (2) 固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟増設の計画 2 固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟増設に関する安全性 4 (1) 周辺地域への放射線の影響 (2) 固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟の耐震安全性 3 まとめ 5

はじめに 平成 25 年 11 月 11 日 東京電力株式会社から福島県及び双葉町 大熊町両町に対して 福島第一原子力発電所における固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟増設の計画に関する事前了解願いが提出された 県及び町の事前了解に当たっては 東京電力株式会社福島第一原子力発電所周辺地域の安全確保に関する協定書 に基づき 福島県原子力発電所安全確保技術連絡会安全対策部会 ( 以下 安全対策部会 という ) において 事前了解願いの計画内容の技術的事項に関し 協議を行うこととしている このため 安全対策部会では 固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟増設計画について 福島県原子力発電所の廃炉に関する安全監視協議会専門委員の指導 助言を得て 原子力発電所周辺地域住民の安全確保の観点から 確認 検討を行い その結果を本文に示すとおり取りまとめた なお 協議に際しては 東京電力株式会社から今回の計画に関してより具体的 技術的な説明を求めた 協議の経緯等は次のとおりである 協議の経緯第一回日時平成 25 年 11 月 26 日 ( 火 ) 事前説明及び現地調査第二回日時平成 25 年 12 月 11 日 ( 水 ) 会議 協議参加機関福島県生活環境部 福島県原子力センター 双葉町 大熊町 富岡町 楢葉町 - 1 -

1 固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟増設の目的と計画 (1) 固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟増設の目的固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟は 工事で発生したゴミや高線量ガレキ等の廃棄物が詰められたドラム缶及びコンテナ ( 以下 ドラム缶等 という ) を保管するための施設である 既設固体廃棄物貯蔵庫地下階に事故の復旧工事等で発生した 30 msv/h を超えるガレキ等を一時保管するため 当該地下階に事故前から保管されていたドラム缶等を平成 2 4 年 12 月からドラム缶等仮設保管設備に移動した ドラム缶等仮設保管設備での ドラム缶等の仮置き期間は 3 年間としていることから ドラム缶等を保管する新たな固体廃棄物貯蔵庫の運用を平成 27 年度に開始し 仮設保管設備に保管しているドラム缶等を当該貯蔵庫に移動する必要がある (2) 固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟増設の計画計画によれば 固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟は 平成 25 年 12 月に原子力規制庁への特定原子力施設実施計画の変更認可申請を行い 審査を経て 平成 26 年 4 月より建設工事を行う予定としている 建設完了とドラム缶等の搬入開始は平成 27 年度下期としている 第 9 棟は既設の第 8 棟の西側の敷地に 双葉町と大熊町にまたがって建設される ( 図 -1 図 -2) 敷地選定の理由として 既設固体廃棄物貯蔵庫に隣接しており ドラム缶等の運搬 管理が容易なこと 地質調査済みであり建設にあたり特に問題がないことが挙げられている 建物は地上 2 階 地下 2 階の鉄筋コンクリート構造の建造物で 合計約 11 万本のドラム缶を保管することができる ドラム缶等の表面線量率ごとに 各階に分類して保管する ( 表 -1) それぞれの階における線量率設定の根拠は次のとおりである 地上 1 階及び 2 階については 最も敷地境界線量に影響を与える階層である このため 当該階に搬入を予定しているドラム缶等の線量率限度はドラム缶等仮設保管設備及び既設固体廃棄物貯蔵庫のドラム缶等を収納した後の敷地境界線量の上昇が最小限となるように設定されている 地下 1 階は新規設置中の焼却炉から発生する焼却灰が保管可能となるよう設定されている 焼却灰ドラム缶の設計線量率は約 8.5mSv/h( 遮蔽なし容器では 20mSv/h) であり 余裕を加味して線量率限度を 30mSv/h 以下としている 地下 2 階については 震災時の水素爆発によって 100mSv/h を超えるガレキ等が回収されており 今後 さらに高線量率のガレキが発生する可能性もあることから これまでで最も線量率の高い 3 号機原子炉建屋上部ガレキの実績 540mSv/h に余裕を加味して線量率限度を 10,000mSv/h 以下とした 廃棄物保管エリアのドラム缶等の並べ方は 4 階層ともレーン構造である また 地下 1 階と 2 階は 地下道にて第 8 棟と連結されている 保管の流れとして 既設固体廃棄物貯蔵庫の地下階は地上階よりも遮蔽効果が大きいことから 高線量ガレキ等を保管する場所とするために まず既設固体廃棄物貯蔵庫の地下階にある事故前からの低線量ドラム缶を 第 9 棟の地上階へと移送する また ドラム缶等仮保管設備にある低線量ドラム缶も 第 9 棟の地上階へと移送する 空いた既設固体廃棄物貯蔵庫の地下階と 第 9 棟の地下階には 今後発生する原子炉建屋上部や周辺の高線量ガレキ等を保管するとしている なお ドラム缶等仮設保管設備は廃止する - 2 -

双葉町大熊町 町境界線 図 -1 固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟建設予定地 町境界線 図 -2 固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟配置図 表 -1 各階ごとの保管物の線量率限度と保管限度数量 線量率限度 保管限度数量 ( ドラム缶換算 ) 地上 2 階 0.05 msv/h 以下 地上 1 階 1 msv/h 以下 各フロア約 27,500 本 地下 1 階 30 msv/h 以下 地下 2 階 10,000 msv/h 以下 合計 約 110,000 本 - 3 -

Ⅰ 福島第一原子力発電所における固体廃棄物貯蔵庫について

2 固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟増設に関する安全性 (1) 周辺地域への放射線の影響固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟へのドラム缶等搬入による敷地境界線量増加の見積もりは 遮蔽計算において世界的に広く用いられているモンテカルロ法による遮蔽計算コード (MCNP) により評価されており 各階の線量率限度上限の廃棄物を隙間なく保管していると仮定し 線量評価を実施している その結果 最も近い敷地境界における線量は 一年あたり 0.045 msv 増加する 一方 ドラム缶等仮設保管設備に保管されているドラム缶等を第 9 棟に移した後は 当該仮設保管設備の廃止に伴い 一年あたり0.083mSvの敷地境界線量の減少となる ( 図 -3) したがって 第 9 棟の増設とドラム缶等の移動に伴う敷地境界線量の変化は 一年あたり0.038mSvの減少となり 敷地外へ与える放射線の影響は現在より減少する 線量増加の見積もりにおいて 線量率限度上限の線量率のドラム缶を保管すると仮定しているが これまでに発見された最大線量率のガレキは540mSv/hであり 地下 2 階に10,000mSv/hのドラム缶等を保管する見積もりは保守的な評価となっている また 実際に貯蔵する廃棄物の放射性物質は主としてセシウム-137であるのに対して 評価では ドラム缶等に含まれる全ての放射性物質をセシウム-137よりもエネルギーの大きいガンマ線を放出するコバルト-60( ガレキ表面の線量率は同じでも セシウム-137 に比べて遮蔽体での減衰が低い ) と仮定しており 保守的な評価となっている ドラム缶等に収納する廃棄物はガレキ等であり 気体や液体が生じるものではないことから内容物が建屋外に流出する可能性は小さい また 屋内で粉塵が舞い上がる可能性はあるが 建屋空調用のフィルターで捕集されるため 環境への放射性物質の有意な放出はない 建屋内は空調により換気されるため 湿気による容器の腐食は抑制される 建屋空調の排気中の放射能濃度は定期的に測定し管敷地境界理される 図 -3 敷地境界における線量影響 (2) 固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟の耐震安全性第 9 棟の主要な部分は鉄筋コンクリート構造であり 現行の耐震設計審査指針に基づき耐震性はCクラス ( 一般産業施設と同等の耐震性 ) で設計されている 東日本大震災においても 鉄筋コンクリート製である固体廃棄物貯蔵庫の第 5~8 棟については 建物は健全であった 第 9 棟は 第 5~8 棟と同等の耐震設計を有しており 耐震性能は問題ないと考えられる なお 第 5 6 棟については 東日本大震災において建物は健全であったものの ドラム缶の転倒があった 一方で第 7 8 棟についてはドラム缶の転倒はなく この差異はドラム缶の並べ方にあった 第 9 棟では第 7 8 棟と同じドラム缶の並べ方を採用し ドラム缶の列の奥と側面は壁で固定し 入り口側はドラム缶とパレットを固縛することとされている - 4 -

3 まとめ東京電力株式会社が増設を計画している福島第一原子力発電所固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟に関して 安全対策部会では技術的な面から その目的 経緯 計画について確認した その結果 固体廃棄物貯蔵庫第 9 棟の増設計画は 放射線の遮蔽や耐震性については特に問題はなく 原子力発電所周辺地域の安全を確保していく上では 妥当なものであると判断される しかしながら 廃炉に向けた過程で生じる廃棄物の処理 処分については 中長期ロードマップにおいても技術的課題を有し研究開発が必要な部分が多いとされており また 震災以前のように 容易に構外へ搬出できるのかといった懸念もある また 現時点で廃棄物の性状と発生量についての長期的見通しがなく 貯蔵施設の必要数は不透明である 廃炉に向けた取組は 県民の理解が大前提であることから 将来的な処理 処分の方法や最終処分までの期間など 不透明となっている課題に対し 東京電力はその解決に真摯に取り組む必要がある これらを鑑み 当該計画の実施に当たっては 東京電力に対して次の事項に取り組むよう強く求める 1 固体廃棄物貯蔵庫を適切に運用していくとともに維持 管理に万全を期し 貯蔵庫内外での放射性物質の拡散防止を図ること また ドラム缶等の腐食防止等 保管する固体廃棄物を十分管理のうえ その管理状況及び監視結果について 定期的に報告すること 2 貯蔵庫からの廃棄物搬出までを見据えた廃棄物管理の長期計画を早期に明確にすること 3 作業従事者の被ばく低減のため ドラム缶等の搬入等取り扱い作業における放射線管理に万全を期すこと 4 県民の理解が得られるよう 廃炉に向けた取り組みについて 情報の提供のみにとどまらず 情報を共有する不断の取組を行うこと また 国に対しては当該計画に関する特定原子力施設実施計画変更認可申請等が行われた場合 厳正な安全審査等を実施するよう求める -5-