社会福祉法人会計基準における共済会の会計処理について 税理士岩本兼一 ( 財 ) 大阪民間社会福祉事業従事者共済会 1
内容 共済会の新しい会計処理が適用される施設及び事業所とは? 重要用語の解説仕訳の要点移行処理の仕方留意点 2
共済会の新しい会計処理が適用される施設等とは? 会計基準 ( 社会福祉法人会計基準 ) のみが適用される施設等指導指針 ( 指定介護老人福祉施設等会計処理等取扱指導指針 ) のみが適用される施設等両者のいずれかを選択適用する施設等 3
共済会の新しい会計処理が適用される施設等とは? 会計基準及び指導指針のいずれも適用会計基準 ( 社会福祉法人会計基準 ) のみがされない施設等につきましては 原則とし適用される施設等て従来の方法によります また 特殊な事 指導指針 ( 指定介護老人福祉施設等会計処理等取扱指導指針 ) のみが適用される施 由がある場合は 個別に対応しますので 設等事務局へお問い合わせください 両者のいずれかを選択適用する施設等 4
重要用語の解説 共済会の退職金の概要 退職共済預け金 退職給与引当金 支払資金 5
重要用語の解説 共済会の退職金の概要 共済会における退職金の給付手続き脱会届と同時に給付請求書を施設を通じて共済会へ提出することにより給付されます但し 1 年未満で退職したときは給付はありません 計算算定基準額 在会年数 給付率を基礎に共済会が定めた方式によります 6
重要用語の解説 退職共済預け金とは? 施設等が負担する掛金 固定資産に計上 退職共済預け金勘定 と言う 現行の税法では 共済会の掛金を資産計上しない場合には給与課税されます 7
重要用語の解説 退職給与引当金とは? 10 年前に入所されたAさんが 当年度に退職することになりました 退職金の支出は 毎月 共済会に支払った掛金 つまり退職共済預け金を財源に給付があるので その収入と退職金の支出は相殺されるため 当期の資金収支計算書での負担はありません しかし 当期の損益 ( 事業活動収支計算書 ) では Aさんの過去十年分の費用 ( 退職金 ) を一括して全額負担しなければなりません 8
重要用語の解説 退職給与引当金とは? 10 年前に入所されたAさんが 当年度に退職することになりました 退職金の支出は 毎月 共済会に支払った掛金 つまりそれでは 退職共済預け金を財源に給付があるので その収入と退この問題の対処方法は? 職金の支出は相殺されるため 当期の資金収支計算書での負担はありません しかし 当期の損益 ( 事業活動収支計算書 ) では Aさんの過去十年分の費用 ( 退職金 ) を一括して全額負担しなければなりません 9
重要用語の解説 問題の対処方法 前例の問題点過去の労働に基ずく債務が全額 当期の費用負担になる対処方法 退職給与引当金を計上する毎期 発生した労働債務を毎期 見積もり その額を 毎期 費用計上する ( 引当計上 ) 結果過去の負担は既に計上済みであるので 当期の費用負担は 当期に発生分のみで済む 10
重要用語の解説 問題の対処方法 前例の問題点過去の労働に基ずく債務が全額 当期の費用負担になる ( 参考仕訳 ) 対処方法退職給与引当金繰入 退職給与引当金を計上する / 毎期 発生した労働債務を毎期 見積もり その額を 毎期 費用計上する ( 引当計上 ) 結果過去の負担は既に計上済みであるので 当期の費用負担は 当期に発生分のみで済む 11
重要用語の解説 支払資金とは? 支払資金とは勘定科目を示すものではありません流動資産の勘定科目グループ及び流動負債の勘定科目グループこの2つのグループの総称して 支払資金 と呼んでいます 12
重要用語の解説 支払資金とは? この 支払資金 は資金収支計算書に連動します 支払資金資金収支計算 増加収入 減少支出 13
重要用語の解説 支払資金とは? 支払資金に関連する仕訳例施設負担金を支払ったとき退職共済預け金 / 現金預金 現金預金は流動資産のグループなので 収支計算書の計算対象になるため仕訳を追加する 退職共済預け金支出 / 支払資金 14
重要用語の解説 この 支払資金 は仕訳を説明する上で表示しているだけです 支払資金とは? 実務上 会計ソフトを使用している場合は その機能によりその表示内容は異なります 支払資金に関連する仕訳例施設負担金を支払ったとき退職共済預け金 / 現金預金 手作業で行う場合は 支払資金を資金収支計算書を作成するための仮の勘定としてもちいることも一つの手段です 現金預金は流動資産のグループなので 収支計算書の計算対象になるため仕訳を追加する 退職共済預け金支出 / 支払資金 ( 現金預金 ) 最終的にはこの部分は計算書には用いません 15
仕訳の要点 退職金と退職共済預け金に差額がある場合退職金 > 預け金退職金 < 預け金退職金と退職給与引当金に差額がある場合 退職金 > 退職給与引当金退職金 < 退職給与引当金職員が施設間を異動した場合減員増員 16
仕訳の要点 退職金が預け金より多く 給付された場合 退職金 > 預け金 退職金 100 退職給与預け金 80 雑収入 20 17
仕訳の要点 退職金が預け金より少なく 給付された場合 退職金 < 預け金 退職金 80 退職給与預け金 100 雑損失 20 18
仕訳の要点 退職金が退職給与引当金より多く 給付された場合 退職金 > 退職給与引当金 ( 例 ) 100 80 退職給与引当金 80 現金預金 100 退職金 20 当期負担額 100-80 19
仕訳の要点 退職金が退職給与引当金より少なく 給付された場合 退職金 < 退職給与引当金 ( 例 ) 80 100 退職給与引当金 100 現金預金 80 退職金給与引当金戻入 20 当期負担額 80-100= 20 20
仕訳の要点 職員の異動に伴う減員 異動に伴い職員が減員した場合には その移動した職員の退職共済預け金と退職給与引当金の残高を消滅させる必要があります 退職給与引当金退職共済預け金 その他の特別損失 その他の特別収入 この振替仕訳で差額がある場合 その他の特別損失またはその他の特別収入のいずれかを計上 21
仕訳の要点 職員の異動に伴う増員 異動に伴い職員が増員した場合には その移動した職員の退職共済預け金と退職給与引当金の残高を計上させる必要があります 退職共済預け金退職給与引当金 その他の特別損失 その他の特別収入 この振替仕訳で差額がある場合 その他の特別損失またはその他の特別収入のいずれかを計上 22
移行処理の仕方 共済から通知する平成 11 年度末時点の退職共済預け金の残高と同額の退職給与引当金を移行処理において計上することで共済会の移行処理は終了します 23
移行処理の仕方 共済から通知する平成 11 年度末時点の 過去において退職共済預け金を資産計上していなかった施設等 退職共済預け金の残高と同額の退職給与引当金を移行処理において計上することで平成 11 年度の帳簿残高と共済会から通知する退職共済預け金の額とに差異がある施設等 共済会の移行処理は終了します 上記の施設等につきましても移行処理において同じ方法で正しく修正してください 24
留意点 今回 共済会が示す会計処理につきましては 社会福祉法人会計基準をその基本としております しかし 共済会に加入されております施設等におきまして それぞれ固有の事業形態があり統一した会計処理の方法を示すことが元々困難である事情もありますそこで今回 共済会の会計処理を示すに当たり 一律的 統一的な形でなく 弾力的 柔軟な方法として標準的な会計処理を示すこととしました 25
留意点 以上の経緯をご理解して頂いた上で 共済会の会計処理を行ってくださいなお 本日の説明会で述べた内容の詳細につきましては 冊子 社会福祉法人会計基準における共済会の会計事務 をお読みくださいその上でご不明な点があれば事務局へお連絡ください 26
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