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249 グルタル酸血症1型

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250 グルタル酸血症2型

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家族の介護負担感や死別後の抑うつ症状 介護について全般的に負担感が大きかった 割合が4 割 患者の死亡後に抑うつ等の高い精神的な負担を抱えるものの割合が2 割弱と 家族の介護負担やその後の精神的な負担が高いことなどが示されました 予備調査の結果から 人生の最終段階における患者や家族の苦痛の緩和が難し

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262 原発性高カイロミクロン血症

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2. 栄養管理計画のすすめ方 給食施設における栄養管理計画は, 提供する食事を中心とした計画と, 対象者を中心とした計画があります 計画を進める際は, それぞれの施設の種類や目的に応じて,PDCA サイクルに基づき行うことが重要です 1. 食事を提供する対象者の特性の把握 ( 個人のアセスメントと栄

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インスリンが十分に働かない ってどういうこと 糖尿病になると インスリンが十分に働かなくなり 血糖をうまく細胞に取り込めなくなります それには 2つの仕組みがあります ( 図2 インスリンが十分に働かない ) ①インスリン分泌不足 ②インスリン抵抗性 インスリン 鍵 が不足していて 糖が細胞の イン

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検診を指導した先生 検査の方法とシステム 大和田 検査は 東京都内の新生児を対象に 974 昭和 49年 9 月か ら開始された その後 検査料が公費化され 977 年より国 東 京都による公費検査として 下図のシステムで実施されている 検査の対象疾患は 974 年度はガスリー法によるフェニルケト ン尿症とホモシスチン尿症であったが 976 年度からメープルシ ロップ尿症 ガラクトース血症 ペイゲン法 ボイトラー法を 追加 そして 977 年度からヒスチジン血症を含めた 5 疾患のス クリーニングが行われてきた また 980 年 月からはクレチン 症 先天性甲状腺機能低下症 そして 989 平成元年 月か らは副腎過形成症のスクリーニングが公費化され 実施されてい る 99 年度より ヒスチジン血症がスクリーニングから除外さ れて対象疾患は 6 疾患となったが 0 年 4 月からタンデムマス 法によるシトルリン血症Ⅰ型 アルギニノコハク酸尿症 プロピ オン酸血症 メチルマロン酸血症 イソ吉草酸血症 グルタル酸 血症Ⅰ型 複合カルボキシラーゼ欠損症 - メチルクロトニルグ リシン尿症 - ヒドロキシ - - メチルグルタル酸血症 中鎖アシ ル CoA 脱水素酵素欠損症 極長鎖アシル CoA 脱水素酵素欠損症 カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼⅠ欠損症 三頭酵素 / 長鎖 - ヒドロキシアシル CoA 脱水素酵素欠損症の 疾患が追 加され 計 9 疾患のスクリーニングが実施されている 検査で異常が発見された新生児は 駿河台日本大学病院小児科 などで確定診断され 治療と指導が行われている 操 東京都予防医学協会代謝病研究部長 落合和彦 東京産婦人科医会会長 鹿島田健一 東京医科歯科大学大学院講師 北川照 日本大学名誉教授 杉原茂孝 東京女子医科大学東医療センター教授 中井章人 東京産婦人科医会常務理事 中林正雄 東京産婦人科医会副会長 村田光範 東京女子医科大学名誉教授 協力 東京都 東京産婦人科医会 都内精密検査 治療機関 50 音順 06年版

表 初回採血検体の検査方法 04 年度 対象疾患 検査項目 初回検査 確認検査 アミノ酸代謝異常症 アミノ酸 タンデムマス法 HPLC法 有機酸代謝異常症 アシルカルニチン タンデムマス法 タンデムマス法 GC/MS 法 脂肪酸代謝異常症 アシルカルニチン タンデムマス法 タンデムマス法 Gal-R 法 酵素法 Gal-R 法 酵素法 ボイトラー法 酵素法 ボイトラー法 酵素法 ガラクトース Gal 糖質代謝異常症 ガラクトース血症 ガラクトース -- リン酸 Gal--P ガラクトース -- リン酸ウリジル トランスフェラーゼ活性 UDP- ガラクトース -4- エピメラーゼ活性 エピメラーゼ法 酵素法 注 タンデム質量分析法 高速液体クロマトグラフ法 ガスクロマトグラフ質量分析法 トグラフ質量分析法 GC/MS法を用いて同一検体に 回検査数は0,79件で 0年度に比べて,54件増 よる確認検査を行っている ガラクトース血症の検査 加した 初回検査の結果 異常値を示して再採血を依 においては 初回検査としてガラクトースとガラク 頼した数はアミノ酸代謝異常検査件 0.0 有機 トース--リン酸をGal-R法で測定し さらにガラクトー 酸代謝異常検査85件 0.08 脂肪酸代謝異常検査 ス--リン酸ウリジルトランスフェラーゼ活性の有無を 4件 0.0 糖質代謝異常 ガラクトース血症検 ボイトラー法で確認している 初回検査で陽性を示し 査4件 0.04 であった 再採血検査の結果 40例 た検体の確認検査においては Gal-R法とボイトラー法 が精密検査対象となった これら40例はいずれも精密 による検査のほかにUDP-ガラクトース-4-エピメラー 検査を受診しており スクリーニングの対象疾患とし ゼ活性の有無をエピメラーゼ法で確認している 先天 て診断された症例はフェニルケトン尿症 PKU例, 性代謝異常症全般の再採血検査においては いずれも 高フェニルアラニン血症 HPA例 メチルマロン酸 確認検査と同様な検査を行っている 血症 MMA例 プロピオン酸血症 PA例 メチ 東京都における先天性代謝異常検査の基準値 カッ トオフ値を表に示した ルクロトニルグリシン尿症 MCC例 極長鎖アシ ルCoA脱水素酵素 VLCAD欠損症例 UDP-ガラ クトース-4-エピメラーゼ欠損症 ガラクトース血症Ⅲ 04 年度のスクリーニング成績 スクリーニング成績 型例の計9例であった さらに タンデムマス次 対象疾患の中からシトリン欠損症例とカルニチント 04年度の採血医療機関としての登録病産院数は ランスポーター異常症 CTD例の計例が発見され 9で 04年度はこのうちの0院 76.8 からスク た 他の9例のうち 例が門脈大循環シャントと診 リーニング検体が送付されてきた 断され 残りの8例はいずれも正常と診断された そ 検体受付時の確認において 検査に不適当と判断さ の結果 本スクリーニングの対象疾患に対する陽性適 れた検体数は8件で その内訳は所定の日数より早く 中度は.5 9/40であった 何らかの疾患が確認さ 採血された検体 早すぎ4件 採血量不足7件 ろ紙 れた例のスクリーニング時の検査結果は表4に示す 汚染件 その他 採血から受付までの日数超過など5 とおりである 件であった これら8件についてはすべて再採血が行 年度までの年度別スクリーニング成績を表5に示した われた 04年度のスクリーニング成績を表に示した 初 4 本会が974年にスクリーニングを開始してから04 これまでに発見されたスクリーニング対象疾患数は 06年版

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表 5 先天性代謝異常症の年度別スクリーニング成績 974 04 年度 年 度 974 80 98 85 986 90 99 95 996 000 00 05 006 007 008 009 00 0 初 回 検査数 再採血 精密検査 対象疾患 依頼数 依頼数 発見数 確認された疾患の内訳 45,86,790 08 59 559,8,57 74 89 497,485 904 7 85 46,79 667 79 46 PKU 9 HPA 6 HIS HCU GAL- Ⅱ GAL- Ⅲ 7 H-MET 46,087 5 5 5 PKU 4 HPA 5 GAL- Ⅲ 6 H-MET 470,6 89 67 PKU HPA 6 MSUD T-MET GAL- Ⅱ GAL- Ⅲ 9 95, 97,95 98,964 99,99 00,409 98,59 77 98 87 7 95 94 4 4 5 0 99,4 PKU HCU GAL- Ⅱ GAL- Ⅲ PA MCAD 欠損症 TFP/LCHAD 欠損症 シトリン欠損症 CPT- Ⅱ欠損症 H-MET 0 00,75 4 HPA MSUD GAL- Ⅱ GAL- Ⅲ PA MCC GA- Ⅰ CPT- Ⅱ欠損症 CTD 04 0,79 66 40 9 計,76,54 7,6 88 69 PKU 5 HIS 54 PKU HPA HCU HIS 7 H-MET T-MET 5 T-CIT T-GAL GAL- Ⅱ GAL- Ⅲ 8 ARG PKU 5 MSUD HPA 4 BH4 GAL- Ⅱ 5 GAL- Ⅲ 0 HIS 59 CIT H-MET T-GAL T-CIT PKU GAL- Ⅱ GAL- Ⅲ GAL- Ⅰ GAL- Ⅱ HPA MSUD PKU HPA PKU HPA GAL- Ⅲ PKU 4 MSUD PKU HPA MMA PA MCC VLCAD 欠損症 GAL- Ⅲ シトリン欠損症 CTD PKU 6 HPA BH4 HCU MSUD 8 GAL- Ⅰ GAL- Ⅱ GAL- Ⅲ 46 PA 8 MMA MCC GA- Ⅰ MCAD 欠損症 VLCAD 欠損症 TFP/LCHAD 欠損症 HIS 07 シトリン欠損症 CPT- Ⅱ欠損症 CTD CIT ARG H-MET 7 T-MET 6 T-GAL T-CIT 内の数は発見数には 含まない 注PKU フェニルケトン尿症 HPA 高フェニルアラニン血症 BH4 ビオプテリン欠乏症 HCU ホモシスチン尿症 MSUD メープルシロップ尿症 GAL-Ⅰ ガラクトース--リン酸ウリジルトランスフェラーゼ欠損症 GAL-Ⅱ ガラクトキナーゼ欠損症 GAL-Ⅲ UDPガラクトース-4-エピメラーゼ欠損症 PA プロピオン酸血症 MMA=メチルマロン酸血症 MCC メチルクロトニルグリシン尿症 GA-Ⅰ グルタル酸血症Ⅰ型 MCAD 中鎖アシルCoA脱水素酵素 VLCAD=極長鎖アシルCoA脱水素酵素 TFP/LCHAD 三頭酵素/長鎖 -ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素 HIS ヒスチジン血症 CPT-Ⅱ カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼⅡ CTD カルニチントランスポーター異常症 CIT シトルリン血症 ARG アルギニン血症 MET=メチオニン血症 H- 高 T- 一過性 タンデムマス法 次対象疾患 < 対象疾患の推移 > 974 975 年度 976 年度 977 99 年度 99 0 年度 0 年度 疾患 4 疾患 5 疾患 4 疾患 7 疾患 フェニルケトン尿症 ホモシスチン尿症 フェニルケトン尿症 ホモシスチン尿症 メープルシロップ尿症 ガラクトース血症 フェニルケトン尿症 ホモシスチン尿症 メープルシロップ尿症 ガラクトース血症 ヒスチジン血症 フェニルケトン尿症 ホモシスチン尿症 メープルシロップ尿症 ガラクトース血症 表 のタンデムマス法 次スクリーニング対象疾患 6 疾患とガラクトース血症 疾患 94. 9.9 9.6 9,5 9. であった 法で異常を示した検体についてHPLC法で確認検 査を行い 有機酸代謝異常の検査においては タ 精度管理について 本会では正しいスクリーニングを行うために次のよ うな精度管理を行っている 内部精度管理 同一の検査法による再測定の実施 先天性代謝異常検査全般において 異常を示し た検体は同一の検査法で再測定を行っている 異なる検査法による確認検査の実施 アミノ酸代謝異常症の検査では タンデムマス 6 ンデムマス法で異常を示した一部の検体について GC/MS法で確認検査を行っている 基準値平均法による管理 先天性代謝異常検査全般において 検査日 項 目別に 異常値を除いた測定値の平均を算出する 基準値平均法を用いて精度管理を行っている 4 患者検体による管理 駿河台日本大学医学部小児科と本会代謝外来か ら供与された患者の血清とろ紙血液 同時に採取 06年版

表 6 先天性代謝異常症の発見率 された検体を用いて アミノ酸自動分析計で測 974 04 年度 定した血清アミノ酸値と タンデムマス法および を比較して タンデムマス法とHPLC法の正確度 の管理を行っている アミノ酸代謝異常症とガラクトース血症の検 査では 国立成育医療研究センター研究所マスス クリーニング研究室製のろ紙血液管理検体を用い 有機酸代謝異常症と脂肪酸代謝異常症などの検査 では 米国疾病予防対策センター CDC製のろ紙 血液管理検体を用いて X R管理図法などで精 糖質代謝 有機酸代謝 脂肪酸代 異常症 異常症 謝異常症 5 管理検体による管理 アミノ酸代謝 異常症 HPLC法を用いて測定したろ紙血液中アミノ酸値 疾 患 初回検査数 発見数 フェニルケトン尿症 高フェニルアラニン血症 ビオプテリン欠乏症 6,75,55,75,55 /,50,845 ホモシスチン尿症 メープルシロップ尿症,75,55 /,50,845,76,9 8 /467,04 Ⅰ型 Ⅱ型 Ⅲ型,76,9 /,76,9,76,9,7,98 46 プロピオン酸血症 メチルマロン酸血症 メチルクロトニルグリシン尿症 グルタル酸血症Ⅰ型 0,48 8 /7,80 0,48 /0,48 0,48 /00,806 0,48 /0,48 MCAD 欠損症 VLCAD 欠損症 TFP/LCHAD 欠損症 0,48 /5,09 0,48 /0,48 0,48 /0,48 ガラクトース血症 合 度管理を行っている 発見率,75,55 計 /04,7 /,050 /5,608 58 /87,40 /5,05 /67,78 /0,8 タンデムマス法 次スクリーニング対象疾患 6 内部標準物質を用いた管理 アミノ酸代謝異常症の確認検査では イオン交 シトリン欠損症 CPT- Ⅱ欠損症 カルニチントランスポーター異常症 0,48 /5,09 0,48 /5,09 0,48 /5,09 換型HPLC法の内部標準物質としてグリシルノル バリンを用いた測定法を採用して精度管理を行っ れまで以上にわれわれの力量が問われており 新たな ている 疾患との出会いはこれからも数年間は続くものと思わ れる 外部精度管理 国立成育医療研究センター研究所マススクリーニン 本スクリーニングで先天性代謝異常症が疑われた場 グ研究室と米国CDCが実施している外部精度管理に 合 本会は専門のコンサルタント医師に相談した上で それぞれ年回の割合で参加している 両者の精度管 検査結果 要精密検査の第報として東京都と当該病 理において 本会は本年度も優良な検査機関としての 産院に電話等で連絡している しかし タンデムマス 高い評価を受けた 法で発見される疾患は今のところ病産院にとってあま り馴染みのない疾患であることが多く 担当医などか ら当該疾患の対応における注意点や精密検査受診先に おわりに 04年度はタンデムマス法が正式に導入されて年 関する問合せが少なくない そのため われわれは検 目となる 導入初年度から年間にタンデムマス法に 査を行うだけではなく 対象疾患の臨床所見や診断 より新たに発見された疾患をみると 0年度にはプ 治療に関する専門医の把握に努め 必要に応じて精密 ロピオン酸血症 中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症 検査受診先の紹介や案内も行っている さらに 精 三頭酵素/長鎖-ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素欠 密検査 治療などを目的とした特殊検査依頼 血清ア 損症 そしてシトリン欠損症とカルニチンパルミトイ ミノ酸分析 尿BH4分析 血清アシルカルニチン分 ルトランスフェラーゼⅡ欠損症 両者はタンデムマス 析 尿有機酸分析などにも現在は無償で対応してお 法次対象疾患の5疾患 0年度はさらにメチルク り 患者の発症予防と障害防止のために これからも ロトニルグリシン尿症 グルタル酸血症-Ⅰ型 カル 迅速な診断 治療に貢献していきたいと考えている ニチントランスポーター異常症 タンデムマス法次対 先天性代謝異常症のスクリーニングが順調に行われ 象疾患の疾患 04年度はメチルマロン酸血症 極 ていることは非常に喜ばしく ご協力いただいた関係 長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症の疾患が加わった の方々に深く感謝の意を表したい 毎年のように新たな対象疾患 患者が発見され こ 06年版 文責 世良保美 7

先天性甲状腺機能低下症 C H の 新 生児スクリーニング実施成績 杉 原 茂 孝 東京女子医科大学東医療センター教授 04 年度のスクリーニング成績 はじめに 979 昭和54年から公費による先天性甲状腺機能 本会における04年度の先天性甲状腺機能低下症 低下症の新生児マススクリーニングが開始され 6 CHのスクリーニング成績を述べる 年経過している 早期発見 治療開始によって 先 スクリーニング方法 天性甲状腺機能低下症の知能予後は マススクリー ニング開始以前に比べて飛躍的に改善している 前年度までと同様に乾燥ろ紙血中TSHを測定した TSHは ELISA法 エンザプレートNeo-TSH シー 東京都予防医学協会 以下 本会における先天性 メンスヘルスケア ダイアグノスティクス社で測 甲状腺機能低下症スクリーニングは順調に進められて 定し 初回測定値が上位パーセンタイル以内の検 いるが 時代の変化とともに新たな問題も生じており 体について再測定を行った 本稿は04年度の報 本会小児スクリーニング科では スクリーニングシス 告であるので 従来の血清表示で示す 血清表示で テムの改善のために検討と対応を進めている 40µIU/mL 全血表示では5µIU/mLに相当以上を 04 平成6年6月に日本小児内分泌学会と日本 示した場合には即精密検査 血清表示5 40µIU/ マススクリーニング学会から 先天性甲状腺機能低 ml 全血表示では9 5µIU/mLに相当の場合に 下症マススクリーニングガイドライン 04年改訂 は再採血とした 再採血および再々採血検体につい 版 が出された 東京都では従来 甲状腺刺激ホル ての判定基準は 表に示す 全血表示とした場合 モン TSH濃度表示は すべて全血値を.6倍して のTSH基準値を表に示す また 初回測定値が上 血清濃度単位に換算して表示してきた しかし こ 位パーセンタイル以内の検体については 遊離サ のガイドラインに基づき 05年4月よりTSH濃度 イロキシン FT4をELISA法 エンザプレートN-F 表示をすべて全血値に変更した これは非常に大き T4 シーメンスヘルスケア ダイアグノスティクス な改革であったと考える 社で測定し 参考値とした 都立病院からの検体 本稿では 04年度のスクリーニング成績のまと めを示す また 05年の第4回日本マススクリーニング学 会で 東京都の低体重回目採血におけるCHスク リーニングの成績 として低出生体重児の回目採血 率が009年度以降上昇していること その前後の変 化について報告したので その内容の一部を紹介す る 06年版 表 先天性甲状腺機能低下症スクリーニング判定基準 初回検体 40 即精密検査 TSH µiu/ml 5 40 再採血 血清表示 5 正常 再採血検体 再々採血検体 0 精密検査 8 精密検査 0 0 再々採血 0 正常 8 正常 注TSH 濃度表示は 全て血清濃度単位に換算して表している TSH 上位 パーセンタイルのものについては 遊離サイロキシン FT4を 測定し参考としている 再採血が生後 週以上経過している場合は 8 を精密検査とする 9

表 全血表示による先天性甲状腺機能低下症 スクリーニング判定基準 東京都予防医学協会 については TSHとFT4 の両者を測定している 陽 性例については TSH値とともにFT4 値も採血医療 初回検体 5 即精密検査 TSH µiu/ml 血清表示 9 5 再採血 再採血検体 再々採血検体 精密検査 5 精密検査 新生児のFT4 基準値は 従来.0.0ng/dLとし 6 再々採血 9 正常 機関に知らせている 6 正常 5 正常 注TSH上位パーセンタイルのものについては 遊離サイロキシン FT4を 測定し参考としている 再採血が生後週以上経過している場合は 5を精密検査とする てきたが 現在は採用していない 表に在胎週数 別 採血日齢別FT4 の参考値を示す ただし こ れはあくまでも参考値であり 基準値ではない 表 遊離サイロキシン FT4の在胎週数別 採血日齢別における平均値 Mと -.5SD 値 FT4 ng/dl 在胎週数 週 5 6 5 6 7 8 年度別のスクリーニング成績を表4に示す 04 採血 日齢 4 7日 スクリーニング成績 8 4 日 5 日以降 年度の月別スクリーニング成績を表5に示す M.5SD 平均 M.5SD 平均 M.5SD 平均 <0.0 0.58 0.6 0.74 0.4. 0.9.7 0.67.68 0.7.59 人で 初回検査で即精査となったのが5人 0.04 0.77.7.6.7.0. 0.86.88 であった 表5 この中にはTSH 00µIU/mL以.4.4 04年度のスクリーニングの総検査数は0,79 上で至急精査が必要と考えられたケースが8例 表 4 年度別先天性甲状腺機能低下症のスクリーニング成績 980 04 年度 年度 東京都の 出生数 本 検 査 セ ン タ ー での検査数 TSH 上 位 パーセンタイル 注 の件数 TSH µiu/ml 注 5 40 40 00 00 TSH 5µIU/mL 以 上 の 合 計 注 980 984 67,686 564,77 8,4. 684 0. 46 0.008 59 0.00 789 0.40 985 989 990 994 587,4 508,46 50,8 467,47 6,795.9 5,475.,4 0.8,459 0.56 58 0.0 85 0.08 4 0.008 5 0.0,4 0.57,596 0.555 985 986 987 988 989 990 6,78,745 8,509 4,4 06,480 0,98 06,874 0,5 0,7 0,487 96,0 9,874,58.5,78.7,5.8,88.4,96.4,99.9 54 0.44 4 0. 0.8 00 0.96 86 0.96 4 0.49 0.0 7 0.007 0.0 0 0.00 7 0.08 6 0.07 9 0.008 0.0 7 0.007 9 0.009 4 0.004 0 0.00 75 0.6 6 0.5 5 0.46 9 0.4 07 0.9 48 0.466 99 99 99 994 995 996 997 998 999 000 0,6 00,965 98,9 0,998 96,8 97,954 97,906 98,960 97,959 00,09 9,894 9,4 9,885 95,5 90,04 9,678 90,79 9,756 90,759 98,0,99.9,069.,97.48,5.8,0.4,0.8,0.4,07.5,05.,590.66 490 0.5 460 0.498 496 0.540 60 0.60 446 0.494 5 0.560 60 0.694 69 0.675 77 0.80 87 0.888 8 0.09 4 0.05 0.0 6 0.07 0.0 8 0.00 0.04 9 0.0 4 0.06 0 0.0 0 0.00 5 0.06 0 0.0 7 0.007 6 0.007 4 0.05 0.0 0.04 5 0.07 0 0.00 58 0.5 489 0.59 57 0.574 64 0.654 46 0.5 545 0.594 664 0.7 65 0.709 766 0.844 9 0.99 00 00 00 004 005 006 007 008 009 00 98,4 00,7 98,540 99,84 96,55 0,67 04,57 06,08 06,05 08,098 96,07 95,6 94,977 9,897 90,784 95, 97,95 98,964 99,99 00,409,479.6,9.8,6.4,080.,980.8,90.6,0.9,0.5,96.0,44. 707 0.76 654 0.684 64 0.668 60 0.649 64 0.70 79 0.750 65 0.670 68 0.688 808 0.80 79 0.76 0.0 0.0 0.0 6 0.08 6 0.09 5 0.06 4 0.04 5 0.05 8 0.08 0.0 8 0.09 4 0.05 5 0.06 8 0.09 5 0.07 6 0.07 6 0.06 4 0.04 5 0.05 7 0.07 746 0.777 690 0.7 66 0.696 647 0.696 684 0.75 760 0.797 68 0.70 70 0.77 84 0.84 778 0.775 0 0 0 04 06,500 07,40 09,984 0,69 98,59 99,4 00,75 0,79,60.,9.6,68.6,08.00 665 0.674 58 0.5 57 0.5 474 0.460 6 0.06 5 0.05 4 0.04 6 0.06 0.0 9 0.09 4 0.04 8 0.08 70 0.7 56 0.566 565 0.56 508 0.495,8,05,459,087,965.0 7,07 0.497 575 0.07 464 0.0 8,46 0.57 計 注TSHのcut-off 値は985年度までは0µIU/mL 986年度以降は 5µIU/mL TSH測定は 987年度まではRlA競合法 988 989 年度は RlAサンドイッチ法 990 年度より ELlSA法 内は 本検査センターでの検査数に対する を示す 40 06年版

表 5 月別先天性甲状腺機能低下症のスクリーニング成績 04 年度 月 初 検 検査数 低体重 回目 保 留 検査数 再検査 依頼数 % 精密検査依頼数 初検時 再検時 他項目より 計 04年 4 5 6 7 8 9 0 8, 8,600 8,0 9, 8,7 9, 9,4 8,68 8,679 48 69 48 7 46 50 76 49 50 66 74 50 88 57 80 9 60 79 50 0.6 46 0.5 8 0.47 4 0.6 4 0.48 57 0.6 58 0.6 47 0.58 56 0.65 5 4 5 4 4 5 6 5 0 0 0 0 0 9 7 8 6 9 9 9 8 05年 8,849 7,65 8,9 66 48 49 78 44 6 68 0.77 4 0.54 47 0.58 6 8 4 8 8 計 0,79,87,0.8.4 0.08 含まれていた 表4 人はTSH 40µIU/ 584 0.57 5 5 8 95 0.04 0.05 0.008 0.09 降は増加傾向となり0万人を超えている その結果 ml未満ではあるが 担当医と相談の上 即精査と 04年度の総検査数 0,79人は005年度に比べ した 再採血依頼数は584人 0.57 であった 表5 て,945人増加している 表4 000年度から都立病院で出生した新生児が加わっ 04年度のTSH 5µIU/mL以上の合計は508人 たため 000年度の総検査数 98,0人が999年度 0.495 であり 再採血となるTSH 5 40µIU/ に比べて7,4人増加した 00年度は000年度に mlの数が474人と減少傾向にある 即精査となる 比べて,074人減少し 00 005年度はさらに減 TSH 40µIU/mL以上の数は4人で 0年度より6 少している しかし 東京都の出生数は 006年度以 人増加した 表4 06年版 4

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先天性副腎過形成の 新生児マススクリーニング実施成績 鹿島田健一 東京医科歯科大学大学院講師 今年も従来の年報に則って 04年度の成績として はじめに 先天性副腎過形成 水酸化酵素欠損症/以下 ①これまでのスクリーニング成績 ②04年度のスク CAH新生児マススクリーニングは989年 昭和64年 リーニング実施状況とその成績 ③04年度の精密検 月より全国的に施行され 04 平成6年で5年が 査者の概要 ④04年度のスクリーニング を振り 経過する 東京都予防医学協会 以下 本会が今ま 返り いくつかの問題点について以下に述べる でにスクリーニングをした新生児数は60万人を超え これまでのスクリーニング成績 その規模は当然ながら国内最大規模であり そのデー 表に本会における各年度の受付検体数 再採血 タを集計することは 日本におけるCAHのスクリー 件数と精密検査件数 および受付検体数に対するこ ニングに多くの知見をもたらすことになる 表 先天性副腎過形成症の年度別スクリーニング成績 984 04 年度 年 本会での 検査数 度 再採血数 精密検査数 Pilot study 984. 988.,89 748 0.57 ) 988 989 990 99 99 99 994 995 996 997 998 999 000 00 00 00 004 005 006 007 008 009 00 0 0 0 04,99 96,0 9,874 9,894 9,4 9,885 95,5 90,04 9,678 90,79 9,756 90,759 98,0 96,07 95,6 94,977 9,897 90,784 95, 97,95 98,964 99,99 00,409 98,59 99,4 00,75 0,79 5 7 47 74 76 7 7 46 404 48 456 8 46 50 50 57 570 494 476 456 590 656 574 総 数 06年版,64,6 0.4 0. 0. 0.8 0.7 0.4 0.9 0. 0.0 0.0 0.7 0.4 0.4 0.45 0.48 0.40 0.50 0.56 0.56 0.59 0.58 0.49 0.47 0.46 0.59 0.65 0.56 0,958 0.4 4 0.0 6 0 4 5 4 0 7 7 9 5 8 5 6 0 0 5 4 7 6 5 9 6 0.07 0.0 0.0 0.05 0.07 0.06 0.0 0.09 0.05 0.09 0.0 0.07 0.09 0.04 0.04 0.06 0.0 0.08 0.0 0.0 0.05 0.04 0.07 0.006 0.05 0.09 0.05 患児数 精密検査数に対する 患児数の割合 % 0.005 6 0.009 5 0.005 7 0.007 0.00 0.00 8 0.009 6 0.006 5 0.006 6 0.007 4 0.004 7 0.008 0.00 0.00 5 0.005 0.00 4 0.004 0.00 未確認 未確認 5 0.005 4 0.004 8 0.009 0.0 0.00 0.00 7 0.007 6 0.006 6 4 0 9 6 4 7 0 4 8 8 7 9?? 5 7 57 7 50 0 4 54 0.0 9 0.005 4 45

れらの率 同定された患児数とその率 精密検査数 検査件数も回復し 本年度はスクリーニングを開始 に対する患児数の割合を示した してから最多の検査数となった 表 また要精密検 東京都パイロットスタディ開始時から04年度 までに発見された患者数は 追跡調査を行わなかっ た005 006年度を除くと9人で その頻度は /,044 9/,64,6であった この頻度はおおむ 査者数や患者発生数については 通年で特記すべき 傾向は認めなかった 表 再 採 血 数 は574件 0.56 と 前年度 の656件 0.65 を大幅に下回り 精密検査数も6件 0.05 と わずかではあるが前年度より減少した 表 ね諸外国とも一致し また一定の傾向にある 984年施行以来 全体での平均は再採血が0.4, 精 密検査が0.0 であり 比較すると再採血 精密検 04 年度スクリーニング成績 査ともに平均を上回る値であった 007年度の0.59 検査方法 先天性副腎過形成症の新生児スクリーニングにお を境に減少傾向に転じていた再採血は0年度以降 けるろ紙血7-OHPの測定方法 初回採血陽性基準 上昇に転じ 特に0年度 0年度はいずれも大 再採血基準 精密検査基準などは 従来どおり直接 幅な増加を見せたが ここにきてまた減少した い 法 シーメンスヘルスケア ダイアグノスティクス まだ例年に比べ高めの水準ではあるが とりあえず 社製キットで測定を行い 上位パーセンタイル値 は推移を見守っていきたい をとった検体は さらに抽出法によって測定を行う 早産児における7-OHPの判定法に関しては さま 抽出法は7位抗体を用いた7-OHP D-ELISA 栄研 ざまな方法により率を減らすことが試みられ による測定である ているが 本会では989年度より 早期産あるいは 低出生体重児には成熟児とは異なる基準を用いるこ 再採血率 要精密検査率 04年度の受付検体数は0,79件で 前年度より とで率を減らすよう努めており 表 その結 も,54人検査数が増加している 00年度に一度0 果 要精密検査症例の割合は 周産期医療が発達し 万人を超えた後 0年度に東日本大震災の影響と 早産児が増える以前と比較してもほとんど変わらな 思われる,800人あまりの減少を認めたが その後は い割合で推移している 表 月別副腎過形成症検査数 04 年度 月 46 初 検 検査数 4 5 6 7 8 9 0 8, 8,0 8,600 9, 8,7 9, 9,4 8,68 8,679 8,849 7,65 8,9 計 0,79 低出生体重時 回目検査数 % 保留検査数 % 精密検査数 % 再検査数 % 48.8 48.85 69.97 7.84 46.68 50.64 76.88 49.8 50.7 66.88 48.94 49.8 68.0 48.09 6.05 89.0 66.05 78.05 96.7 5.0 86.0.6 4. 97.65 50 0.6 0.40 8 0. 60 0.64 40 0.46 7 0.4 67 0.7 47 0.58 60 0.69 68 0.77 4 0.55 4 0.5,87.8,86.0 574 0.56 CAH 患児数 初検時 再検時 4 0 0.09 6 6 0.006 06年版

表 先天性副腎過形成症 -OHDマススクリーニング陽性基準 対象者全員に7-OHP 直接法の測定を行い 測定結果の95 97パーセンタイルに対して7-OHP抽出法 を実施し 以下の区分により判定する 在胎週数区分と体重区分が異なる場合は低いCut-off 値により判定する 使用キット 7-OHP D-ELISA 栄研 989 年 0 月から 採血時修正在胎週数 週 5 6 7 1 出生時在胎週数 週 9 0 4 5 6,000,999,000,499,500 5 8 5 0 0 0 2 体 重 g Cut-off 値 7-OHP 抽出法 ng/ml 血清 999 再採血 精 検 密 査 8 7 0 注 採血日齢が遅いときは参考値 初回採血は出生体重 初回採血および再採血時の採血日齢が遅いときは採血時修正体重 採血時修正体重 g= 出生体重 g+ 採血日齢 7 0 g 低体重児の体重増加 5 5g/day 999g は約 ヵ月で,000,499g は約 週間で出生時体重 SFD 不当軽量体重児 LFD 不当重量体重児では 必ずしもこの基準値に当てはまらないことがあり 適宜判断する 04 年度の要精密検査者について また adrenal crisisを来す可能性のある古典型4 前述したように 04年度の要精密検査者は6人 例は 出生医療機関と精査医療機関が異なる例を であった 表4 診断は 古典型CAH 4例 非古典 含め 全例が日齢0までに専門医療機関で精査され 型 CAH例 一過性の高7-OHP血症を含む偽陽 ていた これは引き続きスクリーニングと各医療施 性0例であった 発見された古典型4例はいずれも 設との連携による迅速な対応がなされていることを 回目検査で陽性になり 早期受診を果たしている 示している 明らかな副腎不全症状を認めたとするケースはなく なお 非古典型と診断された例は 精査される 初診時の血清Na値はいずれも5mEq/L以上 血 までの期間がいずれも生後0日以降であり 再採血 清K値は6mEq/L未満であった スクリーニングに などを行った上で精査になったケースである 非古 より 速やかな受診と副腎クリーゼを発症する前の 典型は軽症型であり 外性器異常 adrenal crisisの 治療が開始できていると言える いずれも生じないため 緊急での精査が不要な疾患 また性別判定に関しては スクリーニング当時性 であり 治療も必ずしも必要ではない したがって 別判定不能であった例が例あり 出生の外性器 元来CAHスクリーニングにおいて発見することを 性化に伴う性別判定困難女児例と考えられる 目的とした病型ではなく 精査日までの遅れはやむ 検査回数による傾向をみると 初回検査で要精 を得ないものと考える しかし非古典型も慎重な経 密検査になったのは 6 例で そのうち 4 例が古典型 過観察が必要な疾患であることに変わりはなく 非 塩喪失型であった 一方 複数回 回 例 回 古典型がスクリーニングにおいて発見されることは 8 例 4 回 例の検査で要精密検査となった 0 例 重要なことであると考える のうち 例が非古典型 8 例がもしくは 以上 これらの調査結果は CAHスクリーニング 一過性の高 7-OHP 血症であった 全体では要精密 の目的である塩喪失によるadrenal crisisの予防とい 検査患者 6 例のうち実際の 6 例 非古典型 例を含 う観点に沿って十分にその役割を果たしていると考 むの患者が占めた割合 陽性適中率は. であ えられた り この率は例年と比べて平均的な割合であった た先生方には厚く御礼を申し上げたい 表 また この場を借りて 追跡調査にご協力くださっ 06年版 47

表 4 要精密検査者 04 年度 体重 検査 採血 No. 週数 回数 日齢 g 7OHP D 7OHP E 性別 精査時 7-OHP Na K Cl 副腎不 性化 日齢 ng/ml meq/l meq/l meq/l 全症状 症状 診断 59 40 8 4 00.0 以上 95. 0 0. 7 5.8 07 50 7 4 9.7 95.5 0 60. 7 4.9 04 CAH SL CAH SL 5 74 4 5 00.0 以上 65. 不明 > 女 0.0 9 4.5 0 あり CAH SL or SV 5 56 40 5 6.9 9.0 8 6.7 8 5.9 04 あり CAH SV 5 698 6 4.8.0 4 6. 8 5.0 06 CAH NC 54 6 5 0 4.0.9 7.8 40 5.4 07 CAH NC 55 0 5 5 5. 7.6.7 8 5.8 06 56 54 4 8 4.0 5.8 68 6. 9 4.6 07 57 676 7 8.6 8.4 5.6 7 4.6 0 58 54 4 5.7 8.6 77 4.6 7 5. 07 59 048 4.4 4.9 女 48 8.0 4 6. 一過性高 7-OHP 血症 50 06 7 0.5 7.0 女 7 5 640 5 9 4.8 7.6 5 60 7 7 8.6 6.7 女 46.7 9 5. 06 5 460 7 0.4 8.4 女 4.7 4 5.0 08 54 646 6 4 9.8 6.8 4.0 8 4.9 07 55 8 6 9..6 45.4 9 5.5 05 56 60 7 6 5.8 5.5 49.0 40 5.7 06 57 606 6 6 5.8 5.8 65 0.5 8 4.6 09 58 696 7 9 4. 6.0 9.5 8 5.4 05 59 787 8 4.5 6.0 4 6.0 40 6.6 0 540 00 9 8 8.7 6.0 女 9 4. 7 5. 04 54 598 6 6 67.0. 54 69 6 40.6 5.4 5.4 4 4.9 09 54 78 7 8. 8.7 女 55 4.4 4.7 5.0 08 一過性高 7-OHP 血症 544 466 5 4 54 64.0 6.6 注SL 塩喪失型 SV 単純性化型 NC: 非古典型 : 調査票返却 病型のみ確認 04 年度の CAH スクリーニングを振り返って してきた これを踏まえ 0 年度より,000g 未 低出生体重児 出生体重,000g 未満の扱いに 満で出生した児における 回目検査の検体数を資料 ついて に加えている 表 04 年度は,87 件で 全体 以前よりにおいて 低 の初回検体数に占める割合は.8 であった この 出生体重児で回採血し検査することの有用性につ 数字は,000g 未満で出生した児の割合とほぼ一致 いて報告されており その指針が日本マススクリー しており 0 年度以降 本スクリーニングにお ニング学会から出されていたが 004年には現状の いてはおおむね 回目の検査が履行されていること 医療を鑑みた形で若干修整が加えられたものが日本 がわかった 未熟児新生児学会から発表された その内容は 出 RIA 法 7-OHP 測定中止の問題 生体重が,000g未満の児は通常のスクリーニングの 昨年の年報にも記したが 00 年 月から試薬 採血を行った後に ①生後ヵ月 ②体重が,500g 抗体の問題に伴い SRL や三菱などが受託して に達した時 ③医療施設を退院する時のいずれか早 いた RIA 法を用いた 7-OHP の測定ができない状態 い時期で回目の採血を行うというものである が続いている 現在は 代替として一部の検査会 本会でもその方針に沿って 出生体重が,000g 社において ELISA 法を用いた測定を行っているが 未満の児には再採血を施行するよう医療機関に依頼 検査法が未承認であるため保険収載されていない 48 06年版

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フェニルケトン尿症女子患者の妊娠と出産 大 和 田 操 東京都予防医学協会 代謝病研究部長 鈴 木 健 城西大学薬学部 北 川 照 日本大学名誉教授 HPAが最も多く発見され 日本におけるそれらの はじめに わが国では977 昭和5年から全新生児を対象に 発生頻度は約/58,000と計算される 表 して 先天性代謝異常症等の新生児マス スクリー 東京都では 東京都立衛生研究所および東京都予 ニング が開始された この検査は 治療法がある先 防医学協会 以下 本会がこの検査を担当すること 天性疾患を早期に発見し 早期治療によって病気に になり 000年からは東京都で出生する全新生児の 起因する障害を予防する目的で 厚生省 現厚生労働 スクリーニング検査を本会が担当しているが 東京 省の指導によって開始された 当初は 食事療法が 都においても Pheが高値を示して精密検査対象と 有効な先天性代謝異常症4疾患が選択され 後に薬物 なった新生児は977 04年の間に0例に達して 療法を行う内分泌疾患疾患が追加され また 0 おり その中で55例がPKUおよびその軽症型である 平成4年度からはタンデム質量分析計が検査に導 HPAであることが確認されている 発見されたPKU 入されて 対象疾患が9種類に増加した 977年度 の中ですでに成人している例は0例を超えており から検査が行われるようになった先天性代謝異常症4 その概略については昨年度の年報に報告したが そ 疾患に対しては 厚生省研究班ならびに特殊ミルク のうちの半数は女子患者であり 妊娠 出産の時期 事務局が 00年まで毎年一回 発見された患者の に達しているので 本年度はPKU女子の妊娠 出産 追跡調査を行い 対象のアミノ酸代謝異常症につ いては表のように各疾患の発見数が報告されてい る 00年度には個人情報保護に関する法律が制 定されたため 各地方自治体からの協力が得られ 表 先天性代謝異常症等の新生児スクリーニングで 発見された先天性アミノ酸代謝異常症 ー 特殊ミルク事務局における追跡調査報告 977 00ー 疾患 なくなり 本調査は行われなくなったが それま 報告数 見かけの 発見頻度 での5年間では全国の自治体から90 以上の協力 フェニルケトン尿症 PKU 9 /9,45 が得られており 日本におけるこれらの疾患のお 高フェニルアラニン血症 HPA 87 /57,59 506 /58,7 およその発見頻度が把握できたと考えられている PKUとHPAの総計 その結果 血中フェニルアラニン Pheが上昇す BH4欠乏症 7 /,74,85 る遺伝的な疾患 すなわち フェニルケトン尿症 メープルシロップ尿症 40 /670,70 ホモシスチン尿症 7 /796,6 phenylketonuria PKUおよびその軽症型である non-pku hyperphenylalaninemia 以 下 non-pku 06年版 注 スクリーニング受検新生児数 977 00年の受験者総数 で報告数を除した見かけの発見頻度 5

年代に報告され PKU女子患者の妊娠には maternal に関する本会の関わりについて紹介したい phenylketonuria 日本ではマターナルPKUと称さ れているという病名が使用されるようになった そ フェニルケトン尿症とは 血液中に含まれる窒素化合物の主なものは高分子 して すでに980年にはLenkeとLevyによる大規 の蛋白質であり その濃度は約7g/dlであるが 蛋 模な国際調査 によって 未治療のPKU HPAの 白質を構成している0種類の小分子 L-アミノ酸も 母親から出生した児には表のような胎児障害が発 遊離の状態でも少量存在し それらの濃度はおおよ 生することが明らかにされ 特に母体の血中Phe値 そ50mg/dlである その中で健常人の血中フェニル が0mg/dl以上の場合 知能障害の発症が90 を超 アラニン Pheは mg/dlであるが Pheをチ えることが報告された その後も多くの研究の結果 ロシン Tyrに変換する働きを持つPhe水酸化酵素 これらの胎児障害を予防するためには 妊娠前から PAHに遺伝的な障害があると血中Phe値は数倍 の血中Phe値の厳しい管理が必要なことが明らかに 数十倍高くなり その状態が続くと 知能障害 痙攣 された しかし今日なお PKU女子の妊娠で健常児 メラニン色素欠乏等を生じるようになる この疾患 を得ることは容易ではない 4 はフェニルケトン尿症と称され Phe摂取制限食治療 を新生児期から行うことによって上記の障害が予防 マターナル PKU の管理 駿河台日本大学病院小 されるため 新生児スクリーニングの対象疾患の一 児科および保健会館クリニック代謝病外来におけ つとして選択された この疾患は 常染色体性劣性 る経験 遺伝 という遺伝形式で発症し 症状を認めない し われわれは980年代後半からマターナルPKUの管 かしPAHの働きが健常者の/と低い両親から 毎 理を行い 妊娠前から血中Phe濃度を5mg/dl前後に 回の妊娠時に/4の確率で発症する 一般に血中Phe 保つことで これまでに0人の健常児を得ることが 値が0mg/dl以上の場合を古典的PKU 0mg/dl未 できた 満をnon-PKU HPAに分類し 血中Phe値が低いほど 980 990年代には 紅毛 皮膚症状などから乳 症状が軽い 現在のところ Phe摂取制限食による食 児期にPKUと診断された例や 年長の同胞がPKU 事療法が最もよい治療法とされている であったため早期にPKUであることが明らかにされ て食事療法を開始した女子患者で 出産を希望して 訪れた女子患者が治療対象となった 5 0 そして PKU 女子患者の妊娠と胎児障害 歴史的背景 PKU女子患者の出産では 児がPKUでないにもか 例の成人女子PKUに対して妊娠前から厳格な食事療 かわらずさまざまな胎児障害が発生することが950 法を開始して 6人の健常児が出生した その後 新 生児スクリーニングで発見され たPKU患者が成人する時期とな 表 マターナル PKU の胎児障害の国際調査成績 ー未治療の PKU HPA の妊娠に発症した胎児障害の頻度 ー 母体の血中 Phe 値 自然流産 知能障害 小頭症 先天性心疾患 低出生体重 0mg/dl> 4% 9% 7% % 40% 6 9mg/dl 5mg/dl 0mg/dl 0% 7% 6% 5% 5% 0% % 5% 6% 56% 一般の妊娠 における頻度 8% % 4% 0% % Lenke & Levy, N Engl J Med, 980) 注 5 例の PKU およびHPA 母体の 444 回の妊娠における発症率 980 年当時の頻度の報告 5 5 0% 5% 4.8% 0.8% 9.6% り Phe摂取制限食治療を継続 したPKU女子患者が妊娠 出産 を希望して訪れるようになって われわれの施設でも00年に 例 05年には例のマターナ ルPKUからの健常児出産を経験 した これらの児は 妊娠8 40週 06年版

で出生し 出生日後の血中Phe値はいずれもmg/ が可能となった dl以下であり 表のようにPKU妊娠に伴う胎児障 害を認めず 妊娠前から母体の血中Phe値を低く管 マターナル PKU 管理に関わる検査センターの役 理することによって健常児を出産することが可能な 割 東京都予防医学協会小児スクリーニング科の ことが改めて確認された 経験 本会の小児スクリーニング科では 駿河台日本大 マターナル PKU 管理におけるたんぱく質代替物 学病院小児科および本会所属の保健会館クリニック の役割 特殊ミルク事務局による支援体制 代謝外来に来院しているPKUのろ紙血および血清 厚生労働省策定の食事摂取基準では 妊娠 授乳 Phe値の測定を担当しており マターナルPKUの管 期のエネルギー たんぱく質摂取を中心とした付加 理にも関わってきた 妊娠を希望して来院するPKU 量を示しているが PKU女子患者の妊娠を継続させ 女子患者では 血中Phe値を頻回に測定してその値 て健常児を出産させるためには 妊娠前からの栄養 を5mg/dl前後に保つことが必要であるが 採血の度 管理が重要で わが国でも妊娠に伴うエネルギーお に医療機関を訪れることには困難を伴うため 駿河 よびたんぱく質の付加量が設定されている PKUの 台小児科では 糖尿病患者が自己血糖測定の際に使 妊娠では たんぱく質の付加に対してたんぱく質代 用する穿刺針を使用して ガスリーろ紙に自己採血 替物摂取量を増加させることが必要で 治療ミルク を行うことを指導した その採血ろ紙を当会小児ス に比べてたんぱく質代替物含有率が高いAやMP- クリーニング科に郵送してもらい Phe値を測定し の使用が必須となる 980年代には治療ミルクに その結果を担当医に報告して食事療法の評価を行っ 加えて特殊ミルク登録品であるAが使用されたが た その際 ろ紙血Phe測定値が血清Phe測定値を正 996年以降 アミノ酸に比べて無味 低臭のMP- しく表しているか否かが重要となる そこで 985 が開発され 登録品となったため 出産を希望する 年から反復して血中Phe値を測定した8例のPKUに PKU女子患者に対しても特殊ミルク事務局を介して おける述べ970回のろ紙および血清Phe値の相関につ MP-が無償で供給されるようになった 表に示し いて検討したところ 8 図のようにろ紙血のGuthrie た7例のマターナルPKUのうち 症例を除く6例に 法と血清のアミノ酸自動分析法 日立85型による おいても アミノ酸末に比べて味のよいたんぱく質 測定値との相関および ろ紙血のGuthrie法と液体ク 代替物であるMP-を妊娠準備期から使用すること ロマトグラフィー 日本分光ガリバーシステム法と の相関係数rは いずれ も0.978と強い相関を示 表 妊娠前から治療を行ったマターナル PKU の 7 例 症例 No. 診断 PKU PKU PKU 4 PKU 5 HPA 6 PKU 7 PKU 診断根拠 PKU 治療乳 A PKU 治療乳 A PKU 治療乳 MP- 兄がPKU PKU 治療乳 MP- PKU 治療乳 MP- 紅毛 皮膚症状 PKU 治療乳 MP- 新生児 PKU 治療乳 MP- スクリーニング 新生児 PKU 治療乳 MP- スクリーニング 新生児 PKU 治療乳 MP- スクリーニング 新生児 PKU 治療乳 MP- スクリーニング 06年版 第子 第子 第子 第子 第子 第子 第子 mg/dl未満 49/,084 4 第子 mg/dl未満 50/,78 5 第子 mg/dl未満 45/,584 第子 mg/dl未満 48/,955 周産期に使用した たんぱく質代替物 兄がPKU していたため ろ紙へ 出生時の児の状況 血中Phe値 身長/体重 頭囲 mg/dl cm/kg cm mg/dl未満 47/,895.5 50/,4.5 mg/dl未満 50.5/,4 4 地方で出産し健常児と報告あり mg/dl未満 46/,688 地方で出産し健常児と報告あり の自己採血によるPhe 測定はマターナルPKU の経過追跡に十分使用 可能と結論した 00 年からは ろ紙血Phe 値の分析にHPLC 日立 7600 血清Phe値分析 にはアミノ酸自動分析 機 日立L-8800を使用 5

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