標準徒手医学会誌 2014;1:10‐14

Similar documents
2 片脚での体重支持 ( 立脚中期, 立脚終期 ) 60 3 下肢の振り出し ( 前遊脚期, 遊脚初期, 遊脚中期, 遊脚終期 ) 64 第 3 章ケーススタディ ❶ 変形性股関節症ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

6 腰椎用エクササイズパッケージ a. スポーツ選手の筋々膜性腰痛症 ワイパー運動 ワイパー運動 では 股関節の内外旋を繰り返すことにより 大腿骨頭の前後方向への可動範囲を拡大します 1. 基本姿勢から両下肢を伸展します 2. 踵を支店に 両股関節の内旋 外旋を繰り返します 3. 大腿骨頭の前後の移

<4D F736F F D F90D290918D64968C93E08EEEE1872E646F63>

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

46 図 1 spinal manual therapy の分類 脊椎徒手治療法 spinal manual therapy は muscle, nerve, facet, disc technique に四大別するが 特に facet への手技が主体となる 内塗りは急性腰痛に適応 表 1 腰痛の保

頭頚部がん1部[ ].indd

愛知県理学療法学会誌(27巻2号).indd

若手セラピストのための整形外科アプローチ.pdf

減量・コース投与期間短縮の基準

rihabili_1213.pdf

スライド 1

ストレッチング指導理論_本文.indb

脊椎損傷の急性期治療

<4D F736F F F696E74202D204E6F2E395F8FC78CF390AB AB490F58FC75F E B93C782DD8EE682E890EA97705D>

Japanese Physical Therapy Association NII-Electronic Library Service

対象 :7 例 ( 性 6 例 女性 1 例 ) 年齢 : 平均 47.1 歳 (30~76 歳 ) 受傷機転 運転中の交通外傷 4 例 不自然な格好で転倒 2 例 車に轢かれた 1 例 全例後方脱臼 : 可及的早期に整復

Ø Ø Ø

運動療法と電気療法の併用 ~シングルケース~

選考会実施種目 強化指定標準記録 ( 女子 / 肢体不自由 視覚障がい ) 選考会実施種目 ( 選考会参加標準記録あり ) トラック 100m 200m 400m 800m 1500m T T T T33/34 24


平成 28 年度診療報酬改定情報リハビリテーション ここでは全病理に直接関連する項目を記載します Ⅰ. 疾患別リハビリ料の点数改定及び 維持期リハビリテーション (13 単位 ) の見直し 脳血管疾患等リハビリテーション料 1. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)(1 単位 ) 245 点 2

保発第 号

<4D F736F F D F8D9892C595CF90AB82B782D782E88FC781458D9892C595AA97A382B782D782E88FC75F8D9892C58CC592E88F705F2E646F63>

Ⅰ はじめに 柔道整復師が取り扱う骨折や脱臼などの外傷の治療の基本原則は非観血的療法である その中で通常は 観血的療法の適応となる外傷でも非観血的療法を行なう場合がある 今回は 観血的療法を選択すること が多い中手指節関節 以下 MCP関節 脱臼を伴った示指基節骨骨折に対し非観血的療法を行った症例を


Microsoft PowerPoint - 指導者全国会議Nagai( ).ppt

000-はじめに.indd

サーバリックス の効果について 1 サーバリックス の接種対象者は 10 歳以上の女性です 2 サーバリックス は 臨床試験により 15~25 歳の女性に対する HPV 16 型と 18 型の感染や 前がん病変の発症を予防する効果が確認されています 10~15 歳の女児および

m A, m w T w m m W w m m w K w m m Ⅰはじめに 中手指節関節 以下 MP関節屈曲位でギプス固定を行い その直後から固定下で積極的に手指遠位指 節間関節 以下 DI P関節 近位指節間関節 以下 PI P関節の自動屈伸運動を行う早期運動療法 以下 ナックルキャストは

日本内科学会雑誌第103巻第8号


PowerPoint プレゼンテーション

‘¬“û”qFinal

<4D F736F F D A838CA7979D8A7797C396408E6D89EF976C81408A948EAE89EF8ED067656E C8B9E8A4A8DC A837E B8FEE95F188EA C2E646F6378>

スライド 1

かかわらず 軟骨組織や関節包が烏口突起と鎖骨の間に存在したものを烏口鎖骨関節と定義する それらの出現頻度は0.04~30.0% とされ 研究手法によりその頻度には相違がみられる しかしながら 我々は骨の肥厚や軟骨組織が存在しないにも関わらず 烏口突起と鎖骨の間に烏口鎖骨靭帯と筋膜で囲まれた小さな空隙

2012 年度リハビリテーション科勉強会 4/5 ACL 術後 症例検討 高田 5/10 肩関節前方脱臼 症例検討 梅本 5/17 右鼠径部痛症候群 右足関節不安定症 左変形性膝関節症 症例検討 北田 月田 新井 6/7 第 47 回日本理学療法学術大会 運動器シンポジウム投球動作からみ肩関節機能

本研究の目的は, 方形回内筋の浅頭と深頭の形態と両頭への前骨間神経の神経支配のパターンを明らかにすることである < 対象と方法 > 本研究には東京医科歯科大学解剖実習体 26 体 46 側 ( 男性 7 名, 女性 19 名, 平均年齢 76.7 歳 ) を使用した 観察には実体顕微鏡を用いた 方形

脳卒中に関する留意事項 以下は 脳卒中等の脳血管疾患に罹患した労働者に対して治療と職業生活の両立支援を行うにあ たって ガイドラインの内容に加えて 特に留意すべき事項をまとめたものである 1. 脳卒中に関する基礎情報 (1) 脳卒中の発症状況と回復状況脳卒中とは脳の血管に障害がおきることで生じる疾患

BMP7MS08_693.pdf

さらに, そのプロセスの第 2 段階において分類方法が標準化されたことにより, 文書記録, 情報交換, そして栄養ケアの影響を調べる専門能力が大いに強化されたことが認められている 以上の結果から,ADA の標準言語委員会が, 専門職が用いる特別な栄養診断の用語の分類方法を作成するために結成された そ

Microsoft PowerPoint - 電子ポートフォリオのフィードバック(配付).pptx

273 肋骨異常を伴う先天性側弯症


3. 肘関節 屈曲 : 基本軸は上腕骨 移動軸は橈骨 前腕が肩に近づく動き 伸展 : 基本軸は上腕骨 移動軸は橈骨 前腕が肩から遠ざかる動き 前腕は回外位で検査 肘関節伸展位 前腕回外位で前腕が橈側に偏位する ( 生理的外反肘 肘角 ) 他覚所見として外反( 内反 ) ストレス時疼痛 屈曲 ( 伸展

氏名 ( 本籍 ) 中 川 達雄 ( 大阪府 ) 学位の種類 博士 ( 人間科学 ) 学位記番号 博甲第 54 号 学位授与年月日 平成 30 年 3 月 21 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条第 1 項該当 学位論文題目 股関節マイクロ牽引が腰下肢部柔軟性に及ぼす影響 - 身体機能および腰痛

M波H波解説

δ

体幹トレーニング

教育実践研究第3巻第1号

蚊を介した感染経路以外にも 性交渉によって男性から女性 男性から男性に感染したと思われる症例も報告されていますが 症例の大半は蚊の刺咬による感染例であり 性交渉による感染例は全体のうちの一部であると考えられています しかし 回復から 2 ヵ月経過した患者の精液からもジカウイルスが検出されたという報告

12_モニタリングの実施に関する手順書 

退院 在宅医療支援室主催小児医療ケア実技研修会 看護師のための 緊張が強いこどものポジショニング 神奈川県立こども医療センター 発達支援部理学療法科 脇口恭生 1

( 様式乙 8) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 米田博 藤原眞也 副査副査 教授教授 黒岩敏彦千原精志郎 副査 教授 佐浦隆一 主論文題名 Anhedonia in Japanese patients with Parkinson s disease ( 日本人パー

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

P001~017 1-1.indd

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習


第 43 回日本肩関節学会 第 13 回肩の運動機能研究会演題採択結果一覧 2/14 ページ / ポスター会場 第 43 回日本肩関節学会 ポスター 運動解析 P / ポスター会場 第 43 回日本肩関節学

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

表紙.indd

平成 28 年 10 月 17 日 平成 28 年度の認定看護師教育基準カリキュラムから排尿自立指導料の所定の研修として認めら れることとなりました 平成 28 年度研修生から 排泄自立指導料 算定要件 施設基準を満たすことができます 下部尿路機能障害を有する患者に対して 病棟でのケアや多職種チーム

千葉テストセンター発行 心理検査カタログ


頸椎症性脊髄症(けいついしょうせいせきずいしょう)

関節リウマチ関節症関節炎 ( 肘機能スコア参考 参照 ) カルテNo. I. 疼痛 (3 ) 患者名 : 男女 歳 疾患名 ( 右左 ) 3 25 合併症 : 軽度 2 術 名 : 中等度 高度 手術年月日 年 月 日 利き手 : 右左 II. 機能 (2 ) [A]+[B] 日常作に

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

Microsoft Word ① リワークマニュアル.docx

Transcription:

症例報告 肋横突関節および上位胸椎可動制限に由来した 頸椎左回旋制限に対する徒手的診断と治療 朝倉敬道 ¹) キーワード : 頚部回旋障害 徒手医学 機能診断 緒言 症例 頸椎運動障害を呈した症例に対し理学療法介入をする際には その高位診断と機能解剖学的根拠に基づいた治療選択が必要である 頚椎は 形態学的および機能的に全く異なった つの部分で構成され 軸椎より上位と軸椎の椎体下面より下位に大きく分類される (¹ ( 機能的に C3 より上位を頭部関節と呼ぶ場合もある ) 軸椎より下位は機能的にそれぞれ中位頚椎 下部頚椎 頚胸移行部に分類されることもある (² いずれにせよ それぞれの機能解剖学的特徴に照らした機能診断方法が必要になる 本症例は頚椎左回旋障害を呈し約 1 か月半が経過した症例であったが 8 日間計 3 回の理学療法介入により早期の改善が見られたためここに報告する 7 歳女性診断名 ; 頸椎症性神経根症発症 ;014.4 月 ~ 発症機転 ; きっかけ無く発症主訴 ; 左に向けない 無理をすると左頚部が痛い 左肩周囲の張り感がある 画像所見 ;X-P 問題なし理学療法機能評価初回介入 ;H6.6. 疼痛部位 ; 左頚部 ~ 肩甲帯 1) 上尾中央医科グループ医療法人一心会伊奈病院リハビリテーション科 RPT 36-0806 埼玉県北足立郡伊奈町小室 9419 TEL:048-71-369 受付日 014 年 6 月 18 日受理日 014 年 6 月 30 日

初回介入時の疼痛部位 安静時痛 - 圧痛 + 運動時痛 + ( 頚部左回旋最終域痛 :45 ) 左頚部 ~ 肩甲帯に張り感 + 頭痛 眩暈 - 悪心- 発症機転 ; きっかけなし発症からの経過 ; 約 1 月半痛みに変化 - 可動域の変化 - 視診 ; 胸椎後彎増強 + 斜頚- 左右シフト- 悪化要素 ; 頚部左回旋 45 ( 最終域痛 ) 改善要素 ; 頚部左回旋以外は疼痛 - 自動運動検査 ; 頸椎回旋 90 /45 (R/ L)( 左回旋で 50% の制限 ) 左回旋時最終域痛 +( 左椎間関節最大近位滑り運動で最大疼痛あり ) 右回旋時左頸部筋群に伸長感 + ( 自動運動検査 ; 障害高位機能診断 ) (C1-) チンアウト位で左回旋 : 制限なし (C3-5) 頚椎屈伸中間位で左回旋 : 左下部頸椎最終域痛 + 中等度制限 + (C6-7) 姿勢矯正での頸椎左回旋 :1 割の疼痛軽減 + (C7-TH1) チンイン + 胸椎伸展 + 後ろ手を組む姿勢で左回旋左下部頸椎最終域痛 ++ 重度制限 + 他動運動検査 ; (Occ C1): 頭部関節左側屈制限 - (C1-): 右回旋制限 - (C-3): 左 C-3 椎間関節最大近位滑り制限 ( 左 C3-7): 椎間関節最大近位滑り運動顕著な痛みなし ( 左肋横突関節 ):Joint Play 圧痛 + 肋横突関節機能障害が疑われるため反復運動検査は省略試験的治療 ; 左肋横突関節 Mobilization( 呼気同調での第 1 肋骨 Mobilziation)10 秒 3 セット 1 1 Th1 より上位を左回旋し 上位を固定 第 1 肋骨を腹側 尾側へ可動 結果 ; 頚椎左回旋 90% まで改善 即時効果あり頚椎左回旋 90% 地点で最終域痛残存自覚的な症状の改善大きい 本人より この 1 月半で最も痛みが軽減し動きも良い との感想あり 初回セルフエクササイズ指導 ; 左肋横突関節の自己 Mobilziation

経過 014.6.5 回目のフォローアップ 回目の来室時 90% まで改善していた頚部左回旋制限は 60% 程度に戻り最終域痛も介入前の状態に戻っていた セルフエクササイズは正確に行えており即時効果も確認できていたが 効果の持続性が無く時間が経つと左回旋制限は元に戻る状況であることが問診においても聴取された セルフエクササイズ後は改善するがその効果が持続できないという場合 セルフエクササイズとセルフエクササイズの間に症状を悪化させるメカニカルストレスが存在している可能性がある セルフエクササイズ以外の時間を対象に普段過ごしている環境を詳細に問診していくと 居室のソファに座り右方向にあるテレビを見ている時間が多いことが聴取された 端座位姿勢後方からの視診では 胸椎後彎 軽度右回旋位 ( 右肋骨角がより表層に目立ち 起立筋群の膨隆が存在 ) を呈していた 自動運動検査では胸椎左回旋制限 +( 右回旋に比較し 60% の制限 ) 他動運動検査では上位胸椎の最大近位滑り障害が存在した 頸部に対する胸椎回旋制限の影響を確認するため 胸椎左回旋を徒手的にアシストしながら頚部左回旋すると左回旋可動域の増大 最終域痛の軽減が著明であった 触診は腹臥位で実施し 上部胸椎における左椎間関節の Joint Play の低下 ( 交差グリップによる Joint Play Test 実施 ) と周囲筋群のスパズムが確認された ここで明確にしておきたい事項は 最も大きな原因がどこなのか ということである 1 回目の試験的治療では左肋横突関節へのアプローチが即時効果を示したが 効果が持続できない場合は根本原因にアプローチできていない可能性が示唆 される そこで左肋横突関節障害が主因なのか胸椎が主因なのかを明確にするため 回目の治療では胸椎のみに介入し反応を見る方針を選択した 本症例は胸椎全体の後彎変形 左椎間関節の Joint Play 低下が著明であった 年齢や変形の度合いを考慮し刺激の少ない治療強度から選択することを念頭に置いた 回目の介入における試験的治療では Th1--3 の左椎間関 Mobilization( 腹臥位 交差グリップで Grade までの負荷 ) を実施した ( 胸椎左回旋の可動性改善目的 ) 1 交差グリップによる椎間関節 Mobilziation 1 赤丸 :Th1 横突起を固定 (Th1 より上位は左回旋固定 ) 黄矢印 :Th 横突起を腹側 尾側へ可動結果として 胸椎の左回旋は 60% 90% まで改善が見られた 次に頚椎における治療の前後比較を行った 回目の治療における頚椎ベースライン (60% 左回旋制限と最終域痛 ) と胸椎治療介入後の頚椎回旋可動域を比較すると胸椎の左回旋可動域の改善に伴い 頚椎左回旋は 90% までの改善と最終域痛の軽減がみられた 3

以上のように 回目の治療介入では頚椎への介入を一切行っていないことから 胸椎由来の頚部運動制限要素が強いことが示唆された これらのことから 本症例の頚椎左回旋障害は少なくとも胸椎の可動制限因子が関係しており 日常の右回旋姿勢が隠れた悪化要素になっている可能性が高いと考えることができた そこで セルフエクササイズとして胸椎の左回旋自己 Mobilization(10 回 3 5 セット /DAY) を指導し テレビ位置を正中位置へ移動し右回旋姿勢をとる頻度を減少させてみることを試験的な対策として指導した ( 胸椎右回旋のメカニカルストレス軽減が目的 ) 014.6.10 3 回目のフォローアップ 前回までの効果判定から実施した 指示通り TV の配置修正と右回旋姿勢の回避 胸椎の左回旋自己 Mobilization が指示通りの頻度で実施されていた 結果は頚椎左回旋が 100% 改善し最終域痛も完全に消失していた 回目の理学療法介入から 5 日間のうちに症状が戻ることはなく 日常的にも制限を感じることもなかったという本人の報告であった 約 1 か月半にわたり改善が見られなかった今回の症状は 以上の推論過程を辿り 8 日間計 3 回の理学療法介入をもって改善し理学療法は終了となった 考察今回 胸椎への介入により症状が明確に改善したことから 日常での右回旋姿勢がメカニカルストレスになっていることが示唆された 右回旋姿勢の常態化からおこる上位胸椎の可動域制限は 今回の頚椎左回旋障害における主因であると考えられた 姿勢性の問題により胸椎の過小運動性 左第 1 肋横突関節 の過小運動性が発現し 頚椎の左回旋障害に至っている障害構造として結論付けられた 一時的には左肋横突関節へのアプローチだけで機能改善がみられたものの ( 直接的要素 ) 改善した状態が維持できないことから間接的要素を検出する視点が必要となった 1 症例であった 以上のことから 本症例の機能障害予防策として最も重要なのは姿勢管理 ( 右回旋姿勢の常態化を避ける ) であり 標準的な徒手的機能診断法を用いることで患者自身も気付かなかった根本原因を検出することが可能であった 障害高位検出とそこに起こっている機能障害を明確にすることは治療を展開する上で重要なステップであり 根本原因を探る上での Key point になる 脊柱の問題と姿勢の問題には関連性が強い (³(⁴ことが多く 再発予防には悪化姿勢をとらないマネージメントが重要である 結論頚椎では疼痛発現様式 ( 悪化する姿勢や動作 軽減する姿勢や動作 ) と障害部位の高位診断が重要となる また根本的な原因が頚椎でなく頚胸移行部や胸椎に隠れていることも臨床的には少なくない 障害部位と疼痛発現様式が把握できれば頸椎の機能解剖に即した推論が可能となる (⁵ 本症例の治療経過における key Point は 日常生活の中で本人も気づかなかった悪化姿勢が見つかり 頚椎左回旋障害と姿勢の関連性が明らかになったことであった 徒手的機能診断と治療によって即時効果に終始せず根本原因が明確となり 比較的短期間の介入で良好な結果を得ることが可能であった 4

参考文献 1) A.I KAPANDJI 著 : カパンジー機能解剖学 Ⅲ 脊椎 体幹 頭部原著第 6 版医歯薬出版株式会社東京 008 )DGMSM-FAC ミヒャエル グラフ : Manuelle Therapie fur Physiotherapie schulen P78 3)The Mckenzie Insti tute Internationa l:centre For Postg raduate Study In M echanical Diagnosi s And Therapy P85-86 4)Robin Mckenzie:TREA T Y O U R O W N N E C K P18-4 5) 林典雄著 : 運動療法のための機能解剖学的触診技術 - 下肢 体幹メジカルビュ 社東京 006 5