学習指導改善調査事業 実践報告

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Taro-小学校第5学年国語科「ゆる

知識・技能を活用して、考えさせる授業モデルの研究

1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

第3学年国語か学習指導案

Microsoft Word - 【提言2】④新聞70(最終).doc

4 本単元と情報リテラシーの関わり 課題設定担任による 説明会におけるデモンストレーションを見ることを通して 本単元を貫く言語活動としての これぞ和の文化! おすすめの 和の文化 を調べて説明会を開こう を知り 見通しを持たせ学校司書による関連図書紹介を通して 和の文化への関心を高め 進んで調べよう

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平成 21 年度全国学力 学習状況調査結果の概要と分析及び改善計画 調査実施期日 平成 21 年 10 月 2 日 ( 金 ) 教務部 平成 21 年 4 月 21 日 ( 火 )AM8:50~11:50 調査実施学級数等 三次市立十日市小学校第 6 学年い ろ は に組 (95 名 ) 教科に関す

Microsoft PowerPoint - syogaku [互換モード]

平成23年度全国学力・学習状況調査問題を活用した結果の分析   資料

4. 単元の実際 習得 (1) 三部構成のモデル文 ゲームなんてやめなさい を提示し 子どもの意識とのズレを生む 実践を行った4 年生のクラス 38 名全員が何らかのゲームをもっていることを確認し 子どもがゲームについて感じている楽しさを十分掘り起こす その上で はじめ なか おわり の形式で書かれ

Microsoft Word - 41田中

文章構成の在り方を実感できる「読むこと」の学習指導

トコラージュ というメディアの形態を提案する 本単元では 説明文の 構成メモ をフォトコラージュの形でまとめる このことにより 資料を活用して説明文を書くことが容易になる フォトコラージュとは次に示すように 2 枚以上の写真と それに対する説明文を対応させた情報伝達の形式である 本学級では 社会科の

6. 単元の展開 ( 全 6 間 ) 学習活動 単元の見通しを持つ 2. 学習計画を立てる 3. 本文を読み, 感想を書く 内容に関する感想 書き方に関する感想 4. 感想や疑問を交流する 指導上のポイント ( ) 学習活動に即した評価規準 ( 関 読 言 ) 既習事項を振り返らせ,

H27 国語

第 4 学年算数科学習指導案 平成 23 年 10 月 17 日 ( 月 ) 授業者川口雄 1 単元名 面積 2 児童の実態中条小学校の4 年生 (36 名 ) では算数において習熟度別学習を行っている 今回授業を行うのは算数が得意な どんどんコース の26 名である 課題に対して意欲的に取り組むこ

Microsoft Word - 小学校第6学年国語科「鳥獣戯画を読む」

(4) ものごとを最後までやりとげて, うれしかったことがありますか (5) 自分には, よいところがあると思いますか

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平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

問い1, 問い2のどちらも誤答した児童は, しかし や ~が というような逆説の接続詞の意味を読み取ることができずその前に書かれている内容を選択している また, 問い3では, 文章の一部を読んだだけで答えを選択している児童が多かった これらのことから, 本学級の児童は, 接続詞の意味をしっかりと捉え

知識・技能を活用して、考えさせる授業モデルの研究

学習者用デジタル教材リスト 国語 1 年 国語 1 年上コンテンツ上 8 あいさつをしよう 8 関連ページ 内容 趣旨など 場面の様子を想像する ( 音声付 場面や状況に合わせた言葉遣いの確認 ) 国語 1 年上 コンテンツ 上 10 じこしょうかいをしよう 10 場面の様子を想像する ( 音声付

指導方法等の改善計画について

調査の概要 1 目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し その改善を図るとともに そのような取組を通じて 教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する また 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の

主語と述語に気を付けながら場面に合ったことばを使おう 学年 小学校 2 年生 教科 ( 授業内容 ) 国語 ( 主語と述語 ) 情報提供者 品川区立台場小学校 学習活動の分類 B. 学習指導要領に例示されてはいないが 学習指導要領に示される各教科 等の内容を指導する中で実施するもの 教材タイプ ビジ

教科 : 外国語科目 : コミュニケーション英語 Ⅰ 別紙 1 話すこと 学習指導要領ウ聞いたり読んだりしたこと 学んだことや経験したことに基づき 情報や考えなどについて 話し合ったり意見の交換をしたりする 都立工芸高校学力スタンダード 300~600 語程度の教科書の文章の内容を理解した後に 英語

(2) 国語科 国語 A 国語 A においては 平均正答率が平均を上回っている 国語 A の正答数の分布では 平均に比べ 中位層が薄く 上位層 下位層が厚い傾向が見られる 漢字を読む 漢字を書く 設問において 平均正答率が平均を下回っている 国語 B 国語 B においては 平均正答率が平均を上回って

課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

平成 29 年度 全国学力 学習状況調査結果と対策 1 全国学力調査の結果 ( 校種 検査項目ごとの平均正答率の比較から ) (1) 小学校の結果 会津若松市 国語 A は 全国平均を上回る 国語 B はやや上回る 算数は A B ともに全国平均を上回る 昨年度の国語 A はほぼ同じ 他科目はやや下

第1学年国語科学習指導案

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2 単元の目標 暮らしの中の 和 と 洋 の違いに関心を持ち, くらしの中の和と洋なるほど新聞 を作るために, 目的に応じて引用したり要約したりしようとする 国語への関心 意欲 態度 目的に応じて, 中心となる語や文をとらえて段落相互の関係や事実と意見との関係を考え, 文章を読むことができる 読むこ

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解答類型

国語科学習指導案様式(案)

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平成 30 年 1 月平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果と改善の方向 青森市立大野小学校 1 調査実施日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) 2 実施児童数第 6 学年 92 人 3 平均正答率 (%) 調 査 教 科 本 校 本 県 全 国 全国との差 国語 A( 主として知識

7 児童の実態 書くこと に関わる活動では これまでに 読書生活について考えよう の単元において アンケートを作成して自分が知りたい情報を集め それを整理して表やグラフにして表すとともに 自分の考えや感想を交えて報告書の形に表す活動を行った また 新聞を作ろう の単元では 社会科の学習と関連して ご

指導内容科目国語総合の具体的な指導目標評価の観点 方法 読むこと 書くこと 対象を的確に説明したり描写したりするなど 適切な表現の下かを考えて読む 常用漢字の大体を読み 書くことができ 文や文章の中で使うことができる 与えられた題材に即して 自分が体験したことや考えたこと 身の回りのことなどから 相

1 高等学校学習指導要領との整合性 高等学校学習指導要領との整合性 ( 試験名 : 実用英語技能検定 ( 英検 )2 級 ) ⅰ) 試験の目的 出題方針について < 目的 > 英検 2 級は 4 技能における英語運用能力 (CEFR の B1 レベル ) を測定するテストである テスト課題においては

第4学年算数科学習指導案

今年度の校内研究について.HP

2 児童への事前調査 調 査 事 項 好き どちらかとどちらかというと好きいうと嫌い 嫌い Q1 国語の学習は, 好きですか Q2 説明文の学習は, 好きですか Q3 物語の学習は, 好きですか Q4 話し合う学習は, 好きですか Q

Microsoft Word - 全国調査分析(H30算数)

小学校国語について

第 9 章 外国語 第 1 教科目標, 評価の観点及びその趣旨等 1 教科目標外国語を通じて, 言語や文化に対する理解を深め, 積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り, 聞くこと, 話すこと, 読むこと, 書くことなどのコミュニケーション能力の基礎を養う 2 評価の観点及びその趣旨

Taro-5年研究のまとめ

目 次 1 学力調査の概要 1 2 内容別調査結果の概要 (1) 内容別正答率 2 (2) 分類 区分別正答率 小学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 3 小学校算数 A( 知識 ) 算数 B( 活用 ) 5 中学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 7 中学校数学 A( 知識 )

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平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

Taro-第3学年国語科学習指導案「

作品の情景をよりわかりやすく伝える手だてともなる 指導にあたって 1 では まず 俳句は17 音で作ることや季語を入れることと言ったきまりをおさえる そして 教科書の例を読み 想像した情景や作者の思いを想像し 良いと思うところ 工夫されていると思うところを発表できるようにする 2 の俳句を作る場面で

Taro-H29結果概要(5月25日最終)

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3 学校教育におけるJSLカリキュラム(中学校編)(国語科)4.指導案 12 学校案内パンフレットを作ろう-共同編集・制作-

第1学年国語科学習指導案

(4) ものごとを最後までやり遂げて, うれしかったことがありますか (5) 難しいことでも, 失敗を恐れないで挑戦していますか

いろいろな衣装を知ろう

Microsoft Word - 原稿【市教委指摘訂正済】

内容 児童 経験したことや調べたことから選んで話す 内容 ( 考え ) を分かりやすく話す はっきりした発音で声の大きさを考えて話す 丁寧な言葉を使って話す 相手の顔を見ながら話す 大事なこと

たい 単元を貫く言語活動として, ポップカード で友達におすすめの本を紹介するという活動を位置 付ける もうすぐ雨に で習得した学びを活用し, 自分で選んだ本の紹介文を書いていく 作品の テーマを読み取りまとめる言語活動は, 読書に対する興味 関心を広げることにつながると考える (4) 単元の指導計

3 学校教育におけるJSLカリキュラム(中学校編)(国語科)4.指導案 6 報告文を書いて発表しよう

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1 単元名 分数 ( 全 10 時間 ) 教材名 分数をくわしく調べよう ( 東京書籍 4 年下 ) 第 4 学年算数科学習指導案平成 26 年 11 月 26 日 ( 水 ) 5 校時 4 年 1 組 ( 男子 13 名 女子 10 名計 23 名 ) 指導者上田稚子 ( 学習指導要領 ) A 数

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(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

1

フトを用いて 質問項目間の相関関係に着目し 分析することにした 2 研究目的 全国学力 学習状況調査結果の分析を通して 本県の児童生徒の国語及び算数 数学の学習 に対する関心 意欲の傾向を考察する 3 研究方法平成 25 年度全国学力 学習状況調査の児童生徒質問紙のうち 国語及び算数 数学の学習に対

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PISA 型読解力と国語科の融合 -PISA 型読解力とワークシート- ( ア ) 情報を取り出す PISA 型読解力ア情報の取り出しイ解釈ウ熟考 評価エ論述 情報を取り出す力 とは 文章の中から無目的あるいは雑多に取り出すことではない 目的つまりこの場合は学習課題に沿って 自己の判断を加えながらよ

よく聞いて, じこしょうかい 2

6 年 No.8 You can see Daibutsu! 1/7 単元の目標 主な言語材料 できることを紹介する表現や感情を表す表現が分かる 修学旅行でできることについて具体物などを見せながら伝え合う 音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現で書かれたものの意味が分かり できることについ

国語科学習指導案

単元の目標 カレーライスを作ることに興味 関心をもち, 進んで活動する カレーライスの作り方を調べ, 作り方, 材料, 用具を発表することができる カレーライス作りの活動を通して, 食材を知ったり, 道具を使う仕事にふれたりして, 生活経験を豊かにする 人との関わりを通してコミュニケーション能力を身

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さらに自ら調べようと意欲を高めるだろう 2 児童観児童は 文字を50 音すべて学習し 少しずつ読める字や書ける字が増えてきた これまでに音読をしたり 想像したことを話したりしながら ある程度のまとまった文章がよめるようになってきている 5 月の教材 とんこととん では 登場人物のしたことを中心に想像

Microsoft Word - ④「図形の拡大と縮小」指導案

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単元の学習を進めるに当たっては, 下記の5つの言語意識を明確にする 相手意識 学級の友達や家の人に 目的意識 動物の赤ちゃんの特徴を分かってもらうために 場面 状況意識 どうぶつの赤ちゃんずかん を作る 方法意識 どうぶつの赤ちゃん で読み取ったことをもとに, カードを作る 評価意識 動物の赤ちゃん

国語科第 1 学年熊野町立熊野中学校指導者森島登紀子 単元名 根拠を明確にして書こう 本単元で育成する資質 能力 自ら考え判断する力, 読解力 情報収集能力 1 日 時平成 29 年 11 月 16 日 5 校時 2 場 所 1 年 3 組教室 3 学年 学級第 1 学年 3 組 (27 名男子 1

の 問を提示して定着度を確認していく 1 分けて計算するやり方 70 = =216 2 =6 2 筆算で計算する方法 題材の指導計画 ( 全 10 時間扱い ) ⑴ ⑵ ⑶ 何十 何百 1 位数の計算 1 時間 2 位数 1 位数

第 5 学年 社会科学習指導案 1 単元名自動車をつくる工業 2 目標 我が国の自動車工業の様子に関心を持って意欲的に調べ, 働く人々の工夫や努力によって国民生活を支える我が国の工業生産の役割や発展について考えようとしている ( 社会的事象への関心 意欲 態度 ) 我が国の自動車工業について調べた事

5. 単元について本単元は,2 年生 1 学期に学習した ともこさんはどこかな から引き続いての 話す 聞く の学習である ともこさんはどこかな では, 大事なことを落とさずに話したり聞いたりできるようにすることをねらいとして学習してきた 本単元では, これに加えて互いの話をしっかり聞いてやり取りを

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2 各教科の領域別結果および状況 小学校 国語 A 書くこと 伝統的言語文化と国語の特質に関する事項 の2 領域は おおむね満足できると考えられる 話すこと 聞くこと 読むこと の2 領域は 一部課題がある 国語 B 書くこと 読むこと の領域は 一定身についているがさらに伸ばしたい 短答式はおおむ

2 児童観復習プリントから 乗法の交換法則 4 7=7 乗法の結合法則 = 加減混合の式や乗除混合の式の計算はできていると考えられる しかし 分配法則 6 10=6 9+ や 7 8=7 9 はできない児童が数名いて 定着していないことが分かる また 計算の仕方は理解してい

わり の組み立てを意識しながら読むことはできるようになってきたが 叙述にある難しい語句や指示語に注意したり段落相互の関係を考えたりしながら読む力は身に付いていない そこで 本単元では各段落の中心となる文やキーワードを押さえながら教材文を読んでいくことで 読み手に分かりやすい文章構成や段落相互の関係を

ホームページ掲載資料 平成 30 年度 全国学力 学習状況調査結果 ( 上尾市立小 中学校概要 ) 平成 30 年 4 月 17 日実施 上尾市教育委員会

3 4 すみれちゃんはどこでおねえさんになったのだろうか について考える 前時のカードからすみれちゃんの行動や様子について確認する すみれちゃんがかわったきっかけを読む 行動の変化前後での場面の様子について想像する わたしはおねえさん のすみれちゃんのきらりと光るところ抜き出し 理由

(3) 計画 学習課題学習内容時間 変わり方のようすをわかりやすく表すにはどうしたらよいか考えよう変わり方が大きいか小さいかを調べるにはグラフのどこに目をつけるとよいのだろう 2つの折れ線グラフからどんなことが分かるだろう折れ線グラフをかこう 変わり方を分かりやすく表す工夫 折れ線グラフの縦軸と横軸

教科の見方 ~ 例算数 ~ 大阪市の平均正答率を表しています ( 算数と理科のみ ) このグラフの項目は 学習指導要領ので平均正答率を表しています このグラフの項目は 問題の内容ごとに平均正答率を表しています 各学での がんばりがみられた点 と がんばりが必要な点 を示しています このグラフの項目は

平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県海草地方 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

Taro-12事例08.jtd

問題解決的な学習スタイルを充実させるために 3 つのステップを積み上げましょう 課 題 板書を充実させる道具を用意している ( マグ ネット名札 学習の流れカード ) 黒板に日付を書き 単元の流れ 本時の流れを 掲示している ノートに日付 単元の流れ 本時の流れを書かせている 前時の振り返りをノート

算数科学習指導案 1 単元名三角形と四角形 授業者小澤勇司 2 単元について児童は第 1 学年で, 箱や積み木の面を写し取ったり, 数え棒を使って形を作ったりするなどの活動を通して, 図形の構成要素である辺や頂点 角についての素地的な経験をしている ここでは, 児童が日常使っている さんかく や し

Transcription:

学習指導改善調査事業実践報告学習の積み重ねを大切にした国語の授業作り ~3 年生 せつめい名人になろう! の実践 ~ 新発田市立川東小学校 教諭三部美和子 1 はじめに ( 国語授業における自身の課題と目指す子ども像 ) 自分は 学級の子どもたちに国語の力を付けられているのだろうか という不安と 算数を教える のは楽しいのに 国語を教えるのは苦しい という感覚 これは 教員になってからずっと私の心の中 にある 算数の授業では 初めての問題に出会ったとき 子どもたちは 今までに学習した を使えば解 けそうだ と既習事項を取り出し 自力解決や学び合いの中でいきいきと問題を解いていく そして 新たに身に付けた知識や技能を習熟するために反復練習をし また新たな問題を解決するための確かな 力を身に付けていく 子どもも担任も学習の積み重ねが実感できるところが楽しい 本来なら 国語の授業でも同様の楽しさを感じられるはずである それなのに 私の国語授業では 算数のようにいきいきと既習事項を取り出し 主体的に問題を解決していこうという子どもの姿が少な いように感じられるのだ 新採用の頃 読みの観点 という言葉を教わってから 国語授業への不安 は少し軽減され どんな教材でも使える 読み方 や 書き方 (= 国語の力 ) を指導してきたつもり になっていた でも 実際には 何かしらの要因で学びの積み重ねが上手くいっていない感じがする その原因について 自分の国語授業を振り返ってみると 反省すべき点がいくつかある 国語の 用語 を含む既習事項が定着していない 自分では どんな教材文 題材でも使える 読み方 や 書き方 を教えているつもりでも 学習者 にとっては その 力 が他教材で主体的に活用できる力として身に付いていない 要点 要旨 文 章構成 三部構成 など 一度は学習したはずの用語も 次の単元では そうだっけ? そういえば そんな勉強したかも 程度の曖昧な記憶になってしまっていることが多い 国語の授業で 既習事項の取り出しという感覚を育ててこなかった 他教科では 学習内容の定着を図るために反復練習をさせるのに 国語で学んだ 書き方 読み 方 については 学んだ力を繰り返し使う場が少なく 習熟しない とりわけ 書き方 について は 日記や作文などで学んだことをいかす機会があるが 読み方 に関しては 練習不足感は否め ない このような反省を踏まえ 国語授業の改善を図り 次のような子どもを育てたいと考えた 学習した 読み方 書き方 を活用し 三部構成や段落の役割を意識して文章を読んだり書いたりできる子 2 手立て目指す子ども像に迫るため 1 年間 次のような方法で国語の授業改善に取り組む 1 パワーアップ教材 ( 以下 P 教材と表記 ) の位置付け教科書教材だけでは 物語文 説明文は学期に1~2 回しか出てこないため 単元の中に 教科書教材で学んだことを活用する場として パワーアップ教材 を位置付ける 学習した教科書教材に似た構成の文章を 他の教科書会社や既習の学年の教材文から探し 自力読みをさせる 2 読む 書く 話す 聞く 3 領域の関連全領域で同形式の文章構成表を用いる 文章構成表を書く機会をできるだけ多く確保することで 文章構成や段落の要点 段落の役割などを考えることに習熟させる

3 身に付いた 国語の力 を児童と共有する既習事項の取り出しや新たに身に付いた力を意識させるために 学習前の自力読みと学習後の振り返りを大切にする 初発の感想は 既習の 読み方 ( 読みの観点 ) に沿って書かせ 学習後の振り返りと比較しやすくする 3 実践の概要 実践 1 まとまりをとらえて読もう( プレ実践 ) (1) 教材名基本 言葉で遊ぼう ( 光村図書 3 年上 ) P 教材 こまを楽しむ ( 光村図書 3 年上 ) (2) 指導の実際学習活動指導の実際 学習した 読み方 を使って読もう 1 ( 自力読みによる既習事項の取り出し ) 次説明文のつくりを学ぼう 言葉で遊ぼう 2 次まとまりに気をつけて自力で読もう こまを楽しむ 3 次 4 2つの教材文の書き方を真似て 発明次したこまを紹介しよう 残念ながら 低学年での学習をふり返っても 文章の種類が 説明文 であるということの他には 出てこなかった 上記の実態を踏まえ 次のことを中心に学習した 1 問い と 答え 2 段落 ( 形式段落 ) 3 三部構成 ( はじめ 中 おわり ) を構成表にまとめる 4 重要語句 このように 自力読みで構成表にまとめ 学んだ 読み方 の習熟を図った 自力読みの実態を見て 新たに学習活動を入れ さらに次の点を学習した 5 意味段落 ( 中 は 2つのまとまりに分けられること ) 2つの説明文の書き方についての振り返りを行った 教材文と同様の形式で 自分が あったらいいな と思うこまを紹介する文章を書いた <パワーアップ教材 & 書く活動で見られた成果と課題 > パワーアップ教材に位置づけた こまを楽しむ は 直前に学習した 言葉で遊ぼう に類似している説明文のため 自力読みでは 次のような既習事項の取り出しができた 問い の文が2つある 三部構成の 中 には 問いの答えが6こある このように という言葉に注目したら 三部構成の おわり が見つけられた ほとんどの児童が 問いの文 ( 話題提示 ) と 答えの文 ( 具体例 ) このように という言葉に着目し 正しく三部構成をつかむことができた 中 の部分では 最初の一文を読むと問いの答えが見つけられる と振り返った児童が多かった それぞれの段落の中にも大切な文があることを学ぶことができた 三部構成については 自力でつかむことができたが 中 が2つの意味段落 ( 回る様子 を楽しむこまと 回し方 を楽しむこまの例 ) に分かれていることに自力で気付く児童はいなかった そこで おわり ( 全体のまとめ ) と 中 を交互に読みながら 中 を2つのまとまりに分ける活動を行い 意味段落について指導した

実践 2 せつめい名人になろう!( 本実践 ) (1) 教材名基本 すがたをかえる大豆 ( 光村図書 3 年下 ) (2) 単元のねらい P 教材 ミラクルミルク ( 学校図書 3 年上 ) 〇中心となる語や文を捉え 段落相互の関係を考えながら 文章の内容を的確に理解すること ができる 読む 〇目的に適した事例を複数挙げながら はじめ 中 おわり の三部構成で 姿をかえる 食品について説明する文章を書くことができる 書く (3) 単元の実際 ( 全 14 時間読む 6 時間 + 書く 8 時間 ) 次時 学習活動 1 1 習ったことを使って自力で読んでみよう ( 既習事項の取り出し ) 感想をまとめ 学習の計画を立てよう < 既習事項の取り出し > < 単元を貫く言語活動 > 変身する食べ物を探して説明し ミラクル食べ物事典 を作ろう 教材文を一読した後 学習した 読み方 で分かったことを書くと 次のような実態が見られた 段落の数が分かる 100% 三部構成を見つけられた 79% 問いの文 を探そうとした 100% ところが 問いの文 に関して意見が分かれた 1 段落目の なんだか分かりますか が 問いの 文 であるという児童とそうでないと考える児童に分かれた そこで この文章の 問いの文 を考え ることから授業を進めた ~ なんだか分かりますか は 問いの文 である派の意見 ~ 文の終わりが ますか とたずねる言葉だから 問いの文だ ~ なんだか分かりますか は 問いの文 ではない派の意見 ~ 問いかけてはいるけど すぐに それは大豆です と書いていて 大豆を紹介しただけ 本当は それは大豆です より伝えたい大切なことがある 結局 1 学期の学習で 問い の答えが三部構成の 中 にあったことから 中 を読んでみるこ とになった そして 全員で検討した結果 なんだか分かりますか は この説明文の大切な問いの 文ではなく問いかけ表現だと気付くことができた さらに すがたをかえる大豆 に隠れている大切 な問いの文を作る活動を行い 三部構成の はじめ の部分に 大豆をおいしく食べるために どのよ うなくふうをしてきたのでしょうか という問いの文を作ることができた 既習事項の取り出しを意識することで 個人の読む力はもちろんだが 学級全員が共通の土俵で話し 合えるという点でも成長が見られると感じた 次時 2 2 ~ 6 問いの文 を探そう 作ろう 学習活動 中 をくわしく読み 大豆をおいしく食べるための工夫と食品を見つけ 文章 構成表にまとめよう 中 をさらに 2 つのまとまり ( 意味段落 ) に分けよう 中 の書き方の工夫を考えよう ( 接続語 工夫 食品の繰り返し )

< すがたをかえる大豆 で書いた文章構成表 > 文章構成表には 次の5つの項目を書くようにした 1 題名 2 三部構成 3 形式段落 ( 番号と要点 ) 4 段落の役割 5 意味段落 1 学期の説明文学習を思い出し 多くの児童が自力で構成表を書くことができた 隠れた問いの文を全体で作った後に文章構成表を書いたため 三部構成は全員が正しく把握できた 説明文で大切な 問い と 答え の関係や重要語句 このように に注目する読み方が ずいぶん定着した 次時学習活動 3 7 パワーアップ教材 ミラクルミルク を自力で読み 文章構成表にまとめよう 2つの教材文を読んで分かったことについて ふり返ろう < ミラクルミルク を読んで全部自分で書いた文章構成表 > 文章構成表から次のような実態が分かった 段落の数 100% 段落の要点 87% 問いの文 100% 三部構成の理解 87% 説明文の構成をつかむことに慣れてきたことが分かる 意味段落については 全部例だから 中 は 1つのまとまりだ という意見と どれも例だけど よく読むと 7と8はチーズのことを話しているから一つのまとまりだ という意見が出て 検討の結果 中 を3つの意味段落に分けた <2つの説明文を学習した後の児童の振り返り> 何個かの段落が全部同じ内容とは限らないから 段落は何のことが書いてあるとかまとまりを考えながら読むといい 問いの文 の答えを探しながら読むと その説明文に何が書いてあるかがだいたい分かる どの説明文も まとめは このように という大切な言葉を使って書いている 中 の部分は 一つ目は 二つ目は など順番を示すと分かりやすい文になる 2つの文のように はじめ で その話題について軽く書いておくと 読む人に分かりやすい 中は全部同じ 例 だと思っていたけど 内容に気を付けてよく読むと 2つのまとまりに分けられることが分かった

次時 4 8 ~ 1 4 学習活動 すがたをかえる食べ物について調べ 図や表にまとめよう 食品の例をあげて説明する文章を書こう できあがった文章を読み合おう < ミラクル食べ物事典 作文を書くための文章構成表& 作文 > 2つの教材文で学んだ説明の仕方をもとにして 三部構成については 話題提示 具体例 まとめ という構成で迷わず考えることができた また 中 についても 身近な食べ物から順に書く 形が残っているものとそうでないものに分けて書く など 順序を工夫したりまとまりを意識したりして書く様子が見られた その他の実践 様々な場面で同じ文章構成表の活用 左の文章構成表は 資料から分かったことを筋道立てて話そう ( 話すこと 聞くこと ) の学習で スピーチメモとして活用した文章構成表である 意味段落を意識して文章構成表を書いたことで 事実 ( 資料から分かったこと ) と考えの区別を意識することができた 他にも 聞くこと のテスト直しで文章構成表を用いることもある 相手の話を文章構成表に簡単にメモさせることで 話の要点をつかむことに慣れてきた

4 まとめ ( 成果と今後の課題 ) 本単元最後に ミラクル食べ物事典 で書いた作文では 2つの説明文で読み取ったことをいかして三部構成や段落を意識して書く様子が見られた 読むこと の学習で 文章構成に気を付けて読んだ学習が 書くこと の学習に十分にいかされたと言える 〇 パワーアップ教材 の位置付けは 文章構成の理解の習熟という意味ではもちろんだが 自分一人でも読める という自信につながるという点でも効果があると感じた 1 年間 各領域で文章構成表をくり返し使うことで 文章構成を考えることや 三部構成 段落 という言葉に慣れ 子どもたちが自然に使えるようになった また 最初の頃は文章構成表を書くのにずいぶん時間がかかったが 今では20 分程度で完成させられる児童が増えてきた そのため 国語の授業時数を使わずに 朝学習や家庭学習などでもパワーアップ教材に取り組むことができるようになった 学習前に 既習の 読む力 ( 読みの観点 ) に照らし合わせて初発の感想を書くというのは とても良かった 新しい文章に出会ったときに使える 読み方 を探す習慣作りにもなるし その活動で出てきた児童間の読み取りのずれや疑問を学習課題に設定することもできた 以前よりも段落や三部構成についての意識は高まっている 一方で 型 を学ぶことが中心になってしまい 読みたい 書きたい という意識を育てることがおろそかになってしまったように思う 形式的なテクニック にならず そのような 読み方 書き方 をすることで どんな良さがあるのか ( 要旨が分かる 相手に分かりやすくなる ) などを実感させながら取り組んでいくことが大切だと感じた 今回の実践では 文章構成表を用いたが 視覚的に 中 のまとまりが分かる文章構成図にまとめる方法にも挑戦させてみたい 文章構成表には 段落の役割を書く欄は設けてあるが 全体の中での役割は見えても段落相互の関係までは分かりにくいと感じた 今はまだ 前に学習した読み方や書き方で使える技はないか という働きかけがあって既習事項の取り出しが可能な段階である 今後 自分の意思で 前に習ったことが使えそう と思わせられれば さらにいきいきと国語学習に取り組む児童を育てられると思う 今後も 前の単元で学習したことが次の単元にいかされるような国語授業を目指し 授業改善に取り組んでいく < 参考文献 > 白石範孝 国語授業の教科書 東洋館出版社 2011 年 白石範孝 国語授業の技術 東洋館出版社 2013 年