配当所得は 他の所得と総合し 累進税率を適用して税額を計算しますが 一定の上場株式等の配当等については 他の所得と分離して税額を計算する申告分離課税を選択することができます ただし 申告分離課税を選択すると 配当控除を受けられず 確定申告をする一定の上場株式等の配当等の全てについて総合課税とするか

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(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

2. 改正の趣旨 背景給与所得控除 公的年金等控除から基礎控除へ 10 万円シフトすることにより 配偶者控除等の所得控除について 控除対象となる配偶者や扶養親族の適用範囲に影響を及ぼさないようにするため 各種所得控除の基準となる配偶者や扶養親族の合計所得金額が調整される 具体的には 配偶者控除 配偶

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

税法実務コース 所得税 学習スケジュール 回数 学 習 テ ー マ 内 容 第 1 章 テーマ1 所得税の仕組みテーマ2 所得税額の計算テーマ3 非課税所得 所得税の仕組み 税額計算 所得税が課税されないものについて学習します テーマ1 各種所得金額の計算の概要テーマ2 利子所得テーマ3 配当所得

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

5 事業用の車両等を売却 ( 譲渡 ) した場合の売却益 ( 譲渡益 ) 売却損 ( 譲渡損 ) については 事業所得とはならない 総合課税の譲渡所得 ( 土地 建物以外 ) の扱いになり 所有期間 (5 年超か以下か ) によって長期譲渡所得 短期譲渡所得に区分される 6 使用可能期間が1 年未満

配当所得 配当所得の金額 = 収入金額 - 元本取得のための ( 源泉徴収前 ) 借入金の利子 原則 支払い時に源泉徴収 確定申告によって精算 総合課税 申告不要あり 株式の配当 株式投資信託の収益分配金 保険会社から受け取る基金利息など 申告分離課税あり 例外 非課税株式投資信託の特別分配金 (

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

必要経費の考え方 所得の種類によって 名前は異なるが 内容としては 必要経費 にあたるものを示していると考える ( 例 ) 配当所得の場合 株式取得の借入金利子給与所得の場合 給与所得控除額雑所得 ( 公的年金 ) の場合 公的年金等控除額譲渡所得の場合 取得費用などの他 特別控除額一時所得の場合

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

【表紙】

Z-64-A 簿記論〔第一問〕-解 答-

ワコープラネット/標準テンプレート

経 [2] 証券投資信託の償還 解約等の取扱い 平成 20 年度税制改正によって 株式投資信託等の終了 一部の解約等により交付を受ける金銭の額 ( 公募株式投資信託等は全額 公募株式投資信託等以外は一定の金額 ) は 譲渡所得等に係る収入金額とみなすこととされてきました これが平成 25 年度税制改

目次 Ⅰ はじめに... 1 Ⅱ 申告についてのご注意... 1 Ⅲ ご利用に当たっての留意事項 動作環境 入力用ファイルの利用に関して 入力 印刷 問合せ... 3 Ⅳ 入力手順について... 4 Ⅴ 入力について

退職金についての市県民税はどうなるの? 私は平成 28 年 4 月に退職しました 勤続 30 年で退職金は 2,100 万円ですがこの退職 金に対する市県民税はいくらですか 通常の市県民税の課税は前年中の所得に対し翌年課税されるしくみになっていますが 退職金に対する課税については 他の所得と分離して

平成19年度市民税のしおり

 

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

Microsoft Word - NO.2 株式の譲渡 2.docx

iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま


(ⅲ) 源泉徴収選択口座への受入れ 源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

上場株式等の配当等に対する課税

相続税の改正 -平成23年度税制改正大綱

3 総合所得の種類と計算方法 ( 分離所得については市役所にお問い合わせください ) 所得の種類 事業 営農 業 等業 不 動 産 利配給雑 子当与公的年金等その他 ( 総合 ) 譲渡一時 概要農業 漁業 製造業 卸売業 小売業 サービス業その他の事業から生ずる所得建物や土地などの不動産 借地権など

投資主が受け取る配当等の額については 原則どおり配当等の額を受け取る際に20%( 所得税 )( 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までは復興特別所得税とあわせて20.42%) の税率により源泉徴収された後 総合課税の対象となります ( ロ ) 出資等減少分配に係る税

以下の表のように計算されます 総 所 得 金 額 所得控除 課税総所得金額 退職所得金額 雑 損控除額 課税退職所得金額 山林所得金額 土地等に係る事業所得等の金額 土地建物等に係る譲渡所得金額 医療費 社会保険料 小規模企業共済等掛金 生命保険料 地震保険料 配偶者 配偶者特別 課税山林所得金額

[Q1] 復興特別所得税の源泉徴収はいつから行う必要があるのですか 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際 復興特別所得税を併せて源泉徴収しなければなりません ( 復興財源確保法第 28 条 ) [Q2] 誰が復興特別所

( ロ ) 出資等減少分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る出資等減少分配 ( 所得税法第 24 条に定めるものをいいます 以下 本 ( ロ ) 出資等減少分配に係る税務 において同じです ) のうち本投資法人の税務上の資本金等の額に相当する金額を超える金額がある場合には みなし配当 ( 計

市場と経済A

平成16年度

株式等の譲渡(特定口座の譲渡損失と配当所得等の損益通算及び翌年以後への繰越し)編

所得控除 基礎控除 配偶者控除などの下記の表に記載されたものをいいます それぞれ一定の要件を満たしている場合は 課税所得金額を計算する際に それぞれの控除が受けられます 個人の県民税 個人の市町村民税 12

( 注 3) その他の少額上場株式等の非課税口座制度の詳細については 証券会社等の金融商品取引業者等にお問い合わせ下さ い b. 利益を超える金銭の分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る利益を超える金銭の分配 ( 平成 27 年 4 月 1 日以後開始事業年度に係る利益を超える金銭の分配につ

e. 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( ジュニア NISA) 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した未成年者口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 28 年 4 月 1 日から平成 35 年 12

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

上場株式等の譲渡益に係る課税 上場株式等の税金について 上場株式等の譲渡益に係る税率は以下の通りです 平成 25 年 1 月 1 日 ~ 平成 25 年 12 月 31 日 平成 26 年 1 月 1 日 ~ 平成 49 年 12 月 31 日 平成 50 年 1 月 1 日 ~ % (

スライド 1

FX取引に係る確定申告について

この特例は居住期間が短期間でも その家屋がその人の日常の生活状況などから 生活の本拠として居住しているものであれば適用が受けられます ただし 次のような場合には 適用はありません 1 居住用財産の特例の適用を受けるためのみの目的で入居した場合 2 自己の居住用家屋の新築期間中や改築期間中だけの仮住い

Taro-記載要領27.jtd

(****) 非課税口座に設けられる勘定は 毎年 非課税管理勘定 (NISA) 又は累積投資勘定 ( つみたて NISA) のいずれかに限ります 更に 2016 年 4 月 1 日から2023 年 12 月 31 日までの期間 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( 通称ジュニアNISA)

源泉徴収票不交付の届出書 源泉徴収票不交付の届出書 源泉徴収票不交付の届出書 ( 英語版 ) 公的年金等の源泉徴収票 ( 及び同合計表 ) 平成 年分公的年金等の源泉徴収票 平成 年分公的年金等の源泉徴収票合計表 公的年金等の源泉徴収票 ( 及び同合計表 )( 平成 28 年 1 月 1 日以後提出

第5回基礎問題小委員会 礎5-4

申告者と配偶者の合計所得金額の入力フォーム 申告者 ( 給与の支払いを受ける人 ) の事業所得 雑所得 配当所得 不動産所得 その他の所得の収入金額と必要経費を入力して合計所得金額を計算します 申告者の合計所得金額が 900 万円を超えると 配偶者控除または配偶者特別控除の控除額が変動します 申告者

平成16年度

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

妙高市 税に関するWEBページ

資料5 表紙

49 年 12 月 31 日までの間 源泉徴収される配当等の額に係るの額に対して 2.1% の税率により復興 特別が源泉徴収されます b. 出資等減少分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る利益を超える金銭の分配 ( 分割型分割及び株式分配並びに組織変更による場合を除く 以下本 1において同じ

第11 源泉徴収票及び支払調書の提出

1 基本項目 ⑴ 所轄税務署長給与の支払者の所在地 ( 住所 ) の所轄税務署名を入力します 所轄税務署が不明な場合 国税庁ホームページ にある 税務署を検索 で郵便番号等による検索ができますので 参照してください ⑵ 給与の支払者の法人番号この欄には 申告書を受理した給

特別障害者一人につき 75 万円を所得から控除することができます 障害者控除は 扶養控除の適用がない16 歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されます ⑶ 心身障害者扶養共済掛金の控除 P128 条例の規定により地方公共団体が実施するいわゆる心身障害者扶養共済制度による契約で一定の要件を備えて

税金読本(8-5)特定口座と確定申告


2. 改正の趣旨 背景給与所得控除額の変遷 1 昭和 49 年産業構造が転換し会社員が急速に増加 ( 働き方が変化 ) する中 (1) 実際の勤務関連経費が給与所得控除を上回っても 当時は特定支出控除 ( 昭和 63 年導入 ) がなく 会社員は実際の勤務関連経費がいくら高くても実額控除できなかった

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妙高市 税に関するWEBページ

 

Ⅰ 株取引等報告書 ( 国家公務員倫理法第 7 条 ) について 1. 概要 (1) 報告の対象となる職員 国家公務員倫理法第 2 条第 4 項に規定する 本省審議官級以上の職員 所得等報告書と異なり 平成 29 年 (1 月から12 月 ) の途中で新たに本省審議官級以上の職員となった者でも報告の

課税上の取扱い

雑 ( その他 ) 生命保険の個人年金 原稿料 講演料 シルバー人材センターからの配分金など 他のいずれにも該当しない所得です なお シルバー人材センターからの配分金は 家内労働者等の必要経費の特例が受けられます 総合課税の譲渡土地 建物等以外の資産 ( ゴルフ会員券 貴金属等 ) の譲渡から生じる

平成 28 年度市民税 県民税申告の手引き 申告書を提出しなければならない人平成 28 年 1 月 1 日現在 幸手市内に住所を有する人 (1 月 2 日以降に幸手市に転入した人は従前の住所地で申告を行ってください ) ただし 次に該当する人は この申告をする必要はありません 1 平成 27 年分の

d. 少額上場株式等の非課税口座制度 ( 通称 NISA) 少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した非課税口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 26 年から平成 35 年までの 10 年間 新規投資額で毎年 100 万円を上限

特定口座一般口座株式等の譲渡 売却などが該当 ) による所得は 申告分離課税の対象となっており 原則として お客さまによる譲渡損益の計算や申告納税の手続きが必要です 特定口座には これらの事務負担を軽減する機能があります 特定口座の機能 上場株式等の譲渡損益の計算 管理を行います 特定口座内に保管す

Microsoft Word 役立つ情報_税知識_.doc

3 所得から差し引かれる金額に関する事項 及び 4 所得から差し引かれる金額 控除の種類内容 10 雑損控除 11 医療費控除 12 社会保険料控除 13 小規模企業共済 等掛金控除 14 生命保険料控除 15 地震保険料控除 16 寡婦 ( 夫 ) 控除 17 勤労学生控除 18 障害者控除 19

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

スライド 1

PowerPoint プレゼンテーション

賦課の根拠となった法律及び条例(その2)

Microsoft Word - 個人住民税について(2018~2022)

配当所得の入力編

1 夫が亡くなったとき 40 歳以上 65 歳未満で 生計を同じくしている子がいない妻 2 遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻 (40 歳に達した当時 子がいるため遺族基礎年金を受けていた妻に限る ) が 子が 18 歳到達年度の末日に達したため 遺族基礎年金を受給できなくなったとき

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株式等の譲渡(特定口座の譲渡損失と配当所得の損益通算及び翌年以後への繰越し)編

Microsoft Word - 個人住民税について

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3 ページ 4 ページ 5 ページ 5 6 ページ 7 ページ 8 ページ 8 ページ 9 ページ 10 ページ 2

 

平成 31 年度 (2019 年度 ) 特別区民税 都民税 ( 住民税 ) の算出方法 平成 31 年 1 月 1 日現在 渋谷区内に住所がある人に対して 平成 30 年の 1 月から 12 月までの 1 年間の所得を基礎に税額を算 出します 住民税の算出方法は次のとおりです なお 区内に住所がなく

私たちの市税

所得控除 雑損控除 医療費控除 社会保険料控除等 旧生命保険料控除 旧個人年金保険料控除 ( 実質損失額 - 総所得金額等の合計額 10%) 又は ( 災害関連支出の金額 -5 万円 ) のうち いずれか多い方の金額医療費の実質負担額 -(10 万円と総所得金額等の 5% のいずれか低い金額 ) 限

所得控除 基礎控除 配偶者控除などの下記の表に記載されたものをいいます それぞれ一定の要件を満たしている場合は 課税所得金額を計算する際に それぞれの控除が受けられます 個人の県民税 個人の市町村民税 12

税金読本(8-5)特定口座と確定申告

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概要 平成 27 年までと平成 28 年以後の証券税制の比較 平成 27 年までは 上場株式等 と 公社債等 の税制上の取扱いが異なっています 平成 28 年以後は 金融所得課税の一体化 により 上場株式等 と 公社債等 の税制上の取扱いが統一されます 平成 27 年まで 上場株式等 上場株式 公募

平成19年度分から

一発合格!FP 技能士 3 級完全攻略実戦問題集 年版 別冊 FP 技能士 3 級 2018 年 9 月実施試験 解答 & 解説 実技試験個人資産相談業務 ( 金融財政事情研究会 ) 問題 解答 解説 第 1 問問 1 1 1) 適切 医療費の一部負担金等の額が自己負担限度額を超える場合

別表六 ( 一 ) 所得税額の控除に関する明細書 1 この明細書の用途この明細書は 法人が当期中に支払を受ける利子及び配当等並びに懸賞金等及び償還差益について課された所得税の額について 法第 68 条第 1 項 (( 所得税額の控除 ))( 復興財源確保法第 33 条第 2 項 (( 復興特別所得税

地震保険料 寡婦控除寡夫控除 あなたやあたなと生計を一にする配偶者その他の親族が所有している居住用家屋 生活用動産を保険や共済の目的とする契約で かつ 地震 噴火又は津波等を原因とする火災 損壊等による損害の額を補てんする保険金や共済金が支払われる地震保険 また平成 18 年末までに結んだ保険期間

項目額等 社会保険料 12 小規模企業 13 共済等掛金 あなたや生計を一にする配偶者などの親族の健康保険 国民健康保険 国民年金 介護保険 後期高齢者医療保険 農業者年金などの保険料を支払っている場合 その支払金額の全額 生計を一にする配偶者などの親族が受け取る公的年金等から天引き ( 特別徴収

PowerPoint プレゼンテーション

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1 収入金額等 2 所得金額 事業 住民税 ( 市民税 県民税等 ) 申告書の書き方 収入金額とは 所得税や社会保険料を差し引く前の給与 年金 売上金及び賃貸料など 平成 30 年中に収入を得ることが確定した金額をいいます 所得金額とは 収入金額から 必要経費等 ( その収入を得るための必要経費また

未成年者が口座開設者となり 原則として その親権者等が未成年者を代理して運用管理等を行います ジュニアNISA 口座に受け入れることができる上場株式等の新規投資による受入限度額 ( 非課税枠 ) は年間 80 万円です その非課税期間は最長で5 年間となります 一般のNISAの場合は 新規投資による

MR通信H22年1月号

Transcription:

各所得の内容と計算 P27~P55 10 種類に区分される所得がどのようなものか また所得金額はどのようにして計算されるのかを簡単にみてみましょう 1 利子所得 P27 利子所得とは 預貯金や公社債の利子 合同運用信託 公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得をいいます 利子所得の金額は 収入金額がそのまま所得金額になります なお 国債 地方債 外国国債 公募公社債 上場公社債 平成 27 年 12 月 31 日以前に発行された公社債 ( 同族会社が発行した社債を除きます ) など一定の公社債の利子は 他の所得と分離して税額を計算する申告分離課税となります ただし 一定の公社債の利子については 確定申告不要制度を選択することができます また 預貯金の利子などの所得については 源泉分離課税の対象となり申告は不要です ただし 国外で支払われる預金等の利子など 日本の所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されていないものなどは申告が必要です 2 配当所得 P28 配当所得とは 株主や出資者が法人から受ける剰余金の配当や公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く投資信託の収益の分配などから生ずる所得をいいます 配当所得の金額は 配当の収入金額から株式などを取得するために借り入れた借入金の利子を差し引いて計算します 13

配当所得は 他の所得と総合し 累進税率を適用して税額を計算しますが 一定の上場株式等の配当等については 他の所得と分離して税額を計算する申告分離課税を選択することができます ただし 申告分離課税を選択すると 配当控除を受けられず 確定申告をする一定の上場株式等の配当等の全てについて総合課税とするか 全てについて申告分離課税とするかのいずれかを選択する必要があります また 一定の配当等については 確定申告不要制度を選択することができます 3 事業所得 P30 事業所得とは 商工業や農漁業 医師 マッサージ師 指圧師 はり師 弁護士 俳優などのように 事業を営んでいる方のその事業から生ずる所得をいいます ただし 不動産の貸付けや山林の立木 ( たちきのことをいいます ) の譲渡などによる所得は 事業所得ではなく 通常 不動産所得や山林所得として取り扱われます ⑴ 所得金額の計算 P31 事業所得の金額は 次の算式で計算します 事業所得の金額 = 収入金額 - 必要経費 ⑵ 収入金額に含まれるもの P31 収入金額には それぞれの事業から生ずる売上金額のほかに 次の1から5のものも含めて計算します 1 金銭以外の物や権利などによる収入 2 商品を自家用に消費したり贈与した場合のその商品の価額 3 商品などの棚卸資産について損害が生じた場合に受け取った保 14

険金や損害賠償金などで事業の収入に代わる性質のもの 4 空箱や作業くずなどの売却代金 5 仕入割引やリベート収入 ⑶ 収入金額の計上時期 P32 収入金額は 原則として 収入となることが確定した時に収入があったものとして計算します ⑷ 必要経費 P32 必要経費とは 売上原価その他事業収入を得るために直接要した費用及び販売費 一般管理費その他業務について生じた費用のことをいいます したがって 次の1から6のような費用は必要経費にはなりません 1 衣食住費 養育費などの生活費である家事用の費用 2 事業と家事の双方の目的のために支出される家事関連費 ( 例えば 店舗兼住宅などの地代 家賃 火災保険料 水道光熱費 固定資産税 不動産取得税など ) のうちの家事用部分に相当する金額 3 所得税 復興特別所得税 住民税 4 罰金 科料 ( とがりょう ) 過料 ( あやまちりょう ) 国税の延滞税や加算税 地方税の延滞金や加算金 5 資産の値下がりなどによる評価損 6 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給料や賃金 ( 青色事業専従者に支払う給与を除きます ) 家賃 利子家事関連費は 事業用部分だけが必要経費に算入されますが 家事用の部分と事業用の部分との区別は 使用時間 床面積などの合 15

理的基準によってあん分して計算します 家族従業員が事業に専ら従事している場合は 青色申告者と白色申告者とで それぞれ次のイ及びロのように取り扱われています イ青色事業専従者給与青色申告者は 配偶者や親族に支払う給与が次の1 及び2の要件を全て満たす場合には あらかじめ税務署長に届け出れば その給与を必要経費とすることができます ( 要件 ) 1 生計を一にする配偶者や15 歳以上の親族のうち その年を通じて事業に6か月を超える期間従事するなど その事業に専ら従事していると認められる方に支払う給与であること 2 支払う給与は 仕事に従事している期間 仕事の性質や程度 その仕事に従事する他の使用人や同業者の従業員給与 その事業の種類や規模 収益の状況からみて 仕事の対価として相当であると認められることロ事業専従者控除白色申告者は 事業に従事している配偶者や生計を一にする親族に給与を支払っても その給与は必要経費とは認められません 代わりに 事業所得 不動産所得 山林所得を生ずる事業に専ら従事する配偶者や15 歳以上の親族で生計を一にする方がいる場合には 一人につき50 万円 ( その者が配偶者である場合は86 万円となります ) 又は次の算式で計算した金額のうちいずれか少ない金額を必要経費とすることができます 事業専従者控除 16

=( 事業専従者控除をする前の事業に係る不動産所得の金額 事業所得の金額又は山林所得の金額 ) ( 事業専従者の数 +1) なお 青色事業専従者で専従者給与の支払を受ける方や白色事業専従者については 事業主の申告に際して障害者控除 配偶者控除 配偶者特別控除又は扶養控除の適用を受けることはできません ⑸ 計算例 P37 マッサージ師の場合の事業所得の計算例を示すと次のとおりです 1 1 月から12 月までの間のマッサージ収入は474 万円です 2 必要経費は79 万円です 3 妻もマッサージの手伝いをしていて 事業専従者です 他に事業専従者はいません 4 白色申告者です 事業専従者控除額は86 万円となるため 事業所得の金額は 474 万円 -79 万円 -86 万円 =309 万円となります 4 不動産所得 P38 不動産所得とは 1 土地や建物などの不動産の貸付け 2 不動産に設定されている権利 例えば地上権の貸付け 3 船舶や航空機の貸付けなどから生ずる所得をいいます 不動産所得の金額は 次の算式で計算します 不動産所得の金額 = 収入金額 - 必要経費 5 給与所得 P39 給与所得とは 給与所得者などが勤務先から受ける給料や賞与などの所得をいいます ⑴ 所得金額の計算 P39 17

給与所得の金額は 次の算式で計算します 給与所得の金額 = 給与等の収入金額 - 給与所得控除額 ⑵ 給与所得控除額 P39 給与所得控除額は 給与等の収入金額に応じて次の算式で計算した金額です 給与等の収入金額 180 万円以下の場合 180 万円を超え 360 万円以下の場合 360 万円を超え 660 万円以下の場合 660 万円を超え 1,000 万円以下の場合 1,000 万円を超える場合 給与所得控除額収入金額 40%(65 万円に満たない場合には 65 万円 ) 収入金額 30%+ 18 万円収入金額 20%+ 54 万円収入金額 10%+120 万円 220 万円 ( 上限 ) なお 給与等の収入金額が660 万円に満たない場合には 年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表 で給与所得の金額を求めることができます ⑶ 給与所得者の特定支出控除 P41 給与所得者は その年中の特定支出の額の合計額が給与所得控除額の2 分の1を超える場合に 確定申告により その超える部分の金額を給与所得控除後の給与等の金額から控除することができます 特定支出とは 1 通勤費 2 転任に伴う転居費 3 研修費 4 資格取得費 5 単身赴任に伴う帰宅旅費 6 図書費 衣服費 交際費等の勤務必要経費のうち一定の要件を満たすものをいいます なお 6の勤務必要経費は 65 万円が上限となります 6 退職所得 P42 18

退職所得とは 退職に際し勤務先から受ける退職手当や一時恩給などの所得をいいます ⑴ 所得金額の計算 P42 退職所得の金額は 次の算式で計算します 退職所得の金額 =( 退職金の額 - 退職所得控除額 ) 1/2 なお 役員等勤続年数が5 年以下である人が支払を受ける退職金のうち その役員等勤続年数に対応する退職金として支払を受けるものについては 退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額が課税退職所得金額となります ⑵ 退職所得控除額 P43 退職所得控除額は 勤続年数に応じて次の算式で計算した金額です 勤続年数 20 年以下 20 年超 退職所得控除額 40 万円 勤続年数 (80 万円に満たない場合には80 万円 ) 800 万円 +70 万円 ( 勤続年数 -20 年 ) なお 退職者が 障害者となったことが直接の原因で退職した場合は 勤続年数に応じて上記により計算した金額に100 万円を加算した金額が退職所得控除額となります 7 譲渡所得 P44 譲渡所得とは 土地 建物 株式等 ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得をいいます ⑴ 土地や建物の譲渡 P45 土地や建物の譲渡による所得の金額は 他の所得の金額と分離し 19

て計算します この場合 譲渡した年の1 月 1 日現在で所有期間が5 年を超える土地や建物の譲渡による所得を 長期譲渡所得 5 年以下のものを 短期譲渡所得 といいます 長期譲渡所得の場合は 原則として 譲渡益 ( 譲渡益は収入金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します ) に対し所得税 15% 住民税 5% の税率を適用して税額を計算します 短期譲渡所得の場合は 原則として 譲渡益に対し所得税 30% 住民税 9% の税率を適用して税額を計算します なお 確定申告の際には 所得税と併せて 原則として その年分の所得税額である基準所得税額に2.1% の税率を掛けて計算した復興特別所得税を申告 納付することになります ⑵ 株式等の譲渡 P46 株式等の譲渡による所得の金額は 上場株式等と一般株式等 ( 上場株式等以外の株式等 ) を区分し 他の所得の金額と分離して計算します 上場株式等の譲渡益 ( 譲渡益は収入金額から必要経費を差し引いて計算します ) と一般株式等の譲渡益に対しそれぞれ所得税 15% 住民税 5% の税率を適用して税額を計算します なお 確定申告の際には 所得税と併せて 原則として その年分の所得税額である基準所得税額に2.1% の税率を掛けて計算した復興特別所得税を申告 納付することになります また 金融商品取引業者等に特定口座を開設している場合は この特定口座での取引については 源泉徴収口座又は簡易申告口座を選択することができ 源泉徴収口座での取引は 確定申告不要制度を選択することができます このほか 20 歳以上の居住者等の方に 20

ついてはNISA( ニーサ ) つみたてNISAが 20 歳未満の居住者等の方についてはジュニアNISAがあり 金融商品取引業者等に非課税口座又は未成年者口座を開設することにより 一定の条件の下 その非課税口座又は未成年者口座で取得した上場株式等に対する配当等やその上場株式等の譲渡益が最長 5 年間 ( つみたてNI SAの場合は20 年間 ) 非課税となります ⑶ 土地や建物 株式等以外の譲渡 P49 ゴルフ会員権や金地金 書画 骨とうなどの資産の譲渡による所得の金額については 事業所得や給与所得などの総合課税の他の所得の金額と合計し その税額は 累進税率を適用して計算します 譲渡した資産の所有期間が5 年を超える資産の譲渡による所得を 長期譲渡所得 5 年以内のものを 短期譲渡所得 といい 所得金額は次の算式で計算します 譲渡所得の金額 = 収入金額 -( 取得費 + 譲渡費用 )- 特別控除額譲渡所得の特別控除額は50 万円ですが 譲渡益が50 万円より少ないときはその金額となります なお 長期譲渡所得の場合は 譲渡所得の金額の2 分の1の金額を他の所得と合計することになります 8 山林所得 P50 山林所得とは 所有期間が5 年を超える山林を伐採して譲渡したり 立木のままで譲渡することによる所得をいいます 所有期間が5 年以内の山林の伐採又は譲渡による所得は 事業所得か雑所得になります 21

山林所得の金額は次の算式で計算します 山林所得の金額 = 収入金額 - 必要経費 ( 取得費 管理費 譲渡費用など )- 特別控除額山林所得の特別控除額は50 万円ですが 譲渡益が50 万円より少ないときはその金額となります 山林所得の金額については 他の所得の金額と分離し その税額は 一般の累進税率よりも軽減された特別の累進税率を適用して計算します 9 一時所得 P51 一時所得とは 営利を目的とする継続的行為から生じたものでなく 労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質も有しない一時的な所得をいいます 例えば 次の1から4のようなものが一時所得となります 1 生命保険契約に基づく一時金 ( 業務に関して受けるものを除きます ) や損害保険契約に基づく満期返戻金 2 懸賞や福引きの賞金品 ( 業務に関して受けるものを除きます ) 競馬や競輪の払戻金 ( 営利を目的とする継続的行為から生じた一定のものを除きます ) 3 法人から贈与された金品 ( 業務に関して受けるもの及び継続的に受けるものを除きます ) 4 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金一時所得の金額は 次の算式で計算します 一時所得の金額 = 収入金額 - 収入を得るために支出した費用 - 特別控除額 22

一時所得の特別控除額は50 万円ですが 特別控除前の金額が50 万円より少ないときはその金額となります なお 総所得金額を計算する場合には 一時所得の金額の2 分の1 の金額を他の所得と合計することになります 10 雑所得 P53 雑所得とは 恩給や国民年金 厚生年金 確定給付企業年金 確定拠出企業年金 一定の外国年金などの公的年金等 非営業貸金の利子 著述家や作家以外の方が受け取る原稿料や印税 講演料 放送謝金などのように 他の9 種類の所得のいずれにも当たらない所得をいいます 雑所得の金額は 次の1 及び2の算式で計算した金額の合計額です 1 公的年金等に係る雑所得の金額公的年金等の収入金額 - 公的年金等控除額 =A ( 赤字のときは0) 2 公的年金等以外に係る雑所得の金額公的年金等以外の収入金額 - 必要経費 =B 雑所得の金額 =A+B 23