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12_モニタリングの実施に関する手順書 

ICHシンポジウム2013 E14

( 別紙 ) 承認申請時の電子データ提出に関する基本的考え方について ( 平成 26 年 6 月 20 日付け薬食審査発 0620 第 6 号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知 ) 新旧対照表 ( 別添 ) 改正後 承認申請時の電子データ提出に関する基本的考え方 1. 承認申請時に電子データ提出を

9 中止基準 ( 研究対象者の中止 研究全体の中止について ) 10 研究対象者への研究実施後の医療提供に関する対応 通常の診療を超える医療行為 を伴う研究を実施した場合 研究実施後において 研究対象者が研究の結果より得られた利用可能な最善の予防 診断及び治療が受けられるように努めること 11 研究

3 治験実施計画書目的 当該治験について 治験実施計画書が手順書に従い適切に作成及び改訂されていることを確認する 次の事項を調べる (1) 治験実施計画書の記載項目 ( 再生医療等製品 GCP 省令第 7 条第 1 項に規定する項目 ) (2) 治験実施計画書の作成 改訂の手順と日付 (3) 治験計

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症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

別添 治験副作用等症例の定期報告に関する質疑応答集 (Q&A) について < 半年ごとの定期報告の受け付け> Q1 平成 26 年 6 月 30 日までの間は 治験依頼者 ( 自ら治験を実施する者を除く ) が提出する副作用等症例の定期報告は なお従前の例によることができる とあるが 平成 26 年

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北里大学病院モニタリング 監査 調査の受け入れ標準業務手順 ( 製造販売後臨床試験 ) 第 1 条 ( 目的 ) 本手順書は 北里大学病院において製造販売後臨床試験 ( 以下 試験とする ) 依頼者 ( 試験依頼者が業務を委託した者を含む 以下同じ ) が実施する直接閲覧を伴うモニタリング ( 以下

本日の内容 1. 未承認対照薬等の取り扱い別添の 4.(3) ウ.( ア ) 2. 対象疾患の悪化等を評価項目にする試験別添の 7.(3) イ.( ア ) 3. 承認取得者以外の治験国内管理人が治験 依頼者となる場合別添の7.(3) オ. 4. 医師主導治験との情報共有別添の7.(3) カ. 5.

医師主導治験取扱要覧

料 情報の提供に関する記録 を作成する方法 ( 作成する時期 記録の媒体 作成する研究者等の氏名 別に作成する書類による代用の有無等 ) 及び保管する方法 ( 場所 第 12 の1⑴の解説 5に規定する提供元の機関における義務 8 個人情報等の取扱い ( 匿名化する場合にはその方法等を含む ) 9

薬生安発 0302 第 1 号 平成 30 年 3 月 2 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 長殿 厚生労働省医薬 生活衛生局医薬安全対策課長 ( 公印省略 ) 医薬品リスク管理計画の実施に基づく再審査期間終了後の評価報告について の一部改正について 再審査期間中の新医薬品以外の医薬品の医薬品リ

する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には

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薬食機発 0131 第 1 号平成 25 年 1 月 31 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 長殿 厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長 薬事法に基づく登録認証機関の基準改正に伴う留意事項について ( その 2) 薬事法 ( 昭和 35 年法律第 145 号 以下 法 という )

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薬食審査発第 号平成 19 年 9 月 28 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 長殿 厚生労働省医薬食品局審査管理課長 国際共同治験に関する基本的考え方について 従来 我が国においては ICH-E5 ガイドラインに基づく 外国臨床データを受け入れる際に考慮すべき民族的要因について

これまでの検討経緯 2014 年 6 月 E17 EWG 設立 2014 年 11 月第 1 回対面会合 ( リスボン ) 2015 年 6 月第 2 回対面会合 ( 福岡 ) 2015 年 12 月第 3 回対面会合 ( ジャクソンビル ) 2016 年 5 月 -6 月 エクスパートによるサイン

生殖発生毒性試験の実施時期について

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本手順書で使用する用語の定義 用語電子的記録書面電子的記録利用システム実務担当者原データ治験関連文書サイボウズサイボウズメッセージ 定義人の知覚では認識できない, 電子式等の方法で記録され, コンピュータで処理される記録紙媒体による資料治験依頼者, 実施医療機関の長, 治験責任医師並びに治験審査委員

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仮訳 原文 P2 補遺 E6 (R2) コード 履歴 日付 E6(R2) R1 文書に対する補遺以下の各項に対する追加 : 序文,1.63,1.64, 1.65,2.10,2.13,4.2.5,4.2.6,4.9.0,5.0, 5.0.1,5.0.2,5.0.3,5.0.4,5.0.5,5.0.6,

ICH Q4B Annex12

第 4 章治験責任医師の業務 目次 1. 目的と適用範囲 1 2. 治験責任医師の要件 1 3. 治験実施計画書の遵守に関する合意 1 4. 同意説明文書の作成 1 5. 治験分担医師及び治験協力者のリストの作成 2 6. 治験の実施依頼 ( 新規 変更 継続 ) 3 7. 治験の実施等の了承 3

未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類

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MDSAP の調査結果の 試行的受入れについて ( 独 ) 医薬品医療機器総合機構 品質管理部 登録認証機関監督課 1

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モニタリング計画書・報告書

治験実施規程

都道府県医師会医療安全担当理事殿 ( 法安 56) 平成 27 年 8 月 5 日 日本医師会常任理事今村定臣 酵素電極法を用いた血糖測定に使用する医療機器及び体外診断用医薬品に係る 使用上の注意 の改訂について グルコース分析装置 自己検査用グルコース測定器及び自動分析装置等並びに血液検査用グルコ

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る として 平成 20 年 12 月に公表された 規制改革推進のための第 3 次答申 において 医療機器開発の円滑化の観点から 薬事法の適用範囲の明確化を図るためのガイドラインを作成すべきであると提言したところである 今般 薬事法の適用に関する判断の透明性 予見可能性の向上を図るため 臨床研究におい

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医療機関のの指示 決定に 医療機関のが 治験審査委員会の決定 関する文書 に基づく医療機関のの指示 決定を ( 治験に関する指 治験依頼者及びに通知す 示決定通知書 ) ( 治験審査委員会の通知文 る文書 書写しを含む ) 治験審査委員会の日付入り通知文書の 写し の業務内容に関 医療機関のがの業務

研究課題名 臨床研究実施計画書 研究責任者 : 独立行政法人地域医療推進機構群馬中央病院 群馬県前橋市紅雲町 1 丁目 7 番 13 号 Tel: ( 内線 )Fax: 臨床研究期間 : 年月 ~ 年月 作成日 : 年月日 ( 第 版

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医療機器添付文書の手引書第 5 版 第 3 章第 3 節 < テンプレート > についての補足解説 1. パルスオキシメータ (WG2 6.1から6.4) テンプレートを利用する場合 以下 5 点の解説を参照すること パルスオキシメータ ( 本体 ) 6.2 パルスオキシメータ ( 一体

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301226更新 (薬局)平成29 年度に実施した個別指導指摘事項(溶け込み)

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未承認の医薬品又は適応の承認要望に関する意見募集について

別紙 2 ICH 電子化コモン テクニカル ドキュメント (ectd) に含める 電子ファイル仕様の国内実装について v1.1.0

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

( 書式 4), 治験責任医師の履歴書及び治験実施計画書等の審査の対象となる文書を委員会に提出し, 治験の実施について意見を求めるものとする 2 病院長は, 委員会が治験の実施を承認する決定をし, 又は治験実施計画書, 症例報告書, 説明文書及び同意書並びにその他の手順について何らかの修正を条件に治

( 委員会の業務 ) 第 4 条委員会は その責務の遂行のために以下の最新資料を病院長から入手する なお あらかじめ 自ら治験を実施する者 委員会及び病院長の合意が得られている場合においては GCP 省令第 26 条の6 第 2 項に関する通知に限り 自ら治験を実施する者から入手することができる ま

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ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

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PSP 省令 と それぞれ略称する 記 1. 改正施行規則について希少疾病用医療機器その他の医療上特にその必要性が高いと認められる医療機器であり かつ 当該医療機器についての臨床試験の実施に特に長期間を要すると認められるものに係る承認申請をする場合においては 改正 GVP 省令第 9 条の3 第 1

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E3:Structure and Content of Clinical Study Reports ( 治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン ) Question and Answers Document 独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部 篠原加代

本日の内容 E3 の概要と E3 IWG 発足の経緯 E3 IWG での検討内容 Q&A の内容 本日お話しする内容は個人的見解を含んでおり 医薬品医療機器総合機構 (PMDA) 及び E3 IWG の公式見解ではありません 2

本日の内容 E3 の概要と E3 IWG 発足の経緯 E3 IWG での検討内容 Q&A の内容 3

E3 の概要 治験の総括報告書 (Clinical Study Report: CSR) の構成と内容に関するガイドライン CSR の作成に当たって 構成と内容 添付資料 ( 付録 ) に関する指針を詳細に説明している 1996 年に発出されてから 改正及び Q&A 作成が一度も行われていない 4

E3 の構成 序文 14. 本文中には含めないが 引用する表 1. 標題ページ図及びグラフ 2. 概要 15. 引用文献の一覧表 3. 目次 16. 付録 4. 略号及び用語の定義一覧 16.1 治験に関する情報 5. 倫理 16.2 患者データ一覧 6. 治験責任医師等及び治験管理組織 16.3 症例記録 7. 諸言 8. 治験の目的 9. 治験の計画 10. 治験対象患者 11. 有効性の評価 12. 安全性の評価 13. 考察と全般的結論 5

E3 の構成 - 付録 - 16.1 治験に関する情報 16.1.1 治験実施計画書及びその改訂 16.1.2 症例記録用紙の見本 16.1.3 治験審査委員会の一覧 患者への説明文書及び同意書の見本 16.1.4 治験責任医師及び他の重要な治験参加者の一覧表及び説明 ( 履歴書等 ) 16.1.5 治験総括 ( 調整 ) 医師又は治験依頼者の医学責任者の署名 16.1.6 複数のロットが用いられた場合には 治験に用いられたロットごとの薬剤を投与された患者一覧表 16.1.7 無作為化の方法及びコード 16.1.8 監査手順に関する資料 監査証明書 16.1.9 統計手法に関する文書 16.1.10 臨床検査に関して施設間の標準化及び品質保証を行ったのであればその方法と手順に関する文書 16.1.11 治験に基づく公表文献 16.1.12 総括報告書で引用された重要な公表文献 6

E3 の構成 - 付録 - 16.2 患者データ一覧表 16.2.1 中止症例 16.2.2 治験実施計画から逸脱した症例 16.2.3 有効性の解析から除外された症例 16.2.4 人口統計学的データ 16.2.5 服薬遵守及び ( 又は ) 薬物濃度データ ( 可能であれば ) 16.2.6 個々の有効性反応データ 16.2.7 患者ごとの有害事象一覧表 16.3 症例記録 16.3.1 死亡 その他の重篤な有害事象発現例及び有害事象による投与中止例の症例記録 16.3.2 提出された他の症例記録 7

E3 において認識された課題 構成と内容 (Content and Structure) E3 は CSR 作成のための要件を満たすべきテンプレートではなく 必要に応じて改変が可能であることを明確にするべき 理由 : 強制的に従うべきテンプレートと考える sponsor が多い 付録 (Appendices) E3 に示されたすべての資料を添付する必要はない旨を明確にするべき 理由 :E3 で添付を要求されている資料の多くは Trial Master File (TMF) (ICH E6) や申請資料 (Common Technical Document:CTD) (ICH M4) に含まれている 用語 (Terminology) 他の ICH ガイドラインとの用語の不整合がみられる 理由 : E3は1995 年にStep4 1996 年に発出された古いガイドライン 8

E3 IWG Q&A 作成の経緯 2011 年 4 月 E3 Concept Paper を ICH Steering Committee 電話会議に提出 2011 年 6 月 11-16 日シンシナティ会合にて E3 IWG 発足が決定 参加者 reviewer 側 MHLW FDA EMA sponsor 側 JPMA PhRMA EFPIA オブザーバー Canada EFTA 等 2011 年 9 月 ~2012 年 5 月電話会議及び e-mail での議論 2012 年 6 月 2-7 日 ICH 福岡にて Step 4 sign off 6 月 21 日より ICH ウェブサイトで公開 http://www.ich.org/products/guidelines/efficacy/article/efficacyguidelines.html. 9

本日の内容 E3 の概要と E3 IWG 発足の経緯 E3 IWG での検討内容 Q&A の内容 10

E3 IWG での検討内容 議題 1 構成と内容 (Content and Structure) 議題 2 付録 (Appendices) 議題 3 用語 (Terminology) 11

議題 1 構成と内容 (Content and Q&A 作成の主旨 Structure) E3 は遵守すべきテンプレートではなく 必要に応じて構成の改変が可能である旨を強調する 特に E3 作成時に意図されていない試験 (PK/PD 試験 QOL に関する試験など ) では より分かりやすい CSR になるように改変を勧める E3 より後に発出された M4 ガイドラインとの整合性を図る 12

議題 2 付録 (Appendices) Q&A 作成の主旨 審査に必要であり 提出すべき資料を明確にする 13

議題 3 用語 (Terminology) Q&A 作成の主旨 E3 に示されている使用し難い図表 解釈が不明瞭な用語について解説を加える E3 に示されている図表はあくまで例であり 改変が自由である旨を強調する 14

本日の内容 E3 の概要と E3 IWG 発足の経緯 E3 IWG での検討内容 Q&A の内容 15

Q&A の内容 計 7つのQ&A 議題 1 構成と内容 (Content and Structure) Q&A#1 #2 議題 2 付録 (Appendices) Q&A#3 議題 3 用語 (Terminology) Q&A#5 #6 #7 Q&A#4でeCTD 申請の際の問題点に対応 16

Q #1 議題 1 構成と内容 (Content and Structure) に関する Q&A の概略 E3 は指針であって 遵守すべきテンプレートではないと考えてよいか? E3 が前提としていなかった試験 (PK/PD 試験 QOL アウトカム試験など ) についても E3 を適用することは可能か? 17

A #1 議題 1 構成と内容 (Content and Structure) に関する Q&A の概略 E3 は遵守すべきテンプレートではなく 情報をより効果的に提示する目的で 構成を改変することが可能である 特に E3 作成時に前提とされていない試験において 新しいセクションを作成するなど 構成の改変が推奨される 試験に関連する構成要素を省略する場合 ( 例 : 有効性評価試験で有効性評価を提示しない場合 ) には その旨及びその対応が適切と判断した根拠を説明するべきである 軽微な変更 ( セクションの順序や名称の変更 試験内容から関連がないことが明らかなセクションの削除など ) については 説明は特に必要ない 18

Q #2 議題 1 構成と内容 (Content and Structure) に関する Q&A の概略 シノプシス ( 概要 ) について E3 では シノプシスの記載は通常 3 ページ以内としているが M4E では 複雑かつ重要な試験の場合は 10 ページ程度までとしている これらの指針の違いをどのように解釈すべきか? A #2 E3 に示された指針は M4E より前に作成されたものであるため M4E の指針と合わせて考えるべきである シノプシスは CTD において独立した文書として利用されるため CSR の他のセクションを参照しなくても それだけで理解でき 解釈できるように簡潔に記述すること 19

議題 2 付録 (Appendices) に関する Q&A の概略 Q #3 付録 (16. Appendix) について E3 に示されている付録には ICH-GCP に従い Trial Master File(TMF) から入手できる文書も含まれているが TMF に保管されている文書を付録に含める必要はあるのか? 注 : TMF は 日本の ICH-GCP では 医療機関や治験依頼者で保存が求められている 必須文書 におおむね該当 ( 平成 16 年 7 月 22 日付薬食審査発第 0722014 号厚生労働省医薬食品局審査管理課課長通知 医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について で定められ 平成 16 年 10 月 18 日事務連絡で構成が提示 ) 20

A #3 議題 2 付録 (Appendices) に関する Q&A の概略 審査官が CSR を審査する際に必要な文書は すべて付録に含めるべき (TMF は承認申請時に提出されないため TMF に保管されているのみでは不十分 ) 必要な文書 : 治験実施計画書 (16.1.1) 統計手法に関する文書 (16.1.9) 治験責任医師及び治験実施医療機関の一覧 (16.1.3) 症例報告書の見本 (16.1.2) 一般的に付録に含める必要はない文書 : 治験責任医師の履歴書や倫理委員会の承認 同意説明文書 被験者ごとの治験薬のロット番号などの補助的な文書 (TMF あるいは治験薬データベースに保管されるため ) 国や地域によって添付が必要な文書があれば それに従うこと ( 監査証明書 (16.1.8):ICH-GCP では規制法規で要求される場合に提出 : 日本が該当 ) 付録に含めなかった文書は 審査当局から要求された場合に速やかに提出できるようにしておくこと 21

Q #5 議題 3 用語 (Terminology) に関する Q&A の概略 有害事象に関する用語 死亡例は セクション 12.3.1.1 死亡 とセクション 12.2.1.2 その他の重篤な有害事象 の両方で捕捉される可能性がある 理由 : その他の重篤な有害事象 は 死亡ではないが 時間的に死亡に関連する又は死亡に先行する重篤な有害事象を含む と定義 例 : 肺高血圧症 ( 重篤 ) の経過中に 呼吸不全 ( 重篤 ) を発症し死亡 転帰が死亡の事象がセクション 12.2.1.2 に含まれる場合 死亡例を二重にカウントするなど 誤ってカウントする恐れがあるのではないか? A #5 死亡はセクション 12.3.1.2 の一覧表に含まれる可能性がある すべての死亡はセクション12.3.1.1の一覧表に含まれることから セクション12.3.1.2で提示された被験者の死亡は すべてセクション12.3.1.1の一覧表で記述される よって 死亡を誤ってカウントすることにはならない 22 はずである

議題 3 用語 (Terminology) に関する Q&A の概略 Q #6 有害事象の表示セクション 12.2.2 の表 E3 のセクション 12.2.2 では 有害事象毎の因果関係別 重症度別の患者数及び発現率 事象を発現した個々の患者識別コードを一つの表に示した例が提示されている さらには 治験担当医師の報告用語も示すことが求められている しかし 実際には これらをすべて一つの要約表に示せるほど簡潔なことはほとんどないが どうすればよいのか? A #6 E3 のセクション 12.2.2 には 比較的よく認められる有害事象の要約表を提示するべきであり 被験者識別コードや各有害事象の報告用語など より詳細な情報の一覧表は セクション 14.3.1 やセクション 16.2.7 に示すべきである これらの情報を一つの一覧表にすべて表示することが非実用的な場合には 別々の一覧表に分けて示すことができる 23

議題 3 用語 (Terminology) に関する Q&A の概略 Q #7 治験対象患者に関する用語の解説 protocol deviation important protocol deviation protocol violation の意味の違い 使い分け方は? ( 注 :E3 和訳版ではそれぞれ 治験実施計画書からの逸脱 重要な逸脱 治験実施計画書からの逸脱 であり deviation と violation を区別していないため 特に問題は生じていない ) E3 のセクション 10.2 に important protocol deviation の定義が提示されているが 改変してよいのか? ー組み入れ基準に該当しないのに組み入れられた被験者 ー中止基準に該当したのに中止されなかった被験者 ー治療方法 用量が不適切であった被験者 ー禁止されている併用療法を受けた被験者 24

A #7 議題 3 用語 (Terminology) に関する Q&A の概略 protocol deviation には 治験実施計画書からのすべての逸脱が含まれる important protocol deviation は protocol deviation のうち 試験データの完全性 あるいは被験者の権利 安全性等に大きな影響を及ぼす可能性があるものを指す protocol violation は E3 では別添 IVa( 被験者の内訳 ) で使用され protocol deviation により 試験中止に至った場合 を指す 一方 protocol violation は important protocol deviation の同義語として用いられることがあり 規制上の他の意味でも用いられることがある 用語の混乱を避けるため 別添 IVa の protocol violation を protocol deviation に置きかえることを推奨する セクション 10.2 に important protocol deviation の定義が示されているが 試験の性質に応じて改変してよい 大きく変更する場合には その旨を明確に説明するべきである 25

議題 3 用語 (Terminology) に関する Q&A の概略 別添 IVa 26

Q #4 ectd 申請の際の問題に関する Q&A の概略 E3 の本文や付録で言及されていないデータ ( 例 : 臨床薬理試験での PK 報告書 ) を 申請時 ( 特に ectd 申請時 ) に提出するにはどのようにしたらよいか? 27

ectd 申請の際の問題に関する A #4 Q&A の概略 E3 の本文や付録で言及されていないデータについては CSR の新しいセクション及び新しい付録を作成することが適切である 提出方法には現在 以下の選択肢がある 1) 独立した報告書 ( 日本はこちらに該当 ) ectd では これらは主となる CSR と 同列 に位置づけられる 同一の見出しの下に提示することも 当該試験の ectd フォルダの中に並べて配列することもできる 2) study tagging files(stf) を利用する地域 ( 米国のみ ) valid values list に与えられている file-tag の利用が推奨される 適切な file-tag がない場合は 新たな file-tag の使用を規制当局に依頼できるが 間に合わない場合には CSR の本文の一部資料として提出できる その場合は study-report-body という file-tag が付与される 28

例. ectd 申請で 資料に PK 報告書を追加する場合 独立した報告書 ( 日本 ) STF を用いる地域 ( 米国 ) 5.3.3.1 健康被験者における PK 及び初期忍容性試験報告書 5.3.3.1-1 試験番号 12345 CSR 5.3.3.1-1 試験番号 67890 CSR 5.3.3.1-1 試験番号 67890 PK 報告書 5.3.3.1 健康被験者における PK 及び初期忍容性試験報告書 Study ID = 12345 概要本文治験実施計画書及びその改訂症例記録用紙の見本 file-tag (Valid values list から選ぶ ) 治験審査委員会の一覧, 患者への説明文書及び同意書の見本 PK 報告書 Study ID = 67890 29

ご静聴ありがとうございました 30

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9. 治験の計画 E3 の概要 4 9.1 治験の全般的デザイン及び計画 - 記述 9.2 対照群の選択を含む治験デザインについての考察 9.3 治験対象母集団の選択 ( 組み入れ基準 除外基準等 ) 9.4 治療法 ( 対象患者の割付け方法 治験薬の用法 用量 投与時期 盲検化 前治療及び併用療法等 ) 9.5 有効性及び安全性の項目 ( フローチャート 測定項目の適切性 有効性の主要評価項目等 ) 9.6 データの品質保証 9.7 治験実施計画書で計画された統計手法及び症例数の決定 9.8 治験対象患者 32

11. 有効性の評価 E3 の概要 5 11.1 解析したデータセット 11.2 人口統計学的及び他の基準値の特性 11.3 治療の遵守状況の測定 11.4 有効性に関する成績及び個別患者データ一覧表 11.4.1 有効性の解析 11.4.2 統計 解析上の論点 11.4.3 個別反応データの作表 11.4.4 薬剤の用量 薬物濃度及びそれらと反応との関係 11.4.5 薬物 - 薬物及び薬物 - 患者の相互作用 11.4.6 患者ごとの表示 11.4.7 有効性の結論 33

12. 安全性の評価 E3 の概要 6 12.1 治験薬が投与された症例数 期間及び用量 12.2 有害事象 12.3 死亡 その他の重篤な有害事象及び他の重要な有害事象 12.4 臨床検査値の評価 12.5 バイタルサイン 身体的所見及び安全性に関連する他の観察項目 12.6 安全性の結論 34