VA機能不全に対するPTA法の進歩と課題

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本日の話題 1) VA に対する PTA 法の実際 ( 新たなデバイスの話 ) 2) VA の管理 評価 (3 ヵ月ルールとの関係 )

図 2: 紹介アクセストラブル患者の処置の内訳 PTA:354 回 期間 :2015 年 1 月 1 日 ~2015 年 12 月 31 日 VAトラブル 519 回 手術 :165 回 68.2% 31.8% AVF:259 回 AVG:95 回 閉塞 :31 例 73.2% 26.8% 12.0% 26.3% 閉塞 :41 例 24.8% 閉塞 :25 例カフ型カテーテル挿入 6 例 (14.6%) ウロキナーゼ 6 万単位ヘパリン 5000 単位 1 例 (2.9%) PTA 9 例 (26.5%) 血栓吸引 +PTA 21 例 (61.8%) PTA 12 例 (48.0%) 血栓吸引 +PTA 13 例 (52.0%) 血栓除去 + 再建 11 例 (26.8%) 再建 7 例 (17.1%) 血栓除去 10 例 (24.4%) ( 以下 :hybrid 手術 ) 血栓除去 PTA 再建 1 例 (2.4%) 血栓除去 +PTA 5 例 (12.2%)

Fig.1 年度別 OPE PTA 件数 ( 件数 ) 600 PTA(1,626 件 ) OPE(501 件 ) カテーテル (70 件 ) 500 17 18 109 400 11 10 105 300 87 94 200 100 8 51 118 301 299 347 419 6 55 142 0 2010/9/1-2011/3/31 2011/4/1-2012/3/31 2012/4/1-2013/3/31 2013/4/1-2014/3/31 2014/4/1-2015/3/31 2015/4/1-2015/8/31

Fig.2 PTA 患者の紹介先医療機関 期間 :2014 年 1 月 ~2015 年 8 月 他院 536 件 85% 当院 98 件 15% 福岡市以外 126 件 23% 他県 48 件 9% 福岡市 362 件 68% 当院の患者は 35 人の患者が平均 2.8 回行っていた 他県では臨検の佐賀 大分に集中している 九州 7 県と福岡市内にアクセス専門外来を急患対応しているクリニックはない 福岡市外は 筑後 大牟田 飯塚に集中している

(1) なぜ VAIVT をするのか? PTA の依頼理由ア ) 閉塞イ ) 狭窄による血流不足と静脈圧上昇ウ ) 穿刺困難エ ) 瘤の改善オ ) 音が小さくなったカ ) 上肢の腫脹キ ) 中心静脈の狭窄による静脈高血圧症 血液透析で必要な脱血が不良になった もしくは 脱血することが容易ではなくなった 再循環の改善

(2)VAIVT で必要な設備と手順について

吻合部 触知できる狭窄部位 シース挿入位置

DSA 狭窄部位

上肢から腕頭部までの全体を造影 左上肢肘部内シャント より中枢にも狭窄が隠れている 狭窄

ターニケット 腋下に巻いておく

加圧 拡張方法 2-3 気圧から開始 30 秒間に 5 回程度加圧 減圧を繰り返す 減圧 ; ロック解除のみ 加圧 減圧 ; ロック解除のみ 徐々に圧を上げていき nominal pressure まで上げる

PTA 前 左前腕尺側 AVF 狭窄 血流量 拍動係数 2.0 狭窄径 0.8mm 300ml/min

コンクエスト 5mm 2 気圧 30 秒 段階的に加圧 4 気圧 30 秒 6 気圧 30 秒 6 気圧 90 秒

PTA 後 左前腕 AVF 狭窄 血流量 拍動係数 1.0 最狭窄径 2.9mm 500ml/min

図 1 non-compliant balloon と semi-compliant balloon a) non-compliant balloon 狭窄 狭窄を拡張する方向に圧がかかりやすい b) semi-compliant balloon 狭窄 硬い狭窄以外のやわらかい部位に圧が逃げやすい 土井盛博.Balloon 拡張治療バスキュラーアクセスインターベンションの最前線,148-170 ( 広島大学病院透析内科 )

図 2 バルーン中央部で拡張した場合と端で拡張した場合の拡張力の違い a) バルーンの中央で拡張 ( 資料提供 : 春口洋昭先生 ) 圧縮された組織 a) バルーンの中央で拡張した場合には 周囲の組織を挟みこんでしまうため 完全拡張が得にくい b) バルーンの端で拡張 b) バルーンの端で拡張すると周囲の組織を外に押し広げるように拡張するため完全拡張が得やすい 土井盛博.Balloon 拡張治療バスキュラーアクセスインターベンションの最前線,148-170 ( 広島大学病院透析内科 )

ドッグボーン現象

Super-non-compliant balloon vs Others Dog-bone phenomenon As shown in the figure, group B, when using a semi-compliant balloon that looks like it is being bitten by a dog, causes intimal injury and the main objective is not achieved due to the fact that the balloon expands beyond the optimal size. Super-non-compliant Balloon As shown in the figure, group A, using a super non-compliant balloon eliminates the occurrence of dog bone phenomenon. Vein damage is also avoided because the balloon is limited in its expansion. 6atm 7atm

(3) デバイスの選択について ( カテーテル ガイドワイヤー シース ステント 他 ) 1 拡張カテーテル : 標準型 (0.035inch) 特殊型 (0.018inch) 2 ガイドワイヤー :0.016,0.018,0.035( シース挿入用 0.025) 各 inch 3 シース :4, 5, 5.5, 6 Fr. 4 ステント : 5 加圧器 :0~25atm.( 保険請求不可 )

(4) 手技のエンドポイント VAIVT のエンドポイントが, 統一できていない 完全拡張?: ジャストサイズで施行するのか 透析量を確保するために VAIVT を行うのか PTA から PTA への開存期間を確実に延長させる手段 道具が確立されていない 開存期間を本当に最も延長させる手技であるのか? 過剰血流を惹起することはないのか? 血管損傷による瘤の形成? 透析に十分な血流量を確保でき かつ開存期間が最も長い方策を考慮

(%) 2012 年 EDTA Primary patency from 2003 to 2010 Cases :AVF 979 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 n.s. 0 50 100 150 200 250 300 (Wks.) Full dilation : 567 incomplete dilation : 412

2012 年 EDTA Comparison of patency time. 244 cases below 6 atmospheres compared to 735cases below 7 atmospheres. From 2003 to 2010 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 Under 6 atm :244 cases Over 7 atm :735 n.s. 0 100 200 300 400 500 (Wks.)

2012 年 EDTA Primary patency From 2003 to 2010 (Fig.3) (Fig.4) 100 100 80 60 40 20 * P<0.0 1 * 80 60 40 20 * P<0.01 * 0 0 100 200 300 400 500 (Wks.) 0 0 100 200 300 400 500 (Wks.) Under 5 atm : 140 cases Under 4 atm : 54 cases Over 6 atm : 839 cases Over 5 atm : 925 cases

2013 年 VAS 3 ヶ月ルール前後の開存率 Primary Patency of VAIVT on AVF Cases 100 80 60 40 20 0 After 2012 APRIL (140 cases) (%) Before 2012 APRIL (240 cases) : LOGRANK P<0.001 0 500 1000 (Kaplan-Meier method) (Days) No.7

2013 年 VAS Secondary Patency of VAIVT on AVF Cases (%) 100 80 60 40 20 : LOGRANK P<0.05 Before 2012 APRIL (140 cases) After 2012 APRIL (240 cases) 0 0 200 400 600 800 1000 3 ヶ月ルール前後の開存率 (Days) (Kaplan-Meier method)

新デバイスのラインナップ Peripheral Cutting Balloon AngioSculpt Non Slip Element Inflation

Element の形状と高さ Peripheral CuttingBalloonTM AngioSculpt non slip element PTATM 0.007inch 0.005 インチ 0.007inch AngioSculpt 使用時における拡張圧 平均拡張圧 (n:20) 5.5±1.6 atm(mean±se) (NSE n:17 5.4±1.8 atm(mean±se) (PCB n: 176 6.7±1.9 atm(mean±se) (POBA n:982 11.5±3.6 atm(mean±se)

NSE による切断面 石膏の切れ込みでは 歯が鋭く周囲の挫滅面がない

NSE による切断面 厚い内膜を一部切断

Fig.35) 新しいデバイスのスペック Peripheral CuttingBalloonTM AngioSculpt Non Slip Element PTATM 適合シース [Fr] 7 6 5 適合ガイドワイヤー [inch] 0.018 0.018 0.018 バルーン径 [mm] 5 ~ 6 4 ~ 6 4 ~ 6 バルーン長 [mm] 20 20,40 20,40 atm 6 8 8 atm 10 14 16 16 18 カテーテル長 [cm] 50,90,135 90,137 50,90 エレメント 数 4 4 3 高さ [inch] 0.005 0.007 0.0155 素材 ステンレススチール ナイチノール ナイチノール

Fig.37) 新しいデバイスの特性 Peripheral Cutting BalloonTM AngioSculpt Non Slip Element PTATM 特性 1 ステンレス製の鋭いブレードにより, プラークへ直接切れ目を入れることによる弾性組織, 線維組織の分断 2 低圧拡張 1 らせん状にスコアリングエレメントがバルーンに配置されており, スリップしにくい, 病変部内腔に均一なバルーンの拡大 2 良好なリラップによる通過性の良さ 1 応力を血管壁に効率よく集中させており, その結果, スリップを防ぐ能力も高い 2 石灰化部にも有効 使用上の注意点 1 屈曲部でのブレードの折れ曲がり, 脱落など 2 リラップが不良のため再挿入の禁止 3 石灰化部と完全閉塞部での使用禁止 4 拡張は 1 atm で 5 秒以上かけること 1 スコアリングエレメントの脱落の報告 2 血管内での回転は, 引っ掛かりの原因 1 2 ~ 3 atm までバルーンが病変に接するまではゆっくり拡張 2 バルーンとエレメントは, 根本で接着されているのみのため間に引っかかる可能性あり. ワイヤーの操作に気を付ける 3 エレメントがトラップされる可能性があるため, 血管内で回転させない

2000 年から 2013 年までの総括 # デバイスと拡張方法 標準型 特殊型 Non-compliance/Semi-compliance 完全拡張 不完全拡張 PCB の使用開始と中止 Super-non-compliance balloon の使用開始 低圧拡張 低圧頻回拡張 スコアリングバルーンなどの特殊バルーンの使用 開存成績は変わらないが 病変の選択によっては有利に働く # 2012 年 4 月 ;3 ヶ月ルールと手技料の 6 倍増による VAIVT に対する考え方の変化 # 開存成績の追及

本日の話題 1) VA に対する PTA 法の実際 ( 新たなデバイスの話 ) 2) VA の管理 評価 (3 ヵ月ルールとの関係 )

VA の管理について #1 スコアリング #2 超音波

2012 年 EDTA の VA のテーマは ( Management of Vascular Access ) ガイドラインでは サーベイランスの項目に S.T.S が記載されている が 超音波による管理が一般的になっている

1994:The Treatment Of Vascular Access Graft Dysfunction:A Nephrologist`s View And Experience Gerald A.Beathard Advances in Renal Replacement Therapy 表 1.Clinical Indicators for Venous Stenosis 1) 静脈圧の上昇 2) 繰り返す血栓形成 3) 止血時間の延長 4) 穿刺困難 5) 疼痛 6) 上肢の腫脹 7) 再循環

表 2: シャントトラブルスコアリング (S.T.S) 第 Ⅰ 版 Co-medical staff のために 1) 異常なし 0 2) 狭窄音を聴取 1 3) 狭窄部位を触知 2 4) 静脈圧の上昇 160mmHg 以上 ( 自家 :1, ク ラフト :3) 5) 止血時間の延長 2 6) 脱血不良 ( 開始時に逆行性に穿刺 ) 5 7) 透析後半 1 時間での血流不全 1 8) シャント音の低下 ( 自家 :2, ク ラフト :3) 9) ピロー部の圧の低下 2 10) 不整脈 1 *3 点以上で DSA or PTA を検討 臨床透析 : インターベンション治療ー適応範囲と新しい器材 技術の発展ー 2005;21

図 1: シャントトラブルスコアリングシート PTA 施行患者のシャントトラブル症状 患者名 毎週観察 症状発見年月日 4 月第 1 週 4 月第 2 週 4 月第 3 週 4 月第 4 週 シャントトラブルスコア 点数 1) 狭窄音を聴取 1 2) 狭窄部位を触知 2 3) 静脈圧の上昇 160 以上 ( 自家 : グラフト ) 1:3 4) 止血時間の延長 2 5) 脱血不良 ( 開始時に逆行性穿刺 ) 5 6) 透析後半 1 時間での血流不全 2 7) シャント音の低下 ( 自家 : グラフト ) 2:3 8) ピロー部の圧の低下 2 9) 不整脈 1 3 点以上でDSA,6 点以上でPTA. 合計点数 PTA 施行日症状出現 ~PTA 施行までの日数

スコアリングの活用 #1 S.T.S をスコア化した理由は エコー検査や DSA のような質的評価ではない幾つかの臨床的現象の合わせ技による事前の発見とすることが目的 #2 高度な器機を使用することにより予防的 PTA を行うことになってしまい S.T.S のような臨牀症状に則していないため PTA を行う器械の増加によって開存率を改善しないとする報告もある Tonelli M.James M.Wiebe N.-Ultorasound monitoring to detect access stenosis in hemodialysis patients:am J Kidney Dis 51 630-640 2008 #3 脱血流量の低下を知ることで 閉塞の機会が減少 Intervention based on monthly monitering decreased hemodialysis access thrombosis 改定ガイドライン第 4 章ー (3)VA 機能のサーベイランス モニタリング

VA の管理について #1 スコアリング #2 超音波

穿刺ミスを最小限にする目的 < エコー下穿刺 > 利き手で穿刺 逆の手でプローブ 手元 ( 穿刺部位 ) とエコー画面を確認しながら穿刺を行う

透析中の定期的超音波モニタリング

クリニックの VA トラブル外来 #1 アクセストラブルにて紹介された患者に対して全例超音波検査を施行 #2 PTA 施行と判断された患者は 術後に再度 F.V. R.I. P.I. をそれぞれ 3 回測定し 平均値を算出 #3 前後測定の理由は 測定した前値が PTA の指標となるか 後値の改善度が今後の経過観察の指標となるかを検討している 使用機器 :LOGIQe(GE) 7.75MHz プローブ使用 ( 携帯可能のため検査室および OPE 室への移動が簡便 血流関係の計測ソフトが搭載済み ) シャント肢上腕動脈パルスドップラにて計測

技士の VA 外来での役割 < 血管エコー検査 > 透析経過情報や測定結果から内容の報告 技士としての見解をチームへ反映し 治療方針の決定に関わる

技士の VA 外来での役割 < 血管エコー検査 > 1 機能的評価 ( 透析に必要な機能が確保できているか ) < F.V.( 血流量 ) P.I.( 拍動指数 ) R.I.( 抵抗指数 ) の計算式 > F.V.(ml/min)=Vm-mean area 60(s) 100 P.I.=PSV-EDV/TAMV R.I.=PSV-EDV/PSV PSV: 収縮期最大速度 EDV: 拡張期最大速度 TAMV: 平均血流速度 Vm-mean: 時間積分値の平均速度 (cm/s) Area: 血管断面を正円と仮定したときの血管径より求められた断面積 ( cm2 ) TAMV PSV EDV

R.I. F.V. P.I. の値を総合的に判断し PTA の適応を決定する F.V. P.I. R.I.

VAIVT 後 3 ヵ月開存する因子の検討 ( ロジスティック回帰分析 ) Factor オッズ比 95%CI 下限 - 上限精密 P 値 後 R.I. 0.78 0.0017-355.14 0.93 後 F.V. 1.001 1.0003-1.002 0.01 後 P.I. 0.59 0.1267-2.782 0.5 後狭窄部径 2.29 1.3224-3.963 0.003

VAIVT 後 F.V.( 血流量 ) における 3 ヵ月開存の割合 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% ~199 250~299 350~399 450~499 550~599 650~699 750~ 200~249 300~349 400~449 500~549 600~649 700~749 VAIVT 後 F.V.(ml/min) n=273 3ヵ月開存しなかった割合 3ヵ月開存した割合

VAIVT 後狭窄部径における 3 ヵ月開存の割合 100% n=273 80% 3 ヵ月開存しなかった割合 60% 40% 20% 3 ヵ月開存した割合 0% ~1.2 1.3~1. 4 1.5~1. 6 1.7~1. 8 1.9~2. 0 2.1~2. 2 2.3~2. 4 2.5~2. 6 VAIVT 後狭窄部径 (mm) 2.7~2. 8 2.9~3. 0 3.1~

技士の VA 外来での役割 < 血管エコー検査 > 2 形態的評価 ( 血管径 狭窄部位 狭窄径 血管走行など VA の全貌を確認 ) B モード カラードプラ法 B-Flow

図 6:VA 外来で技士による積極的ヒアリング 最近 血圧はどれぐらいですか? 最近の心胸比は覚えてます? 汗は結構かきますか? 普段どれくらい除水してます? 昨日は外出してましたか? 透析中は問題なく経過してますか?

技士の VA 外来での役割 < オペ室 > 造影下 PTA 造影機器の準備 操作 編集など ( 照射は医師 ) エコー下 PTA エコーの準備 操作 術中エコーエコーの準備 操作 医師 技士

技士の透析室での役割 技士 医師 看護師 栄養士 患者 MC チームによる回診

技士の透析室での役割 <チーム回診 > 透析経過報告 VA 管理について 各種検査予定計画 結果報告 透析条件について 今後の治療方針についての提案 タブレット端末を使用した回診

VA レポートの作成 < 作成対象 > 導入期患者 転入患者 穿刺部位多数患者 穿刺困難患者

VA レポートの利用 ベッドサイドで参照し 穿刺者への患者 VA 情報の充実や共有を図る

透析室チーム回診への参加 ( 臨床工学技士 ) 1 < 報告内容 > 穿刺状況 VA 状態 血管エコー結果 治療方針 など やや細いですが ここの血管が V 側として使えそうなので 次回エコー下で穿刺する予定です

透析室チーム回診への参加 ( 臨床工学技士 ) 2 先日の血管エコーの結果ですが FV が低下傾向なので 1 か月後にフォローアップの予定を入れています エコーでの FV が低下していますが 心胸比 血圧 シャント音も非常に減少しているので DW をアップして再度評価検査を予定したいと思いますがいかがでしょうか?

図 6:VA トラブル発生率と検査項目の継時的推移 (4 ヶ月おき ) 1.40 1.20 1.00 0.80 0.60 0.40 1 簡易的 VAシート+S.T.S+ 血管エコー 2010 年 9 月開始 2 エコー下穿刺 2011 年 8 月開始 3VAの情報共有 2012 年 2 月開始 4 VA エコーレポート 2012 年 9 月開始 0.20 0.00 2010 年 9 月 ~12 月 2011 年 5 月 ~8 月 2012 年 1 月 ~4 月 2012 年 9 月 ~12 月

( 対象患者の当院における経過観察手順とアクセス管理 ) 1) PTA 施行患者の内訳 : 紹介患者 85% 当院 16%( 全患者の25.4%) 2) 紹介後 1~3ヶ月間隔で全患者に対して 予約外来で上腕動脈による超音波検査を行う (R.I,P.I, 血流量 再狭窄部位 ) を計測する R.I>0.65,P.I>1.3, 血流 400ml/min 以下, 再狭窄部位 1.5mm 以下のすべての条件を満たす前回 PTAから3ヶ月以上経過した患者に対して PTAを行う 現状では紹介される 3 ヶ月以内の問題症例の対処が困難

( 紹介される問題症例 ) 1) 短期再来が困難な患者が 紹介先医院もしくは他の総合病院にて 3ヶ月以内にPTAを行った患者が遠方から来院する 2) 年間 PTAを4 回以上行っているが 再建術では人工血管等を拒否している紹介患者 ( 医師と患者の双方がアクセス医を shopping している )

3 ヶ月以内に行った VAIVT 症例数の割合 AVF AVG 期間 全症例数 3 ヶ月以内実施 VAIVT 数 比率 (%) 2010/9/1~2012/3/31 199 56 28.1 2012/4/1~2013/3/31 179 34 19.0 2013/4/1~2014/3/31 235 69 29.4 2014/4/1~2015/3/31 308 148 48.0 2015/4/1~2015/8/31 98 23 23.5 2010/9/1~2012/3/31 137 44 32.1 2012/4/1~2013/3/31 98 16 16.3 2013/4/1~2014/3/31 94 36 38.3 2014/4/1~2015/3/31 98 40 40.8 2015/4/1~2015/8/31 42 3 7.1 期間 :2010 年 9 月 ~2015 年 8 月

3 ヶ月ルールを取り巻く状況 #1 device のコストは低下している #2 3ヶ月以内だと低額手技料 (3130 点 ) かつdevice cost freeで行う問題点 ( 包括医療ではない ) 公的病院か私的病院かで 治療方針に違いが生じるのではないか #3 このルールは 治療方針の決定者による単回の手技ではなく 患者の将来的治療方針に考慮することを委ねている #4 VAIVT の根幹は 血管のロスを最小限にしていくことであるが 年齢や患者の状態を考慮した将来のアクセスも視野に入れておくべきである

3 ヶ月ルールの考え方 3 ヶ月ルールによる損失分は 手技料が 6 倍になったことでその割合をすくなくするための努力 すなわち開存期間を延長させる device の選択や拡張法の工夫によって包括吸収できると考えられる

図 3:2015 年月別閉塞症例数 (VA 外来 ) 14 12 13 10 8 6 4 2 7 6 6 2 9 10 10 他施設 :82 例 維持患者 :12 例 9 9 8 5 年間閉塞数 :94 例 0 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月

図 4:2015 年福岡県月別平均気温 ( 参考データ : 気象庁 HP) 30 25 20 15 16.2 20.7 22.6 26 27.4 23.2 18.9 16 10 5 7.9 7.6 11.1 10.3 0 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月

( / 症例 ) 30 25 20 15 10 5 0 16.2 11.1 7.9 7.6 7 6 6 図 5:2015 年月別の平均気温と閉塞数 閉塞症例数平均気温 2 20.7 22.6 27.4 26 23.2 18.9 16 13 9 10 10 9 8 5 10.3 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 平均気温の上昇とともに閉塞数も上昇 気温の最も高い8 月に閉塞数が最も多い 冬場に閉塞数が再上昇 9

図 8:2015 年月別平均気温と閉塞数 30 25 20 15 10 5 0 閉塞症例数 7.9 7.6 11.1 7 6 6 16.2 2 平均気温 20.7 22.6 26 27.4 9 10 10 13 23.2 9 18.9 5 16 10.3 8 9 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 22 例中 13 例が体液不足 冬場に閉塞数が再上昇 DW が夏 ( 痩せていた時期 ) のまま 食欲が増して太ったら DW は上げましょう

患者指導 ( 水分管理 ) 夏場の食欲低下や夏バテにより DWを下げるのは当然ですが 季節 ( 気温 ) に応じた 柔軟な水分補給の指導が必要 脱水による体のしくみ VAとの関わりを理解してもらう 自身の発汗量を把握し 適切な水分補給を促す VA 外来や透析室での適切な指導が閉塞軽減へのカギ

DW の見極め 心胸比 ( 胸部レントゲン ) 血圧 ( 自宅 透析中 ) 血液データ (h-anp BNP など ) 浮腫 ( 手指 下肢 ) 吊り ( 手指 下肢 ) 血液濃縮 ( 透析後半 ) 透析後シャント音 BCM 測定 多くの施設が見極め項目 当院で追加した項目

BCM(BodyCompositionMonitor: 体組成計 ) BCM は電気抵抗の原理を使った体組成分析装置である 体内に微弱な電流を流し その電気抵抗を利用して水分量や体脂肪 筋肉量を間接的に求める最新の方法が採用されている 家庭用体脂肪計を想像するとわかりやすい 電気は水分に沿って流れ 水分の量によって伝導性が違う 脂肪の多い人 ( 筋肉の少ない人 ) 電気抵抗値が大きい 脂肪の少ない人 ( 筋肉の多い人 ) 電気抵抗値が小さい この電気抵抗値の違いを元に分析し 数値で示される プレゼニウスメディカル社製 BCM

DW の指標 BCM 検査透析後の下大静脈径の測定心胸郭比血圧

PTA 施行時の流量比較 (ml/ 分 ) 450 ** *** n.s. mean±se ** : p<0.01 *** : p<0.001 400 350 300 318.23 391.78 396.98 307.3 348.08 375 250 200 150 100 50 0 全体 AVF AVG 3 ヶ月以内 3 ヶ月以降

レセプト請求例の流量比較 450 * * 400 mean±se * : p<0.05 n.s. 350 300 250 373.68 374.67 370.41 342.93 312.39 299.06 200 150 100 50 0 全体 AVF AVG レセプト請求 (+) レセプト請求 (-)

PTA の施行とレセプト請求の実態 (2014 年 ) 100% 90% 80% 203 件 102 件 155 件 71 件 48 件 31 件 53% 27% 54% 25% 50% 32% 70% 60% 50% 40% 30% 280 件 215 件 73% 179 件 131 件 47% 46% 75% 48 件 50% 65 件 68% 20% 10% 0% 全体 AVF AVG 3 ヶ月以内 3 ヶ月以降レセプト請求 (+) レセプト請求 (-)

Fig.3 PTA の施行とレセプト請求の実態 (2015 年 4 月 ~8 月 ) 100% 90% 80% 129 件 11 件 89 件 11 件 40 件 53% 129 件 27% 54% 25% 87 件 50% 32% 42 件 70% 60% 50% 73% 75% 68% 40% 30% 47% 46% 50% 20% 10% 0% 11 件 9 件 全体 AVF AVG 3 ヶ月以内 3 ヶ月以降レセプト請求 (+) レセプト請求 (-) 2 件

( 総括 ) 1) 3 ヶ月以内の PTA は AVF 群では P.I,R.I, 血流量は有意に 3 ヶ月以降に行っている群より悪化している 緊急性があった症例であった 2) 閉塞症例とならないために 経過観察を超音波で行いデータベースで PTA を施行しているが 血管温存や手技の問題で他施設依頼の症例を受け入れることで 3 ヶ月以内症例は増加している 3) しかし デバイス以外の方法 ( ミルキング法 ) で 一部の症例で開存期間は延長した