Microsoft Word - 第58号 二世帯住宅の敷地にかかる小規模宅地等の特例

Similar documents
Microsoft Word - 第65号 二世帯住宅と小規模宅地等の特例

措置法第 69 条の 4(( 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 )) 関係 ( 被相続人等の居住の用に供されていた宅地等の範囲 ) 69 の 4-7 措置法第 69 条の 4 第 1 項に規定する被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 ( 以下 69 の 4-8 までにおいて 居

2. 二世帯住宅と特定居住用宅地等 [1] 区分所有なし : 外階段 / 親族が取得する場合 Q. 被相続人 A が所有する宅地の上に A の所有する建物があり 1 階に A が居住し 2 階に子 B とその家族が居住しています ( 建物内部では行き来ができない構造 ) A と B は別生計です こ

相続財産の評価P64~75

Microsoft Word - 文書 1

Microsoft Word - 第53号 相続税、贈与税に関する税制改正大綱の内容

第 5 章 N

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

平成 25 年度税制改正解説相続税 ~ 基礎控除の引き下げ 税率構造の見直し等 法定相続人の数と基礎控除法定相続人の数と基礎控除 法定相続人の数 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人 60,000 千円 70,000 千円 80,000 千円 90,000 千円 100,000 千円 36,000

経 ViewPoint 営相談 相続時における小規模宅地等の特例の改正 谷口敬三相談部東京相談室 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 ( 以下 小規模宅地等の特例 ) は 一定の要件を満たす宅地等 ( 特定事業用等宅地等 特定居住用宅地等 貸付事業用宅地等 ) につ

2. 適用を受けるにあたっての 1 相続発生日を起算点とした適用期間の要件 相続日から起算して 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日まで かつ 特例の適用期間である平成 28 年 4 月 1 日から平成 31 年 12 月 31 日までに譲渡することが必要 例 平成 25 年 1 月

2. 適用を受けるにあたっての 1 相続発生日を起算点とした適用期間の要件 相続日から起算して 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日まで かつ 特例の適用期間である平成 28 年 4 月 1 日から平成 31 年 12 月 31 日までに譲渡することが必要 例 平成 25 年 1 月

東京太郎様 Inheritance Report 相続診断書 弁護士法人 税理士法人リーガル東京 平成 30 年 8 月 20 日作成

相続税・贈与税の基礎と近年の改正点

< F2D A91B C FC90B38E9197BF>

[2] 税率構造の見直し 相続税の税率構造が現行の6 段階から8 段階に変更されるとともに 最高税率が 50% から 55% に引き上げられることとなりました ただし 各法定相続人の取得金額が2 億円以下の場合の税率は と変わりありません この改正は 平成 27 年 1 月 1 日以後に相続または遺

12. 小規模宅地等の特例の見直し 1. 改正のポイント (3) 適用時期平成 30 年 4 月 1 日以後に相続又は遺贈により取得する宅地等に係る相続税について適用される ただし (2)1 の改正について 平成 30 年 3 月 31 日においての別居親族の要件を満たしていた宅地等を平成 32 年

第 6 回令和元年度固定資産評価実務者勉強会 第 3 部 税理士による最近の各種課税評価に関するお話 講師 : 税理士 不動産鑑定士 赤川明彦 ( 株式会社土地評価センター取締役 ) copyright 2019 KOTOBUKI PROPERTY ASSESSMENT all rights res

Microsoft Word - 第67号 来年からの贈与税改正と相続時精算課税を選択する際の注意点

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

所得税確定申告セミナー

小規模宅地等の評価減の特例 1. 概要 居住用や事業用宅地を相続した場合 小規模とされる一定面積までを 50%~80% 評価減できる特例があります ( 措置法 69 条の 4) 区分宅地の区分事業や居住の見込減額割合対象面積 1 号特例特定事業用等宅地等 1 親族が相続して事業を継続 80% 400

<4D F736F F D208C6F89638FEE95F182A082EA82B182EA E34816A>

この特例は居住期間が短期間でも その家屋がその人の日常の生活状況などから 生活の本拠として居住しているものであれば適用が受けられます ただし 次のような場合には 適用はありません 1 居住用財産の特例の適用を受けるためのみの目的で入居した場合 2 自己の居住用家屋の新築期間中や改築期間中だけの仮住い

資料 以下 原文に筆者の強調 コメントを追加 租税特別措置法による定義 租法 ( 昭和三十二年三月三十一日法律第二十六号 ) 最終改正 : 平成二六年五月三〇日法律第四六号 ( 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 ) 第六十九条の四個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに 当該相

配偶者居住権の相続税評価額について 2018/12/28 田口税理士事務所 平成 30 年の民法改正により 配偶者の居住権を保護するために配偶者居住権が新設されましたが 相続税の評価にどう影響させるかについて 今回の税制改正大綱に記載されています まず 前提となる配偶者居住権について 説明します 1

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

の範囲は 築 20 年以内の非耐火建築物及び築 25 年以内の耐火建築物 ((2) については築 25 年以内の既存住宅 ) のほか 建築基準法施行令 ( 昭和二十五年政令第三百三十八号 ) 第三章及び第五章の四の規定又は地震に対する安全上耐震関係規定に準ずるものとして定める基準に適合する一定の既存

2015 年 1 月いよいよ施行! 相続税増税の影響と対策 Part 1 相続税はどう変わる? 影響は? Part 2 相続税の負担を軽減するには?

平成16年版 真島のわかる社労士

102 第 4 章 農業 農地の承継時の特例 資価格は 国税庁 HPの路線価ページから確認できます なお 平成 30 年度税制改正において 対象となる農地の範囲等が改正されました 詳細は 後記 6を参照してください 3 適用要件 (1) 被相続人この特例の対象となる被相続人は 次のいずれかに該当する

144 第 2 章宅地等の評価第 3 個別事情のある宅地の評価 このような過小宅地を評価する場合 財産評価基本通達における原則評価 ( 奥行価格補正率や奥行長大補正率等 ) のみでは上記の要因が十分に考慮されているとは言い難く 市場価値である時価と大きく乖離しているケースが見受けられます よって 本

2011年税制改正のポイント

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

平成19年12月○日

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

2. 控除の適用時期 Q. 12 月に取得した自宅の所在地に 年末までに住民票を移しましたが 都合で引っ越しが翌年になってしまった場合 住宅ローン控除はいつから受けることになりますか A. 住宅ローン控除の適用を受けるためには 実際に居住を開始することが必要です したがって 住民票を移した年ではなく

Microsoft Word - 東日本大震災により被害を受けた場合の相続税・贈与税の取扱い

(2) 被災代替住宅用地の特例について 特例の概要 被災住宅用地の所有者等が当該被災住宅用地の代替土地を平成 33 年 3 月 31 日までの間に取得した場合 当該代替土地のうち被災住宅用地相当分について 取得後 3 年度分 当該土地を住宅用地とみなし 住宅用地の価格 ( 課税標準 ) の特例を適用

( 図表 1-2) 課税割合 ( 課税対象被相続人数 / 被相続人全体 100(%) ( 注 ) 財務省公表資料による こうした中で 多くの相続税納税者にとって評価額が高額で相続税納税上の負担増が大きい一定の小 規模宅地については 課税強化への影響を緩和するため 相続税強化が行われた 2015 年に

することが適当であることから 本通達では 特定施設の敷地の用に供される土地等には 土地又は土地の上に存する権利を取得した時において 現に特定施設の敷地の用に供されているもの及び特定施設の敷地の用に供されることが確実であると認められるものが該当することを明らかにしている なお 取得の時において特定施設

相続人の居住用または事業用の宅地については2 割または5 割評価にするという小規模宅地等の評価減の特例があるが 平成 22 年度税制改正により 原則として申告期限まで居住または事業を継続していなければ適用が認められなくなっている 今回 基礎控除額が引き下げられることと合わせ 都市部の独居老人が亡くな

相続税の節税対策としての生前贈与 相続税 贈与税はともに相手に渡る財産の金額に対して累進的な税率により税金がかかりま す そこで 相続税の税率よりも低い税率で贈与をすれば 相続税の節税になります 下の 図で相続税と贈与税税率を確認して下さい 贈与税は 相続税に比べ 基礎控除額が低く さらに税率が高く

相続税に関するチェックリスト

平成 31 年度住宅関連税制改正の概要 ( 一社 ) 住宅生産団体連合会 平成 31 年 3 月 (1) 住宅ローン減税の拡充 ( 所得税 個人住民税 ) 消費税率 10% が適用される住宅取得等をして 2019 年 10 月 1 日から 2020 年 12 月 31 日までの間にその者の居住の用に

おき 太郎様 Inheritance Report 相続診断書 税理士法人おき会計 平成 28 年 7 月 20 日作成

<4D F736F F D20819A95BD90AC E937890C590A789FC90B392F18CBE8F918C8B89CA95F18D EE8C9A8BA689EF976C A2E646F6378>

2 引き続き居住の用に供している場合 とされる場合本人が 転勤などのやむを得ない事情により 配偶者 扶養親族その他一定の親族と日常の起居を共にしないこととなった場合において その家屋等をこれらの親族が引き続きその居住の用に供しており やむを得ない事情が解消した後は 本人が共にその家屋に居住することに

相続税計算 例 不動産等の評価財産の課税評価額が 4 億 8 千万円 生命保険金の受取額が 2 千万円 現金 預金等が 4 千万円 ローン等の債務及び葬式費用等が 3 千万円である場合の相続税を計算します 相続人は妻と 2 人の子供の 3 人です ( 評価額を計算するには専門知識を要します 必ず概算

1. 相続税 (1) 基礎控除額の引き下げ 1) 改正の趣旨現在 ( ) の相続税の仕組みは 下図の通りです すなわち 合計課税価格から 基礎控除額を除いた課税遺産総額が相続税の計算の対象となるため 合計課税価格が基礎控除額の範囲内である場合には 相続税が課税されません その結果として 現状の相続税

問題 1 1 問題 1 1 納税義務者 相続税の納税義務者及び課税財産の範囲 課税価格 1 納税義務者 ⑴ 次に掲げる者は 相続税を納める義務がある 1 居住無制限納税義務者 ( 法 1 の 3 1 一 ) 相続又は遺贈により財産を取得した個人でその財産を取得した時において法施行地に住所を有するもの

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

資産をめぐる税務 問答式 シリーズ相続と贈与に関する税務 申告期限 贈与を受けた年に父が死亡 し 相続税の申告を行うことはできるの でしょうか ( 東京都 EY 氏 ) したが相続税より贈与税の 申告期限のほうが早く到来 質問 平成 28 年 3 月 30 歳になった私は 62 歳になる父から土地の

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

未成年者控除 障害者控除の見直し 未成年者控除 障害者控除 6 万円 20 歳に達するまでの年数 6 万円 ( 特別障害者 :12 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 10 万円 20 歳に達するまでの年数 10 万円 ( 特別障害者 :20 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 小規模宅地等につ

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

#210★祝7500【H30税法対策】「登録免許税ほか」優先暗記30【宅建動画の渋谷会】佐伯竜PDF

契約をするとき 契約書に貼る印紙税不動産取引で取り交わす契約書は 印紙税の対象となります 具体的には 不動産の売買契約書や建物の建築請負契約書 土地賃貸借契約書 ローン借入時の金銭消費貸借契約書等がこれに当たります 印紙税の額は 契約書に記載された金額によって決定されます 原則として 収入印紙を課税

金融商品と資金運用

(2) 父母 ( 祖父母 ) から子 ( 孫 ) への住宅取得等資金の贈不 父母 ( 祖父母 ) など直系尊属から その子 ( 孫 ) へ居住用の家屋の新築 取得または増改築のための金銭 ( 住宅取得等資金 ) を贈不した場合 表の通りの金額について贈不税が非課税となります また 贈不税の基礎控除

第 7 章 間にその者の居住の用に供したときに 一定の要件の下で そのバリアフリー改修工事等にあてるために借り入れた住宅借入金等の年末残高 (1,000 万円を限度 ) の一定割合を5 年間所得税の額から控除できます なお 52ページの増改築に係る住宅ローン控除制度との選択適用になります 1 控除期

市街化調整区域における都市計画法第 34 条第 12 号の規定による開発許可等の基準に関する条例 の審査基準 ( 趣旨 ) 第 1 条この条例は 市街化調整区域における都市計画法 ( 昭和 43 年法律第 100 号 以下 法 という ) 第 34 条第 12 号の規定による開発許可の基準及び都市計

平成26年度税制改正及び土地住宅政策に関する提言書(案)

5 配偶者控除等 配偶者控除 配偶者特別控除 扶養控除及び勤労学生控除の合計所得金額の要件 について 一律 10 万円ずつ引き上げられます 6 青色申告特別控除正規の簿記の原則により記帳している者に係る控除額が 55 万円に引き下げられ 正規の簿記の原則により記帳し かつ e5tax 等により確定申

目 次 最近における相続税の課税割合 負担割合及び税収の推移 1 地価公示価格指数と基礎控除(58 年 =100) の推移 2 最近における相続税の税率構造の推移 3 小規模宅地等の課税の特例の推移 4 相続税負担の推移( 東京都区部のケース ) 5 ( 補足資料 ) 相続税の概要 6 相続税の仕組

テキスト編 第 1 章相続税 贈与税とはなにか 目次 1 相続税が課税される理由 1 2 どれくらいの遺産がある場合 相続税は課税されるか 2 3 贈与税が課税される理由 3 4 相続税と贈与税の関係 4 第 2 章相続人と相続分 1 相続人と相続順位 5 2 相続の承認と放棄 14 3 相続人の相

Japan Tax Newsletter

一戸建ての自宅を所有している人のデータ 東京都内やその近郊など路線価の高い宅地に一戸建ての自宅を所有し その他に預貯金や有価証券を保有している人の相続税シミュレーションになります 路線価が高いと自宅の敷地の面積が広くなくても その宅地の評価額は高額になりますので この宅地に対して小規模宅地等の特例が

< F2D93C192E894F A8893AE91A E7B8D7397DF>

内に 耐火建築物以外の建物についてはその購入の日以前 20 年以内に建築されたものであること 地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるものに適合する一定の中古住宅 を 平成 17 年 4 月 1 日以降に取得した場合には 築年数に関係なく適用が受けられます (56ページ 一

自宅の他に賃貸マンションと駐車場を所有している人のデータ 自宅の他に賃貸マンションと駐車場を所有している人の 法定相続人の数と相続財産および債務のデータから相続税を試算します 賃貸マンションについては全室が賃貸用かどうか 駐車場については舗装がしてあるかどうかで評価額が違ってくることがあります また

198 第 3 章 減価償却資産の取得価額 キーワード ソフトウエアに係る取得価額購入したソフトウエアの取得価額は 1 当該資産の購入の代価と 2 当該資産を事業の用に供するために直接要した費用との合計額とされています 引取運賃 荷役費 運送保険料 購入手数料 関税 その他の当該資産の購入のために要

2. 改正の趣旨 背景 国内に住所を有しないことにより相続税 贈与税の課税を免れる租税回避行為を抑制するため 平成 12 年度改正 ( 相続人 受贈者の国籍による納税義務判定の導入 ) 平成 25 年度改正 ( 相続人 受贈者が日本国籍なしの場合の課税強化 ) が行われてきた 平成 29 年度改正で

平成29年 住宅リフォーム税制の手引き 本編_概要

アクタスマネジメントサービス㈱

等調整都市計画税額が 当該商業地等に係る当該年度分の都市計画税の課税標準となるべき価格に 10 分の 6 を乗じて得た額 ( 当該商業地等が当該年度分の固定資産税について法第 349 条の 3( 第 20 項を除く ) 又は法附則第 15 条から第 15 条の 3 までの規定の適用を受ける商業地等で

Microsoft Word - H30 市税のしおり最終版

~ 改正の変遷 ~ (1) 平成 12 年度改正前相続人 受贈者がの場合には 国内財産のみ課税 (2) 平成 12 年度改正後 平成 25 年度改正前平成 12 年度改正 : 相続人 受贈者について国籍主義を導入 H12 年度改正 : 国内財産 国外財産ともに課税 相続人 受贈者 相続人 受贈者 被

所得税関係 ( 住宅ローン控除の特例 ) の改正 ⑵ 震災税特法の制度 ( 適用期間の特例 ) の概要東日本大震災によって被害を受けたことにより 住宅ローン税額控除の適用を受けていた家屋 ( 以下 従前家屋等 といいます ) を居住の用に供することができなくなった居住者については その居住の用に供す

b c.( 略 ) 2 不動産取得税の軽減に係るの発行信託会社等の地方税法附則第 11 条第 12 項に基づく不動産取得税の軽減のための同法施行令附則第 7 条第 12 項に規定するの発行等については 以下のとおり取り扱うものとする イ ロ.( 略 ) 載があること c d.( 略 ) 2 不動産取

Microsoft Word - 最新版租特法.docx

個人版事業承継税制の創設について 現行税制上の事業承継支援特例を踏まえた検討

税制改正を踏まえた生前贈与方法の検討<訂正版>

表 の計算式 答 合計は 0. 例 所得が 0 の場合 復興特別所得税を上乗せした 合計は 0 000万円以下 0% % 0万円 % 0万円 000万円以下 000万円以下 億円以下 700万円 億円以下 700万円 3億円以下 0% 700万円 億円以下 0% 700万円 3億円超 700万円 3

及びその周辺の地域における自然的条件 建築物の建築その他の土地利用の状況等を勘案し 集落の一体性を確保するために特に必要と認められるときは この限りでない (2) 区域内の主要な道路が 環境の保全上 災害の防止上 通行の安全上又は事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で適当に配置されており か

Microsoft Word - 増改築の取扱い

配偶者がいる人の一次相続と二次相続のデータ 被相続人に配偶者がいる一次相続と 配偶者がいない二次相続の相続税シミュレーションを行います 配偶者の税額軽減は その節税効果が大きいために一次相続で相続税を大幅に減額することができますが 次の二次相続では想定外の相続税が発生することがあります 配偶者がいる

< F2D D834E838D94C5817A8E9E935F FC90B38FC897DF DF94D48D8693FC82E829202E6A7464>

5 適用手続 ⑴ 相続時精算課税の適用を受けようとする受贈者は 贈与を受けた財産に係る贈与税の申告期間内に 相続時精算課税選択届出書 ( 贈与者ごとに作成が必要 ) を贈与税の申告書に添付して 納税地の所轄税務署長に提出する ( 相法 21の92) なお 提出された当該届出書は撤回することができない

税法入門コース 相続税 学習スケジュール 回数学習テーマ内容 第 1 回 第 2 回 第 3 回 第 4 回 第 4 回 第 1 章 第 2 章 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 4 章 第 5 章 テーマ 1 相続税 贈与税とは? テーマ 2 用語の説明 テーマ 1 相続人となれる人は? テ

3 市長は 第 1 項の規定により指定した土地の区域を変更し 又は廃止しようとするときは あらかじめ久喜市都市計画審議会 ( 以下 審議会 という ) の意見を聴くものとする 4 第 1 項及び第 2 項の規定は 第 1 項の規定により指定した土地の区域の変更又は廃止について準用する ( 環境の保全

別紙様式 7( ひな型 ) ( 日本工業規格 A4) 別紙様式 7( ひな型 ) ( 日本工業規格 A4) 申請者がと年月日をもって売買契約を締結した指名金銭債権に伴う別紙記載の不動産の質権又は抵当権の移転の登記につき 租税特別措置法第 83 条の2 第 1 項の規定の適用を受けたいので 租税特別措

基本資料1-平成25年税制改正ポイント(表紙).pdf

<4D F736F F D20819B8FBC8CCB8E FD896BE A91B190C582CC945B90C C82C98AD682B782E9934B8A698ED28FD896BE8F >

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

Microsoft Word - uchida_report_24++.doc

スライド 1

税金のいろいろ所得税の計算の税金サラリーマン20 生活の税金株式の税金事業の税金不動産の税金贈与の税金相続の税金(2) 適用を受けるための主な要件 取得又は増改築等をした日から6か月以内に居住すること 住宅の床面積が50m 2 以上で取得又は増改築後の家屋の床面積の1/2 以上が居住用であること 中

鹿嶋市都市計画法の規定による市街化調整区域における

Transcription:

haratax 通信 川崎市中原区小杉御殿町 1-868 電話 044-271-6690 Fax044-271-6686 E-mail:hara@haratax.jp URL:http://www.haratax.jp 二世帯住宅の敷地にかかる小規模宅地等の特例 2013 年 7 月 15 日第 57 号 相続税の計算において 亡くなった方の自宅敷地を同居していた親族等が相続する場合 その土地の課税価格を80% 減とする小規模宅地等の特例という規定があります この特例の適用において 入口も構造も完全に別な二世帯住宅に親子が別々に居住している場合 その親子は同居として扱えるかという問題がありました 平成 25 年度の税制改正大綱で 平成 26 年 1 月 1 日以後に発生する相続については 親子が二世帯住宅の各独立部分に居住していたとしても 親と子が居住している部分に対応する土地について いずれも特例の対象になることが明確になりました この改正により 完全区分型の二世帯住宅でも 容易に敷地全体が特例の対象になるものと考えていましたが 新たに公表された政令によると 話はそう簡単ではなさそうです 今月のharatax 通信では 二世帯住宅の敷地にかかる小規模宅地等の特例の適用についてご紹介します 1. 特定居住用宅地等お亡くなりになった方 ( 被相続人 ) が住んでいた自宅の敷地を1 配偶者 2 被相続人の同居親族 3 配偶者および同居親族がなく 自己所有の家屋に住んでいないなど一定の要件を満たす非同居親族が相続した場合には その土地 ( 以下 特定居住用宅地等 という ) の課税価格を一定の限度面積まで80% 減とする 小規模宅地等の特例 という規定があります お亡くなりになった方の配偶者が自宅敷地を相続すれば基本的に80% 減となりますが 配偶者に先立たれている場合 同居していた親族または3に該当する親族が相続しない限り 基本的に自宅敷地の評価減はありません 2. 改正前の取扱い (1) 基本的な考え方措置法通達 69 の 4-21 で同居親族とは相続開始の直前においてその家屋で被相続人と共に起居していた者をいい その建物が構造上数個の部分に区分される1 棟の建物で 被相続人がその独立部分の一に居住していた場合には その独立部分において被相続人と共に起居していた者をいいます つまり 構造上区分された二世帯住宅で各独立部分に被相続人と相続人が別々に居住している場合には 原則として 共に起居していたことにならず 同居親族には該当しませんでした

(2) 同居として認められる場合措置法通達 69 の 4-21 のなお書きにおいて 次の要件を満たし 被相続人の居住用家屋に居住していた者に当たるとして申告があった場合には 同居していたものと認めるとの規定があります 1. その構造上区分された数個の部分の各部分 ( 以下 独立部分 といいます ) を独立して居住その他の用途に供することのできる建物の全部を被相続人または被相続人の親族が所有していること 2. 小規模宅地等の適用を受ける親族は 被相続人が相続開始の直前において居住の用に供していた独立部分以外の独立部分に居住していること 3. 被相続人の配偶者またはの用に供していた独立部分にともに起居していた被相続人の相続人 ( 相続の放棄があった場合には その放棄がなかったものとした相続人 ) がいないこと (3) 同居として認められる場合の二世帯住宅のイメージ 要件 1 建物全部を被相続人またはその親族が所有 敷地 240 m2 要件 2 親族はしていた独立部分以外の独立部分に居住している 要件 3 していた独立部分に配偶者または一緒に居住していた相続人がいないこと 上記の場合 措置法通達なお書きのすべての要件を満たすため に居住している親族が敷地を相続した場合には 同居親族と認め 敷地全体が 80% 減となりました (4) まとめ構造上区分された二世帯住宅で各独立部分に被相続人と相続人が別々に居住している場合 基本的に同居と認められませんが (2) の要件を満たす場合のみ 同居しているものとして小規模宅地等の特例を適用することができました 逆にいうと (2) の要件をすべて満たせない限りは 同居として認められません 配偶者がいる状況で二世帯住宅の敷地を子に相続させたいなど (2) の要件を満たせなくなる可能性があるときは あらかじめ内階段を設け 内部で行き来できる体裁をとるなど 完全独立型の二世帯住宅に該当しないように対策を講じていました

3. 改正後の取扱い (1) 平成 25 年度税制改正大綱今年の1 月 24 日に公表された 平成 25 年度税制改正大綱 の内容一棟の二世帯住宅で構造上区分のあるものについて 被相続人及びその親族が各独立部分に居住していた場合には その親族が相続又は遺贈により取得したその敷地の用に供されていた宅地等のうち 被相続人及びそのしていた部分に対応する部分を特例の対象とする この改正は平成 26 年 1 月 1 日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用する (2) 租税特別措置法施行令の取扱い本年 5 月 31 日公布の政令において具体的な整備がなされました 租税特別措置法施行令第 40 条の 2 第 4 項その居住の用に供されていた部分が被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物 ( 建物の区分所有等に関する法律第 1 条の規定に該当する建物を除く ) に係るものである場合には その一棟の建物の敷地の用に供されていた宅地等のうちその被相続人の親族の居住の用に供されていた部分を含む 租税特別措置法施行令第 40 条の 2 第 10 項特定居住用宅地等にかかる法第 69 条の4 第 3 項第 2 号イに規定する政令で定める部分は 次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める部分とする 1 被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物が建物の区分所有等に関する法律第 1 条の規定に該当する建物である場合当該被相続人の居住の用に供されていた部分 2 前号に掲げる場合以外の場合被相続人又は当該被相続人の親族の居住の用に供されていた部分 (3) 建物の区分所有等に関する法律建物区分所有に関する法律第 1 条 ( 建物の区分所有 ) 一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居 店舗 事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは その各部分は この法律の定めるところにより それぞれ所有権の目的とすることができる

(4) まとめ政令の規定によると 建物の区分所有等に関する法律第 1 条の規定に該当する区分所有建物以外である場合には 被相続人およびその親族の居住の用に供されていた部分に対応する土地が特定居住用宅地等の対象となりますが 区分所有建物である場合には 被相続人の居住の用に供されていた部分に対応する土地のみが対象になるとされています 4. 改正後の政令に対する疑問税制改正大綱が公表され 税制改正後は 完全独立型の二世帯住宅であっても 細かい要件を気にせずに敷地全体が特例の対象になるものと考えていました ところが今回公表された政令を確認すると 区分所有建物に該当する二世帯住宅の場合 従来通り 被相続人の居住の用に供されていた部分のみで特定居住用宅地等に該当するか判断するとしています これでは緩和措置といえないのではないかと考えていたところ 多くの税理士も疑問に思っていたようで 専門誌に財務省に確認した記事が出ていました それによると 政令でいう建物の区分所有等に関する法律第 1 条の規定に該当する建物とは 各独立部分について それぞれ所有権の目的とすることができる建物をいうのではなく 実際に区分所有建物として登記しているかどうかで判断するということです つまり 完全独立型の二世帯住宅であっても 各独立部分を区分所有登記していなければ していた部分とそのしていた部分の両方に対応する敷地を特例の対象とすることができるということのようです 5. 改正後のイメージ (1) 区分所有登記をしていない場合 1, を区分所有登記していない場合 敷地 1, に対応する敷地全体が特定居住用宅地等に該当

(2) 区分所有登記をしている場合 1, を区分所有登記をしている場合 敷地 している に対応する土地を配偶者または で同居している親族が相続する場合には特定居住用宅地等に該当今回は に居住する長男が相続するので 特例を適用できない 6. さいごに小規模宅地等の特例の特定居住用宅地に該当するかどうかで数千万円の相続税が変わることがあります 区分所有登記しているかどうかで小規模宅地等の特例を適用できるかが決まるということは 本来区分所有登記ができるのにしなかった場合と実際に区分所有登記をした場合で相続税に多額の差が発生するということです 例えば 完全独立型の二世帯住宅で 親子が半々で建築資金を出す場合 1 階は親 2 階は子と区分登記するよりも建物の1/2ずつを共有登記しておいた方が 相続税の計算上 有利ということになります もうすでに二世帯住宅を区分所有登記している人にも新しい政令を適用するのであれば せめて経過措置として 現行の措置法通達 69 の 4-21 のなお書きの内容を残しておいてほしいと思います また この規定は単純な二世帯住宅に限らず 1 棟の建物で複数の居住部分と賃貸部分がある賃貸併用住宅などにも影響があると考えます 例えば 1 階から 3 階までは賃貸用 4 階が子世帯居住 5 階が親世帯居住のマンションについて 居住部分について住宅ローン控除を適用するためにあえて区分所有登記をすることがあるのですが 小規模宅地等の特例に影響があるのであれば どちらの登記が有利か事前の検討が必要になるかもしれません 政令の文章からだけでは 登記の有無により区分所有建物を判定することは読み切れませんし 措置法通達 69 の 4-21 のなお書きがどうなるかも分かりません これらの点は今後の通達の改正で整理されることを期待したいと思います 今回ご紹介した二世帯住宅の改正は平成 26 年 1 月 1 日以後に発生した相続が対象です まだ時間がありますので 通達の改正まで見極めて 今後の対応を検討する必要があると考えます