ニュースレター 2014 年 9 月号 Sep. 2014 9 YOSHIKAWA TAX JOURNAL 中小企業に対する 減税の廃止 縮小を検討 注目トピックス 01 中小企業に対する減税の廃止 縮小を検討中小企業を支援する政策減税のうち 平成 26 年度末に期限が来る措置を 原則として 廃止 縮小することが検討されています その内容について解説します 特集 02 二世帯住宅の場合の小規模宅地の特例平成 25 年度税制改正により構造上区分された二世帯住宅であっても 一定の場合には小規模宅地の特例を適用できるようになりました 二世帯住宅の場合の小規模宅地の特例の適用について解説します 話題のビジネス書をナナメ読み 04 ダメリーダーでもできた! できるチームを動かす 5 つのステップ ( 秀和システム ) リーダーになりたくないのになってしまった これは経営者の方には理解し難い部下の悩みなのかもしれません 本著は リーダーシップの手法 を解説するのではなく 自身の良さに光を当て 従来の べき論 から働く人と共に成長する方法を分かりやすいプロセスで説明しています 03 デジタルコンテンツの提供に係る消費税ネット社会への移行に伴い 海外からインターネット経由で配信された電子書籍や音楽などのデジタルコンテンツに対する消費税の課税の問題が発生しています デジタルコンテンツの提供についての消費税の取扱いについて解説します
中小企業に対する減税の廃止 縮小を検討 中小企業を支援する政策減税のうち 平成 26 年度末に期限が来る措置を 原則として 廃止 縮小することが検討されています その内容について解説します 中小企業を支援する政策減税のうち 平成 26 年度末に期限が来る措置を 原則として 廃止 縮小することが検討されています その内容について解説します 現在までの経緯 政府の税制調査会は 以前より 期限がきた政策減税は廃止するよう申し出をしていました 一度導入された政策減税は期限到来のタイミングでダラダラ延長されるというのが現状であり この申し出は 法人実効税率の引き下げによる税収減を補うために別の財源を確保する必要があるからであると考えられています 今後 財務省と各省庁が折衝し 最終的には年末の与党の税制調査会で存続するかどうかが決定されることとなります 廃止 縮小が検討されている特例措置 法人税の税率 廃止 縮小の検討対象には 中小企業の税負担を軽くしてきた特例措置が含まれています 設備投資減税 設備投資減税の一部についても見直しの対象に含まれています 見直しの対象となっているのは設備投資を前年度より一定程度増加させた場合に税優遇される生産等設備投資促進税制です これは平成 25 年度税制改正により新設された制度ですが もともと適用期間が平成 27 年 3 月 31 日までであったため 同制度の延長を行わず廃止しようというものです 廃止されれば 設備投資が多い業種では税負担が増える可能性があります 一方で 生産性を高める先端設備を導入した場合 投資額の最大 10% を税額控除できる生産性向上設備投資促進税制については 平成 29 年 3 月末が期限となっているため 今回の見直しからは外れています おわりに 政策減税は特定の産業を税優遇によって支援する措置であるため 一度導入されると企業や業界が依存することとなってしまい 期限が到来するタイミングで延長される規定が多いというのがこれまでの流れでした 例えば これまで中小企業に対する法人税の税率に関し 年間 800 万円以下の所得には 19% と 大企業の 25.5% と比較して低い税率が適用されていました さらに リーマン ショック後の景気低迷を背景に 現在ではさらに低い 15% の税率が適用されています ( ただし 年間 800 万円を超える部分の所得については大企業と同様の 25.5% で課税されます ) そして 今回はこの 15% の税率を 19% に戻すということが検討されています しかし 財務省は 法人実効税率を引き下げると同時に課税対象を拡大する方向であるため 今後についても期限が切れる政策減税は廃止 縮小が検討されていくものと考えられます ただし デフレ脱却のためには減税措置を存続すべきだとの意見もあり今後の動きから目が離せません 中小企業の政策減税についてのご質問は 当事務所までお気軽にお問合せください
二世帯住宅の場合の小規模宅地の特例 構造上区分された二世帯住宅であっても 一定の場合には小規模宅地の特例を適用できるようになりました 二世帯住宅の場合の小規模宅地の特例の適用について解説します 平成 25 年度税制改正により構造上区分された二世帯住宅であっても 一定の場合には小規模宅地の特例を適用できるようになりました 二世帯住宅の場合の小規模宅地の特例の適用について解説します 小規模宅地の特例とは 個人が相続により取得した財産のうち その相続開始の直前まで被相続人の居住に使われていた宅地で 240 m2に達するまでの部分について 相続税の評価額を 80% 減額してもらえる特例のことを小規模宅地の特例と言います 居していないとものとして被相続人が居住していた部分以外については特例の適用対象外とされていました 改正後の取扱い 平成 25 年度税制改正において建物内部の構造上の違いにより 課税関係が異なる点は不合理であると判断されました 具体的には区分所有建物に該当しなければ全体として二世帯が同居しているものとし 特例の適用対象となることが明確化されています この規定は平成 26 年 1 月以後の相続から適用 被相続人と同居していた親族が相続によりその宅地を取得した場合 相続税の申告期限まで引き続きその家屋を所有し かつ居住している相続人は この特例の適用を受けることができます あらためて注意が必要となる点は 平成 26 年 1 月以降 建物の内部で行き来できるかどうかは一切関係なく 区分所有建物の登記の有無によりその宅地全部について特例が適用できるかどうかが決まる点です 自宅の土地は相続人の生活の基盤となるべきものであり このような自宅土地に対して通常通り相続税を課税することは相続人の生活を脅かす可能性があるため 税負担を軽減するために認められている非常に重要な特例です また 事業用の宅地についても小規模宅地の特例の対象となる場合があります たとえ内部で行き来ができたとしても建物が二世帯で区分所有となっている場合には一部しか特例の対象とならない点には注意が必要です 二世帯住宅の場合の小規模宅地の特例の適用関係のご相談は 当事務所までお気軽にお問合せください 従来の取扱い 従来は二世帯住宅に使われている宅地については 被相続 人と同居しているかどうかの判定が問題でした 一例として 建物の内部で行き来が可能な二世帯住宅につ いては 被相続人と親族が同居していたものとしてその宅 地の全部が 80% 評価減の対象となっていました その一方で 内部で行き来できない構造上区分された二世 帯住宅については それぞれ独立した住居と捉えられ 同
デジタルコンテンツの提供に係る消費税 ネット社会への移行に伴い デジタルコンテンツに対する消費税の課税の問題が発生しています デジタルコンテンツの提供についての消費税の取扱いについて解説します ネット社会への移行に伴い 海外からインターネット経由で配信された電子書籍や音楽などのデジタルコンテンツに対する消費税の課税の問題が発生しています デジタルコンテンツの提供についての消費税の取扱いについて解説します 現行の制度 現行の日本の消費税法のもとでは 国境を越えて行われる役務 ( サービス ) の提供のうち 役務の提供が行われた場所が明らかでない取引については 役務の提供を行う者の事務所等の所在地に基づいて消費税が課税されるかどうかの判定が行われます の提供が行われた場所が明らかでない取引に関しては 次のように提案されています 役務の提供を受ける者の住所や本店などの所在地 により消費税が課税されるかどうかの判定を行う方式への変更をしてはどうか これにより 役務の提供者の所在地に関係なく 国内で受ける役務の提供については 等しく消費税が課税されることとなります また デジタルコンテンツの提供については 役務の提供 と 資産の譲渡 貸付け のどちらに該当するかが不明確であるとの指摘がありました 電子書籍や音楽配信などのデジタルコンテンツの提供は 上述した 役務の提供が行われた場所が明らかでない取 引 に該当します 本件に関しては 役務の提供 であること そして役務の 提供を受ける者が日本にいる場合には消費税が課される ことが 法令で明確化される予定です したがって 国内の事業者が行う取引は消費税が課税され る一方で 例えばアマゾンなどの国外の事業者が国境を越 えて行う取引には消費税が課税されません これによって 上述した税負担の歪みが是正され 競争条 件の中立性が確保されることが期待されます 情報が確定 次第 情報として紹介させていただきます そのため国内外の事業者間で最終的な税負担に差が生じ てしまう結果となってしまっていました 来年には消費税率 10% への増税も予定されており 全く同じものを売ったとしても消費税の課税対象になるかどうかで企業の競争力に差が生じてしまう現状に 国内の事業者からは不満の声が上がっていました 今後の対応 先日 政府の税制調査会で報告された制度案では 国外の事業者が行う役務の提供を国内の事業者や消費者が受ける場合など 国内外にわたる役務の提供のうち その役務
ダメリーダーでもできた! できるチームを動かす 5 つのステップ 後藤功太著 単行本 :207 ページ 出版 : 秀和システム 価格 :1,400 円 ( 税抜 ) リーダーになりたくないのになってしまった これは経 営者の方には理解し難い部下の悩みなのかもしれません 本著は リーダーシップの手法 を解説するのではなく 自身の良さに光を当て 従来の べき論 から働く人と共 に成長する方法を分かりやすいプロセスで説明していま す リーダーらしさへの思い込み 自分がリーダー向きの性格ではないのに 任命されてしま った 自分の部下がこのように思っていたらとても不本意 です こちらはきちんとした判断基準から選出しているのに そ の職務についてのモチベーションが低い状態を見ると 自 分が抱いた期待に対して裏切られた気持ちになるかもしれ ません リーダーに任命されると それを望んでいなかった人材の 多くは もっとしっかりしよう! など リーダー向きの 性格になろうとしてしまい 本人も部下も苦しめることに なるケースが少なくないと筆者は言っています 部下の力を最大限に引き出す 5 ステップ リーダーという役割は 自分がリーダーシップをとる で はなく 部下の力を最大限に引き出すこと です そのた めに筆者は 5 つのステップでその方法を解説しています だ行 の言葉には要注意! まず 部下の積極性を引き出すために STEP1 から STEP3 までを実施するのですが その際に部下から相談を受ける機会は多々あります 回答の話し始めに だ行 の言葉を使うことで せっかく養われた部下の積極性が損なわれる恐れがありますので 注意が必要です < だ行の言葉例 > でも だって どうせ だから ですから どうしろと ダメ リーダーがすべきフィードバック 部下が積極性を持ち やる気を引き出した後 リーダーは効果的なフィードバックによって行動に結びつける必要があります リーダーが指示をする上での大事な 3 つのポイントをご紹介します 自分の意見は押し付けない タスクの期限はリーダーが決める 段取りもきちんときめる STEP1: 部下との間に信頼関係を構築する STEP2: 部下との間に相談しやすい雰囲気を作る STEP3: 部下の本音を認めてあげる STEP4: 質問を使って部下のやる気を引き出す STEP5: フィードバックで部下の行動を後押しする リーダーになるということを目的とせず あくまでも部下の成長やパフォーマンスに目を向けることで効果的な組織構築ができるようになります ぜひ 新たにリーダーになる人材やリーダーとして悩みを抱えている人材に読ませたい一冊といえるでしょう