- 1 - 堆肥 をあまり詳しく知らない方のために * 堆肥をあまり詳しく知らない方のために堆肥は何のために作るものか知ってますか? 堆肥化アドバイザー 梅島忠好 堆肥は作物をつくるために その作物の栄養分として作られます では何故 堆肥にするのか知ってますか? 例えば 有機廃棄物 ( 動物の糞 人間のし尿 生ゴミなど ) を作物の栄養分となるからといって そのまま作物に使用すると どうなるのでしょう? それらを 生のまま 作物の植える土の下に入れると どうなるでしょうか? 知ってますか? それはたぶん いや必ずといっていいほど作物は育ちません あるいは ある程度 育っても普通の育ち方より かなり弱々しく 実りもかなり低いでしょう それは有機廃棄物は土の中では腐り方が早く そのときに作物の生育を阻害する あ るいは枯らしてしまうガス等を出すからです それらが作物の根や葉などにあたり作 物の生育を大きく阻害するからです 皆さんは作物を育てるとき 初めての場合 そういった作物づくりの本を読まれると思いますが それらの本は 生ゴミや堆肥 を使って作物を育てるときには 作物を植える位置からかなり離して それらを土に入れるように指導していると思います それは先ほど云った内容があるからです * 堆肥にすると大丈夫? では 堆肥にして土に入れると なぜ作物は大丈夫なのでしょうか? 実はそれほど大丈夫でもないのです つくった堆肥の内容によっては 作物にとって危険がいっぱいなのです そして特に現代の堆肥づくりでは - 1 -
- 2 - * その前に 堆肥にする とはどういったことでしょうか? 人類は大昔から 有機廃棄物 を 生のまま でも 土に戻すと後で作物の栄養にな ることは経験上 知っていました 長年の人類の経験の積み重ねで 生のままの有機廃棄物 を土に戻す場合は 作物を 植えるところから かなり離したところに戻すことを知るようになりました また 作物を植えない休耕田を作って そこに 生の有機廃棄物 を戻しておくと 今は 生のまま で害になるが 来年はそれが分解しきって 作物を植えたときの良 い肥料になって 良い作物ができるということも分かってきました そして何度も 生のまま 土に戻して作物を育てた過程で 有機廃棄物を 生のまま 直ぐに土に入れるより その前に 畑のそばで早くから山の状態に積み重ねておいて その後 畑に入れるほうが 何故かそれらが作物の害になる率が少なく 作物の出来も良いことがわかってきました さらに有機廃棄物の積み重ねの山の状態も 湯気を出して においも嫌な臭いがしな くて 何故か香しい匂いを出す山のほうが 嫌なにおいを出す山より 土に戻したと きの作物の生育の結果が良いことにも気づいたのです さらに 有機廃棄物を上手に積み重ねると 何故か香しい匂いを出すと云うことにも 気づきました でたらめに積み重ねるとその山は嫌な臭いを出し 土に戻したときの 作物の生育の結果もあまり良くないことにも気づきました そのときには 微生物がそれらを引き起こすことなど誰も思ってもいなかったのです でも農家の人は昔から経験で覚え 次世代に言い伝え 結果 みんなやっていたこと で特別のことではなかったのです - 2 -
- 3 - * 化学肥料の出現ところが そう云った有機廃棄物を使った長年の作物の生育方法が化学肥料が出来たことによって一挙に崩れ去ってしまったのです しかも悪いことに化学肥料さえあれば作物は何でも出来るという理論がまかり通ってしまいました 例えば 皆さんは作物は三要素で育つ 三要素さえあれば作物は何でも 大きく 完 全に育つと教科書で習ったことはありませんか? これが大きな間違いの元で土の中には作物に役立つ色々な要素があって それがあっ てこそ 役に立つ化学肥料だったのですが 化学肥料さえあればいいと言うことのみ が先行し 昔からの堆肥づくりを農家の人も忘れてしまったのです 結果は皆さんがよくご存知のように土の中に有機物が無くなってくると作物は育たな くなり 同時にそんな中途半端な 形は良いが生育不良な作物を長い間 人間が食べ るとやっぱり人間の身体にも変調をきたしてまいります そこで化学肥料万能は間違いで 有機質が作物には必要だと分かってきました * 作物づくりには 有機質 が必要 作物づくりに有機質が必要だ となると 今度は有機質なら何でも良いとなり 住宅建設などで出る廃バーク ( 木の皮 ) 食品工場から出る汚泥 残渣など何でもそのまま畑に戻してしまいました 作物に悪い結果が出て 木質 ( ハ ーク のこ屑 剪定枝 間伐材など ) はそのままでは 作物の生育を阻害するものを持っていることに気がつきました * 堆肥づくり再燃 そこで再度 それらの木質材などを処理して畑に捨てる為に 昔に行なっていた 堆 肥づくり が再燃したのです 昔の堆肥づくり は木でも草でもし尿でも畜産糞でも生ゴミでも何でも作物のため に堆肥にして畑に戻しました それはそれ以外に作物の肥料が無かったからであり そのことを人類は経験で知っていたのですが - 3 -
- 4 - * それからが 戦後の堆肥作りの始まりです しかしながら 人間の悪しき習慣で堆肥づくりの考え方も 堆肥 なら何でもいい どんな堆肥でもいいと 先ず なってしまいます そして 堆肥にするためには これと これを こうすればよい と 簡単に分かり やすい堆肥づくり が人気を博します 今までの人類の知恵と経験を無視した 1+1=2 というような簡単な 堆肥づくり で は 作物に役立つ 堆肥 が出来ようはずがありません 簡単な方法の 堆肥づくり は 元の有機廃棄物が多少 変化しただけのもの で それを 堆肥 と称して 作物に害をなすものを新たに作っているだけなのです 有機廃棄物 の多少変形したもの といってしまえば 誰も使わないので 堆肥 と云う便利な言葉を使うことによって あたかも作物にとって良好なものが出来たか の錯覚を誘うものなのです 作物は正直ですから 良いものは良く 有機廃棄物 の多少変形したものは枯れる または 出来が悪い という結果が出ます それが今の 堆肥づくり の現状だと思います * しかし 基本に戻ってください 堆肥 は何のためかを考えてください 作物のためなのです 作物に良い堆肥が作られて 成果がよければ さらに使用され 結果として 人間が出したゴミ類が処理できるわけなのです そして 結果がリサイクルに繋がるのです だが 作物に悪い堆肥が作られて 成果が悪ければ 使用されず 結果として 人間 が出したゴミ類は形を変えただけで なおも存在し続け リサイクルにもならないの です 堆肥 に関しては処理 リサイクルが先ではないのです - 4 -
- 5 - * そこで思い出して下さい 生 ( なま ) の有機廃棄物 を畑に使うための方法や 生の有機廃棄物 が畑に使える 堆肥 になるまでの人類の経験を 生 ( なま ) の有機廃棄物 出来上がりの違う何段階もの堆肥 を 畑に使うための方法 ( 経験上の判断 ) としては 1 生に近いものほど作物から離して畑に入れるハウス栽培使用は絶対禁止使わない畑を作って その畑に入れる (1-2 年後に作物を植える ) 2 嫌な臭いの醗酵の後の堆肥は作物から離して畑に入れるハウス栽培使用は絶対禁止ハウス栽培に使用するとガス類が発生そのガス類がハウスの中に充満して作物を枯らす ( 故にハウス栽培用は最高度に分解した堆肥しか使えない ) 3 少しぐらい良い匂いの醗酵した堆肥も作物から離して畑に入れる ハウス栽培使用は絶対禁止 4 良い匂いの醗酵の後の堆肥はそれだけでは 説明不足で 内容がないので 不安で安全度を考えると少し離して畑に入れるハウス栽培使用はまだ禁止 5 良い匂いの醗酵の後作物から離さなくとも畑に入れてよい 堆肥の製造期間とハウス栽培使用は OK 使用できる作物の基準を持っている堆肥 - 5 -
- 6-6 良い匂いの醗酵の後好きなように撒いて畑に入れられる 堆肥の製造期間とハウス栽培使用は OK 使用できる作物の基準 作物に使える量の基準を持っている堆肥 7 良い匂いの醗酵の後好きなように撒いて畑に入れられる 堆肥の製造期間とハウス栽培使用は OK 使用できる作物の基準 ( 播種 定植の直前に使用しても OK) 作物に使える量の基準 高温堆肥化の実行の工程の基準を持っている堆肥 8 良い匂いの醗酵の後好きなように撒いて畑に入れられる 堆肥の製造期間とハウス栽培使用は OK 使用できる作物の基準育苗栽培にも使える 作物に使える量の基準 ( 播種 定植の直前に使用しても OK) 高温堆肥化の実行の工程の基準 直前に使用しても良いかどうかの安全基準を持っている堆肥 等々単に 堆肥 といっても 生 ( なま ) に近い 1 のような堆肥 もあれば 8 のような堆肥 もあり その内容は 100 段階ぐらいあると思えば分かりや すい それを一口に 堆肥 と言うから混乱を招く せめて 農家サイドからみた 堆肥使用基準を作ればいいのだが - 6 -
- 7 - * そこで 堆肥 を判別する または * 堆肥をつくる機械 装置 を判別する には もう お分かりだろうと思うが 何のために 生の有機廃棄物 を堆肥にするのか その目的を思い出せば 自ずと分かることである 即ち 作物の生育に必要だから 健康な作物を作るために必要だからであって 単に リサイクルの為に 堆肥 にするのではないことを再確認して欲しい 作物に好ましくない 堆肥 は単に 生の有機廃棄物 が多少 変化しただけであって 作物にとっては害になるもの状態が 少しも変わっていなのである それを単に 堆肥 にしたから作物は喜ぶと思うと大違いであって 作物にとってはありがた迷惑なことだけでなく 作物の死命線を制する毒をあたかも食料や薬の如く与えられたようなものであると思う まず 堆肥 にする場合 あくまで 作物の根や葉などに 害が無いものを作らなければならず 生の有機廃棄物 を多少 いじっただけで畑に投入されると 作物にとっては大迷惑であろうと思うし 死活問題であることを理解しなければならないのである 特に身近では 家庭の生ゴミを堆肥にしたときなど思い当たることがあると思う - 7 -
- 8 - * だから * または 堆肥 を判別する 堆肥を作る機械 装置 を判別するには 堆肥 では良いとされる堆肥は ほとんどの作物に良い結果をもたらすので 効能書き もよいがそれよりも できた堆肥 がどんな原料で どうやって作ったか 作物に対して害があるかどうか 使い方によって害があるかどうか露地用作物用かハウス用作物用かなど分かりやすく書いてあると 使う農家サイドは安心して使えるその上 できるだけ均質に作ってあればなお安心できる 堆肥をつくる機械 装置 では 堆肥ができる とだけ書いてあるのではなく 皆さんが聞きたいのは どんな堆肥ができるか? 何の作物に使えるのか? 露地用作物のための堆肥か? ハウス作物のための堆肥か? それに使えるための堆肥ができる実質 製造日数は? どんな原料が堆肥化に使えるのか? 水分が多い原料は使えるのか?( 例えば 水分 97% のし尿 乳牛糞尿 豚糞尿など ) 個液分離しなくても その原料のまま使えるのか? どの程度 t 数 使えるのか? など詳しく 書いてあれば 堆肥を作る機械 装置 の内容が良く分かり 判別しやすい - 8 -
- 9 - * 機械 装置 を使って 有機廃棄物 を 堆肥 にする場合の 基本的な考え方 作物のために何処まで堆肥化すれば良いのか? ということになるが 堆肥をつくる側 は 生の有機廃棄物から堆肥をつくる 場合 生の有機廃棄物 を処理するために堆肥にすると現代では考えがちであるが それではとても作物に使える堆肥はできない 食品を作る会社が消費者の好み 欲しがっているものをリサーチせずに商品を作ると ころはないと思う それと同じことで 作物を消費者になぞらえれば 色々 種類がある消費者 ( 作物 ) が存在することになる 例えば 花と野菜では内容も目的も大きく違う その違いを全く無視して今の堆肥づくりは行われていることが多い 堆肥をつくる場合 この作物 を こんな栽培方法 でつくるために このような 堆肥 が欲しいという目的を持った考え方が必要になる * その為の 堆肥づくり の大きな基本の一つに 生の有機廃棄物を畑に使うためには 堆肥化の方法でも 他の方法でも どんな方法でもよいが 畑に入れて作物に害が無ければ 先ず合格だと云う基本が必要 次に ハウス栽培に直ぐに使え 作物に害が無いこと と云う基本が必要 作物に害が無ければ 作物には良い結果をもたらす場合が多いからである - 9 -
- 10 - * 昔は昔は作物を作るために たくさん実らせるために 作物のことを考えて 生の有機廃棄物から堆肥をつくる ことを考えたのであって 生の有機物や有機廃棄物 を処理しようなどとは全く考えてもいなっかった 農家は町まで 下肥 ( し尿 ) を引取りに大八車を引いて行った だれもが下肥を作物に必要な養分と考え行動していた だから 堆肥にする場合でも作物の為にするのであって 人間のために 処理のために 堆肥 にすることなど誰もが考えなかった * それが今 堆肥化 は 処理するため リサイクルのため と考えて 堆肥 にするため 人間にとって都合のいい堆肥 ( 有機廃棄物の少しの変化を 堆肥 と称する ) を考えていて 作物のためと云う目的をおろそかにしているが それでは本末転倒である * 結果作物に害の無い 堆肥 を作れば 作物に良い成果がおこり ゆえに 生の有機廃棄物 がリサイクルされて 処理ができるのである 作物に害を及ぼす 堆肥 は再度 廃棄物を作っているのと同じである * 結論として 堆肥 および 堆肥の製造機械 装置 を始めての人が判断する場合 その途中の方法論は度外視して まず 堆肥 の目的その堆肥が 使える作物 は何か? 使える栽培方法 は何か? 使える堆肥の量 はどのくらいか? に集中して 分類して判断すれば分かりやすい - 10 -
- 11 - その堆肥は 作物から離さずに使える堆肥か? それの実質 製造日数は? 露地栽培に使える堆肥か? それの実質 製造日数は? ハウス栽培に使える堆肥か? それの実質 製造日数は? どんな作物に使える堆肥か? それの実質 製造日数は? どのくらいの堆肥の量が使えるか? それの実質 製造日数は? ほかなど 分類して判断すれば分かりやすい 次に 堆肥の原料 はどんなものが使えるか? どんな状態の原料 なら使えるのか? を 分類して判断すれば 内容が明確になる 畜産糞尿は? 畜産糞尿も水分の多いものはどうか? 畜産糞尿の水分を個体と液体に分離した液体の部分は? 生コ ミは? 汚泥は? し尿は? 剪定枝は? そのままの もみがら は? ほか 但し それらの原料が使える場合 どんな堆肥ができるのか どんな栽培方法に使えるのか? どのくらいの実質 製造日数で出来るのか? が平行して明示されてないと 単に宣伝の目的のために書いてあるだけのものと判断される 書いてなくて 詳しく知りたければ 直接メーカーに問い合わせればよい それらを作物の立場に立って 列挙していけば 自ずと 堆肥 と 堆肥の製造機械 装置 のランク が判別する - 11 -