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Transcription:

3. 再使用型輸送機等の研究開発 57

3. 再使用型宇宙輸送機等の研究開発 (1) 過去の実績 :HOPE-X および小型実験機 HOPE-X プロジェクトの目的従来のロケット技術による輸送コストと比べ 大幅なコスト低減が可能な再使用型輸送系の技術基盤育成の一環として HOPE-X の開発を進め 飛行実験を実施する これにより 無人有翼往還機の主要技術の確立を図るとともに 将来の再使用型輸送機の研究に必要な技術蓄積を図る ( 宇宙開発政策大綱 宇宙開発委員会 1996 年 1 月 24 日改訂 ) 1994~97 年 軌道再突入実験 (OREX) 極超音速飛行実験(HYFLEX) 小型自動着陸実験 (ALFLEX) を実施 1997 年度 HOPE-Xの開発着手 2000 年 8 月に実機 ( 実際にロケットで打上げられる機体 ) 製作凍結実機製作凍結時点までに 基本設計及びエンジニアリングモデル開発試験を実施 開発仕様を確定 以降は 再使用型輸送系に共通的な基盤技術や要素技術に係る研究開発を実施 HOPE-X 飛行計画 打上げから再突入 着陸に至るのシステム技術 要素技術を一度で実証するために 種子島から打上げ 軌道を約一周後再突入し クリスマス島に帰還する飛行計画を設定 小型実験機による飛行実証 HOPE-X を一気に開発することは難しいため まず HOPE-X の帰還軌道を分割するように 各小型実験機の飛行範囲を設定し 各フェーズ 速度域での主要な要素技術の確立を図った 58

3. 再使用型宇宙輸送機等の研究開発 (2) 過去の実績 : 再使用型輸送技術飛行実証等を行った主な機体一覧 飛行実験機体実施時期 場所 実験方法実証した主な技術 HIMES 軌道再突入実験 (OREX) 極超音速飛行実験 (HYFLEX) 高速飛行実証フェーズ Ⅱ 高速飛行実証フェーズ Ⅰ 小型自動着陸実験 (ALFLEX) 再使用ロケット実験 (RVT) 1983 年 ~1992 年ヘリコプタ落下 高層気球打上等 1994 年 2 月クリスマス島近海 H-II ロケットで打上げ 1996 年 2 月小笠原近海 J-I ロケットで打上げ 2003 年 7 月スウェーデン エスレンジ 高層気球から投下 2002 年 10~11 月クリスマス島ジェットエンジンで離陸 1996 年 7~8 月オーストラリア ウーメラ ヘリコプタから投下 1999 年 ~2003 年能代多目的実験場 ロケットエンジンで離陸 空力 空力 熱防護 空力 熱防護 空力 遷音速 ~ 亜音速空力特性推算 遷音速 ~ 亜音速施政制御 空力加熱推算 通信ブラックアウト予測 耐熱材 軌道離脱制御 極超音速空力特性 空力加熱 可とう断熱材 極超音速誘導制御 遷音速空力特性推算 遷音速誘導制御 自律飛行経路設定 進入着陸航法誘導制御 自律 空力低速空力特性推算 ( 地面効果推定含む ) 推進系 構造系 EXPRESS 1995 年 1 月 16 日再突入空力 熱防護 次世代型無人宇宙実験システム (USERS) MUSES-C( はやぶさ ) 再突入カプセル i-ball 2003 年 5 月 30 日再突入 2010 年 6 月 13 日再突入 2012 年 HTV3 とともに再突入 空力構造熱防護 空力構造熱防護 データ取得 進入着陸 地上走行航法誘導制御 繰り返し運用技術 極低温複合材タンク 垂直着陸航法誘導制御 打上げロケット不具合により予定軌道にのらず 機体は回収し耐熱性能等の評価を実施 我が国で初めて軌道からの機体回収に成功 カプセル 耐熱シールドの回収に成功 再突入時の機体破壊様相観察 熱データ等取得 59

3. 再使用型宇宙輸送機等の研究開発 (3) 研究開発の現状 システム研究 1 二段式完全再使用型システムの検討リファレンスシステムを設定し技術課題を検討 2 有翼ロケット実験機 有翼再突入実験機の検討 有翼ロケット実験機サブオービタル飛行 複合材構造等の実証 有翼再突入実験機熱防護システム 揚力再突入飛行技術等の実証 イタリア宇宙機関 (ASI) 等と共同検討を実施中 要素技術研究 1 炭化水素系エンジンインジェクタ 冷却性能 材料適合性等の基礎データを取得 評価 2 複合材タンクの研究軽量化複合材料推進薬タンク研究 3 熱防護システム (TPS) の研究再使用性 交換性に優れるスタンドオフTPSや耐熱複合材の研究 4 統合ヘルスマネジメント技術の研究故障の早期検知 診断 リカバリ技術をさらに高める研究 スタンドオフ TPS オービター 有翼ロケット実験機 エタノールエンジン燃焼試験 ブースター 再突入実験機 複合材タンク試作 耐熱複合材の試作試験 60

3. 再使用型宇宙輸送機等の研究開発 (4) 再使用観測ロケット (1) 観測ロケット運用コストの大幅削減 運用コスト目標 2 3000 万円 / フライト ( 定常運用 ) 現行観測ロケットの一桁ダウン ( 使い捨て観測ロケットは S-310 (150km/40kg) は約 2.5 億円 S-520(300km/80kg) は約 4 億円 ) 性能目標 : 高度 120km 以上に100kgのペイロードを打ち上げ発射点に帰還再使用回数目標 :100 回以上 ( 定常運用状態では年間 10 回以上の飛行を目標 ) (2) 観測ロケット飛行機会の利用の革新と宇宙実験参入への しきい の除去 発射点へ帰還し短期間で再飛行 実験機器を失わず容易な繰り返し実験によりロケット的利用機会から航空機的利用機会へと革新 海上に落下 投棄しないため漁業対応などの制約から解放される可能性あり 使い捨て観測ロケットの場合 現行予算規模では年 2 回の打上が限界 大気プラズマ科学, 宇宙物理, マイクロG 利用の戦略的推進により年 10 回以上のの利用需要を定量化 より高度な観測と繰り返しによりデータの質 量ともに革新し, 新たな需要も刺激 新しい宇宙科学を切り拓く 観測ロケットその場観測の唯一の手段 人工衛星 150km~ 再使用観測ロケット 50km~ 120km 航空機 ~20km 大気球 ~40km (3) 将来型宇宙輸送システム構築技術の実証 航空機的繰り返し飛行運用, 故障許容型システムの構築や軽量構造 材料および推進システムの開発に資する基礎技術の実証と実験機会を提供し, 宇宙輸送コストの飛躍的削減を図る将来型のロケット推進宇宙往還システムの実現や有人化を目指した高信頼性化研究に貢献 液体水素燃料の安全かつ効率的運用システムの構築により将来の水素エネルギ社会で必要な技術蓄積 61

3. 再使用型宇宙輸送機等の研究開発 (5) その他輸送技術に関する研究開発 極超音速エンジンの研究開発 (JAXA) 極超音速ターボジェットエンジンの研究試験供試体を製作し 作動実証試験を実施 複合エンジン技術の研究風洞試験によりマッハ数 0~8の広範囲での作動を実証 サブオービタル宇宙旅行機 (PDエアロスペース社他 ) 複合エンジン風洞試験 システムコンセプトスタディ システム設計 推進系研究などの技術研究や 事業化に向けた課題 ( 空港等環境整備 法的整備 ) の検討を行っている 空中発射システムの研究開発 ( 経済産業省 ) 小型衛星の効率的な打上を目指した空中発射システムのシステム検討や法規制に関する調査等を行っている 小型ロケットの開発 ハイブリッドロケット ( 北海道科学技術創成センター (HASTIC)) 固体燃料 ( アクリル ) と液体酸素を推薬とするハイフ リット ロケットを開発中 500kgf 級モータを開発している エタノールエンジンロケット (SNS 社 ) エタノールと液体酸素を推薬とするロケットを開発中 500kgf 級モータの燃焼試 Mach 3-5 験に成功している エタノールロケット打上げ 62 設備ノズル 液体水素燃料タンク 極超音速ターボジェット Mach 3-5 ターボジェットエンジン試験 (2012-2014) 空中発射システムの研究開発 ( 経産省予算案資料抜粋 ( 経産省 HP))

補足資料 I. 海外主要国の宇宙輸送システム動向 0. 共通 1. 米国 2. 欧州 3. ロシア II 我が国の宇宙輸送システム開発の歴史と現状 1. 固体ロケット 2. 液体ロケット 63

0. 共通 64

深宇宙惑星小惑星月 静止軌道 低軌道 宇宙輸送システムアークテクチャ 軌道間輸送システム : 低軌道から静止軌道や月軌道などへで高頻度に人員 物資を輸送使い切りロケット : 低軌道 静止軌道 月軌道や深宇宙など遠方へ人員 物資を輸送再使用型宇宙輸送システム : 低軌道へ低コストで高頻度に人員 物資を輸送 ISS 補給機 有人宇宙船 : 低軌道への物資輸送 再突入 使い切りロケット ( 空中発射 ): 低軌道への物資輸送 高エネルキ ー軌道 低軌道 再使用観測ロケット : 微小重力実験を繰り返し実施 宇宙旅行機 : 高度 100km の安価な宇宙旅行産業 2 地点間輸送サフ オーヒ タル機 ( 弾道飛行または巡航飛行 ): 大陸間など旅客 物資を高速輸送 サブオービタル 65

欧州 ベガ 2012 年初打上げ 諸外国の使い切りロケットラインアップ ソユーズ 2011 年初打上げ アリアン 5 - 中国 長征 6 号 ( 開発中 ) 長征 2 号長征 4 号長征 3 号 長征 5 号 ( 開発中 ) 長征 2F 号 長征 7 号 ( 開発中 ) アリアン 5ME アリアン 6( 開発中 ) 米国 ミノタウロス 1,4,5 トーラス XL デルタ 2 アンタレスファルコン9 デルタ 4 アトラス 5 SLS( 開発中 ) インド PSLV GSLV GSLV MkⅢ ( 開発中 ) ヘ カ サス XL 計画中 ロシア 日本 ロコットドニエプルソユーズプロトンM ソユーズイプシロン (2013 年打上げ予定 ) H-IIA H-IIB ゼニット 3SL アンガラ ( 開発中 ) 中型ロケットなし 計画なし 66