サマリー 1 市場の関心は米大統領選の行方に集まっています 世論調査においてドナルド トランプ氏の優勢が報じられると 市場の更なる丌確実性が懸念され リスク資産からの資金流出が記録されました 10 月の MSCI 世界株価指数はマイナス 2.01% MSCI 新興国株価指数は 0.18% と新興国が

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(2) 資産構成割合の推移 ( 給付確保事業 ) 1 資産配分実績の基本ポートフォリオからの乖離の推移 2 実践ポートフォリオと資産配分実績の推移 3. 運用受託機関 平成 29 年 3 月末現在 2

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株式市場 米国株 トランプ氏の政策への期待感後退で調整も MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました 11 月 8 日 ( 現地 ) に行われた大統領選挙でトランプ氏が当選し 減税やインフラ投資の拡大などの同氏の政策に注目が集まりました 債券市場では金利が上

米国の利上げ見送りと日本の長期化した金融緩和

1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

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< 豪州債券市場の市況および今後の見通し > 2016 年の豪州債券市場では 金利が低下しました 年初から 2 月にかけては 中国株をはじめ世界の株式市場が下落するなど市場のリスク回避姿勢が強まる中 金利低下が進みました 1 月末に日銀のマイナス金利導入発表を受け 欧州など他国でもさらなる金融緩和期

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Economic Indicators_  定例経済指標レポート

株式市場 米国株 国内の政策動向や海外の政治動向などに注目 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場はほぼ変わらずとなりました 月初には 2 月末のトランプ大統領の議会演説を好感して 株価は大幅上昇となりました しかし その後は 新政権の経済政策に対する期待が徐々に後退

米国株 投資家心理が落ち着けば 上昇基調に回帰と想定 株式市場 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 長期金利の上昇を契機に急落米国株式市場は下落しました 月初に発表された1 月の雇用統計において 時間当たり賃金が市場予想を上回る伸び率となったことを受けて 長期金利が約 4 年ぶ

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退職等年金給付積立金 平成30年度第2四半期運用状況

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株式市場 米国株 新政権の政策期待による上昇も一服 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました ISM( 全米供給管理協会 ) 指数など月初に発表された経済統計がおおむね良好であったことを受け 月前半の株式市場は堅調に推移しました 月半ば以降は 高値警戒感な

株式市場 米国株 上値が重く神経質な展開 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は下落しました FOMC( 米国連邦公開市場委員会 ) における利上げの有無 大統領選挙の動向 ドイツの大手銀行の資本不足懸念などに一喜一憂する展開となりました 月半ばにかけて 利上げ観測や原油

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MONEX 個人投資家サーベイ 2018年3月調査

Invesco Premia Plus Fund

平成23年11月1日

変額年金 ( 特別勘定 ) の現況をご覧になる方に 特にご確認いただきたい事項 投資リスクについて 変額年金保険の特別勘定の資産運用は 国内外の株式および公社債 国内外のその他の有価証券 貸付金 コールローンおよび預貯金等を主な運用対象としておりますので 株価の下落や金利の変動 為替の変動などにより

第 1 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +1.54% 収益率 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1.02% 実現収益率 ( )) 運用収益額 +3,222 億円 総合収益額 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1,862 億円 実現収益額 ( )) 運用資産残高 ( 第 1 四半期末 )

変額年金 ( 特別勘定 ) の現況をご覧になる方に 特にご確認いただきたい事項 投資リスクについて 変額年金保険の特別勘定の資産運用は 国内外の株式および公社債 国内外のその他の有価証券 貸付金 コールローンおよび預貯金等を主な運用対象としておりますので 株価の下落や金利の変動 為替の変動などにより

○ユーロ

Outlook201806

株式市場 米国株 高値警戒感の高まりなどから上昇一服も MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました トランプ政権で閣僚などの人事において一部で混乱が見られましたが トランプ大統領の発言などにより減税 金融規制緩和などへの期待が高まったことや 発表された米国企

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株式市場 米国株 先行き不透明感強いがファンダメンタルズは良好 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は下落しました 堅調な経済指標の発表を受けて米国の年内利上げ観測が高まったことで 金利動向の影響を受けやすいディフェンシブセクターの一部が軟調に推移しました また 米

<4D F736F F D20819A819A8DC58F49835A C C8E816A2E646F63>

MONEX 個人投資家サーベイ 2016年2月調査

月例経済報告

マネーマーケットマンスリー

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円 N 先週のメキシコペソ相場今週の見通し 12 月 17 日 - 12 月 21 日取引レンジ 5.53 円 円想定レンジ 5.50 円 円 対円レートは強含み 大幅な歳出拡大計画の発表が期待されており 歳出拡大による景気浮揚への期待が高まったことから 投機的なペソ売り

平成 21 年 9 月 5 日 角山智 投資環境レポート (2009 年 9 月 ) 1. 主な株価指数 8 月は 中国株が大幅に値下がりしました 反面 出遅れていた英国株が好調です 市場 日本株 日本新興市場 J-REIT 米国株 英国株 中国株 ( 指数 ) (TOPIX) (JASDAQ) (

平成30年度第1四半期における運用状況等

当面の金融政策運営について(貸出増加支援資金供給の延長等、12時29分公表)

[ 参考 ] 先月からの主要変更点 基調判断 3 月月例 4 月月例 景気は 急速な悪化が続いており 厳しい状況にある 輸出 生産は 極めて大幅に減少している 企業収益は 極めて大幅に減少している 設備投資は 減少している 雇用情勢は 急速に悪化しつつある 個人消費は 緩やかに減少している 景気は

平成 28 年度第 3 四半期退職等年金給付組合積立金運用状況 警察共済組合

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月例経済報告

当ページは 各種の信頼できると考えられる情報源から取得した情報に基づき アクサ生命保険株式会社が作成し提供するものです 情報の内容に関しては万全を期しておりますが その正確性 完全性については これを保証するものではありません 日本株式市場 運用環境 [ 2015 年 4 月 ~2016 年 3 月

一部新興国市場が動揺 アルゼンチンは前四半期から経済危機に陥っていましたが トルコでは 6 月に再選された大統領が米国と対立したこと等を契機に 8 月に通貨が急落しました ブラジルや南アフリカ インドの通貨も下落が加速する局面が見られ 中国元も緩やかに値を下げました これまでのところ個別国の問題とい

金融政策決定会合における主な意見

株式市場 米国株 国内外の政治動向に注目 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 好調な企業決算発表を受けて上昇米国株式市場は上昇しました 月前半までは2017 年 1-3 月期の決算発表内容が総じて好調であったことが株価を支えました 月半ばには コミー前 FBI( 連邦捜査局 )

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マネーマーケットマンスリー 2018年3月

グローバル株式市場を俯瞰する~2015年8月末データで見る市場動向~

マーケット フォーカス経済 : 中国 2019/ 5/9 投資情報部シニアエコノミスト呂福明 4 月製造業 PMI は 2 ヵ月連続 50 を超えたが やや低下 4 月 30 日 中国政府が発表した4 月製造業購買担当者指数 (PMI) は前月比 0.4ポイントの 50.1となり 伸び率がやや鈍化し

MONEX 個人投資家サーベイ 2016 年8 月調査

Outlook201609

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平成29年度における運用状況等

国内短期金利

日本の債券市場 日本の債券市場の代表的な指数であるNOMURA-BPI 総合は 2 日比で0.09% 上昇しました 前週末発表の1 月の米雇用統計において 賃金上昇圧力が確認されたことを受け 金融引き締めに対する警戒感から各国株式市場が下落したことから 安全資産としての債券需要が高まり日本債券市場は

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定期調査の質問のうち 代表的なものの結果 1. 日本の株価を 企業のファンダメンタルズと比較してどう評価するか 問 1. 日本の株価は企業の実力( ファンダメンタルズ ) あるいは合理的な投資価値にくらべて 1. 低すぎる 2. 高すぎる 3. ほぼ正しく評価されている 4. わからないという質問で

経済の見通し 欧州 欧州経済は グローバル経済の堅調さを背景とした外需セクターの回復 労働市場の回復を背景にした堅調な個人消費 従来に比べ拡張的な財政政策による成長押し上げ効果を背景に潜在成長率を上回る成長が続いています 物価については 労働市場や経済の回復を背景にコアインフレ率 賃金上昇率は今後緩

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マクロ インサイト FRB FRB 長期金利 FRB bp 図表 1 FRB と市場の金利予測の乖離 FOMC 予測 vs 市場予測 年末 年末 2.0 市場が

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MONEXグローバル個人投資家サーベイ

株式市場 米国株 景気 企業業績は依然として堅調 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 貿易摩擦への懸念から下落米国株式市場は下落しました トランプ米大統領が鉄鋼やアルミニウムの輸入を制限する方針を表明したことから 世界的な貿易摩擦への懸念が高まり下落して始まりました その後 貿

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

(2) 円安を予想する割合が大幅に増加 [ 参照 : 別紙レポート 5 ページグラフ 3] 今後 3 ヶ月程度の米ドル / 円相場の見通しについて 円安になる と回答した個人投資家の割合が 51% と 前回調査時の 32% から大きく高まりました 米国の年内追加利上げの可能性がかなり高まってきたとみ

「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入

2016 年 メキシコペソ もとの状況と今後の 通し <メキシコペソ / 円は下落 > < 政策 利とインフレ率の推移 > メキシコペソは もとまで軟調に推移してきました しかし 原油先物価格は2016 年 2 に安値をつけて下落が続いてきた理由として 1 統領選 2メ以降 持ち直す展開

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Microsoft PowerPoint - CSIS 【三井住友銀行】 FOMC後のスペシャルレポート(USHY).pptx

経済・物価情勢の展望(2016年10月)

経済金融・情勢資料  15年7月 

ヘッジ付き米国債利回りが一時マイナスに-為替変動リスクのヘッジコスト上昇とその理由

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グローバル・マクロ・ウォッチ

中国:PMI が示唆する生産・輸出の底打ち時期

当面の金融政策運営について(「量的・質的金融緩和」を補完するための諸措置の導入、12時50分公表)

【16】ゼロからわかる「世界経済の動き」_1704.indd

2017年上半期の為替相場展望

チャート編 1 日経平均株価 ( 日経 225) TOPIX( 東証株価指数 ) 2,0 NY ダウ工業株 30 種平均株価 ( 米ドル ) ダウセレクト配当込み指数 3,000 28,000 26,000 24, ,000 26,000 2,0 20,000 1,0 24,000 1

マネーマーケットマンスリー 2018年12月

2018 年度第 3 四半期運用状況 ( 速報 ) 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に判断することが必要ですが 国民の皆様に対して適時適切な情報提供を行う観点から 作成 公表が義務付けられている事業年度ごとの業務概況書のほか 四半期ごとに運用状況の速報として公表を行うも

Transcription:

Athena Wealth Management 2016 年 10 月 Investment Research Report インベストメントリサーチレポート

サマリー 1 市場の関心は米大統領選の行方に集まっています 世論調査においてドナルド トランプ氏の優勢が報じられると 市場の更なる丌確実性が懸念され リスク資産からの資金流出が記録されました 10 月の MSCI 世界株価指数はマイナス 2.01% MSCI 新興国株価指数は 0.18% と新興国が先進国を上回るパフォーマンスとなりました 最も上昇を遂げたのはブラジル株式市場となり 米ナスダック市場が最も大きく下落しています 米国債利回りは徐々に上昇し 1.8% 水準となっています 利回りがマイナス圏に下がった債券残高は最高水準の 12.2 兆米ドルから 10.7 兆米ドルに減少しています 金価格については米大統領選を控え 1 オンス =1,270 米ドル水準を維持しています ドル指数は米連邦準備制度理事会 (FRB) による政策金利の引き上げが 12 月に期待されていることを背景に強含んでいます 原油価格は 1 バレル =46 米ドル水準を推移しています 表 1 株式市場比較

ドナルド トランプ氏 ヒラリー クリントン氏どちらも支持しない米国民が多数いることから 大統領選の行方が丌透明となっており 大統領選後は更に市場が荒れた展開になることが予想されます 短期的には先進国市場が新興国市場を上回るパフォーマンスになることが予想されています 先物市場では FRB が 12 月の定例会議において政策金利の引き上げに踏み切る可能性を 70% 以上と見ており 強含んだ米ドルが新興国市場にとって圧力となっています 世界債券市場については利回りの上昇が見込まれ 特に先進国国債は現在非常に割高な水準にある為 一層の利回りの上昇が見込まれます 金価格については米大統領選の結果に左右されることが予想されます 表 2 ドル指数 2

ユーロ圏市場 3 マリオ ドラギ欧州中央銀行 (ECB) 総裁は理事会後の会見において 現行の量的緩和政策の資産買い入れを 2017 年 3 月まで続けることを示しました インフレ率がほとんど上昇せず 景気回復基調は依然として脆弱と言えます アナリストの多くは ECB の債券購入プログラムの延長を予想しており その決定時期は 12 月の会合になる可能性が高いと見込んでいます 表 1 ECB 量的緩和延長決定見込み 表 2 ECB 資産買取額縮小のタイミング

12 月にイタリアでは議会制度を見直す憲法改正案を問う国民投票が実施される予定で 可決されれば上院と地方政府の権限が大幅に制限されることとなります 結果が否決となった場合は銀行業界再編プロセスが行き詰まり 政局丌安や欧州連合 (EU) およびユーロ圏の先行きの丌透明感が増す可能性があります 表 3 イタリア国民投票世論調査 - 反対派が若干のリード 4 表 4 ユーロ圏消費者物価指数

米国市場 米大統領選挙は世論調査ではヒラリー クリントン氏とドナルド トランプ氏の支持率は拮抗しており 選挙結果を受けても市場は変動の高い展開が続くと予想されます S& P500 種株価指数は 2180 の上値が重い展開となっています 恐怖指数と呼ばれる VIX 指数は上昇傾向にあり 米株式市場は短期的に調整局面を迎えると見ています FRB が 12 月に政策金利の引き上げに踏み切ることが予想されており 米ドル指数は更に上昇する可能性があります 表 1 VIX 指数 5 表 2 S&P500 種株価指数

金利の上昇は債券市場にとってマイナスの作用が働く為 債券の利回りが上昇すると見られています 特に国債の利回り上昇が見込まれ 10 年物国債の利回りは近い将来 2% 以上になると見ています また クリントン氏 トランプ氏共にインフラ事業への投資拡大を公約に揚げていることから インフレが加速する可能性があります このことから FRB が来年の金利引き上げペースを速める可能性が出てきています 我々は FRB の 12 月定例会議において来年の利上げペースについて言及がないか注意深く観察していく予定です 表 3 FRB 利上げの可能性 6 表 4 米 10 年物国債利回り

中国市場 表 1 中小企業景況感指数 中国経済は年初より停滞が続いていますが 一部の指標において年間では経済回復が伺えます 10 月は 9 月のペースを維持しており 全体的にプラスの兆候があると言えます 7 10 月の中小企業景況感指数および製造業購買担当者景気指数 (PMI) は安定を維持しており 家計 耐久消費財及び雇用の安定が反映されていると言えます 製造業 PMI は 10 月 51.2 に上昇 製造業において生産 受注 雇用の健全が伺えます また 非製造業 PMI についても 9 月の 53.7 から 54 へ上昇しています 製造業の改善により 9 月の生産者物価指数 (PPI) は前年比 0.1% の上昇と 2012 年 1 月以来初めて前年比でプラスとなりました 表 2 中国製造業 非製造業購買担当者景気指数

表 3 中国生産者物価指数 これらプラスの兆しは中央銀行が政策金利を年間を通して過去最低水準に維持することが予想されます しかしながら 現在の中国経済には依然として懸念が残っています PPI の上昇は賃金や原料費の上昇を意味し ひいては世界的な需要減に繋がります また 外貨準備高の減少も懸念され 実際 10 月は 3.12 兆米ドルと 9 月の 3.166 兆米ドルから減少 市場予想の 3.132 米ドルを下回る結果となりました 通貨安もあわせ中央銀行にとって更なる圧力となっています 8 表 4 中国外貨準備高推移

9 日本経済 10 月の日本株式市場は主要株式市場の中でも高い上昇率を記録 MSCI 世界株価指数のマイナス 2.01% 新興国株式指数の 0.18% に対して 5.93% と 米大統領選を目前に控えながらも良い結果となりました 9 月の鉱工業生産指数は前月比 0.0% と 8 月の同比 1.3% 増の横ばい 小売業販売額についても前月比で横ばいとなり 市場予想の 0.2% 増を下回る結果となり 日本経済に対して依然として懸念が残る状況となっています また 9 月の家計調査報告によると消費支出は前年同月比 2.1% の減少を記録 過去 12 ヶ月間において 11 ヶ月減少を記録しており 消費の脆弱さと物価の下落が続いていることで 日銀による経済刺激策への期待が更に高まる可能性があります 表 1. 日本株式パフォーマンス 世界株価指数 新興国株価指数との比較 表 2. 日本鉱工業生産指数

表 3 日本消費支出 10 しかしながら日銀は新たな経済刺激策を講じるのではなく現行の政策を据え置くと見られています 金融緩和の新しい枠組みとして長短金利操作 ( イールドカーブコントロール ) の効果を見極めるというのが表面的な理由と言えますが タイミングの問題とも見られています 米国は大統領選を控え政策リスクがあるものの 12 月の政策金利の引き上げ期待は高まっていることから 米ドルに対して日本円安が進み 10 月は 1 米ドル 101 円から 105 円水準まで下落 日本経済にとってプラスの効果をもたらすと見られています 表 4. 対米ドル日本円相場

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