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新潟県立看護大学紀要 7:16-21(2018) 資料 糖尿病合併症による下肢切断患者の実態から導かれた A 病院フットケア外来の課題 The issues faced by Hospital A s foot care outpatient clinic arising from the circumstances of a patient whose lower leg was amputated due to complications of diabetes 武田織枝 1), 守橋克枝 2) 3), 丸田好子 Orie Takeda 1), Katsue Morihasi 2), Yoshiko Maruta 3) キーワード : 糖尿病フットケア外来, 下肢切断患者, 末梢動脈疾患,SWOT 分析 Key words: diabetes mellitus foot care outpatient clinic,lower limb amputee,peripheral arterial disease,strengths and weaknesses and opportunities and threats analysis 要旨 本研究は,A 病院の糖尿病合併症から下肢切断に至った患者の実態を明らかにし, フットケア外来の充実に向けた組織の課題を検討することを目的とした. 対象 : 電子カルテの患者情報と糖尿病フットケア外来に従事する看護師. 期間 :H25 年 7 月 ~ H26 年 3 月方法 : 電子カルテより過去 5 年間糖尿病患者数, 糖尿病合併症管理料算定件数 糖尿病下肢切断件数から切断に至った患者の実態を明らかにし,SWOT 分析を用いてフットケア外来の組織分析をした. 結果 : 下肢切断患者の4 割が透析患者であった. 下肢切断の原因疾患では PAD( 末梢動脈疾患 ) が 25 名 (69.4%) で一番多かった. 診療所から下肢切断目的で A 病院に来院した患者は 31 名 (86.1%) で, うち 19 名 (52.8%) は下肢切断術前 1ヵ月以内に診療所から紹介された患者であった. 考察 :A 病院フットケア外来受診者は, 内科外来糖尿病受診者数の3 割であり, フットケア外来通院者から3 名の切断者がいたことから, フットケア外来患者の重症化予防が重要であり, SWOT 分析の結果, フットケア外来においてはハイリスク者の発見の遅れが課題であることがわかった.A 病院の看護師が地域連携室を通し, 地域医療機関との連携を図ることで, 患者の足病変への予防的なセルフケア教育が可能であると考える. フットケア担当看護師育成計画を立案する必要がある. 結論 : 今後の課題として, 糖尿病フットケア外来マニュアルを見直し担当看護師育成プログラムを構築する必要がある. 2017 年 8 月 18 日受付 ;2017 年 12 月 5 日受理 1) 新潟県立看護大学看護学研究科 ( 修士課程 ) Niigata College of Nursing postgraduate nursing course (master s course) 2) 新潟県立中央病院 Niigata Prefectural Central Hospital 3) 元新潟県立中央病院 Formerly Niigata Prefectural Central Hospital 16 新潟県立看護大学紀要第 7 巻 (2018)

糖尿病合併症による下肢切断患者の実態から導かれた A 病院フットケア外来の課題 Ⅰ. 緒言 わが国では, 糖尿病患者の急増や高齢化社会にともない糖尿病や末梢動脈疾患 (Peripheral Arterial Disease;PAD)/ 閉塞性動脈硬化症 (Arteriosclerosis Obliterans;ASO) による足病変が増加している.60 歳以上の約 700 万人が足病変を発症しており,PAD の有病者数は 320 万人と推定されている. 末梢動脈疾患 PAD, 閉塞性動脈硬化症 (ASO) を含む総称 を合併する虚血性潰瘍では神経障害性潰瘍に比し切断率が高く, 患者の生命予後も不良であり ( 日本糖尿病学会,2013), 下肢切断を防ぐうえで糖尿病管理や糖尿病フットケア ( 以下, フットケアと略す ) が重要である. 看護師にとっても, 糖尿病患者の足病変の危険因子を見極めていくことは, 良質な看護を提供するうえで欠かせないものとなっている ( 本田ら,2006). 先行研究では, 医療機関においてフットケアを実施する上で 人員不足, 時間不足 等の組織的な課題が指摘されている ( 瀬戸と和田,2008) が, 課題解決のための方策までは示されていない.A 病院の役割は, 地域の病院や診療所との連携を強化し, 専門医療を必要としている患者を受け入れていく必要がある.A 病院のフットケア外来においても, 同様な組織的な課題がある. そこで本研究は,A 病院の糖尿病合併症から下肢切断に至った患者の実態を明らかにし, フットケア外来の充実に向けた組織の課題を検討することを目的とした. 用語の定義 : 糖尿病フットケアとは, 糖尿病を原因とする足病変を予防する医療的フットケアのことである. Ⅱ.A 病院のフットケア外来の取組み A 病院は B 地域で医療スタッフが最も多く配置されており,7 対 1の看護体制をとっている. 糖尿病専門医が常勤し, 平成 20 年からフットケア外来が開設された. フットケア外来には日本糖尿病療養指導士 (Certified Diabetes Educator of Japan;CDEJ) の資格を有する看護師が1 名配置され, 平成 22 年からは糖尿病看護認定看護師と CDEJ の2 名体制となった. 対象者は, 糖尿病で通院している足病変リスクの高い患者である. ケア内容は, 糖尿病フットケア技術 ( 日本糖尿病教育 看護学会,2013) に基づく足アセスメント 爪切り方法等のセルフケア教育である. Ⅲ. 方法 1.A 病院の糖尿病合併症による下肢切断者の実態調査外来カルテより, 平成 21 年度から 25 年度の5 年間の糖尿病合併症算定患者数, 下肢切断患者数と下肢切断患者の属性 既往歴, 下肢切断後の受診の有無, 透析患者数を把握し, エクセル統計を用いて単純集計を行った. 調査期間は平成 25 年 7 月から 12 月である. 2. フットケア外来の組織分析 1の結果を踏まえてフットケア外来の組織分析をした. フットケア外来の組織分析には, 広く環境を分析することを基礎として組織内部の能力である組織の強み 弱みと外部環境の機会 脅威を調和させ, 適合させて戦略を形成するという SWOT 分析 (Strengths and Weaknesses and Opportunities and Threats Analysis) とクロス SWOT 分析を用いた. 糖尿病看護認定看護師と CDEJ, 外来看護師長の 3 名で SWOT 分析及びクロス SWOT 分析を行った. なお,SWOT 分析 クロス SWOT 分析の手法において, 研究者および共同研究者が含まれている. SWOT 分析とは,S: 強み (Strengths),W: 弱み (Weaknesses),O: 機会 (Opportunities),T: 脅威 (Threats) の4つの切り口で, 企業とそれを取り巻く経営環境を整理する戦略的なフレームワークであり, 課題整理において有用性の高い方法である. 分析にあたっては, 原 (2014) を基に SWOT 分析 クロス SWOT 分析方法を学習し,SWOT 分析の枠組みに付箋を貼付する方法によりフットケア外来における組織の課題を整理した. 次に, クロス SWOT 分析の枠組みを用いて組織分析を行い,( 強み 好機 ),( 弱み 好機 ),( 強み 脅威 ),( 弱み 脅威 ) の視点で課題を抽出した. 調査期間は, 平成 26 年 1 月から3 月であった. 3. 倫理的配慮本研究の実施にあたり, 研究者が所属する A 病院看護部倫理委員会の審査 承認を得て実施した. データ収集において個人が特定できない表記とした. Ⅳ. 結果 1. 内科外来受診者の推移内科外来の糖尿病受診者数 ( 透析患者含 ) は, 平成 21 年度は 8,348 名であったが年々減少し,5 年間の平均は 7,388 名であった. 糖尿病合併症管理料算定延人数は, 平成 23 年度から減少し,5 年間の平均は 262 Ann. Bull. Niigata Coll. Nurs. Vol.7, 2018 17

武田織枝他 表 1 糖尿病フットケア外来受診者の実態 ( 人 ) 項目 年 H21 H22 H23 H24 H25 合計平均 DM 患者数 8,348 7,909 7,078 6,906 6,700 36,941 7,388 DM 合併症管理料算定者延数 310 318 244 198 238 1,308 262 下肢切断術前 1 か月以内の紹介患者数 6 7 2 2 2 19 4 DM 下肢切断患者数 8 9 6 7 6 36 7 DM 下肢切断患者 36 名の内訳 性別男性 24(66.7%), 女性 12(33.3%) 年齢 下肢切断の原因疾患 40 歳代 1( 2.8%),50 歳代 5(13.9%), 60 歳代 7(19.4%),70 歳代 11(30.6%), 80 歳代 11(30.6%),90 歳代 1( 2.8%) PAD25(69.4%), 骨髄炎 7(19.4%), 外傷性壊疽 2(5.6%), 術後感染症 1(2.8%), 蜂窩織炎 1(2.8%) 透析患者数透析患者 14(38.9%), その他 22(61.1%) 名であり, 糖尿病受診者数の3 割であった. 2. フットケア外来受診者の実態 5 年間の糖尿病下肢切断者の人数は 36 名であり, 男性 24 名 (66.7%), 女性 12 名 (33.3%),60 歳代 ~ 80 歳代が8 割を占め, 透析患者は 14 名 (38.9%) であった. 下肢切断患者の4 割が透析患者であり, 下肢切断の原因疾患では PAD が 25 名 (69.4%) で最も多かった.A 病院の患者でフットケア外来にかかり下肢切断となった患者は3 名 (8.3%) であり, この3 名は下肢切断後もフットケア外来を継続受診していた. 診療所からの紹介で下肢切断目的で A 病院に来院した患者は 31 名 (86.1%) で, うち 19 名 (52.8%) は下肢切断術前 1ヵ月以内に診療所から紹介された患者であった. 下肢切断目的で紹介された患者はかかりつけ医に戻り, 切断後にフットケア外来につながった患者は2 名であった. 3. フットケア外来組織の現状分析 1)SWOT 分析結果 ( 表 2) (1)Strengths: フットケア外来の強み強みとしては, 糖尿病フットケア外来があり, フットケア指導の場所がある, 糖尿病合併症管理料を算定できる看護師がいる など6つがあげられた. (2)Weaknesses: フットケア外来の弱み弱みとしては, フットケア外来対象患者の選定方法が基準化されておらず, 該当患者の発見が遅れている, 外来スタッフの知識不足も該当患者の発見の遅れに繋がる, フットケアは実施しているが, 全体の患者に実施していない など5つがあげられた. (3)Opportunities: フットケア外来の好機好機としては, 平成 26 年に看護外来の設備計画がある 平成 26 年に糖尿病重症化予防 ( フットケア ) 研修に他の看護師が参加予定である など6つがあげられた. (4)Threats: フットケア外来の脅威脅威としては, 病棟業務 7 対 1 体制に伴い夜勤可能な看護師の外来から病棟への部署異動により, 外来看護師のマンパワー不足になる など4つがあげられた. 2) クロス SWOT 分析結果 ( 表 3) (1)( 強み 好機 ) : 強み をさらに強化 積極的戦力 積極的戦力としては, 糖尿病合併症管理料算定のできる2 名の看護師が中心となりフットケア外来の拡充の検討する 看護師長と副看護師長と業務の調整 18 新潟県立看護大学紀要第 7 巻 (2018)

表 2 フットケア外来組織の現状分析 :SWOT 分析内部環境外部環境糖尿病合併症による下肢切断患者の実態から導かれた A 病院フットケア外来の課題 Strengths: フットケア外来の強み 糖尿病フットケア外来があり, フットケア指導の場所がある. 糖尿病合併症管理料を算定できる看護師がいる. 担当 Ns は, 他の業務との関係を整理すればより沢山の患者のフットケアができる. 医師の協力や代謝内科 循環器内科 皮膚科 形成外科 整形外科 透析室との連携が取れている. 多角的な視点から患者を観察することができ, チーム力アップが図られる. 糖尿病看護認定看護師 CDEJ 資格を持つスタッフが担当している. その看護師達は糖尿病療養指導, 糖尿病透析予防指導の経験がある. Weaknesses: フットケア外来の弱み フットケア外来対象患者の選定方法が基準化されておらず, 該当患者の発見が遅れている. 外来スタッフの知識不足も該当患者の発見の遅れに繋がる. フットケアは実施しているが, 全体の患者に実施していない. 足病変ハイリスク患者や直ちにケアが必要な患者のニーズに応えられていない. まだまだ代謝内科 循環器内科 皮膚科 形成外科との連携が不足している. Opportunities: フットケア外来の好機 H26 年に看護外来の設備計画がある. H26 年に糖尿病重症化予防 ( フットケア ) 研修に他の看護師が参加予定である. 糖尿病患者の増加により患者のニーズがある. 糖尿病合併症管理料算定の施設基準に該当している. 糖尿病看護認定看護師 WOC 認定看護師 感染管理認定看護師がいる.CDEJ が 16 名いる. 糖尿病専門医がいる. Threats: フットケア外来の脅威 病棟業務 7 対 1 体制に伴い夜勤可能な看護師の外来から病棟への部署異動により, 外来看護師のマンパワー不足になる. 院内でフットケアの必要性が十分認識されていない. 外来での重症患者の増加により, 一層多忙になる事が予想される. ハイリスク要因をもつ患者が増加することにより, 下肢切断する患者が増加する. 表 3 フットケア外来組織の現状分析 : クロス SWOT ( 強み 好機 ) 糖尿病合併症管理料算定のできる 2 名の看護師が中心となりフットケア外来の拡充の検討する. 看護師長と副看護師長と業務の調整を実施し, フットケアの看護基準 手順の見直しを実施する. 分析好機 フットケアに必要な器具の購入を請求する. 糖尿病合併症管理料の算定ができるように, 転勤してきた医師の届け出が円滑に行うよう医師と医事課に依頼する. 病院経営に貢献でき, 期待される機会を捉えることでスタッフのモチベーションが向上する. ( 強み 脅威 ) 皮膚排泄ケア認定看護師と協働, 循環器内科 皮膚科 形成外科の医師と協働の方法を検討する場を持つ. CDEJの育成 糖尿病合併症管理料算定研修を啓発する. 脅 糖尿病合併症管理料の算定を増やし, 成果を病院にア威ピールしていく. 看護業務整理を行い, 外来の人員増を働きかける. フットケア勉強会を院内で開催する. 看護師の部署異動に備え, 複数の人材育成計画を立案する. ( 弱み 好機 ) 対象の選定方法を担当看護師と医師で検討し, 診察補助看護師に依頼する. 担当看護師は, 糖尿病合併症管理料算定できる 5 名のスタッフに輪番制で任せていく. 該当の診療科医師と実践例での相談を通じてチーム医療の検討の機会を作る. フットケア以外の業務は他のスタッフに任せていく. ( 弱み 脅威 ) 事例検討会や学習会を通じて, フットケアの必要性を高める風土を作る. 糖尿病合併症管理料の算定を増やして, 成果を病院にアピールしていく. 部署の足病変の重症例の検討会を通じて看護師が行うフットケアを考える. 創傷を持つ患者は皮膚排泄ケア認定看護師とフットケアを提供し, 患者と医師から信頼を得ていく対策をとる. 事務職との業務内容の検討する. Ann. Bull. Niigata Coll. Nurs. Vol.7, 2018 19

武田織枝他 を実施し, フットケアの看護基準 手順の見直しを実施する など5つがあげられた. (2)( 強み 脅威 ): 新しい展開の必要性, 可能性パターン新しい展開の必要性としては, 皮膚排泄ケア認定看護師と協働, 循環器内科 皮膚科 形成外科の医師と協働の方法を検討する場を持つ CDEJ の育成 糖尿病合併症管理料算定研修を啓発する など6つがあげられた. (3)( 弱み 好機 ): 弱み克服策 弱み克服策としては, 対象の選定方法を担当看護師と医師で検討し, 診察補助看護師に依頼する など 4つがあげられた. (4)( 弱み 脅威 ): 最悪事態回避策 最悪事態回避策としては, 事例検討会や学習会を通じて, フットケアの必要性を高める風土を作る 糖尿病合併症管理料の算定を増やし, 成果を病院にアピールしていく など5つがあげられた. Ⅴ. 考察 受診者調査の実態から明らかになったフットケア外来受診者の重症化の課題とそれを踏まえてフットケア外来の充実化の課題に焦点をあてて述べる. 1. フットケア外来受診者の実態 A 病院に通院する糖尿病患者数は年々減少しており, 診療所で治療する患者が増えていることが推察される.A 病院の5 年間の糖尿病合併症から下肢切断に至った患者は 36 名であり, 下肢切断の原因疾患で最も多かったのは PAD で7 割を占めていた. 愛甲ら (2016) は, 透析患者への PAD リスク分類によるフットケア介入は下肢潰瘍発生を減少させることを報告している.A 病院においては, 下肢切断の4 割が透析患者であることから, 今後は透析室や地域の透析施設と連携しながら,PAD リスク分類を用いて透析患者の PAD を早期発見し, フットケア介入していく必要があると考える. 一方, 下肢切断患者の5 割は, 下肢切断術前 1ヵ月以内に診療所から紹介された患者であった. 下肢切断目的で紹介された患者で切断後にフットケア外来につながった2 名の患者は, 糖尿病看護認定看護師に退院指導として足のセルフケア指導の依頼があり, 介入したことがきっかけで現在もフットケア外来に通院している. 病棟と外来の継続した連携が必要である. 柿宇土 (2015) が指摘するように, 診療所においては足のセルフケアが十分に実施できない状況があり, セルフケア不足の患者が多いことが考え られる.A 病院の看護師が地域連携室を通し, 地域医療機関との連携を図ることで, 患者の足病変への予防的なセルフケア教育が可能であると考えられる.A 病院において退院時のセルフケア指導を充実させることやフットケア外来継続など病診連携について検討することが課題である. 2. フットケア外来の充実に向けた組織の課題 A 病院フットケア外来受診者は, 内科外来糖尿病受診者数の3 割であり, フットケア外来通院者から3 名の切断者がいたことから, フットケア外来患者の重症化予防が重要であり,SWOT 分析の結果, フットケア外来においてはハイリスク者の発見の遅れが課題であることがわかった. 平成 26 年度に看護外来の設備計画があることから, フットケア外来の看護基準を見直し外来の拡充を検討し, フットケア外来を担う2 名の看護師が中心となりフットケアのマニュアルや手順を見直す必要がある. フットケア外来では, 糖尿病重症化予防指導件数の増加から, 外来業務量増加に繋がることが考えられる. 数間 (2017) は, 看護外来などのシステム作りの前提は, 各医療提供施設がそれぞれの地域において果たす役割と理念に基づき, 看護師が施設管理者へ働きかけることであると述べている.A 病院においても役割と理念に基づき看護師が, 外来看護業務の整理を行い, 看護外来の人員増を外来看護師長と副看護師長に相談していく必要がある. 山口ら (2017) は, 糖尿病重症化予防 ( フットケア ) 研修を受講する看護師のフットケアへの既修得レベルはまちまちであり, 診療報酬算定要件のフットケア研修を受けるまでにトレーニングを行い, その能力評価を臨床で行う必要性があると述べている.A 病院においてもフットケア担当看護師育成計画を立案し, フットケア学習会や事例検討会などの職場内教育に加え, 糖尿病合併症管理料算定研修受講を勧めていく必要があると考える. Ⅵ. 結論 A 病院の5 年間の糖尿病合併症から下肢切断に至った患者は 36 名であり,60 歳代 ~ 80 歳代が8 割を占め, 下肢切断患者の4 割が透析患者であった. 下肢切断の原因疾患で最も多かったのは PAD で7 割を占めていた. 今後の課題として, 下肢切断術後の退院時のセルフケア指導を充実させることや, フットケア外来に繋げることである. そして,B 地域の病診連携について検討する必要があることが示唆された. フットケア外来の充実に向けた組織の課題として, 足病変の重症化 20 新潟県立看護大学紀要第 7 巻 (2018)

糖尿病合併症による下肢切断患者の実態から導かれた A 病院フットケア外来の課題 予防のために, 糖尿病フットケア外来マニュアルを見直し担当看護師育成プログラムを構築する必要性が示唆された. Ⅶ. 利益相反について 本研究の利益相反に相当する事項はない. 謝辞 本研究の調査に協力くださいました施設長並びに職員の皆様に深く感謝申し上げます. 本研究論文の作成にあたりご指導いただきました新潟県立看護大学平澤則子教授に深く感謝いたします. 文献 愛甲美穂, 日高寿美, 石岡邦啓, 他 (2016): 透析患者における末梢動脈疾患 -リスク分類( 鎌倉分類 ) を用いたフットケア介入による重症下肢虚血進展防止に対する有用性 -, 透析会誌,49(3),219-224. 原玲子 (2014): 続 成果の見える病棟目標の立て方スタッフのやる気を引き出す目標管理の実践 評価ワークブック続 成果のみえる病棟目標の立て方, 日本看護協会出版会, 東京. 本田育美, 大徳真珠子, 藤原優子, 他 (2006): 糖尿病性足病変の危険因子指標に対する, 看護師による足のアセスメントの信頼性に対する検討, 日本糖尿病教育 看護学会誌,10(2),115-121. 柿宇土敦子 (2015): 訪問看護師との連携による在宅に繋げるフットケア支援体制セルフケア能力の低い患者の在宅療養移行期のフットケア支援を通して, 静岡赤十字病院研究報,35(1),110-114. 数間恵子 (2017):The 外来看護時代を超えて求められる患者支援,155-160, 日本看護協会出版社, 東京. 日本糖尿病学会 (2013): 科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 2013,130, 南江堂, 東京. 日本糖尿病教育 看護学会 (2013): 糖尿病フットケア技術第 3 版, 日本看護協会出版会, 東京. 瀬戸奈津子, 和田幹子 (2008): わが国のフットケアの現状と課題 - 社団法人日本糖尿病学会認定教育施設の実態調査より-, 糖尿病,51(4),347-356. 山口曜子, 村内千代, 横田佳世, 他 (2017): 糖尿病看護に従事する看護師の予防的フットケアに関する調査 - 糖尿病専門施設において-, 糖尿病,60(3), 229-236. Ann. Bull. Niigata Coll. Nurs. Vol.7, 2018 21