第 5 学年理科 植物の成長 指導者西田幸子 梶本沙織 学年組第 5 学年 2 組 児童数 31 名 本校で育てる資質 能力との関連 課題発見 解決力, 積極性, 耐える力場所第 1 理科室 1 単元について 単元観 本単元は, 植物の成長の様子について興味 関心をもって追究する活動を通して, 条件を制御して調べる能力を育てるとともに, 植物の成長についての理解を図り, 生命を尊重する態度を育て, 植物の成長とその条件についての見方や考え方をもつことができるようにすることがねらいである 植物の成長には, 発芽に必要な水, 空気, 適当な温度に加えて, 日光と肥料が関係する 本単元では, これらの条件について, 適した場合とそうでない場合を設定するなど条件を制御しながら育て, 両者の成長の様子を比較しながら調べることを通して, 植物の成長が日光や肥料などに関係することをとらえさえることが重要である また, 植物の成長に関係する要因を絞っていく過程や観察 実験の結果を基に考察する過程において, 根拠と判断のスキルを高めることが大切である 植物は, 身近な生命であるだけでなく, 私たちの食を支える大切な生命でもある そのため, 学級活動や家庭科等と関連させて本単元を構成することで, 植物の成長を興味や関心, 必要感をもって学ばせることができるとともに, 学習の成果と日常生活との関連を図り, 植物の成長について実感を伴って理解させることができる さらに, 児童に生命の連続性や人と植物とのつながりを一層感じさせ, 生命を尊重しようとする態度を育むことができると考える 児童観 本学級の児童は, 自然の事象に対して驚きや疑問をもち, たぶんこうではないか と予想して実験や観察に取り組もうとする また, 理科で学習したことが他の学習や普段の生活に役立つと考えており, 学習したことに関連する事象や学習したことを活用して考える場面を前向きに受け止め, 楽しむことができる 生き物に興味 関心の高い児童が多く, 理科における植物の栽培や動物の飼育に熱心である 前単元 植物の発芽 において, 児童は初めて条件を制御しながら調べることを学んだ 単元末アンケートによると,89% の児童が条件に注意しながら根気よく植物の世話をしたり観察したりすることができたと答えており,96% の児童は今後の実験において条件を制御して計画できそうだと感じている その反面, 実験結果を基に自分の考えを説明したり結論を導き出したりすることに困難さを感じている児童が 48% いる 55% の児童は根拠をもって考えたり説明したりすることを難しいと感じており, 事実と自分の考えを区別して捉えたり事実を関係付けて考えたりすることに課題があると思われる また, 38% の児童は自分の考えを話すことに抵抗をもっており, 話合いによって考えを深めることが難しい実態がある 指導観 指導にあたっては, 単元導入時に, 前単元で発芽させたインゲンマメを提示し, その成長が芳しくないことに気付きや疑問をもたせ, 課題を設定する そして, 仮説を立てる際に, 前学年までに栽培した植物への世話や栽培方法を指導してくださった地域の方の言葉などを想起させ, 自分が植物に何をしたか, それによってどのように植物が成長したか を根拠として植物の成長にかかわる要因を考えさせる 条件を制御した実験計画の作成にあたっては, 児童が自ら計画できるように, 植物の成長にかかわる複数の要因を 1 つずつ仮説として文章化するとともに, 前単元と同様の実験計画表を用いる 植物の成長を記録する際には, 栽培 観察の経験から, 数値化できる葉の数や草丈などの視点, 数値化できない葉の色などの視点に気付かせ, その視点を基に植物の成長を観察できるようにする また, 客観的に植物の成長をとらえたり考察したりできるように, グループ学習を積極的に取り入れ, 話し合ったり互いに確認したりさせる 単元末においては, 野菜を育てる活動を通して, 児童が植物の発芽や成長の条件を実感を伴って理解
できるようにする 野菜を学年園やプランターで栽培する計画を立てさせる際には, 平成 27 年度全国学力 学習状況調査 2(5) に取り組ませ, 前学年までに学習した植物の成長にかかわる知識や経験も活用して考える必要があることに気付かせる 実際に野菜を育てる活動に取り組ませることにより, 知識や経験を活かせる自分に自信をもたせたり理科を学ぶことの有用性を一層感じさせたりできると考える 2 単元目標及び内容植物の発芽から結実までの過程を条件に目を向けながら調べ, 見いだした問題を計画的に追究する活動を通して, 生命を尊重する態度を育てるとともに, 生命の連続性についての見方や考え方を養う 植物を育て, 植物の成長の様子を調べ, 植物の成長とその条件についての考えをもつことができるようにする ウ植物の成長には, 日光や肥料などが関係していること 小学校学習指導要領理科第 5 学年内容 B(1) 3 内容の構成と単元の系統性生命生命の構造と機能生物の多様性と共通性生命の連続性生物と環境のかかわり 3 年 昆虫と植物 3 年 身近な自然の観察 4 年 人の体のつくりと運動 4 年 季節と生物 6 年 人の体のつくりと働き 6 年 植物の養分と水の通り道 5 年 植物の発芽, 成長, 結実 5 年 動物の誕生 6 年 植物と環境 4 単元の評価規準自然事象への関心 意欲 態度 1 植物の成長の様子に興味 関心をもち, 自らその変化にかかわる条件を調べようとしている 科学的な思考 表現 1 植物の成長について予想や仮説をもち, 条件に着目して観察や実験を計画し, 表現している 2 植物の成長とその変化にかかわる条件を関係づけて考察し, 自分の考えを表現している 観察 実験の技能 1 植物の成長とその変化にかかわる条件について調べ, その過程や結果を記録している 自然事象についての知識 理解 1 植物の成長には, 日光や肥料などが関係していることを理解している 5 本校で育てる資質 能力との関連植物が成長したり枯れてしまったりすることに対する疑問や野菜を大きく育てたいという願いをもち, 植物の成長について課題を設定する 課題発見 解決力植物の成長について予想や仮説を立て, 実験 観察によって確証 反証しながら追究し, 自らの課題を解決する 野菜の栽培や植物の成長にかかわる課題解決の見通しをもち, 自ら進んで積極性考えたり友達と話し合ったりしながら学習する 実験の条件を違えないように実験したり, 植物の成長を観察したりしなが耐える力ら, 最後まで粘り強く実験をやり遂げ, 結果を得る
6 指導計画全 7 時間 ( 本時 6/7) 次時 他教科との関連 過程 課題設定 学習活動 家庭科 自分たちで野菜を育て, 育てた野菜をゆでて食べよう 学級活動 学年園で野菜を育てよう 願いや問いをもつ 野菜を上手に栽培し, たくさん収穫したい 学年園やプランターで野菜を育てるコツは何だろうか 自分で野菜を育てて, その野菜を調理して食べましょう ホウレンソウや枝豆なら, ゆでたり炒めたりして簡単に調理できるね トマト, ダイコンを育てた経験を活かせば上手に栽培できるかな 違う種類の野菜だし, 種子から育てるのは初めてよ 栽培のコツは同じかしら 評価育てたい資質 関考技知評価規準能力との関連 課題発見 解決力 一 前単元 1 まとめ 課題設定 植物の種子が発芽するためには, 何が必要なのだろうか 種子の発芽の要因を見いだし, 条件を制御しながら発芽の条件を調べる 植物の種子が発芽するためには, 水, 空気, 適当な温度が必要だと言える 事象に出合う 前単元 植物の発芽 で発芽した植物の成長の様子を観察し, 植物の成長の悪さに驚きや疑問をもつ 成長の良い植物と悪い植物を見て, 植物の成長に必要な条件について疑問をもつ 課題 植物が発芽した後, 大きく成長するためには, 何が必要なのだろうか これは 2000 年の時を越えて発芽した植物, これは春一斉に発芽する植物の様子よ 種子には春が来たことが分かるのかな 2000 年眠っていた種子は, 何がきっかけで発芽したのだろう 日光が好きなのかしら 植物の種子を発芽させるためには, 水, 空気, 適当な温度の条件を満たす必要があるのね 発芽したインゲンマメはどうなっているかな 大変 ヒョロヒョロになってしまったよ 毎日水やりをしていたのに, どうしてだろう 何が足りなかったのかな もやしみたいに茎がやせ細っているね 課題発見 解決力 耐える力積極性 課題発見 解決力 関 1 課題発見 解決力 2 仮説 1 植物が大きく成長するためには, 日光が必要だろう 2 植物が大きく成長するためには, 肥料が必要だろう この苗, 窓に向かって斜めにのびているよ 肥料を与える必要があるのかな 考 1 積極性
3 4 5 6 本時 情報収集 整理分析 情報収集 整理分析 実験 1 日光が必要かどうかを調べる 日光に当てる場合と当てない場合の植物の成長を調べる 考察 1 結果を整理し, 日光と植物の成長の関係を考える 結論 1 植物が発芽した後, 大きく成長していくためには, 日光に当たることが必要だと言える 実験 2 肥料が必要かどうかを調べる 肥料を与える場合と与えない場合の植物の成長を調べる 考察 2 結果を整理し, 肥料と植物の成長の関係を考える 結論 2 植物が発芽した後, 大きく成長していくためには, 肥料が必要であると言える 発芽の実験の時のように調べたい条件を変えて実験すればいいね 葉の色が違うね A の方が濃いよ 植物の成長に, 日光や肥料が必要かどうかを実験で確かめよう 植物の何を調べたら, 植物 A と B の成長を比べることができるかな 葉や茎の色や数, 大きさなどを調べて比べたらどうかな 葉の大きさや茎の太さも違うよ B より A の方が大きいし, 太い 発芽と違って, 植物の成長は単純に比べられないね 技 1 耐える力 技 2 積極性 考 2 技 1 耐える力 考 2 積極性 二 まとめ 表現 7 まとめ 表現 結論 植物が発芽した後, 大きく成長していくためには, 日光や肥料が必要であると言える 願いや問いの解決 野菜を上手に栽培するためには, 日あたりの良いところに植え, 水や肥料を与えながら育てるとよい 評価問題を解く 平成 27 年度全国学力 学習状況調査 2(5) に取り組む どの実験でも B より A の方がよく成長していたよ 植物が 大きく成長していくためには, 日光や肥料が必要なのね 野菜を畑やプランターで栽培するコツは何かな 植物の成長には日光が必要だから, 日あたりのよさを考えて植えることかな 草丈の高い植物が陽をさえぎらないようにする必要もあるね 知 1 考 2 課題発見 解決力積極性 知 1
実行 野菜づくり 野菜を高屋西小学校の学年園で栽培するには, どうしたらよいかな 課題発見 解決力積極性 学級活動 数種類の野菜を学年園やプランターに植えて栽培し, たくさん収穫しよう 野菜の草丈や学年園の日あたりを考えながら, 野菜を植える計画を立てる 野菜を植えて栽培する 学年園の日あたりは良いのかしら 育てたい植物の草丈や発芽に適切な温度も調べないといけないね
7 本時の目標植物 A と植物 B を比較しながらそれらの成長と肥料の有無を関係づけて考察し, 自分の考えを表現することができる また, 植物の成長には, 日光や肥料が関係していることが分かる 科学的な思考 表現, 知識 [ 積極性 ] 8 本時の展開 (6/7 時間目 ) 学習活動 形態 1 課題や仮説を確認する 全体 指導上の留意事項 努力を要する状況と判断した児童への指導の手立て 評価規準 ( 評価方法 ) 課題植物が発芽した後, 大きく成長するためには, 何が必要なのだろうか 仮説 2 植物が大きく成長するためには, 肥料が必要だろう 課題や調べる条件を確認し, 学習の見通しをもたせる 2 植物を観察し, 実験 2 の結果を得る 葉の数, 色, 大きさ, 茎の太さ, 長さなどの視点で観察し, 記録する 肥料を与えた植物 A と与えなかった植物 B を比較しながら観察する 3 結果を交流する 全体 グループ 記録表に観察の視点を書き込ませ, 植物 A と植物 B を同じ視点で観察し, 記録できるようにする 植物の成長を客観的にとらえるために, 植物 A と植物 B の直接比較の結果や数値で記録させる 4 考察する (1) 仮説 2を検証する 1 肥料が必要かどうかを考える AはBより葉の数が2 枚多く, 茎の太さも太いので, AはBよりよく育っていると思う だから, 植物の成長には肥料が必要だと言える 葉を重ねてみると,A はBより大きい BよりAの葉がしげって見える 肥料を与えると, 植物の 成長がよくなると言える 2 結論をまとめる 植物の個体差を考慮しつつ, 植物の個人成長の傾向をつかませる グループ 結果を記録する表を工夫し, 児童が全体植物 Aと植物 Bを同じ観察の視点や植物全体の姿で比較しながら考えられるようにする 葉の数や草丈などの数値で比較できる結果に着目させて考えさせる 植物 Aが植物 Bよりもよく成長していると捉える根拠を挙げながら自分の考えを表現させる 自分の仮説を振り返ったり, 他のグループの結果と比較したりして, 考察を深めさせる 結論 2 植物が発芽した後, 大きく成長するためには, 肥料が必要である [ 積極性 ] 植物の成長と肥料の有無とを関係づけて考察し, 自分の考えを表現している 科学的な思考 2 ( ノートへの記述, 発言 ) (2) 植物の成長に必要な条件をまとめる 日光と肥料の両方が与えられた A の植物が一番よく成長している 肥料を与えて日光を当てなかった植物の成長は悪かった 肥料を与えなくても成長したけれど, あった方がよく成長した グループ 結論 1と結論 2を基に, 植物が大き全体く成長するのに何が必要かを考えさせる 実験結果から, 肥料と日光のどちらも必要なのかどうかを考えさせる 実験 1の植物 Bを日光に当てた結果を見せ, 植物の成長と日光の関係についての考えを深める
植物の成長には, 日光と肥料の両方があるとよいと思う 5 課題の結論を確認する 実験 2 の植物 B の結果から, 肥料がなくても植物が成長することに気付かせる 結論植物が発芽した後, 大きく成長するためには, 日光や肥料が必要である 植物は, 日光や肥料があると大きく成長すると言える 6 自らの問いに返る 野菜を上手に栽培し, たくさん収穫したい 学年園やプランターで野菜を育てるコツは何だろうか 学習したことをもとに, 野菜を育てることへの展望をもつ 9 板書計画 6/27 植物の成長 課題植物が発芽した後, 大きく成長するためには, 何が必要なのだろうか 結論植物が発芽した後, 大きく成長するためには, 日光や肥料が必要である 植物は, 日光や肥料があると大きく成長すると言える 仮説 1 植物が大きく成長するためには, 日光が必要だろう 2 植物が大きく成長するためには, 肥料が必要だろう 結論 1 植物が大きく成長するためには, 日光が必要である 結論 2 植物が大きく成長するためには, 肥料が必要である 実験 2 結果 2 A と B の成長の様子考察 葉の数 葉の大きさ A 肥料あり B 肥料なし A が 2 枚多い 重ねると A が大きい B は葉が小さめ 実験計画表 葉の色茎の長さ茎の太さ草丈 A は B より色が濃い 同じくらい A は詰まっている感じ 同じくらい A ががっしりして見える 同じくらい つぼみや花がついている