Microsoft Word - 雇用継続制度

Similar documents
2016年 弾丸メールセミナー № 33 雇用保険法 高年齢再就職給付金

今回の改正によってこの規定が廃止され 労使協定の基準を設けることで対象者を選別することができなくなり 希望者全員を再雇用しなければならなくなりました ただし 今回の改正には 一定の期間の経過措置が設けられております つまり 平成 25 年 4 月 1 日以降であっても直ちに希望者全員を 歳まで再雇用

問題の背景 高齢者を取り巻く状況の変化 少子高齢化の急速な進展 2015 年までの労働力人口の減少 厚生年金の支給開始年齢の段階的引き上げ 少なくとも 年金開始年齢までは働くことのできる 社会 制度づくり ( 企業への負担 ) 会社にとっての問題点 そしてベストな対策対策が必要に!! 2

Microsoft Word - "ç´ıå¿œçfl¨ docx

Microsoft Word - (溶け込み)【HP公表】マイナンバーQ&A (2)

事業活動の縮小に伴い雇用調整を行った事業主の方への給付金

再任用と年金加入の関係をまとめると次のようになる ( 都道府県によって勤務形態は異なる ) 再任用の勤務形態フルタイム勤務 3/4 1/2 週の勤務時間 38 時間 45 分 29 時間 19 時間 15 分 共済年金 厚生年金 (2016 年 9 月 30 日まで ) 加入する年金 (2015 年

<4D F736F F D20819C906C8E96984A96B1835A837E B C8E3693FA816A8E518D6C8E9197BF E646F63>

目次 問 1 労使合意による適用拡大とはどのようなものか 問 2 労使合意に必要となる働いている方々の 2 分の 1 以上の同意とは具体的にどのようなものか 問 3 事業主の合意は必要か 問 4 短時間労働者が 1 名でも社会保険の加入を希望した場合 合意に向けての労使の協議は必ず行う必要があるのか

電子申請ご利用のおすすめ 事業主が雇用する労働者に関して雇用保険関係手続きを行う場合 各種届出書を公共職業安定所長に提出する必要があります 提出方法には ハローワーク窓口に書類を提出していただく方法に加えて インターネットによる 電子申請 があります ぜひ電子申請をご利用ください 電子申請のメリット

( 第 1 段階 ) 報酬比例部分はそのまま定額部分を段階的に廃止 2 年ごとに 1 歳ずつ定額部分が消える ( 女性はすべてプラス 5 年 ) 報酬比例部分 定額部分 S16 S16 S18 S20 S22 4/1 前 4/2 ~4/2 4/2 4/2 4/2 ~~~

< F9197DE88EA979782C982C282A282C42E786C7378>

< ED0984A8E6D8F898B CD DB8CAF2E786C7378>

2016年 弾丸メールセミナー № 36回 雇用保険法 育児休業給付金

一元化後における退職共済年金および老齢厚生年金の在職支給停止 65 歳未満の場合の年金の支給停止計算方法 ( 低在老 ) 試算表 1 年金と賃金の合算額が 28 万を超えた場合に 年金額の支給停止 ( これを 低在老 といいます ) が行われます 年金と賃金の合算額 (c) が 28 万以下の場合は

スライド 1

Microsoft PowerPoint - 020_改正高齢法リーフレット<240914_雇用指導・

平均賃金を支払わなければならない この予告日数は平均賃金を支払った日数分短縮される ( 労基法 20 条 ) 3 試用期間中の労働者であっても 14 日を超えて雇用された場合は 上記 2の予告の手続きが必要である ( 労基法 21 条 ) 4 例外として 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の

電子申請ご利用のおすすめ 事業主が雇用する労働者に関して雇用保険関係手続きを行う場合 各種届出書を公共職業安定所長に提出する必要があります 提出方法には ハローワーク窓口に書類を提出していただく方法に加えて インターネットによる 電子申請 があります ぜひ電子申請をご利用ください 電子申請のメリット

<4D F736F F D208DA1944E348C8E95AA82A982E782CC944E8BE08A7A82C982C282A282C FA967B944E8BE08B408D5C816A2E646F6378>

1) 最初のものと思われるバージョン ( プロパティの更新日付は 2018 年 3 月 12 日 ) 雇用保険手続を行う皆様へ雇用保険手続の際には必ずマイナンバーの届出をお願いします平成 30 年 5 月以降 マイナンバーの記載が必要な届出等 ( ) についてマイナンバーの記載がない場合には補正のた

Microsoft PowerPoint - 事業主向け詳細資料「マイナンバー制度の導入に向けて(雇用保険業務)~事業主の皆様へ~」

無期契約職員就業規則

JILPT 高齢者の雇用 採用に関する調査結果 (2008) の概要 高齢者の雇用 採用に関する調査 (2008 年 8-9 月実施 ) 高年齢者雇用関連の法制度が整備される中で 企業の高齢者の雇用や採用に関する最近の取組等を把握 全国の常用雇用 50 人以上の民営企業 社を対象 有効回

目次 1. 被保険者資格の取得要件 ( 総論 ) 問 1 被用者保険の適用拡大の実施により 厚生年金保険 健康保険の被保険者資格の取得要件はどのようになるのか 問 2 施行日以降は 4 分の 3 基準をどのように判断するのか 問 2 の 2 就業規則や雇用契約書等で定められた所定労働時間又は所定労働

Microsoft Word - 表紙.doc

2 継続雇用 の状況 (1) 定年制 の採用状況 定年制を採用している と回答している企業は 95.9% である 主要事業内容別では 飲食店 宿泊業 (75.8%) で 正社員数別では 29 人以下 (86.0%) 高年齢者比率別では 71% 以上 ( 85.6%) で定年制の採用率がやや低い また

<4D F736F F D D87817A8DDD F189FC92E893C197E192CA926D82CC88EA959489FC90B32E646F6378>

協力をお願いします 個人番号が未届の者に係る各種届出等については 返戻し 記載 添付いただいた上で届出等を受理します Q4 30 年 5 月から個人番号の記載がない場合に届出等を返戻する法的根拠は何か Q2の手続ごとの条文を根拠として 届出等書類の記載に不備があるものとして取り扱うものです Q5 番

ⅰ. キーワードや法令を知る 01 処遇検討の背景 少子高齢化が急速に進展する中 労働力人口の減少に対応し 経済と社会を発展させるため 高年齢者をはじめ働くことができる全ての人が社会を支える全員参加型社会の実現が求められております また 現在の年金制度に基づき平成 25 年度から特別支給の老齢厚生年

2. 様式の改正については平成 25 年 4 月 1 日付けで行う予定としているが 4 月以降も当面の間は改正前の様式を引き続きご利用できること 3. 改正後の新様式で届出を行う場合の記載方法等については別添 1 改正前の様式で届出を行う場合の記載方法については別添 2のとおりリーフレットを作成した

均衡待遇・正社員化推進奨励金 支給申請の手引き

< F31322D335F81798ED0984A8E6D817A944E8BE08D8E959E814593BE>

調査等 何らかの形でその者が雇用期間の更新を希望する旨を確認することに代えることができる ( 雇用期間の末日 ) 第 6 条第 4 条及び第 5 条の雇用期間の末日は 再雇用された者が満 65 歳に達する日以後における最初の3 月 31 日以前でなければならない 2 削除 3 削除 ( 人事異動通知

「高年齢者雇用安定法《のポイント

年金・社会保険セミナー

第 50 号 2016 年 10 月 4 日 企業年金業務室 短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大及び厚生年金の標準報酬月額の下限拡大に伴う厚生年金基金への影響について 平成 28 年 9 月 30 日付で厚生労働省年金局から発出された通知 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能

平成 28 年 9 月度実施実技試験 損保顧客資産相談業務 139

5. 退職一時金に係る就業規則のとりまとめ 退職一時金に係る就業規則の提供があった企業について 退職一時金制度の状況をとりまとめた なお 提供された就業規則を分析し 単純に集計したものであり 母集団に復元するなどの統計的な処理は行っていない 退職一時金の支給要件における勤続年数 退職一時金を支給する

資料1 短時間労働者への私学共済の適用拡大について

8-1 雇用保険 雇用保険の適用基準 1 31 日以上引き続き雇用されることが見込まれること 31 日以上雇用が継続しないことが明確である場合を除き この要件に該当することとなります このため 例えば 次の場合には 雇用契約期間が31 日未満であっても 原則として 31 日以上の雇用が見込まれるもの

定していました 平成 25 年 4 月 1 日施行の 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律 では, 継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止について規定されていますが, 平成 25 年 4 月 1 日の改正法施行の際, 既にこの基準に基づく制度を設けている会社の選定基準につい

年金・社会保険セミナー

そのときになって困らないために リタイア前後の手続き編 厚生年金や国民年金の受給手続きは 年金事務所や市区町村役場の年金窓口で行います 共済年金加入期間のある人の手続きは 加入した共済組合です 加入していた年金制度 第 1 号被保険者期間だけの人国民年金だけ第 1 号被保険者期間だけの人 第 3 号

自動的に反映させないのは133 社 ( 支払原資を社内で準備している189 社の70.4%) で そのうち算定基礎は賃金改定とは連動しないのが123 社 (133 社の92.5%) となっている 製造業では 改定結果を算定基礎に自動的に反映させるのは26 社 ( 支払原資を社内で準備している103

4 2016雇用保険法 最終 

- 調査結果の概要 - 1. 改正高年齢者雇用安定法への対応について a. 定年を迎えた人材の雇用確保措置として 再雇用制度 導入企業は9 割超 定年を迎えた人材の雇用確保措置としては 再雇用制度 と回答した企業が90.3% となっています それに対し 勤務延長制度 と回答した企業は2.0% となっ

(1) 学校等の卒業証明書 (2) 生年月日を証明する書類 ( 免許証等公的機関が発行する証明書 なお 卒業証明書に生年月日が記載されている場合は 省略できる ) 3 要綱第 9 条第 2 項第 1 号イに該当する労働者を雇用した場合は 次の各号いずれかの書類を提出するものとする (1) 雇用保険受

例 3 男性医師 1 歳 配偶者産前休暇産後休暇復帰 復帰 今までは 配偶者がを取得している場合 を取得できませんでしたが 取得できるようになりました 職員は 当該子が 3 歳に達する日まで 病院助手等は 当該子が 1 歳 6か月に達する日までを取得することができます 職場復帰後の特に大変な時期に協

PowerPoint プレゼンテーション

伊丹市市民福祉金条例の一部を改正する条例(平成12年  伊丹市条例第  号)

平成 31 年 4 月 1 日から平成 34 年 3 月 31 日まで 63 歳平成 34 年 4 月 1 日から平成 37 年 3 月 31 日まで 64 歳 4 定年について 労働者の性別を理由として差別的取扱いをしてはなりません ( 均等法第 6 条 ) ( 退職 ) 第 48 条前条に定める

Microsoft Word - 就業規則対応.docx

9-1 退職のルール 職することは契約違反となります したがって 労働者は勝手に退職することはできません 就業規則に 契約期間途中であっても退職できる定めがある場合には それに従って退職できることになりますが 特段の定めがない場合には なるべく合意解約ができるように 十分話し合うことが大切です ただ

< F2D E93C195CA8C5F96F F582CC8F418BC682C9>

スライド 1

< F2D95DB95DB94AD91E D E78B782E6A74>

平成 27 年改正の概要 ( サマリー ) 一般労働者派遣事業 ( 許可制 ) 特定労働者派遣事業 ( 届出制 ) 26 業務 期間制限なし 26 業務以外 原則 1 年 意見聴取により最長 3 年まで 規定なし 規定なし 1. 許可制への統一 2. 派遣契約の期間制限について すべての労働者派遣事


はじめに 定年 は人生における大きな節目です 仕事をする 働く という観点からすれば ひとつの大きな目標 ( ゴール ) であり 定年前と定年後では そのライフスタイルも大きく変わってくることでしょう また 昨今の労働力人口の減少からも 国による 働き方改革 の実現に向けては 高齢者の就業促進も大き

Microsoft Word - T2-04-1_紙上Live_被保険者期間と届出_(13分)_

第 1 章育児休業 第 1 条 ( 対象者 ) 生後 1 年未満 ( 第 5 条による育児休業の場合は 1 歳 6 ヶ月 ) の子と同居し養育する従業員であって 休業後も引き続き勤務する意思のある者は 育児のための休業をすることができる ただし 日々雇用者 期間雇用者 ( 申出時点において雇用期間が

Microsoft Word - 様式第1号 キャリアアップ計画書 記入例

Q&A 集 Q1 社会保険等とは何か A1 社会保険等とは 健康保険 ( 協会けんぽ 健康保険組合等 ) 厚生年金保険 及び雇用保険をいいます Q2 国民健康保険組合に加入しているが 社会保険等未加入建設業者となるのか A2 法人や常時 5 人以上の従業員を使用する国民健康保険組合に加入している建設

3. 無期労働契約への転換後の労働条件無期労働契約に転換した後の職務 勤務地 賃金 労働時間等の労働条件は 労働協約 就業規則または個々の労働契約等に別段の定めがない限り 直前の有期労働契約と同一になるとされており 無期転換に当たって職務の内容などが変更されないにもかかわらず 無期転換後の労働条件を

(Microsoft Word - \215\304\214\331\227p\220E\210\365\213K\221\245.doc)

育児 介護休業規程 第 1 章 目的 第 1 条 ( 目的 ) 本規程は社員の育児 介護休業 育児 介護のための時間外労働および深夜業の制限並びに育児 介護短 時間勤務等に関する取り扱いについて定めるものである 第 2 章 育児休業制度 第 2 条 ( 育児休業の対象者 ) 1. 育児のために休業す

規定例 ( 育児 介護休業制度 ) 株式会社 と 労働組合は 育児 介護休業制度に関し 次 のとおり協定する ( 対象者 ) 育児休業の対象者は 生後満 歳に達しない子を養育するすべての従業員とする 2 介護休業の対象者は 介護を必要とする家族を持つすべての従業員とする 介護の対象となる家族の範囲は

A4 経営事項審査の受審状況により確認方法が異なります なお 適用除外は 労働者の就業形態等によって適用除外とならない場合もあることから 元請負人は 年金事務所等に適用除外となる要件を確認した上で判断してください 経営事項審査を受審している場合 有効期間にある経営規模等評価結果通知書総合評定値通知書

04 件数表280205(東京)

市報2016年3月号-10

介護保険・高齢者福祉ガイドブック

寝屋川市母子家庭等自立支援教育訓練給付金事業実施要綱 ( 目的 ) 第 1 条この要綱は 雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な教育訓練に係る講座 ( 以下 講座 という ) を受講する母子家庭の母 又は父子家庭の父に対し 母子及び父子並びに寡婦福祉法 ( 昭和 39 年法律第 129 号 以下

育児休業や 介護休業をする方を 経済的に支援します 育児休業給付の支給 介護休業給付の支給 育児休業等期間中の社会保険料 ( 健康保険 厚生年金保険 ) の免除 育児休業等終了後の社会保険料 ( 健康保険 厚生年金保険 ) の特例 3 歳未満の子を養育する期間についての年金額計算の特例 ( 厚生年金

Microsoft PowerPoint - 2の(別紙2)雇用形態に関わらない公正な待遇の確保【佐賀局版】

4-1 育児関連 育児休業の対象者 ( 第 5 条 第 6 条第 1 項 ) 育児休業は 男女労働者とも事業主に申し出ることにより取得することができます 対象となる労働者から育児休業の申し出があったときには 事業主は これを拒むことはできません ただし 日々雇用される労働者 は対象から除外されます

< F2D D8791CC817995D28F578CE B38CEB94BD8966>

スライド 1

他の所得による制限と雇用保険受給による年金の停止 公務員として再就職し厚生年金に加入された場合は 経過的職域加算額は全額停止となり 特別 ( 本来 ) 支給の老齢厚生年金の一部または全部に制限がかかることがあります なお 民間に再就職し厚生年金に加入された場合は 経過的職域加算額は全額支給されますが

みずほインサイト 政策 2013 年 2 月 20 日 希望者全員を 65 歳まで雇用義務化高齢者が活躍できる職場の創設と人材育成が課題 政策調査部上席主任研究員堀江奈保子 年 4 月 1 日に高年齢者雇用安

①公表資料本文【ワード軽量化版】11月8日手直し版【1025部長レク⑤後】平成30年61本文(元データあり・数値1004版)

( 様式第 1 号 ( 共通 )) 共通事項 1 キャリアアップ管理者 情報 ( 氏名 ): 役職 ( 配置日 ): 年月日 2 キャリアアップ管理者 の業務内容 ( 事業所情報欄 ) 3 事業主名 印 4 事業所住所 ( - ) 5 電話番号 ( ) - 6 担当者 7 企業全体で常時雇用する労働

Microsoft PowerPoint - 【HP公表】②マイナンバー制度説明資料(経団連資料反映)

スライド 0

に該当する者に支給されるものに限る ) 移転費及び 3の求職活動支援費の支給対象とすることとされた ( 第 56 条の3 第 1 項第 2 号及び同条第 2 項関係 ) 3 高年齢被保険者 ( 教育訓練を開始した日が高年齢被保険者でなくなった日から1 年以内にある者を含む ) について 教育訓練給付

【全文】就業規則(今井保育園H29.1.1)

短時間労働者の適用拡大 新しい 4 分の 3 基準 に満たない場合であっても 平成 28 年 10 月 1 日以降 次のすべての要件に該当した場合は 短時間労働者の適用拡大の対象となります 週労働時間 20 時間以上 勤務期間 1 年以上 月額賃金 8.8 万円以上 学生でない 従業員 501 人

CL.J Q.\.eps

Microsoft Word - 平成30年北海道胆振地方中東部を震源とする地震被害に伴う雇用保険の特別措置に関するQ&A.docx

介護保険・高齢者福祉ガイドブック

2909_0 概要

平成 30 年 1 月末の国民年金 厚生年金保険 ( 第 1 号 ) 及び福祉年金の受給者の 年金総額は 49 兆円であり 前年同月に比べて 6 千億円 (1.3%) 増加している 注. 厚生年金保険 ( 第 1 号 ) 受給 ( 権 ) 者の年金総額は 老齢給付及び遺族年金 ( 長期要件 ) につ

平成 30 年 2 月末の国民年金 厚生年金保険 ( 第 1 号 ) 及び福祉年金の受給者の 年金総額は 49 兆円であり 前年同月に比べて 7 千億円 (1.4%) 増加している 注. 厚生年金保険 ( 第 1 号 ) 受給 ( 権 ) 者の年金総額は 老齢給付及び遺族年金 ( 長期要件 ) につ

月号 Vol.68( 通巻 713 号 ) 発行所一般財団法人年金住宅福祉協会 東京都港区西新橋 TEL FAX

Microsoft PowerPoint - 【資料3-2】高年齢者の雇用・就業の現状と課題Ⅱ .pptx

2 障害厚生年金障害厚生年金は次の1~3の条件すべてに該当する方が受給できます 1 障害の原因となった病気やケガの初診日 ( 1) が 厚生年金保険の被保険者である期間にあること 2 障害の原因となった病気やケガによる障害の程度が 障害認定日 ( 2) に法令により定められている障害等級表 ( 3)

特例法による年金記録修正における想定問

R oumu news 制度開始直前に変更された雇用保険のマイナンバー取扱い 雇用保険情報 今年からいよいよマイナンバー制度が開始されました 制度スタートにあたり 通知カードの受取拒否者が多数出るなど 制度開始前から難航する様相を見せていましたが 雇用保険においても平成 27 年 12 月中旬 取扱

強制加入被保険者(法7) ケース1

の業務について派遣先が九の 1 に抵触することとなる最初の日 六派遣先への通知 1 派遣元事業主は 労働者派遣をするときは 当該労働者派遣に係る派遣労働者が九の 1の ( 二 ) の厚生労働省令で定める者であるか否かの別についても派遣先に通知しなければならないものとすること ( 第三十五条第一項関係

Transcription:

特定社会保険労務士 行政書士津田豊事務所 定年退職後 (60 歳以降 ) の雇用継続制度 関連法令と基礎的実務 特定社会保険労務士津田豊 2011/04/21 定年退職後に再雇用として働き続けてもらうことは 従前から行われている しかし 年金の支給開始年齢が引き上げられることに伴い 定年退職後の雇用継続措置を義務とされるに至っている こうした義務化に対し その根拠となる法令及び求められる諸手続きについて認識把握しておくことが必要である

定年退職後 (60 歳以降 ) の雇用継続制度 1 関連する法令 1 雇用対策法第 10 条 ( 募集及び採用における年齢にかかわりない均等な機会の確保 ) 2 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第 8 条 ( 定年を定める場合の年齢 ) 第 9 条 ( 高年齢者雇用確保措置 ) 3 雇用保険法第 10 条第 6 項第 1 号 ( 高年齢雇用継続給付 ) 4 厚生年金保険法附則第 8 条 ( 老齢厚生年金の特例 ) 第 11 条 ( 被保険者であるときの支給停止 ) 第 11 条の6( 高年齢雇用継続給付との調整 ) 5 労働基準法第 2 条 ( 労働条件の決定 ) 第 3 条 ( 均等待遇 ) 第 15 条 ( 労働条件の明示 ) 6 労働契約法第 4 条 ( 労働契約の内容の理解の促進 ) 7 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第 6 条 ( 労働条件に関する文書の交付等 ) 2 定年年齢を60 歳以上とすることの義務化と65 歳までの雇用確保措置上記 12の高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づき 定年制を 60 歳以上とすることの義務化と65 歳までの雇用確保措置について 平成 18 年 4 月 1 日から施行されています (1) 定年を定める場合の年齢事業主が雇用する労働者の定年を定める場合 定年年齢を 60 歳を下回ることとすることはできません ただし 高年齢者が従事することが困難であると認められる業務として厚生労働省令で定める業務に従事している労働者については この限りではありません (2) 高年齢者雇用確保措置 65 歳未満の定年の定めをしている事業主は 雇用する高年齢者の 65 歳までの安定した雇用を確保するため 次に掲げるいずれかの措置を講じなければなりません 1 当該定年の引き上げ 2 雇用継続制度 ( 現に雇用している高年齢者が希望するときは 当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度 ) の導入 3 当該定年の定めの廃止 2

なお 2 の雇用継続制度については 現在経過措置として 64 歳まで継続すること が義務とされていますが 上記 14 による老齢厚生年金の定額部分の支給が廃止され る平成 25 年 4 月 1 日以降は 65 歳までの雇用確保措置が義務となります (3) 高年齢者雇用継続措置の趣旨高年齢者雇用確保措置の趣旨は 労働者の意欲と能力に応じ 継続して働き続けることができる職場環境を整備することとされます すなわち 確保すべき雇用の形態は 必ずしも労働者の希望に合致した職種 労働条件による雇用を求めているものではなく 常用雇用のみならず 短時間勤務や隔日勤務など 多様な雇用形態を含むものとされます 実際に民間企業の約 9 割は 一律定年制を定めており 定年後は継続雇用制度のうち多様な雇用形態が可能な 再雇用 ( 嘱託 ) 制度 を導入している企業が約 8 割を占めています なお 法が求めているのは 定年の引き上げまたは廃止 あるいは 継続雇用制度 のいずれかの雇用確保措置の義務化であって 個々の労働者の 65 歳までの雇用確保の義務を課したものではありません ただし 現に雇用している高年齢者が定年後の就業を希望するときは 当該高年齢者を勤務延長や再雇用をすることなどの措置によって雇用を継続するようにしなければならないものとされています したがって 企業が必要としない者であっても 高年齢者が希望するときは雇用をしなければならないこととなります 3 募集及び採用における年齢にかかわりない均等な機会の確保雇用対策法第 10 条において 事業主は 同法施行規則第 1 条の3 第 1 項各号 ( 年齢制限することが認められる場合 ) に該当しないときは 労働者の募集及び採用についてその年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない と規定されています また 同法施行規則第 1 条の3 第 2 項では 事業主は 労働者の募集及び採用に当たっては 労働者がその年齢に関わりなく その有する能力を有効に発揮することができる職業を選択することを容易にするため 職務の内容 職務を遂行するために必要とされる労働者の適正 能力 経験 技能の程度その他労働者が応募するに当たり求められる事項をできる限り明示するものとする としています 労働基準法においては 年齢によって労働条件について差別的取扱をすることは禁止されていませんが 雇用の入口となる 労働者の募集及び採用 については 雇用対策法により 年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない こととなります 3

4 65 歳までの雇用確保策について定年制を定めている企業では 就業規則において 60 歳定年制 (60 歳に満たない定年制は無効とされる ) を定めているところですが 前記 2のとおり 雇用確保措置としての定めておかなければなりません 企業にとって 60 歳定年後も現役と同様に同じ職場で働き続けてほしいと考えられる者については良いのですが 老齢厚生年金の支給開始年齢の繰り下げに伴い 法律によって65 歳までの雇用維持を義務づけられることは 大きな負担ともなりかねません しかし 一方で今後の少子高齢化の急速な進展を考えると 女性と高年齢者 に人材を求めて行く必要もあると考えます (1) 要員管理と総額人件費管理終身雇用制が崩れてきたとはいえ 従来は定年退職による不足要員は学卒者の新規採用あるいは中途採用で充足してきたところです これに比較し 定年退職者を後 5 年間雇用するとなると 定年退職時の賃金のまま再雇用することは 人件費もかさみ ほとんど不可能です また 企業が必要ないと判断した者であっても 定年退職者が希望した場合には 再雇用しなければなりません 再雇用後の職務をどうするか 他の従業員の昇進 昇格との関係においても 重要な問題となります したがって 再雇用後の職務内容 再雇用者の適正 能力 経験 技能の程度に応じて個別に賃金を決めていくことが必要と考えます 賃金水準の目安の一つとして 再雇用後の基本給を定年退職時の一定水準 (60% あるいは70% とするなど ) とするなどのほか 新規学卒者の水準とし 役職ポストに応じた ( 必要とされる知識経験を有し活用し得る等を考慮 ) 諸手当を加味した賃金設定とするなどの考え方もあります (2) 多様な雇用形態の選択再雇用者によっては 自分のライフプランとの関係でフルタイムの勤務を希望せず ゆとりをもった働き方を希望する方もいらっしゃいます 本人の希望と企業として求める能力を勘案して 多様な働き方ができる職場環境をつくることも欠かせない視点です (3) 高年齢者雇用継続給付と老齢厚生年金との関係高年齢雇用継続給付も老齢厚生年金も個人の権利に属するものであり 事業主の立場からとやかく言うことではありませんが 企業が支払う賃金によってその支給が変更することとなります 4

高年齢雇用継続給付について言えば 再雇用後の賃金が 60 歳到達時の賃金の 61% のときに支給額が最大となるようです 再雇用後の賃金を決めるもう一つの目 安と言えます 5 労働者の視点による60 歳以降の働き方高年齢雇用継続給付と特別支給の老齢厚生年金の受給権を有する場合 これらの給付額は勤務先から受ける賃金との関係によって変動することとなります どのような働き方をするかは 60 歳以降のライフプランにとって重要な選択です (1) 高年齢雇用継続給付 60 歳以上 65 歳未満の雇用保険の被保険者であって 被保険者期間が 5 年以上である方が 60 歳到達時点に比べて各暦月の賃金額が75% 未満に低下した状態で働いているときに支給されます 高年齢雇用継続給付の受給権については 被保険者期間が 5 年以上必要となることから 少なくとも55 歳以降は雇用保険の被保険者であることが求められます 万が一 失業の状態になっても 失業給付を受けることなく再就職しないと 高年齢雇用継続給付の受給権は得られません (2) 特別支給の老齢厚生年金 65 歳からの老齢基礎年金の受給資格期間を満たし かつ 厚生年金保険の被保険者期間が1 年以上ある方が 老齢基礎年金の繰り上げ支給を受けていないときに 60 歳から65 歳未満の期間について 支給されます ただし 厚生年金保険の被保険者であるときは 総報酬月額相当額 ( 標準報酬月額とその月以前の1 年間の標準賞与額の総額の12 分の1とを合算した額 ) と基本月額 ( 老齢厚生年金の額の12 分の1) との合計額が28 万円以上の場合には その額に応じて支給停止されることとなっています さらに 上記 (1) 高年齢雇用継続給付の支給を受けている場合は 原則として標準報酬額の6% が支給停止となります (3) フルタイム勤務以外の雇用形態雇用保険の被保険者資格の要件は 1 週間の所定労働時間が20 時間以上 31 日以上の雇用見込みがあることとなります 一方 厚生年金保険の被保険者資格の要件は 1 日または1 週間の所定労働時間と 1か月の所定労働日数がともに その事業所で同種の業務に従事しているフルタイム勤務の従業員のおおむね4 分の3 以上であることとされています 5

雇用保険の被保険者資格の要件の方が緩やかですので パートタイム勤務について は雇用保険の被保険者となるが 厚生年金保険の被保険者とならない場合もあり得ま す 例えば 1 日 8 時間 1 週 5 日勤務の事業所において 1 日 7 時間 1 週 3 日勤務のパートタイムでの雇用継続とする場合 雇用保険の被保険者となりますが 厚生年金保険の被保険者とはなりません この場合 高年齢雇用継続給付については 60 歳以降の各暦月の賃金が60 歳到達時点の賃金の75% 未満であれば 支給対象となります また 厚生年金保険の被保険者とはならないため 老齢厚生年金については支給停止となりません 6 雇用継続を行う際の手続き (1) 労働条件通知書の交付定年退職後の再雇用は 今までとは別の新たな労働契約となります 雇用契約書や労働条件通知書により 新たな労働条件を書面により明示することが必要です また 労働条件が一般の従業員の方とは異なる場合は 就業規則等についても 別規程としておくことが望ましいと考えます ( 就業規則の効力は 個別の労働契約に優先することとなります ) (2) 高年齢雇用継続給付の受給資格確認と 60 歳到達時の賃金登録 1 雇用保険被保険者 60 歳到達時等賃金証明書 2 高年齢雇用継続給付受給資格確認票 高年齢雇用継続給付支給申請書 ( 初回 ) 60 歳到達時の賃金登録は 60 歳到達時 (60 歳の誕生日の前日 ) において 被保険者であった期間が通算して5 年以上ある場合に受給資格が発生します 被保険者であった期間が通算して5 年未満の場合には 60 歳以降に被保険者期間が通算して5 年を満たした時点で再度 受給資格確認の手続きを行います 事業所での被保険者資格取得が55 歳以降の場合でも 前職の被保険者であった期間が通算できるか否か 事前にハローワークで確認をし 60 歳到達時等の年月日以降に手続きを行っておくと無駄な手続きが省けます 確認資料として最低限 年齢が確認できる資料 ( 住民票記載事項証明書 運転免許証など ) と賃金台帳が必要となります この受給資格確認は ( 初回 ) 高年齢雇用継続給付支給申請書と同時に行うときは 6

最初に支給を受けようとする支給月の初日から起算して4か月以内に行うこととなります なお 60 歳以降賃金の低下を考えていない場合でも 向こう 5 年間のうちに何が起こるか分からないため 賃金登録は必ず行っておくことが必要です (3) 高年齢雇用継続給付支給申請 1 高年齢雇用継続給付支給申請書 (2 回め以降 ) 2 回め以降の申請は 原則として2か月ごとに行います 支給対象月に支払われた賃金額が 受給資格確認通知書 または 高年齢雇用継続給付支給決定通知書 に印字されている 賃金月額 75% 以上の場合は 申請しても不支給になりますので省略できます なお 事業主がこの支給申請を行うにあたっては 労使協定の締結が必要です (4) 健康保険 厚生年金保険の資格喪失と取得 1 健康保険 厚生年金保険被保険者資格喪失届 2 健康保険 厚生年金保険被保険者資格取得届 定年退職後 1 日の空白もなく再雇用された場合は 原則として被保険者資格は継続されます 再雇用に伴う賃金の変動と在職老齢年金の調整とを即応させるため 特例として 60 歳以上 65 歳までの定年に限って 同日得喪 が認められています 賃金が大幅に変わることなく 再雇用後も標準報酬月額に変更が生じない場合は 手続きの必要はありません なお 同日得喪の年月日は 雇用保険のように 60 歳到達時ではなく 就業規則に定められた定年退職日の翌日となります また 確認資料として就業規則の写しが必要となります 7