果樹の生育概況

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果樹の生育概況

Ⅱ りんご生産情報 1 果実肥大 作業の進み (1) 果実肥大 9 月 11 日現在の果実肥大は 概ね平年並みから平年を上回っている 果実肥大 (9 月 11 日現在 横径 :cm 平年比:%) 地 域 年 つがる ジョナゴールド ふ じ 本 年 黒 石 平 年 (

Microsoft Word 予報第9号

予報 岡病防第16号

1 著者が長い間研究してきた核果類(モモ スモモ オウトウ)のうち スモモとオウトウは結実が不安定で いかに安定して結実させるかが大きな課題になっている これに対し モモの結実確保は比較的容易だが 食味のばらつき を指摘されることが多い 品質の揃った果実を安定してとる モモではこれが課題であり 実現

Ⅱ りんご生産情報 1 果実肥大 作業の進み 病害虫の動き (1) 果実肥大 8 月 1 日現在での果実肥大は 7 月下旬の高温の影響で肥大の伸びが鈍ったものの 概ね平年並みから平年を上回っている 果実肥大 (8 月 1 日現在 横径 :cm 平年比:%) 地 域 年 つがる ジョナゴールド ふ じ

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リンゴ黒星病、うどんこ病防除にサルバトーレME、フルーツセイバーが有効である

元高虫防第 139 号令和元年 7 月 4 日 各関係機関長様 高知県病害虫防除所長 病害虫発生予察情報について 令和元年度病害虫発生予察 6 月月報及び令和元年度予報 4 号 (7 月 ) を送付します 令和元年度病害虫発生予察 6 月月報 Ⅰ. 気象概況半旬 (6 月 ) 平均気温最高気温最低気

2. 摘花の実施早期の摘花 摘果は 良好な果実肥大や翌年の花芽確保のために また 適正樹勢の維持のために重要な作業となる 仕上げ摘果を満開 30 日後までに終了することを目標に作業計画を立てる そのために摘花を積極的に行い 落花後の摘果作業の時間短縮を図る 腋芽花の他 生育不良の花そう 枝の直上直下

Ⅰ 収穫量及び作柄概況 - 7 -

圃場試験場所 : 県農業研究センター 作物残留試験 ( C-N ) 圃場試験明細書 1/6 圃場試験明細書 1. 分析対象物質 およびその代謝物 2. 被験物質 (1) 名称 液剤 (2) 有効成分名および含有率 :10% (3) ロット番号 ABC 試験作物名オクラ品種名アーリーファ

Ⅲ-2-(1)施設野菜

仙台稲作情報令和元年 7 月 22 日 管内でいもち病の発生が確認されています低温 日照不足によりいもち病の発生が懸念されます 水面施用剤による予防と病斑発見時の茎葉散布による防除を行いましょう 1. 気象概況 仙台稲作情報 2019( 第 5 号 ) 宮城県仙台農業改良普及センター TEL:022

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隔年結果

Ⅱ りんご生産情報 1 生育 作業の進み 病害虫の動き (1) 生育ステージふじの満開日は黒石 ( りんご研究所 ) では 平年より2 日早い5 月 11 日 五戸 ( りんご研究所県南果樹部 ) では 平年より6 日早い5 月 9 日であった 開花日 ( 月. 日 ) 地域年つがるジョナゴールド王

新梢では窒素や燐酸より吸収割合が約 2 分の1にまで低下している カルシウム : 窒素, 燐酸, カリとは異なり葉が52% で最も多く, ついで果実の22% で, 他の部位は著しく少ない マグネシウム : カルシウムと同様に葉が最も多く, ついで果実, 根の順で, 他の成分に比べて根の吸収割合が高い

コシヒカリの上手な施肥

平成19年度事業計画書

Ⅱ りんご生産情報 1 生育 作業の進み 病害虫の動き (1) 生育ステージふじの落花日は 黒石 ( りんご研究所 ) で平年より2 日早い5 月 15 日 五戸 ( 県南果樹部 ) で平年より2 日早い5 月 18 日であった 満開日 ( 月. 日 ) 地域年つがるジョナゴールド王林ふじ 黒 石

今後の管理のポイント [懸案事項] ①早期作型における2番花 房の花芽分化遅延 ②炭そ病とハダニ類の発生 拡大 [対策] ①寒冷紗を被覆して 花芽分化を誘導する 2番花房 の花芽分化を確認して被覆を除去する 被覆期間の目安 9月25 10月20日 ②定期的に薬剤による防除を行う 特に葉かぎ後の 葉か

Microsoft Word - H30予報06号.docx

**************************************** 2017 年 4 月 29 日 日本植物病理学会殺菌剤耐性菌研究会 耐性菌対策のための DMI 剤使用ガイドライン 一般的な耐性菌対策 1. 薬剤防除だけに頼るのではなく 圃場や施設内を発病しにくい環境条件にする 1)

2 ブドウの病害虫

Microsoft Word - ビワ、~1

H25 農作物技術情報第5号 果樹(H )

バンカーシート 利用マニュアル 2017年版(第一版)

研究情報 渋ガキ 刀根早生 果実の海外輸出流通技術の開発 かき もも研究所主任研究員 岩橋信博 これまでかき もも研究所ではカキの海外輸出のため 改良ダンボールや 1 メチルシクロプロペン (1-MCP) を活かした出荷技術の確立に取り組んできました 改良ダンボールは水分ストレスを抑制し 1-MCP

作業別の留意事項 ここに紹介します留意事項は りんごを栽培する際に特に留意すべき内容を列記したものです また 栽培方法によっては該当しない内容も含まれます 実際の栽培にあたっては 地域の普及指導センターや JA 等に問い合わせいただき 園地条件や品種に適した施肥設計 栽培方法等に基づき栽培してくださ

PowerPoint プレゼンテーション

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病害虫発生予察情報(11月予報)

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水稲いもち病当面の対策                   

本日のお話 つなぐことの意味 技術の効果 ( 第一期実用技術開発事業 ) 現地実証と産地への実用化 適用樹種拡大研究への発展 更なる共同研究 実用化に向けて

5月の病害虫発生予想と防除のポイント

付図・表

大型の捕虫網 ( 径 42cm) を使用し 1 地区 5 地点の払い落し法により調査する 越冬後の5~6 月の指標植物としては結実しているクワ サクラ ヒイラギ及び開花中のミカン 新梢伸長中のキリが適しており また 新成虫が出現する7 月以降の好適な指標植物として結実したスギ ヒノキ サワラ ヒイラ

Microsoft Word - H30予報03号.docx

平成16年度農作物有害動植物発生予察情報

本剤の使用に当たっては 使用量 使用時期 使用方法を誤らないように注意し 特に初めて使用する場合には病害虫防除所等関係機関の指導を受けることをおすすめします 安全使用上の注意事項 本剤は眼に対して刺激性があるので眼に入らないよう注意してください 眼に入った場合には直ちに水洗し 眼科医の手当を受けてく

1 作物名     2 作付圃場 3 実施年度   4 担当

(Microsoft Word - H24\202\324\202\307\202\244\213K\212i.doc)


Microsoft Word - H30予報02号.docx

梢の発生が期待できるよう9月には必ず仕上げ摘果を徹底し 適正葉果比に仕上げましょう 着果量が中庸以上の樹では早生温州では9月中 普通温州では10 月上旬までに行いましょう(表2) ⑴着果過多樹着果量が多く肥大が悪い樹は 商品性の低い小玉果や傷果 病害虫被害果を中心に早急に

平成22年度農作物有害動植物発生予察情報

p1_10月月報用グラフ

研究成果 業務需要に向けたリーキの品種選定と栽培技術開発 ~ 水田輪作による秋冬どり栽培が可能 ~ 1. はじめにリーキは 西洋ネギ ( ポロネギ ) ともいわれ 根深ネギより太く短い葉鞘を形成します しかし リーキの葉身はニンニクやニラのように平らで 筒状の葉身を持つ根深ネギとは明らかに様相が異な

強い乾燥をうけるとこはん症の発生原因となりますので例年こはん症が発生する園では土壌改良をします ⑴土壌pHの改良土壌の最適pHは5.5~6.5です 苦土石灰施用後数年経過すると酸性になりますので何年も施用していない園では本年は施用しましょう 葉の縁がチョコレート色の斑点が発

スプレーストック採花時期 採花物調査の結果を表 2 に示した スプレーストックは主軸だけでなく 主軸の下部から発生する側枝も採花できるため 主軸と側枝を分けて調査を行った 主軸と側枝では 側枝の方が先に採花が始まった 側枝について 1 区は春彼岸前に採花が終了した 3 区 4 区は春彼岸の期間中に採

H23 農作物技術情報 第5号 果樹(H )

表 30m の長さの簡易ハウス ( 約 1a) の設置に要する経費 資材名 規格 単価 数量 金額 キュウリ用支柱 アーチパイプ ,690 直管 5.5m 19mm ,700 クロスワン 19mm 19mm ,525 天ビニル 農 PO 0.1mm

平成16年度農作物有害動植物発生予察情報

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平成の主な気象災害

「公印省略」

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PowerPoint プレゼンテーション

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140221_ミツバマニュアル案.pptx

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資料 2 農業データ連携基盤の構築について 農業データ連携基盤 (WAGRI) WAGRI とは 農業データプラットフォームが 様々なデータやサービスを連環させる 輪 となり 様々なコミュニティのさらなる調和を促す 和 となることで 農業分野にイノベーションを引き起こすことへの期待から生まれた造語

平成 30 年 7 月 ~9 月期における果実の取扱高 ( 併載 : 平成 30 年上半期 (4 月 ~9 月期 ) 取扱高 ) 東京都中央卸売市場 Ⅰ 平成 30 年 7 月 ~9 月期東京都中央卸売市場における果実の取扱高 1 果実の入荷概況 (1) 気象概況 ( 気象庁 HP 日本の天候の特徴

取組の詳細 作期の異なる品種導入による作期分散 記載例 品種名や収穫時期等について 26 年度に比べ作期が分散することが確認できるよう記載 主食用米について 新たに導入する品種 継続使用する品種全てを記載 26 年度と 27 年度の品種ごとの作付面積を記載し 下に合計作付面積を記載 ( 行が足りない

Taro-sokuzitaiou_14nenkazyusi.j

復興庁 農林水産省食料生産地域再生のための先端技術展開事業 被災地の早期復興に資する果樹生産 利用技術の実証研究 クリ ぽろたん のジョイント栽培マニュアル早期成園化 低コストの樹形管理と防除技術 宮城県農業 園芸総合研究所神奈川県農業技術センター国立研究開発法人農研機構果樹茶業研究部門

溶液栽培システムを利用した熱帯果樹栽培

ジベレリン協和液剤 ( 第 6006 号 ) 2/ 年 6 月 13 日付け 25 不知火 はるみ 3 回以内 水腐れ軽減 0.5 ~1ppm 500L/10a 着色終期但し 収穫 7 日前まで 果実 ぽんかん 水腐れ軽減 0.5ppm 500L/10a 着色始期 ~4 分

果樹経営において収益を向上させるためには 収益性の低い品目 品種や生産性の低くなった老木から 消費者ニーズに対応した収益性の高い優良品種へ改植することが重要です ただし 果樹は を植えつけてから一定の収量が確保できるまでに数年の期間を要することから 計画的な改植が必要です 1 果樹の改植にあたって

わかっていること トマトすすかび病について

試験中 試験中 試験中 12 月下旬 試験中 試験中 試験中 12 月下旬 試験中 試験中 試験中 1 月中旬 試験中 試験中 試験終了 12 月中旬 試験中 試験中 試験中 1 月上旬 試験中 試験中 試験中 1

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26 福島県農業総合センター研究報告第 7 号 1 緒言 モモは福島県を代表する品目であり 2011 年度農林水産統計における本県のモモ栽培面積は1,780ha 収穫量は29,000tと山梨県に次いで国内第 2 位に位置している 栽培面積からの品種構成比率は 中生種 あかつき が54.4% 晩生種

<2014年の花粉飛散傾向発表。2月上旬から花粉シーズン到来、対策は1月から>

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281003(最終)台風18号対策.doc

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ネギ 防除法

目次 1. やまだわら の特性 _ 1 収量特性 1 2 品質 炊飯米特性 2 3 用途別適性 3 2. 生育の特徴 4 3. 収量 品質の目標 5 4. 各地域での主な作付スケジュール 6 5. 栽植密度 7 6. 肥培管理 1 施肥量 施肥時期 8 2 生育診断 9 7. 収穫適期

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Microsoft Word - ⑦内容C【完成版】生物育成に関する技術.doc

農業における豪雨被害に対する総合的な産地再生対策について 豪雨被害鳥獣害防止施設復旧事業 鳥獣被害防止総合対策事業 (43,379 千円 ) 予定 被災した侵入防止柵の再整備に要する経費 [ 補助率 : 国定額 ( 資材費相当 ) 又は国 1/2 県 1/4 ( 市町 1/4)] 鳥獣害防止施設復旧

H26 中予地方局産業振興課普及だより 新技術情報 -1 いちご新品種 紅い雫 ( あかいしずく ) 1. 紅い雫 の来歴県農林水産研究所が育成したいちご新品種 紅い雫 は あまおとめ ( 母親 ) 紅ほっぺ ( 父親 ) の交配により誕生し 平成 26 年 6 月 25 日に品種登録出願されました

展示圃要領1

140221_葉ネギマニュアル案.pptx

冷蔵貯蔵中のぶどう「シャインマスカット」に発生する灰色かび病防除に、オンリーワンフロアブルの7月中~下旬散布が有効である

平成 26 年度補正予算 :200 億円 1

から1月下旬から2月上旬です 収穫が遅くなると陽光面が回青して淡黄色くなることから遅れないようにします 収穫後は4%程度の予措をした後 中晩柑の貯蔵管理をします 3 土壌管理1月から2月は土壌改良を実施する時期です 土壌条件が悪く夏季に強い乾燥をうけると虎班症の発生原因とな

麦 類 生 育 情 報

北病防第 平成 23 年 142 号 2 月 18 日 関係総合振興局産業振興部長 関係振興局産業振興部長 様 様 技術普及課長 病害虫防除所長 水稲いもち病防除の徹底について 水稲の重要病害であるいもち病は 平成 20 年以降 3 年連続して多発生し 平成 22 年の 葉いもち と 穂いもち の発

令和元年度 (2019 年度 ) 病害虫発生予察情報第 5 号 6 月予報北海道病害虫防除所令和元年 (2019 年 )5 月 29 日 Tel:0123(89)2080 Fax:0123(89)2082 季節予報 ( 付記 )

カンキツ栽培の問題点と技術的対策 新崎正雄 比嘉淳 ( 沖縄県農試名護支場 ) MasaoArasakiandAtsushiHiga:Problemofthecitruscultivationandtechnicalcountermeasure. I カンキツの生産状況本県におけるカンキツ類の生産量

ぐに花粉の飛散シーズンに入らなかったのは 暖冬の影響で休眠打破が遅れたことが影響していると考えられます ( スギの雄花は寒さを経験することにより 休眠を終えて花粉飛散の準備に入ると言われています ) その後 暖かい日や風が強い日を中心にスギ花粉が多く飛びましたが 3 月中旬には関東を中心に寒い日が続

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Transcription:

平成 30 年度果樹情報第 12 号 ( 平成 30 年 9 月 6 日 ) 福島県農林水産部農業振興課 1 気象概況 (8 月後半 : 果樹研究所 ) 平均気温は 平年と比較すると 4 半旬が 22.5 で 2.3 低く 5 半旬が 28.4 で 3.6 高く 6 半旬が 23.9 で 0.5 低く経過しました この期間の降水量は 53.5mm で平年の 63% でした 2 生育状況 (9 月 1 日時点 : 果樹研究所 ) (1) ももア収穫期と果実品質 川中島白桃 の収穫盛りは8 月 15 日で平年より12 日早まりました 果実の大きさは363gと平年よりやや大きく 糖度は14.7と平年より高い状況でした ゆうぞら の収穫始めは8 月 16 日 収穫盛りは8 月 20 日で平年より15 日早まりました 果実の大きさは366gと平年より大きく 糖度は13.8と平年より高い状況でした 表 1 モモの主要品種の収穫期と果実品質 品種 収穫始 ( 月 / 日 ) 収穫盛 ( 月 / 日 ) 収穫終 ( 月 / 日 ) 平均果重 (g) 糖度 ( Brix) 本年平年昨年本年平年昨年本年平年昨年本年平年昨年本年平年昨年 あかつき 7/23 8/ 2 7/31 7/25 8/ 5 8/ 2 7/30 8/10 8/ 7 229 265 278 15.1 12.6 13.6 まどか 8/ 2 8/10 8/ 8 8/ 4 8/14 8/13 8/ 8 8/19 8/17 350 333 397 17.1 13.2 13.5 川中島白桃 8/13 8/24 8/17 8/15 8/27 8/19 8/20 8/31 8/23 363 333 473 14.7 12.8 13.6 ゆうぞら 8/16 8/31 8/24 8/20 9/ 4 8/27 8/27 9/ 9 8/31 366 324 373 13.8 12.7 11.8 平年値は1986 年 ~2015 年の平均値 (2) なしア果実肥大暦日比較では 豊水 は縦径 100% 横径 99% と平年並であり 満開後日数による比較では平年より小さい状況です イ 幸水 の収穫期と果実品質 幸水 の収穫始めは8 月 20 日で平年より5 日早く 収穫盛りは8 月 23 日で平年より8 日早まりました RM 示度は12.7でほぼ平年並みです 表 2 幸水 の収穫期と果実品質 品種収穫始 ( 月 / 日 ) 収穫盛 ( 月 / 日 ) 収穫終 ( 月 / 日 ) 果実重 (g) RM 示度 ( Brix ) 本年平年昨年本年平年昨年本年平年昨年本年平年昨年本年平年昨年幸水 8/20 8/25 8/25 8/23 8/31 8/30 8/27 9/ 6 9/4 409 381 442 12.7 12.4 11.0 注 ) 平年値は 1986 ~ 2017 年 ウ 豊水 の成熟経過満開後 140 日 (8 月 30 日 ) における成熟調査の結果は 果肉硬度が8.0ポンドで平年よりかなり高く 一部の収穫果で特異的に果肉硬度の高いものが見られました 糖度は13.3で平年よりやや高く 蜜入りは多い傾向です

表 3 豊水 の成熟経過 調査日 硬度 蜜入り 地色 ( 満開後日数 ) 本年 平年 平年比 本年 平年 平年比 本年 平年 平年比 lbs. lbs. % % % 8 月 15 日 (125) 9.7 6.6 147 1.5 1.4 106 2.6 2.0 133 8 月 21 日 (131) 8.8 6.0 146 2.1 1.6 130 2.7 2.3 118 8 月 24 日 (134) 8.2 5.5 150 2.2 1.7 130 2.8 2.6 107 8 月 30 日 (140) 8.0 4.8 165 2.3 1.9 121 3.2 3.0 104 調査日 糖度 ( Brix) リンゴ酸含量 クロロフィル含量 ( 満開後日数 ) 本年 平年 平年比 本年 平年 平年比 本年 平年 平年比 % g/100ml g/100ml % μg/cm 2 μg/cm 2 % 8 月 15 日 (125) 12.7 11.5 110 0.16 0.14 109 7.92 7.88 100 8 月 21 日 (131) 12.7 11.9 107 0.16 0.15 108 7.01 6.94 101 8 月 24 日 (134) 13.1 12.1 108 0.15 0.15 105 6.31 5.72 110 8 月 30 日 (140) 13.3 12.4 107 0.16 0.14 115-4.22 - 平年値 :1991~2017 年の平均値 蜜入り指数 1: 果実の切断面全体が白っぽく水浸状がほとんど気にならないもの 2: 果皮直下の部分がわずかに水浸状を示しているように見えるもの 3: 水浸状を示している部分が広く 果皮直下では水浸状部の境界が比較的はっ きりしているもの 4: 果実切断面の大部分が比較的はっきりした水浸状を示しているもの (3) りんごア果実肥大暦日比較では ふじ は縦径 100% 横径 103% と平年並であり 満開後日数による比較では平年よりやや小さい状況です イ つがる の収穫期と果実品質収穫盛りは8 月 27 日で平年より7 日早く 成熟日数は127 日で平年より2 日長くなりました 果実品質は 果実重が317gと平年より大きく 糖度は14.4と高く 果肉硬度は12.1ポンドで平年並でした 表 4 つがる の収穫期と果実品質 開花盛 収穫始 収穫盛 収穫終 成熟日数 果実重 糖度 リンコ 酸 硬度 月日 月日 月日 月日 日 g Brix g/100ml lbs. 2018 年 4/22 8/27 8/27 8/30 127 317 14.4 0.25 12.1 2017 年 5/1 8/28 8/30 9/6 121 300 14.7 0.28 12.1 2016 年 4/23 8/22 8/25 9/5 124 279 13.0 0.21 11.1 2015 年 4/25 8/17 8/21 8/25 118 252 14.7 0.25 12.9 平 年 5/ 1 8/28 9/ 3 9/ 7 125 284 12.7 0.24 11.7 平年値 :1981~2015 年の平均値 成熟日数 : 満開日 ~ 収穫盛までの日数 (4) ぶどうア巨峰の収穫期と果実品質 巨峰 の収穫始めは 有核栽培で8 月 23 日と平年より11 日 無核栽培で8 月 27 日と平年より10 日早まりました 高尾 の収穫始めは 8 月 30 日で平年より12 日早まりました 収穫果の果実品質は 有核栽培の 巨峰 の果皮色 ( カラーチャート指数 ) は 平年よりやや低い状況でしたが 糖度は平年より高く 酒石酸含量は低く 糖酸比は平年より高い状

況でした 無核栽培の 巨峰 では 果皮色 糖度及び酒石酸含量は平年並で 糖酸比は平年よりやや低い状況でした 高尾 の糖度は平年並で 酒石酸含量は平年よりやや低く 糖酸比は平年よりやや高い状況でした 表 5 巨峰 及び 高尾 の収穫期と果実品質 栽培方法 収穫始 ( 月 / 日 ) 収穫盛 ( 月 / 日 ) 収穫終 ( 月 / 日 ) 本年 平年 昨年 本年 平年 昨年 本年 平年 昨年 巨峰 ( 有核栽培 ) 8/23 9/ 3 8/28 8/25 9/10 8/29 8/27 9/16 8/30 巨峰 ( 無核栽培 ) 8/27 9/ 6 8/30 未 9/10 9/ 1 未 9/15 9/ 6 高尾 8/30 9/11 8/30 未 9/16 9/ 5 未 9/20 9/ 8 栽培方法 果皮色 ( カラーチャート値 ) 糖度 ( Brix) 酒石酸 (g/100ml) 糖酸比 本年 平年 昨年 本年 平年 昨年 本年 平年 昨年 本年 平年 昨年 巨峰 ( 有核栽培 ) 9.9 10.2 11.1 20.3 19.2 18.9 0.48 0.53 0.63 42.8 38.0 30.0 巨峰 ( 無核栽培 ) 9.7 9.6 10.4 16.9 16.6 16.4 0.54 0.53 0.61 31.3 33.4 26.8 高尾 - - - 19.1 19.0 19.1 0.45 0.48 0.60 42.5 40.8 31.6 巨峰 ( 無核栽培 ) 及び 高尾 の果実品質は収穫始 ( それぞれ8/27 8/30) のデータ 平年値 : 巨峰 ( 有核栽培 ) 及び 高尾 は1988 年 ~2015 年の平均値 巨峰 ( 無核栽培 ) は1998 年 ~2017 年の平均値 3 栽培上の留意点 (1) ももア秋肥の施用良好な発育枝の発生が少なく 新梢長が短いなど樹勢低下が認められる場合には 収穫後 9 月中を目処に秋肥を施用し 樹勢の回復と貯蔵養分の蓄積に努めましょう 秋肥は速効性肥料を用い 窒素成分で7kg/10a 程度 ( あかつき : 中肥沃度地帯の場合 ) を施用します なお 樹勢の低下が見られる樹では分肥とし 下表を参考に窒素成分で秋肥を6~ 7 割程度 春肥を3~4 割の施用量とします 秋雨により 新梢の二次伸長が著しいなど地力窒素の遅効が認められる場合には 秋肥の施用量を調節し 春肥を中心とした分肥とします 表 6 モモの施肥基準 地 帯 品 種 目標収量 施肥量 (kg/10a) 区 分 (kg/10a) N P2O5 K2O 秋肥 冬肥 春肥 追肥 冬肥 肥沃度中 日川白鳳 暁星あかつき 2,400 2,600 5 7 5 5~7 2 2 - - 10 10 12 12 川中島白桃 ゆうぞら 3,000 8 6~8 2-10 12 肥沃度 日川白鳳 暁星 2,400 5 5 - - 10 12 高 あかつき 2,600 7 5 - - 10 12 川中島白桃 ゆうぞら 3,000 8 6 - - 10 12 流 亡 日川白鳳 暁星 2,400 5-4 2 10 12 程度大 あかつき 2,600 7-4 2 10 12 川中島白桃 ゆうぞら 3,000 8-4 2 10 12 腐植質 日川白鳳 暁星 2,400 7 5 - - 10 12 火山灰土 あかつき 2,600 7 5 - - 10 12 川中島白桃 ゆうぞら 3,000 8 6 - - 10 12 注 : 土壌表面は部分草生 秋肥は 9 月 冬肥は 11~12 月 春肥は 2~3 月 追肥は 6 月

イ秋季せん定本年は 新梢伸長期の乾燥が著しく樹勢低下が認められるため 樹勢に応じたせん定方法とします また モモせん孔細菌病の防除効果を高めるために実施しましょう ( ア ) 樹勢が強く徒長枝の発生が多い場合 9 月中旬頃 ( 徒長枝が太る前 ) を目途に収穫が終了した品種から秋季せん定を実施し 花芽の充実と樹勢の安定化 秋期防除における薬液透過の改善を図りましょう ( イ ) 樹勢が適正な場合主枝や亜主枝の生育を妨げる徒長枝を整理し 樹勢の乱れを防ぎましょう ( ウ ) 樹勢が弱い場合秋季せん定は最小限とし 葉芽の多い中果枝や長果枝を多く配置することで 樹勢の回復を図りましょう ( エ ) 若木及び幼木の場合若木では 適勢樹と同様の方法とします 特に 幼木から若木時代の冬季の強せん定は寒凍害を招きやすいので 冬季に大きな切り口を作らないように 秋季せん定時に主幹部の強勢な枝を整理しましょう ( オ ) モモせん孔細菌病の発生が多く見られる場合菌密度の低減を図るために 樹勢を乱さない範囲で秋季せん定を実施することが効果的です 1 回目の秋期防除前には秋季せん定を行い ボルドー液がムラなく散布されていることを確認し 薬液の到達を妨げる枝がある場合は 再度見直して除去するなど 防除効果を高めるよう工夫しましょう 図 1 ボルドー液の散布ムラ斜線上側には薬液が到達していない (2) なしア中生品種の収穫現在 豊水 の収穫期に入っていますが 収穫果の蜜入りが平年に比べやや目立つため 収穫遅れに注意しましょう イ施肥 幸水 の収穫終了後 樹勢を見ながら9 月中を目処に礼肥として 速効性の窒素肥料をN 成分で4~5kg /10a 施用しましょう その他の品種 ( 豊水 二十世紀 等) でも収穫が半分以上過ぎれば果実品質への影響は小さいと考えられるので 収穫後できる限り早く礼肥を施用しましょう ウ落果防止剤の散布 二十世紀 等落果防止剤処理が必要な品種は 剤の使用時期と他の中晩生品種への飛散防止に注意しながら散布しましょう (3) りんごア修正摘果側枝の勢力や葉面積に応じて 果形が悪い果実や小さい果実を中心に修正摘果を実施し 果実の大きさを揃え 日焼け果も除去しましょうイ中生品種の収穫前管理摘葉や玉回し等の着色管理は 各品種の生育状況に合わせて遅れないようにしましょう 摘葉は 気温の高い日が続く場合は日焼け果の発生が懸念されるため 初めは果実に直接触れている葉を中心に軽めに行い その後は気温の状況に応じて程度を強めて実施しましょう

ウ落果防止剤の散布収穫前落果の多い品種では 落果防止剤を散布しましょう なお 散布に当たっては剤の使用時期等に十分注意しましょう (4) ぶどうア 巨峰 の収穫適期の把握収穫時期は 当該年の気象条件や立地条件等によって異なります また 樹勢や着果量 房の大きさ等によっても異なるため 収穫前には必ず果皮色や食味を確認し 適期収穫を心がけましょう イ シャインマスカット の収穫適期の把握近年 栽培面積が増加している シャインマスカット は 巨峰 等の紫黒色系の品種と異なり 果皮色による収穫期の判断が困難です 日当たりが良い場所は果皮が黄化しやすく 有色袋を使用している場合は緑色気味で仕上がります 収穫前に食味を確認した上で適期収穫を心がけましょう ウ収穫時の注意点 ( ア ) 雨の日やその直後の果実は糖度が低く 日持ちも悪くなります 収穫前の2~3 日が晴天で 当日も晴れている日に収穫しましょう ( イ ) 収穫は 日持ちを向上させる目的で果実温度の低い早朝などに行いましょう ( ウ ) 主枝の先端や日当たりが良く登熟が進んだ枝の果実は成熟が早いので 優先して収穫しましょう ( エ ) 果粉を落とさないために 収穫果実は穂軸を持ち 果粒には直接触らないようにしましょう エ鳥獣害対策近年 カラスやムクドリ ハクビシン等による鳥獣害が増加しています これらの鳥獣は収穫間際になって加害するため 生産者にとっては減収に加えて精神的なダメージも大きくなります 現在のところ 労力がかからず安価で効果的な対策は難しいですが テグスや防鳥網 防風ネット及び電気柵の設置等により被害の軽減を図りましょう 併せて 被害果実の処理や2 番果の除去等によりほ場内や周囲の環境を管理し 鳥獣を寄せ付けないようにすることが重要となります 4 病害虫防除上の留意点 (1) 病害アリンゴ褐斑病 9 月 3 日現在の所内の ふじ 殺菌剤無散布樹における本病の発病葉率 ( 落葉を含む ) は71.8% であり 昨年 (66.0%) よりもやや高い状況にあります 中 晩生品種では9 月上旬に各地区の防除暦に従い効果のある薬剤を使用しましょう イモモせん孔細菌病 8 月下旬の福島地域および伊達地域における新梢葉での発生ほ場割合は 平年よりやや高い状況です ( 平成 30 年 8 月 30 日付け病害虫防除情報 ) 本病は秋期に降水量が多いと翌春に春型枝病斑の発生が多くなる傾向にあるため 収穫が終了した園では降雨前の予防散布に努め 越冬病原菌密度の低下を図りましょう 防除薬剤は4-12 式ボルドー液またはICボルドー 412 30 倍を使用し 9 月上旬 ~10 月上旬に2 週間間隔で3 回散布します なお 9 月中旬以降に使用する場合 これらの剤にかえてクレフノン 100 倍加用コサイド3000 2,000 倍 またはクレフノン 100 倍加用ムッシュボルドー DF 500 倍を使用してもかまいません ただし コサイド3000は高温時に使用すると落葉等の薬害を生じることがあるので注意しましょう

ウナシ黒星病 8 月下旬の新梢葉での発生ほ場割合は中通り北部で平年よりやや高く 中通り南部で平年並 浜通りでは平年よりやや低い状況にあります ( 平成 30 年 8 月 30 日付け病害虫防除情報 ) 秋期に冷涼多雨の気象条件が続くと翌年の伝染源となる芽への感染が増加するため 秋期防除は棚上の枝葉にも十分薬剤がかかるように 丁寧な散布を心がけましょう 防除薬剤は 幸水 の収穫後 各地区の防除暦に従い効果のある薬剤を使用しましょう なお 薬剤の耐性菌の出現を防止するため 同一系統薬剤の使用回数に十分注意しましょう (2) 虫害アモモハモグリガ第 6 世代の防除適期は 9 月 2 半旬頃になると推定されます 園地の状況を確認し 密度が高い園では越冬密度を低下させるために収穫後であっても防除を実施しましょう イナシヒメシンクイ今年は高温が続き 昨年と比べナシヒメシンクイの発生が10 日程度早いことから ナシやリンゴの晩生品種で第 5 世代幼虫の被害が発生することが懸念されます 第 4 世代成虫の発生盛期は9 月 1 半旬頃であり 第 5 世代の防除適期は9 月 3 半旬頃であると推定されます なお シンクイムシ類の被害果を発見したら速やかに摘除し 水づけ等により適切に処分しましょう ウカイガラムシ類合成ピレスロイド剤やネオニコチノイド剤等を多く使用した園地では 天敵類の減少によるカイガラムシ類の増加に注意しましょう 越冬虫の誘殺を目的としたバンド処理は9 月下旬頃までに行いましょう 表 7 主要チョウ目害虫の防除時期の推定 ( 果樹研究所 平成 30 年 9 月 3 日現在 ) モモハモグリガ ナシヒメシンクイ 今後の 第 5 世代 第 6 世代 第 4 世代 第 5 世代 気温予測 成虫盛期 防除適期 成虫盛期 防除適期 2 高い 9 月 3 日 9 月 7 日 9 月 4 日 9 月 11 日 平年並み 9 月 3 日 9 月 8 日 9 月 4 日 9 月 13 日 2 低い 9 月 3 日 9 月 8 日 9 月 5 日 9 月 15 日 注 ) 演算方法は三角法による 起算日 : モモハモグリガ 8 月 12 日 ナシヒメシンクイ 8 月 8 日 気象庁 [ 営農活動に役立つ気象情報 ] http://www.jma.go.jp/jma/kishou/nougyou/nougyou.html 病害虫の発生予察情報 防除情報病害虫防除所のホームページに掲載していますので 活用してください URL: http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/37200b/ 農薬散布は 農薬の使用基準を遵守し 散布時の飛散防止に細心の注意を払いましょう 発行 : 福島県農林水産部農業振興課技術革新支援担当 TEL 024(521)7344 ( 以下の URL より他の農業技術情報等をご覧いただけます ) URL:http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/36021a/