平成 30 年 7 月 27 日 ( 表題 ) 台風第 12 号の接近に伴う農作物被害技術対策情報について ( 担当 ) 佐賀北部農業技術者連絡協議会事務局 気象庁によると台風第 12 号は 現在 ( 平成 30 年 7 月 27 日 6 時 45 分 ) 硫黄島の南 東約 80km を北東に向かっ

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4 パイプ埋め込み部分が水で緩くならないよう ハウス周囲の排水溝を点検して手直しする 5 強風により 資材 木片 小石等が飛来して被覆資材が破損しないように 施設周辺を清掃しておく 6 生育中の野菜がない簡易パイプハウスなどでは被覆資材を巻き上げて軒の部分にくくり付ける 7 鉄道沿線や幹線道路沿いの

Taro-02.台風対策(野菜)

1 台風通過後は降雨の状況に応じ 入排水を行なう 2 茎葉の損傷により根の老化が進むので台風通過後は毎日通水するなど間断通水の間隔を短くし 根の機能維持に努める また 可能であれば夜間通水を行なうなどきめ細かな水管理を実施する 3 塩水が水田に侵入した場合は 速やかに塩水を排出し 淡水の散水や入水に

4. 台風通過後の対策として 適時適切な防除を心掛けること 特に 都道府県病害虫防除所から発表される発生予察情報に基づき適期防除に努めること 作目別対策 1. 園芸作物全般 (1) 事前の対策ア. 台風が接近する前に施設やほ場周辺の点検 排水路の清掃を行うこと イ. 温室 育苗 集荷施設等については

表 30m の長さの簡易ハウス ( 約 1a) の設置に要する経費 資材名 規格 単価 数量 金額 キュウリ用支柱 アーチパイプ ,690 直管 5.5m 19mm ,700 クロスワン 19mm 19mm ,525 天ビニル 農 PO 0.1mm

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**************************************** 2017 年 4 月 29 日 日本植物病理学会殺菌剤耐性菌研究会 耐性菌対策のための DMI 剤使用ガイドライン 一般的な耐性菌対策 1. 薬剤防除だけに頼るのではなく 圃場や施設内を発病しにくい環境条件にする 1)

圃場試験場所 : 県農業研究センター 作物残留試験 ( C-N ) 圃場試験明細書 1/6 圃場試験明細書 1. 分析対象物質 およびその代謝物 2. 被験物質 (1) 名称 液剤 (2) 有効成分名および含有率 :10% (3) ロット番号 ABC 試験作物名オクラ品種名アーリーファ

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今後の管理のポイント [懸案事項] ①早期作型における2番花 房の花芽分化遅延 ②炭そ病とハダニ類の発生 拡大 [対策] ①寒冷紗を被覆して 花芽分化を誘導する 2番花房 の花芽分化を確認して被覆を除去する 被覆期間の目安 9月25 10月20日 ②定期的に薬剤による防除を行う 特に葉かぎ後の 葉か

農薬登録事項変更登録申請書

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5月の病害虫発生予想と防除のポイント

作物ごとの対策については 以下のとおりです 水稲 水稲に対する日照不足の影響で最も懸念されることはいもち病の発病であり 出穂期以降では登熟障害 いわゆる白未熟の発生が懸念される また 大雨により河川の水位が高くなり 排水路の水が河川に放流できずに冠水被害をもたらすことがある これらを考慮して健全な生

農業指導情報 第 1 号能代市農業総合指導センター環境産業部農業振興課 発行平成 26 年 4 月 25 日二ツ井地域局環境産業課 確かな農産物で もうかる 農業!! 農家の皆さんを支援します!! 農家支援チームにご相談ください! 今年度 農業技術センター内に農家支援

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Taro 浸・冠水対策

Taro-農業被害の概要

茨城県 消費者ニーズに応えるイチゴ産地の育成 活動期間 : 平成 22 年度 ~ 継続中 1. 取組の背景鉾田地域は, メロン, ピーマン, イチゴ, トマト, 葉菜類などの野菜類の生産が盛んな, 県内有数の野菜園芸産地である 経営体の多くが複数の園芸品目を組み合わせ, 大規模な複合経営を行っている

5. 農機具等の被害状況申出書 5 台以上お持ちの方は,2 枚,3 枚と使用してください No. ( ア ) 被災機種名 ( イ ) 被災機種能力等 ( ウ ) 買替 ( 更新 ) 機種能力等 ( エ ) 添付資料 ( オ ) 規模拡大 ( カ ) 見積額 ( 必須 ) ( 必須 ) ( 必須 )

営農のしおり(夏秋キク)

Ⅲ-3-(1)施設花き

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項目換気遮光かん水敷きワラ散水 対策技術熱気は高い位置から抜くのが基本 妻面上部の開放妻面フィルム展張部をネットに張り替える サイド換気の改善フルオープンハウス ハーフオープンハウスの導入を検討する サイドフィルムの換気位置をできるだけ高くする 天窓換気 換気扇 ( 循環扇と併せて設置 ) 循環扇

元高虫防第 139 号令和元年 7 月 4 日 各関係機関長様 高知県病害虫防除所長 病害虫発生予察情報について 令和元年度病害虫発生予察 6 月月報及び令和元年度予報 4 号 (7 月 ) を送付します 令和元年度病害虫発生予察 6 月月報 Ⅰ. 気象概況半旬 (6 月 ) 平均気温最高気温最低気

カンキツの土づくりと樹勢回復対策 近年高品質果実生産のために カンキツ類のマルチ栽培や完熟栽培など樹体にストレスをかける栽培法が多くなっています それにより樹体への負担が大きく 樹勢が低下している園地が増えています カンキツ類を生産するうえで樹が適正な状態であることが 収量の安定とともに高品質生産の

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4月の気象と農作物対策  野菜

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3 園芸作物 < 果菜類 > 1-1 トマト [ ハウス ] ア導入すべき持続性の高い農業生産方式の内容 トマトは主に道央 道南および道北の施設で栽培され 作型は促成 ( ハウス加温 マルチ ) 半促成 ( ハウス マルチ ) 抑制 ( ハウス ) などである 品種は 桃太郎 ハウス桃太郎 桃太郎

Ⅱ 今後の管理について 1 水管理について (1) 気象変動に対応した水管理 幼穂形成期に入ったら間断かん水 出穂期から開花期にかけては湛水管理 その後は間断 かん水が水管理の基本になりますが 気象変動に対応した水管理を心がけましょう 1 減数分裂期の低温 減数分裂期 ( 葉耳間長 ±0cm 出穂期

SDS農薬要覧2019 ネマモール粒剤30

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本剤の使用に当たっては 使用量 使用時期 使用方法を誤らないように注意し 特に初めて使用する場合には病害虫防除所等関係機関の指導を受けることをおすすめします 安全使用上の注意事項 本剤は眼に対して刺激性があるので眼に入らないよう注意してください 眼に入った場合には直ちに水洗し 眼科医の手当を受けてく

平成16年度農作物有害動植物発生予察情報


11月表紙

表紙

隔年結果

平成 29 年度全国特殊報一覧 2018/03/30 特殊報イチジクラシオディプロディア落葉病 ( 仮称 ) 平成 29 年度第 4 号 福岡県 2018/03/29 特殊報ヤマノイモジャガイモクロバネキノコバエ平成 29 年度第 3 号 神奈川県 2018/03/29 特殊報ガーベラ茎えそ病 (

高品質米の生産のために

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実証研究の目的 東日本大震災の被災地域である福島県浜通り地域において 花き生産を中心とした農業経営の収益性向上に貢献するため 夏秋トルコギキョウと低温性花きのカンパニュラ メジューム ( 以下カンパニュラ ) を効率的に組合せた周年生産体系の現地実証を行い その成果を普及させることを目的としています

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平成16年度農作物有害動植物発生予察情報

病害虫発生予察情報(11月予報)

資料 2 農業データ連携基盤の構築について 農業データ連携基盤 (WAGRI) WAGRI とは 農業データプラットフォームが 様々なデータやサービスを連環させる 輪 となり 様々なコミュニティのさらなる調和を促す 和 となることで 農業分野にイノベーションを引き起こすことへの期待から生まれた造語

農業における豪雨被害に対する総合的な産地再生対策について 豪雨被害鳥獣害防止施設復旧事業 鳥獣被害防止総合対策事業 (43,379 千円 ) 予定 被災した侵入防止柵の再整備に要する経費 [ 補助率 : 国定額 ( 資材費相当 ) 又は国 1/2 県 1/4 ( 市町 1/4)] 鳥獣害防止施設復旧

取組の詳細 作期の異なる品種導入による作期分散 記載例 品種名や収穫時期等について 26 年度に比べ作期が分散することが確認できるよう記載 主食用米について 新たに導入する品種 継続使用する品種全てを記載 26 年度と 27 年度の品種ごとの作付面積を記載し 下に合計作付面積を記載 ( 行が足りない

あたらしい 農業技術 No.510 環境にやさしい柑橘の草生栽培 平成 20 年度 - 静岡県産業部 -


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メラレウカ苗生産技術の検討 供試品種は レッドジェム, レボリューションゴールド を用い, 挿し木を行う前日に枝を採取し, 直ちに水につけ持ち帰り, 挿し穂の基部径を 0.8~1.2mm,1.8~2.2mm,2.8~3.3mm で切り分けた後, 長さ約 8cm, 基部から 3cm の葉を除いた状態に

リンゴ黒星病、うどんこ病防除にサルバトーレME、フルーツセイバーが有効である

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     くらぶち草の会の野菜、畑作栽培技術

仙台稲作情報令和元年 7 月 22 日 管内でいもち病の発生が確認されています低温 日照不足によりいもち病の発生が懸念されます 水面施用剤による予防と病斑発見時の茎葉散布による防除を行いましょう 1. 気象概況 仙台稲作情報 2019( 第 5 号 ) 宮城県仙台農業改良普及センター TEL:022

様式集

H26 中予地方局産業振興課普及だより 新技術情報 -1 いちご新品種 紅い雫 ( あかいしずく ) 1. 紅い雫 の来歴県農林水産研究所が育成したいちご新品種 紅い雫 は あまおとめ ( 母親 ) 紅ほっぺ ( 父親 ) の交配により誕生し 平成 26 年 6 月 25 日に品種登録出願されました

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コシヒカリの上手な施肥


あおぞら彩時記 2017 第 5 号今号の話題 トリオ : 地方勤務の先輩記者からの質問です 気象庁は今年度 (H 29 年度 )7 月 4 日から これまで発表していた土砂災害警戒判定メッシュ情報に加え 浸水害や洪水害の危険度の高まりが一目で分かる 危険度分布 の提供を開始したというのは本当ですか

速報

復興庁 農林水産省食料生産地域再生のための先端技術展開事業 被災地の早期復興に資する果樹生産 利用技術の実証研究 クリ ぽろたん のジョイント栽培マニュアル早期成園化 低コストの樹形管理と防除技術 宮城県農業 園芸総合研究所神奈川県農業技術センター国立研究開発法人農研機構果樹茶業研究部門

15 表 1 平成 7 野菜の 1a 当たり収量 及び ( 全国 ) 計 品目 1 a 当たり収量 対前比 1 a 当たり収量 474,7 1,654, 11,66, 99 nc nc 根 菜 類 164,7 5,11, 4,49, nc だ い こ ん,9 4,6 1


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メンテナンスおよび作業方法 初期洗浄 ワックス塗布作業 床材施工後の期間を置いてから 本作業を行います 床材表面に床材施工に用いた接着剤跡がある場合は きちんと除去します 引き渡し清掃などで既にワックスが塗布されている場合は 密着テストを行い もし密着していない場合は ハクリ作業を行ってからワックス

フィールド養液栽培装置 特 徴 フィールド養液栽培装置は 電気を使用せず排液を出さない ローコスト 環境保全型の養液栽培システムです ロ ー コ ス ト 電 気 不 要 排液がでない 組立 設置が簡単 栽 培 も 簡 単 適 地 適 作 有機栽培可能 栽培システムは複雑な機器が不要で 導入コスト 栽

小 麦 麦類 ( 小麦を除く ) かんしょ だいこん はつかだいこん 圃場内の周縁部 多年生イネ科雑草 耕起前又はは種前まで は種後出芽前 耕起 7 日前まで 収穫 7 日前まで 耕起 7 日前まで は種後出芽前 耕起又は挿苗 7 日前まで 耕起又はは種 7 日前まで 3 回 25~ 3 回 250

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図 2 水稲栽培における除草剤処理体系 追肥による充実不足 白粒対策 ~ 生育後半まで肥切れさせない肥培管理 ~ 図 3 追肥作業は 水稲生育中 後期の葉色を維持し 籾数及び収量の確保と玄米品質の維持に重要な技術です しかし 高齢化や水田の大区画化に伴い 作業負担が大きくなり 追肥作業が困難になりつ

技術名

殺虫剤 協友ダントツ 粒剤クロチアニジン 0.50% 種類名 / クロチアニジン粒剤登録番号 / 第 号 * 毒性 / 普通物有効年限 / 4 年包装 / 1kg 12 3kg 6 10kg 特 長 浸透移行性に優れ カメムシ目 ハエ目 コウチュウ目 チョウ目 バッタ目 アザミウマ目の各

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月中旬以降の天候によって塊茎腐敗による被害が増加する事例も多い 平成 28 年度は疫病の発生面積率は19.9% と例年に比べてやや少なかったものの 塊茎腐敗の発生面積率は 14.8% と例年に比べてやや多かったとされる ( 平成 現在 北海道病害虫防除所調べ ) かつては 疫病には

4 野菜夏野菜のナス トマト キュウリ等は 高温乾燥による生理障害等の発生や草勢の低下による着果不良 着色不良等による品質低下に注意する 秋野菜のキャベツ ハクサイ等は 育苗時の発芽不良や定植時の活着不良等に注意する 高温 少雨は チョウ目 アザミウマ類 アブラムシ類等害虫の多発生を助長するため 害

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Transcription:

普及指導情報 台風第 12 号の接近に伴う農作物被害対策情報について ( 第 5 号 ) 平成 30 年 7 月 27 日 佐城農業改良普及センター佐賀北部振興担当

平成 30 年 7 月 27 日 ( 表題 ) 台風第 12 号の接近に伴う農作物被害技術対策情報について ( 担当 ) 佐賀北部農業技術者連絡協議会事務局 気象庁によると台風第 12 号は 現在 ( 平成 30 年 7 月 27 日 6 時 45 分 ) 硫黄島の南 東約 80km を北東に向かって進んでいます 中心気圧は 970hPa 中心付近の最大風速は 35m/s の強い台風です 今後の進路予報では 30 日にかけて九州北部に接近し 佐賀県の農作物にも 影響を与えると予想されます このため 台風に伴う農作物被害対策を 別紙のとおり取りまとめましたの で 被害を最小限に抑えるための現地指導を徹底してください 佐城農業改良普及センター北部振興担当

Ⅰ. 水稲 1. 生育ステージ コシヒカリ : 穂孕み期 ~ 出穂期 夢しずく : 穂孕み期 さとじまん : 幼穂形成期 2. 技術対策 (1) 台風が近づけば 風による稲体の動揺を少なくするため深水管理とする 特に 穂孕み期 ~ 出穂期の水稲は茎葉の繁茂度が高く 水分の蒸散量が著しい時期にあたるので 可能な限りの湛水を行う (2) 茎葉の損傷により根の老化が進むことがあるので 台風通過後は新しい水と交換し こまめに間断灌水を行い 根の機能維持に努める (3) 台風通過後は穂や茎葉が損傷して いもち病や白葉枯病等が発生しやすいので常発地では注意する Ⅱ. 野菜 1. 生育ステージ (1) 雨よけ野菜の主要品目であるホウレンソウ パセリ等は 播種及び定植時期の違いにより生育ステージはさまざまである (2) 夏秋ナスや夏秋ピーマン 夏秋トマトは収穫期となっている (3) アスパラガスは夏芽の収穫期となっている (4) イチゴは 次作に向けた育苗期である また 次作に向けた土壌消毒 土作り期間である 2. 事前対策 < 雨よけ野菜 > (1) 収穫中の品目は 収穫できるものを早めに収穫する (2) 栽培中のハウスは 防風ネットや寒冷紗等で被覆して耐風性を強化する (3) ハウスバンドやラセン杭を補強し ビニルの破損部があれば修理しておく (4) 緊急時のために ビニルを除去できるよう準備しておく (5) アスパラガス等は 支柱が抜けないよう確認するとともに ネットをしっかり張って茎葉の損傷をできるだけ少なくする (6) アスパラガス等は茎葉損傷等による草勢低下を防ぐため 事前に追肥を行っておく (7) 播種予定のホウレンソウは 台風が通過した後 直ちに播種できるように古ビニル等のべたがけを行う (8) 排水溝の詰りがないかを確認し 緊急時のために強制排水の準備を行う (9) タンクに清水を汲んで置き 台風通過後の水洗や防除等に備える < 露地夏秋野菜 > (1) 収穫できる果実は 早目に収穫する (2) 支柱や防風ネットの補強を行う (3) 茎葉を支柱に誘引し 風雨による損傷を少なくする (4) マルチ等は 飛ばないようにしっかり止めておく (5) 他は雨よけ野菜の (8) (9) に同じ

< イチゴ > (1) 苗には薬剤散布を行い 立枯病を予防する (2) 薬剤散布のあと茎葉が乾燥したら 寒冷紗等でべたがけを行い 寒冷紗が吹き飛ばないように直管パイプやブロック等で押さえる (3) 土壌消毒中で密閉しているハウスはハウスバンドを締め直し 台風の強さによってはハウス本体を守るためビニルを除去できるよう準備を行う (4) 育苗床は排水溝を確認し 緊急時のために強制排水の準備を行う < その他 > (1) セルトレイやポット等で育苗中のものは 倉庫等に搬入する (2) 定植直後の圃場は 不織布等のべたがけを行う 3. 事後対策 < 雨よけ野菜 > (1) ビニル破損により風雨が降り込んだ場合 病害が発生する恐れがあるので必ず薬剤防除を行う (2) 破損したビニルはすぐに除去して新しいビニルを被覆し その後の降雨が当たらないようにする (3) 軟弱野菜類のべたがけを行ったところは 直ちにはずし 寒冷紗等で天井を被覆する (4) 倉庫等に移動した苗は 寒冷紗等で被覆したハウスに移す < 露地夏秋野菜 > (1) 風雨によって作物に損傷が生じている場合は 痛んだ茎葉や果実を除去する (2) 雨水が畦間に湛水している場合は 直ちに排水し マルチを畦の肩まで上げ 過湿による根傷みを防ぐ (3) 支柱の傾きや誘引資材の損傷があれば補修を行う (4) 茎葉の損傷等による病害発生を防ぐため 低濃度の薬剤散布を行う また 同時に草勢回復のため 葉面散布剤を混合する < イチゴ > (1) 台風が通過後 直ちにべたがけしていた寒冷紗等を取り除く (2) 育苗床が滞水している場合は 直ちに強制排水を行う (3) 茎葉の損傷等により病害の発生の恐れがあるので 薬剤散布を行う また 同時に草勢回復のために葉面散布剤を混合する (4) 茎葉が汚れた場合や潮風害の恐れがある場合は 直ちに清水を散布して洗い流す (5) 苗の傷みがひどい場合は 直射光線を防ぐため寒冷紗等を被覆して 草勢の回復を図る (6) ハウス周囲まで滞水している圃場では 強制排水により早急に排水を図る (7) 太陽熱土壌消毒中に浸冠水したハウスは 地温の低下による消毒効果の低下が懸念されるので 消毒期間を延長する (8) 薬剤による土壌消毒中に浸冠水したハウスは 効果の低下が懸念されるのでビニルを被覆したままの消毒期間を延長し 地温上昇による消毒効果を期待する

Ⅲ. 花き 1 生育ステージ < 施設栽培 > (1) 電照ギクは 育苗期から出荷期のものがある (2) バラは収穫期間で一部植え替え育苗中のものもある (3) カーネーションは定植期であり 中山間地は出荷期となっている (4) トルコギキョウは育苗期で 中山間部では生育期から出荷始めとなっている (5) ホオズキ シンテッポウユリは生育期から出荷期のものがある < 露地栽培 > (1) キク ホオズキ シンテッポウユリ等は生育期で 出荷期に入っているものもある 2 事前対策 < 施設花き > (1) ハウスの被害を最小限度にするために 次のとおり点検補強を行う 1 ハウスバンドの固定確認を行い 伸びているものは締め直す 2 天井ビニルを防風ネットや海苔網等で押さえる 3 らせん杭の設置間隔や機能が十分であるかを確認し らせん杭の強度を高める 4 栽培中のビニルハウスや硬質ビニルの施設は密閉し 風が強くなったら換気扇を回す 5 栽培が終了していたり 土壌消毒等を行っていないハウスは 早めにビニルを除去する (2) タンクに清水を汲んで置き 台風通過後の水洗や防除等に備える < 露地花き > (1) 倒伏 茎曲りを防止するため ネット上げやネット及び支柱の固定を行う (2) 圃場の周囲に排水溝を掘り 排水条件を良くする (3) 収穫できるものは早めに収穫する (4) タンクに清水を汲んで置き 台風通過後の水洗や防除等に備える 3 事後対策 < 施設花き > (1) 破損したハウスでは修理を早急に行い 雨がかからないようにする (2) ハウス内に水が入った場合は 早急に排水を行う (3) 倒伏した場合は 速やかに元に戻し ネットや支柱で固定する (4) 殺菌剤を早急に散布し 病害の発生を抑える (5) 液肥の葉面散布を行い 生育の回復を図る (6) 急激に天候が回復した場合 強光による葉焼けを防止するため 光量に応じた遮光資材のきめ細かな対応に努める < 露地花き > (1) 倒伏した場合は 速やかに元に戻しネットや支柱で固定する (2) 圃場に水が溜まった場合は 速やかに排水を行う (3) 殺菌剤を早急に散布し 病害の発生を押さえる (4) 液肥の葉面散布を行い 生育の回復を図る (5) マルチ下の土壌が過湿状態にあるときは 雨が上がってからマルチを剥ぎ 畦肩を露出させ土壌を乾燥させる

Ⅳ. 果樹 1. 生育ステージ < カンキツ類 > (1) 露地カンキツ類は 果実肥大期で 強風による風傷果が発生しやすい時期である (2) ハウスミカンは 被覆 加温時期の違いにより収穫の終了した園から果実肥大期の園とさまざまである < 落葉果樹類 > (1) ハウスナシ ハウスブドウは収穫中 ~ 収穫後である (2) その他の落葉果樹 ( ブドウ カキ等 ) は 果実肥大期であり 強風による落果や風傷果が発生しやすい時期である 2. 事前対策 < 露地カンキツ類 > (1) 強風により枝葉や果実が傷つき かいよう病が発生しやすいため 台風襲来の 1~7 日前に銅水和剤等の散布を行う (2) 高接ぎ更新樹や開張性の強い品種では 強風による枝折れが心配されるため 支柱を立てて枝を誘引 固定する また 幼木は頑丈な支柱を立てて誘引 固定し倒伏を防止する (3) 大雨による土壌流亡や土砂崩れを防ぐため 園内外を巡回し集排水溝を点検する (4) マルチ被覆園では圃場を点検し マルチ押さえを増やすなど 風により被覆資材が飛ばされないようにしておく (5) 風向きによっては潮風害が発生する恐れがあるので 散水のための用水を確保しておく < 施設栽培 > (1) ハウス全体を点検し 破損個所の修理 ハウスバンドの締め直しを行う (2) 強風時にはハウスの強度を高めるため 完全にハウスを密閉し 換気扇を作動させてハウス内を負圧にし ビニルのあおりを少なくする (3) パイプハウスの強度は一般に風速 30m/s とされている 風が強すぎる場合にはハウス本体を守るために ビニルを除去する < 落葉果樹類 > (1) 成熟期を迎えている樹種で収穫可能なものは収穫する (2) 果樹棚の点検を行い 破損個所等の補修を行っておく また 上下のあおりで 果実のスリ傷や落果が増えるため パイプによる補強やアンカーを増設し引き下げを行う (3) 枝葉の損傷や落果防止のために 結果枝を誘引 固定する (4) 幼木は頑丈な支柱を立てて誘引 固定し倒伏を防止する (5) 強風雨によりカキの炭疽病等の発生が増加するため 台風襲来前に薬剤防除を行う 3. 事後対策 < 露地カンキツ類 > (1) 潮風害の発生が懸念される場合は 台風通過後なるべく早く 2t/10a の真水を散水し 付着した塩分を洗い流す (2) 強風や土砂崩れ等で倒伏した樹は 早急に起こし支柱を立てて誘引 固定する また 根元を敷きワラ等で保護して樹勢の回復を促す

(3) 強風で折れた枝は早急に元に戻し ヒモ等で結束する 枝折れがひどい場合は切り落とし 傷口に癒合剤を塗布する (4) マルチ栽培で被覆資材がはがされた場合は 台風通過後直ちに修復するとともに 晴れ間をみて資材を開放し土壌の乾燥に努める (5) 風向きによっては潮風害が発生する恐れがあるので 散水のための用水を確保しておく < 施設栽培 > (1) ハウス施設が損壊した場合には 早急に修復する (2) ハウス内に雨水が浸入した場合には 園外への排水を図る また ハウス内の湿度を下げるため 換気を十分に行う (3) ハウスみかんでは褐色腐敗病の発生が予測されるので 台風通過後薬剤散布を行う 収穫が近い場合には腐敗防止剤を散布する < 落葉果樹類 > (1) 落果した果実はヤガ等の吸汁害虫が誘引されるため 集めて園外に持ち出す (2) 果樹棚や防風ネット等の施設の損傷は早めに修理する (3) 倒伏した樹は早急に立て直し 根元を保護して樹勢の回復を促す (4) 強風によって枝葉が損傷しており カキの炭疽病等を始めとした病原が感染しやすくなっているため 台風通過後は早急に薬剤散布を行う