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表 2 カテーテルアブレーションの合併症 当院 表 3 WPW 症候群のハイリスク群 主要合併症 % その他の合併症 1 心房細動時の最短 RR 間隔が 220ms 以下 脳血管障害 完全房室ブロック 心タンポナーデ 大腿動脈裂傷 0.2 0.1 0.2 0.1 心嚢液貯留 血腫 不完全房室ブロック 薬物アレルギー 鼠径部痛 0.3 2.0 0.1 0.2 0.4 2 副伝導路有効不応期が 250ms 以下 3 心房細動と房室回帰性頻拍の合併例 4 複数の副伝導路を有する場合 5 心疾患合併例 Ebstein 奇形 低心機能例 6 心房受攻性の亢進 737 例 2002 年 1 月 2007 年 11 月 文献5 より引用 においても薬物療法よりはるかに優るものと考 電図所見を呈する症候群を言う 副伝導路の順 えられる しかし 全ての頻拍性不整脈がカテ 行性伝導が存在せず 従ってデルタ波を有しな ーテルアブレーションの適応となるわけではな い 逆行性伝導しかない WPW 症候群を 潜 く 常に重篤な合併症が起こりうることを考慮 在性 WPW 症候群と言い この場合は体表心 しなければならない 表 2 電図からの診断は不可能である WPW 症候群 多施設の共同研究によるカテーテルアブレー は 顕性 潜在性共に房室結節と副伝導路を介 ションの成功率は 副伝導路アブレーションで して心房と心室の間で興奮旋回する房室リエン 93 房室結節回帰性頻拍のアブレーションで トリー性頻拍を呈する また WPW 症候群は 2 3 97 心房粗動や心房頻拍では 70 となっ 健常者に比べ心房細動を発症する率が高く 特 ている 一方 1996 年の報告による重篤な合併 に 副伝導路の順行性不応期が短い例では心房 症は 3 で 完全房室ブロック 心筋穿孔 心 細動から心室細動 Pseudo VT に移行し突 タンポナーデ 脳血栓塞栓症 大動脈弁や僧帽 然死に至る危険性がある 表 3 に WPW 症候 4 6 弁の弁損傷などが報告されている なお当院 群で突然死をきたす可能性の高いハイリスク群 における重篤な合併症は 1 未満である を示す 2001 年の循環器学会が発表したガイドライ 副伝導路に対するカテーテルアブレーション ンではアブレーションの適応になる不整脈を は 僧帽弁輪部あるいは三尖弁輪部の局所電位 症候性の頻拍で薬剤抵抗性の場合 あるいは患 で 心房 - 心室間の最短伝導時間を示す部位が 者が薬物服用が困難であったり 薬物の長期服 至適焼灼部位となる また 副伝導路が逆伝導 5 しかない潜在性 WPW 症候群においては 心室 用を望まない場合などとされている しかし アブレーションを第一選択とするか ペーシングを行い局所の心室 - 心房伝導時間の 否かに関しては 各施設における経験と成績に 表 4 房室結節回帰性頻拍と副伝導路アブレーションの成功 率と再発率 応じて決定するのが妥当である 以下 各々の疾患に対する概要とアブレーシ ョンの適応について述べる WPW 症候群 マハイム束 房室リエント 不整脈 症例数 成功率 再発率 房室結節回帰性頻拍 373 97% 5% 副伝導路 500 93% 8% 左側自由壁 270 95% 3% 右側自由壁 92 90% 14% 後中隔 98 88% 12% 前中隔 40 98% 17% 36 86% 21% 121 100% 2% リー性頻拍 Atrioventricular reentrant tachycardia : AVNRT WPW 症候群とは正常の房室結節を介する伝 導路以外に 房室弁輪部に心房と心室を連結す る房室間副伝導路が存在し PR 間隔の短縮や 複数副伝導路 房室接合部 心室早期興奮によるデルタ波などの特徴的な心 77 323 文献 2 より引用

表 5 WPW 症候群に対するカテーテルアブレーションの適応 1 生命の危険がある心房細動発作または失神などの 重篤な症状や QOL の低下が著しい頻拍発作の既 往がある場合 2 頻拍発作があり 薬物療法が無効または副作用の ため使用不能または患者が薬物治療の継続を望ま ない場合 1 頻拍発作のないハイリスク群で パイロットや公 共交通機関の運転手など 発作により多くの人命 にかかわる可能性のある場合 は絶対適応 Class Ⅱは意見が分かれる相対適応 房室結節を逆行性にリエントリーする逆方向性 リエントリー antidromic AVRT である アブレーションは三尖弁輪周囲のマッピングに てマハイム束電位と呼ばれるヒス束波様の spike 電位記録部位のカテーテルアブレーショ ンで比較的容易に根絶可能であるが まず マ ハイム束であるかどうかを疑い 確定診断する ことが重要である 房室結節回帰性頻拍 Atrioventricular nodal reentrant tachycardia : AVNRT WPW 症候群と同様に発作性上室性頻拍の約 最短部位に対して焼灼を行う WPW 症候群に 40 を占める頻拍症である 対するカテーテルアブレーションの有効性 安 房室結節における二重伝導路 房室結節への 全性は確立されており 1999 年の多施設共同 前方入力路である速伝導路/fast pathway と後 研究によるアブレーション成功率は左側自由壁 方からの入力路である遅伝導路 /slow path- 95 右側自由壁 90 前中隔 98 後中 way 間のリエントリーが本頻拍の機序である 2 頻拍の 90 は slow pathway を順行性に fast 隔 88 と報告されている 表 4 ACC/AHA ガイドラインではアブレーショ pathway を逆行性に旋回する通常型 AVNRT ンの絶対適応として 症状を有し薬剤抵抗例 で 残り 10 は非通常型 AVNRT fast path- 副伝導路の順行性有効不応期が短縮しているハ way を順行性に slow pathway を逆行性に旋回 イリスク例をあげている 表 5 しかし カテ である slow pathway か fast pathway のどち ーテルアブレーションの経験豊富な施設では成 らか一方の伝導路を焼灼すれば根治できるが 功率 95 以上 われわれの施設ではそれぞれ fast pathway アプローチは高率に完全房室ブ 左側自由壁 99.2 中隔 98.6 右側自由壁 ロック起こす危険性があるため 現在では slow 99.0 である で さらに合併症の発生率も少 pathway のアブレーションが選択される slow なく適応は拡大されつつある 前述のハイリス ク群や薬剤抵抗性ばかりではなく 頻拍発作が あり患者が薬物療法よりカテーテルアブレーシ ョンを望む場合は WPW 症候群の全例が適応 と考えてよい さらに職業や社会的問題 パイ ロットや公共交通機関ドライバー 高所や水中 での作業者 スポーツ選手 を考え 頻拍の既 往がなくとも社会的適応の観点からカテーテル アブレーションが選択される場合もある また 特殊な副伝導路症候群としてマハイム 7 束による房室リエントリー性頻拍がある マ ハイム束は WPW の副伝導路と異なり心房と 脚枝などの刺激伝導系を連結する副伝導路で房 表6 房室結節回帰性頻拍に対するカテーテルアブレーション の適応 1 失神などの重篤な症状や QOL の著しい低下を伴 う頻拍発作の既往がある場合 2 頻拍発作があり 薬物治療が無効または副作用の ため使用不能または患者が望まない場合 1 頻拍発作の心電図が確認されているが 電気生理 検査で頻拍が誘発されず二重房室結節のみが認め られた場合 2 他の頻拍に対するカテーテルアブレーション治療 中に偶然誘発された房室結節リエントリー性頻拍 Class Ⅲ 1 頻拍発作の既往のない患者において 電気生理検 査中に二重房室結節伝導路が認められるが 頻拍 は誘発されない場合 室結節様の減衰伝導特性を有する 通常逆伝導 はなく起こりえる頻拍はマハイム束を順行性に は絶対適応 Class Ⅱは意見が分かれる相対適応 Class Ⅲは非適応となる 78 324

pathway に対するアブレーションは Koch 三 部位を同定することは それほど困難ではなく 角部後下部で slow pathway potential と 数回の通電で根治可能な場合が多い よばれる特徴的な棘波を呈する心房波が記録さ れる部位に通電を行う AVNRT に対するカテ 心房粗動 Atrial flutter : AFL ーテルアブレーションのガイドラインを表 6 に 通常型心房粗動は三尖弁輪を反時計方向に旋 示す AVNRT に対するカテーテルアブレーシ 回するマクロリエントリーである そのカテー ョンの成功率は 97 前後 再発率は 5 前後 テルアブレーションのターゲットは三尖弁輪部 合併症発生率は 1 前後と報告されている 表 と下大静脈 Isthmus を線状焼灼することに 2 4 AVNRT の至適焼灼部位が中隔に存在 よって 99 以上の確率で成功する しかし するため 合併症として完全房室ブロックの割 何らかの基礎心疾患に伴う心房障害部位や心手 合が高く注意すべき点としてあげられる 当院 術後の心房切開瘢痕部周辺を旋回する非通常型 では成功率 100 房室ブロックに関しては通 の心房粗動 incisional reentry の回路は複 電直後に一過性の 2 1 房室ブロックを一例の 雑で 通常の心内電位図のみではリエントリー みに認めたが 恒久的ブロック例はない 回路の把握は困難である しかし このような 非通常型心房粗動でも CARTO や EnSite TM などの三次元的マッピングする事が可能な機材 心房頻拍 Atrial tachycardia AT 頻拍による強い症状を伴う場合 あるいは持 続ないし反復性に著明な頻拍が生じる場合は心 機能の低下 tachycardia induced cardiomyopa- thy をきたすことがある 頻拍の機序は異所性 自動能亢進 ないしは術後の心房切開瘢痕部周 辺 incisional AT や房室結節近傍 アデノシ ン感受性 AT などに生じるリエントリーが機序 である 通常 AT は概ね薬剤抵抗性が多くアブ レーションの適応となる例が多い 表 7 しか し標的部位が後中隔や房室弁輪部に限定されて いる AVNRT や WPW 症候群と異なり AT の 起源は心房内のすべての部位が発生源となり得 るためマッピングに多少時間を要するが 経験 の豊富な施設では AT の起源である最早期興奮 表 7 心房頻拍に対するカテーテルアブレーションの適応 1 症状を有する頻拍起源の限局した心房頻拍で薬物 治療が無効または副作用のため使用不能な場合 1 症状を有する頻拍起源の限局した心房頻拍で薬物 治療が有効な場合 2 症状のない心房頻拍で基礎心疾患を有し心室機能 低下を伴う場合 Class Ⅲ 1 症状のない心房頻拍で心室機能が正常な場合 は絶対適応 Class Ⅱは意見が分かれる相対適応 Class Ⅲは非適応 TM が用いられるようになり 興奮回路を同定する 8 ことが容易となり手術成績が向上した 表 8 にⅠ型心房粗動に対するカテーテルアブ レーションの適応を示す 表8 I 型心房粗動に対するカテーテルアブレーションの適応 1 1:1 房室伝導を伴うもの 失神や心不全などの強 い症状をう伴う頻拍発作 または QOL の著しい 低下を伴う場合 2 症状があり薬物治療が無効または副作用のため 使用不能な場合 1 電気生理検査中にⅠ型心房粗動が誘発されない が パイロットや公共交通機関の運転手など 発 作により多くの人命にかかわる可能性のある職業 にあうる場合 2 他の頻拍に対するカテーテルアブレーション治 療中に偶然誘発されたⅠ型心房粗動 3 心房細動に対する抗不整脈治療中に出現したⅠ 型心房粗動 は絶対適応 Class Ⅱは意見が分かれる相対適応 心房細動 Atrial fibrillation : Af 心房細動の機序は複雑で 興奮旋回説や異所 性刺激生成説などがあるが 基礎心疾患を持た ず 心房径の比較的小さな心房細動の多くは異 所性起源の巣状興奮 firing や期外収縮がト リガーとなって心房の各部位で細動様興奮旋回 79 325

表 9 心房細動に対するカテーテルアブレーション あるいはカテーテルアブレーション治療困難な : なし 1 重篤な症状または QOL の著しい低下を伴う薬物 治療抵抗性または副作用のため使用不能な心房細動 で 不整脈起源が限定されているもの Class Ⅱb 2 重篤な症状または QOL の著しい低下を伴う薬物 治療抵抗性または副作用のため使用不能な心房細動 で 複数の肺静脈に起源が認められるもの Class Ⅲ 1 重篤な症状や QOL の著しい低下を伴う薬物治療 抵抗性または副作用のため使用不能な心房細動で も 電気生理検査で頻拍の機序が不明であった場合 2 薬物治療が有効な心房細動 3 QOL の著しい低下を伴わない心房細動 症例においては房室接合部離断術の適応が考え られる 本法の問題点はペースメーカー植え込 みが必要な点である したがって 本法適用に 関する患者への十分な説明が必須である しか し 従来のアブレーション難渋例に対する新た な方法や新しいアブレーション用ディバイスが 数多く開発されたため 上述した難治性不整脈 に対しても房室接合部のアブレーションの適応 は減少しつつある 右側からのアプローチでほ ぼ房室接合部離断は可能な場合が多いが 稀 に 左側からの焼灼が必要な場合がある 両方 は絶対適応 Class Ⅱは意見が分かれる相対適応 Class Ⅲ 法を用いれば成功率はほぼ 100 近い 尚 当 は非適応 院ではこれまでにアブレーションを施行した約 750 例中接合部アブレーションを施行したのは が生じていると考えられるようになった その 2 例のみである 発生部位の約 80 以上が肺静脈と考えられて おり 左房と肺静脈間の伝導をカテーテルアブ レーションによって隔離する 肺静脈隔離術 心室性期外収縮(Ventricular Premature contraction) が様々な手法で行われている しかし 当施設 心室性期外収縮は 一般的に良性な不整脈 では 必ずしも心房細動源性期外収縮が肺静脈 で基礎疾患がなく心室頻拍に移行するような ではなく 上大静脈あるいは下大静脈と右心房 危険性のないものに対する治療は不要である との接合部または冠静脈洞から巣状興奮 fir- (表 10) しかし当施設では 強い症状を有し 著しく日常生活に支障をきたす症例で 投薬 より根治療法を希望される方にはカテーテル アブレーションを施行している ing が発生し 同部位の通電にて心房細動が 根治した症例も経験しているので 心房細動に 対するカテーテルアブレーションはガイドライ ン 表 9 にもあるように直に肺静脈隔離をす 表 10 心室性期外収縮に対するカテーテルアブレーションの適応 るのではなく 不整脈起源が肺静脈に限定され ているものを適応とした方が好ましいと考えて いる また 心房細動治療群に I 群抗不整脈薬 を投与して粗動化した例に Isthmus のアブレ ーションを行い洞調律に復帰させる方法を Hybrid Therapy と呼び アブレーション後も 抗不整脈薬を予防的に投与することで 有効率 : なし 1 単源性心室期外収縮が多形成心室頻拍を誘発され ることが証明されている場合 Class Ⅱb 1 QOL の著しい低下や心不全を有し 薬物治療が 無効または副作用のため使用不能な多発する右室 起源の心室期外収縮 は絶対適応 Class Ⅱは意見が分かれる相対適応 Class Ⅲ 9 が高くなることも報告されている は非適応 房室接合部アブレーション Atrioventricular junctional ablation 心室頻拍 Ventricular tachycardia:vt 心室頻拍に対するアブレーションの適応は 持続性あるいは発作性の心房細動や非通常型 まず明らかな基礎疾患を持たない特発性心室頻 心房粗動 および心房頻拍などにより強い自覚 拍である 特に代表的なものは QRS 波形が左 症状や血行動態の破綻をきたし 多剤薬物療法 脚ブロック 下方軸を示すもので 右室流出路 80 326

表 11 心室頻拍に対するカテーテルアブレーションの適応 および心室頻拍症の治療として確立された治 1 症状を有する右室流出路起源の特発性持続性心室 頻拍および左室起源の特発性ベラパミル感受性特発 性持続性心室頻拍で薬物治療が無効または副作用の ため使用不能または患者が服薬を望まない場合 1 症状を有する基礎心疾患に伴う単形成持続性心室 頻拍 2 植え込み型除細動器植え込み後に除細動通電が頻 回に作動し 薬物治療が無効または副作用のため使 用不能な心室頻拍 療となったが いまだに心房細動や基礎心疾 は絶対適応 Class Ⅱは意見が分かれる相対適応 Class Ⅲ は非適応 患に伴う心室頻拍の成績は充分とはいえず これらの複雑な機序による不整脈に対する治 療もさらなる発展が望まれるところである 文献 1 大城力 沖重 薫 : カテーテルアブレーションの適 応と成績 臨床医 中外医学社 2002 年 vol. 28 No6:685-89 2 Calkins H et al. Catheter ablation of accessory pathways, atrioventricular nodal reentrant tachycardia, and atrioventricular junction Final results of a prospective, multicenter clinical trial. 起源である 稀に左室流出路起源の事もある 流出路起源の心室頻拍は運動やカテコラミンで Circulation 1999; 99: 262-70. 3 Sheinenmann MM : NASPE survey on catheter 誘発されやすく機序は triggered activity と考 ablation. PACE 1995 ; 18 1474-8. えられβブロッカーが有効なことが多いが ア 4 Hindricks G : Incidence of complete atrioventricular ブレーションも容易で患者が希望される場合は block following attempted radiofrequency catheter modification of the atrioventircular node in 880 当院では第一選択にしており 95 以上の成功 patients : results of the Multicenter European 率である また左室起源の特発性心室頻拍で右 Radiofrequency Survey MERFS : the Working 脚ブロック 左軸偏位 稀に右軸偏位 を示す Group on Arrhythmias of the European Society of 心室頻拍もアブレーションの良い適応である cardiology. Eur Heart J 1996 17 82-8. 通常心室頻拍は Na チャネルブロッカーが有効 であるが 上記の特発性左室起源心室頻拍は 5 循環器病の診断と治療に関するガイドライン Japanese Circulation Journal. 2001 ; vol. 65 Suppl,V 6 Zardini M Risk of sudden arrhythmic death in the Ca チャネルブロッカーが著功し機序は Wolff-Parkinson-White syndrome and atrial Purkinje network 間のリエントリーと考えら fibrillation. Relation between refractory period of れている アブレーションは左室後中隔下部で accessory pathway and ventricular rate during atrial ペースマッピングを行い比較的良好なペーマッ ピングが得られる部位の近傍で できるだけ早 fibrillation. Am J Cardiol 1974 34 777-82 7 大城力 芳田久 新里達志 山城啓 マハイム束に 対する高周波カテーテルアブレーション 沖縄県医師 期性を有する Purkinje 電位が記録される部位 会報誌, vol.42 No3 2006. にて焼灼すると容易に頻拍は停止する 表 11 8 大城力 芳田久 新里達志 山城啓 Electroanatomical 著者らは以前に右脚ブロック 左軸偏位と右脚 mapping system CARTO により複数の心房粗動を同定 しカテーテルアブレーションに成功したファロー四徴症 ブロック 右軸偏位の 2 つの頻拍を有する VT に対して中隔側の Purkinje 電位記録部位の通 術後の一例 沖縄県医師会報誌, 2007 年 投稿中 9 新里達志 芳田久 大城 電にて両頻拍が誘発されなくなった症例を報告 No.3, 0917-1428 2004. したがおそらく成功部位の Purkinje が両頻拍 の中心共通路だったと推測される 力 山城啓: 心房細動に対 する Hybrid therapy の効果, 沖縄県医師会報誌 Vo.40 10 大城力 芳田久 新里達志 山城啓 頻拍中拡張期 10 電位の記録された中隔側の高周波カテーテルアブレー ションで 同時に 2 種類の左室起源心室頻拍の消失に まとめ 成功した一例 沖縄県医師会報誌, vol.42 No4 46- カテーテルアブレーションは多くの上室性 81 327 49 2004 年.

著 者 紹 介 12 月号 Vol.43 の正解 翔南病院 循環器科 大城 力 生年月日 昭和 40 年 11 月 9 日 出身地 沖縄県 名護市 出身大学 琉球大学医学部 平成 2 年卒 歴 平成 2 年 1 論文 耳鼻咽喉科領域の内視鏡下手術 問題 次の中から間違っているものを選べ 略 平成 4 年 平成 10 年 平成 13 年 平成 13 年 平成 15 年 琉球大学医学部附属病院 第 2 内科 医員 沖縄県立那覇病院 勤務 北部地区医師会病院 勤務 琉球大学医学部附属病院 第 2 内科 助手 横浜赤十字病院心臓病センター 勤務 翔南病院 循環器科主任 心臓カテーテ ルセンター長 1 内視鏡は顕微鏡とくらべ 視野が広く構造 物の裏面も観察できる 2 内視鏡画像では奥行きの情報も得られる 3 ナビゲーションシステムには術前画像を用 いるものと術中画像を用いるものがある 4 鼻副鼻腔良性腫瘍は内視鏡下手術の良い適 応である 5 耳鼻咽喉科領域では主として硬性内視鏡が 手術に用いられる 正解 2 専攻 診療領域 循環器 不整脈 その他 趣味 読書 映画鑑賞 2 論文 転移性骨腫瘍と放射線治療について 問題 次のうち 正しいものを選択せよ Q U E S T I O N 次の問題に対し ハガキ 本巻末綴じ でご 回答いただいた方に 日医講座 5 単 位を付与いたします 問題 次のうち正しいのは何番か 1 頻拍発作のない WPW 症候群はカテーテル アブレーションの適応はない 2 房室結節回帰性頻拍に対するアブレーショ ンは slow pathway の選択的アブレーション 1 全胆癌者のうち 転移性骨腫瘍の罹患率は 10 程度と推定されている 2 脊髄圧迫を伴う単発の転移性骨腫瘍に対す る治療法の第一選択は 放射線療法である 3 放射線治療による転移性骨腫瘍の除痛効果 は 80 90 である 4 乳癌や前立腺癌の転移整骨腫瘍は 肺癌に よる転移性骨腫瘍よりも放射線治療による除 痛効果は高い 5 脊椎への照射の際は 照射野として転移巣 に上下 1 椎体を含めて設定するのが 一般的 である である 3 通常型心房粗動は心房中隔の卵円窩の周囲 正解 3 4 5 をリエントリーする頻拍である 4 基礎心疾患のない心房細動の多くは洞房結 節の周囲から発生する 5 左室起源の特発性心室頻拍治療第一選択薬 は Na チャネルブロッカーである 2 月号に掲載しましたコーナーの設問の 部分 81 ページ に誤りがありましたので 下記 のとおり訂正し お詫び申し上げます 正 c. MCV/RBC 106/μ l <13 のときは サラセミアを疑う 誤 c. MCV/RBC 106/μ l <13 のときは サラセミアを疑う 82 328