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Transcription:

下村脩長崎大学名誉博士ノーベル化学賞受賞記念講演会 ノーベル賞受賞の原点 - 長崎大学 平成 21 年 3 月 22 日 ( 日 ) 長崎大学中部講堂 世界には無数といって良いほど多くの種類の発光生物 - 光る生き物 -が存在しております ホタルは誰でも知っている発光生物ですが, 今から 5 月まで富山湾で沢山とれるホタルイカもそうですし, 駿河湾でとれるサクラエビも発光生物です これはオキアミです 地球上で最も多量に存在する生き物だといわれています 足の付根に 10 個の発光器を持っておりまして刺激により強い光を出します 昼間は通常 300 m くらいの深い海で大きな群れをなして住んでおりますが, 夜になると浅い所に浮き上がってきます 鯨の食べ物になりますが, 鯨が食べるときには何千匹ものオキアミを一遍に口に入れますので, 口の中が青く輝くように光って壮観だろうと思います 昨年私は緑色蛍光タンパク質 GFP を発見した功績でノーベル賞を受賞しました 私はいままでに 10 種類以上の発光生物を化学的に研究しましたが, そのうちの一つ, オワンクラゲの発光物質の研究中に副産物として GFP を発見したのであります いま自分の過去を振り返って見ますと, 私の GFP の発見は天の導きによるものであり, 天は私を使って人類に GFP を与えたのではないかと思うことがあります 私は 1928 年に京都府福知山で生まれました 5 才まで福知山に居ましたが, 父が軍人であったために, そのあと佐世保, 満州, 大阪, 諫早と住所が転々と変わりました これは佐世保の幼稚園時代です 左側が弟です その後小学校の 1 年から 3 年までの 3 年間を南満州の片田舎で過ごしました 日本人学校の同級生はたった 4 人, 遊ぶものが何もなく, 夏の間は魚釣り, 冬はスケートくらいしか楽しみがありませんでした これは小学校 4 年の時, 佐世保に帰った後, 父が一時帰国したときの写真です 白南風小学校 5 年の時の写真ですが, この後ろにある校舎は木造 2 階建て, ここにあるお宮のような小さな建物は 奉安殿 と呼ばれて, その頃は何処の学校にもありました 中には天皇陛下のお写真と教育勅語のような大事なものが保管してあって, その後戦争がひどくなって空襲警報が出ると, 校長先生や教頭先生がそれを捧げ持って, 防空壕に走るのでありました 中学校 2 年生の時の写真です 大阪の住吉中学校です 私は背が高いのでいつも同じポジションにおります ちょっと見ていただきたいのは, 足ですね 戦争がひどくなって皆軍隊式になって足にゲートルを巻いております 巻きゲートルです 住吉中学 4 年生であった 1944 年の夏のことですが, 戦況が悪くなり大阪が危なくなり -1-

ましたので長崎県諫早に疎開しました ところが 9 月 1 日に諫早中学に初登校しましたところ直ちに勤労動員され, 海軍航空廠で働かされることになりました 工場で働き出して約 1 年後の 1945 年の 8 月 9 日に長崎に原子爆弾が落ちました その日は朝 11 時に空襲警報が出たので, 我々は防空壕に行かずに工場のすぐそばの丘に登って空を見ました B29 が 1 機北から飛んで来て長崎の上空でパラシュートを 2 つ 3 つ落しました それには種々の測定器と送信機がついていたのです 数分後にもう 1 機の B29 が現れ, それが同じコースで長崎上空に達したとき空襲警報が解除になりました 我々は工場に戻り, そして仕事を始めようとしたその瞬間に強烈な閃光がひらめいて目がくらみ, 暫くして轟音と爆風が来ました 長崎市は一瞬にして廃墟となりました 長崎が原子爆弾を受けて 6 日後の 8 月 15 日に日本は無条件降伏し, 戦争は終わりました それで我々の勤労動員は終わりましたが, しかし戦後の混乱で私を入れてくれる学校はどこにもありませんでした その頃は入学試験に内申書が大事な時代でした 私は諫早中学を卒業したことにはなっていますが, 勤労動員のため 1 日も諫早中学で勉強したことがなく, 担任の教師もいなかったので内申書が貰えなかったのであります 2 年間あてもなく浪人しましたが, それは私の人生で一番惨めな期間でした 3 年目になって原爆で破壊された長崎薬専, 正確には長崎医科大学附属薬学専門部の仮校舎が私の家の近くにできました そして, 諫早中学のある親切な先生が内申書を書いて下さって, その内申書のおかげで長崎薬専に入学することができたのです そのご恩のある先生の名前を思い出せなかったのですが, あだ名はユーチャンでした 幽霊のユーチャンです ところが 2,3 日前, 諫早市役所に行きましてその先生の名前が カジタニ 先生であることがわかりました 長崎薬専を卒業した後, 長崎大学薬学部の安永教授の学生実験の助手にしてもらいました 安永先生は親切で人望のある先生でした 4 年経ったとき私に 1 年間内地留学の許可をとって下さり, そして名古屋大学の分子生物学で有名な江上不二夫教授に紹介するといってわざわざ夜行列車で名古屋に連れて行って下さったのです 長崎駅を夕方 7 時頃の急行 雲仙 で出ますと, 翌朝 8 時に名古屋に着きます 朝ご飯を食べて, すぐ江上先生の研究室に伺ったのですが, しかし, 運悪く江上先生は東京に出張中で留守でした 安永先生はもう一人の知人である天然物化学の平田義正教授に挨拶に寄られたので私もついていきました ところが数分の雑談のあと我々が平田先生の部屋を辞去するとき平田先生が私に向かって いつからでも私の所に来ていいです といわれたのです 平田先生が勘違いされたのか故意にいわれたか今でも判りませんが, 私にとっては分子生物学も天然物化学も全く知らないのでどちらでも同じようなものです 私は平田先生の言葉は天の導きかもしれないと思い平田研に行くことに決めました この決定が私を生物発光研究に導いたことになります 平田研究室での最初の日に先生は乾燥ウミホタルを入れた大きな真空デシケーターを出 -2-

してきて説明されました ウミホタルは小さな甲殻類で日本沿岸に多いこと, 青い光を出すがそれはルシフェリン (luciferin) という化合物とルシフェラーゼ (luciferase) という酵素の反応によること, ルシフェリンは非常に不安定で空気中ではすぐ酸化されて分解してしまうこと, プリンストン大学の Newton Harvey 教授の研究室では長年ルシフェリンを精製する努力をしてきたが, 不安定な性質のためまだ完全に精製することができていないこと等を話されました そして私にルシフェリンの構造決定をするためにルシフェリンを精製して結晶にして下さいといわれたのです 結晶にして といわれたのは当時は結晶化が物質が純粋であることを示す唯一の方法であったからです 私は特別に作ってもらった Soxhlet 装置を使い水素ガス中で 500 g の乾燥ウミホタルからルシフェリンを抽出精製しようとしました これが特製の Soxhlet 装置です 大きくて高さが 1m30cmセンチくらいあります 水素ガスはここから入って, 銅片を詰めた赤熱した石英管を通して不純物の酸素を除き, そしてこの装置のここを満たします その次に, ここのストップコックを開けまして, こちらから真空ポンプで中を減圧にしますと, ここにあるメタノールが沸騰して, メタノール蒸気がコンデンサーで冷やされて液体に変わりここに滴下して抽出が始まります それからここのストップコックを閉じますと, メタノールによる抽出は何時間も自動的に続きます 水素ガスは危険だというのが一般的な考えですが, よく性質を知っているとそういうことはないと思います ただし私が水素ガスを使っている間, 誰も私の側に来なかったようです 抽出精製は昼夜兼行 5 日間かかる実験でしたが, 試行錯誤の末 500 g の乾燥ウミホタルから 2mgの精製ルシフェリンが得られました それを結晶化しようとしましたが, どんな方法を使っても無定型の沈殿ができるばかりで結晶の痕跡も得られません 精製したルシフェリンは 2 日位で完全に分解してしまうので, 新しく乾燥ウミホタルからの抽出精製を何回も繰返し, ルシフェリンの結晶化の努力をしました ありとあらゆる結晶化の方法を試みました 10 ヶ月間一生懸命努力してやっとルシフェリンの結晶化ができたのですが, その結晶化は, 常識では考えられないような条件で起きたのです 結晶化には濃塩酸が必要だったのです ルシフェリンの結晶化は偶然の成功であったとはいえ, プリンストンの偉い学者たちができなかったことを学識も経験も無い私が成し遂げたのです この成功は終戦以来灰色であった私の将来に希望を与えました 私は本当に嬉しくて, 興奮で夜も眠れないほどでしたが, あとから考えると, 私の得た最も大きな収穫は, どんな難しいことでも努力すればできるという自信でした 結晶ルシフェリンを使って数年後には岸義人さん, 今ハーバード大学の教授ですが, 岸さんの努力でルシフェリンとその酸化物の構造が判りました これがルシフェリンで, これが酸化物です これらの構造は後日発光タンパク質イクオリンの研究のとき絶対必要な -3-

データとなります 1959 年にウミホタル研究の成果を知ったジョンンソン教授からプリンストン大学で研究してはどうかと誘いの手紙を受け取りました 1960 年 8 月, 私はフルブライト奨学生の一員として氷川丸の最後の航海で横浜からシアトルに向けて出帆しました 船客と見送り人とを結ぶ無数の色テープが, 船が静かに動き出すと少しずつ切れて落ちる, 忘れ得ぬ光景です 13 日間の船旅と三日三晩の大陸横断の鉄道の旅のあとプリンストンに着きました 着いて暫くした頃ジョンソン博士からオワンクラゲという発光クラゲの研究をする気があるかと訊ねられました 彼の説明によるとワシントン州のフライデーハーバーという所に非常に多いクラゲで, 明るく光るというので私はそのクラゲの研究に同意しました 1961 年 6 月, 我々はプリンストンを車で出発して大陸を横断してフライデーハーバーに向かいました これは途中でロッキー山脈を越えた頃の写真ですが, 車に薬品や実験器具をいっぱい積んでいますので, 車体が大分下がっております 5,000 km ドライブしてフライデーハーバーに着きました フライデーハーバーは小さな島にある静かな漁村でした 本土との間をフェリーが1 日に 3 回か 4 回つなぎます ここにあるボートは鮭漁船, 小さな水上機はエアータクシーです 研究所はこの辺の岸辺にあります これがワシントン大学の研究所の写真です 向こうが東の方向で遠くに本土のカスケードマウンテンの山が見えます これが雪を被ったマウントベーカーです クラゲは実に豊富でした ときとして群れをなしてこういう風に沢山おります 私たちがクラゲをとっていると時々土地の人が寄ってきて, クラゲをとるなら LadySmith に行きなさいといわれました LadySmith に行くと,LadySmith は 20 ~ 30 km 離れた場所ですがそこに行くと, 海のクラゲの上を歩けるというんですね 実際歩けるはずはないです, いくら沢山クラゲがいたって だけどそれほど沢山いるということです オワンクラゲの発光器は傘の縁にあります これが縁ですね 暗いところで光らせるとリングになります 緑色の発光でリングになります 我々はこの発光器の付いている部分をリングと呼びました 大きな網でクラゲをとると発光器を壊しますので, 我々はクラゲを一つ一つ注意深く特製の採集網ですくい上げました そしてリングだけをハサミで切り取って研究に使い, 研究に不必要な大部分のボディーは海に捨てました 当時, すべての生物発光はルシフェリンとルシフェラーゼの反応で起きると考えられていました したがって我々は発光器からルシフェリンとルシフェラーゼを抽出しようとしました しかしそれが, いくら工夫してもうまくいかなかったのです 私はクラゲの発光はルシフェリン-ルシフェラーゼ反応ではないと判断しました それで私はジョンソン博士にルシフェリンとルシフェラーゼを抽出するのをやめて, どんな物質であるか判らないが, とにかく光る物質を抽出しましょう, と提案しました 光る物質を抽出すれば, ルシフェリンだろうが他の物質だろうが, うまくいくはずだと思ったのです しかし, いくら -4-

説明しても博士はルシフェリンとルシフェラーゼが存在するはずだといい張って, 私のいい分を聞いてくれませんでした 仕方なく, 私は実験台の片側で自分の考えで自分勝手な実験を始め, 反対側ではジョンソンと助手がルシフェリンの抽出を続けるという, 非常に気まずいことになってしまいました これが生物発光研究の原理です 発光物質を発光しない状態で溶かしだして, 分離精製しなければならない 次に得られた純粋な発光物質の性質, 化学構造, 発光反応などを調べる その第 1 段階が簡単なようで難しいのです 発光物質を抽出するためには発光能力を保ったまま抽出しなければならないので, 私は酵素やタンパク質や酸化反応の阻害物質を使って一時的に発光をとめて抽出しようとしました しかし, どんな阻害物質を使ってもうまくいかず, 十日もするとアイデアが尽きてしまいました 私は実験を諦めて, もっぱら 発光反応がどのようにして起きるか また どうしたら発光反応を阻害できるか ということを昼も夜も考え続けました しばしばボートで漕ぎ出て, 暖かい日差しの下で横たわり, 波にゆられて考えました というのは, 海の上ならば誰も話しかけないからです 時々フェリーボートが来るんですが, 海の上の原則として動力のない船は動力のある船に対して優先権がある, それでフェリーは私の小さなボートを遠くから迂回して通るんです 1 週間くらい経ったある日の午後, ボートの上で突然一案がひらめきました それはごく簡単な考えでした 生物の発光には多分タンパク質が関係している そうであれば発光は酸性度, 即ち ph によって変わるであろう 私はすぐにラボにもどり, 種々の ph の緩衝液を作り, それでリングを抽出してみました 抽出液は ph7 で光り,pH6 でも光り,pH5 でも光りました,pH4 では光りませんでした それでリングを ph4 で抽出して, ろ過したところ予想通り全く光らなくなりました ところがそれを重曹で中和したらまた光るようになりました 私はついに抽出法を発見したと思いました 発光物質は ph4 で抽出できるからです ところが次の瞬間に驚いたことが起きたのです 実験に使った ph4 の抽出液を流しに捨てたところ, 流しの内側がぱあっと青く明るく光ったのです 流しには海水が流れ込んでいたので海水が発光を引き起こしたに違いないと思いました 海水の成分は判っていますので, 発光を引き起こした原因がカルシウムであることを知るのにそう時間はかかりませんでした カルシウムが発光をひき起す原因と判ったので, 我々はカルシウムと安定な錯塩を作って無効にする EDTA を使って発光物質を抽出することにしました これがその方法です 1961 年のその夏, 我々は 10,000 匹のクラゲを抽出して, 抽出物をプリンストンに持ち帰り, 発光物質を精製しました そして翌年春に数 mg のほぼ純粋な発光物質を得ましたので, その発光物質の性質を調べました その発光物質はタンパク質で, 微量のカルシウムイオン (Ca 2+ ) を加えると青い光を放つのです 実に奇妙なタンパク質でありました 我々はそのタンパク質をイクオリンと命名しました イクオリンの精製中に緑の蛍光を放つ -5-

物質を微量発見しましたので, それもついでに精製しましたが, それが後の緑色蛍光タンパク質 GFP であります 1963 年に私は名古屋大学水質科学研究施設の小山先生の助教授として帰国しました 実は私は長崎大学から留学したので長崎大学に助手として戻るべきだったのですが, 当時の薬学部長小林五郎先生のご好意で名古屋に行くことになったのです しかし名古屋では水質研究と生物発光の二本立ての研究ではよい仕事ができない事を自覚しました それで,2 年後にはまたプリンストンに戻ることになりました その頃イクオリンはカルシウムイオンの役目を調べる道具として生理学や生物学で非常に役立つことが判りました それでイクオリンの応用を確立するために, イクオリンがどんなメカニズムで光を出すのか知る必要があると思いました まずイクオリン中にある発色団をタンパク質分子から取り出して調べようとしましたが, どんな方法を使ってもイクオリンが分子内反応を起して発光してしまい, 発色団が分解してしまうので, うまくいきませんでした しかし我々はイクオリンを尿素とメルカプトエタノールで変性すると青い蛍光を出す物質ができることを見つけました その蛍光物質の吸収スペクトルには 350 nm にピークがありましたので AF350 と命名しました 我々は AF350 の構造を調べる事にしました しかし 1mgのAF350 を得るには 150 mg のイクオリンが必要で, そのためには 50,000 匹のクラゲを採集し抽出しなければならない 構造決定には数 mg の AF350 が要るので, その仕事は予想外の大事業となりました 我々は毎年夏になるとフライデーハーバーに行きました フライデーハーバーでは朝 6 時にクラゲとりを始め, グループの一部は朝 8 時にリング切りを始めます 午後は全員で, クラゲから発光物質を抽出し, 夕方は 7 時から 9 時まで毎日翌日使うためのクラゲを採集しました 毎日 15 時間労働でした 我々のラボはまるでクラゲ工場のようになりました これは 1974 年のクラゲ採集チームのメンバーです 毎日バケツに 40 杯から 50 杯のクラゲをとりました この採集網の柄を黒とオレンジのまだらに塗ってありますが, これはジョンソンがプリンストンカラーに塗ったものです これは私の家族がクラゲをとっているところです ここに 1 つ, クラゲが乗っております ハサミでリングを切るのでは時間がかかりすぎるので, スピードアップするためにジョンソン博士がクラゲ切り機を作りました これは 10 in の丸い肉切り刃で, ゆっくりぐるぐると回ります クラゲをここに乗せまして, こういう道具を使ってクラゲを指先で 1 回転させるとリングは瞬間的に切れて, 下の入れ物に落ちます この機械によってハサミより 10 倍早く切れるようになりました これはクラゲ切り機を試運転中のジョンソン夫妻 これは実際にクラゲのリングを切っているところです 2 人で 1 時間に 1,200 匹のクラゲが切れます これはイクオリンの抽出を行っているところです 5 年間一生懸命働いて 1972 年に, ついに AF350 の化学構造が判明しました 驚いたこ -6-

とには,AF350 の構造の中には, 前にウミホタルのルシフェリンの酸化物中に見つけた 2- アミノピラジンの構造と同じ構造があったのです ただしこの側鎖は違います この発見はクラゲの発光がウミホタルの発光系と密接な関係があることを示します このことからイクオリンの発光団がこの化合物セレンテラジン (coelenterazine) であることが判りました イクオリンは分子量が約 2 万の球状タンパク質で, その中心にセレンテラジンの過酸化物を持っています 卵を想像して下さい 黄身が中のセレンテラジンの過酸化物です もしカルシウムイオンが周囲にありますと, カルシウムイオンがイクオリンに結合しまして, タンパク質部分の変形を起こします そして変形によって中のセレンテラジンが分解しまして, 光を出します 光った後のタンパク質の部分をセレンテラジンと放置しますと, 元のイクオリンに戻ります ここで話が変わって GFP のことになります イクオリンと同時に発見した GFP は結晶になりやすい美しい蛍光タンパクでありますが, このタンパク質は発見以来使い道がありませんでした ちょっと明かりを暗くして下さい ここに GFP の溶液があります これに紫外線を当てます きれいな色に光るでしょう 明かりをお願いします GFP はクラゲからごく微量しか得られないのですが, クラゲの発光と同じ色の蛍光を放つ興味あるタンパク質なのでイクオリンの研究中に少しずつ貯めておきました そして 1979 年に貯めておいた GFP を使ってその蛍光の元である発色団を調べました 一回の実験に数年かかって貯めた 100 mg の GFP を使い, まず GFP を酵素で小さいペプチドに分解して, できた無数のペプチドから発色団をもつペプチドを選びだして精製しました 最初の GFP から約 0.1 mg, 約 1,000 分の 1 の量の発色団を含むペプチドが得られました 得られたペプチドの吸収スペクトルを測定したとき私はびっくりしました というのはそのスペクトルが私が 20 年前にウミホタルルシフェリンの研究中に合成した化合物のスペクトルとそっくりだったのです 既知物質と似ていることから GFP の発色団の構造は比較的簡単に判りました しかし, その結果は考えてもいなかったことを明らかにしました 普通の蛍光タンパク質はタンパク質と蛍光物質が結合したもので 2 分子からなります しかし GFP の場合は, タンパク質自身の中に蛍光発色団が組み込まれていて 1 分子なのです 下の方は GFP の図解です この小さい丸は 1 つのアミノ酸を示します GFP は二百数十個のアミノ酸のつながりからなっています その中の 3 つのアミノ酸が縮合反応と酸化反応を起こして発色団を形成しております つまり GFP は分子全体がタンパク質で, 発色団はタンパク質の一部であり,GFP は遺伝子を使ってクローンできる可能性があることが判たのです 1979 年のこの発見はその重要性からみて,GFP の本当の発見といえると思います 1992 年に Douglas Prasher が GFP のクローンをつくりました そして 1994 年には Martin Chalfie が GFP を生きた生物中に発現できることを示しました これは Martin Chalfie の報 -7-

告が載っているサイエンスマガジンの表紙です これは, 線虫でグリーンの GFP が発現されていることをはっきりと示しております 更に Roger Tsien が GFP に色々の改良を加えて様々な色の蛍光を出す蛍光タンパク質を作りました 上は天然光で見た色です 下は紫外線で見た蛍光の色です 現在 GFP とそれを改良した蛍光タンパク質は世界中で広く使われ, 医学や生物学の研究に絶対必要で欠く事のできない道具であるといわれております そういうわけで GFP がノーベル賞の対象になったのは当然と考えられます しかし, GFP は計画して発見されたのではありません 発光クラゲの研究中に副産物として発見されたのであります 発光クラゲの研究なくしては GFP の発見はなかったはずです GFP の発見は基礎研究の重要性を示す一つの例であります GFP の発見に関連して一つ不思議な事があります といいますのは, 以前はあれほど沢山いたオワンクラゲが我々の研究が済んだあと,1990 年頃に突然消え失せたのです それ以来 2,3 匹のクラゲを採集するのも容易ではありません その原因は水温変化による天然現象であるかもしれませんし, あるいは 1989 年に起きたオイルタンカー, エクソン バルディーズの事故による海底汚染かもしれません しかしこのようなことが 20 年早く起きていたら GFP は発見されず, 現在 GFP は存在しないでしょう 今日お話ししたのはウミホタルとクラゲの発光の研究についてだけですが, 最初お話ししましたように地球上には無数といってよいほど色々違った発光生物が存在します しかし, その大部分は化学的には未解決です イクオリンと GFP の発見でも明らかなように, 発光生物は変わった化合物や思いがけない珍しい反応の宝庫, 宝の蔵であります しかし, 現在, 生物発光の化学を研究する人はほんの僅かです 一般に, 生物発光の化学的研究は難しくて成功率が低いと思われているようです 私は若い人に元気を出してほしいと思います 発光生物にかぎりません どんな分野でもいいから興味のある問題に遭遇したときは, それが難しそうだなどといわずに積極的にチャレンジして下さい 難しい事ほど達成したときの喜びは大きいものです どんな難しいことでも, 努力すれば何とかなる 絶対諦めないで成功するまで頑張ろう 努力あるのみです 皆さん頑張って下さい ご清聴ありがとうございました -8-