< 目次 > 第 2 章各種の補正 1. 奥行価格補正 2. 側方路線影響加算 3. 二方路線影響加算 4. 三方又は四方路線影響加算 5. 不整形地の評価第 3 章各種の補正 ( 応用論点 ) 1. 無道路地の評価 2. 間口狭小 奥行長大の補正 3. がけ地等を有する宅地の評価 4. 容積率の異なる 2 以上の地域にわたる宅地の評価
第 2 章各種の補正 1. 奥行価格補正 Step1 机上調査 公図の奥行を三角スケールをあてて計測したところ おおよそ 13mであった 土地の地積は 110 m2である < 公図 > 10 9-1 13 Step2 現地調査 現地調査において 奥行をメジャーで測ったところ 11.9mであった < 現況 > 10.6m 11.9m Step3 役所調査 役所で調べることは特にありません Step4 評価 公図はほぼ現況を表していることから公図の間口 奥行を用いて評価を行うことが客観的であると判断した 公図の奥行地積公図の間口 13m > 110 m2 10m =11m 11m 1
解説 1 奥行距離とは 土地の価額は 路線価にその宅地の奥行距離に応じた奥行価格補正率を乗じて評価しま す ( 財評通 15) 奥行とは 原則として正面路線に対して垂直的な奥行距離となります 2
普通住宅地区における奥行価格補正率 6m 0.95 20m 1.00 50m 0.90 ただし 奥行距離が一様でないものは 地積を間口で除した平均的な奥行距離によることとされています ( 財評通 20(2)) 奥行距離 = 地積 間口この場合の間口は 測量図があれば測量図の間口 測量図がなければ公図の間口によるのが一般的です 現地調査の際にメジャーなどで間口を測り公図とほぼ一致しているかを検証しましょう 具体的には 不整形地にかかる想定整形地 ( 後述 ) の奥行距離を限度として その不整形地の面積をその間口距離で除して得た数値とします つまり 下図の (1) (2) (4) のように 想定整形地の奥行距離 < 平均的な奥行距離である場合は 想定整形地の奥行距離を採用します 1 一方 (3) (5) のように 想定整形地の奥行距離 > 平均的な奥行距離である場合には 平均的な奥行距離を採用します (1) (2) 500 m2 20m=25m 720 m2 18m=40m 1 国税庁質疑応答事例 不整形地の奥行距離の求め方 参照 3
(4) (3) (5) 750 m2 5m=150m>50m 800 m2 20m=40m 800 m2 15m=53m>50m ( 付表 1) 奥行価格補正率表 4
2. 側方路線影響加算 Step1 机上調査 住宅地図及び路線価図をみると 側方に路線価がついています 正面路線は北側路線の 48 千円 側方路線は西側路線の 40 千円です < 住宅地図 > < 路線価図 > Step2 現地調査 現地調査の際に 側方路線が接道していること 不特定多数の者の通行の用に供されていることを確認します Step3 役所調査 役所で建築基準法上の道路の種別を確認したところ 正面路線 側方路線ともに建築基準法 42 条 1 項 1 号の道路でした 5
Step4 評価 評価明細書への入力は以下の通りです 6
解説 1 側方路線の影響加算 正面と側方に道路がある角地は 次の (1) と (2) の合計額に地積を乗じて評価します ( 財評通 16) (1) 正面路線の路線価に基づき計算した価額 (2) 側方路線 ( 正面路線以外の路線をいう ) の路線価に付表 2 側方路線影響加算率表 に定める加算率を乗じて計算した価額 ( 付表 2) 側方路線影響加算率表 なお 準角地とは 次図のように一 系統の路線の屈折部の内側に位置す るものをいいます 側方路線影響加算の計算例を見てみましょう 7
2 正面路線の判定 正面路線とは 路線価 奥行価格補正率 により計算した1m2の価額の高い方の路線をいいます ( 財評通 16) したがって 必ずしも路線価が高い方が正面路線になるとは限りません 以下のようなケースは 正面路線価が逆転する場合です aの路線価は 4,000 千円 / m2 bの路線価は 3,900 千円 / m2です しかし 奥行価格補正を行うと 路線価奥行価格補正率 a 路線 4,000 千円 0.96 = 3,840 千円 8
路線価奥行価格補正率 b 路線 3,900 千円 1.00 = 3,900 千円 a<b となります この場合には b の路線を正面路線として評価します なお 路線価に奥行価格補正率を乗じて計算した金額が同額となる場合には 原則とし て 間口が広い方の路線を正面路線とします 3 特定路線価を設定した場合の側方路線影響加算等の計算 次の図の A B C D 土地を評価するために特定路線価を設定することがあります この場合に E 及び F 土地の価額の評価に当たっては 特定路線価に基づく側方路線影 響加算は行いません 2 4 側方路線に宅地の一部が接している場合の評価 次の図のように 評価する宅地の一部分のみが側方路線に接している場合には その側方 路線に直接面している部分に対して側方路線影響加算を行います 2 国税庁質疑応答事例 側方路線影響加算等の計算 特定路線価を設定した場合 参照 9
評価額 地積 (846,000 円 + 48,000 円 ) 1,200 = 1,072,800,000 円 間口按分の入力欄はありませんがここに入力します ここでは 接道按分が漏れると評価額は 10 億 0920 万円となり 1920 万円もの差が出る ため留意が必要です 10
5 地区の異なる 2 以上の路線に接する宅地の評価 例えば 正面路線は高度商業地区 側方路線は普通商業 併用住宅地区であるなど 地区の異なる路線に接している場合があります 3 この場合に適用する奥行価格補正率は 正面路線の地区の補正率を適用します また 側方路線影響加算額についても正面路線の地区の奥行価格補正率及び側方路線影響加算率を適用します 1. (1) 正面路線価の奥行価格補正 2. (2) 側方路線影響加算額の計算 3. (3) 評価対象地の評価額 なお 借地権の価額を評価する場合において 接する各路線の借地権割合が異なるときも 正面路線の借地権割合を適用して評価します 3 国税庁タックスアンサー No.4605 地区の異なる 2 以上の路線に接する宅地の評価 参照 11
3. 二方路線影響加算 解説 1 二方路線の影響加算 正面と裏面に路線がある宅地の価額は 次の (1) 及び (2) に掲げる価額の合計額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価します ( 財評通 17) (1) 正面路線の路線価に基づき計算した価額 (2) 裏面路線 ( 正面路線以外の路線をいう ) の路線価に付表 3 二方路線影響加算率表 に定める加算率を乗じて計算した価額 この場合も正面路線は 路線価 奥行価格補正率 により計算した 1 m2の価額の高い方 の路線をいいます ( 付表 3) 二方路線影響加算率表 2 間口按分の調整 裏面路線に接する部分がその宅地に係る想定整形地の間口距離より短い場合には 裏面 路線に接する部分がその宅地に係る想定整形地の間口距離に占める割合により加算額を調 整します 4 4 国税庁質疑応答事例 二方路線影響加算の方法 参照 12
コメント 側方 ( 裏面 ) 路線に接する部分が想定整形地の間口距離より短い場合には 側方 ( 二方 ) 影響加算率の接道 ( 間口 ) 按分を行います この方法は 通達に規定はありませんが 質疑応答事例や裁決事例で採用されていますので適用漏れとならないように注意しましょう 3 角地の効用を有しない側方路線 角地において角が道路に接していない場合 側方路線であっても角地の効用を有しないものとして二方路線として取り扱います 図のA 部分のように 現実に角地としての効用を有しない場合には 側方路線影響加算率に代えて二方路線影響加算率を適用して評価します 5 5 国税庁質疑応答事例 2 の路線に接する宅地の評価 参照 13
4. 三方又は四方路線影響加算 解説 1 三方又は四方路線の影響加算 三方又は四方に路線がある宅地は 正面と側方が路線に接する宅地の評価方法と正面と 裏面が路線に接する宅地の評価方法を併用して計算した価額に地積を乗じて評価します ( 財評通 18) 6 6 国税庁質疑応答事例 三方又は四方が路線に接する宅地の評価 参照 14
( 計算例 ) 15
5. 不整形地の評価 Step1 机上調査 住宅地図及び公図をみると 道路に対して歪みがあり不整形地と認められます 地積は 140 m2 2つの路線とも路線価は 120 千円です < 住宅地図 > < 公図 > Step2 現地調査 現地調査の際に 現況の地型も公図のとおり不整形が認められるかを確認します Step3 役所調査 役所で調べることは特にありません Step4 評価 1 公図や測量図に基づいて想定整形地をつくります 7m 8m 14m 14m 想定整形地は 14m 14m =196 m2となります 16
2 想定整形地のうち 不整形地 (= 評価対象地 ) の割合 ( かげ地割合 ) を求めます 想定整形地の地積ー不整形地の地積 想定整形地の地積 = 196 m2 140 m2 196 m2 28.57% 3 不整形地補正率を求めます 普通住宅地区 500 m2未満 地積区分 :A 地積区分がAの場合でかげ地割合が 25% 以上 30% 未満 不整形地補正率 0.92 となります 17
解説 1 不整形地の補正の方法 本項は 不整形地であることの評価減についてです 不整形地は その利用価値が 画地の全部が宅地としての機能を十分に発揮できないため 整形地に比べてその価額が低くなります したがって 標準的な整形地としての価額である路線価を不整形の程度に応じて補正した上で その価額を評価します まず 第 1 段階として 不整形地の形状などにより 4 類型のうちいずれか有利な方法により 不整形地補正率適用前の価額を求めることができるとしています ( 財評通 20) ( イ ) 計算上の奥行距離を基として評価する場合 ( ロ ) 差引計算法により評価する場合 ( ハ ) 区分した整形地を基として評価する場合 ( ニ ) 近似整形地を基として評価する場合 次に 第 2 段階として 不整形地補正率適用前の価額に その不整形の程度 位置及び地 積の大小に応じ 不整形地補正率表 に定める補正率を乗じて計算した価額により評価し ます ( 付表 4) 地積区分表 地区区分 地積区分 A B C 高度商業地区 1,000 未満 1,000 以上 1,500 未満 1,500 以上 繁華街地区 450 未満 450 以上 700 未満 700 以上 普通商業 併用住宅地区 650 未満 650 以上 1,000 未満 1,000 以上 普通住宅地区 500 未満 500 以上 750 未満 750 以上 中小工場地区 3,500 未満 3,500 以上 5,000 未満 5,000 以上 18
( 付表 5) 不整形地補正率表 かげ地割合 地区区分 地積区分 高度商業地区 繁華街地区 普通商業 併用住宅地区 中 普通住宅地区 小工場地区 A B C A B C 10% 以上 0.99 0.99 1.00 0.98 0.99 0.99 15% 0.98 0.99 0.99 0.96 0.98 0.99 20% 0.97 0.98 0.99 0.94 0.97 0.98 25% 0.96 0.98 0.99 0.92 0.95 0.97 30% 0.94 0.97 0.98 0.90 0.93 0.96 35% 0.92 0.95 0.98 0.88 0.91 0.94 40% 0.90 0.93 0.97 0.85 0.88 0.92 45% 0.87 0.91 0.95 0.82 0.85 0.90 50% 0.84 0.89 0.93 0.79 0.82 0.87 55% 0.80 0.87 0.90 0.75 0.78 0.83 60% 0.76 0.84 0.86 0.70 0.73 0.78 65% 0.70 0.75 0.80 0.60 0.65 0.70 ( 注 ) 1 不整形地の地区区分に応ずる地積区分は 付表 4 地積区分表 による 2 かげ地割合は次の算式により計算した割合による 3 間口狭小補正率の適用がある場合においては この表により求めた不整形地補正率に間口狭小補正率を乗じて得た数値を不整形地補正率とする ただし その最小値はこの表に定める不整形地補正率の最小値 (0.60) とする また 奥行長大補正率の適用がある場合においては 選択により 不整形地補正率を適用せず 間口狭小補正率に奥行長大補正率を乗じて得た数値によって差し支えない コメント 第 1 段階 ( 例示の 4 類型 ) は 奥行き価格補正率に代えて A 欄を求めます 第 2 段階の F 欄の不整形地補正と併用できますので誤解のないようにしましょう 19
2 4 類型その 1- 計算上の奥行距離を基として評価する場合 (1) 評価の方法最も一般的な方法が 計算上の奥行距離を基として評価する方法です ( 財評通 20(2)) 次図のように不整形地の地積を間口距離で除して算出した奥行距離を基として求めた整形地により計算します (2) 設例次のような不整形地は 1~3の手順で評価します 7 1 地積を間口距離で除して計算上の奥行距離を算出します 21で求めた奥行距離と想定整形地の奥行距離とのいずれか短い方を基として奥行き価格補正率を算定します 32で求めた価額に 不整形地補正率を乗じます 7 国税庁質疑応答事例 不整形地の評価 計算上の奥行距離を基として評価する場合 参照 20
コメント 通常やっている方法です 想定整形地の奥行距離と平均的な奥行距離のいずれか小さい 方に基づいて奥行価格補正率を求め 評価明細書の A 欄に記入します 21
3 4 類型その 2- 差引き計算法 (1) 評価の方法次に頻度が高いのが 差引計算法により評価する方法です ( 財評通 20(4)) 路地状 ( 旗状 ) 敷地のような土地を評価する際に 次図のように近似整形地 (1) を求め 隣接する整形地 (2) と合わせて全体の整形地の価額の計算をしてから 隣接する整形地 (2) の価額を差し引いて計算します なお 近似整形地は 近似整形地からはみ出す不整形地の部分の地積と近似整形地に含ま れる不整形地以外の部分の地積がおおむね等しく かつ その合計地積ができるだけ小さく なるように求めます (2) 設例次のような不整形地は 1~4の手順で評価します 8 1 評価対象地の近似整形地 (1) を求めます 2 隣接する整形地 (2) と合わせて全体の整形地の価額を計算します 3 近似整形地 (1) の価額から整形地 (2) の価額を差し引きます 43で求めた価額に 不整形地補正率を乗じます 8 国税庁質疑応答事例 不整形地の評価 差引き計算により評価する場合 参照 22
( 計算例 ) 1 近似整形地 (1) と隣接する整形地 (2) を合わせた全体の整形地の奥行価格補正後の価額 2 隣接する整形地 (2) の奥行価格補正後の価額 3 1 の価額から 2 の価額を控除して求めた近似整形地 (1) の奥行価格補正後の価額 4 近似整形地の奥行価格補正後の 1 平方メートル当たりの価額 ( 不整形地の奥行価格補正 後の 1 平方メートル当たりの価額 ) 5 不整形地補正率 6 評価額 ( 注 ) 1 近似整形地を設定する場合 その屈折角は 90 度とします 2 想定整形地の地積は 近似整形地の地積と隣接する整形地の地積との合計と必ずしも一致しません 3 全体の整形地の価額から差し引く隣接する整形地の価額の計算に当たって 奥行距離が短いため奥行価格補正率が 1.00 未満となる場合においては 当該奥行価格補正率は 1.00 とします ただし 全体の整形地の奥行距離が短いため奥行価格補正率が 1.00 未満の数値となる場合には 隣接する整形地の奥行価格補正率もその数値とします 23
自用地 1 m2当りの価額 1. 全体の評価額 2. かげ地評価額 3.A - B 4.1m2あたりの金額 正面路線価奥行価格補正率全体地積 ( m2 ) 評価額 100,000 円 0.98 600 m2 58,800,000 円 A 正面路線価奥行価格補正率地積 ( m2 ) 評価額 100,000 円 1.00 150 m2 15,000,000 円 B A( 全体の評価額 ) B( 陰地評価額 ) 評価額 58,800,000 円 - 15,000,000 円 43,800,000 円 C C( 評価額 ) 地積 1 m2あたりの評価額 43,800,000 円 450 m2 97,333 円 評価明細書 A 欄へ 97,333 24
コメント 差引計算法を適用しないと (A) の価額は 100,000 円となりますから ここのケースでは約 100 万円の評価差がでてきます 4 4 類型その3- 近似整形地を基として評価する場合 (1) 評価の方法近似整形地を基として評価する方法もあります 次図のように不整形地に近似する整形地 ( 近似整形地 ) を求め その設定した近似整形地を基として計算します ( 財評通 20(3)) (2) 設例次のような不整形地は 1~2の手順で評価します 9 1 近似整形地を求めて評価します 21で求めた価額に不整形地補正率を乗じます ( 計算例 ) 1 近似整形地の奥行価格補正後の 1 平方メートル当たりの価額 ( 不整形地の奥行価格補正 後の 1 平方メートル当たりの価額 ) 9 国税庁質疑応答事例 不整形地の評価 近似整形地を基として評価する場合 参照 25
2 不整形地補正率 3 評価額 26
5 4 類型その 4- 区分した整形地を基として評価する場合 (1) 評価の方法 実務上まれにあるのが 区分した整形地を基として評価する方法です 次図のように不整形地を区分して求めた整形地を基として計算します ( 財評通 20(1)) (2) 設例次のような不整形地は 1~2の手順で評価します 10 1 不整形地を区分して整形地を求めます 21で求めた整形地の価額の合計額に 不整形地補正率を乗じます ( 計算例 ) 1 不整形地を整形地に区分して個々に奥行価格補正を行った価額の合計額 10 国税庁質疑応答事例 不整形地の評価 区分した整形地を基として評価する場合 参照 27
2 区分整形地の奥行価格補正後の 1 平方メートル当たりの価額の合計額 甲 + 乙 + 丙 不整形地の地積 17,925,000 円 180 m2 =99,583 円 3 不整形地補正率 不整形地補正率 0.94( 普通住宅地区地積区分 A かげ地割合 20%) 4 評価額区分整形地の単価不整形地の地積不整形地補正率 99,583 円 180 m2 0.94 =16,849,440 円 28
6 不整形地としての評価を行わない場合 1 (1) 評価の方法次のような帯状部分を有する宅地は 帯状部分 ( 乙 ) とその他部分 ( 甲 ) に分けて評価した価額の合計額により評価し 不整形地としての評価は行わないとされているため注意が必要です 11 なぜなら 帯状部分を有する土地について 不整形地補正を行って評価した価額 (17,138 千円 ) が 帯状部分以外の部分を単独で評価した価額 (20,000 千円 ) より低い不合理な評価額となるからです (2) 評価の方法 1 不整形地として評価を行わない場合 1 甲土地の評価額 2 乙土地の評価額 3 評価額 11 国税庁質疑応答事例 不整形地の評価 不整形地としての評価を行わない場合 1 参照 29
2 不整形地として評価する場合 7 不整形地としての評価を行わない場合 2 (1) 評価の方法次のような帯状部分を有する宅地は 帯状部分 ( 乙 ) とその他部分 ( 甲 丙 ) に分けて評価した価額の合計額により評価し 不整形地としての評価は行いません 12 なぜなら 帯状部分を有する土地について 不整形地補正を行うって評価した価額 (35,555 千円 ) が 帯状部分以外の部分を単独で評価した価額 (40,000 千円 ) より低い不合理な評価額となるからです (2) 設例 1 不整形地として評価を行わない場合 12 国税庁質疑応答事例 不整形地の評価 不整形地としての評価を行わない場合 2 参照 30
1 甲 丙土地を合わせて評価した価額 2 乙土地の評価額 (1) 乙 丙土地を合わせた土地の奥行価格補正後の価額 (2) 丙土地の奥行価格補正後の価額 (3) (1) の価額から (2) の価額を差し引いて求めた乙土地の奥行価格補正後の価額 (4) 乙土地の評価額 3 評価額 2 不整形地として評価しない場合 1 甲地の奥行価格補正後の価額 2 乙 丙地の奥行価格補正後の価額 3 不整形地補正率 31
4 評価額 8 想定整形地の取り方 想定整形地は 道路からの垂線により評価対象地の全域を囲むく形のうち最も面積の小さいものとされています 不整形地の想定整形地は 正面路線と評価対象地の位置関係や形状によっては 複数生じますので注意が必要です 左は正しい取扱い 右は誤りのケースです 正しい取扱い : 誤った取扱い : 〇と〇を結ぶ線から直角に 〇と〇を結ぶ線と直角でない 〇 〇 〇 〇 〇〇〇〇 32
また 正面路線は奥行価格補正率が同じ場合 間口の広い方となります 下記土地の路線価は 東側 西側同じ価額とすると 正面路線は 間口の広い東側道路となります 想定整形地を東側道路から垂直にとります 右図のように最少面積となるようにとる必要はありません 正しい取扱い誤った取扱い 9 屈折路に面する不整形地の想定整形地のとり方 屈折した道路に面する不整形地の想定整形地は 道路から垂線によるか 路線に接する両端を結ぶ直線によって 評価対象地の全域を囲むく形のうち最も面積の小さいものを想定整形地とします 次の場合には A から C までのく形のうち最も面積の小さいもの すなわち A が想定整形地となります 13 13 国税庁質疑応答事例 屈折路に面する不整形地の想定整形地のとり方 参照 33
左は正しい取扱い 右は誤りのケースです 正しい取扱い 誤った取扱い 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 コメント 想定整形地は 保守的に小さくなりがちですが 正しい取り扱いを理解して作図するよう にしましょう 34
第 3 章各種の補正 ( 応用論点 ) 1. 無道路地の評価 Step1 机上調査 住宅地図や路線価図を確認したところ 周囲に道がなく 畑に囲まれているようです < 住宅地図 > < 路線価図 > < 公図 > 35
Step2 現地調査 評価する土地が道路に接していないかを現地にて確認します また 周囲で実際に利用している道路はどこか 最も近い距離にある道路はどこかを確認します Step3 役所調査 1 建築基準法上の道路の種別は何か評価する土地が 建築基準法上の道路に接していないかどうかを市区町村の担当窓口で確認します また 周囲の道路の建築基準法上の道路がどこかを確認します 36
建基法 42 条 1 項 5 号 法定外通路 ( 建基法ではない ) 建基法 42 条 1 項 1 号 2 市区町村の条例による接道義務を調べます 東京都においては 路地状部分が20m 以内であれば幅員 2mでよいが 20mを超えているため幅員 3m 必要でした 敷地の路地状部分の長さ幅員 20m 以下のもの 2m 20m を超えるもの 3m Step4 評価 接道義務 ( 建築物を建築するために必要な最小限の間口距離の要件 ) に基づき通路を開設する場合のその通路を検討すると 主に以下の1~4が考えられます 37
1 は 2 や 4 と比べて 最小限度の通路買収地積といえます 3 は実際に利用している農道を経由します 今回は 公図に示した 1 の想定通路として評価することとしました 38
25 25 80 30 23 55 3 したがって 想定通路部分の地積は以下のようになります 間口 3m 奥行 55m=165 m2 39
65,896 554445099 不足土地地積を入力 自用地 1 平米当りの価額 なお 差引計算法による A 欄の評価額は以下の通りです 1. 全体の評価額 正面路線価 奥行価格補正率 全体地積 ( m2 ) 評価額 155,000 円 0.82 2,000.00m2 254,200,000 円 A 正面路線価 奥行価格補正率 地積 ( m2 ) 評価額 2. かげ地評価額 1 155,000 円 0.88 1,300.00m2 177,320,000 円 B 3.A - B 4.1 m2あたりの金額 A( 全体の評価額 ) 254,200,000 円 - B( かげ地評価額 ) 177,320,000 円 C( 評価額 ) 地積 評価額 C 76,880,000 円 1 m2あたりの評価額 76,880,000 円 700.00m2 109,828 円 解説 1 無道路地とは 無道路地とは 直接道路に接しておらず 建築物の建築ができない土地をいいます このような無道路地は 周辺の建築基準法上の道路から通路を買い増したことを想定して評価し 不足土地の買取り ( 道路開設 ) 費用を控除するいわゆる不足土地控除方式が採用されています 具体的には 実際に利用している路線の路線価に基づき 40% の範囲内において相当と認 40
める金額を控除して評価します ( 財評通 20-2) 40% の範囲内において相当と認める金額とは 無道路地について建築基準法その他の法令において規定されている建築物を建築するために必要な道路に接すべき 最小限度の通路を開設する場合の買収費用を考慮して算定します 評価明細書の該当部分を示すと以下の通りです 1 2 1で不足土地部分の買収価額を出します 2で不足土地は全体に比べてどのくらいの影響度かをしんしゃくします つまり 1000 m2のうちの 10 m2だったら影響度が少ないと考えるわけです < 設例 > 無道路地を評価してみましょう 1 無道路地 (1) の奥行価格補正後の価格 ( 差引計算法 ) (1) 無道路地 (1) と前面宅地 (2) を合わせた土地の奥行価格補正後の価額 (2) 前面宅地 (2) の奥行価格補正後の価額 41
(3) (1) の価額から (2) の価額を控除して求めた無道路地 (1) の奥行価格補正後の価額 (4) 奥行価格補正後の 1 m2当たりの価額 33,600,000 円 400 m2 = 84,000 円 ( 評価明細書 A 欄 ) 2 不整形地補正 間口狭小補正率 0.90( 間口距離 2m) 及び奥行長大補正率 0.90( 奥行距離 40m) 不整形地補正後の 1 m2当たりの価額 84,000 円 0.71 = 59,640 円 ( 評価明細書 F 欄 ) 3 無道路地補正路線価通路部分の地積不整形地補正後の価額評価対象地の地積 ( 100,000 円 40 m2 ) ( 59,640 円 400 m2 )= 0.16767270288 不整形地補正後の 1 m2当たりの価額無道路地補正 59,640 円 (1-0.16767270288)= 49,640 円 ( 評価明細書 G 欄 ) 4 評価額 49,640 円 400 m2 =19,856,000 円 42
コメント 買収すべき想定通路が長ければ長いほど評価減となります 最初の設例では 想定通路部分がかなり長くなるので 補正は 74% となっています 次の例では 49% の減価となっています 2 想定通路の取り方 無道路地は 実際に利用している路線の路線価 に基づいて評価し 通路開設費用は接道義務に基づいた 最小限度の通路を開設する場合のその通路に相当する部分の価額 とされています ( 財評通 20-2) 無道路地が2つの路線に通じる場合 実際に利用されている路線か 最短距離の路線か判 43
断に迷うことがよくあります 例えば下図のような土地です Aは最小限度の通路開設となりますが他人の土地を通り現実的ではありません Bは実際に利用している農道ですが 通路開設に比較的多くの地積を必要とします (A) 220D 畑 実際に利用 している農道 (B) 195D コメント 少数見解ですが 評価対象地と利用路線との間に第三者の家屋が存する場合 当該家屋も含めて通路を開設するのは現実的でないことから 右図のようにこれを回避して通路開設費用の算定が行うとした裁決があります ( 平成 18 年 5 月 8 日裁決 裁決事例集 71 533 ) 3 法定外通路に接面する場合の道路拡幅地積の算定 評価対象地が 建築基準法に規定する道路ではない法定外道路 ( 専用通路 接道義務を満 たしておらず 建物の建築をする場合には 条例が定める幅員を必要とする ) に接している 場合があります 44
( 距離 ) ( 接道義務 ) 道路拡幅地積 = 12m 2.0m = 24.0 m2 12m 法定外通路 ( 建築基準法の道路ではない ) 1.8m 190C 道路拡幅地積 = 12m 0.2m = 2.4 m2 この場合の道路拡幅地積を求めるうえでの幅員については その幅員が 1.8mのとき 接道義務 2.0mを満たすためにはあと 0.2mがあればよいという考え方がありますがこれは誤りです 接面する法定外道路が評価対象地の評価に何ら影響を及ぼすものではないことから 想定通路の地積に法定外道路の幅員は含めず 接道義務に定める幅員となります そのような土地に建物を建築しようとする場合には 法定外道路の払下げを受け自己所有地とした後 幅員 2m 以上の通路を開設し 公道に直接接するようにしなければならないため 法定外道路の存在は評価に何ら影響を及ぼすものではなく 道路拡幅地積を 24 m2 (12m 2m) の無道路地として評価すべきだからです ( 平成 17 年 10 月 28 日裁決 TAINS F0-3-136 参照) 4 建築基準法上の道路ではないが路線価が付されている場合の評価 接面する道路が建築基準法上の道路ではないが 路線価が付されているケースがあります この場合の対応方法として以下の 2 つが考えられます 1 付されている路線価を使わずに 最も近くの建築基準法上の道路に付された路線価から路地状敷地として評価する方法 2 正面路線価を使用して整形地として評価するが 無道路地補正の不足土地に買収すべき地積を入力する方法 買収通路部分 160C 200C 法定外通路 ( 建築基準法の道路ではない ) 45
コメント 接面する路線価を使って整形地として評価する方法は 無道路地であることが反映されいないため過大評価となることに注意しましょう 5 但書道路と無道路地補正 建築物の敷地は 建築基準法上の道路に2m 以上の間口で接していなければなりません ただし その敷地の周囲に広い空き地を有する場合で 特定行政庁が交通上 安全上 防火上 衛生上支障がないと認めて許可したものについては建築をすることができます いわゆる建築基準法 43 条の但書きの適用です つまり 評価対象地が建築基準法上の道路に接面していなくても その接している通路が 但し書き道路 として税務署に認定されると無道路地に該当しないということになります しかし 実際には 但し書き道路として認定されるか否かは その都度市区町村の建築課に建築申請をしてみてはじめて但書道路の可否が認定されるものです したがって 税務上それが但書道路であるか否かの判断が困難なものとなります 市区町村には 過去に但書道路に認定されている履歴が残っているケースがあります 過去に但書道路に認定されていれば 税務上の評価にあたっても但書道路とされる可能性がありますので それを確認する必要があります なお 横浜市においては 但書道路となる可能性があるものを赤色で公表しています < 横浜市の例 > コメント 経験則上 1 度だけ但し書きの適用により無道路地補正が否認された事例がありま す 但し書きに該当したときの否認リスクを知っておきましょう 46
6 接道義務を満たしていない宅地の評価 次のように 道路には接しているものの間口距離が狭く接道義務を満たしていない宅地は 通路部分を拡幅しなければ 建物の建築をすることができません したがって このような宅地は 無道路地に準じた評価を行います なお 無道路地として評価する際に控除する通路に相当する部分の価額は 通路拡幅のための費用相当額 ( 正面路線価に通路拡幅地積を乗じた価額 ) とします 14 ( 計算例 ) 1 評価対象地 (1) の奥行価格補正後の価額 (1) 評価対象地 (1) と前面宅地 (2) を合わせた土地の奥行価格補正後の価額 (2) 前面宅地 (2) の奥行価格補正後の価額 ( 注 ) 奥行距離が 5m の場合の奥行価格補正率は 0.92 ですが 0.92 とすると前記 (1) の評価対象地 (1) と前面宅地 (2) を合わせた整形地の奥行価格補正後の単価より 道路に接する部分が欠落している不整形地の奥行価格補正後の単価が高くなり不 14 国税庁質疑応答事例 接道義務を満たしていない宅地の評価 参照 47
合理なので このように前面宅地の奥行距離が短いため奥行価格補正率が 1.00 未満となる場合においては 当該奥行価格補正率は 1.00 とします ただし 前記 (1) の評価対象地 (1) と前面宅地 (2) を合わせて評価する場合において奥行距離が短いため奥行価格補正率が 1.00 未満の数値となる場合には 前面宅地の奥行価格補正率もその数値とします (3) (1) の価額から (2) の価額を控除して求めた評価対象地 (1) の奥行価格補正後の価額 (4) 奥行価格補正後の 1 m2当たりの価額 30,125,000 円 305 m2 = 98,770 円 ( 評価明細書 A 欄 ) 2 不整形地補正 間口狭小補正率 0.90( 通路拡幅後の間口距離 2m) 及び奥行長大補正率 0.90( 奥行距離 25m) 不整形地補正後の 1 m2当たりの価額 98,770 円 0.81 = 80,003 円 ( 評価明細書 F 欄 ) 3 無道路地補正路線価通路部分の地積不整形地補正後の価額評価対象地の地積 ( 100,000 円 5 m2 ) ( 80,003 円 305 m2 )= 0.02049103486 不整形地補正後の 1 m2当たりの価額無道路地補正 80,003 円 (1-0.02049103486)= 78,363 円 ( 評価明細書 G 欄 ) 4 評価額 78,363 円 305 m2 =23,900,715 円 48
7 位置指定道路に接する土地の評価 位置指定道路にのみ接している土地については 建築物を建てることができるため無道 路地には該当しないこととなります 無道路地とはならない 位置指定道路 8 無道路地に該当するか否かの判定 無道路地は 評価対象地と実際に利用している道路との間に他人の土地があるため 無道路地の利用価値が低下していることからその減価を反映させることにあります したがって 1 前面宅地 ( 通路開設部分 ) を同一人が所有している場合 ( 図 1) や 2 周辺隣地を一体として利用していて 無道路地の利用価値が低下しているとは認められないような場合 ( 図 2) には 無道路地補正を適用しないこととなります 15 A 土地を 被相続人または B 土地を 取得する相続人が所有している B 土地の評価にあたって A 土地と 一体で利用されている 15 菅原恒夫 近藤光夫 回答事例による資産税質疑応答集 ( 平成 17 年版 ) 大蔵財務協会 2005 年 977 頁 49
2. 間口狭小 奥行長大の補正 解説 1 間口の判定 間口が狭小な宅地は 間口狭小補正率表に定める補正率を乗じて評価します ( 財評通 20-3) ( 付表 6) 間口狭小補正率表 地区区分普通商業 ビル街高度商業繁華街普通住宅中小工場大工場併用住宅地区地区地区地区地区地区間口距離地区 4 未満 - 0.85 0.90 0.90 0.90 0.80 0.80 4 以上 6 未満 - 0.94 1.00 0.97 0.94 0.85 0.85 6 8-0.97 1.00 0.97 0.90 0.90 8 10 0.95 1.00 1.00 0.95 0.95 10 16 0.97 1.00 0.97 16 22 0.98 0.98 22 28 0.99 0.99 28 1.00 1.00 宅地の間口距離は 原則として道路と接する部分の距離によります 16 ただし A-1 のように角切りがある場合には 角切りがないものとして間口距離を a とし ます 逆に A-2 のような私道部分を評価する際には 角切で広がった部分を間口距離に含 めません A-1 A-2 a a 16 国税庁質疑応答事例 間口距離の求め方 参照 50
B の場合は a+c によります C の場合は b によりますが a によっても差し支えないとされています 2 奥行長大にかかる補正 次の図のように路線に接する間口が狭い宅地は 路線価に奥行価格補正率及び間口狭小 補正率を乗じ 更に奥行が長大な宅地については 奥行長大補正率を乗じた価額によって評 価します 17 なお 間口が狭小な宅地とは 次の表に掲げる間口距離を有する宅地をいい 奥行が長大 な宅地とは奥行距離を間口距離で除して得た数値が次の表に掲げるものをいいます 17 国税庁質疑応答事例 間口が狭い宅地の評価 参照 51
3 屈折路に面する宅地の間口距離の求め方 宅地が屈折している道路に面している場合の間口距離は その不整形地に係る想定整形地の間口距離と 屈折路に実際に面している距離とのいずれか短い距離となります したがって A の場合には a(< b+c ) が B の場合には b+c (<a) がそれぞれ間口距離となります 18 なお 屈折路に面する不整形地に係る想定整形地は いずれかの路線からの垂線によっ て又は路線に接する両端を結ぶ直線によって 評価しようとする宅地の全域を囲むく形又 は正方形のうち最も面積の小さいものとします また 例えば 以下のような行止り私道に接する土地の場合です 上記 屈折路に面する宅地の間口距離の求め方 に準ずると下図の (A) のようになりま すが 評価対象地における想定整形地を考えると (B) が合理的と考えられます (A) (B) 18 国税庁質疑応答事例 屈折路に面する宅地の間口距離の求め方 52
3. がけ地等を有する宅地の評価 Step1 机上調査 机上調査ではがけ地の様子はわかりません 土地所有者に敷地内にがけ地があるか事前に必ず確認しましょう Step2 現地調査 現地調査の結果 土地の敷地内 ( 南側 ) に 60 m2のがけ地があることがわかりました がけは南方向を向いています Step3 役所調査 役所で調べることは特にありません Step4 評価 がけ地を有する宅地の評価減を行います 53
今回のがけ地補正は 8% 減となります 54
解説 1 がけ地とは がけ地等を有する宅地とは 平たん部分とがけ地部分等が一体となっている宅地であり 例えば ヒナ段式に造成された住宅団地に見られるような 擁壁部分 ( 人工擁壁と自然擁壁とを問いません ) を有する宅地です 19 2 がけ地についての補正 このような宅地のがけ部分等は 採光 通風等による平たん宅地部分への効用増に寄与するというプラスの面があります 一方で通常の用途に供することができないため 全体を通常の用途に供することができる宅地に比し減価があると認められます したがって がけ地等で通常の用途に供することができないと認められる部分を有する宅地はがけ地補正率を乗じて評価します ( 付表 8) がけ地補正率表 がけ地の方位 がけ地地積 南東西北 総地積 0.10 以上 0.96 0.95 0.94 0.93 0.20 0.92 0.91 0.90 0.88 0.30 0.88 0.87 0.86 0.83 0.40 0.85 0.84 0.82 0.78 0.50 0.82 0.81 0.78 0.73 0.60 0.79 0.77 0.74 0.68 0.70 0.76 0.74 0.70 0.63 0.80 0.73 0.70 0.66 0.58 0.90 0.70 0.65 0.60 0.53 19 国税庁質疑応答事例 がけ地補正率を適用するがけ地等を有する宅地 参照 55
3 がけ地補正の例 (1) 南東を向いている場合 次のように方位の中間 ( 南東 ) を向いているがけ地補正率は それぞれの方位のがけ地補 正率を平均して求めます 20 (2)2 方向にがけ地部分を有する場合次のように 2 方向にがけ地部分を有する宅地のがけ地補正率は 評価対象地の総地積に対するがけ地部分の全地積の割合に応ずる各方位別のがけ地補正率を求め それぞれのがけ地補正率を方位別のがけ地の地積で加重平均して求めます 21 20 国税庁質疑応答事例 がけ地等を有する宅地の評価 南東を向いている場合 参照 21 国税庁質疑応答事例 がけ地等を有する宅地の評価 2 方向にがけ地部分を有する場合 参照 56
( 計算例 ) 1 総地積に対するがけ地部分の割合 2 方位別のがけ地補正率がけ地割合 0.50 の場合の西方位のがけ地補正率 0.78 がけ地割合 0.50 の場合の南方位のがけ地補正率 0.82 3 加重平均によるがけ地補正率 4 がけ地補正と宅地造成費 がけ地補正率が適用されるがけ地等を有する宅地とは 平たん部分とがけ地部分等が一体となっている 宅地 をいいます したがって 平坦部分の地目が宅地 がけ地部分の地目が雑種地や山林と地目がわかれている場合 がけ地部分にがけ地補正は行いません この場合は傾斜地の宅地造成費を控除します コメント がけ地補正と傾斜地の宅地造成費の併用もできないので注意が必要です 57
4. 容積率の異なる 2 以上の地域にわたる宅地の評価 Step1 机上調査 ブルーマップで用途地域の境があることがわかります Step2 現地調査 少し濃い線が用途境です ( 出典 ) ゼンリンホームページ http://www.zenrin.co.jp/ 現地をみても容積率はわかりません Step3 役所調査 市区町村の都市計画課に行き都市計画図を確認したところ 評価対象地は用途地域 2 つにまたがることがわかりました 道路から何 mのところで容積率がかわるのかを調べます 58
20m 1 官民境界から 何 m かを確認 評価対象地 2 容積率 300% 部分の地積と 容積率 200% 部分の地積を求積 このエリアの 容積率は 300% このエリアの 容積率は 200% 今回の用途境いは 道路と民有地との境界 ( 官民境界 ) から 20m であることがわかり ました Step4 評価 用途地域の境を公図に落とし込みます 1 公図上の道路から 20mのところで容積率の線を引きます 2 正面路線に接する部分を求積します 59
20m 1 容積率の境を線引き 地積 :621 m2 間口 :23m 奥行 :27m 道 路 130-3 2 前面部分を求積 3 補正率を算定します 今回は 普通商業 併用住宅地区であるため 影響度 は 0.5 です ( 1-300% 460 m2 +200% 161 m2 300% 621 m2 ) 0.5 = 0.04320 0.043 60
補正率を入力 今回の容積率による減価は 4.3% となります 解説 1 容積の異なる地域にわたる土地の減額 容積率の異なる 2 以上の地域にわたる宅地の価額は 次の算式により計算した割合 ( 小 数点以下第 3 位未満を四捨五入 ) を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価しま す ( 財評通 20-5) この場合において適用する 容積率が価額に及ぼす影響度 は 14-2(( 地区 )) に定める地 区に応じて下表のとおりとします 61
容積率が価額に及ぼす影響度 地区区分 影響度 高度商業地区 繁華街地区 0.8 普通商業 併用住宅地区 0.5 普通住宅地区 0.1 コメント 容積率の異なる 2 以上の地域にわたる宅地の評価に当たり 減額割合の計算を行う場合に適用する容積率は 指定容積率と基準容積率とのいずれか小さい方の容積率によります 基準容積率の算定も忘れずに行いましょう 2 評価減がされないケース 以下の ( イ )~( ロ ) は 用途地域が 2 以上の地域にまたがっていますが 減価がないの で注意が必要です ( イ ) 用途地域はまたいでいるが 容積率が同じ 2 つの用途地域をまたいでいる場合であっても容積率が同じケースがあります 評価対象地の東南は近隣商業地域 北西は第 1 種住居地域ですが 容積率 (300%) が同じであるため評価減はありません 62
2 用途地域の境が縦に入っている 2つの用途地域をまたいでいる場合で 用途境が評価対象地を縦にとおっているケースがあります 評価対象地の西側は近隣商業地域で容積率 400% 東側は第 1 種住居専用地域で容積率は 300% ですが 正面路線の路線価は双方の事情を考慮して設定されていると考えられることから評価減はありません 3 正面路線価側の方が容積率が低い 2 つの用途地域をまたいでいる場合であっても 正面路線における容積率の方が低いケースがあります 評価対象地の北東は商業地域で容積率 400% 南西は第 1 種住居地域で容積率 300% ですが 正面路線価は容積率 300% を前提に設定されていると考えられることから評価減はありません 63
3 容積率の異なる 3 つの地域にわたる場合 その宅地の正面路線に接する部分の容積率が 2 以上である場合で その正面路線に接す る部分の容積率と異なる容積率の部分がある場合には 異なる容積率の部分との違いによ る減額調整を行います 22 500% と 400% が縦に入っています この場合の調整計算に当たっては 容積率 500% 地 域は容積率 400% 地域と一体であるものとして取扱い 容積率 400% 地域と容積率 300% 地 域との格差の調整計算とします 4 正面路線の逆転現象 1 画地の宅地が 2 以上の路線に面する場合において 正面路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて求めた価額について容積率の格差による減額調整を行った価額が 正面路線以外の各路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて求めた価額のいずれかを下回る場合があります そのような場合には 容積率の格差による減額調整を適用せず 正面路線以外の路線の路線価について それぞれ奥行価格補正率を乗じて計算した価額のうち最も高い価額となる路線を当該画地の正面路線とみなして 財産評価基本通達 15( 奥行価格補正 ) から 20-4( がけ 22 国税庁質疑応答事例 容積率の異なる 2 以上の地域にわたる宅地の評価 (2) 参照 64
地等を有する宅地の評価 ) までの定めにより計算した価額によって評価します 23 (1) 正面路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて求めた価額に容積率の格差による減額調整を行った価額 600,000 円 1.00-(600,000 円 1.00 0.167)=499,800 円 (2) 裏面路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて求めた価額 500,000 円 1.00=500,000 円 (3) (1)<(2) となるので 容積率の格差による減額調整の適用はなく 裏面路線を正面路線とみなして 当該画地の評価額を求めます なお この場合 宅地の価額は最も高い効用を有する路線から影響を強く受けることから 正面路線とみなされた路線 ( 裏面路線 ) の路線価の地区区分に応じた補正率を適用することに留意してください 23 国税庁質疑応答事例 容積率の異なる 2 以上の地域にわたる宅地の評価 (2) 参照 65