第 1 章 概論 Thermal Science and Engineering) 教員 e-mail maruyama@ifs.tohoku.ac.jp 使用テキスト 各自購入すること 講義項目によっては テキストがないと内容が理解できない場合がある URL http://www.ifs.tohoku.ac.jp/~maru/ 講義プリントは上記 URL に掲載する JSME テキストシリーズ演習伝熱工学日本機械学会出版 ( 丸善販売 ) 第 1 章 概論 講義ノートの取り方 参考書 JSME テキストシリーズ伝熱工学 Introduction to Heat Transfer by F.P. Incropera and D.P. DeWitt John Wiley and Sons 光エネルギー工学円山重直著養賢堂 みんなの熱科学 - 10 分でわかる熱とエネルギーの話 - 圓山翠陵著東北大学出版会 (1) A4 サイズの白紙ノートを用意する () 講義を聴きながら配布された図を貼り込むスペースをノート紙面に確保する (3) 講義パワーポイントの最低限青字はノートに記入する 記入がまだの時は 挙手してスライドを戻すように講師に言う (4) その他の必要事項をノートに記入する パワーポイント全てを写すことはしない 講師のどの言葉やスライドをどの部分を写すかは 講義の要点を聞きながら自分で決める 口頭で講師が言ったことも必要があればノートに記入する (5) 講義が終わったらプリントを貼り付ける メモの不足部分をテキスト等を見ながら補充する 講義の意味 講義の進め方 伝熱工学の質問 1 卵を熱湯でゆでてから, 冷水で表面が冷たくなるまで冷却する. 空気中に置いてしばらくすると, ゆで卵が再び暖かくなるのはなぜだろうか 伝熱工学の質問 100 のお湯に手を入れると大やけどを負うが,100 のサウナに入ってもやけどをしないのはなぜだろうか 6 1
温泉卵と半熟卵はどこが違うのか 伝熱工学の質問 非定常熱伝導 半無限平板の非定常熱伝導より 0 1 erf i x T Ti T T t x Ti T0 Ti erfc t 物体 1,の温度分布は x1 T1 T1, i TS T1, i 1erf 1t x T T, i TS T, i 1erf t 7 温泉卵の温度分布半熟卵の温度分布 図.30 つの半無限物体が接した場合の過渡温度分布 境界条件 x 1 T T k1 k x x 1 x 0 1 伝熱工学の質問 第 1 章 概論 熱物性値 伝熱工学の質問 3 k(w/(m K)) c(j/(kg K)) (kg/m) 空気 0.031 1010 0.955 水 0.676 410 960 ひとの皮膚 0.45 3600 1050 ヒトが断熱材にふれたときの接触面温度 空気 水 ひとの皮膚の熱物性値 伝熱工学の質問 伝熱工学の質問 3 伝熱工学の質問 3 熱交換器 10 の牛乳 100 リットルを低温殺菌するために 70 以上に加熱したい.90 100 リットルのお湯を使ってこの加熱が可能だろうか 伝熱工学の質問 4 ハー と吹くと暖かく感じるが フー 吹くと冷たく感じるのはなぜだろう プレート式熱交換器
伝熱工学の質問 3 伝熱工学の質問 4 平流形熱交換器と向流形熱交換器 伝熱の形態 伝熱の形態 熱伝導 対流熱伝達 伝熱の形態 熱伝導の基礎式 ふく射伝熱 伝導伝熱 (conductive heat transfer) 3
種々の物質の熱伝導率 熱伝導 例.5 (1) 厚さ 3mm のガラス ( k 1.1W/(m K)) の窓がある. 室内温度 Ti 0, 外気温度 To 10 として, 外気への損失熱流束 q 1 を求めよ. ただし, 室内側の熱伝達 率 hi 5W/(m K), 外気側の熱伝達 率 ho 15W/(m K) とする. T h Th Rh 1 ha h T T 1 高温流体 T, h h h T( x) k 0 Q L R T1 T L ka T x q Rc 1 ha c T c 低温流体 T, h Tc 対流熱伝達がある場合の熱伝導 c c 熱伝導 熱伝導 風船に水を入れて炎で加熱したとき風船は割れるだろうか? 水を入れたゴム風船のゴム表面温度 熱通過率 K(W/(m K)) が次式で計算される T h T q ただし 炎の温度を Th 700 水の温度を T 10 とし c 炎側と水側の熱伝達率をそれぞれ h h ゴムの熱伝導率と厚さをそれぞれ とする 5 W/(m K), hc 500 W/(m K) k 0.13 W/(m K), L 0.1 mm 平板を通過する熱流束は, 炎と壁面の熱伝達率から風船のゴム外壁温度は Th Rh 1 ha h T 1 高温流体 Th, hh T( x) k 0 Q L R T T1 L T 1 Tc ka ha c x Rc T c 低温流体 Tc, hc 対流熱伝達がある場合の熱伝導 1 対流がある場合の熱伝導 対流がある場合の熱伝導 上條 平田 ロケットを飛ばす オーム社 (1994) 3 4 4
非定常熱伝導 非定常熱伝導 非定常熱伝導とフーリエ数 非定常熱伝導とビオ数 フーリエ数 : t Fo 非定常熱伝導 集中熱容量モデル (lumped capacitance model) 図.3 第 1 種境界条件における平板の過渡温度分布 =(T-T )/(T i -T ) 1.0 0.8 0.6 0.4 0. 0.0 0 1 3 FoBi=hAt/(cV ) 集中熱量系の過渡温度変化 非定常熱伝導とビオ数 非定常熱伝導 非定常熱伝導 例.13 右図に示すように, 厚さ0 mm の十分大きい炭素鋼板が均一温度 Ti 800K に加熱された後, T 300K の空気流中で冷却される. 空気との熱伝 達率を h 80W /(m K) とすると, T 550K となる時間を推定せよ. 各種形状物体の中心部の過渡温度変化 加熱鉄板を空冷したときの過渡温度変化 5
非定常熱伝導 例.10 寒冷地では気温 -10 の日が 10 日間続く場合がある. 地中に埋設された水道管の凍結を防止するために, 土壌温度を 0 以上に保つ必要がある. 水道管の埋設深さを計算せよ. ただし, 土壌の密度, 熱伝導率, 比熱を下記の値とし, T0 10 T 5 i 地中に埋設した水道管 3 1300kg / m, k 0.9 W / (m K), c 0.76kJ /(kg K) 非定常熱伝導 土壌の初期温度 T 5 とする. i 表面温度一定と熱流束一定の場合の過渡熱伝導温度分布 対流熱伝達 自然対流 自然対流 強制対流 自然対流 白熱電球の周りの自然対流伝熱と温度境界層 6
強制対流 境界層の発達 レイノルズ数 円柱周りの流れ ue( x) u x x / R 前方よどみ点 R 一様流中に置かれた円柱周りの境界層の形成と剥離 球周りの流れと乱流遷移 物体の抵抗係数 球周りの境界層の層流剥離と乱流剥離 球と円筒が流体中に置かれた場合の抵抗係数のレイノルズ数に対する変化 7
実験条件 Wall temp. :.0 Ambient temp. : 1.0 Pressure : 10500 Pa Velocity : 1m/s 15m/s Re : 3. 10 3 4.8 10 4 凹面鏡 Quasi common path 収差補正レンズ 三次元光路 016/4/6 可視化領域の拡大 擾乱の影響の低減 43 Without tripping wire With tripping wire 44 種々の無次元数 三次元物体周りの流れ可視化 無次元数の利用例 無次元数の利用例 T 13 u 30 m/s e e 0 m /s 6 cm 50 cm 1m 50 cm T 75 w 例 3.1 一定温度 75 に保たれた長さ 1 m, 幅 50 cm の平板に沿って 15 の空気が 30 m/s で流れてくるとき, 一面からの強制対流による放熱量を求めよ. ただし, 前縁から 30 cm のところで層流から乱流に遷移することがわかっている. 平板周りの境界層と乱流遷移 8
無次元数の利用例 無次元数の利用例 Tw > T e 例 3.14 高さが 1.5 m, 幅が 50 cm で, 表面温度が 75 に一定に保たれた垂直壁がある. 静止した周囲の空気の温度が 15 であるとき, この垂直壁からの自然対流による放熱量を求めよ. 乱流 Ra x = 10 9 x 層流 垂直平板の自然対流熱伝達 平板上の熱伝達率の変化 相変化を伴った熱伝達 沸騰曲線 代表的な対流熱伝達の例 q h( Tw Tsat) T : 飽和温度 sat - 遷移沸騰 - プール沸騰 強制対流沸騰 飽和沸騰 サブクール沸騰 ( サブクール度 ) 飽和メタノール液中で通電加熱した細線の沸騰 核沸騰 Nukiyama Point 遷移沸騰 膜沸騰 5 沸騰曲線 凝縮 沸騰 (boiling) (c) 核沸騰 ( 高熱流束 ) (d) 限界熱流束点付近 (b) 核沸騰 ( 低熱流束 ) (a) 沸騰開始点付近 (W/m ) 6 10 5 10 核沸騰限界熱流束点 F E D 4 10 A C B 3 10 自然対流 10 遷移沸騰 G Nukiyama I Point 膜沸騰 H 極小熱流束点 10 103 (K) sat (e) 遷移沸騰 (f) 膜沸騰 沸騰特性曲線と沸騰の様相写真は水平上向き銅伝熱面 (0mm 0mm) における水の沸騰 9
ヒートパイプ 沸騰伝熱 ヒートパイプ 例 5.5 10MPaの圧力下で水が核沸騰している 伝熱面の温度が30 水温が80 のとき 熱流束はいくらか Kutatelazeの式 0.7 0.7 hla 4 0.35 qla pla 7.0 10 Pr l k l Ll l v v を使って推定せよ ただし 伝熱面過熱度は T sat ここに, h : 熱伝達率 (W/(m K)) L lv : 蒸発潜熱 (J/kg) p : 系の圧力 (Pa) Pr l : 液体のプラントル数 (-), l 3 : 液体の密度 (kg/m ) v 3 : 蒸気の密度 (kg/m ) 9K である k l l 伝熱面 : 液体の熱伝導率 沸騰伝熱における過熱度と過冷度 (W/(m K)) : 液体の動粘度 (m /s) : 表面張力 (N/m) である. sat sub sat l w 熱伝達率の概略値 ふく射伝熱 熱伝達率のおおよその大きさ ふく射伝熱 (radiative heat transfer) 代表的物質の常温における放射率の概略値 ふく射伝熱 代表的物質の常温における放射率の概略値 例 4.10 図に示されるような平行な無限 灰色平面がそれぞれ温度 T1 600 K, T 300 K に保たれ, 放射率がそれぞれ, 1 0.8 0.5 であるとき, 平面 1からへの正味のふく射熱流束 Q A を求めよ. 1/ つの無限灰色平面におけるふく射伝熱 10
各温度の黒体から放射されるふく射の単色放射能 1.7 90 mk ふく射伝熱 例題 人体を高さ 1.7 m, 表面積 1.8 m, 温度 310 K の 鉛直平板として近似したとき, 90 K の周囲環境へ の自然対流熱伝達率と有効ふく射熱伝達率とを比較 してみよう.( 参考書例題 1.1) ふく射伝熱 地球と惑星の平均温度 地球温暖化とふく射伝熱 惑星 太陽からのふく射 [kw/m ] 太陽光に対する吸収率 エネルギーがバランスする温度 K( ) 実際の平均温度 K( ) 金星地球火星 円山重直, 光エネルギー工学 004, 養賢堂 地球のエネルギーバランス 65 地球のエネルギーバランス 66 微細粒子のふく射特性粒径と同程度の短波長光 Mie 散乱 散乱効率が大きい 粒子散布による太陽光制御 長波長の赤外線 Rayleigh 散乱 散乱効率が小さい ( 粒径 : 0.1m d p 1.0 ) m FiInteractions between nanoparticles and electromagnetic waves 大気中に浮遊するサブミクロン粒子 短波長の太陽光地球からの赤外線 散乱透過 地表温度の降下 Sunlight scattered by particle in the atmosphere. 11
ふく射伝熱 見える光と見えない光 地球温度制御の提案 本研究での温暖化制御大気中の微細粒子のふく射特性に着目 68 http://www.ifs.tohoku.ac.jp/ifs_movie/jpn/ifs _channel/movie_03_b.html 成層圏内への粒子散布により太陽光照射量を制御 地表面温度の降下 粒子 : アルミナ 散布高度 :30 km 打上げ位置 :4000 m 加速方法 : リニアモータ 015 年エルゼビア社研究ビデオコンテスト受賞 飛翔体質量 :10 tons 67 Schematics of the launching of nanoparticles into the stratosphere. 第 1 章 概論 第 1 章おわり 1