- 5 -
2-1 人口 世帯の動向 本市の人口はやや減尐傾向にあり 平成 17 年国勢調査の約 72 万 3 千人から 平成 22 年には約 71 万 6 千人に 平成 27 年には約 70 万 2 千人に減尐することが見込まれている 世帯数については 核家族化の進行等により今後も増加傾向が続き 平成 27 年には約 27 万 7 千世帯と増加する一方 世帯人員数は 2.53 人に減尐し 世帯の規模は小さくなると見られている 年齢別の人口を見ると 年尐人口は減尐傾向にあり 老年人口が増加傾向にある等 尐子 高齢化が顕著に現れている 更に 高齢化の進展に伴い 高齢者世帯が増加しており 高齢単身世帯率は 7.0% 高齢夫婦世帯率は 8.8% となっている 区別で見ると 駿河区の単身世帯率が高く 高齢者世帯が低くなっており 葵区 清水区と比較して若年層の単身世帯が多いことを示している 198,833 図 2-1 人口 世帯数の推移と将来推計 ( 人 ) ( 世帯 ) 推計値 800,000 718,719 727,260 737,098 739,300 738,674 729,980 723,323 716,000 700,000 600,000 500,000 400,000 300,000 200,000 3.61 3.40 平均世帯人員 ( 右目盛 ) 一般世帯数 3.31 213,618 222,450 人口 3.12 236,884 2.93 2.80 2.67 2.59 702,000 2.53 252,163 260,963 270,615 276,320 277,250 ( 人 / 世帯 ) 4.00 3.50 3.00 2.50 2.00 100,000 1.50 0 S50 年 55 60 H2 7 12 17 22 27 1.00 資料 : 昭和 50 年から平成 17 年までは国勢調査 平成 22 年以降は静岡市推計 - 6 -
100% 80% 60% 40% 図 2-2 人口 3 区分別比率の推移と将来推計 7.1 8.4 9.7 11.6 14.5 17.8 21.1 67.7 67.4 68.6 70.3 70.0 68.0 65.4 推計値 25.0 62.5 29.6 59.2 老年人口 (65 歳以上 ) 生産年齢人口 (15 歳以上 65 歳未満 ) 2 章 住まいの現状と課題 20% 0% 25.2 24.2 21.7 18.0 15.5 14.2 13.4 12.5 11.3 S50 年 55 60 H2 7 12 17 22 27 年尐人口 (15 歳未満 ) 資料 : 昭和 50 年から平成 17 年までは国勢調査 平成 22 年以降は静岡市推計 表 2-3 市内各区 全国 全県との比較 全市 葵区 駿河区 清水区 全県 全国 人口 ( 人 ) 723,323 262,764 208,055 252,504 3,792 千 127,768 千 一般世帯数 ( 世帯 ) 270,615 98,443 81,481 90,691 1,347 千 49,062 千 人口増加率 (%) 1 0.9 0.2 0.3 3.0 0.7 0.7 世帯人員 ( 人 / 世帯 ) 2.67 2.67 2.55 2.78 2.82 2.60 単身世帯率 (%) 27.2 27.3 30.8 23.7 24.6 30.9 高齢化率 (%) 21.1 22.1 18.8 22.1 20.5 21.0 高齢単身世帯率 (%) 2 7.0 8.2 5.7 6.8 6.1 9.0 高齢夫婦世帯率 (%) 2 8.8 9.2 7.9 9.3 8.4 10.4 資料 : 平成 17 年国勢調査 1 人口増加率は 平成 12 年調査から平成 17 年調査の増減率 2 高齢単身世帯 :65 歳以上の単身世帯 高齢夫婦世帯 : 夫が 65 歳以上で 妻が 60 歳以上の世帯 - 7 -
2-2 住まいの現況と特性 (1) 住宅ストックの状況 住宅総数は平成 15 年現在約 28 万戸であり そのうち 居住世帯のある住宅が約 25 万戸 (88.7%) 居住世帯のない住宅が約 3 万戸 (11.3%) となっている 所有関係別にみると 持家が約 6 割 民営借家が約 3 割 その他の借家が約 1 割となっており 全県と比較して持家が尐なく 民営借家が多くなっている バリアフリー状況を見ると 高齢者のための設備 (1 つ以上 ) がある住宅は 住宅全体の 40.2% 持家の 62.1% 借家の 14.5% となっている また 高齢者がいる世帯では 55.5% に高齢者のための設備が設置されている また 建築時期別に見ると 持家を中心として耐震性に懸念が残る昭和 55 年以前に建築された住宅があり これらは約 4 割にあたる 9 万 9 千戸となっている 住宅の省エネルギー設備面を見ると 二重サッシ等の設置されている住宅が 10.6% 太陽熱を利用した温水機器等の設置は 6.1% にとどまっている 一方 平成 15 年現在約 1 万戸のマンションが立地している マンションは戸建と異なり 複数の所有者が共有することから 適切な管理を必要としている 表 2-4 住宅数 住宅総数居住世帯あり居住世帯なし ( 戸 ) 一時現在者のみ空家建築中 静岡市 283,810 251,830 88.7% 31,980 11.3% 1,330 0.5% 30,320 10.7% 330 0.1% 静岡県 1,487,290 85.6% 14.4% 0.6% 13.5% 0.3% 資料 : 平成 15 年住宅 土地統計調査 図 2-5 所有関係別比率 静岡市 59.2 5.2 0.4 29.9 3.3 2.1 静岡県 65.6 3.4 0.5 25.8 3.5 1.2 0% 20% 40% 60% 80% 100% 持家公営の借家公団 公社の借家民営借家給与住宅不詳 資料 : 平成 15 年住宅 土地統計調査 - 8 -
70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 図 2-6 高齢者のための設備の設置率 ( バリアフリー化率 ) 62.1 55.5 40.2 14.5 全体持家借家高齢者居住世帯 2 章 住まいの現状と課題 資料 : 平成 15 年住宅 土地統計調査 手すり (1 箇所以上 ) またぎやすい高さの浴槽 廊下などの幅が車椅子で通行可能 段差のない屋内 道路から玄関まで車椅子で通行可能のうちのいずれかを設置している住宅統計の都合上 高齢者居住世帯は蒲原 由比地区を除く 図 2-7 持借別建築時期別比率 総数 (260,710) 37.9 59.7 2.4 持家 (155,830) 40.7 59.0 0.4 借家 (100,020) 35.3 64.3 0.3 0% 20% 40% 60% 80% 100% 昭和 55 年以前昭和 56 年以降不詳 資料 : 平成 15 年住宅 土地統計調査 図 2-8 省エネルギー設備の設置率 二重サッシ又は複層ガラスの窓 ( 全てまたは一部の窓 ) 太陽熱を利用した温水機器等 0.5 3.8 6.1 9.9 10.6 15.5 全体持家 借家 太陽光を利用した発電機器 0.5 0.9 0.0 0 5 10 15 20 % 資料 : 平成 15 年住宅 土地統計調査 - 9 -
(2) 住宅市場の状況 住宅着工件数は 年間 7,000 戸前後で推移している 近年は 持家系 ( 持家 分譲住宅 ) の着工戸数はほぼ横ばいの推移 借家系 ( 貸家 給与住宅 ) は増加傾向にあり 平成 18 年度では持家系と借家系が約半数ずつの着工数となっている また 木造住宅の建設は住宅着工量の約 4 割となっている 既存住宅 ( 中古住宅 ) に着目すると 既存住宅が全流通量に占める割合は 平成 11 年から平成 15 年では 7% から 13% の範囲で推移している 借家の 1 ヶ月の平均家賃は 1 畳あたり 2,900 円となっている 建築時期が新しいものほど家賃が高くなる傾向にあり 昭和 55 年以前の借家と平成 3 年以降の借家では 1.8 倍の差がある 図 2-9 新設住宅着工戸数 ( 戸 ) 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 総計 9,848 9,109 8,934 7,952 持家系 7,604 6,513 6,810 7,061 6,936 6,218 6,252 5,807 5,684 4,852 4,549 2,683 2,608 4,175 4,342 4,298 3,830 3,968 3,644 3,792 3,992 3,865 3,861 5,515 4,257 4,385 4,333 3,777 3,743 借家系 3,069 3,071 2,468 1,920 1,839 1,892 H6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 年度 資料 : 住宅着工統計 表 2-10 新設住宅における木造住宅率 ( 平成 19 年次 ) 項目 戸数 率 住宅着工数 ( 戸 ) 6,642 木造住宅数 ( 戸 ) 2,932 木造住宅率 (%) 44.1% 資料 : 住宅着工統計 - 10 -
14% 12% 10% 8% 6% 4% 平均 :9.8% 7.1% 図 2-11 中古住宅流通量 12.9% 12.3% 7.1% 9.3% 2 章 住まいの現状と課題 2% 0% 平成 11 年平成 12 年平成 13 年平成 14 年平成 15 年 資料 : 平成 15 年住宅 土地統計調査 住宅着工統計 図 2-12 借家の家賃状況 ( 円 / 畳 ) 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 3,611 2,900 3,050 2,044 1,854 1,544 1,274 1,062 3,822 3,374 3,425 2,683 0 借家全体公営の借家民営借家 全体昭和 55 年以前昭和 56~ 平成 2 年平成 3~15 年 資料 : 平成 15 年住宅 土地統計調査 統計の都合上 蒲原 由比地区を除く - 11 -
(3) 住宅 住環境に対する意識 住宅の各要素に対する不満率が最も高いのは 高齢者等への配慮 となっており 65% 以上の市民が不満と感じている 続いて 地震 台風時の住宅の安全性 住宅の防犯性 収納スペース 省エネルギー対応 への不満が高くなっている 住環境の各要素に対する不満率が最も高いのは 火災 地震 水害などに対する安全 となっており 40% 以上の市民が不満と感じている 続いて 子供の遊び場 公園など 治安 犯罪発生の防止 まわりの道路の歩行時の安全 緑 水辺など自然とのふれあい となっている また 子育てにおいて最も重視する点に着目すると 安全性や遮音性等住宅の居住性能 が 18.9% と最も高くあげられているが 続いて 幼稚園 小学校等の利便 が 16.9% まわりの道路の歩行時の安全性 が 15.0% 子供の遊び場 公園等 が 14.9% と住環境の面が高く挙げられている 高齢期に備えた住み替え後の望ましい居住形態としては 有料老人ホームが 45.0% と最も高く サービス付の高齢者向け住宅と持家 ( 一戸建て ) が続いている 立地の意向としては 全県と比較して街なかや都市の中心が約 6 ポイント多く 特にこだわらない世帯も約 3 ポイント多い 図 2-13 住宅の各要素に対する不満率 中部地域 高齢者等への配慮 ( 段差がないなど ) 65.5% 地震 台風時の住宅の安全性住宅の防犯性収納スペース冷暖房の費用負担等の省エネルギー対応 54.4% 54.3% 51.4% 50.7% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 図 2-14 住環境の各要素に対する不満率 中部地域 火災 地震 水害などに対する安全子供の遊び場 公園など治安 犯罪発生の防止まわりの道路の歩行時の安全緑 水辺など自然とのふれあい 42.6% 42.3% 40.5% 37.5% 36.3% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 資料 : 平成 15 年住宅需要実態調査 - 12 -
中部地域 親戚や近隣の人たちとの関わり 9.3% 住宅の広さ 間取り 10.3% 図 2-15 子育てにおいて最も重視する点 子供の遊び場 公園等 14.9% その他 不明 14.7% 安全性や遮音性等住宅の居住性能 18.9% 幼稚園 小学校等の利便 16.9% まわりの道路の歩行時の安全性 15.0% 2 章 住まいの現状と課題 資料 : 平成 15 年住宅需要実態調査 図 2-16 高齢期に備えた住み替え後の望ましい居住形態 0.0 中部地域 20.4 6.1 24.3 45.0 4.3 全県 27.7 7.5 18.2 32.1 8.2 6.3 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 持家 ( 一戸建て ) 持家 ( 共同住宅 ) サーヒ ス付高齢者向住宅有料老人ホームその他わからない 資料 : 平成 15 年住宅需要実態調査 図 2-17 立地の意向 中部地域 22.2 32.7 6.3 6.1 31.4 1.3 全県 16.3 34.7 9.4 6.4 28.5 4.7 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 街なかや都市の中心郊外田園 リゾート地その他特にこだわらない不明 資料 : 平成 15 年住宅需要実態調査 - 13 -
(4) セーフティネット対象者の状況 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律 ( 住宅セーフティネット法 ) では 住宅確保要配慮者を低額所得者 被災者 高齢者 障害者 子どもを育成する家庭その他住宅の確保に特に配慮を要する者としている このうち 低額所得者 高齢者世帯や障害者数は増加傾向にある 高齢者の住宅は持家が中心であるものの 借家も 23.0% を占めている また 子育て世帯は 借家世帯の割合が高く 多子世帯では十分な広さの借家を確保しにくいことが指摘されている 一方 健康で文化的な生活を営むために必要な面積の住宅に居住できていない世帯として 最低居住水準未満の世帯は 平成 15 年現在で約 8 千 5 百世帯 (3.4%) となっている また 民間賃貸住宅をみると 外国人や高齢者等に対して入居を制限している可能性があることが指摘されている 表 2-18 セーフティネット対象者 世帯等 ( 平成 17 年 ) 項 目 世帯 人 出典 生活保護世帯数 ( 世帯 ) 3,752 静岡市 高齢単身世帯数 ( 世帯 ) 18,892 平成 17 年国勢調査 高齢夫婦世帯数 ( 世帯 ) 23,895 平成 17 年国勢調査 高齢者のみの世帯計 ( 世帯 ) 43,599 平成 17 年国勢調査 身体障害者数 ( 人 ) 22,628 静岡市 知的障害者数 ( 人 ) 3,949 静岡市 精神障害者数 ( 人 ) 2,136 静岡市 夫婦と子の世帯数 ( 世帯主 50 歳未満 )( 世帯 ) 37,602 平成 17 年国勢調査 ひとり親と子の世帯数 ( 世帯主 50 歳未満 )( 世帯 ) 7,584 平成 17 年国勢調査 外国人数 ( 人 ) 8,553 外国人登録 生活保護世帯 夫婦と子の世帯 ひとり親と子の世帯は蒲原 由比地区を除く 障害者数は由比地区を除く 図 2-19 所有関係別居住水準別比率 全体 3.4 47.2 49.4 持家 0.7 38.2 61.1 借家計 7.7 58.0 34.2 公営の借家 9.6 63.5 27.0 公団 公社の借家 24.4 63.4 12.2 民営借家 7.4 57.7 34.9 給与住宅 6.0 52.3 41.8 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 最低居住水準未満最低以上誘導未満誘導居住水準以上 - 14 - 資料 : 平成 15 年住宅 土地統計調査
図 2-20 子育て世帯 ( 世帯主 50 歳未満 ) の住宅の所有関係 夫婦と子 (37,602) ひとり親と子 (7,584) 37.4 50.7 13.6 1.0 4.6 1.7 35.7 45.0 0% 20% 40% 60% 80% 100% 持家公営の借家公団 公社民営借家給与住宅 8.0 2.3 資料 : 平成 17 年国勢調査 2 章 住まいの現状と課題 統計の都合上 蒲原 由比地区を除く 図 2-21 高齢単身世帯 高齢夫婦世帯の持借比率 ( 主世帯 ) 持家 32,621 世帯 77.0% 高齢夫婦 ( 持家 ) 20,791 49.1% 高齢単身 ( 持家 ) 11,830 世帯 27.9% 高齢単身 ( 借家 ) 6,784 世帯 16.0% 高齢夫婦 ( 借家 ) 2,967 世帯 7.0% 借家 9,751 世帯 23.0% 資料 : 平成 17 年国勢調査 図 2-22 賃貸住宅での入居者制限状況と制限対象世帯 ( 全国 ) 無回答 16.1% 制限している 25.3% 外国人単身の高齢者高齢者のみ世帯障がい者のいる世帯小さい子どものいる世帯ひとり親世帯 9.5% 20.9% 17.3% 30.9% 42.3% 47.3% 制限していない 58.6% 男性その他無回答 5.9% 5.0% 27.7% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 資料 :( 財 ) 日本賃貸住宅管理協会 平成 14 年 - 15 -
2-3 住生活に関する課題 (1) 住宅ストックの課題 1 住宅のバリアフリー化高齢者世帯 ( 高齢単身 高齢夫婦世帯 ) は 15.8% を占めており 今後も高齢者世帯が増加すると推計されている こうした中で住宅のバリアフリー化の状況をみると 高齢者のための設備がない住宅が過半数を占め また 市民の住宅に対する不満率をみても 住宅のバリアフリー化に対する不満が最も高くなっており 住宅のバリアフリー化を進めていく必要がある また 高齢者の住宅内事故を未然に防ぎ 障害者もノーマライゼーションの理念のもとに安心して暮らすことができるように 住まいの面からユニバーサルデザイン化を進めていくことも重要である 2 住宅の耐震性の確保市民の住宅に対する不満をみると 地震や台風に対する住宅の安全性に対する不満が高くなっている 本市の住宅は その約 4 割が昭和 55 年以前に建築されたものであるため 耐震性能を有している住宅は 73.6% にとどまっている (P80 表 7-3) また 住宅の建替等が進んでいるため 耐震性能を有している住宅は増加しているものの 既存の住宅に対する耐震補強の工事は年間約 1% の持家で行われているにすぎず 東海地震の発生が懸念される中 既存住宅の耐震性を確保することが課題となっている 3 省エネルギー住宅の普及住宅の省エネルギー設備の設置状況をみると 二重サッシや複層ガラスの窓を備えた住宅が 10% 太陽光を利用する発電施設を備えた住宅が 0.5% にとどまっている等 省エネルギー設備の設置は進んでいない しかしながら 地球環境の保全等市民の環境に対する意識の高まり等を受け 住まいの面から環境問題に対応していくため 住宅の省エネルギー設備の普及を進めていくことが必要となっている 4 マンションの適正な管理の推進多数の区分所有者等が居住している分譲マンションは 都市型住宅として定着してきており そのマンションライフを支えるため 共用部分の維持 管理や将来必要となる建て替えが円滑に行われるようにする必要がある - 16 -
特に昭和 40 年代 50 年代に建築された比較的初期のマンションのなかには 管理組合が設置されていないものもみられるため この種のマンションに対し 適切な維持 管理と老朽化の進行に対応した修繕を実施できるよう情報提供等各種支援を行うことが必要である (2) 住宅市場に関する課題 2 章 住まいの現状と課題 1 既存住宅の流通促進市民の住まいの取得に関する意向をみると 新築 中古にこだわらないと答えている世帯の比率が高くなっているものの (P95 図 7-25) 現状では 既存住宅の流通はごくわずかにとどまっている (P11 図 2-11) しかしながら 地球環境問題からCO2 削減等の取り組みの中で 今後 住宅をできるだけ長く使うことが求められており 既存住宅が市場で循環利用されるような仕組みを整備していくことが必要である 2 空家の活用 空家は約 3 万戸と住宅総数に占める割合が 10% 以上となっており これらの空家を住ま いとして有効活用することが課題である 3 円滑な住み替えの推進市民の住まいの改善意向をみると 住み替え等を希望している世帯は 20% 以上を占めているが (P92 図 7-20) その多くは 子育て世帯の子供の入学を契機とする広い住宅への住み替えや 高齢者や障害者等の利便性の高い街なかへの住み替え等が考えられる また 市民の高齢期の住まい方をみると サービス付の住宅や老人ホーム等への住み替えを希望している世帯が多いことから 高齢社会に対応するため 高齢者向けの住宅供給を誘導し 高齢者の入居を拒まない住宅の登録 情報提供等住替えを進める市場の整備が必要である 4 市民への住まいに関する情報の提供の推進住宅性能表示制度は 住宅取得に関するトラブルの防止と客観的な住宅性能を把握するため 住宅の重要な部分における表示の共通ルールを定めたものであり 市民等消費者が 住宅取得時において適切な選択が可能となるよう本制度の普及に努める必要がある - 17 -
(3) まちづくりに関する課題 1 住宅地のうるおいの創出住宅市街地でのブロック塀の生垣化や 都市部での屋上緑化等を進めること また 子供の遊び場や公園等のスペースを計画的に確保することにより 身近にゆとりとみどりのある住環境を創出することが求められている 一方 本市の水源となっている山村地域では 森林保全によりきれいな水を確保し 生活環境の維持 改善を推進することが必要である このような地域では 自然豊かな情景が残されていることから これらの自然環境と調和した良好な住宅地を誘導することが必要である 2 地産地消の推進本市は温暖で日照時間が長い等気象条件に恵まれていることから豊かな森林資源を抱えている このため 林業振興及び地域住宅産業の活力維持の観点から住宅建設における地域産材の利活用の推進が求められている 3 都心人口の定着と中山間地の活用都心のにぎわいを創出するため 都市型住宅の計画的な誘導や 都市機能の集積により 人口の定着や交流人口の創出が必要である また 中心市街地の周辺では 中層建築物を計画的に誘導し 都市施設と住宅の調和を図ることや来るべき高齢社会に備え 生活の利便性が確保され バリアフリー化された住宅を誘導することが必要である 一方 中山間地では 豊かな自然を生かし 地域の空家を活用した定住人口の確保 交流人口の創出を促進することにより 地域の活力を維持することが必要である 4 市街地の安全性の確保住環境に対する不満の中では 災害からの安全性に対する不満率が最も高く 被災時に被害が最小限にとどまるようコミュニティによる自主防災活動等を支援していくことや 防災拠点 避難路を確保することが求められている また 急傾斜地等の付近では 土砂災害等から市民を守るため 危険箇所における安全対策や危険住宅には移転等を求めていくことが必要である 近年 空き巣等の犯罪が増える傾向にあるが 個々の住宅の防犯対策だけではなく 死角の尐ないまちづくりや地域のコミュニティの形成を進めていくことが必要である また まわりの道路の歩行時の安全性に対する不満率が高いことから 安全 安心な歩行空間を確保することも必要である - 18 -
(4) セーフティネットに関する課題 1 最低居住水準未満世帯の解消健康で文化的な生活を営むための目安となる最低居住水準を満たしていない世帯が 8,550 世帯 世帯全体の 3.4% となっている (P82 図 7-7) そのため 住宅市場では自力で適正な水準の住宅を確保することが困難な世帯に対して 市営住宅等公的賃貸住宅を活用することにより 全ての市民が最低居住水準を確保できるようにする必要がある 特に 借家に居住する子育て世帯等の多子世帯は 最低居住水準の達成が難しいため 子育て世帯等への住情報の提供や住み替え支援による住宅のミスマッチ解消等により これら多子世帯が最低居住水準を達成できるような配慮が必要である 2 章 住まいの現状と課題 2 子育て世帯等に対するセーフティネットの整備低額所得者 被災者 高齢者 障害者 子どもを育成する家庭その他住宅の確保に特に配慮を要する者 ( 住宅確保要配慮者 ) に対する住宅を確保できるよう 引き続き既存の市営住宅の的確な活用を図るとともに 入居制限を行わない賃貸住宅の登録等民間賃貸住宅市場での居住支援等を図っていくことが必要である また DV 被害者についても緊急に住宅を確保できるよう市営住宅の活用や県営住宅との連携が必要である 3 大規模災害発生時の居住の安定の確保大規模災害の発生時 多くの住宅に被災が見込まれることから 被災した世帯が緊急に住宅を確保できるようあらかじめ検討を進めておくことが必要である また 市営住宅等公的賃貸住宅だけでは 十分な住宅の確保が難しいと考えられることから 民間賃貸事業者との連携を検討していくことが必要である (5) 市営住宅に関する課題 1 市営住宅更新等の新たな取り組みの必要性昭和 55 年以前に建設された市営住宅は 市営住宅ストックの4 分の3を超えており 今後一斉に更新の時期を迎えることになる (P56 図 5-3) このため これら大量の住宅ストックを従来の手法である建替えにより更新することは困難になってきており 適切な修繕により既存のストックを長く使う等新たな取り組みが必要となっている - 19 -
2 適切な入居管理の推進セーフティネット対象世帯が増加している中 限られた市営住宅でこれらの世帯に対応するため 真に 住宅に困窮する世帯の入居を前提とすることが求められる そのため 適正な管理を進め 市営住宅ストックを有効に活用することが必要である - 20 -