高松赤十字病院モーニングセミナー化学療法について 化学療法科 和泉洋一郎 2013.10.21 1
化学療法とは 化学物質の選択毒性を利用して 疾患原因である微生物や腫瘍細胞の増殖阻害 死滅をはかる治療法 元来は感染症の治療 今日では 抗がん剤治療をさす 自己免疫疾患治療にも 化学療法 を用いる 2
抗がん剤 がんの細胞分裂の過程に作用し 細胞増殖を妨げる 使用目的がんの完全破壊 ( 完治 ) 血液腫瘍手術に備えて 病巣の縮小を図る 固形がん術後の再発や転移の防止 固形がん 3
外来化学療法加算 外来化学療法加算 1 外来化学療法加算 2 外来化学療法加算 A 1 15 歳未満 780 点 2 15 歳以上 580 点 外来化学療法加算 B 1 15 歳未満 630 点 2 15 歳以上 430 点 外来化学療法加算 A 1 15 歳未満 700 点 2 15 歳以上 450 点 外来化学療法加算 B 1 15 歳未満 600 点 2 15 歳以上 350 点 4
外来化学療法加算 A 添付文書の 警告 もしくは 重要な基本的注意 欄に 緊急時に十分対応できる医療施設及び医師のもとで使用すること 又は infusion reaction 又はアナフィラキシーショック等が発現する可能性があるため患者の状態を十分に観察すること 等の趣旨が明記されている抗悪性腫瘍剤又はモノクロ ナル抗体製剤などヒトの細胞を規定する分子を特異的に阻害する分子標的薬を G000( 皮内 皮下及び筋肉内注射 ) 以外により投与した場合に算定する 5
外来化学療法加算 B 外来化学療法加算 A 以外の抗悪性腫瘍剤 ( ホルモン効果を持つ薬剤を含む ) を投与した場合に算定する 6
外来化学療法加算 1 に関する施設基準 (1) 外来化学療法を実施するための専用のベッド ( 点滴注射による化学療法を実施するに適したリクライニングシート等を含む ) を有する治療室を保有していること なお 外来化学療法を実施している間は 当該治療室を外来化学療法その他の点滴注射 ( 輸血を含む ) 以外の目的で使用することは認められないものであること 7
外来化学療法加算 1 に関する施設基準 (2) 化学療法の経験を 5 年以上有する専任の常勤医師が勤務していること (3) 化学療法の経験を 5 年以上有する専任の常勤看護師が化学療法を実施している時間帯において常時当該治療室に勤務している こと (4) 化学療法に係る調剤の経験を 5 年以上有する専任の常勤薬剤師が勤務していること 8
外来化学療法加算 1 に関する施設基準 (5) 急変時等の緊急時に当該患者が入院できる体制が確保されていること又は他の保険医療機関との連携により緊急時に当該患者が入院できる体制が整備されていること 9
外来化学療法加算 1 に関する施設基準 (6) 実施される化学療法のレジメン ( 治療内容 ) の妥当性を評価し 承認する委員会を開催していること 当該委員会は 化学療法に携わる各診療科の医師の代表者 ( 代表者数は 複数診療科の場合は それぞれの診療科で 1 名以上 (1 診療科の場合は 2 名以上 ) の代表者であること ) 業務に携わる看護師及び薬剤師から構成されるもので 少なくとも年 1 回開催されるものとする 10
高松赤十字病院の 外来化学療法室利用時の約束事 化学療法のオーダー入力は 予定日の前日昼までに 外来患者の化学療法は ベッドの予約も同時に 先々までのベッドをとるだけ はしない 緊急に化学療法を行う場合は 薬剤部 化学療法室に連絡を! 注意!! レジメンの投与量は 最大量で登録されている 11
抗癌剤の作用機序 DNA 合成阻害細胞分裂阻害 DNA 損傷代謝拮抗栄養阻害 12
combination chemotherapy 腫瘍異なる性質のものが混在耐性を得やすい抗癌剤の毒性のため投与量に制限 多剤併用療法 標的分子が異なる薬物 有効とされる細胞周期の異なる薬物 用量規定毒性が異なる薬物を併用するのが原則 13
hematological stem cell transplantation - myeloablative - 標的臓器が骨髄 投与量増大するほど効果が大 14
インフュージョンリアクション 分子標的療法の 薬剤投与中または投与開始後 24 時間以内に現れる症状の総称 初回投与後 24 時間以内に発生するが, 投与開始から 24 時間以降, また 2 回目投与以降に発現することもある 通常の過敏症と類似した症状もみられるが, モノクローナル抗体特有の症状も呈する [ リツキシマブの検討 ] 大半の患者で投与 90 分後にサイトカイン高値を示し, またサイトカイン高値であるほど,grade 3,4 のインフュージョンリアクションが高頻度 ( サイトカインが一過性の炎症やアレルギー反応を引き起こすことが, 発生機序の一つと推測される ) 15
化学療法時の過敏性反応
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初回投与における インフュージョンリアクションの発生頻度 リツキシマブ ( リツキサン TM ) ( 抗 CD20 モノクローナル抗体 ) トラスツズマブ ( ハーセプチン TM ) ( 抗 HER2 ヒト化モノクローナル抗体 ) ベバシズマブ ( アバスチン TM ) ( 抗 VEGF ヒト化モノクローナル抗体 ) セツキシマブ ( アービタックス TM ) ( 抗ヒト EGFR モノクローナル抗体 ) 約 90% 重症例数 %~10% 約 40% 3% 8~13% 18
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HBV の再活性化 癌化学療法 免疫抑制療法は その有用性と対象患者数の増加に伴い ますます重要な治療選択肢として位置付けられる しかし これらの治療を受けることによって HBV の再活性化が起こることが多く報告されている 20
医療ミスで肝炎を発症 死亡患者の遺族が阪大を提訴大阪地裁産経新聞平成 24 年 11 月 19 日 ( 月 )20 時 23 分配信 B 型肝炎ウイルスに感染していた大阪大学付属病院の入院患者の男性 = 当時 (70)= が死亡したのは 副作用のある薬剤を使ったのに適切に経過観察しなかったためなどとして 男性の遺族 4 人が 19 日 大阪大学に計約 1 億円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした 訴状によると 男性は平成 21 年 11 月 悪性リンパ腫の治療で同病院に入院 検査で同ウイルスに感染していることが判明した 病院は 12 月から ウイルスを活性化させる副作用がある抗がん剤 リツキシマブ ( 商品名リツキサン ) の投与を開始 悪性リンパ腫は快方に向かったが 23 年 9 月に肝炎を発症 同年 11 月に肝不全で死亡した 原告側は 定期的なウイルス検査など適切な措置をとらなかったなどとして 明らかな医療ミスだ と訴えている 同病院は 訴状を確認していないのでコメントは差し控える としている 厚生労働省は この抗がん剤を投与された同ウイルスの感染者が劇症肝炎などで死亡した事例があることや 十分に観察して必要なら抗ウイルス剤を使用することなどを 商品に明記するよう製薬会社に求めている 21
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注 8) 核酸アナログはエンテカビルの使用を推奨 23
分子標的治療薬低分子医薬品ーチロシンキナーゼ阻害剤 商品名標的分子対象疾患 イマチニブ グリベック Bcr-Abl KIT CML,Ph+ALL GIST ゲフィチニブイレッサ上皮成長因子受容体 (EGFR) 非小細胞肺がん エルロチニブタルセバ上皮成長因子受容体 (EGFR) 非小細胞肺がん ダサチニブスプリセル Bcr-Abl CML,Ph+ALL バンデタニブ (ZD6474) スニチニブ (SU11248) ザクティマ スーテント ラパチニブ (GW572016) タイケルブ 血管内皮細胞増殖因子受容体 (VEGFR) 上皮成長因子受容体 (EGFR) 血小板由来増殖因子受容体 (PDGFR) 血管内皮細胞増殖因子受容体 (VEGFR) KIT 上皮成長因子受容体 (EGFR) Her2/neu ニロチニブ タシグナ Bcr-Abl CML クリゾチニブ (XALKORI) ALK ALCL 非小細胞肺がん GIST, 腎細胞癌 HER2 過剰発現乳癌
分子標的治療薬低分子医薬品ー Raf キナーゼ阻害薬 プロテアソーム阻害剤ー Raf キナーゼ阻害薬 ソラフェニブ (BAY43-9006) 商品名標的分子対象疾患 ネクサバール Raf 血小板由来増殖因子受容体 (PDGFR) 血管内皮細胞増殖因子受容体 (VEGFR) KIT RCC,HCC, ( 乳がん ) プロテアソーム阻害剤商品名標的分子対象疾患 ボルテゾミブベルケイドプロテアソーム MM 25
分子標的治療薬抗体医薬品 ( モノクローナル抗体 ) マウス抗体 omab Fc 部分がマウス由来効果が不十分免疫原性使用せずキメラ抗体 ximab 可変領域はマウス由来定常領域をヒト由来免疫グロブリンヒト化抗体 zumab 可変領域のうち相補性決定領域がマウス由来フレームワーク領域がヒト由来免疫原性低減ヒト抗体 mumab ヒト抗体遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを用いた完全なヒト型抗体 26
分子標的治療薬抗体医薬品 ( キメラ抗体 ) キメラ抗体 ( ximab) 商品名 標的分子 対象疾患 リツキシマブ リツキサン CD20 B-NHL,B-CLL, B-PLL,RA セツキシマブ アービタックス抗上皮成長因子受容体 (EGFR) 大腸がん 頭頚部がん インフリキシマブレミケード TNF-α RA, バシリキシマブ シムレクト IL-2receptor α(cd25) Crohn'sdisease 腎移植 ( 急性拒絶反応抑制 ) 27
分子標的治療薬抗体医薬品 ( ヒト化抗体 ) ヒト化抗体 ( zumab) 商品名 標的分子 対象疾患 トシリズマブ アクテムラ IL-6receptor RA, Castleman'sdisease トラスツズマブハーセプチン HER2 乳がんベバシズマブアバスチン血管内皮細胞増殖非小細胞肺がん 因子 (VEGF) 大腸がん 乳がん オマリズマブゾレア IgE 気管支喘息 メポリズマブボサトリア IL-5 特発性好酸球増加症候群 28
分子標的治療薬抗体医薬品 ( ヒト化抗体 ) ヒト化抗体 ( zumab) 商品名 標的分子 対象疾患 ゲムツズマブ ( オゾガマイシン ) マイロターグ CD33 AML パリビズマブ シナジス RSvirus RS ウイルス感染 ラニビズマブ ルセンティス 血管内皮細胞増殖 因子 (VEGF) 加齢黄斑変性症 セルトリズマブシムジア TNF-α Crohn'sdisease モガムリズマブポテリジオ CCR4 ATL エクリズマブソリリス CD5 PNH 29
分子標的治療薬抗体医薬品 ( ヒト抗体 ) ヒト抗体 ( mumab) 商品名 標的分子 対象疾患 パニツムマブ ベクティビックス上皮成長因子受容体 (EGFR) 大腸がん 直腸がん オファツムマブアーゼラ CD20 B-CLL ゴリムマブ シンポニ TNF-α RA イピリムマブ ヤーボイ CTLA-4( 細胞傷害性 Tリンパ球関連抗原 4 CD152) melanoma 30