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1 ( ) 4.1% 4.4% 4.% 1 ( ) 1.2%( ) 1.6% 3.8% 1( ) 5.6% 4, % 8 6.5% % 2 4.3% 47.8% 18.8% % 13 2, % 2.2% 13.% 218 ( ).

○ユーロ

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事業所規模 5 人以上 (1 表 ) 月間現金給与額 産 業 ( 単位 : 円 %) 現金給与総額 きまって支給する給与 所定内給与 特別に支払われた給与 対前月増減差 対前年同月増減差 全国 ( 調査産業計 確報値 ) 262, , ,075

事業所規模 5 人以上 (1 表 ) 月間現金給与額 産 業 ( 単位 : 円 %) 現金給与総額 きまって支給する給与 所定内給与 特別に支払われた給与 対前月増減差 対前年同月増減差 全国 ( 調査産業計 確報値 ) 278, , ,036

毎月勤労統計調査地方調査の説明 1 調査の目的この調査は 統計法に基づく基幹統計で 常用労働者の給与 出勤日数 労働時間数及び雇用について 東京都における毎月の変動を明らかにすることを目的としています 2 調査の対象本調査の産業分類は 平成 2 年 10 月改定の日本標準産業分類に基づき 鉱業, 採

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Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 30 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 30 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 30 年 1~3 月期 来期平成

各商品の動きについて 新規出店を含めた全店ベースの前年比でみると 衣料品の減少と飲食料品の増加がここ数年のトレンドとして定着しており 7 年も衣料品は減少し 飲食料品は増加した 衣料品が減少傾向にあるのは 販売形態の多様化により 購入先として衣料品専門店や通販 インターネットショッピングなどの選択肢

Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 28 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 28 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 29 年 1~3 月期 来期平成

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( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 金 25, 2, 15, 12, 営業利益率 経常利益率 額 15, 9, 当期純利益率 6. 1, 6, 4. 5, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 8 社 214 年度 215 年度前年度差 ( 単位 : 億円 ) 前年

1. 総論 総括判断 県内経済は 平成 28 年 (216 年 ) 熊本地震の影響が一部に残るものの 緩やかに回復している 項目前回 (29 年 1 月判断 ) 今回 (3 年 1 月判断 ) 総括判断 平成 28 年 (216 年 ) 熊本地震の影響が一部に残るものの 緩やかに回復している 平成

2911金融経済概観

05 年の日本経済を見通す上で重要なポイントの一つは 実質賃金の行方である 安倍政権が掲げる 経済の好循環 を実現するためには 個人消費の原動力となる実質賃金が増加していくことが不可欠であるからだ 大方の予想では 実質賃金は今春以降改善に向かうとみられているが そのプラス幅やプラスをもたらす背景につ

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(2) 住宅投資 住宅投資は 横ばい圏内で推移している 新設住宅着工戸数の内訳をみると 持家は 増加に転じてきている 貸家 や分譲は 水準を切り下げている (3) 設備投資設備投資は 受注や収益の好調を背景に水準を切り上げている 建設投資の先行指標である建築着工床面積 ( 非居住用 ) は 振れがあ

平成22年7月30日

12月CPI

1. 総論 総括判断 県内経済は 回復しつつある 項目前回 (29 年 1 月判断 ) 今回 (3 年 1 月判断 ) 前回比較 総括判断緩やかに回復しつつある 回復しつつある ( 注 )3 年 1 月判断は 前回 29 年 1 月判断以降 3 年 1 月に入ってからの足下の状況までを含めた期間で判

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /1 年 7~9 月期の近畿圏市場 1. 中古マンション市場の動き 成約価格は前年比で 3 期連続上昇 1 年 7~9 月期の近畿レインズへの成約報告件数は,9 件と 前年同期比で 1.% 増加した (P1 図表 1) 新規登録件数は 15

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216 年冬のボーナス見通し ~2 年ぶりに増加するも 小幅にとどまる ~ 216 年 11 月 8 日三菱 UFJ リサーチ & コンサルティング株式会社 三菱 UFJ リサーチ & コンサルティング株式会社 ( 本社 : 東京都港区 代表取締役社長 : 藤井秀延 ) は 216 年冬のボー ナス見通し ~2 年ぶりに増加するも 小幅にとどまる ~ を発表いたします 詳細は本文をご覧ください 本件に関するお問い合わせ 三菱 UFJ リサーチ & コンサルティング株式会社調査部土志田るり子藤田隼平 1-81 東京都港区虎ノ門 -11-2 オランダヒルズ森タワー TEL:3-6733-17 E-mail:chosa-report@murc.jp 配布先経済研究会

216 年 11 月 8 日 経済レポート 216 年冬のボーナス見通し ~2 年ぶりに増加するも 小幅にとどまる ~ 調査部土志田るり子藤田隼平 216 年冬の民間企業 ( 調査産業計 事業所規模 人以上 ) のボーナスは 2 年ぶりに増加すると予測する 労働需給がタイトな中 ボーナスを算定する上で基準とされることの多い基本給 ( 所定内給与 ) が前年比で増加を続けていることもあり 一人あたり平均支給額は 37 万 1, 676 円 ( 前年比 +.4 %) と増加しよう もっとも 前年からの反動で大幅に増加した夏ほどの伸びは見込み難く プラス幅は小さなものになるだろう 中でも 製造業では足もとで業績が悪化しており 中小企業を中心として下振れるリスクがある 雇用者の増加が続く中で ボーナスが支給される事業所で働く労働者の数も増加が見込まれる 冬のボーナスの支給労働者数は 4,187 万人 ( 前年比 + 2.1% ) に増加し 支給労働者割合も 8. %( 前年差 +.1% ポイント ) に上昇しよう また 一人あたり平均支給額の増加が小幅な中 支給労働者数の増加による押し上げで 216 年冬のボーナスの支給総額は 1.6 兆円 ( 前年比 +2.4%) に増加する見通しである 夏のボーナスに続いて冬のボーナスも支給額が増加することで 足元で弱さの見られる個人消費が持ち直すきっかけとなる可能性がある 216 年冬の国家公務員 ( 管理職および非常勤を除く一般行政職 ) のボーナス ( 期末 勤勉手当 ) の平均支給額は 69 万 8, 円 ( 前年比 +6.1%) に増加すると予測する 人事院勧告による基本給の増加や ボーナス支給月数の増加などが引き続き支給額を押し上げる要因となる ( 円 ) 前年比 (%) ( 万人 ) 前年比 (%) ( 兆円 ) 前年比 (%) 民間企業 371,676.4 4,187 2.1 1.6 2.4 製造業 498,7.1 726.4 3.6. 非製造業 34,171.6 3,461 2.4 11.9 3. 国家公務員 698, 6.1 216 年冬のボーナス見通し 一人平均支給額支給労働者数支給総額 ( 注 1) 民間企業 ( 調査産業計 事業所規模 人以上 ) は 賞与を支給する事業所で働く全常用労働者 ( 当該事業所で賞与の ( 注 1) 支給を受けていない労働者も含む ) の平均 ( 注 2) 国家公務員は 管理職および非常勤を除く一般行政職の平均 ( 注 3) 支給労働者数は 賞与を支給する事業所で働く全常用労働者 ( 当該事業所で賞与の支給を受けていない労働者 ( 注 3) も含む ) の数 ( 注 4) 支給総額は一人平均支給額に支給労働者数を掛け合わせた値 ( 出所 ) 厚生労働省 毎月勤労統計 内閣人事局資料などをもとに当社予測 1 / 87

1.2 1 6 年夏のボーナス ~ 前年の反動で大幅に増加 11 月 7 日に発表された厚生労働省 毎月勤労統計調査 によると 民間企業 ( 調査産業計 事業所規模 人以上 ) における 216 年夏のボーナスの一人あたり平均支給額は 36 万, 8 円 ( 前年比 + 2.3% ) と増加した ( 図表 1 ) 業種別では 円高の影響などで業績の厳しい製造業 ( 前年比 +.%) が小幅増加にとどまる一方で 非製造業 1 ( 同 + 3.%) の伸びは高めとなった 非製造業の中では 不動産 物品賃貸業 ( 前年比 + 1 9. 8 %) 情報通信業 ( 同 + 8.% ) などの業種で増加が目立った もっとも 21 年夏のボーナス ( 前年比 - 2.8% ) の減少幅が大きかった反動で今年のプラス幅が大きくなっており ボーナス支給月数 ( 所定内給与に対する比率 ) は 1.3 ヶ月分 ( 前年差 +.1 ヶ月 ) と小幅な増加となった また ボーナスが支給された事業所で働く労働者の割合は 82.2% ( 前年差.% ) と横ばいにとどまった しかし 雇用者の増加が続く中で ボーナスが支給された事業所で働く労働者の数そのものは前年比 + 2.% 2 と増加したため 夏のボーナスの支給総額 3 ( 一人あたり平均支給額 支給労働者数 ) は 14.7 兆円 ( 前年比 + 4.3% ) と前年を上回った 家計部門全体でみると夏のボーナスは堅調に増加したといえ 個人消費を取り巻く環境は改善していたと考えられる 図表 1. 夏のボーナス実績 : 平均支給額 ( 前年比 ) と支給月数 ( 前年比 %) ( ヶ月 ) 2 1.2 1.1 1.9 1.1 1.9 1.1 1.11 1.11 1.9 1 1.1 1.3 1.3 1.3 1.2 1.2 1.2 1.3 1. 1 1. - -1-1 -1.6-7.1 2. -1. 1.3 1.3-1.4-1. 1. -9.8 一人当たり支給額支給月数 ( 右目盛 ) -.9-1.6 -.1 2.7-2.8 1 2 3 4 6 7 8 9 1 11 12 13 14 1 16 ( 注 1) 調査産業計 事業所規模 人以上 ( 注 2) 支給月数は所定内給与に対する支給割合 ( 出所 ) 厚生労働省 毎月勤労統計 2.3.9.8.7.6. ( 年度 夏季賞与 ) 1 2 3 調査産業計と製造業の結果をもとに当社で試算したもの 支給事業所に雇用される労働者の割合と常用労働者の 2 1 年 12 月の実績をもとに当社で試算したもの 一人あたり平均支給額と支給事業所に雇用される労働者の数を掛け合わせることで計算したもの 2 / 8

2. 2 1 6 年冬のボーナスを取り巻く環境 ~ 企業業績の悪化が懸念材料も タイトな労働需給が下支え要因に 216 年 4 ~ 6 月期の実質 G D P 成長率が小幅ながら 2 四半期連続でプラスとなるなど 日本経済には持ち直しの兆しが見られる 春先から好調なのが住宅投資と公共投資である 住宅投資は日本銀行のマイナス金利政策による超低金利環境の下 貸家着工を中心に好調が続いている 公共投資は 1 年度補正予算や 16 年度本予算の前倒し執行を受けて増加傾向にある 加えて 夏場以降は 海外景気の減速一服を受けて輸出も持ち直しつつある それに合わせて 足元では企業の生産活動にも持ち直しの動きが見られる 他方 企業業績は悪化している ( 図表 2 ) 財務省 法人企業統計 によると 16 年 4 ~ 6 月期の経常利益は 製造業 ( 前年比 - 22.4% ) 非製造業 ( 同 - 3.1%) ともに減少した 製造業では海外景気の減速や円高に加え 4 月の熊本地震や自動車メーカーの燃費不正問題による生産ラインの停止といった突発的な要因も影響した また 非製造業では株価低迷による国内富裕層の消費意欲の減退 円高などによる訪日外国人消費の増勢鈍化などが業績の下押し要因となった もっとも 依然として企業の人手不足感は強く 労働需給はタイトな状態が続いている 完全失業率は 3 % 台前半の低い水準で推移しており 有効求人倍率も上昇傾向にある この間 1 人あたり賃金は 均して見ると 小幅ながら前年比プラスで推移している ( 図表 3 ) 企業の業績やマインド面は悪化しているが 労働需給がタイトな中で人員の維持 確保の観点からボーナスの支給に前向きな企業は依然多いとみられる 特に大企業では夏冬型でボーナスの支給を決める企業が多いこともあり 冬のボーナスが増加する下地は整っている ただし 中小企業は直近の業績に影響を受けやすいため ボーナスの支給に対して慎重な態度を強める可能性が高く 冬のボーナス全体を下押しする要因になると考えられる 図表 2. 経常利益の推移 ( 兆円 季節調整値 ) 2 製造業非製造業 2 1 1 ( 前年比 %) 2 1-1 -2 図表 3. 一人あたり賃金の推移 -3 現金給与総額 上下上下上下上下上下上下上下上下上下上 7 8 9 1 11 12 13 14 1 16 ( 注 1) 金融業 保険業を除く ( 注 2)216 年度上期は 16 年 4~6 月期の換算値 ( 出所 ) 財務省 法人企業統計 ( 年度 半期 ) -4 - 所定内給与 上下上下上下上下上下上下上下上下上下上 7 8 9 1 11 12 13 14 1 16 ( 出所 ) 厚生労働省 毎月勤労統計 ( 年度 半期 ) 3 / 8

図表 4. ボーナスを取り巻く環境 214 年 21 年 216 年 冬 夏 冬 夏 冬 (14 年度上期 ) (14 年度下期 ) (1 年度上期 ) (1 年度下期 ) ( 16 年 4~ 6 月期 ) 経常利益 ( 前年同期比 %).9.8 17. -.4-1. 製造業 3.9 8.4 14.6-2.9-22.4 非製造業 7.1 4.4 18.3 3.4-3.1 企業収益 ( 金融業 保険業を除く ) 経常利益 ( 季調値年率 兆円 ) 63. 69.4 72.8 6.8 66.7 製造業 23. 2.3 2.9 2. 2.2 非製造業 4. 44.1 46.9 4.8 46.4 売上高経常利益率 (%)( 季調値 ) 4.77.19.49.8.2 製造業.9 6.4 6.62.21.41 非製造業 4.3 4.67.2.2.11 (14 年度上期 ) (14 年度下期 ) (1 年度上期 ) (1 年度下期 ) ( 16 年度上期 ) 雇用者数 ( 前年同期比 %).8.8.7 1.3 1.6 雇用 完全失業率 (%) 3.6 3. 3.4 3.3 3.1 有効求人倍率 ( 倍 ) 1.1 1.14 1.2 1.28 1.37 賃金 物価 現金給与総額 ( 前年同期比 %).7.3 -.1.4.6 所定内給与 ( 前年同期比 %) -.2 -.1.3.4.1 消費者物価指数 ( 前年同期比 %) 3.4 2.4.3.1 -.4 除く生鮮食品 3.3 2.4. -. -.4 (14 年 12 月 ) 実績 (1 年 6 月 ) 実績 (1 年 12 月 ) 実績 (16 年 6 月 ) 実績 ( 16 年 12 月 ) 見通し 日銀短観業況判断 DI 全規模 全産業 6 7 9 1 2 製造業 7 4 4-3 非製造業 6 1 13 4 4 ( 注 ) 日銀短観業況判断 DI は 良い - 悪い % ポイント 14 年 12 月調査は調査対象企業の定例見直し後の再集計ベースの値 ( 出所 ) 財務省 法人企業統計 総務省 労働力調査 消費者物価指数月報 厚生労働省 一般職業紹介状況 日本銀行 企業短期経済観測調査 4 / 8

3.216 年冬のボーナス見通し ( 1 ) 民間企業 ~ 2 年ぶりに増加するも 小幅にとどまる厚生労働省 毎月勤労統計調査 ベースで見た民間企業 ( 調査産業計 事業所規模 人以上 ) の 216 年冬のボーナスの一人あたり平均支給額は 37 万 1,676 円 ( 前年比 +. 4%) と 2 年ぶりに増加すると予測する ( 図表 ) 大企業を中心に春闘で夏と冬のボーナスを同時に決定する企業が多いため 夏の実績を踏まえると冬も前年から増加すると見込まれる また ボーナスを算定する上で基準とされることの多い基本給 ( 所定内給与 ) が前年比で増加を続けていることも 冬のボーナスを押し上げる要因となる もっとも 前年からの反動で大幅に増加した夏ほどの伸びは見込み難く プラス幅は小さなものになるだろう 業種別では 製造業では 49 万 8,7 円 ( 前年比 +. 1 % ) 非製造業では 34 万,171 円 ( 同 +.6%) と ともに増加しよう ( 図表 6) 製造業では足もとで業績が悪化しており 冬のボーナス支給額を抑制せざるを得ない企業も一部にあるとみられる 中でも マクロ環境の悪化に対する感応度が高い中小企業では 内外需要に弱さが見られる中で大企業以上に下振れるリスクがある なお 経団連が発表した 216 年年末賞与 一時金の第 1 回集計結果をみると 大企業の総平均妥結額は 92 万 7,892 円 ( 前年比 +.84% ) と増加する見通しとなっている 雇用者が増加傾向にある中で ボーナスが支給される事業所で働く労働者の数も増加すると考えられる 冬のボーナスの支給労働者数 4 は 4, 187 万人 ( 前年比 + 2.1% ) に増加し 支給労働者割合 も 8.%( 前年差 +.1% ポイント ) に上昇しよう ( 図表 7) 結果的に 216 年冬のボーナスの支給総額 ( 一人あたり平均支給額 支給労働者数 ) は 一人あたり平均支給額の伸びは小さいが 支給労働者数の増加に押し上げられて 1.6 兆円 ( 前年比 +2.4% ) に増加する見通しである ( 図表 8 ) こうしたボーナス支給総額の増加は マクロベースで見た個人消費にはプラスの要因となる 夏のボーナスに続いて冬のボーナスも支給額が増加することで 足元で弱さの見られる個人消費が持ち直すきっかけとなる可能性がある 4 ボーナスが支給される事業所で働く労働者 ( 当該事業所でボーナスの支給を受けていない労働者も含む ) の数 労働者の総数に対して ボーナスが支給される事業所で働く労働者 ( 当該事業所でボーナスの支給を受けていない労働者も含む ) が占める割合 / 8

図表. 冬のボーナス予測 : 平均支給額 ( 前年比 ) と支給月数 ( 前年比 %) ( ヶ月 ) 2 1.3 1.2 1.19 1.19 1.2 予測 1.16 1.17 1 1.1 1.1 1.2 1.9 1.1 1.11 1.8 1.7 1.6 1.6 1.7 1 1.1 - -4.1 -.6 -.9 2.2 1..1-3.4 1. -9.4 -.4-1.9-1.9 -.1 1.9 -.3.4 1..9.8-1 -1 一人当たり支給額支給月数 ( 右目盛 ) 1 2 3 4 6 7 8 9 1 11 12 13 14 1 16 ( 注 1) 調査産業計 事業所規模 人以上 ( 注 2) 支給月数は所定内給与に対する支給割合 ( 出所 ) 厚生労働省 毎月勤労統計.7.6 ( 年度 年末賞与 ) 図表 6. 冬のボーナス予測 : 平均支給額 ( 前年比 ) 業種別 ( 前年比 %) 1 8 6 4 2-2 -4 全産業製造業非製造業 予測 -6 夏冬夏冬夏冬夏冬夏冬夏冬夏冬 1 11 12 13 14 1 16 ( 年度 ) ( 注 ) 調査産業計 事業所規模 人以上 非製造業は調査産業計から製造業を除いて計算 ( 出所 ) 厚生労働省 毎月勤労統計 6 / 8

( 万人 ) 4,6 4,4 図表 7. 冬のボーナス予測 : 支給労働者数と支給労働者割合 88. 87.8 86. 8. 86.8 86.6 86.3 8.4 支給労働者数支給労働者割合 ( 右目盛 ) (%) 9 予測 83. 83. 83.7 84. 84. 8.1 84.9 8. 8 4,2 4, 4,187 4,12 4,2 3,927 8 7 3,8 3,6 3,8 3,81 3,84 3,73 3,68 3,719 3,74 3,7863,8183,862 3,633,626 1 2 3 4 6 7 8 9 1 11 12 13 14 1 16 7 6 ( 年度 年末賞与 ) ( 注 ) 支給労働者数 = 常用雇用労働者 (12 月 ) 支給事業所に雇用される労働者の割合 ( 出所 ) 厚生労働省 毎月勤労統計 ( 調査産業計 事業所規模 人以上 ) 2 1-1 -2 図表 8. 冬のボーナス予測 : 支給総額 ( 前年比 実額 ) ( 前年比 %) ( 兆円 ) 予測 17. 1.7 1.2 1.4 1.9 16. 1.9 16.2 14.9 1.2 1.6 14.3 14.4 14.2 14.1 14.3-6.8-7.3-3. 1.9 2.6 1. 支給総額 ( 前年比 ) -.9 支給総額 ( 金額 右目盛 ) 1.8-11.8.7-1.1 -.8 1.6 4.3 1.7 2.4 1 2 3 4 6 7 8 9 1 11 12 13 14 1 16 ( 年度 年末賞与 ) ( 出所 ) 厚生労働省 毎月勤労統計 ( 調査産業計 事業所規模 人以上 ) 2 1 1 7 / 8

( 2 ) 公務員 ~ 実質的には増加が続く見込み内閣人事局の発表によると 国家公務員 ( 管理職および非常勤を除く一般行政職 ) の 216 年夏のボーナス ( 期末 勤勉手当 ) は 63 万 1 円 ( 前年比 +1.6%) と増加した 職員の平均年齢の低下 ( 36.7 歳 36.4 歳 ) などにより夏のボーナスの算定基準となる平均給与額が減少したものの 昨年の人事院勧告に基づく給与法の改正により ボーナス ( 期末 勤勉手当 ) 支給月数が 1.94 ヶ月分から 1.99 ヶ月分に引き上げられたことで前年比プラスとなった こうした中 216 年の冬のボーナスは増加する見通しである 平均支給額は 69 万 8, 円 ( 前年比 + 6.1 % ) になると予測する ( 図表 9) 人事院勧告による月例給の引き上げ ( 平均 +.2%) を背景とした基本給の増加や ボーナス支給月数の増加 (+.1 ヶ月分 ) などが引き続き支給額を押し上げる要因となろう 2 年ぶりの増加となるが 昨年は人事院勧告が出た後 ボーナス ( 期末 勤勉手当 ) の支給月数や月例給の引き上げを実際に行うために必要な法改正が冬のボーナス支給日までに成立せず 前年比マイナスとなっていた しかし 後にさかのぼって支給された分も含めると前年比プラスだったため 実質的には 4 年連続での増加となる見込みである 図表 9. 冬のボーナス予測 ( 国家公務員 ) ( 前年比 %) 予測 ( ヶ月 ) 2 2.8 一人当たり平均支給額ボーナス支給月数 ( 右目盛 ) 21. 2 2.6 2.4 1 2.3 2.3 2.31 2.3 2.32 2.28 2.4 2.1 2.1 1.1 2.17 2.17 2.1 2.13 1 2.2 2.2 2.2 2.2 6.1 1.97 3.4.9 1.8 2..3 1.1 4.1 1.8-3.1-1.4 -. - 1.6-4.8-7.3-6.6-1 -8.4-8.4 1.4-1 1 2 3 4 6 7 8 9 1 11 12 13 14 1 16 ( 年度 年末賞与 ) ( 注 )12 月期の期末 勤勉手当 管理職および非常勤を除く一般行政職 ( 出所 ) 人事院 総務省 内閣官房内閣人事局 1.2 - ご利用に際して - 本資料は 信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが 当社はその正確性 完全性を保証するものではありません また 本資料は 執筆者の見解に基づき作成されたものであり 当社の統一的な見解を示すものではありません 本資料に基づくお客様の決定 行為 及びその結果について 当社は一切の責任を負いません ご利用にあたっては お客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます 本資料は 著作物であり 著作権法に基づき保護されています 著作権法の定めに従い 引用する際は 必ず出所 : 三菱 U F J リサーチ & コンサルティングと明記してください 本資料の全文または一部を転載 複製する際は著作権者の許諾が必要ですので 当社までご連絡ください 8 / 8