背景 国民医療費の増大 国や製薬メーカーによる GE の積極的な推進 調剤薬局の現場では 代替調剤に関する 患者とのトラブル が 増加し そのことが GE 使用促進の弊害の 一部となっている トラブル とは GE 代替調剤により 効果 服用 ( 使用 ) 体調や心証など 患者に何かしらの影響を及ぼした事例のこと 1
目的 薬剤師は 患者が納得かつ安心して GE を使用できるよう努めなければならない! 過去に発生したトラブル 事例を調査し 問題点を 抽出 分析する!! 2
方法 当社調剤薬局 38 店舗の薬剤師を対象に 以下の内容にてアンケート調査を行った 1GE 代替調剤に関する事前説明 2 患者からのGE 代替調剤についての問い合わせ内容 3 患者がGEへの変更を希望しない理由 4GE 変更後のトラブル内容 3
結果 1 薬剤師による代替調剤前の説明 代替調剤した場合の価格差代替調剤可能な処方箋について 先発品とGEとの同等性効能効果の違い先発品とGEとの薬価差 先発品とGEの添加物の違い GEの安全性 GEメーカーについて 代替調剤した場合に発生し得る事象先発品とGEの性質の差代替調剤に関わる点数副作用被害救済制度 その他 ( 対象 38 店舗 ) 実施している薬局数 代替調剤前の説明として 価格差や処方せんなどの説明は多くの薬剤師が説明している 一方で 副作用や効果など具体的な医薬品の説明を行っている薬剤師は少なかった 4
結果 2 代替調剤した場合の価格の差先発品とGEは同じ薬なのか 先発品と GE の効能効果の差 GE 自体が理解できない 知らない 代替調剤希望時の相談 依頼先 処方されている薬全てが変更できるのか GE を使用した場合の副作用 代替調剤して支障が出た場合の対応 患者からの代替調剤に関する問い合わせ内容 代替調剤した場合の責任の所在 その他 ( 対象 38 店舗 ) 相談を受けた薬局数 患者からの問い合わせ内容では 価格差や先発品との比較に関するものが上位を占めた 5
結果 3 患者が代替調剤を希望しない理由 価格に思ったほどの差が無い GE 自体が理解できない 知らない安い薬で本当に効くのか疑わしい 知らない薬 知らないメーカーだから先発品と使用感が異なる医師に変更しないよう言われた知人からよくないと聞いた過去に代替調剤して失敗した医師の処方どおりがよい先発品と外観が異なる先発品に問題が無い 安心先発品と大きさが異なる GEの説明を聞いて怖くなった先発品と名称が異なりわかりにくい臨時処方のため ( 対象 38 店舗 ) 薬局数 代替調剤を希望しない理由として 価格差が小さい点であった 中には 価格差が小さいケースでは 代替調剤を希望しない患者もいた 6
結果 4-1 効果の違い副作用等の体調変化 使用感の違い 代替調剤をしたことにより発生したトラブル ( 内服薬 ) 医師の意向大きさの違い外観の違い 価格差が無い 不明その他 内服薬に関する代替調剤のトラブルとしては 効果や体調の変化により 改めて先発品を希望する患者が多かった トラブル とはGE 代替調剤により効果 服用 ( 使用 ) 体調や心証など 患者に何かしらの影響を及ぼした事例のこと 件数 7
結果 4-2 トラブル内容の具体的な事例 全事例 (53 件 ) 心証 良 ( 43 件 ) 効果の違い 12 副作用等の体調変化 11 使用感の違い 4 大きさの違い 3 医師の意向 3 外観の違い 3 不明 3 価格に差が無い 2 入庫されず 1 販売中止 1 心証 不良 ( 8 件 ) 効果の違い 3 副作用の体調変化 2 使用感の違い 2 事前説明無し 1 心証 不明 ( 2 件 ) 効果の違い 1 名称が異なる 1 代替調剤をしたことにより発生したトラブル ( 内服薬 ) 急性疾患治療薬 (16 件 ) 慢性疾患治療薬 (35 件 ) 心証 良 ( 13 件 ) 効果の違い 6 使用感の違い 3 大きさの違い 1 外観の違い 1 副作用等の体調変化 1 入庫されなかった 1 心証 不良 ( 3 件 ) 事前説明無し 1 副作用等の体調変化 1 効果の違い 1 心証 良 ( 30 件 ) 副作用等の体調変化 10 効果の違い 6 医師の意向 3 不明 3 大きさの違い 2 価格に差が無い 2 外観の違い 2 使用感の違い 1 販売中止 1 心証 不良 ( 5 件 ) 効果の違い 2 使用感の違い 2 副作用等の体調変化 1 内服薬におけるトラブル内容を急性および慢性疾患に分類すると 急性慢性疾患ともに 効果の違いによるトラブル事例が上位だった 8
結果 4-3 内服薬のトラブル事例 ( 患者心証不良 ) 処方薬剤後発医薬品名変更事前説明事象 抗精神薬 A GE 錠剤 I 薬剤師主導無無効 鎮痛剤 B GE 錠剤 J 薬剤師主導無無効 降圧剤 C GE 錠剤 K 薬剤師主導無口腔内で崩壊 去痰シロップ D GE シロップ L 薬剤師主導無事前説明無し 抗アレルギー剤 E GE カプセル M 患者希望有傾眠 脂質代謝異常治療薬 F GE カプセル N 患者希望無魚臭い 免疫抑制剤 G GE 錠剤 O 患者希望無薬疹 前立腺肥大治療薬 H GEOD 錠 P 患者希望無効き方が遅い 患者の心証が不良だったトラブルでは 事前の説明が無い場合が大半を占めていた 9
結果 4-4 内服薬のトラブル事例 ( 効果の違い ) 処方薬剤後発医薬品名変更理由事前説明心証 前立腺肥大症治療薬 OD 錠 a GEOD 錠 n 患者希望無不良 抗不安薬 b GE 錠剤 o 薬剤師主導有不良 消炎鎮痛薬 c GE 錠剤 p 薬剤師主導有注不良 抗不安薬 d GE 錠剤 q 薬剤師主導有注良 脂質代謝異常症治療薬 e GE 錠剤 r 患者希望有良 睡眠薬 f GE 錠剤 s 薬剤師主導有良 プロトンポンプインヒビター g GEカプセル剤 t 薬剤師主導 無 良 抗アレルギー薬 h GE 錠剤 u 薬剤師主導 有 良 抗アレルギー薬 i GE 錠剤 v 患者希望 有注 良 睡眠薬 j GE 錠剤 w 患者希望有注良 筋弛緩薬 k GE 錠剤 x 患者希望有注良 消炎鎮痛薬 c GE 錠剤 y 薬剤師主導有注良 消炎鎮痛薬 c GE 錠剤 y 不明有注良 消炎鎮痛薬 c GE 錠剤 y 患者希望有注良 止瀉薬 l GE 錠剤 z 患者希望有注良 抗真菌薬 m GE カプセル剤 aa 医師の処方 - - 事前説明をしているにも関わらず トラブルが発生している 理由としては 薬剤師による GE の説明において 同一同等の違いを患者に対して正確に伝えられていないためと考えられる 注 :GE 代替による効果の差まで説明ができていない 10
結果 4-5 外用薬のトラブル事例 ( 全事例 ) 処方薬剤 後発医薬品名 変更 事象 事前説明 心証 NSAIDsテープ剤 A GEテープ剤 C 患者希望 はがしにくい 無 不良 NSAIDsテープ剤 A GEテープ剤 D 患者希望 はがしにくい 無 不良 NSAIDsテープ剤 A GEテープ剤 C 薬剤師主導 使用感が異なる ( 好きではない ) 無 良 NSAIDsテープ剤 A GEテープ剤 C 薬剤師主導 粘着力が弱い 無 良 NSAIDsテープ剤 A GEテープ剤 C 患者希望 粘着力が弱い 無 良 NSAIDsテープ剤 A GEテープ剤 C 患者希望 弱い気がする 無 良 NSAIDsテープ剤 A GEテープ剤 D 薬剤師主導 角が丸くない ( 外観 ) 有 良 NSAIDsテープ剤 A GEテープ剤 D 薬剤師主導 スーとする感じが薄い 有 良 NSAIDsテープ剤 A GEテープ剤 D 薬剤師主導 はがれやすい 有 良 NSAIDsテープ剤 A GEテープ剤 D 患者希望 効かない気がする 無 良 NSAIDsテープ剤 A GEテープ剤 D 患者希望 前の方が効きが良かった 無 良 ステロイド剤 B GEステロイド剤 E 薬剤師主導 医師より注意 1 無 - 1 効果が 1/4 程度と処方医より指摘 ( データ有り ) 外用薬では使用感の違いが 1 位だったが 効果の違いによるトラブルも発生している 11
考察 負担差額はトラブルになりにくい 代替調剤による患者負担額の差は 薬価を容易に調べる事が出来るため 薬剤師が患者に十分な情報を与える事が出来ると考えられる 価格 問い合わせと説明 価格 医療費を安く抑えたいの GE にすると 円安くなりますよ 患者ニーズに対応した説明を行えばトラブルになりにくい 12
考察 事前説明が無いとトラブルになりやすい 薬剤師が患者からニーズのある情報 (GE 代替による効果の違い ) に対して十分な情報を提供出来ていない場合はトラブルになりやすく 心証も不良であるケースが多かった 情報の欠落 GE は先発品の コピーだ 効果 説明なし使用感先発品と違う点もあるはずだが 事前説明が不十分だとトラブルになる恐れがある 副作用 13
考察 GE の十分な情報提供を行うために 使用感 大きさ ~ 五感でわかる物理的な違い ~ 効能効果 ~ 同等性試験からは予測不能な事象 ~ に関する十分な知識が必要 これらの違いを知るため 添付文書等の既存の資料から得られない情報を持つことが 代替調剤の事前説明を充実させ トラブルを防止するために必要であるといえる 14
今後の課題 代替調剤を円滑に行うために GE 品の特徴を知る 1GE メーカーからデータ等の情報提供を受ける 2 薬剤師が実際に試用し 違いを体感する 例 ) テープ剤の使用感や小児用薬の味など 情報を収集し活用する 1 データ収集システムを構築し 実際に発生した事例を蓄積する 2 代替調剤を推進するために必要な情報ツールを作成し運用する 15