感染予防対策リーダー養成研修会 29.7.12 標準予防策 1 手指衛生 魚沼基幹病院 感染管理認定看護師 目崎恵 1
そもそもなぜ 感染対策が必要なのか? 2
院内感染から医療関連感染へ 高齢化社会となり 療養型や在宅医療が拡大 病院以外の療養型施設 診療所 在宅においてもそれぞれ感染リスクが存在 病院感染 ( 院内感染 ) 医療関連感染 今は 地域全体で感染対策を行っていかなければならない時代になってきた 3
医療関連感染が起こるとどんな影響がある? 医療関連感染によって 利用者さんに身体的苦痛を与える 利用者さん ご家族に精神的負担を与える 施設の経済的負担 施設の評判の低下 ( 信頼をなくす ) 4
高齢者介護施設 高齢者の特徴 感染に対する抵抗力が弱くなる ( 感染しやすい ) 感染が起きた時に 一般的に認められる発熱などの症状がはっきりしないことも多い 感染症をおこすと治りにくい 感染が 重篤な症状を招くことがある 5
介護施設において注意すべき感染症 1. 利用者及び職員にも感染が起こり 媒介者 ( 入所者や職員が運び屋 ) となりうる感染症 集団感染を起こす可能性のある感染症 インフルエンザ 疥癬 感染性胃腸炎 結核 6
介護施設において注意すべき感染症 2. 健康な人に感染を起こすことは少ないが 感染抵抗性の低下した人に発生する感染症 集団感染を起こす可能性がある感染症 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症 (MRSA) 多剤耐性緑膿菌感染症 (MDRP) ESBL 7
介護施設において注意すべき感染症 3. 血液 体液を介して起こす感染症 基本的には 集団感染に発展する可能性が少ない感 染症 C 型肝炎ウイルス HCV ヒト免疫不全ウイルス HIV B 型肝炎ウイルス HBV 梅毒 8
注意すべき感染症による伝播を防ぐ! 利用者さん 職員 利用者さん 利用者さん 利用者さん 職員 利用者さん うつしあうことのないように 広げることのないように対策を取っていかなければならない 日常的に実施することが重要 9
高齢者介護施設における 感染対策マニュアル平成 25 年 3 月 1. はじめに 2. 高齢者介護施設と感染対策 ( 注意すべき感染症 基礎知識 ) 3. 高齢者介護施設における感染管理体制 ( 感染対策委員会の設置 マニュアルの整備 職員の健康管理 職員研修の実施 等 ) 4. 平常時の対策 ( 環境 清掃 吐物 排せつ物処理 血液の処理など衛生管理 介護 看護ケアと感染対策 標準予防策 手洗い 手袋の使い方等 ) 5. 感染症発生時の対応 ( 発生状況の確認 拡大防止 行政への報告等 ) 6. 個別の感染対策 ( 感染経路別予防策 等 ) インターネットからダウンロード可 10
高齢者介護施設における 感染対策マニュアル平成 25 年 3 月 1. はじめに 2. 高齢者介護施設と感染対策 ( 注意すべき感染症 基礎知識 ) 3. 高齢者介護施設における感染管理体制 ( 感染対策委員会の設置 マニュアルの整備 職員の健康管理 職員研修の実施 等 ) 4. 平常時の対策 ( 環境 清掃 吐物 排せつ物処理 血液の処理など衛生管理 介護 看護ケアと感染対策 標準予防策 手洗い 手袋の使い方等 ) 5. 感染症発生時の対応 ( 発生状況の確認 拡大防止 行政への報告等 ) 6. 個別の感染対策 ( 感染経路別予防策 等 ) インターネットからダウンロード可 11
本日の話 標準予防策ってなんだろう? 感染症の人の対策ってどうするの? 手洗いの正しい方法ってどうするの? 擦式アルコール製剤の正しい使い方ってどうなの? 12
標準予防策 って知っていますか? 13
質問です 1. 標準予防策? 全く知らない 聞いた こともないという人 2. 標準予防策という言葉を聞いたことがある人 3. 標準予防策という言葉をなんとなく説明できる人 4. 標準予防策が実践できる人 14
標準予防策ってなんですか? 全ての利用者さんに対して標準的に行う感染予防策 血液 体液 粘膜 正常でない皮膚 は感染の可能性があるものとして対応することで 感染の発生リスクを減らすための感染予防策 15
利用者さんの血液は 感染の可能性がある 利用者さんの排泄物は 感染の可能性がある 利用者さんの痰や鼻水は 感染の可能性がある 利用者さんの正常でない皮膚は 感染の可能性がある なぜ? 利用者さんみんなの検査を実施しているわけではないから 16
施設ではどんなものに触れる機会が多いですか? 血液? 体液? 排泄物? 傷のある皮膚? 痰? 鼻水? 17
眼で見える 便 吐物 尿 血液 傷正常でない皮膚 体液 感染する可能性があるもの として取り扱わなければならない 18
眼で見える 血液 便 吐物 すべてキケン!! 傷のある皮膚 尿 体液 自分が 感染する可能性もある 利用者さんが 感染する可能性もある 19
自分自身も 施設を利用する方も 働 いている職員も みんなが 感染しないように気をつけなければいけない 日頃から 習慣的に行っていくことが大事 20
施設における具体的な標準予防策 1. 手を洗いましょう 2. 防護具をつけて自分自身が感染しないように気を付けましょう 正しい方法 ( 着け方 外し方 つけるタ イミング 外すタイミング ) を守りましょう 3. 咳エチケットを守りましょう 4. 環境整備を実施しましょう 21
手を洗いましょう 感染対策においては基本中の基本!! 質問です 皆さんの施設には どれくらいの擦式アルコール製剤が配置されていますか すぐ使用できる環境ですか? 手洗い場に ペーパータオルは置いてありますか? 手洗いのできる環境が整っていなければ 手は洗えない 22
手指衛生 ( もっとも重要な感染予防策 ) 1. 手指衛生の種類を知る 2. いつ行えばよいのかを知る 3. 正しい手洗いの方法を知る 1. 種類 石けんと流水による手洗い 擦式アルコール製剤による手指消毒 実は 何を使ってもいいというわけではなく どちらがよいか 意味がある! 2
擦式アルコール製剤による方法 擦式アルコール製剤は手洗いの第一選択とされている 理由 時間がかからない (1 分 or 20 秒 ) 場所を取らない 効果がある ( 殺菌効果に優れている ) 24
石けん手洗いと擦式アルコール製剤の効果の比較 手洗い前 石鹸で 1 分 擦式アルコール製剤 25
ただし 見た目に汚れがある時は 石けん + 流水で行う事 26
擦式アルコール製剤を 第一選択 と言われても高いんじゃない?( 価格 ) 擦式アルコール製剤 物にもよるどれだけ購入するかによっても違うけど 石けんと流水 石けん + ペーパータオル (3 枚は必要 )+ 水 27
2. いつ行えばいいのか 28
施設において手指衛生が必要な瞬間 基本的には同じ 利用者に触れる前 触れた後 体液 排泄物に触れた後 清潔操作の前 ( 内服投与や食事介助 傷の処置など ) 29
標準予防策 感染の有 無で対応方法は変わらない すべての人に対して実施する必要がある 感染症があるから手を洗う 感染症がないから手を洗わなくてよい 30
感染症の人の対策はどうしたらいいの? 施設においては 標準的な対応で十分です みんなに行う標準予防策をきちんと行う事で対応が可能です 31
だれがどんな微生物を持っているかなんて わからない MRSA B 型肝炎 ESBL 梅毒 全員に検査なんてできないし していない だから みんな何があってもおかしくないと 日ごろから考えて対応しておくことが大事 32
利用者さんの参加型で行う事が重要 時間を決めて 利用者さんと手指衛生を実施する 施設内に入る時 食事の前 デイルームに集合する前 おやつの時間の前 デイサービスでは 施設内に入ったらすぐ 職員だけではなく みなで取り組んでいくシステムを作ることが重要 33
手洗い場にある手洗い方法のポスター いつやらなければいけないかを示したポスター 手指衛生の啓発のためのポスター アルコール製剤のあるところに手指衛生の方法のポスター 34
3. 正しい方法で行う 擦式アルコール製剤はしっかり擦り合わせて塗布する事 ( 乾ききるまですりこむ!) 石けんと流水での手洗いは しっかり泡を立て すべての汚れをごしごし落とす事 大事なこと アルコールも石けんもしっかり 1 回分を使う事 35
これだけは注意しましょう 石けん液を使用する時 詰め替えは極力しないようにしましょう もししなければならない時は 全部使い切って中を一度きれいに洗って乾燥させてから次の石けん液を入れましょう 残っている状態で 継ぎ足しはしないようにしましょう 共有のタオルはやめましょう 36
これだけは注意しましょう 擦式アルコール製剤を使用する時 継ぎ足しはせず 新しいものを使用するようにしましょう 開封後 いつまでが使用期限というのは は決められていないため 各施設で期限を定めていきましょう 使用しないものは そもそもその場所に必要なのか検討を行うとよいでしょう みんなが使用しやすい場所に配置しましょう 使用できるようなリマインダー ( ポスターなど ) で周知を行っていくとよい 37
演習 38
石けんと流水の手洗いの行い方 39
まず しっかり水 ( お湯 ) で濡らすこと 40
1 回量をしっかり取る 1 回量 =1 プッシュのことが多いです 上から下までしっかり押す 41
まずは手のひら 手のひら全体をごしごしこすりましょう 手のひら 42
手の甲を全体的にごしごし擦りましょう 片側が終了したら反対側も 手の甲 43
指を指と指の中に入れて 指の間を ごしごしこすりましょう 指と指の間 44
指先をきれいにするため ねじって指先を洗いましょう 指先 45
指先をくるくる円を描くように擦りましょう 指先指の腹 46
親指の付け根と親指の先をきれいにするため 親指を握ってねじり洗いしましょう 親指の付け根 47
流水でしっかり洗い流しましょう 48
ペーパータオルでしっかり拭きとりましょう 濡れている手は危険です しっかりふき取りを! 49
完成 50
擦式アルコール製剤を使っての 手指衛生の行い方 ローションジェル泡 51
上から下までしっかり押して アルコールを取る 52
手のひらをこすり合わせます ( 全体的に ) 手のひら 53
手の甲をごしごしすり合わせます 手の甲 54
指の間に指を入れ ごしごし上下に 擦り合わせましょう 指と指の間 55
指先をねじりあわせて擦りましょう 指先 56
最後に指先をくるくる手のひらの上で 円を描くように 指先 57
おやゆびの付け根をねじって擦りましょう ( 両手 ) 親指の付け根 58
完成 59