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(1) 収益構造の概要 売上高総利益率は 1 年度に若干低下した後はほぼ横ばい傾向にある 売上高営業利益率は 1 年度に低下した後は上昇傾向にあったが 5 年度には若干低下している ここでは食品製造業 1,98 社の経営収益構造について概観する 5 年度の売上高総利益率は 対前年度比で横ばいとなって

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1 食に関する志向 健康志向が調査開始以来最高 特に7 歳代の上昇顕著 消費者の健康志向は46.3% で 食に対する健康意識の高まりを示す結果となった 前回調査で反転上昇した食費を節約する経済性志向は 依然厳しい雇用環境等を背景に 今回調査でも39.3% と前回調査並みの高い水準となった 年代別にみ

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以前 製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

第 3 節食料消費の動向と食育の推進 表 食料消費支出の対前年実質増減率の推移 平成 17 (2005) 年 18 (2006) 19 (2007) 20 (2008) 21 (2009) 22 (2010) 23 (2011) 24 (2012) 食料

製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

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EPA に関する各種試算 試算 1 EPA のマクロ経済効果分析 (3 ページ ) 内閣官房を中心に関係省庁と調整したシナリオに基づき 川崎研一氏 ( 内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官 ) が分析 WTO はじめ広く関係機関が活用している一般均衡モデル (GTAP モデル ) を使用 EPA

以前 製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

第 2 章 産業社会の変化と勤労者生活

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6 学校給食での地場産物活用に当たっての課題 学校給食における市町村産食材等の利用に関する調査 において 市町村に対し 学校給食で地場産物の活用を促進する上での課題について 市町村産食材と道産食材について それぞれ伺ったところ 次のような結果となりました 学校給食への地場産食材利用促進上の課題 関係

製造業 ページ 303 調査対象数 1,695 調査対象数 1,541 調査対象数 971 調査対象数 464 総資本経常利益率 (%) 自己資本経常利益率 (%)

農林水産省試算の方法 ( 手順 ) (1) 試算対象品目の選定関税率 10% 以上 国内生産額 10 億円以上 ( 米 麦など 19 品目 ) (2) 国産品の分類内外価格差 品質格差の観点から 輸入品と競合する国産品と競合しない国産品に二分 (3) 試算の方法 1 競合する国産品は 輸入品に置き換

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ISO 9001 ISO ISO 9001 ISO ISO 9001 ISO 14001

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ニュースリリース 食品産業動向調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 2 6 日 株式会社日本政策金融公庫 食品産業景況 DI 4 半期連続でマイナス値 経常利益の悪化続く ~ 31 年上半期見通しはマイナス幅縮小 持ち直しの動き ~ < 食品産業動向調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日

製造業3. 東北の産業構造 ( 製造業 ) (1) 製造業 1 概況 製造品出荷額等は 16 兆 7,600 億円で前年比 6.2% の増加 平成 26 年の東北地域の製造品出荷額等は 16 兆 7,600 億円で前年比 6.2% と3 年連続の増加となった また 全国に占める割合は5.5% と前年

参考資料 2 下請等中小企業の取引条件改善への取組について 平成 30 年 12 月中小企業庁

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02 IT 導入のメリットと手順 第 1 章で見てきたように IT 技術は進展していますが ノウハウのある人材の不足やコスト負担など IT 導入に向けたハードルは依然として高く IT 導入はなかなか進んでいないようです 2016 年版中小企業白書では IT 投資の効果を分析していますので 第 2 章


図 12 HACCP の導入状況 ( 販売金額規模別 ) < 食品販売金額規模別 > 5,000 万円未満 ,000 万円 ~1 億円未満 億円 ~3 億円未満

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1 牛肉の仕入実態 (1) 牛肉の仕入先やの国産牛肉 輸入牛肉の仕入先は 大手食肉卸 中小食肉卸 が多くなっている 和牛和牛の仕入先は 中小食肉卸 (41.8%) 大手食肉卸(37.0%) 卸売市場(13.6%) の順となっている は 大手食肉卸 (45.6%) が多く は 中小食肉卸 (48.8%

2003年1月23日

1. 沖縄県における牛肉の輸出動向 2015 年は 輸出額が過去最高 数量 金額 2015 年は数量が 18,424 KG( 前年比 97.0%) 金額が 87 百万円 ( 同 111.8%) となり 輸出額が過去最高を記録しました 沖縄県の輸出額シェアは 1.1% となっています 国別金額シェア

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2. 食料自給率の推移 食料自給率の推移 我が国の食料自給率 ( 総合食料自給率 ) は 長期的に低下傾向で推移してきましたが 近年は横ばい傾向で推移しています (%) (H5 ) 43 7

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目次 ページ はじめに 奄美群島の税制特例制度 ( 国税 ) の概要 対象となる業種 対象となる設備投資 事業者 設備投資の規模等の要件 他の国税の優遇措置との比較 ( 例 : 過疎税制 ) 奄美群島の税制特例制度 ( 地方税 ) の概要奄美群島税制まとめ

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がある 3 改正の必要性ア. あるべき姿と現状のギャップ我が国皮革製品産業は 高付加価値化やコスト削減などの構造改善を進めることにより 欧州から輸入される高価格の製品と 主にアジア諸国から輸入される低価格製品に対抗できる競争力の確保を図る必要がある しかしながら 近年 アジア諸国においては欧州及び米

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2003年1月23日

別 前年同期比増減率 単位 : 社 % 繊維製品 パルプ 紙 化学 石油 石炭 黒転

1. 世界における日 経済 人口 (216 年 ) GDP(216 年 ) 貿易 ( 輸出 + 輸入 )(216 年 ) +=8.6% +=28.4% +=36.8% 1.7% 6.9% 6.6% 4.% 68.6% 中国 18.5% 米国 4.3% 32.1% 中国 14.9% 米国 24.7%

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Ⅱ ヒアリング事項について 1 ( 生産物を高く売るという観点から 売り手としての農業者には何が不足しているか ) について 青果物卸売市場は 需要と供給のバランスの上で合理的な価格を形成する場であり 求めやすい価格を望む消費者層が大きい ( 青果物価格の高騰は 目の敵にされる ) ことから 一方的

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波及効果の具体的計算方法 直接効果の推計 1 ( 需要増加額の推計 ) 合計額 ( 単位 : 百万円 ) 開催運営費 10.0 来場者支出額 90.0 飲食費 0.6 交通輸送費 3.0 広報関連経費 1.5 施設 機器レンタル料 1.0 アルバイト人件費 1.6 警備料 2.3 宿泊費

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図 2 製材品の流通経路 供給者 ( 製材工場 ) 製材品出荷量 (1+2+3) 製材品計 943 万 4 千m3 (100.0%) 国産材計 644 万 6 千m3 ( 68.3% 56.9%) 外材計 298 万 8 千m3 ( 31.7% 43.1%) 1 建築業者等 ( 需要者 ) への出荷

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規制 制度改革に関する閣議決定事項に係るフォローアップ調査の結果 ( 抜粋 ) 規制 制度改革に係る追加方針 ( 抜粋 ) 平成 23 年 7 月 22 日閣議決定 番号 規制 制度改革に係る追加方針 ( 平成 23 年 7 月 22 日閣議決定 ) における決定内容 規制 制度改革事項 規制 制度

食品廃棄をめぐる現状

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米に関するマンスリーレポート 新潟県版 2018 年 12 月 今月の特集 1 米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針 の見直しについて 農林水産省は 11 月 28 日に 米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針 ( 以下 国の基本指針 ) の変更を行い 平成 31/32 年の主食用米等需要量を

平成 28 年 3 月 25 日公表平成 25 年度 農業 食料関連産業の経済計算 - 農業 食料関連産業の国内生産額は 97.6 兆円で全経済活動の約 1 割 - 統計結果の概要 1 農業 食料関連産業の国内生産額平成 25 年度における農業 食料関連産業の国内生産額は 97 兆 5,777 億円

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1 概 況

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国内の皮革産業及び革靴産業は中小 小規模事業者が大部分を占めていることから業界の構造改善及び競争力強化を実施し アジア諸国をはじめとする海外から大量に輸入される製品と対抗しうる日本製品の優位性が備わるまで 本制度を維持する必要がある 3 改正の必要性ア. あるべき姿と現状のギャップ国内の皮革産業及び

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の差については確認できないが 一般的に定温で流通している弁当の管理方法等についてアンケートにより調査した その結果 大部分の事業者が管理温度の設定理由として JAS 規格と同様に食味等の品質の低下及び微生物の繁殖を抑えることを挙げ 許容差は JAS 規格と同様に ±2 としていた また 温度の測定方

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食品加工 ( 製造 ) 業の原材料調達と多様な業態 国産農林水産物の 6 割が食品製造業 ( 食品加工業 ) 向けとなっており 食品製造業が利用する原材料 ( 農林水産物 輸入加工食品 ) のうち 7 割が国産農林水産物 食品製造業にとっては 国内農林水産物の量 質両面での安定供給が重要課題 食品製造業の業態として 小麦粉 牛乳 乳製品 食用植物油脂など 単一種類の原料農林水産物をもとにして他の加工食品の原材料となるものを製造する基礎素材型の製造 ( 一次加工 ) パン 菓子 めん類 冷凍食品など相対的に加工度の高い最終製品型の製造といったものがある 国産農林水産物の用途別仕向割合 平成 23 年 最終消費仕向 31.3% (2.9) 59.4% (5.5) 括弧内は仕向額 ( 兆円 ) 食品産業仕向 68.7% 9.2% (0.8) 食品製造業の業態と構造 国産農林水産物 昭和 60 年 26.8% (3.5) 食品製造業仕向外食産業仕向 67.7% (8.8) 食品製造業の加工原材料調達割合 ( 国産 輸入 ) 5.5% (0.7) 括弧内は調達額 ( 兆円 ) 輸入輸入国産農林水産物 0% 20% 40% 60% 農林水産物 80% 加工食品 100% 基礎素材型の食品製造業 小麦粉 牛乳 乳製品 食用植物油脂など 最終製品型の食品製造業 パン 菓子 めん類 冷凍食品 味噌 醤油 ソース 清涼飲料水など 平成 23 年 69.5% (5.5) 11.8% (0.9) 18.7% (1.5) 輸入農林水産物 輸入加工食品 資料 : 農林水産省 平成 23 年農林漁業及び関連産業を中心とした産業連関表 注 : 国内の食品製造業者が製造した食品製造業者向け加工食品は含まれない 昭和 60 年 19

食品加工 ( 製造 ) 業の経営状況 食品製造業 ( 食品加工業 ) の経営状況をみると 他の製造業に比べて景気の影響を受けにくいとされる一方 収益性は低い状態 近年の企業体質強化の動向をみると 食品製造業全体で M&A が進展 食品産業全体への原料提供の観点から生産性向上への期待が大きい基礎素材型の食品製造業の最近の動向をみると 食用植物油脂では上位 10 社の市場シェアが上昇しているが 小麦粉 牛乳 乳製品では停滞傾向 製造業の業種別経常利益率 12 10 8 6 4 2 0-2 食料品製造業造業 繊維工業 自動車 化学工業同付属品製造業 鉄鋼業電気機械器具製造業電気機械鉄鋼業器具製造業繊維工業自動車 H17 H18 H19 H20 同付属品 H21 H22 H23 H24 H25 H21 製造業 資料 : 法人企業統計調査 ( 財務省 ) 主な基礎素材型の食品製造業の市場シェア 上位 10 社のシェア 22 年 26 年 資料 : 生産 出荷集中度 ( 公正取引委員会 )) 牛乳乳製品統計等 牛乳 乳製品については 製品ごとに含まれる乳成分の割合が大きく異なるため 原料乳の集乳シェアを記載 化学工業 小麦粉 91.7% 89.8% 牛乳 乳製品 ( ) 65.6% 63.9% 食用植物油脂 61.0% 96.2% 近年の日本の食品企業の主な M&A 13 年日本精糖 フジ製糖 合併 ( フジ日本精糖 ) 14 年日清製油 リノール油脂 ニッコー製油合併 ( 日清オイリオグループ ) 15 年味の素製油 ホーネンコーポレーション吉原製油 経営統合 (J-オイルミルズ) 16 年新三井製糖 台糖 ケイ エス 合併 ( 三井製糖 ) 18 年日東製粉 富士製粉 合併 ( 日東富士製粉 ) 18 年ハウス食品 武田食品工業 買収 18 年アサヒビール 和光堂 買収 18 年山崎製パン 東ハト 買収 18 年日清食品 明星食品 買収 18 年キリンビール メルシャン 買収 19 年山崎製パン 不二家 資本参加 19 年マルハグループ本社 ニチロ 経営統合 ( マルハニチロホールディングス ) 19 年味の素 カルピス 買収 19 年 JT 加ト吉 買収 20 年ロッテホールディングス 銀座コージーコーナー 買収 20 年キリンホールディングス 協和発酵キリン 買収 20 年キッコーマン 理研ビタミン 出資拡大 20 年キッコーマン 紀文フードケミファ 完全子会社化 21 年日本コカ コーラ 利根コカ コーラ 資本参加 21 年明治乳業 明治製菓 経営統合 ( 明治ホールディングス ) 21 年雪印乳業日本ミルクコミュニティ経営統合 ( 雪印メグミルク ) 22 年コカ コーラウエストキューサイ買収 23 年サッポロホールディングス ポッカコーポレーション 買収 24 年ダイドードリンコ たらみ 買収 24 年アサヒビールホールディングスカルピス買収 注 : 平成 13 年から平成 21 年までは みずほコーポレート銀行産業調査部 ( 平成 22 年 ) 平成 22 年以降は レコフ M&A データベース ( 平成 24 年 ) の資料から引用 20

21 6. 食品流通 加工の課題と論点 高齢化や人口減少により国内の食市場が縮小する中 拡大する海外の食市場を獲得していくことが重要 輸出等の海外市場も念頭においた国際競争力のある効率的な流通構造と 国内の生産者に適正な利潤をもたらす仕組みを考える必要があるのではないか 生産者の手取りを増やすためには 小売まで視野に入れ 卸売市場以外の流通も含めた流通構造全体の見直しが必要ではないか 生産者が流通ルートや価格決定方法の選択ができるような環境整備が必要ではないか そのため 多様な流通形態について 取引条件や契約の方法等の情報を見える化することが重要ではないか 卸売市場についても 価格情報に加え 各卸売市場の提供するサービス内容 ( コールドチェーン機能 輸出対応 IT 対応等 ) を情報開示し 生産者が卸売市場以外を含めて自ら有利な販売先や出荷先を選択できるよう 分かりやすく情報提供するシステムを整備する必要があるのではないか 農水産物等食品の価格引き下げ圧力に対し 商売感覚やマーケット情報を持つ者が 生産者等の価格交渉等をサポートする仕組みが必要ではないか その一環として JAが買取り 価格交渉を行うなどの取組を強化することが必要ではないか また 地域商社の活用や 生産者への経営 マーケティング等の相談体制を整備することも有効ではないか 卸売市場は 元来 売り手市場 の時代に需要に応じた供給を安定的に行うことを主たる目的に設置されたが 昨今の農産物の需給構造 ( 買い手市場 ) からはその位置付けはより相対的なものに変わってきているのではないか 現在においても 生産者にとって有効と考えられる卸売市場の機能は 出荷物を必ず全量引き取ってもらえる委託集荷や 出荷者に対し迅速 確実に決済が行われる点ではないか

22 食品流通 加工の課題と論点 ( つづき ) 卸売市場の中でも 各市場によって相当程度多様化が進んでいるのが実態 例えば 卸売市場によっては 空港や港湾に近接する輸出拠点としての機能や 生産者と実需者との間の情報受発信の機能を発揮し得るものがある一方 実質的には物流拠点に近いものもある こうした中で 生産者が卸売市場への出荷を選択する場合に 卸売市場において生産者の有利販売に資する多様な取組が行えるような規制のあり方について再検証が必要ではないか 生産者側のみが負担することとなっている卸売市場の手数料 ( 委託手数料 ) は 自由化された後も料率が変わっていない また 卸売業者から出荷者に支払われる出荷奨励金の意義や使途が不明との指摘がある 生産者の視点に立って こうした手数料や出荷奨励金について 透明性の向上を含めた対応が必要ではないか 多数の大手量販店による激しい競争により 農水産品の品質に関係なく安値競争が行われる場合も多いと考えられる こうした実態を踏まえ その構造的な背景も含めた食品流通のあり方について検証を進めるとともに 具体的な取引 購買活動について 公正取引委員会との連携も含めた対応が必要ではないか 農水産品について 品質等に応じた価格決定がなされるよう 地理的表示 規格 認証等の制度の一層の普及が必要ではないか 農産物の物流の改善に向けた取組を進めることも重要ではないか 例えば 共同配送やIT 活用等による物流の効率化により 農産物を輸送するトラックの積載率を向上させることで 流通コストを削減したり 稼働率の低い農協の施設を地域の農業者が広く活用できるようにすることで 調整 保管に係るコストを削減できるのではないか

23 食品流通 加工の課題と論点 ( つづき ) 国内の食品加工の分野では 消費者のニーズに柔軟に対応して 差別化 高付加価値化を図る加工食品が開発され 市場に展開される傾向 国内の食品製造業 ( 加工業 ) が 国産農林水産物の需要先として重要な地位を占めているなか 生産者の経営の安定 発展に資するためには 消費者等に対して 国内農林水産物の利用を訴求し 付加価値向上につなげる加工食品の製造を促していくことが重要ではないか こうした観点から 各地域で展開されている農林水産業と食品製造業等の連携を一層促進するとともに 産地サイドにおける加工用途向け生産体制の充実を支援することが必要ではないか また 食品産業全体に対して良質の原材料を安定的に供給する役割を期待されている基礎素材型の食品製造業については 各々の業界構造の特性を踏まえつつ 生産性向上に向けた取組みを進めることが重要ではないか 食品製造業者が品質等の消費者ニーズに対応しつつ 海外の市場獲得を行っていくため HACCPの導入 食品安全管理規格の策定 普及やJAS 制度の活用など 規格 認証制度の充実 普及や事業者による活用を進めることが重要ではないか