(2) 本単元に関わる生徒の実態及び指導方針 1 既習の学習内容 水溶液には酸性 中性 アルカリ性のものがあること 金属を変化させる水溶液があること( 小 6) 気体の発生と性質 物質への水への溶解について( 第 1 学年 ) 物質が原子や分子でできていること( 第 2 学年 ) 電流が電子の流れで

Similar documents
理科科学習指導案

2 単元の評価規準関心 意欲 態度 科学的な思考 表現 観察 実験の技能 知識 理解 酸 アルカリ, 中和と塩に関する事物 現象に興味 関心を持ち, それを科学的に探究しようとするとともに, 事象を日常生活との関わりで捉えようとする 酸 アルカリ, 中和と塩に関する事象 現象の中に問題を見いだし,

理科学習指導案

がお互いの性質を打ち消しあう また, その際, その他のイオンから塩が生じる パフォーマンス課題 硫酸に電極をさし, 電源装置で電圧を加えると電流が流れ, 電球が点灯する これに水酸化バリウム水溶液を少しずつ加えていくと水溶液は白く濁り, 電球は次第に暗くなり, やがて消える しかし, さらに加え続

授業では, 課題を解決するための情報を集める前に, どのような方法だと必要な情報を集めることができるのかを考えています 58.8% 41.2% 授業では, 調べたことなどを, 図, グラフ, 表などにまとめています 73.5% 26.5% 授業では, 情報を比べたり ( 比較 ), 仲間分けしたり

<4D F736F F D2093FA D95BD90E690B68EF68BC681458E7793B188C42E646F63>

とである そこで, 紫キャベツを使った料理にレモンをかけると色が変わることを取り上げたり, 湖沼の水質の中和やあくとりなどの例を用いたりして, 興味 関心を高めるようにしたい なお,1 学年の いろいろな気体の性質,2 学年の 化学変化と原子 分子 ( 化学式と化学反応式 ),3 学年の 酸 アルカ

指導計画 評価の具体例 単元の目標 単元 1 化学変化とイオン 化学変化についての観察, 実験を通して, 水溶液の電気伝導性や中和反応について理解するとともに, これらの事物 現象をイオンのモデルと関連づけて見る見方や考え方を養い, 物質や化学変化に対する興味 関心を高め, 身のまわりの物質や事象を

< イオン 電離練習問題 > No. 1 次のイオンの名称を書きなさい (1) H + ( ) (2) Na + ( ) (3) K + ( ) (4) Mg 2+ ( ) (5) Cu 2+ ( ) (6) Zn 2+ ( ) (7) NH4 + ( ) (8) Cl - ( ) (9) OH -

群教セ G04-03 平 集 理科 - 中 生徒が解決の見通しを持って実験方法を立案する理科授業 モデル図やグラフを使った予想の共有と タブレット端末の活用を通して 特別研修員奈良達也 Ⅰ 研究テーマ設定の理由 平成 29 年 3 月公示の新学習指導要領では 内容のイとして思考 判断

第 2 学年 理科学習指導案 平成 29 年 1 月 1 7 日 ( 火 ) 場所理科室 1 単元名電流とその利用 イ電流と磁界 ( イ ) 磁界中の電流が受ける力 2 単元について ( 1 ) 生徒観略 ( 2 ) 単元観生徒は 小学校第 3 学年で 磁石の性質 第 4 学年で 電気の働き 第 5

英語科学習指導案

調査研究「教科等で考える異校種間の連携の工夫」〔理科〕

Taro-(HP)指導案(改訂).jtd

7 3. 単元の指導計画 (7 時間扱い ) 時 学習内容 授業のねらい 物質の溶解と水溶液の均一性 コーヒーシュガーが水に溶ける様子を観察し, 色の様子からコーヒーシュガーの拡散と水溶液の均一性を理解する ( 観 実 ) コーヒーシュガーと食塩の溶解 物質の溶解と水溶液の均一性 2 物質が目に見え

決するための学習の見通しをもたせ, 単元を貫く課題を意識させ, 目的意識をもたせた授業を展開していきたい 本単元では, 理科での学習内容が日常生活で見られる事象に関連することに気付かせたい 日常生活の事象から酸とアルカリの性質を粒子で考え中和反応をイオンのモデルと関連付けて理解させたい それを通して

(Microsoft Word - 201\214\366\212J\216\366\213\3061\224N\211\271.docx)

事例 2-2

<4D F736F F D D89C88E7793B188C E688EA E08E52816A2E646F63>

FdData理科3年

(2) 単元構想図 学習の手立て 数は時数軸 授業の目標 視点 1 果物で電池を作り 電流を取り出す 果物電池から電流を取り出す実験を通して 電池の仕組みについて 疑問や関心を抱くことができる ( 自然事象への関心 意欲 態度 ) 小集団の中で果物電池を作り 疑問を出し合ったり 共有したりする姿 自

見いださせる 3 章 化学変化と電池 本章では電解質水溶液と2 種類の金属を用いて電池をつくる実験を行い 電流が取り出せることを見いださせる このとき化学エネルギーが電気エネルギーに変換されていることを理解させる また 電極での電子の授受をイオンのモデルで表し 電池のしくみを微視的視点でとらえさせる

(2) 単元構想図 単元デザイン 時数と手立て軸 数ねらい 引き出したい学習活動の姿 ICT の活用 カリキュラムマネジメント 疑問や知りたいことを共有する 1 電池のしくみについて 疑問や知りたいことを共有することができる ( 自然事象への関 1 果物電池を作り 電子オルゴールを鳴心 意欲 態度

理科学習指導案指導者海田町立海田西中学校教諭石川幸宏 1 日時平成 30 年 2 月 21 日 ( 水 ) 第 4 校時 2 学年第 1 学年 2 組 ( 男子 19 名女子 18 名 37 名 ) 3 場所海田西中学校第 2 理科室 4 単元名身のまわりの現象 ~ 力の世界 ~ 5 単元について

知識・技能を活用して、考えさせる授業モデルの研究

Microsoft Word - dainityu.doc

FdText理科1年

質問 2 1イオンには大きさがあると思いますか あると思う人は どれくらいの大きさだと思いますか ある 35 人 ない 5 人 すごく小さい 12 人 原子サイズ 6 人 目に見えない大きさ 5 人 原子より小さい 2 人 種類によってちがう 2 人 分子サイズ 1 人 分子の 10 分の1 1 人

FdData理科3年

Taro-小学校第5学年国語科「ゆる

Taro-22 No19 大網中(中和と塩

( 高等部 )( 自立活動 )学習指導案

高 1 化学冬期課題試験 1 月 11 日 ( 水 ) 実施 [1] 以下の問題に答えよ 1)200g 溶液中に溶質が20g 溶けている この溶液の質量 % はいくらか ( 整数 ) 2)200g 溶媒中に溶質が20g 溶けている この溶液の質量 % はいくらか ( 有効数字 2 桁 ) 3) 同じ

1. 単元名 運動とエネルギー 3 章エネルギーと仕事 南中学校第 3 学年理科学習指導案 平成 26 年 10 月 16 日 ( 木 ) 第 5 校時 3 年生徒数 3 名場所理科室授業者 2. 単元について (1) 単元観本単元は 運動の規則性やエネルギーの基礎を 身のまわりの物体の運動などの観

いきたいと考えるはずである 水溶液を区別する ためには, 水溶液のどんな性質やはたらきに着目していったらよいか, 子どもたちの考えを大切にしながら学習を進めていきたい 本単元の問題を解決するためには, いくつかの実験結果から, 総合的に判断することが必要である そこで,5つの水溶液を区別するという意

<4D F736F F D20979D89C88A778F4B8E7793B188C48F4390B394C581698C4696EC F838E69816A2E646F63>

単元の系統 粒子 学年 粒子の存在 粒子の結合 粒子の保存性 粒子のもつエネルギー 小学校ものの重さ 年 形と重さ 体積と重さ 4 年 空気と水の性質 空気の圧縮 水の圧縮 金属 水 空気と温度 温度と体積の変化 温まり方の違い 水の三態変化 5 年 ものの溶け方 物が水に溶ける量の限度 物が水に溶

Word Pro - matome_7_酸と塩基.lwp

2 原子やイオンのつ 3 原子が電気的に中性 3 原子の構造について くりに関心をもっ になる理由を 原子 説明している て説明を聞こうと の構造から指摘して 4 陽イオンや陰イオン する いる の違いを説明でき 4 イオンは原子が電子 イオンをイオン式で を失ったり 受け取っ 表している たりして

けて考察し, 自分の考えを表現している 3 電磁石の極の変化と電流の向きとを関係付けて考え, 自分の考えを表現している 指導計画 ( 全 10 時間 ) 第 1 次 電磁石のはたらき (2 時間 ) 知 1, 思 1 第 2 次 電磁石の強さが変わる条件 (4 時間 ) 思 2, 技 1, 知 2

Microsoft Word - 中学校数学(福島).doc

○数学科 2年 連立方程式

「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

<4D F736F F D AAE90AC94C5817A E7793B188C481698D5D E7397A791E58A A778D5A814094F68FE3816A2E646F63>

理科学習指導案指導者海田町立海田西中学校教諭柚中朗 1 日時平成 30 年 1 月 24 日 ( 水 ) 2 学年第 2 学年 1 組 ( 男子 14 名女子 18 名計 32 名 ) 3 単元名天気とその変化 ~ 大気の動きと日本の天気 ~ 4 単元について (1) 単元観本単元は, 学習指導要領

2年D組 理科学習指導案

Microsoft PowerPoint - H29小学校理科

(Microsoft Word - \217\254_\216Z_5_\216O\214\264\216s\227\247\216O\214\264\217\254.doc)

Microsoft PowerPoint - 中学校学習評価.pptx

Microsoft Word - ④「図形の拡大と縮小」指導案

Microsoft Word - 数学指導案(郡市教科部会)

Microsoft Word - 社会科

とで児童に活動の見通しを持たせ, 自分で課題を立て情報を集め整理し, 発表する等に取り組めるようにしていきたい 調査計画の場面では, 目的に照らしてどのような調査をしていくことがよいのか児童にしっかりと考えさせたい 例えば, データはどう集めたらよいのか, アンケートを実施する場合には, 誰にアンケ

6年 ゆで卵を取り出そう

第 2 学年 * 組保健体育科 ( 保健分野 ) 学習指導案 1 単元名生涯の各段階における健康 ( イ ) 結婚生活と健康 指導者間中大介 2 単元の目標 生涯の各段階における健康について, 課題の解決に向けての話し合いや模擬授業, ディベート形式のディスカッションなどの学習活動に意欲的に取り組む

2011年度 化学1(物理学科)

<4D F736F F D A E497E182C694BD94E497E181762E646F6378>

国語科学習指導案様式(案)

<4D F736F F D A778D5A95DB8C9291CC88E789C881408E7793B188C42E646F63>

25math3

第 6 学年理科学習指導案指導者千葉市立小中台小学校本間希世 1 研究主題 (1) 市教研統一テーマ 自ら学び 心豊かに生きる力を身につけた児童生徒の育成 (2) 部会テーマ 個を生かした学習指導の進め方 小中合同主題 教材の本質にもとづき 児童の力で自然を調べる楽しさが体得される場の工夫と指導方法

指導案

ICTを軸にした小中連携

第1学年 理科学習指導案

Microsoft Word - 全国調査分析(H30算数)

理科学習指導案

< F2D F8C8E FA90948A7789C88A778F4B8E7793B1>

123

<4D F736F F D208FAC5F979D5F355F94F693B98E7397A78D82907B8FAC2E646F63>

<4D F736F F F696E74202D A E90B6979D89C8816B91E63195AA96EC816C82DC82C682DF8D758DC03189BB8A7795CF89BB82C68CB48E AA8E E9197BF2E >

<4D F736F F D208FAC5F8E5A5F355F88C08C7C8D E7397A789C288A48FAC2E646F6378>

3 単元の目標 (1) 電流と電圧との関係及び電流の働きに関する事物 現象に進んでかかわり それらを科学的に探究するとともに 事象を日常生活とのかかわりでみようとする 自然事象への関心 意欲 態度 (2) 電流と電圧との関係及び電流の働きに関する事物 現象の中に問題を見いだし 目的意識をもって観察

< F2D30365F8EF68BC68CA48B E6A7464>

<4D F736F F D208FAC5F8E5A5F315F8FAF8CB48E7397A794C28BB48FAC2E646F63>

1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

Microsoft Word - 6年国語「パネルディスカッションをしよう」

第 2 学年 5 組理科学習指導案 日時平成 26 年 12 月 12 日 ( 金 ) 場所城北中学校授業者酒井佑太 1 単元名電気の世界 2 単元について (1) 教材観今日の私たちの日常生活において 電気製品はなくてはならないものであり 電気についての基礎的な知識は必要不可欠である しかし 実際

ア 単元の指導内容と身に付けさせたい力 この単元では, いろいろな水溶液を使い その性質や金属を変化させる様子を調べ, 水溶液に は 1 酸性 アルカリ性及び中性のものがあること 2 気体が溶けているものがあること 3 金 属を変化させるものがあることなど 水溶液の性質や働きについての考えを児童がも

本時の評価規準 ( 観点 / 方法 ) 1. 今まで学習したことをもとに, 実験を適切な操作で行い, 各極で発生した物質を同定 することができる ( 観察 実験の技能 / ワークシートへの記述 ) 2. 食塩水に電流を通したときの陽極および陰極での変化の様子を粒子モデルを使って図 示し, そのモデル

彩の国埼玉県 埼玉県のマスコット コバトン 科学的な見方や考え方を養う理科の授業 小学校理科の観察 実験で大切なことは? 県立総合教育センターでの 学校間の接続に関する調査研究 の意識調査では 埼玉県内の児童生徒の多くは 理科が好きな理由として 観察 実験などの活動があること を一番にあげています

(3) 指導観本時は 連立方程式の文章題を扱う最初の時間である 方程式の文章題は 個数と代金に関する問題 速さ 時間 道のりに関する問題 割合に関する問題 を扱う これらを解くときには図や表 線分図などを書くことが有効であることを生徒達は昨年度一次方程式の時にも経験している 一元一次方程式を利用する

(2) 計画学習課題 学習内容 時間 連立方程式とその解 二元一次方程式とその解の意味 2 連立方程式とその解の意味 ( 本時 1/2) 連立方程式の解き方 文字の消去の意味 加減法による連立方程式の解き方 5 代入法による連立方程式の解き方 連立方程式の利用 問題を解決するために 2つの文字を使っ

Microsoft Word - 学習指導案(公民的分野 ②).doc

他の単元との連関 子どもが獲得する見方や考え方 教師の持つ指導ポイント 評価規準 小学 4 年生 もののあたたまり方 小学 6 年生 電気の利用 ~ エネルギーの工場と変身と銀行 ~ 中学 1 年生 光と音 ( 光のエネルギーを利用しよう ) 中学 2 年生 電流 ( 電気とそのエネルギー ) 電流

(3) 指導観公民的分野は地理的分野と歴史的分野の学びの積み重ねによるところが大きい 用語や概念も高度化し 生徒の感想にも 難しい と感じるものが多くなっている そこで その難しいと感じる公民の用語などは積極的に用語集を活用し 難しい言葉に対する抵抗感を少しでも和らげるよう授業でも活用している また

子葉と本葉に注目すると植物の成長の変化を見ることができるという見方や, 植物は 葉 茎 根 からできていて, それらからできているものが植物であるという見方ができるようにしていく また, 学んだことを生かして科学的なものの見方を育てるために, 生活の中で口にしている野菜も取り上げて観察する活動を取り

Microsoft Word - 小学校第6学年理科指導案「水溶液の性質」

し, 定期的に評価することで 自己の考え を自覚する場面を意図的に設定している 本教材の学習においては, 様々な情報の中から必要な情報を取り出し, 整理 分析し, それに基づいた自分の考えを表現する活動を通して, 自己の考えの深まりや広がり を実感させることによって, 課題改善につなげたいと考えてい

< F2D87408E7793B188C C993A190E690B6816A2E6A7464>

jhs-science1_05-02ans

<4D F736F F D DC492F18F6F82C582B A A778F4B8E7793B188C A778D5A90948A7789C8816A202E646F6378>

課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

(2) -2,4,1 3 y=-x-2 をかいた ( 人 ) 4 (1) y=2x-9,y=2x,y=3x+3 (2) y=x+11 (3) 指導観校内の研究テーマが 考える力を引き出す授業のあり方 ということで, 数学科では考える力とは何かを分析し,11 項目に整理した 1 帰納的に考える力 2

能を習得したり活用したりすることの必要性について確認する グラフをかく力やグラフを読み取る力を身に付けさせるとともに, 一次関数を学ぶことに対する意欲を高めたい 小単元全体を通して主体的に学ぶ意欲を高め, 自分の考えを説明したいという気持ちにさせた上で, 目的や方法等を明確にした意図のあるペアやグル

H30全国HP

Ⅲ 化学変化とイオン 単元における観察 実験の位置付け 学習活動備考 課題 どのような水溶液が電流を通すのだろうか 実験 1 電解質や非電解質の水溶液について電流を通すか調べる実験 様々な水溶液を用意するが この後に 塩化銅水溶液や塩酸の電気分解に触れるため この 2 つの水溶液は用意しておくとよい

平成23年度全国学力・学習状況調査問題を活用した結果の分析   資料

2 児童観復習プリントから 乗法の交換法則 4 7=7 乗法の結合法則 = 加減混合の式や乗除混合の式の計算はできていると考えられる しかし 分配法則 6 10=6 9+ や 7 8=7 9 はできない児童が数名いて 定着していないことが分かる また 計算の仕方は理解してい

Microsoft PowerPoint - syogaku [互換モード]

2 単元の目標 廿日市市 についての魅力を目的意識や相手意識を明確にして地域内外に発信することができる 自分たちの住む 廿日市市 に愛着をもつことができる 3 単元の評価規準 学習方法 自分自身 他者や社会 課題発見力 思考力 判断力 表現力 主体性 自らへの自信 対象と積極的にかかわる中で, 課題

Transcription:

理科学習指導案 (3 年 ) 平成 28 年 6 月 9 日 ( 木 ) 第 5 校時化学室指導者加藤絵美子 授業の視点 課題解決をする場面で ジグソー学習を取り入れたことは 生徒の科学的な思考力や表現力を互いに伸ばすのに有効であったか 1 単元名 酸 アルカリとイオン 2 考察 (1) 教材観 1 学習内容 : 学習指導要領上の位置付け (6) 化学変化とイオンイ酸 アルカリとイオン ( イ ) 中和と塩中和反応の実験を行い 酸とアルカリを混ぜると水と塩が生成することを理解すること 2 教材の価値水溶液の電気的な性質や酸とアルカリの性質についての観察 実験を行い 結果を分析的に解釈し 水溶液の電気伝導性や中和反応について理解させ イオンのモデルと関連づけてみる微視的な見方や考え方を養う 3 主に伸ばしたい資質 能力 中和反応によって水と塩が生成することの理解 中和反応をイオンのモデルと関連付けて理解する力 中和反応においては水素イオンと水酸化物イオンから水が生じることにより酸とアルカリがお互いの性質を打ち消し合うことの理解 中性にならなくても中和反応は起きていることの理解 中和と中性のちがいについて説明できる力 酸の陰イオンとアルカリの陽イオンとが結びついてできた物質が塩であることを説明できる力 塩には水に溶ける塩と溶けない塩があることの理解 日常生活と中和との関連に興味を持ち 環境保全の視点から身のまわりの水溶液や物質を考える力 4そのために必要な指導 学習活動 中和反応について理解するため 酸性の水溶液として塩酸とアルカリ性の水溶液として水酸化ナトリウム水溶液を用いて実験を行い 塩として塩化ナトリウムが生成したことを実感させる 中和について 実験の結果をイオンのモデルで考察させ 視覚的にとらえさせる 水素イオンの総数と水酸化物イオンの総数が等しいときに 水溶液が中性となることを イオンのモデルを使って表し 視覚的にとらえさせる 塩酸と水酸化ナトリウム水溶液による中和以外の反応によってできるいろいろな塩について考えることができるよう 何パターンか問題を提示する活動を取り入れる 水に溶けない塩の例として 硫酸バリウムを紹介して演示実験を行い 視覚的にとらえさせる 群馬県の吾妻川の過去にふれ 酸性の川を中和し 中性に近づけることができたことを紹介し 環境について考える活動を取り入れる

(2) 本単元に関わる生徒の実態及び指導方針 1 既習の学習内容 水溶液には酸性 中性 アルカリ性のものがあること 金属を変化させる水溶液があること( 小 6) 気体の発生と性質 物質への水への溶解について( 第 1 学年 ) 物質が原子や分子でできていること( 第 2 学年 ) 電流が電子の流れであること 電流から熱や光などが取り出せること( 第 2 学年 ) 2 実態及び指導方針 昨年度末に行った CRT 検査 の領域別の結果は 各領域とも全国平均を上回っていた 本単元に関わる分野 物質の成り立ち 化学変化 電流のはたらき では 全国平均を全て上回っていた しかし授業を進めていく上で 自分の意見を持っているにも関わらず 発言を控えてしまう生徒も見られる 実験や観察の場で 新たな発見や気づきから自分の意見を周りに発信していく機会を意図的に取り入れていく必要があると感じる 生徒は今までの学習の様々な場面で 自分の考えを広げたり 深めたりするために 少人数(34 人のグループ ) での交流活動を繰り返し行ってきている 本単元の学習でも 少人数による交流活動の場面を設け 一人一人が活動する場面を保証し 課題や交流方法を明確に示すことで 自分の考えを吟味したり 補強したりできるようにする 発言を控えてしまう生徒の考えを引き出し より活発な交流活動を図るために ジグソー学習 を取り入れる ジグソー学習 の展開は 1ホームグループの中で 複数の予備課題を分担する 2 同じ課題を追究する学習者同士が集まってエキスパートグループをつくり 予備課題を追究してそれぞれが情報を得る 3ホームグループに戻り 得られた複数の情報を総合して本課題を追究する とする ジグソー学習の流れの中には 各個人が情報をもち寄って討論しなければ本課題を解決できないという仕掛けがあり 必然的に各個人に役割と責任が生まれる ジグソー学習は 言語活動の一つであり学び合いの一つであるが グループ環境だけ整えて学び合いを自然発生的に待つのではなく 学び合いを意図的に引き起こすことに価値があると考える 観察 実験を通し 結果を分析して解釈することで 事象についての理解をはかり イオンの存在や原子の成り立ちとの関係 イオンのモデルと関連づけてみる微視的な見方や考え方を養う 新たな知識が既習事項に付加され 関連性や広がりから 生徒の理解を促進させていくために コンセプトマップを活用する 3 校内研修との関わり本校は 研究主題を 確かな学力を身につけ 主体的に学ぶ生徒の育成 各教科における 考え 表現させる ための交流活動を通して として研修を進めている 昨年度は 研修の四つの柱の一つ 授業の改善 充実 の中の 基本的留意事項( 明確な課題設定 考える場の設定 ) と 支援のポイント を確認し合い 授業実践に結びつけてきた 本年度は 交流活動の目的を明確にした授業づくり と 授業の目標を提示し 振り返りの活動の時間を確保すること に重点をおき 取り組んでいる 本時では 中和 中性についての既習事項の確認をし 水溶液の体積や濃度を変えた場合はどうなるのか ということから3つの課題を与える ジグソー学習を取り入れ 生徒は自分に与えられた課題を解決していく中で モデル図を活用し 言葉を選んで自分の考えを表現する場を設定した

4 単元の目標酸とアルカリの性質を調べる実験を行い 酸とアルカリのそれぞれの特性が水素イオンと水酸化物イオンによること 中和反応の実験を行い 酸とアルカリを混ぜると水と塩が生成することを理解させ これらは日常生活や社会で活用されていることに気づかせ 物質に対する興味 関心を高める 5 評価規準及び指導計画 (1) 評価規準 自然事象への関心 意欲 態度 酸 アルカリ 中和と塩に関する事物 現象に進んでかかわり それらを科学的に探究しようとするとともに 事象を日常生活とのかかわりでみようと 評 する 科学的な思考 表現酸 アルカリ 中和と塩に関する事物 現象の中に問題を見いだし 目的意 価 識をもって観察 実験などを行い 酸 アルカリの特性と水素イオン 水酸 化物イオンとの関係 イオンのモデルと関連付けた中和反応による水と塩の 項 生成などについて自らの考えをまとめ 表現している 観察 実験の技能 酸 アルカリの性質 中和反応に関する観察 実験の基本操作を習得すると 目 ともに 結果の記録や整理などの仕方を身につけている 自然事象についての知識 理解 酸 アルカリの特性が水素イオンと水酸化物イオンによること 中和反応によって水と塩が生成することなどについて基本的な概念を理解し 知識を身 につけている (2) 指導計画 ( 全 10 時間予定 ) 時 主な学習活動 伸ばしたい資質 能力 評価項目 間 知識 技能等 思考力 表現力等 関思技知 1 2 酸性とアルカリ性の水溶液の性質を調べ まとめる 既習事項より 酸性 アルカリ性の水溶液にはそれぞれどのような性質があるか指摘できる力 水溶液の液性を調べる実験を安全に正しく行い 適切な結果の記録や整理ができる力 実験結果をもとに 酸性やアルカリ性の水溶液それぞれに共通な性質があることについて 自らの考えを導いたりまとめたりして表現する力 3 4 酸性とアルカリ性を示すものの正体を調べる 水溶液にしたとき 電離して水素イオンを生じる化合物を酸 水酸化物イオンを生じる化合物をアルカリということを理解する力 実験の結果から 酸性を示すのは水素イオン アルカリ性を示すのは水酸化物イオンであることを指摘する力 酸とアルカリの水溶液が電離するようすを 電離式とモデルを使って説明できる力 5 酸性やアルカリ性には強弱がある 酸性とアルカリ性の強さを表すのに ph が用いられるこ

ことに気づき 身 とを説明する力 近な食品や製品の 身のまわりの食品や製品の ph 値を調べる ph を説明できる力 6 酸とアルカリを こまごめピペットを正しく 酸性の水溶液とアルカリ 混ぜる実験を行 使って 少量の液体をとるこ 性の水溶液を反応させる 8 い 混ぜると中和 とができる 実験から 中和して塩が生 して塩が生成され 中和反応によって水と塩が じることについて自らの ることを見いだ 生成されることを理解し そ 考えを導いたりまとめた す の現象を化学式とイオン式を りして 説明できる力 使って説明できる力 中和と中性のちがいについ て説明できる力 9 塩酸や水酸化ナ 水素イオンと水酸化物イオ 水素イオンと水酸化物イ 本 トリウム水溶液の ンの数が等しいときに水溶液 オンの数を等しくするた 時 体積や濃さを変化 は中性になることを理解する めに 水溶液の濃さと体積 させ 中性にする 力 の 2 つの要素を考えなが 10 のに必要な水溶液 らモデル図で表すことが の量を考える できる力 6 本時の学習 (9/10) (1) ねらい 塩酸や水酸化ナトリウム水溶液の濃さや体積を変化させ 中和して中性にするのに必要な水溶液の量 を モデル図で示して求めることができる (2) 準備 教科書 ワークシート ホワイトボード イオンマグネット ヒントカード 塩酸 水酸化ナトリウ ム水溶液 BTB 溶液 (3) 展開 学習活動 時間 指導上の留意点及び支援 評価 1 既習事項の確認 10 分 〇前実験で 塩酸 10 mlに水酸化ナトリウム水溶液を加えていくと 約 10 mlで中性になったことを モデル図を用いて確認する 中和のときは 酸の水素イオンとアルカリの水酸化物イオンが結びついて 水が生成するな 水素イオンが2 個ある状態で水溶液を中性にするには 水酸化物イオンが2 個必要だな 〇塩酸 10 ml中に水素イオンが2 個入っているとしてモデル図を用いて考えていく 〇塩酸の水素イオンと水酸化ナトリウム水溶液の水酸化物イオンが結びついて水ができることを確認する 〇水素イオンの数と水酸化物イオンの数が等しくなったとき 水溶液は中性になることを確認する イメージがつかない生徒のために モデル図を活用してふりかえる 知識 理解 水素イオンの数と水酸化物イオンの数が等しいとき 水溶液は中性になることを理解している ( 観察 )

ワークシートを配布し 塩酸が2 倍の 20 mlの場合 必要な水酸化ナトリウム水溶液を モデル図を用いて考える 体積が2 倍になったから イオンも2 倍になるな 2 導入〇塩酸 10 mlに BTB 溶液を入れ 水溶液を黄色にし さらに水酸化ナトリウム水溶液 10 mlを入れたら何色になるか考える 同じ量の水酸化ナトリウム水溶液を入れても中性にならないときもあるんだな 〇本時の学習課題を確認する 塩酸の体積が2 倍になったことで イオンの数も2 倍になったことを確認する 3 分 生徒を教卓の周りに集め 全員が色の変化を確認できるようにする 〇水酸化ナトリウム水溶液の濃度を濃くしてあるので 塩酸 10 mlと同じ量の水酸化ナトリウム水溶液 10 ml入れても水溶液は中性にならないことから 水溶液の濃度に着目させる 青くなったから 水溶液はアルカリ性だ 加えた水酸化ナトリウム水溶液の方が 濃度が濃いから 青くなったんだ 水溶液を中性にするには 塩酸に何mlの水酸化ナトリウム水溶液が必要か? ジグソー学習 3 エキスパート学習 A: 塩酸 20 mlに 濃さが2 倍の水酸化ナトリウム水溶液は何ml必要か? B: 塩酸 10 mlに 濃さが 1/2 の水酸化ナトリウム水溶液は何ml必要か? C: 塩酸 10 mlに水 10 ml加えた水溶液に 濃さが2 倍の水酸化ナトリウム水溶液は何ml必要か? 濃さが 1/2 だから 必要な水酸化ナトリウム水溶液の量も 1/2 だと思う 濃さが変わってもアルカリはアルカリだから量は同じだと思う 濃さが 1/2 だと体積は2 倍必要になると思う 12 分 1 人では課題解決が不安だと思われる生徒には2 人でエキスパート学習に参加するよう促す イオンマグネットやワークシートのモデル図を利用して 考えていくよう指示する 〇水素イオンと水酸化物イオンの数を等しくするために 水溶液の濃さと体積という2つの要素を考えていくようアドバイスする エキスパート班で問題を解き その解答をホーム班で説明できるよう協力して取り組むよう指示する エキスパート班で中心となれる生徒がいるよう配慮する 机間指導の中でつまずいている生徒がいる場合 食塩水などで濃さが2 倍や 1/2 になる例を提示する 濃さが2 倍 1/2 ということは 同じ体積の水溶液に溶けている溶質の量がそれぞれ2 倍 1/2 であることを確認する それでも困難な様子が見られた場合 ホーム学習で説明しやすいように 声がけをしたり ヒントカードを提示したりする

4 ホーム学習〇ホーム班に戻り エキスパート学習で得たことを説明し合い ワークシートに記入する 濃さや体積が変われば イオンの数も変化するから 必要な水酸化ナトリウム水溶液の量も変わるんだな 10 分〇ホームグループに持ち帰った情報は 答えを見せ合うのではなく 担当者がホワイトボードとイオンのマグネット等を活用し 自分の言葉で説明するよう指示する 発表の際には 濃度と体積 イオンの数に着目して発表するようアドバイスをする 発表につまずいている生徒や自分の言葉で説明するのに自信がない生徒がいる場合 声がけをしたり ヒントカードを見ながら説明したりするよう指示する 思考 表現 水素イオンと水酸化物イオンの数を等しくするために 水溶液の濃さと体積の2つの要素を考えながらモデル図で表し 説明することができる ( 観察 ワークシート ) 5 クロストーク学習〇エキスパート班で考えた説明を発表する 6 本時の学習を振り返る〇本時の学習を通して分かったこと 気づいたことをワークシートに記入する 濃さが2 倍になればイオンの数も2 倍になるな 濃さが 1/2 になればイオンの数も 1/2 になるな 10 分 5 分 〇発表で出た答えをもとに 次回の授業で本時の課題 A Cについて実験をして検証していくことを伝える 〇ワークシートに友達の説明を聞いてわかったことを記入させる 意図的に指名し 何人かの生徒に発表させる 濃さが変わればイオンの数も変わるから 中和するために加える水溶液の体積も変わるな 7 板書計画本時の課題水溶液を中性にするには 塩酸に何mlの水酸化ナトリウム水溶液が必要か? 基本 (A)HCl 20 mlに NaOH の濃さが2 倍 + + HCl 10 ml NaOH 10 ml食塩水 20 ml HCl 20 ml NaOH ml食塩水ml (B)HCl 10 mlに NaOH の濃さが 1/2 倍 (C)HCl 10 ml + 水 10 mlに NaOH の濃さが 2 倍 + + HCl 10 ml NaOH ml食塩水ml HCl HCl 10+ 水ml 10 NaOH ml食塩水ml