平成30年版 少子化社会対策白書 概要版(PDF版)

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様式 3-1 平成 30 年度地域少子化対策重点推進事業実施計画書 ( 市町村分 ) 都道府県名 岩手県 市町村名 ( 平泉 ) 市町村 事業名 平泉町結婚新生活支援事業 600 実施期間平成 30 年 4 月 2 日 ~ 平成 31 年 3 月 31 日 地域の実情と課題 ( これまでの市町村にお

短時間 有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針 について ( 同一労働同一賃金ガイドライン ) 厚生労働省雇用環境 均等局有期 短時間労働課職業安定局需給調整事業課

共通事項 1 キャリアアップ 管理者情報 ( 氏名 ): 役職 ( 配置日 ): 年月日 2 キャリアアップ管理者 の業務内容 ( 事業所情報欄 ) 3 事業主名 印 4 事業所住所 ( - ) 5 電話番号 ( ) - 6 担当者 7 奨励金対象労働者数 ( 全労働者数 ) 9 企業規模 ( 該当

3章第 1 節人口をめぐる現状と課題 主に対し 次世代育成支援のための行動計画の策定を義務づけ 年間の集中的 計画的な取組を推進している 年には 次世代育成支援対策推進法を一部改正した 改正内容としては主に 1 法律の有効期限を 年 3 月まで 年間延長 2 新たな認定 ( 特例認定 ) 制度の創設

図表 1 人口と高齢化率の推移と見通し ( 億人 ) 歳以上人口 推計 高齢化率 ( 右目盛 ) ~64 歳人口 ~14 歳人口 212 年推計 217 年推計

あおもり働き方改革推進企業認証制度 Q&A 平成 29 年 12 月 14 日 Vol.1 目次 1 あおもり働き方改革推進企業認証制度全般関係 Q1 県外に本社がある場合はどのように申請できるのか P1 2 あおもり働き方改革宣言企業関係 Q2 次世代法に基づく一般事業主行動計画とはどういうものか

ダイバーシティ 年に向けた政策展開のポイント テレワークが当たり前になる社会 の実現に向け 多様な主体と連携した普及啓発や導入支援への取組を強化 地域での就労支援やマッチング強化により 女性や高齢者の就業を推進 働き方改革と併せて時差 Biz の定着に向けた取組を推進 強化した政策

子ども・子育て会議(第7回) 次世代育成支援対策推進法の延長等の検討について

女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について

中小企業のための「育休復帰支援プラン」策定マニュアル

1 なぜ 同一労働同一賃金 が導入されるのか? 総務省統計局労働力調査 ( 詳細集計 ) 平成 30 年 (2018 年 )7~9 月期平均 ( 速報 ) によると 非正規労働者数は 2,118 万人 ( 前年同期比 68 万人増加 ) 正規労働者数は 3,500 万人となっています 役員を除く雇用

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このジニ係数は 所得等の格差を示すときに用いられる指標であり 所得等が完全に平等に分配されている場合に比べて どれだけ分配が偏っているかを数値で示す ジニ係数は 0~1の値をとり 0 に近づくほど格差が小さく 1に近づくほど格差が大きいことを表す したがって 年間収入のジニ係数が上昇しているというこ

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女性の活躍促進や仕事と子育て等の両立支援に取り組む企業に対するインセンティブ付与等 役員 管理職等への女性の登用促進 М 字カーブ問題の解消には企業の取組が不可欠 このため 企業の自主的な取組について 経済的に支援する 経営上のメリットにつなぐ 外部から見えるようにし当該取組の市場評価を高めるよう政

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求められる20~40代の経済基盤の安定化-経済格差と家族形成格差の固定化を防ぎ、消費活性化を促す

寄附文化の醸成に係る施策の実施状況 ( 平成 26 年度に講じた施策 ) 別紙 1 < 法律 制度改正 > 総務省 ふるさと納税の制度拡充 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 学校法人等への個人寄附に係る税額控除の要件の緩和 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 特例控除の上限の引上げ

資料9

スライド 1

障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

日韓比較(10):非正規雇用-その4 なぜ雇用形態により人件費は異なるのか?―賃金水準や社会保険の適用率に差があるのが主な原因―

23 歳までの育児のための短時間勤務制度の制度普及率について 2012 年度実績の 58.4% に対し 2013 年度は 57.7% と普及率は 0.7 ポイント低下し 目標の 65% を達成することができなかった 事業所規模別では 30 人以上規模では8 割を超える措置率となっているものの 5~2

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

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新設 拡充又は延長を必要とする理地方公共団体の実施する一定の地方創生事業に対して企業が寄附を行うことを促すことにより 地方創生に取り組む地方を応援することを目的とする ⑴ 政策目的 ⑵ 施策の必要性 少子高齢化に歯止めをかけ 地域の人口減少と地域経済の縮小を克服するため 国及び地方公共団体は まち

( 2 ) % % % % % % % % 100% 20 90% 80% 70% 60%

等により明示するように努めるものとする ( 就業規則の作成の手続 ) 第 7 条事業主は 短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し 又は変更しようとするときは 当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする ( 短時間労働者の待遇の原

設 拡充又は延長を必要とする理由 関係条文 租税特別措置法第 70 条の 2 第 70 条の 3 同法施行令第 40 条の 4 の 2 第 40 条の 5 同法施行規則第 23 条の 5 の 2 第 23 条の 6 平年度の減収見込額 百万円 ( 制度自体の減収額 ) ( - 百万円 ) 東日本大震

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1_【鑑】「生活困窮者自立支援法の施行に伴う多重債務者対策担当分野との連携について(通知)」の一部改正について

資料2(コラム)

2. 女性の労働力率の上昇要因 М 字カーブがほぼ解消しつつあるものの 3 歳代の女性の労働力率が上昇した主な要因は非正規雇用の増加である 217 年の女性の年齢階級別の労働力率の内訳をみると の労働力率 ( 年齢階級別の人口に占めるの割合 ) は25~29 歳をピークに低下しており 4 歳代以降は

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子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

第 1 部 施策編 4

( 会社及び個人 ) ( 適用日 : 平成 30 年 12 月 12 日 年利 :%) 一 般 貸 付 振 興 事 業 貸 付 設備資金 設備資金 運転資金 基準利率 1.16 ~ 2.85 % 特別利率 A 0.76 ~ 1.89 % 特別利率 B 0.51 ~ 1.90 % 特別利率 C 0.3

H28秋_24地方税財源

2019年度 文部科学省税制改正の概要

(1) はじめに 何故この 3 点のみご案内させていただくのかと申しますと 他の要件と比較し導入がしやすい点にあります 非正規労働者の職業訓練や賃金テーブルの見直し 法定外の健康診断制度は導入する敷居が若干高く また それらは一度制度として導入してしまうと助成金の申請期間が過ぎた後も通常続けざるを得

地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第7次地方分権一括法)の概要

女性が働きやすい制度等への見直しについて

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3 調査項目一覧 分類問調査項目 属性 1 男女平等意識 F 基本属性 ( 性別 年齢 雇用形態 未既婚 配偶者の雇用形態 家族構成 居住地 ) 12 年調査 比較分析 17 年調査 22 年調査 (1) 男女の平等感 (2) 男女平等になるために重要なこと (3) 男女の役割分担意

【別紙あり】 厚生労働省

妊娠 出産 不妊に関する知識の普及啓発について 埼玉県参考資料 現状と課題 初婚の年齢は男女とも年々上昇している 第一子の出生時年齢も同時に上昇している 理想の子ども数を持たない理由として 欲しいけれどもできないから と回答する夫婦は年々上昇している 不妊を心配している夫婦の半数は病院へ行っていない

資料8-2 平成29年度文部科学関係税制改正事項

第 1 章調査の実施概要 1. 調査の目的 子ども 子育て支援事業計画策定に向けて 仕事と家庭の両立支援 に関し 民間事業者に対する意識啓発を含め 具体的施策の検討に資することを目的に 市内の事業所を対象とするアンケート調査を実施しました 2. 調査の方法 千歳商工会議所の協力を得て 4 月 21

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参考 1 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに

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2009年9月●日

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 第1節 国における子育て環境の現状と今後の課題         

( 参考 ) 平成 29 年度予算編成にあたっての財務大臣 厚生労働大臣の合意事項 ( 平成 29 年 12 月 19 日大臣折衝事項の別紙 ) < 医療制度改革 > 別紙 (1) 高額療養費制度の見直し 1 現役並み所得者 - 外来上限特例の上限額を 44,400 円から 57,600 円に引き上

ナショナル・トラスト税制関係通知

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従業員に占める女性の割合 7 割弱の企業が 40% 未満 と回答 一方 60% 以上 と回答した企業も 1 割以上 ある 66.8% 19.1% 14.1% 40% 未満 40~60% 未満 60% 以上 女性管理職比率 7 割の企業が 5% 未満 と回答 一方 30% 以上 と回答した企業も 1

第 3 働き方改革 の推進などを通じた労働環境の整備 生産性の向上 非正規雇用労働者の待遇改善 長時間労働の是正 人材育成の強化 人材確保対策の推進 地方創生の推進及び労働者が安全で健康に働くことができる職場づくりなどにより 労働環境の整備 生産性の向上を図る 1 非正規雇用労働者の待遇改善 長時間

平成28年度企業主導型保育事業の助成決定について(第1回)

平成13年度税制改正(租税特別措置)要望事項(新設・拡充・延長)

26公表用 栃木局版(グラフあり)(最終版)

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て 労働者派遣契約書に休業手当等の支払いに要する費用を確保するための費用負担等に関する事項を記載していないもの (1 派遣元事業所 ) ウ派遣料金額の明示派遣労働者に対して 書面の交付 ファクシミリを利用してする送信又は電子メールの送信の方法により労働者派遣に関する料金の額を明示していないもの (5

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社会保障 税一体改革大綱(平成24 年2月17 日閣議決定)社会保障 税一体改革における年金制度改革と残された課題 < 一体改革で成立した法律 > 年金機能強化法 ( 平成 24 年 8 月 10 日成立 ) 基礎年金国庫負担 2 分の1の恒久化 : 平成 26 年 4 月 ~ 受給資格期間の短縮

今後 この政府のガイドライン案をもとに 法改正の立案作業を進め 本ガイドライン案については 関係者の意見や改正法案についての国会審議を踏まえて 最終的に確定する また 本ガイドライン案は 同一の企業 団体における 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正することを目的としているため

4 子育てしやすいようにするための制度の導入 仕事内容への配慮子育て中の社員のため以下のような配慮がありますか? 短時間勤務ができる フレックスタイムによる勤務ができる 勤務時間等 始業 終業時刻の繰上げ 繰下げによる勤務ができる 残業などの所定外労働を制限することができる 育児サービスを受けるため

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第 1 子出産前後の女性の継続就業率 及び出産 育児と女性の就業状況について 平成 30 年 11 月 内閣府男女共同参画局

の業務について派遣先が九の 1 に抵触することとなる最初の日 六派遣先への通知 1 派遣元事業主は 労働者派遣をするときは 当該労働者派遣に係る派遣労働者が九の 1の ( 二 ) の厚生労働省令で定める者であるか否かの別についても派遣先に通知しなければならないものとすること ( 第三十五条第一項関係

佐藤委員提出資料

11月は『職業能力開発促進月間


( 様式第 1 号 ( 共通 )) 共通事項 1 キャリアアップ管理者 情報 ( 氏名 ): 役職 ( 配置日 ): 年月日 2 キャリアアップ管理者 の業務内容 ( 事業所情報欄 ) 3 事業主名 印 4 事業所住所 ( - ) 5 電話番号 ( ) - 6 担当者 7 企業全体で常時雇用する労働

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☆表紙・目次 (国会議員説明会用:案なし)

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)  レベル診断チェックシート

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短時間労働者への厚生年金 国民年金の適用について 1 日又は 1 週間の所定労働時間 1 カ月の所定労働日数がそれぞれ当該事業所 において同種の業務に従事する通常の就労者のおおむね 4 分の 3 以上であるか 4 分の 3 以上である 4 分の 3 未満である 被用者年金制度の被保険者の 配偶者であ

( 事業所税の課税標準の特例 ) 第三十三条 ( 略 ) 2~5 ( 略 ) 6 平成二十九年四月一日から平成三十一年三月三十一日までの期間 ( 以下この項において 補助開始対象期間 という ) に政府の補助で総務省令で定めるものを受けた者が児童福祉法第六条の三第十二項に規定する業務を目的とする同法

平成30年度少子化の状況及び少子化への対処施策の概況(令和元年版少子化社会対策白書)

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アレルギー疾患対策基本法 ( 平成二十六年六月二十七日法律第九十八号 ) 最終改正 : 平成二六年六月一三日法律第六七号 第一章総則 ( 第一条 第十条 ) 第二章アレルギー疾患対策基本指針等 ( 第十一条 第十三条 ) 第三章基本的施策第一節アレルギー疾患の重症化の予防及び症状の軽減 ( 第十四条

中央労働災害防止協会発表

14 日本 ( 社人研推計 ) 日本 ( 国連推計 ) 韓国中国イタリアドイツ英国フランススウェーデン 米国 図 1. 1 主要国の高齢化率の推移と将来推計 ( 国立社会保障 人口問題研究所 資料による ) 高齢者を支える

別紙様式 7( ひな型 ) ( 日本工業規格 A4) 別紙様式 7( ひな型 ) ( 日本工業規格 A4) 申請者がと年月日をもって売買契約を締結した指名金銭債権に伴う別紙記載の不動産の質権又は抵当権の移転の登記につき 租税特別措置法第 83 条の2 第 1 項の規定の適用を受けたいので 租税特別措

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平成23年9月29日WG後修正

別添 同一労働同一賃金に関する法整備について ( 報告 ) 1 基本的考え方〇我が国の非正規雇用労働者は 現在 全雇用者の 4 割を占めるに至っている 昨今の雇用情勢の回復等により いわゆる 不本意非正規 である労働者の割合は低下傾向にあるが 一方で 30 歳代半ば以降を中心に 子育て 介護等を背景

Transcription:

第 2 節 結婚 出産の希望が実現できる環境の整備 1 経済的基盤の安定 ( 若者の雇用の安定 ) 非正規雇用対策の推進非正規雇用労働者の数は近年増加傾向にあり 2017( 平成 29) 年において 非正規雇用の労働者数は2,036 万人 役員を除く雇用者に占める割合は3 分の1を超える状況である 非正規雇用の労働者は 正規雇用の労働者と比較して 1 雇用が不安定 2 賃金が低い 3 能力開発機会が乏しい といった課題がある 雇用情勢が着実に改善しているタイミングを捉え 正社員を希望する人の正社員転換や非正規雇用を選択する人の処遇改善を推進することが重要である このため 厚生労働大臣を本部長とする 正社員転換 待遇改善実現本部 において 正社員転換 待遇改善実現プラン を 2016( 平成 28) 年 1 月に策定した 各都道府県労働局にも本部を設置し 同年 3 月までにそれぞれの 地域プラン を策定した これらのプランに基づき 非正規雇用労働者の正社員転換 処遇改善を強力に推進している また 正社員転換を進めるとともに 正規 非正規にかかわらず労働者が安心して生活ができる環境整備を推進することとしている さらに 派遣労働者 有期契約労働者 パートタイム労働者といった非正規雇用の態様ごとに 以下のとおり必要な施策を講じている 派遣労働者については 2015( 平成 27) 年 9 月に施行された 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律 ( 平成 27 年法律第 73 号 ) の内容を解説したパンフレットを作成し 都道府県労働局で配布するとと もに 説明会等を開催するなど周知を行っている 有期契約労働者については 2013( 平成 25) 年 4 月に全面施行された 労働契約法の一部を改正する法律 ( 平成 24 年法律第 56 号 ) に基づく 無期転換ルール ( 有期労働契約が 通算 5 年を超えて更新された場合に 労働者の申込みにより期間の定めのない労働契約に転換させる仕組み ) について その円滑な導入が図られるよう 2017 年 9 月 10 月に 無期転換ルール取組促進キャンペーン を実施したほか 先行導入した企業の好事例 支援策等をまとめたポータルサイトの運営 無期転換ルールの導入手順等をまとめたハンドブックの配布 全国 47 都道府県でのセミナー開催など あらゆる機会を活用して無期転換ルールの周知 啓発及び導入支援を行った パートタイム労働者については 多様な就業実態に応じた正社員との均等 均衡待遇の確保や 正社員への転換の推進等を内容とする 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律 ( 平成 5 年法律第 76 号 以下 パートタイム労働法 という ) に基づき 事業主への行政指導や専門家による相談 援助等を実施している また 2016 年 9 月に 働き方改革実現会議 が開催され 同年 12 月に 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇差がどのような場合に不合理とされるかを事例等で示す 同一労働同一賃金ガイドライン案 が示された さらに 2017 年 3 月に策定された 働き方改革実行計画 では 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指し その根拠を整備する法改正を行うこととしている 同計画に基づき 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保に向け 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱 について 同年 9 月に労働 74

第1章第2章第1章第2章政策審議会に諮問し 答申を得た これを受け パートタイム労働法 労働契約法 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 ( 昭和 60 年法律第 88 号 ) の改正等を内容とする法律案を 2018( 平成 30) 年 4 月に国会に提出している 等の提出方法について 書面に加えて電磁的記録によっても行うことができることが決定された 2 結婚に対する取組支援 ( 高齢世代から若者世代への経済的支援の促進 ) 結婚 子育て資金や教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度将来の経済的不安が若年層に結婚 出産を躊躇させる大きな要因の一つとなっていることを踏まえ 両親や祖父母の資産を早期に移転することを通じて 子や孫の結婚 出産 子育てを支援することを目的として 祖父母等から孫等に対して結婚 子育て資金の一括贈与を行った場合について 贈与税を非課税とする制度が2015( 平成 27) 年 4 月から実施されている ( 適用期限は2019( 平成 31) 年 3 月 31 日まで ) 本制度では 2016( 平成 28) 年度税制改正において 非課税の対象となる一部の費目につき 対象範囲の明確化を行った また 金融資産の世代間移転を促進し 子育て世代を支援することを目的として 祖父母等から孫等に対して教育資金の一括贈与を行った場合について 贈与税を非課税とする制度が 2013( 平成 25) 年 4 月から実施されている ( 適用期限は2019 年 3 月 31 日まで ) 2017( 平成 29) 年度税制改正では 領収書 第 2 節結婚 出産の希望が実現できる環境の整備参( 地方公共団体 商工会議所等による結婚支援の充実に向けた国の支援 ) 全国的な機運の醸成地方公共団体において結婚支援に取り組む担当者 及び結婚を希望する独身男女に出会いの機会を提供する結婚支援者を対象に 結婚支援の更なる充実に向け 情報の共有や機運の醸成を図るため 結婚応援に関する全国連携会議 ~ 一人でも多くの希望をかなえるために 新たな連携へ~ を開催した(2018 ( 平成 30) 年 1 月 ) 同会議では 変わりゆく日本人の結婚 と題して未婚化が進行した要因についての基調講演や 地方公共団体 企業 結婚支援センター等が連携して推進する結婚支援の取組施策の紹介 有識者 実践者による効果的な結婚支援を行うためのパネルディスカッション等を行った また 各地域における結婚応援の機運の醸成を図ることを目的に 各地方公共団体主催の様々なフォーラム等が開催され 2017( 平成 29) 年度は 18 件の結婚応援のためのフォーラムやイベント等が開催された ( 第 2-1-11 図 ) 考結婚応援に関する全国連携会議の様子 75

76

第1章第2章第1章第2章考第 2 節結婚 出産の希望が実現できる環境の整備参77

地域少子化対策重点推進交付金の活用 2013( 平成 25) 年度補正予算で創設された 地域少子化対策強化交付金 (2015( 平成 27) 年度補正予算より 地域少子化対策重点推進交付金 に名称変更 ) では 結婚支援センター等におけるマッチングシステムの構築 高度化や 結婚応援のためのフォーラムの開催など 地方公共団体が行う結婚支援の取組を支援している 2017( 平成 29) 年度においては ニッポン一億総活躍プラン (2016( 平成 28) 年 6 月 2 日閣議決定 ) の推進のため 地域における総合的な結婚支援や 自治体間連携を伴う結婚に対する取組を支援した また ワーク ライフ バランス等の推進に資する多様 な交流の機会の提供など 地方公共団体と連携した企業 団体 学校等の自主的な参加による取組等を支援した 結婚新生活支援事業費金の活用 2015( 平成 27) 年度補正予算で創設された 結婚新生活支援事業費金 では 一定の所得以下の新婚世帯に対し 結婚に伴う新生活のスタートアップに係るコスト ( 新居の家賃 引越費用等 ) を支援する地方公共団体を支援している (2017( 平成 29) 年度は 234 自治体を支援 ) なお 2017 年度当初予算からは 地域少子化対策重点推進交付金 のメニュー ( 結婚新生活支援事業 ) として措置されている ( 第 2-1-12 図 ) 第 2-1-12 図地域少子化対策重点推進交付金 ( 結婚新生活支援事業 ) 背景 希望出生率 1.8 の実現に向けては 若者の希望する結婚が それぞれ希望する年齢でかなえられるような環境を整備することが重要であり ニッポン一億総活躍プラン ( 平成 28 年 6 月 2 日閣議決定 ) においても 結婚に伴う新生活支援などの先進的取組の展開を進める こととされている < 新婚世帯への支援を要する理由 > 結婚に踏み切れない主な要因は経済的理由 1 結婚の障害として 結婚資金 と回答した割合 未婚男性 (18~34 歳 ) 43.3% 未婚女性 (18~34 歳 ) 41.9% 結婚の障害として 結婚のための住居 と回答した割合 未婚男性 (18~34 歳 ) 21.2% 未婚女性 (18~34 歳 ) 15.3% 出典 1 国立社会保障 人口問題研究所 第 15 回出生動向基本調査 ( 独身者調査 ) 2 内閣府 平成 22 年度結婚 家族形成に関する調査 結婚を希望する人に対して 行政に実施してほしい取組 2 回答者 :20~30 代の未婚及び結婚 3 年以内の男女 安定した雇用機会の提供 55.4 夫婦がともに働き続けられるような職場環境の充実 49.1 結婚や住宅に対する資金貸与や支援 42.3 結婚した方が有利となるような税制や社会保障 40.2 長時間労働の是正など自由な時間の確保 37.6 出会いの場の提供 31.5 結婚に関する悩み相談 17.7 (%) 0 20 40 60 事業概要結婚に伴う経済的負担を軽減するため 新婚世帯に対し 結婚に伴う新生活のスタートアップに係るコスト ( 新居の家賃 引越費用等 ) を支援する地方自治体を対象に 国が地方自治体による支援額の一部をする 対象世帯 : 夫婦共に婚姻日における年齢が34 歳以下かつ世帯所得 340 万円未満の新規に婚姻した世帯 ( 但し 奨学金を返還している世帯は 奨学金の年間返済額を世帯所得から控除 ) 対象 : 婚姻に伴う住宅取得費用又は住宅賃借費用 引越費用 率 : 1/2 上限額 :1 世帯あたり30 万円 ( 国が15 万円 ) 対象世帯 対象 上限額は地域の実情に応じて上乗せ 縮小が可能 ただし 上乗せ部分は本金の対象外 結婚祝い金 ( 現金 ) や金券等の支給 地域優良住宅の家賃低廉化に係る国の支援対象となる部分については対象外 事業の流れ 申請 事業計画 事業計画 夫婦共に婚姻日における年齢が 34 歳以下かつ世帯所得 340 万円未満の新婚世帯 市町村 都道府県 内閣府 資料 : 内閣府資料 78