JHN CQ 天理 嚥下障害と誤嚥への対応.pptx

Similar documents
学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 庄司仁孝 論文審査担当者 主査深山治久副査倉林亨, 鈴木哲也 論文題目 The prognosis of dysphagia patients over 100 years old ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 日本人の平均寿命は世界で最も高い水準であり

頭頚部がん1部[ ].indd

10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4

通常の市中肺炎の原因菌である肺炎球菌やインフルエンザ菌に加えて 誤嚥を考慮して口腔内連鎖球菌 嫌気性菌や腸管内のグラム陰性桿菌を考慮する必要があります また 緑膿菌や MRSA などの耐性菌も高齢者肺炎の患者ではしばしば検出されるため これらの菌をカバーするために広域の抗菌薬による治療が選択されるこ

医療法人高幡会大西病院 日本慢性期医療協会統計 2016 年度

70 頭頸部放射線療法 放射線化学療法

Microsoft Word 栄マネ加算.doc

000-はじめに.indd

高齢化率が上昇する中 認定看護師は患者への直接的な看護だけでなく看護職への指導 看護体制づくりなどのさまざまな場面におけるキーパーソンとして 今後もさらなる活躍が期待されます 高齢者の生活を支える主な分野と所属状況は 以下の通りです 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 脳卒中発症直後から 患者の

Microsoft PowerPoint - 薬物療法専門薬剤師制度_症例サマリー例_HP掲載用.pptx

平成 28 年 10 月 17 日 平成 28 年度の認定看護師教育基準カリキュラムから排尿自立指導料の所定の研修として認めら れることとなりました 平成 28 年度研修生から 排泄自立指導料 算定要件 施設基準を満たすことができます 下部尿路機能障害を有する患者に対して 病棟でのケアや多職種チーム

は減少しています 膠原病による肺病変のなかで 関節リウマチに合併する気道病変としての細気管支炎も DPB と類似した病像を呈するため 鑑別疾患として加えておく必要があります また稀ではありますが 造血幹細胞移植後などに併発する移植後閉塞性細気管支炎も重要な疾患として知っておくといいかと思います 慢性

1)表紙14年v0

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

透析看護の基本知識項目チェック確認確認終了 腎不全の病態と治療方法腎不全腎臓の構造と働き急性腎不全と慢性腎不全の病態腎不全の原疾患の病態慢性腎不全の病期と治療方法血液透析の特色腹膜透析の特色腎不全の特色 透析療法の仕組み血液透析の原理ダイアライザーの種類 適応 選択透析液供給装置の機能透析液の組成抗

2009年8月17日

平成 29 年度九段坂病院病院指標 年齢階級別退院患者数 年代 10 代未満 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 代 80 代 90 代以上 総計 平成 29 年度 ,034 平成 28 年度 -

<30358CC48B7A8AED C838B834D815B8145E4508CB E089C88A772E786477>

rihabili_1213.pdf

日本内科学会雑誌第103巻第8号

saisyuu2-1

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

untitled

5. 死亡 (1) 死因順位の推移 ( 人口 10 万対 ) 順位年次 佐世保市長崎県全国 死因率死因率死因率 24 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 位 26 悪性新生物 350

減量・コース投与期間短縮の基準

95_財団ニュース.indd

リハビリテーションを受けること 以下 リハビリ 理想 病院でも自宅でも 自分が納得できる 期間や時間のリハビリを受けたい 現実: 現実: リ ビリが受けられる期間や時間は制度で リハビリが受けられる期間や時間は制度で 決 決められています いつ どこで どのように いつ どこで どのように リハビリ


抗ヒスタミン薬の比較では 抗ヒスタミン薬は どれが優れているのでしょう? あるいはどの薬が良く効くのでしょうか? 我が国で市販されている主たる第二世代の抗ヒスタミン薬の臨床治験成績に基づき 慢性蕁麻疹に対する投与 2 週間後の効果を比較検討すると いずれの薬剤も高い効果を示し 中でもエピナスチンなら

北海道医療大学歯学部シラバス

3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

TOHOKU UNIVERSITY HOSPITAL 今回はすこし長文です このミニコラムを読んでいただいているみなさんにとって 救命救急センターは 文字どおり 命 を救うところ という印象が強いことと思います もちろん われわれ救急医と看護師は 患者さんの救命を第一に考え どんな絶望の状況でも 他

PowerPoint プレゼンテーション

スライド 1

Part 1 症状が強すぎて所見が取れないめまいをどうするか? 頭部 CT は中枢性めまいの検査に役立つか? 1 めまい診療が難しい理由は? MRI 感度は 50% 未満, さらには診断学が使えないから 3

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

<4D F736F F F696E74202D2091BD968088DD82EB82A4836C F815B834E2892F18F6F A90CE8E528EF58E71>

「             」  説明および同意書

indd

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( / ) 上記外来の名称 ストマ外来 対象となるストーマの種類 コロストーマとウロストーマ 4 大腸がん 腎がん 膀胱がん ストーマ管理 ( 腎ろう, 膀胱ろう含む ) ろう孔管理 (PEG 含む ) 尿失禁の管理 ストーマ外

助成研究演題 - 平成 27 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 改良型 STOPP を用いた戦略的ポリファーマシー解消法 木村丈司神戸大学医学部附属病院薬剤部主任 スライド 1 スライド 2 スライド1, 2 ポリファーマシーは 言葉の意味だけを捉えると 薬の数が多いというところで注目されがちで

2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や

摂食嚥下訓練 排泄訓練等を開始します SCU で行うリハビリテーションの様子 ROM 訓練 ( 左 ) と端坐位訓練 ( 右 ) 急性期リハビリテーションプログラムの実際病棟訓練では 病棟において坐位 起立訓練を行い 坐位耐久性が30 分以上となればリハ訓練室へ移行します 訓練室訓練では訓練室におい

Taro-01 胃がん内視鏡検診手引き

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

研究協力施設における検討例 病理解剖症例 80 代男性 東京逓信病院症例 1 検討の概要ルギローシスとして矛盾しない ( 図 1) 臨床診断 慢性壊死性肺アスペルギルス症 臨床経過概要 30 年前より糖尿病で当院通院 12 年前に狭心症で CABG 施行 2 年前にも肺炎で入院したが 1 年前に慢性

使用上の注意 1. 慎重投与 ( 次の患者には慎重に投与すること ) 1 2X X 重要な基本的注意 1TNF 2TNF TNF 3 X - CT X 4TNFB HBsHBcHBs B B B B 5 6TNF 7 8dsDNA d

地域包括ケア病棟 緩和ケア病棟 これから迎える超高齢社会において需要が高まる 高齢者救急に重点を置き 地域包括ケア病棟と 緩和ケア病棟を開設いたしました! 社会福祉法人 恩賜財団済生会福岡県済生会八幡総合病院

2011 年 11 月 2 日放送 NHCAP の概念 長崎大学病院院長 河野茂 はじめに NHCAP という言葉を 初めて聴いたかたもいらっしゃると思いますが これは Nursing and HealthCare Associated Pneumonia の略で 日本語では 医療 介護関連肺炎 と

適応病名とレセプト病名とのリンクDB

PowerPoint プレゼンテーション

外来在宅化学療法の実際

がん登録実務について

耐性菌届出基準

<4D F736F F D2089BB8A7797C C B B835888E790AC8C7689E6>

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

D961H は AstraZeneca R&D Mӧlndal( スウェーデン ) において開発された オメプラゾールの一方の光学異性体 (S- 体 ) のみを含有するプロトンポンプ阻害剤である ネキシウム (D961H の日本における販売名 ) 錠 20 mg 及び 40 mg は を対象として

A9R284E

3 スライディングスケール法とアルゴリズム法 ( 皮下注射 ) 3-1. はじめに 入院患者の血糖コントロール手順 ( 図 3 1) 入院患者の血糖コントロール手順 DST ラウンドへの依頼 : 各病棟にある AsamaDST ラウンドマニュアルを参照 入院時に高血糖を示す患者に対して 従来はスライ

消化性潰瘍(扉ページ)

針刺し切創発生時の対応

第1回肝炎診療ガイドライン作成委員会議事要旨(案)

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

背部痛などがあげられる 詳細な問診が大切で 臨床症状を確認し 高い確率で病気を診断できる 一方 全く症状を伴わない無症候性血尿では 無症候性顕微鏡的血尿は 放置しても問題のないことが多いが 無症候性肉眼的血尿では 重大な病気である可能性がある 特に 50 歳以上の方の場合は 膀胱がんの可能性があり

2012 年 1 月 25 日放送 歯性感染症における経口抗菌薬療法 東海大学外科学系口腔外科教授金子明寛 今回は歯性感染症における経口抗菌薬療法と題し歯性感染症からの分離菌および薬 剤感受性を元に歯性感染症の第一選択薬についてお話し致します 抗菌化学療法のポイント歯性感染症原因菌は嫌気性菌および好

1508目次.indd

27 年度調査結果 ( 入院部門 ) 表 1 入院されている診療科についてお教えください 度数パーセント有効パーセント累積パーセント 有効 内科 循環器内科 神経内科 緩和ケア内科

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

<4D F736F F F696E74202D202888F38DFC AB38ED28FEE95F182CC8BA4974C82C98AD682B782E B D B2E >

褥瘡発生率 JA 北海道厚生連帯広厚生病院 < 項目解説 > 褥瘡 ( 床ずれ ) は患者さまのQOL( 生活の質 ) を低下させ 結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります そのため 褥瘡予防対策は患者さんに提供されるべき医療の重要な項目の1 つとなっています 褥瘡の治療はしばしば困難

Microsoft Word - todaypdf doc

BA_kanen_QA_zenpan_kani_univers.indd

症例_佐藤先生.indd

経管栄養法

< A815B B83578D E9197BF5F906697C38B40945C F92F18B9F91CC90A72E786C73>

2017 年 2 月 1 日放送 ウイルス性肺炎の現状と治療戦略 国立病院機構沖縄病院統括診療部長比嘉太はじめに肺炎は実地臨床でよく遭遇するコモンディジーズの一つであると同時に 死亡率も高い重要な疾患です 肺炎の原因となる病原体は数多くあり 極めて多様な病態を呈します ウイルス感染症の診断法の進歩に

Transcription:

Clinical Ques.on 2015 年 6 月 15 日 J Hospitalist Network 嚥下障害と誤嚥への対応 天理よろづ相談所病院総合内科作成者シニアレジデント 1 土橋直史監修者シニアレジデント 3 長野広之総合内科石丸裕康 分野 : 栄養テーマ : 鑑別診断 治療

症例 69 歳女性 主訴 発熱 食欲低下 既往歴 パーキンソン病 関節リウマチ 内服歴 MTX6mg L- DOPA500mg 他 現病歴 1 週間前から継続する 37 度台の微熱と食欲低下を主訴に救急外来受診 MTX による汎血球減少と尿路 呼吸器感染症の加療目的に入院

症例経過 汎血球減少は MTX 中止によって また感染症は TAZ/PIPC( ゾシン ) 投与によって改善した 一方 入院時からパーキンソン病による無動 固縮が強く飲食できない状態であったため 経鼻経管栄養を持続している 現時点での嚥下機能の評価と今後の栄養摂取方法を検討することとなった

Clinical Ques.on 1. 嚥下障害の原因とは? 2. 嚥下障害を疑う際の評価とは? 3. 嚥下障害時の対応は? 4. 長期栄養管理はどのように行う?

1. 嚥下障害の原因とは?

嚥下障害の頻度 50 歳以上入院患者介護施設 7 10% 25% 以上 30 40% 何らかの嚥下障害がある!!!! 原因検査が重要!!!! M R SPIEKER et al. Am Fam Physician 2000 Jun 15;61(12):3639-3648

Differen.al Diagnosis of Dysphagia 病歴聴取により原因疾患の 80 85% が特定できる 嚥下前の症状 ( 飲み込みづらさ 咳や鼻腔への逆流 ) 口腔咽頭障害 嚥下後の症状 ( つまる感じ ) 食道障害 冷たい固形と水分で障害 緩徐進行 神経筋疾患 やわらかい固形のみ障害 急性 閉塞性疾患 1)M R SPIEKER et al. Am Fam Physician 2000 Jun 15;61(12):3639-3648

Differen.al Diagnosis of Dysphagia Oropharyngeal 口腔咽頭障害 神経筋疾患 : 脳血管障害 アルツハイマー病 パーキンソン病 ALS 重症筋無力症 皮膚筋炎 閉塞性疾患 : 腫瘍 ツェンカー憩室 頚椎症 頭頸部癌術後 放射線治療後 Esophageal 食道障害 神経筋疾患 : びまん性食道痙攣 ナットクラッカー症候群 強皮症 アカラシア 閉塞性疾患 : 腫瘍 狭窄 ( 消化液 放射線 炎症 ) 異物 縦隔腫瘤 血管による圧迫 M R SPIEKER et al.am Fam Physician 2000 Jun 15;61(12):3639-3648

Differen.al Diagnosis of Dysphagia 50 歳以上 固形でよくつまる 急速に進行 体重減少 食道 噴門部腫瘍 慢性的胸焼け ゆっくり進行 胃食道逆流 アカラシア 嚥下痛 食道炎 口渇感 薬剤 シェーグレン症候群 手術歴 術後狭窄 放射線治療歴 放射線性食道炎 薬歴 抗菌薬 NSAIDs 抗コリン薬 抗ヒスタミン薬 降圧薬 1)M R SPIEKER et al.am Fam Physician 2000 Jun 15;61(12):3639-3648 2) Up To Date Overview of dysphagia in adults

2. 嚥下障害を疑う際の評価とは?

まずはベッドサイドで 可能なスクリーニングテスト 反復嚥下テスト (RSST):30 秒間に何回空嚥下ができるかを評価 改訂水飲みテスト (MWST):3mlの冷水を嚥下させ 5 段階で評価 水飲みテストでは SpO 2 モニターを併用すると感度が上昇する 1) Chong MS et al. Ann Acad Med Singapore 2003;32:790-4. 食物テスト (FT): 茶さじ 1 杯 ( 約 4g) のプリン お粥 液状食品を嚥下させ 5 段階で評価 馬場尊, 才藤栄一. 日獨医報第 46 巻第 1 号 17 25(2001)

反復嚥下テスト (RSST) の評価 30 秒間に 3 回未満の場合にテスト陽性 改訂水飲みテスト (MWST) 食物テスト (FT) の評価 1 点 : 嚥下, むせる and/or 呼吸切迫 2 点 : 嚥下, 呼吸切迫 3 点 : 嚥下, 呼吸良好 むせる and/or 湿性咳嗽 and/or 口腔内残留中等度 4 点 : 嚥下, 呼吸良好 むせなし 口腔内残留ほぼなし 5 点 :4 点の状態で追加空嚥下が 30 秒以内に 2 回可能 3 点以下の場合にテスト陽性 馬場尊, 才藤栄一. 日獨医報第 46 巻第 1 号 17 25(2001) 向井美恵. 摂食 嚥下障害の理解とケア p34 p36 学研メディカル秀潤社

検査の目的 1 病態診断 2 治療反映 検査としては嚥下造影検査 VF 嚥下内視鏡検査 FEES がある VF は口腔咽頭期 食道期まで観察でき 誤嚥の有無や程度を患者や家族に視覚的に提示することができる有用な検査法であるが 時間的 場所的制約や放射線被曝などの問題もある FEES は粘膜や唾液の状態を直視下に評価でき 時間的 場所的制約や放射線被曝がない 嚥下内視鏡検査は異常所見検出率において嚥下造影検査と高率に一致するとの報告もある 日摂食嚥下リハ会誌 17(1):87 99, 2013 Langmore SECurr Opin Otolaryngol Head Neck Surg 2003;11:485-9.

3. 嚥下障害時の対応は

スクリーニング臨床的病態を重症度 で評価 誤嚥なし 誤嚥あり 7 正常範囲 6 軽度問題 5 口腔問題 4 機会誤嚥 3 水分誤嚥 2 食物誤嚥 1 唾液誤嚥 説明 摂食 嚥下問題なし 普通に食事可能 摂食 嚥下に軽度問題あり 食事の工夫が必要 摂食 嚥下に中等度 重度問題あり 経管栄養 不要 不要 不要 間接的訓練 直接的訓練 在宅管理 必要なし必要なし問題なし 適応ありときに適応問題なし 適応あり 誤嚥を認めるが誤嚥 咽頭 残留防止手段にて十分に防止可ときに間欠的経管栄養法併用適応あり能 水分誤嚥を認め 誤嚥 咽頭 残留防止手段では不十分だが とろみなど食物形態効果は十分可能 誤嚥を認め 食物形態効果は不十分 経口摂取は不可能で経管栄養が基本 唾液の誤嚥を認め 最重度 外科的処置も考慮される ときに間欠的経管栄養法 胃瘻併用 長期管理に胃瘻検討 適応あり 適応あり 適応 一般施設や在宅で可能適応 一般施設や在宅で可能 適応 一般施設で可能 適応 専門施設で可能 可能 可能 可能 可能 長期管理に胃瘻検討適応あり困難困難 本症例は 3 水分誤嚥と判断 馬場尊 才藤栄一摂食 嚥下障害の診断と評価日獨医報第 46 巻第 1 号 17 25(2001)

対応 1 食事内容の工夫 開始食 L0 MWST3 点 FT3 点 スタート 嚥下食 ⅠL1 1 食 150kcal 300ml 嚥下食 ⅠL1 2 3 食 300 450kcal 600 900ml MWST4,5 点 FT4/5 点 1 3 日のモニタリング 発熱なし 呼吸機能悪化なし 8 割以上摂取 段階 up 嚥下食 ⅡL2 3 食 1000kcal 1500ml 嚥下食 ⅡL2 2 食嚥下食 ⅢL3 1 食 1200kcal 1700ml 嚥下食 ⅢL3 3 食 1400kcal 2000ml 消化移行食 L4 常食 L5 小山珠美. ビジュアルでわかる早期経口摂取実践ガイド p92 p105 日総研出版向井美恵. 摂食 嚥下障害の理解とケア p92 p95 学研メディカル秀潤社

対応 2 食事方法の工夫 姿勢調整 ( リクライニング位 ): 体幹を後方に傾けることによって食物が咽頭後壁を伝うので誤嚥防止になる 小山珠美. ビジュアルでわかる早期経口摂取実践ガイド p140 p148 日総研出版倉田直美. 内服薬経管投与ハンドブック第 2 版 p79 じほう

対応 3 誤嚥性肺炎の予防 口腔ケア : 口腔ケア施行において肺炎の発症率が低下したとの報告があり 重要性が示唆されている 薬物療法 : 嚥下障害のある高齢者への ACE 阻害薬 脳梗塞の既往がある高齢者へのドパミン作動薬の有効性が報告さえている 本多知行. 医師 歯科医師のための摂食 嚥下障害ハンドブック第 2 版 p170 p173 医歯薬出版

4. 栄養管理はどのように行う?

反発性腹膜炎 腸閉塞 難治性嘔吐下痢 麻痺性イレウスは絶対適応 栄養療法 静脈栄養 腸が機能していない 経腸栄養腸が機能している 経腸栄養 日本静脈経腸栄養学会経静脈経腸栄養ガイドライン第 3 版 経口 経管 経鼻 消化管 第一選択は胃瘻 (PEG)

PEG について メリット デメリット 抜去リスク 介護施設でも管理可 管理が容易 心理的抵抗感 本人 家族 外から見えない 審美的利点 合併症 出血 皮膚障害 本多知行. 医師 歯科医師のための摂食 嚥下障害ハンドブック第 2 版 p196 p199 医歯薬出版

PEG のエビデンスとガイドライン 急性期での胃瘻増設は経鼻経管栄養と比較して予後を改善しないとの報告がある 1) 一方で 1 ヶ月程度経過からの PEG 造設群では 経鼻栄養群より栄養状態 生命予後良好との報告もある 2) 1)M S Dennis et al.lancet.2005 Feb 26 Mar4;365(9461):764 72. 2)Park RH et al.bmj 1992;304:1406 9 いくつかのガイドラインでは 1 ヶ月以上経口摂取が困難な場合に胃瘻造設を推奨しているものもある 3)4) 3) 日本耳鼻咽喉科学会嚥下障害診療ガイドライン 2012 年版 4) 日本脳卒中学会脳卒中治療ガイドライン 2009 年版 認知症患者の胃瘻を含めた AHN( 人工栄養 水分補給 ) の適応に関しては議論の余地がある 5) 5) 日本老年医学会誌 2012;49:126 129

症例経過 嚥下前の飲み込みづらさと既往歴から他の疾患を除外し パーキンソン病による嚥下障害と診断された MWST3 点で嚥下障害が疑われ FEES では誤嚥しかける像が認められた 食事訓練を開始したが 経口での食事摂取量はわずかであった 進行性の疾患であるため長期栄養管理を考慮して PEG を造設 その後療養病棟に転院となった

Take Home Message 嚥下障害の原因検索には問診が重要である 嚥下機能の評価にスクリーニングが有用である 胃瘻は長期栄養管理に有用であるが適応は悩ましい