ⅱ カフェイン カテキン混合溶液投与実験方法 1 マウスを茶抽出液 2g 3g 4g 相当分の3つの実験群と対照群にわける 各群のマウスは 6 匹ずつとし 合計 24 匹を使用 2 実験前 8 時間絶食させる 3 各マウスの血糖値の初期値を計測する 4 それぞれ茶抽出液 2g 3g 4g 分のカフェ

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ⅱ カフェイン カテキン混合溶液投与実験方法 1 マウスを茶抽出液 2g 3g 4g 相当分の3つの実験群と対照群にわける 各群のマウスは 6 匹ずつとし 合計 24 匹を使用 2 実験前 8 時間絶食させる 3 各マウスの血糖値の初期値を計測する 4 それぞれ茶抽出液 2g 3g 4g 分のカフェイン カテキンを計り 0.9% 生理食塩水に溶かす ( 表 1) 5 マウスの背中に皮下注射で溶液の投与を行う 対照実験用の個体には0.9% 生理食塩水を皮下注射する 確実に一定量を投与するために皮下注射とした 6 短期実験では注射後 20 分毎に80 分後まで各個体の血糖値を測る 7 長期実験では5 日間 毎日同時刻に各個体の血糖値を測る 溶液の注射量はカフェイン カテキン混合溶液 生理食塩水の双方とも各個体 1gに対し0.02mlとした これは一昨年の実験で得られた適正値に基づく 表 1 茶抽出液におけるカフェイン カテキン濃度 茶の質量 2g 3g 4g カフェイン濃度 359ppm 539ppm 719ppm カテキン濃度 140ppm 180ppm 250ppm 4. 結果 ⅰ 短期実験 :20 分毎の短期的影響各群 6 匹ずつの短期実験の血糖値の平均値を表 2に示す 表 2 各群の初期値および20 分毎の血糖値の平均値 初期値 20 分 40 分 60 分 80 分 生理食塩水 110.5 118.0 143.0 120.5 129.5 2g 分混合液 99,0 126.3 131.8 131.8 132.8 3g 分混合液 90.5 88.3 75.7 88.0 74.5 4g 分混合液 125.7 89.5 96.0 80.2 87,3 各群 n=6 [ 単位 mg / dl ] 各群の変化を対照群と比較するために 各群の初期値を0として それらを基準にした血糖値の増減を出し 出た各群の値から対照群の血糖値を引いた その結果をグラフ1に示す グラフ2から4は昨年 一昨年の結果である 98

グラフ1 カフェイン カテキン混合溶液投与による各群の値から対照群の値を引いた値 ( 一昨年のデータ ) グラフ 2 茶投与による各群の値から対照群の値を引いた値 グラフ3 カテキン投与による各群の値から対照群の値を引いた値 ( 昨年のデータ ) グラフ 4 カフェイン投与による各群の値から対照群の値を引いた値 ( 昨年のデータ ) 2g 投与群では多少血糖値の増加傾向が見られた 3g 4g 投与群では血糖値減少が見られ 濃度が高い4gでは顕著に減少傾向が認められた ⅱ 長期実験 :24 時間毎の長期的影響各群 6 匹ずつの長期実験の血糖値の平均値を表 3に示す 表 3 各群の初期値および24 時間毎の血糖値の平均値 初期値 2 日目 3 日目 4 日目 5 日目 生理食塩水 110.5 116.0 129.5 101.2 109.3 2g 分混合液 99.0 101.8 108.7 40.5 109.2 3g 分混合液 90.5 119.0 136.2 139.2 90.8 4g 分混合液 125.7 120.3 137.5 111.7 131.0 各群 n=6 [ 単位 mg / dl ] 各群の変化を対照群と比較するために 各群の初期値を0として それらを基準にした血糖値の増減を出し 出た各群の値から対照群の血糖値を引いた その結果をグラフ5に示す グラフ6から8は昨年 一昨年の結果である 99

グラフ5 カフェイン カテキン混合溶液投与による各群の値から対照群の値を引いた値 ( 一昨年のデータ ) グラフ 6 茶投与による各群の値から対照群の値を引いた値 グラフ7 カテキン投与による各群の値から対照群の値を引いた値 ( 昨年のデータ グラフ 8 カフェイン投与による各群の値から対照群の値を引いた値 ( 昨年のデータ ) 茶投与実験と比べると 血糖値減少の傾向は見られなかった 3g 投与群では増加傾向が見られた 5. 考察 ⅰ 短期実験 :20 分毎の短期的影響の考察一昨年の茶を投与したことにより得られたデータ ( グラフ2) 昨年のカテキン カフェインをそれぞれ単独投与して得たデータ ( グラフ3,4) 今回カテキン カフェイン混合溶液を投与して得たデータ ( グラフ1) を比較した カフェイン単独投与によって得られたデータのカフェイン2g 部分と2g 分カフェイン カテキン混合溶液を比較すると グラフが共に血糖値上昇で似通っていることに気づいた これにより 短期の2g 分カフェイン カテキン混合溶液はカフェインの働きがより強く出ていることが分かった ただし 3g 4g 分についてはどのグラフとも一致しないので カテキンとカフェインの相乗効果が出ているのではないかと考えられる 3g 4gともに血糖値の減少が見られることから 短期的実験においてはカフェインとカテキ 100

ンの混合溶液が血糖値を下げることがわかる 単独投与ではそれぞれ血糖値を上昇させる傾向が見られたのに混合溶液では血糖値を減少させているので それはカフェインとカテキンの相互作用によるものだと考えることが出来る ⅱ 長期実験 :24 時間毎の長期的影響の考察短期実験と同様 一昨年のデータ ( グラフ6) 昨年のデータ( グラフ7 8) と今回のデータ ( グラフ5) を比較した 4gについてはカテキン カフェインの単独投与のグラフに比べて減少傾向にある これはカフェインとカテキンの相乗効果によるものだと考えられる カフェイン カテキン混合溶液を投与した結果で 茶を投与したときの結果と比べて減少の幅が小さくなるのは 茶を投与したときには茶に含まれる他の成分がカフェインとカテキンの働きを助長しているためだと考えられる また 3g 分カフェイン カテキン混合溶液については 茶のグラフと正反対とも取れる結果が出ていることに対しては 茶 3g 分のときに最もよく働く物質が関連しているのではないかと推測した 2gについては 4 日目に大きく減少している これは 絶食期間を他の日よりも多くとってしまったためこのような結果になったと考えられる 4 日目以外に着目してみると茶を投与したときと比べて減少が少ない これも3 4gと同様に茶に含まれるほかの成分が働いたためだと推測した 2g 3g 投与群がカテキンの結果と似ているのは カフェインの作用は長期間持続しないと言われているので カテキンの影響のみが表れたためと考えることができる 6. まとめ長期実験において茶のグラフを見てみると 全ての濃度で血糖値減少がカフェイン カテキン混合溶液投与のときよりも著しくなっていることから カフェイン カテキン以外の物質が作用していると考えられるため 上記のような推測が立てられる 3gのときが最も著しいのは その物質の血糖値減少に適する濃度が3gのときであるからだと推測する ただし ネズミや他の小動物は体内でビタミンCをブドウ糖から生成することが出来るため その物質はビタミン類ではないと分かった ただし短期実験においては血糖値を減少させているのはカフェインとカテキンの相互作用によるものだと考えられるので 仮説が検証されたといえる さらに 短期実験でのみにそれが表れたので カフェインとカテキンは効果が早く出る つまり即効性があるのではないかと推測される さらに 高濃度で顕著に表れると考えられる 7. 今後の課題他に血糖値をコントロールする物質として考えられるのは 血糖値上昇抑制効果がある成分として 複合多糖 があげられる これをカフェイン カテキンと組み合わせてみたり 単独投与を行ってみたりすることによって血糖値の変化を探りたい 101