実践 報告書テンプレート

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研究課題 副題 音楽科における ICT を活用した授業の効果に関する研究 ~ タブレット PC や電子黒板を利用した授業の展開の工夫 ~ 学校名 所在地 鹿児島音楽教育 ICT 研究グループ 鹿児島県鹿児島市上福元町 研究の背景音楽科教員は他教科に比べ,ICT

平成 30 年 6 月 8 日 ( 金 ) 第 5 校時 尾道市立日比崎小学校第 4 学年 2 組外国語活動 指導者 HRT 東森 千晶 JTE 片山 奈弥津 単元名 好きな曜日は何かな? ~I like Mondays.~ 本単元で育成する資質 能力 コミュニケーション能力 主体性 本時のポイント

Taro-12事例08.jtd

教育 学びのイノベーション事業 ( 平成 23~25 年度 ) 総務省と連携し 一人一台の情報端末や電子黒板 無線 LAN 等が整備された環境の下で 教科指導や特別支援教育において ICT を効果的に活用して 子供たちが主体的に学習する 新たな学び を創造する実証研究を実施 小学校 (10 校 )

彩の国埼玉県 埼玉県のマスコット コバトン 科学的な見方や考え方を養う理科の授業 小学校理科の観察 実験で大切なことは? 県立総合教育センターでの 学校間の接続に関する調査研究 の意識調査では 埼玉県内の児童生徒の多くは 理科が好きな理由として 観察 実験などの活動があること を一番にあげています

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

Taro-小学校第5学年国語科「ゆる

第 1 学年音楽科 1 音楽を学ぶ意義 目的 何のために学ぶのか 表現及び鑑賞の幅広い活動を通して, 音楽を愛好するとともに, 音楽活動の基礎的な能力を伸ばし, 音楽文化についての理解を深め, 広く音楽に親しむ 2 学習到達目標 この 1 年間を通して どのような力をつけていくのか 音楽活動の楽しさ

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

平成 30 年度なごや小学校努力点推進計画 1 研究主題なかまとともに感性輝くなごやっ子 (1 年次 ) 2 研究主題について本校では 昨年度までの努力点研究において 道徳や特別活動の時間を中心に 子ども一人一人の成長と互いの認め合いをめざすことで 子ども自らが なごや小でよかった と感じられるよう

平成 21 年度全国学力 学習状況調査結果の概要と分析及び改善計画 調査実施期日 平成 21 年 10 月 2 日 ( 金 ) 教務部 平成 21 年 4 月 21 日 ( 火 )AM8:50~11:50 調査実施学級数等 三次市立十日市小学校第 6 学年い ろ は に組 (95 名 ) 教科に関す

平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

ICTを軸にした小中連携

「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

教育調査 ( 教職員用 ) 1 教育計画の作成にあたって 教職員でよく話し合っていますか 度数 相対度数 (%) 累積度数累積相対度数 (%) はい どちらかといえばはい どちらかといえばいいえ いいえ 0

エコポリスセンターとの打合せ内容 2007

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「標準的な研修プログラム《

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の間で動いています 今年度は特に中学校の数学 A 区分 ( 知識 に関する問題 ) の平均正答率が全 国の平均正答率より 2.4 ポイント上回り 高い正答率となっています <H9 年度からの平均正答率の経年変化を表すグラフ > * 平成 22 年度は抽出調査のためデータがありません 平


7 題材の評価規準ア音楽への関心 意欲 態度 イ音楽的な感受や表現の工夫 ウ表現の技能 エ鑑賞の能力 題 材 の 評 価 規 準 日本の伝統的な音楽や和楽器に興味 関心をもち, 聴いたり表現したりする学習に, 主体的に取り組もうとしている 日本の旋律の特徴や歌詞の情景を感じとり, それらを生かした表

41 仲間との学び合い を通した クラス全員が学習に参加できる 授業づくり自分の考えを伝え 友達の考えを聞くことができる子どもの育成 42 ~ペア グループ学習を通して~ 体育における 主体的 対話的で深い学び を実現する授業づくり 43 ~ 子どもたちが意欲をもって取り組める場の設定の工夫 ~ 4

1 ねらい教科指導における ICT の活用は 学習内容を分かりやすく説明したり 子どもたちの学習への興味関心を高めたりすることに有効である 本研究では 次のような 学力の 3 要素 の向上を目指し ICT を活用した授業の工夫と改善に取り組む 基礎的 基本的な知識 技能の習得 これらを活用して課題を

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筝で社会に貢献しよう !

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平成25~27年度間

4 題材の目標 (1) 歌詞の内容や曲想に関心をもち 音楽表現を工夫して歌う学習に主体的に取り組む ( 音楽への関心 意欲 態度 ) (2) 声部の役割や全体の響きを感じ取って音楽表現を工夫し どのように合わせて歌うかについて思いや意図をもっている ( 音楽表現の創意工夫 ) (3) 歌詞の内容や曲

目 次 1 学力調査の概要 1 2 内容別調査結果の概要 (1) 内容別正答率 2 (2) 分類 区分別正答率 小学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 3 小学校算数 A( 知識 ) 算数 B( 活用 ) 5 中学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 7 中学校数学 A( 知識 )

作品の情景をよりわかりやすく伝える手だてともなる 指導にあたって 1 では まず 俳句は17 音で作ることや季語を入れることと言ったきまりをおさえる そして 教科書の例を読み 想像した情景や作者の思いを想像し 良いと思うところ 工夫されていると思うところを発表できるようにする 2 の俳句を作る場面で

少ない生徒たちに, 本題材を通して, 尺八の音色に親しみ, 様々な奏法による音色の変化を感じ取り, 尺八の魅力を味わわせたい 一方, 尺八の表現活動においては, 塩ビ尺八 を使用し, 実際に尺八の音出しの難しさを体験させ, 練習を重ね音が出た時の喜びと, 夕焼け小焼け 等の簡単な旋律が吹けるようにな

今年度は 創立 125 周年 です 平成 29 年度 12 月号杉並区立杉並第三小学校 杉並区高円寺南 TEL FAX 杉三小の子

今年度の校内研究について.HP

3. ➀ 1 1 ➁ 2 ➀ ➁ /

(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

【資料3-2-6】論点に関する参考資料

p.1~2◇◇Ⅰ調査の概要、Ⅱ公表について、Ⅲ_1教科に対する調査の結果_0821_2改訂

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単元構造図の簡素化とその活用 ~ 九州体育 保健体育ネットワーク研究会 2016 ファイナル in 福岡 ~ 佐賀県伊万里市立伊万里中学校教頭福井宏和 1 はじめに伊万里市立伊万里中学校は, 平成 20 年度から平成 22 年度までの3 年間, 文部科学省 国立教育政策研究所 学力の把握に関する研究

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

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実践 報告書テンプレート

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

フトを用いて 質問項目間の相関関係に着目し 分析することにした 2 研究目的 全国学力 学習状況調査結果の分析を通して 本県の児童生徒の国語及び算数 数学の学習 に対する関心 意欲の傾向を考察する 3 研究方法平成 25 年度全国学力 学習状況調査の児童生徒質問紙のうち 国語及び算数 数学の学習に対

平成 30 年度全国学力 学習状況調査の結果について ( 速報 ) 1. 調査の概要 実施日平成 30 年 4 月 17 日 ( 火 ) 調査内容 1 教科に関する調査 ( 国語 A 国語 B 算数 数学 A 算数 数学 B 理科 (3 年に 1 回 )) A 問題 : 主として知識に関する問題 B

2 研究の歩みから 本校では平成 4 年度より道徳教育の研究を学校経営の基盤にすえ, 継続的に研究を進めてきた しかし, 児童を取り巻く社会状況の変化や, 規範意識の低下, 生命を尊重する心情を育てる必要 性などから, 自己の生き方を見つめ, 他者との関わりを深めながらたくましく生きる児童を育てる

7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

具体的な場面を設定し 実際に整理 整頓の計画を立てることで 実生活に繋げていくことができる よう指導していきたい また 第 3 次には環境とのかかわりについても押さえ 広い視野で考えられ るようにしていきたい 3 題材の目標 身の回りの整理 整頓に関心をもち 気持ちよく過ごそうとする 家庭生活への関

H26関ブロ美術プレ大会学習指導案(完成版)

Taro-6学習指導案(事例①小学校

解答類型

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知識・技能を活用して、考えさせる授業モデルの研究

Microsoft Word - 全国調査分析(H30算数)

H26研究レポート一覧(6年研)変更2017.3.22

領域別正答率 Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz んんんんんんんんんんんんん 小学校 中学校ともに 国語 A B 算数( 数学 )A B のほとんどの領域において 奈良県 全国を上回っています 小学校国語 書く B において 奈良県 全国を大きく上回っています しかし 質問紙調査では 自分

実践例の特徴 傾向分析 本誌の作成にあたり, 北村山地区内の小 中学校の多くの先生方からご協力をいただき, 小学校から8 事例, 中学校から14 事例, 合計 22の実践事例を掲載することができた それらの実践事例について, 北村山視聴覚教育センター学校教育専門部会で実践事例の特徴と傾向の分析を行っ

< 児童のアンケートより > 音楽の学習について 好きな領域 鑑賞器楽歌唱 好きな領域 (3) 指導観本題材の流れのように 楽曲に出会う 楽曲を理解する 自分なりに感じる めあてに向かって鑑賞 表現するという一連の活動は 自分の思いと友達の感じ方や思いを共感したり 比較したりすること

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学習意欲の向上 学習習慣の確立 改訂の趣旨 今回の学習指導要領改訂に当たって 基本的な考え方の一つに学習 意欲の向上 学習習慣の確立が明示された これは 教育基本法第 6 条第 2 項 あるいは学校教育法第 30 条第 2 項の条文にある 自ら進んで学習する意欲の重視にかかわる文言を受けるものである

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平成20年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果(概要)

17 石川県 事業計画書

H30全国HP

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北九州市学力向上ステップアップ事業第Ⅱ期推進指定校 実施計画

市中学校の状況及び体力向上策 ( 学校数 : 校 生徒数 :13,836 名 ) を とした時の数値 (T 得点 ) をレーダーチャートで表示 [ ] [ ] ハンドボール ハンドボール投げ投げ H29 市中学校 H29 m 走 m 走 表中の 網掛け 数値は 平均と同等または上回っているもの 付き

010国語の観点

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歌詞の表す様子や気持ちを想像して, 歌い方を工夫することができるようにする 本題材で位置付ける 共通事項 共通事項 本題材における学習内容 ( ア ) 曲の構成鑑賞曲 人形のゆめとめざめ から感じる場面や様子の変化は, 曲の構成や拍子の変化によることを知る 強弱速度歌唱曲 海とおひさま の歌詞は,

詳細に伝えるためにインタビューやアンケートを実施して情報を収集したりする活動を設定することにする 整理する 場面では,CM のテーマをもとに集めた情報の中から伝えたいことが受け手にしっかりと伝えることができる情報を選択する また, 選択肢した情報を加工しながら, 伝えたいことが伝わりやすい CM の

(2) 学習指導要領の領域別の平均正答率 1 小学校国語 A (%) 学習指導要領の領域 領 域 話すこと 聞くこと 66.6(69.2) 77.0(79.2) 書くこと 61.8(60.6) 69.3(72.8) 読むこと 69.9(70.2) 77.4(78.5) 伝統的な言語文化等 78.3(

愛媛県学力向上5か年計画

ホームページ掲載資料 平成 30 年度 全国学力 学習状況調査結果 ( 上尾市立小 中学校概要 ) 平成 30 年 4 月 17 日実施 上尾市教育委員会

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調査結果の概要

24 京都教育大学教育実践研究紀要 第17号 内容 発達段階に応じてどのように充実を図るかが重要であるとされ CAN-DOの形で指標形式が示されてい る そこでは ヨーロッパ言語共通参照枠 CEFR の日本版であるCEFR-Jを参考に 系統だった指導と学習 評価 筆記テストのみならず スピーチ イン

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インターネット白書2002

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小学生の英語学習に関する調査

北九州市学力向上ステップアップ事業第Ⅱ期推進指定校 実施計画

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解禁日時新聞平成 30 年 8 月 1 日朝刊テレビ ラジオ インターネット平成 30 年 7 月 31 日午後 5 時以降 報道資料 年月日 平成 30 年 7 月 31 日 ( 火 ) 担当課 学校教育課 担当者 義務教育係 垣内 宏志 富倉 勇 TEL 直通 内線 5

第○学年 ○○科指導計画

文教_H1_H4

実践 報告書テンプレート

難聴児童の伝える力を 高めるための指導の工夫 -iPadを活用した取り組みを通して-

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をゆさぶる 視点の切り替え を授業に仕組むことであり その際 タブレット PC や書画カメラ 電子黒板などを活用する しかしながら 教育の情報化に関する実態等の調査 ( 守山市 2015) によると 1 教材研究 指導の準備 評価などに ICT を活用する能力 2 授業中に ICT を活用して指導す

英語科学習指導案 京都教育大学附属桃山中学校 指導者 : 津田優子 1. 指導日時平成 30 年 2 月 2 日 ( 金 ) 公開授業 Ⅱ(10:45~11:35) 2. 指導学級 ( 場所 ) 第 2 学年 3 組 ( 男子 20 名女子 17 名計 37 名 ) 3. 場所京都教育大学附属桃山中

資料5 親の会が主体となって構築した発達障害児のための教材・教具データベース

児童の実態に応じた取り組みであり, 学ぶ意欲や思考力を高める上からも意義深い (4) これまでの研究の経過から本校は平成 23 年度から, 算数科を研究領域とした研究に取り組み, 子どもの主体的な学びと算数的活動を重視した学び合いを通して, わかる できる 喜びを味わう子どもの育成に取り組んできた

Water Sunshine

表 2 家庭にミシンがあり, 家族 ( 自分を含む ) が使用している 37% 家庭にミシンはあるが, ほとんど使用していない 26% 家庭にミシンがない 37% 指導観 1 年生にとって, 中学校に入学して初めての被服製作題材である 小学校の家庭科でも布を用いた製作を行ってきているが, 授業後,

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研究課題 副題 音楽科におけるタブレット PC やデジタル教科書等を活用した 授業事例集 の開発 ~ 日常的な ICT 活用による授業の改善 ~ キーワード 学校名 所在地 ホームページアドレス 指導者用デジタル教科書, 音楽科,ICT 活用 氷見市立宮田小学校 935-0034 富山県氷見市島尾 258 番地 http://www.city.himi.toyama.jp/~60080/ 1. 研究の背景本校は, 平成 26 27 年度, 県から音楽科の研究指定を受けた そして, 豊かに関わりながら 音楽のよさ を感じ取り, 主体的に表現していく子供の育成を目指して という研修主題を掲げ, 具体的な授業研究を通して, 全校体制で研究に取り組んできた 平成 26 年度末の課題の一つとして, 学校に整備されたタブレット PC や電子黒板を活用した授業があげられた 音楽科の目標は 表現及び鑑賞の活動を通して, 音楽を愛好する心情と音楽に対する感性を育てるとともに, 音楽活動の基礎的な能力を培い, 豊かな情操を養う である 豊かな情操を養う ためには, 音楽を愛好する心情と音楽に対する感性, 音楽活動の基礎的な能力が互いに関わり合い, 常に一体となって育むことが重要である そして, 児童が楽しく, 主体的に音楽活動に取り組み, 音楽的感受性を身に付け, 生涯にわたって音楽を愛好するための素地となる諸能力を確実に身に付ける必要がある そのために, 興味 関心を高めること, リズムや音の重なりなど音楽表現を工夫すること, 視覚に訴え, 繰り返し練習して技能を身に付ること, 鑑賞することに ICT の活用が有効なのではないかと考えた これまでにも音楽科において ICT の活用はされてきた 教育の情表 1 音楽科における ICT 活用の分類報化に関する手引 ( 平成 21 年 3 月, 文部科学省 ) などを参考に音楽科における ICT 活用を整理すると表 1のようになった それぞれの目的に応じて, 教師や児童 生徒の活用がみられるが, パソコンや実物投影機を使ったものが多く, 授業例も少ない 学びのイノベーション実証研究報告書 ( 平成 26 年 4 月, 文部科学省 ) では, これから広まるであろう ICT を活用したモデルの授業が紹介されている しかし, 小学校の音楽科の実践は, 紹介されていない そこで, 音楽科においてタブレット PC やデジタル教科書を使った実践を数多く行い, それを集めた 授業事例集 を開発すれば, 多くの学校, 音楽科の授業で役立つはずである 本校で活用したい ICT の一つが, デジタル教科書である 音楽科のデジタル教科書があれば, 音や映像の視聴, 楽譜などの拡大などその効果は大きいと考えられる 本市が採用している小学校音楽科の教科書に平成 27 年度, 初めてデジタル教科書が登場する これを使った授業実践は皆無であり, 多くの学校で求められているものである もう一つは, タブレット PC である しかし, 本校のものは数が少なく, 有線での接続

のため, 持ち運びが不便である そこで, グループに一台くらいの無線で接続ができるタブレット PC があ れば, よりダイナミックな実践が可能になると予想する 2. 研究の目的小学校音楽科において ICT 活用が効果的だった授業場面を収集 分類し, 授業事例集 を開発し, その特徴と効果を明らかにする 3. 研究の方法小学校音楽科において ICT 活用が効果的だった授業場面を集め, 授業事例集 を開発する そして, 次の 2 つから小学校音楽科における ICT 活用の特徴と効果を検討した (1) 集まった授業事例の整理 分類と特徴の検討 (2) 教員へのアンケートによる ICT 活用の効果の検討 (3) 児童の能力や意欲の変容 4. 研究の内容 経過本校は 1~6 年生 (10 学級 ) である また, 整備してある ICT は, 指導者用デジタル教科書 (1 年 ~6 年 ), 電子黒板 ( 各学年 1 台 ), タブレット PC(6 台 ), プロジェクタ 実物投影機 ( 各教室 1 台 ) である 平成 27 年の 4~7 月において, 音楽科の授業で ICT を活用した授業者が効果的だと判断した場面について, 様式にしたがって報告を求めた ( 図 1) 事例には, 負担のないように大きさは A5 とし, 内容は以下のものとした タイトル 学年と領域 題材名, 活用した ICT 写真と活用場面, 児童の様子 (1) 集まった授業事例の整理 分類と特徴の検討その結果,54 事例が報告された ( 表 2) 図 1 ICT 活用事例すべての学年で事例があることから, どの学年でも ICT 活用の効果を実感していることがうかがえる 表 2 学年別事例数 ( 件 ) 次に, 活用された ICT の件数を図 2に示す その結果, 指導者用デジタル教科書の活用が多かった 教員へのアンケートからは, デジタル教科書は, 電子黒板ですぐに使えるのが最大の理由であった 一方でタブレット PC については, 教師や児童が慣れていないことが最大の使われない理由であった 実物投影機については, 児童のワークシートなどを映すことはあったが, 準備に手間がかかるため, あまり使われなかった その指導者用デジタル教科書での活用された機能を図 3に示す 一番多かったのが, 歌や器楽の演奏機能であった この機能では, 実際に演奏し図 2 ICT 別事例数

ているところの色が変わるので, どこを演奏しているのかが一目で分かる また, 鍵盤楽器やリコーダーなど指で押さえるところや階名が表示されるので, 特に演奏が苦手な子供にとって効果が高いと認められた 次に多かったのは, 拡大機能であった 今日の学習課題や挿絵を大きく映す事例が多く見られた 動画機能では, 教師がなかなか実演できない正しい歌唱の姿勢や図 3 機能別事例数楽器の正しい奏法などの活用が多かった 例示機能は, 音楽作りなど学習活動のやり方を例示するものである 子供たちは見通しをもって取り組むことができる 録音機能は, タブレット PC などを使って, 自分たちの演奏を撮影し, 見直すことで学習を進めるものである 演奏や動画といった機能は, 音楽ならではの教師を支援するものであり, 拡大は, 他の教科と同じく子供たちを集中させ, 学習に参加させる機能であると考える 次に教員によって使う機能が違うのか検討してみた 2 年生担任の A 教諭は, 音楽が専門ではないベテランである 3 年生担任の B 教諭は, 音楽が専門の若手である その二人の機能別事例数を図 4 に示す これを見ると A 教諭の方がより ICT が効果的だったと感じており, 最も多かったのは, 拡大 の機能であった このことから, 音楽科における ICT は, 音楽が専門ではない教員により有効で, その多くは他の教科でも使われる 拡大 であることがうかがえた 図 4 機能別事例数 (2 年,3 年 ) また, 集まった事例の記述から ICT 活用の効果に関する記述を集約した 子供たちは, 前を見て集中して取り組んだ 子供たちが, 学習内容を短時間で把握した 教師の板書やカード作成の手間が省かれた

(2) 教員へのアンケートによる ICT 活用の効果の検討本校の教員に ICT を活用した音楽科授業の効果について尋ねた 回答は, 以下の6 項目から複数選択可で行った (N=10) その結果は, 次の通りである 教師の説明や指示が分かりやすくなる(10 人 ) 子供たちが意欲的に取り組む(8 人 ) 子供たちの顔が上がる(8 人 ) 子供たちが集中する(8 人 ) 授業の無駄な時間が短縮する(4 人 ) 学びのイノベーション実証研究報告書 などによると ICT 活用の効果として, 子供たちの学習に対する興味 関心を喚起し, 意欲的に学習に取り組んだ 知識や理解の定着を図ることができた 短い時間で具体的に学習内容を理解し, 考えを深めることができた などが挙げられている こういった効果と概ね同様の効果が本研究でも見られた (3) 児童の能力や意欲の変容 1 児童の音楽能力の変容児童の音楽能力を測定するために,5 年生に 音楽能力調査 (TOSS 音楽事務局 ) を 2 回 (5 月と 2 月 ) 行った その結果, 全体の平均の通過率は,62.8% 71.8% と 9% の向上が見られた 特に向上が見られたのは, 次の6つである ふしの終わり方の問題 73% 84%(+11%) ふしのまとまりを聞き取る問題 75% 93%(+18%) ふしの感じを聞き取る問題 50% 79%(+29%) 和音の種類を聞き取る問題 33% 43%(+10%) 強弱を聞き取る問題 52% 81%(+29%) ふしの繰り返しを聞き取る問題 77% 86%(+9%) これらのすべてが ICT によるものではないが, 児童の音楽の能力には, ある程度の向上がみられた 2 児童のアンケート結果から児童に音楽に関するアンケートを行った その結果, わずかながら 音楽を好き や 演奏をすることが好き という気持ちに変化が見られた 音楽が好きですか という質問に関しては, 好き と答えた子供の割合が7% 上がった どちらかというと好き だと感じていた子供たちが,1 年間の音楽活動を通して, 音楽が好きだと実感できたようである しかし, 音楽に苦手意識をもつ子供の割合は変わっていなかった つまり, 音楽に苦手意識が

ある子供にとっても, 音楽が楽しい と思えるような活動が不足していたことが分かる 3 学期以降は, 音楽に対する苦手意識を克服できるような, 新たな手立てを考える必要がある 5. 研究の成果小学校音楽科における効果があった ICT 活用の授業事例集を作成することができた そして, 事例集には次の特徴が見られた 主に活用した ICT は指導者用デジタル教科書だった 指導者用デジタル教科書では, 演奏, 拡大, 動画の機能が多く使われていた このような ICT 活用の特徴は, どの学年においても実感されていた また,ICT 活用の効果として, 教師の説明や指示が分かりやすくなる 子どもたちが集中し, 意欲的に取り組む などは, ほとんどの教員が実感しており, 他の教科でこれまで報告されている効果と概ね同様であった ICT を活用した授業を日常的に実践することで, 児童の音楽能力に高まりが見られた また, 音楽が好き と答える児童の割合も増えた 6. 今後の課題 展望今回は, 音楽科における 指導事例集 を開発, 作成することができた その中のほとんどは 指導者用デジタル教科書 が中心であった 一方で タブレット PC の方はそれほど事例は集まらなかった 教師や子供たちの意識の差なのか, もしくは, 台数の問題なのか, 本校の現段階では, 日常的に学習の中に組み込むまでは達成していない しかしながら, 世の中は新学習指導要領に向けて, アクティブラーニングなどのより児童が能動的に取り組む学習が求められている タブレット PC の活用も含めて, 児童がより能動的に取り組むような学習を今後も追究していきたい 7. おわりに今回, 研究助成を受けたことで, 音楽科においても教員が日常的に ICT を活用するようになり, 学校全体の情報化が進んだ 子供たちが集中して, 楽しそうに学習に取り組む姿は, 教師としても大きな喜びであった 今後も研究の歩みをとめず, 前に進んでいきたい < 参考文献 > 教育の情報化に関する手引 ( 文部科学省 2009) 学びのイノベーション実証研究報告書 ( 文部科学省 2014)