事業経営に関する報告 決算書等でみる減価償却費とは テーマ 決算書等でみる減価償却費とは テーマ 決算書等でみる減価償却費とは 一財 和歌山社会経済研究所 研究員 林 秀 訓 決算申告書等でよく計上されている 減価償却費 という勘定科目ですが 意外と中 決算申告書等でよく計上されている 減価償却費 という勘定科目ですが 意外と中 身について疑問に思う方も多いのではないでしょうか 建物や機械等の設備関連の勘 身について疑問に思う方も多いのではないでしょうか 建物や機械等の設備関連の勘 決算申告書等でよく計上されている 減価償却 を作成する場合に 非現金項目として 加算修正 定科目であることは理解されていても 他の勘定科目と違い年度末に定額法や定率法と 定科目であることは理解されていても 他の勘定科目と違い年度末に定額法や定率法と 費 という勘定科目ですが 意外と中身について するなど特殊な勘定科目といったイメージがある いった特殊な手続きを行う見慣れない勘定科目 またはキャッシュフロー計算書を作成 いった特殊な手続きを行う見慣れない勘定科目 またはキャッシュフロー計算書を作成 疑問に思う方も多いのではないでしょうか 建 と思います そこで 今回はその減価償却費の計 する場合に 非現金項目として 加算修正 するなど特殊な勘定科目といったイメージ する場合に 非現金項目として 加算修正 するなど特殊な勘定科目といったイメージ 物や機械等の設備関連の勘定科目であることは理 上を行う 減価償却 という会計手続きがなぜ必要 があると思います そこで 今回はその減価償却費の計上を行う 減価償却 という会 があると思います そこで 今回はその減価償却費の計上を行う 減価償却 という会 解されていても 他の勘定科目と違い年度末に定 か どうして他の手続きとは違った特徴を持つの 計手続きがなぜ必要か どうして他の手続きとは違った特徴を持つのかを会計的に説明 計手続きがなぜ必要か どうして他の手続きとは違った特徴を持つのかを会計的に説明 額法や定率法といった特殊な手続きを行う見慣れ かを会計的に説明したいと思います 一般的な仕 したいと思います 一般的な仕訳例は以下の通りです したいと思います 一般的な仕訳例は以下の通りです ない勘定科目 またはキャッシュフロー計算書 訳例は以下の通りです 年4月(期首 年4月(期首 年3月末 期末 年3月末 期末 機械設備 100万円を購入 機械設備 100万円を購入 機械 100万 現金 100万 機械 100万 現金 100万 決算整理 決算整理 減価償却費 10万円 減価償却費累計額 10万 減価償却費 10万円 減価償却費累計額 10万 1 減価償却の意 1 減価償却の意 1 減価償却の意義 内容を理解するには まず 期間利益はど 有形固定資産の取得原価を使用できる各会計期間に あらかじめ定められた一定 有形固定資産の取得原価を使用できる各会計期間に あらかじめ定められた一定 有形固定資産の取得原価を使用できる各会 のように算出されるか 減価償却がどういっ の計画に基づいて計画的 規則的に配分するとともに 同額だけ資産価額を減少させ の計画に基づいて計画的 規則的に配分するとともに 同額だけ資産価額を減少させ 計期間に あらかじめ定められた一定の計画に た考え方に基づいているのか を考える必要が ていく会計手続き が会計上の意味ですが これでは全く意味が分かりません ていく会計手続き が会計上の意味ですが これでは全く意味が分かりません あります まず 期間利益がどのように算定さ 基づいて計画的 規則的に配分するとともに 内容を理解するには まず 期間利益はどのように算出されるか 減価償却が 内容を理解するには まず 期間利益はどのように算出されるか 減価償却が 同額だけ資産価額を減少させていく会計手続 れるかを考えた上で 次に減価償却費の基礎と どういった考え方に基づいているのか を考える必要があります まず 期間利益が どういった考え方に基づいているのか を考える必要があります まず 期間利益が なる考え方を調べていきたいと思います き が会計上の意味ですが これでは全く意味 どのように算定されるかを考えた上で 次に減価償却費の基礎となる考え方を調べて どのように算定されるかを考えた上で 次に減価償却費の基礎となる考え方を調べて が分かりません いきたいと思います いきたいと思います 減価償却費の基 る考え 方 減価償却費の基 る考え 方 ①取得原価主義による資産評価 ①取得原価主義による資産評価 収支額基準 収支額基準 ②費用配分の原則 ②費用配分の原則 ③発生主義による費用認識 ③発生主義による費用認識 ④費用収益対応原則 ④費用収益対応原則 なければなりません 損益計算書原則 一 こ 決算申告書に計上されている期間利益は 一 こで 大事なことは一会計期間の期間費用と 決算申告書に計上されている期間利益は 一会計期間に属するすべての収益とこれ 決算申告書に計上されている期間利益は 一会計期間に属するすべての収益とこれ 会計期間に属するすべての収益とこれに対応す は 収益と対応する全ての費用 のことであり に対応する全ての費用とを記載して経常利益を表示し 特別損益項目を調整し当期純 に対応する全ての費用とを記載して経常利益を表示し 特別損益項目を調整し当期純 利益を表示しなければなりません 損益計算書原則 一 ここで 大事なことは一 る全ての費用とを記載して経常利益を表示し 当期に発生した全ての費用 ではありません 利益を表示しなければなりません 損益計算書原則 一 ここで 大事なことは一 会計期間の期間費用とは 収益と対応する全ての費用 のことであり 当期に発生 特別損益項目を調整し当期純利益を表示し 会計期間の期間費用とは 収益と対応する全ての費用 のことであり 当期に発生 した全ての費用 ではありません した全ての費用 ではありません 33 1 1
図 1図 1 期間損益 (P/L) (1) 発生費用 (2) 期間費用 期間収益 収益獲得の 財貨 用役の 選択 ための犠牲 費消 (80 個分の費用 ) 因果関係 (100 個製造 ) 発生主義 費用収益対応の原則 当期の収益 ( 成果 ) (80 個販売 ) 実現主義 当期に発生した発生費用 (100 個製造分 ) のうち 当期の収益 (80 個販売分 ) を獲得するのに必要とした費用 (80 個分 ) を抜き出し 当期の期間費用として計上します そうして 80 個販売した 収益 から 80 個製造するのに要した 費用 を引き算することで 当期利益 を算出します 図 1より 費用と収益の概念はイメージできたと思いますが 次のステップとして具体的に 費用収益をどのタイミングで認識し その費用の金額をどのように測定するのでしょうか? 図 1に (1) 発生費用とありますが現在の会計制度上では 費用の認識は 発生主義 により行い 費用の測定は 収支額基準 により行います この 発生主義による費用認識 と 収支額基準 は減価償却費の基礎となる考え方の軸ですので詳しくお話しします 3. 費用の認識基準である 発生主義 について ⑴ 費用の認識とは何を意味するのか費用の認識とは 費用の期間帰属をいつにするのかを決定する手続きです 例えば取引先から製品製造のための機械設備を購入した場合 購入時に支払代金を支払います しかし この機械の会計上の費用認識は 機械の購入代金を支払った時ではなく 製品を製造するのに機械を稼働し 使用した時点で費用として認識します ⑵ 発生主義について図 1のように費用の認識を行うことを 発生主義による費用認識 といいます つまり発生主義とは 経済的な価値の減少の事実が発生した時点で費用を認識する 考え方です 財や用役の費消という 確定的な事実 に基づいて費用を認識するため 一会計期間の業績を経済的に把握するのに適しています 発生主義により 費用 収益 を認識した場合のイメージは図 2のようになります 図 2 発生主義による計算イメージ 前期 当期 材料購入 測定 材料の消費 製品の生産 ( 現金支出額 ) ( 価値減少 ) ( 価値の増加 ) 機械購入 測定 機械の使用 ( 現金支出額 ) ( 価値減少 ) 経済的事実の発生 費用の認識 収益の認識 * 制度上は収益の認識は実現主義より上図のようにはならない 34
4. 費用の測定基準である 収支額基準 について費用の測定とは 費用の金額を決定する 手続きです 費用の金額は制度上 費用を取得するのに対価として支払った支出額の金額に基づいて算出されます 機械設備を1000 万円で購入すれば その機械設備を1000 万円の価値があると考えるのは自然な考え方であり 収支額基準 とはその当たり前の内容を表しています 5. 費用収益対応の原則について図 1のように当期に発生主義により認識された費用 ( 発生費用 ) のうち 当期の収益獲得の犠牲となったものが選び出され 最終的に損益計算書の費用として認識されますが この選び出す過程を 費用収益対応の原則 といい この原則により選び出され最終的に損益計算書に計上される費用を特に 期間費用 といいます ⑴ 意義費用収益対応原則とは 適正な期間損益計算の観点から一会計期間における収益と費用を成果と犠牲の関係により把握し 両者を合理的に対応させて正味の成果としての適正な期間損益を計算することを要請する原則です ⑵ 役割費用収益対応の原則は 発生主義により認識される発生費用の中から 当期の収益と因果関係を持つものを選び出し 期間費用として認識する役割を果たします これにより 成果と犠牲の関係を重視した適正な期間損益計算が行われます 図 1を参照 当期以前に発生した費用のうち 当期の期間費用とされなかったものは 資産として繰延べられ 次期以降において当該費用の関連収益が認識された時点で 費用収益対応の原則により期間費用とされます ( 製品在庫 仕掛品 繰延資産等 ) ⑶ 費用収益対応の類型 1 個別的対応 ( 直接的対応 ) 商品等の販売事実に基づいて把握される収益と費用の直接的な対応関係 売上高と売上原価に代表される対応関係であり 収益と費用の因果関係や関連性が明確 2 期間的対応 ( 間接的対応 ) 会計期間を媒介として把握される収益と費用の間接的な関係 売上高と販管費 営業外費用に代表される対応関係で 収益と費用の因果関係や関連性は一般に不明確 以上の説明により 一般的な期間損益の計算方法のポイントは 費用の額を 収支額基準 に基づき 発生主義 により認識し 費用収益対応の原則 により当期の収益に対応する費用を選び出し 利益を算定するイメージを掴んでいただけたと思います それでは次のステップとして 本稿のテーマである減価償却費が関連する機械設備や建物といった 費用性資産 の評価額や費用化額をどのように計算し 期間利益を考えるのかという 取得原価主義会計 について考えたいと思います 基本的な考え方は変わりませんが 費用配分の原則 という考え方にも触れて説明したいと思います 資産の 貨幣性資産 現金 および資本の回収過程にあり 将来現金として直接回収されることを予定している資産 ( 例 ) 売掛金 受取手形 貸付金等費用性資産 資本の投下過程にあり 将来費用化されることを通じて貨幣性資産に転嫁することを予定している資産 ( 例 ) 棚卸資産 固定資産等 35
6. 取得原価主義会計について ⑴ 意義取得原価主義とは 費用性資産の評価額及びその費用化額を支出額に基づき決定するものです 取得原価主義会計は 適正な期間損益計算を行う観点から 費用性資産に対して要請される会計処理全体の枠組みを示すものです 言い換えれば 発生主義会計による期間損益計算の構造を 費用性資産に着目して説明するものと理解することができます ⑵ 費用配分の原則について貸借対照表に記載する資産の価額は 原則として当該資産の取得原価を基礎として計上しなければならない 資産の取得原価は 資産の種類に応じた費用配分の原則によって 各事業年度に配分されなければならない 有形固定資産は 当該資産の耐用期間に渡り 定額法 定率法等の一定の減価償却の方法によってその取得原価を各事業年度に配分する ( 貸借対照表原則 / 五 ) と企業会計原則にはあります 1 意義いずれ費用となるべき支出額を 当期と次期以降の期間に配分する手続きを支える根本思考 2 役割 位置づけ費用配分の原則は 取得原価主義に基づく資産評価を前提として 費用性資産の取得原価を当期の費用と次期以降の費用となる貸借対照表価額とに適正に配分することを要請するものです 費用配分の原則に基づく配分とは前述の発生主義に基づいて費用性資産の経済価値の減少を費用として認識する過程を示すものです また同時に 取得原価である支出額を資産の経済価値の減少の認められる会計期間に配分することを通じて 各会計期間の費用額を実質的に測定する過程を示すものとも理解されています 結局 発生主義による費用認識と収支額基準による費用の測定を同時に行うことを意味します 費用配分の原則という概念が特別に明示されるのは 費用性資産の費用額を適正に決定するには 会計処理上何らかのルールが必要とされると考えられるからです 図 33 Ⅰ 期 Ⅱ 期 Ⅲ 期 発生主義による費用の認識 費消 費消 費消 認識 認識 認識費用 取得原価 費用 ( 支出額 ) 費用 測定 測定 測定 費用配分の原則 3 費用配分の原則の適用方法 棚卸資産 費消の事実 ( 製品 Aをいくつ払出したか ) を事後的 個別的に数量で把握することができます そのため 事後に把握した数量に取得単価を乗じることで行われ 棚卸 資産の費用配分は取得原価 ( 単価 ) が配分の単位として用いられます 有形固定資産 費消の事実を事後的 個別的に把握できないことが一般的です 費用配分は減価償却の 36
手続きにより 事前に一定の仮定を設けて計画的 規則的に行い 取得原価を各会計期間に渡って部分的に配分することで行います 4 費用配分の原則と費用収益対応の原則の関係費用配分の原則に基づいて決定された発生費用のうち 当期の収益に対応するものが費用収益対応の原則により選択され最終的な期間費用として決定されます 図 44 機械装置減価償却費売上原価売上高当期の 1 発生費用 2 期間費用個別的対応取得費用 P/L ( 製造費用 ) 原価次期以降製品 1 の費用製品 2 費用配分の原則費用収益対応の原則 期間収益 ( 実現収益 ) 取得原価 本社建物 減価償却費 減価償却費 当期の期間費用期間的対応発生費用費用 P/L 次期以降 1 2 の費用製品 1 5 有形固定資産の費用配分 ( 減価償却費 ) の特徴有形固定資産は 一般に企業の営業活動の中で長期に渡りその全体としての用役をもって収益獲得に貢献するものです そのため 一会計期間における価値の減少を事後的 物量的に把握することが困難です そこで 使用に先立ち 事前に費用配分の割合において一定の仮定を設け 以降はその仮定に基づいて取得原価を計画的 規則的に配分して毎期の費用額を決定する減価償却の手続きが適用されます あくまで 一定の仮定に基づいており 一定時点における有形固定資産の帳簿価額 ( 未償却残高 ) がその地点の資産の経済価値 ( 時価等 ) を正しく示すものではありません 7. まとめ 1 項から6 項で 一般的な期間利益の算定と有形固定資産の費用認識から配分 期間利益の算定の一巡の手続きを説明してきました 結局 期間損益を求めるために 特に有形固定資産を含む費用性資産の場合 1 収支額基準に より配分すべき資産の評価測定を行う 2 発生費用により費用認識を行う 3 費用配分の原則により当期の費用を配分し 4 費用収益対応の原則により収益を獲得するために貢献した費用を選び出すという手続きが基本にあります しかし 有形固定資産の場合は 特徴でもお話しした通り 3の費用配分の原則による当期の費用配分において 事後的 物量的に費用額を把握することができません 従って 一般の商品と違い 製造の都度ではなく 期末にまとめて当期の機械の費用額を仮定計算をもって決めているにすぎません 例えば 1000 万円の機械を使用し製品を10 個製造した場合 その製造過程で何円機械の価値が減ったかは普通わかりません わかるとするならば 20 年間機械を使用し 故障等で買替る時に 1000 万円が20 年で使い切ったので1 年あたり約 50 万円程度の費用額だなあと初めてわかります 費用額を個別具体的に算定できないため 減価償却という特殊な手続きが必要になるわけです 37