KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT 九州北部豪雨災害からの創造的な復旧 復興における砂防ソイルセメントの活用 砂防ソイルセメント施工便覧講習会平成 29 年 5 月 9 日東京 : 砂防会館 Innovation of The Kumamoto Wide Aria Flood Disaster 阿蘇砂防ソイルセメント集中プラント 熊本県土木部河川港湾局砂防課 主幹渡邉勇
KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT 熊本地震での 資料 : 熊本日日新聞
KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT < 講演内容 > 1 平成 24 年 7 月九州北部豪雨の概要 2 熊本県の災害対応状況 熊本県の災害対応及び砂防事業の取り組み 災害関連緊急砂防事業の実施概要 3 砂防ソイルセメント ( 転圧タイプ ) の活用事例 砂防堰堤構造選定と集中プラントに至る経緯 砂防ソイルセメント集中プラント方式 砂防堰堤の工期短縮効果 ( コンクリートとソイルセメント ) 砂防ソイルセメント (INSEM 材 ) の現場管理 4 まとめ
九州北部豪雨の気象概要 1
九州北部豪雨の被害概要 2
熊本県内の主な被害状況 1 3
道路被害状況 阿蘇山 4
河川被害状況 阿蘇山 5
土砂災害状況 阿蘇山 6
阿蘇地域の代表的な土砂災害発生箇所 7
平成 2 年 7 月一の宮災害後に 建設した砂防堰堤が九州北部豪雨では 効果を発揮しました 8
砂防堰堤の土砂 流木捕捉効果 9
熊本県の災害対応 行政対応 土砂災害ハード対策 7 10
熊本県の災害対応方針 KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT < 九州北部豪雨災害からの創造的復旧 復興 > 熊本県の復旧 復興 3 原則 ( 熊本県被災者支援及び被災地の復旧 復興本部 ) 被災者の 1 痛みを最小化 2 原形復旧でなく 3 熊本の更なる発展につなげる 阿蘇地域での土砂災害 ( 砂防 ) 対策 (H24~) 被災者の立場に立ち 一刻も早く日頃の生活を取り戻すこと ( 多くの地元説明会 用地交渉 砂防ソイルセメント等での工期短縮等による工事成果発現 ) 災害状況の記録や復興状況の情報発信による風評被害等の防止 ( ヒ テ オカメラ ト ローンによる映像記録 ライフ カメラ映像配信 災害記録誌 復興ハ ンフレット ) 住民の安全 安心はもとより 阿蘇地域の農業 観光の復活と更なる発展 ( 農林部への GIS 支援 現地視察 94 回 学会発表 JICA 研修 防災学習 ) 11
砂防事業の取り組み方針 12
砂防事業の取り組み方針 13
砂防事業の取り組み方針 13 14
熊本県災害関連緊急砂防事業の概要 ( 阿蘇地域 ) 熊本県災害関連緊急砂防事業 ( 阿蘇地域 ) は 15 箇所 16 基 約 45 億円災害発生から約 2 年 平成 26 年 9 月ですべての砂防堰堤が完成しました 15
熊本県災害関連緊急砂防事業諸元一覧 ( 阿蘇地域 ) 砂防堰堤は 15 カ所うち 4 カ所が砂防ソイルセメント利用 砂防ソイルセメント 砂防堰堤の効果は 10 万 m3 16
事業の進捗率推移表 砂防堰堤 1 基約 3 億円 災害発生から約 2 年間 17
砂防ソイルセメント ( 転圧タイプ ) の活用事例 砂防ソイルセメント ( 転圧タイプ ) の活用事例 18
災害発生から復旧 復興段階までの工事相関イメージ 災害発生時には 多くの工事が輻輳する KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT 砂防激甚災害対策特別緊急工事 治山激甚災害対策特別緊急工事 事業規模 公共土木施設災害復旧工事 応急 緊急工事 災害関連緊急砂防工事 緊急治山工事 農業 治山施設災害復旧工事 < 発生の事象 > 重機 労務 業者不足 資材不足 ( コンクリート ブロック ) 資材 労務単価の上昇 交通渋滞 残土処理場の不足 etc 災害発生 時間経過 19
砂防堰堤構造選定と集中プラントに至る経緯 KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT < 集中プラントへの要因 > 1 循環型社会形成促進 ( 意義 ) ゼロエミッション持続可能な社会へのパラダイムシフト 2 災害復旧 復興事業 ( 時間 ) 次期出水での土砂災害を防止するために 早期の砂防堰堤建設 3 限られた予算 ( コスト ) 堰堤及び地盤改良をコスト縮減 4 土砂ストックヤードの存在最適な土地 土砂 交通 水の確保 5 複数堰堤の同時施工一元的な品質管理 20
砂防ソイルセメント堰堤とは 砂防ソイルセメント堰堤とはコンクリートの代わりに土砂とセメント 水 ( スラグ ) を混合して作る砂防堰堤です 九州北部豪雨災害では 山腹崩壊等の土砂災害による崩壊土砂や復旧工事に伴う掘削土砂等の大量の土砂が発生した 砂防堰堤断面模型 不足するコンクリートの代わりに土砂を有効活用できる また 集中プラントで一括して内部材 ( ソイルセメント ) を製造することで 品質の向上 工期短縮等を実現した 21
砂防ソイルセメント集中プラント方式の現場配置図 KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT 材料ストックヤード 3 号 INSEM 製造フ ラント ( 坂梨専用 ) 1 号 INSEM 製造フ ラント 2 号 INSEM 製造フ ラント 運搬車待機場 試験棟 砂防ソイルセメント集中プラントの広さは 14ha 東京ドーム 3 個分の広さ 22
砂防堰堤と集中プラントの位置関係 KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT 23
集中プラント方式の採用メリット KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT 計画段階 施工現場毎の適応性評価 単位体積質量の確認が不要 施工現場毎の製造ヤードや土砂ストックヤード計画が不要 施工段階 施工現場毎の製造ヤードや土砂ストックヤードの管理が不要 製造量がまとまるために専用プラント等の機械化が可能 ( 促進 ) 合理的な機材配置等で大量にソイルセメントを製造可能 大量製造のために 施工現場毎に必要な量を調達可能 その他 土砂ストックヤードから最適な土砂を優先的に利用可能 セメントや製鋼スラグ等の材料搬入 搬出の合理化が可能 ソイルセメントの製造と施工が分離でき 現場作業がシンプル 但し 砂防堰堤の施工現場への影響が大きいために 集中プラントでの品質管理は 特に重要となる 24
集中プラントの砂防ソイルセメント (INSEM 材 ) 製造量 KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT 阿蘇地域の災害関連緊急砂防事業では 集中プラントで 約 5 万 m3 の砂防ソイルセメント (INSEM) 材を製造した 土砂は 災害時に発生する多種の建設発生土を利用した また 砂防ソイルセメントは 導流堤や地盤改良にも利用 数量は締固め容積 (m³) 渓流名 適用部位 施工数量 レベル Ⅰ レベル Ⅱ レベル Ⅲ INSEM 材料 ( 土砂 ) 改良材砂防工事掘削土砂河川工事土砂製鋼スラグ水砕スラグ災害時流出土砂 北坂梨川 1 本堤, 地盤改良 8,420 2,198 3,696 2,526 北坂梨川 2 本堤 6,790 1,715 3,038 2,037 北坂梨川 3 本堤, 導流堤 1,445 6,130 2,703 2,744 1,839 289 鬼塚川本堤, 地盤改良 160 10,680 2,655 4,949 3,204 32 坂梨地区本堤, 地盤改良 2,390 10,920 3,780 4,206 5,324 宮川 3 地盤改良 670 536 134 塩井川 1 地盤改良 920 736 184 野中川 3 地盤改良 410 328 82 西小園川 3 導流堤下部 780 624 156 砕石 RC-40 合計 4,385 2,390 42,940 15,275 18,633 9,606 5,324 877 合計 49,715 合計 33,908 合計 15,807 25
コンクリート堰堤の工期短縮状況東手野川 2 KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT 残存型枠 かん入工に INSEM 材使用 本堤約 7,000m3 を 4 カ月 MAX2,000m3/ 月 26
ソイルセメント堰堤の工期短縮状況 坂梨地区 KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT 本堤 垂直壁 地盤改良に INSEM 材使用 本堤約 10,000m3 を 2 カ月 MAX5,000m3/ 月 27
砂防ソイルセメント堰堤の作業手順 ( 作業体制 ) 坂梨地区 KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT 成果 効果 ~ 災害からの創造的復旧 復興の実現 ~ 28
砂防ソイルセメント堰堤施工 坂梨地区 KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT 29
砂防ソイルセメント堰堤の実績工程 坂梨地区 KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT コンクリート堰堤なら 約 10,000m3 は 6 カ月必要 砂防ソイルセメントの集中プラント方式の採用により通常のコンクリート堰堤に比べて本堤工期を 1/3 に 約 4 カ月間短縮 30
砂防ソイルセメント堰堤 (INSEM 材 ) の打設量実績推移 坂梨地区 KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT 4 月 3 月 3 月 31
砂防ソイルセメント (INSEM 材 ) の現場管理状況 坂梨地区 KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT 坂梨地区災害関連緊急砂防事業の現場管理の1 例砂防堰堤では 特に圧縮強度と単位体積重量が重要 32
KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT 砂防ソイルセメント (INSEM 材 ) の長期的な強度推移 砂防堰堤として INSEM 材の長期的な強度が重要長期的に 水和反応が継続し圧縮強度増進が確認できる (11 年 2 カ月間 ) 資料提供 :SB ウォール工法研究会 33
阿蘇地域での砂防ソイルセメント堰堤の成果 効果 阿蘇地域の砂防ソイルセメント工法のまとめ KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT < 定量効果 > 1 工期短縮砂防堰堤建設工期 :2 カ月以上短縮 9 カ月 7 カ月 ( コンクリート堰堤より約 30% 短縮 ) 2 コスト縮減砂防堰堤 4 基建設費 :2 億円削減 11 億円 9 億円 ( コンクリート堰堤より約 20% 縮減 ) < 定性成果 > 1 建設発生土の活用による循環型社会形成促進 2 阿蘇地域のコンクリート需要抑制 3 集中プラントによる内部材の品質向上 4 集中プラントによる現場周辺人家の騒音 振動 粉じん抑制 34
KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT 坂梨地区砂防ソイルセメント堰堤 堤体 :10,752m3 全体工期 :8 カ月 35
KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT 北坂梨川 1 砂防ソイルセメント堰堤 堤体 :8,670m3 全体工期 :12 カ月 36
KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT 北坂梨川 2 砂防ソイルセメント堰堤 北坂梨川 2 北坂梨川 3 北坂梨川 2 北坂梨川 3 堤体 :6,993m3 全体工期 :12 カ月 37
KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT 北坂梨川 3 砂防ソイルセメント堰堤 北坂梨川 2 北坂梨川 3 北坂梨川 2 北坂梨川 3 堤体 :6,353m3 全体工期 :11 カ月 38
KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT 鬼塚川砂防ソイルセメント堰堤 堤体 :11,027m3 全体工期 :11 カ月 39
砂防ソイルセメントの総括意見 ( まとめ ) KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT < 成果 > 1 循環型社会形成促進に貢献 ( 環境対策 ) 2 工期短縮 コスト縮減に効果 ( 災害時は特に有効 ) 3 集中プラント方式の実証モデル検証 4 火山灰堆積物 ( 黒ボク ) の有効活用 5 製鋼スラグ等による堤体の単位体積重量調整 < 課題 > 砂防ソイルセメント施工便覧に対応が記載! 1 内部材での品質管理の重要性 ( 不均一な材料使用のため ) 2 試験施工と実施工時の作業時差 (3 日 7 日強度での推定 ) 3 製鋼スラグ改良材の膨張 ( 混合割合やセメント量規定 ) 4 効率性のためには 現場の作業ヤードやストックヤードで十分なスペース ( 場所 ) が必要 資源の少ない我が国では 砂防ソイルセメント工法は 適切な品質確保と施工管理により 非常に有効な技術である 40
KUMAMOTO KUMAMOTO PREFECTURE GOVERNMENT 平成 24 年 7 月九州北部豪雨災害から 2 年余りで 全ての砂防堰堤が完成しました ( 平成 26 年 9 月で事業完了 ) 平成 26 年 10 月 9 日災害関連緊急砂防事業完了報告会開催 平成 26 年度全建賞河川部門受賞 41