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1)表紙14年v0


佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

180204がん撲滅VER2資料用

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

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口腔がん登録 Q&A Ver /11/21 用語 定義に関する Q&A Q1.本調査に関する各用語の定義を教えてください 下記の図表を参照してください 各用語の定義等について 口腔内 口唇 口腔 顎骨中心性 UICCの Lip & Oral cavity 顎骨中心性) 舌 可動部 上顎

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院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

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性黒色腫は本邦に比べてかなり高く たとえばオーストラリアでは悪性黒色腫の発生率は日本の 100 倍といわれており 親戚に一人は悪性黒色腫がいるくらい身近な癌といわれています このあと皮膚癌の中でも比較的発生頻度の高い基底細胞癌 有棘細胞癌 ボーエン病 悪性黒色腫について本邦の統計データを詳しく紹介し

2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や

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原発不明がん はじめに がんが最初に発生した場所を 原発部位 その病巣を 原発巣 と呼びます また 原発巣のがん細胞が リンパの流れや血液の流れを介して別の場所に生着した結果つくられる病巣を 転移巣 と呼びます 通常は がんがどこから発生しているのかがはっきりしている場合が多いので その原発部位によ

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( / ) 上記外来の名称 ストマ外来 対象となるストーマの種類 コロストーマとウロストーマ 4 大腸がん 腎がん 膀胱がん ストーマ管理 ( 腎ろう, 膀胱ろう含む ) ろう孔管理 (PEG 含む ) 尿失禁の管理 ストーマ外

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表 1. 罹患数, 罹患割合 (%), 粗罹患率, 年齢調整罹患率および累積罹患率 ; 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く ; 部位別, 性別 B. 上皮内がんを含む 表 2. 年齢階級別罹患数, 罹患割合 (%); 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く B. 上皮内がんを含む 表 3. 年齢

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限局性前立腺がんとは がんが前立腺内にのみ存在するものをいい 周辺組織やリンパ節への局所進展あるいは骨や肺などに遠隔転移があるものは当てはまりません がんの治療において 放射線療法は治療選択肢の1つですが 従来から行われてきた放射線外部照射では周辺臓器への障害を考えると がんを根治する ( 手術と同

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70 頭頸部放射線療法 放射線化学療法

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監修 作成作成ご協力者 氏名 佐々木朗 所属 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腫瘍制御学講座口腔顎顔面外科学分野教授

口腔がん はじめに 口腔がんとは 口の中とくちびるにできる がん のことです 口腔がんには舌や歯肉や頬のように口の中の表面を覆っている粘膜に発生するものと口の中に唾液を分泌している唾液腺 ( 耳下腺を除く ) に発生するものが含まれます いずれの場合でも口の中に できもの や しばらく治らない傷や荒

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094 小細胞肺がんとはどのような肺がんですか んの 1 つです 小細胞肺がんは, 肺がんの約 15% を占めていて, 肺がんの組 織型のなかでは 3 番目に多いものです たばことの関係が強いが 小細胞肺がんは, ほかの組織型と比べて進行が速く転移しやすいため, 手術 可能な時期に発見されることは少

9 2 安 藤 勤 他 家族歴 特記事項はない の強い神経内分泌腫瘍と診断した 腫瘍細胞は切除断端 現病歴 2 0 1X 年7月2 8日に他院で右上眼瞼部の腫瘤を に露出しており 腫瘍が残存していると考えられた 図 指摘され精査目的で当院へ紹介された 約1cm の硬い 1 腫瘍で皮膚の色調は正常であ

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学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer (

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配偶子凍結終了時 妊孕能温存施設より直接 妊孕能温存支援施設 ( がん治療施設 ) へ連絡がん治療担当医の先生へ妊孕能温存施設より妊孕能温存治療の終了報告 治療内容をご連絡します 次回がん治療の為の患者受診日が未定の場合は受診日を御指示下さい 原疾患治療期間中 妊孕能温存施設より患者の方々へ連絡 定

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福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ

6 月 25 日胸腺腫 胸腺がん患者の情報交換会 & 勉強会質疑 応答 奥村教授にお聞きしたいこと 奥村教授の話 1 特徴 (1) 胸腺腫 胸腺がん カルチノイドの違いについて 胸腺腫はがんの種類か 病理学的には胸腺腫はがんではなくて正常と区別つかず機能を残したまま腫瘍化したもの 一部 転移するもの

4 月 20 日 2 胃癌の内視鏡診断と治療 GIO: 胃癌の内視鏡診断と内視鏡治療について理解する SBO: 1. 胃癌の肉眼的分類を列記できる 2. 胃癌の内視鏡的診断を説明できる 3. 内視鏡治療の適応基準とその根拠を理解する 4. 内視鏡治療の方法 合併症を理解する 4 月 27 日 1 胃

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ける発展が必要です 子宮癌肉腫の診断は主に手術進行期を決定するための子宮摘出によって得られた組織切片の病理評価に基づいて行い 組織学的にはいわゆる癌腫と肉腫の2 成分で構成されています (2 近年 子宮癌肉腫は癌腫成分が肉腫成分へ分化した結果 組織学的に2 面性をみる とみなす報告があります (1,

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専

目次 全部位の概要 - 部位別登録数 - 年齢階級 部位別登録数 - 来院経路 部位別登録数 - 患者住所 部位別登録数 - 症例区分 部位別登録数 - 発見経緯 部位別登録数 部位別詳細

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 の相対生存率は 1998 年以降やや向上した 日本で

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1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

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IARC/IACRにおける多重がんの判定規則改訂版のお知らせ

8. 本カリキュラムに基づいて 一年毎に研修者による研修成果の自己評価 指導体制の 評価 および指導医から見た研修者の評価を行うことが求められる 別途に定めた評 価用紙を使用することを推奨する 頭頸部がん専門医研修カリキュラム 1. 頭頸部がんの診断と進行期の決定一般目標頭頸部がんの診断と病期につい

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「             」  説明および同意書

cm 以上の腫瘍では悪性化していることも考慮する必要があります ただし 良性腫瘍でも長期間放置すれば大きくなりますので サイズが大きいからと言って悪性とは限りません 成長速度: 悪性度の高い腫瘍では 大きくなるスピードが速くなります 腫瘍がいつからあったか 最近はどのくらいのスピードで大きくなってき

子宮頸がん 1. 子宮頸がんについて 子宮頸がんは子宮頸部に発生するがんです ( 図 1) 約 80% は扁平上皮がんであり 残りは腺がんですが 腺がんは扁平上皮がんよりも予後が悪いといわれています 図 1 子宮頸がんの発生部位 ヒトパピローマウイルス (HPV) 感染は子宮頸がんのリスク因子です

9章 その他のまれな腫瘍

44 4 I (1) ( ) (10 15 ) ( 17 ) ( 3 1 ) (2)

生活設計レジメ


I II III 28 29

は 医療もがんもトータ ルサポート 特徴 1 特徴 2 医療 をサポート がん もサポート 上皮内がんでも 同額保障 短期の入院 には 主契約 日帰り入院でも 最高10万円を一時金で保障 ①先進医療特約 11 ④女性疾病入院特約 ②入院一時給付特約 ⑧がん診断特約 ご存知ですか 入院は短期化 してい

実地医家のための 甲状腺エコー検査マスター講座

プログラム テーマ 中咽頭 (13 : : 45) 1 13 : : 35 : CQ1 : HPV CQ2 : : : 40 : CQ3 : CQ4 : : : 45 : CQ5 :

密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病

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第 112 回日本皮膚科学会教育講演 皮膚病理へのいざない 第 1 回毛包 脂腺に分化する腫瘍 ( 基底細胞癌を含む ) 佐賀大皮膚科三砂範幸 1 毛包腫瘍 :Over view 2 脂腺腫瘍 :Over view 1

の主要な治療薬として日本ならびに世界で広く使用されている MTX の使用により 関節リウマチの臨床症状の改善 関節破壊進行抑制 QOL 改善のみならず 生命予後の改善や心血管合併症リスクが軽減されることが示されており 現在の関節リウマチ治療においては必要不可欠な薬剤である 1990 年前後から MT

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博士学位申請論文内容の要旨

表面から腫れがわかりにくいため 診断がつくまでに大きくなっていたり 麻痺が出るまで気付かれなかったりすることも少なくありません したがって 痛みがずっと続く場合には要注意です 2. 診断診断にはレントゲン撮影がもっとも役立ちます 骨肉腫では 膝や肩の関節に近い部分の骨が虫に食べられたように壊されてい

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Vol 夏号 最先端の腹腔鏡下手術を本格導入 東海中央病院では 平成25年1月から 胃癌 大腸癌に対する腹腔鏡下手術を本格導入しており 術後の合併症もなく 早期の退院が可能となっています 4月からは 内視鏡外科技術認定資格を有する 日比健志消化器外科部長が赴任し 通常の腹腔 鏡下手術に

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口腔がんについて 熊本県の現状と当科の取り組みについて 熊本大学大学院生命科学研究部歯科口腔外科学分野 熊本大学医学部附属病院歯科口腔外科 中山秀樹

講演の内容 1. 口腔がんの特徴 2. 熊本大学における口腔がんの現状 3. 口腔がんの早期発見へ向けた取り組み 口腔粘膜疾患鑑別システムの紹介 4. 進行口腔がんに対する当科での治療 手術 抗がん剤併用の放射線治療など

講演の内容 1. 口腔がんの特徴 2. 熊本大学における口腔がんの現状 3. 口腔がんの早期発見へ向けた取り組み 口腔粘膜疾患鑑別システムの紹介 4. 進行口腔がんに対する当科での治療 手術 抗がん剤併用の放射線治療など

死因別にみた死亡率の年次推移 昭和 56 年 (1981 年 )

本邦における口腔がんの疫学 わが国の現在の口腔がん患者は約 7,000-8,000 人である 全がんの約 1-2% 全頭頸部がんの約 30-40% を占める 口腔がんの 80-90% は口腔扁平上皮癌である 口腔癌になった著名人 舌癌 口底癌 舌癌

口腔解剖 上下顎歯肉硬口蓋軟口蓋 頬粘膜舌口底

口腔がんの原因について 口腔がん検診 Step 1 2 3 ( 医歯薬出版株式会社 ) より

初期の舌癌症例 ( 男性 ) 48 歳 男性 53 歳 男性 69 歳 男性 76 歳 男性

初期の舌癌症例 ( 女性 ) 51 歳 女性 54 歳 女性 71 歳 女性 86 歳 女性

進行口腔癌症例の口腔内写真 頬粘膜癌 口底癌 下顎歯肉癌 硬口蓋癌舌癌上顎歯肉癌

口腔癌は頸部リンパ節に転移しやすい

講演の内容 1. 口腔がんの特徴 2. 熊本大学における口腔がんの現状 3. 口腔がんの早期発見へ向けた取り組み 口腔粘膜疾患鑑別システムの紹介 4. 進行口腔がんに対する当科での治療 手術 抗がん剤併用の放射線治療など

当科における過去 3 年間の口腔がん患者の臨床統計 対象期間 :2012 年 1 月 ~2015 年 12 月 対象がん種 : 口腔扁平上皮癌 症例数 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 1 3 6 年齢分布 16 36 10 20 30 40 50 60 70 80 90 年代 69 88 70 13 症例数 200 150 100 50 0 157 男 性別 146 女 60~80 歳代が全体の 74.9% を占める 男女比に大差なし

当科における過去 3 年間の口腔がん患者の臨床統計 対象期間 :2012 年 1 月 ~2015 年 12 月 対象がん種 : 口腔扁平上皮癌 口底 6% 硬口蓋 3% 発生部位 口唇 1% 頬粘膜 7% 上顎歯肉 14% 舌 53% 下顎歯肉 16% 舌と歯肉が全体の 83% を占める

当科における過去 3 年間の口腔がん患者の臨床統計 対象期間 :2012 年 1 月 ~2015 年 12 月 対象がん種 : 口腔扁平上皮癌 T 分類 Stage 分類 T4 24% Tis 5% T1 20% 不明 3% Stage IV 34% Stage 0 5% Stage I 19% T3 17% T2 34% Stage III 12% Stage II 27% T3 と T4 が全体の 41% を占める Stage III, IV が全体の 45% を占める Stage IV の割合が増加している

当科における過去 3 年間の口腔がん患者の臨床統計 対象期間 :2012 年 1 月 ~2015 年 12 月 対象がん種 : 口腔扁平上皮癌 治療法 化学放射線療法 8.8% 化学療法 1.7% 放射線療法 0.3% ベストサポーティブケア 10.1% 手術 手術 + 化学放射線療法 59.9% 19.2% 79.1% は手術を行っている 10.1% は侵襲的な治療を行っていない

全生存率 当科における過去 13 年間の口腔がん患者の臨床統計 対象期間 :1999 年 1 月 ~2012 年 12 月 対象がん種 : 口腔扁平上皮癌 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 0 10 20 30 40 50 60 観察期間 ( 月 ) Stage I: 94.5% Stage II: 77.3% Stage IV: 60.5% Stage が進行するにつれて生存率が低下する!!! Stage III: 68.4%

講演の内容 1. 口腔がんの特徴 2. 熊本大学における口腔がんの現状 3. 口腔がんの早期発見へ向けた取り組み 口腔粘膜疾患鑑別システムの紹介 4. 進行口腔がんに対する当科での治療 手術 抗がん剤併用の放射線治療など

口腔粘膜疾患鑑別支援システムによる 口腔癌の早期発見へ向けた取り組み

熊本県の医療圏の特徴 熊本市以外の医療圏に口腔外科専門医を有する病院がほとんどない! 50km 40km 30km 20km 10km 水俣市立総合医療センター 人吉医療センター

口腔粘膜疾患鑑別支援システムの詳細 口腔内写真撮影 hinakaya@kumamoto-u.ac.jp メールによる相談 受診の必要性の判断 紹介により患者が受診

支援システムによる相談症例の検討 対象 2015 年 5 月 ~2016 年 4 月 (1 年間 ) に支援システムを通 して相談依頼を受けた 40 症例 方法 対象患者の背景や受診率 臨床診断 病理組織診断結果 などについて検討を行った

結果 1 年齢 性別 年齢 30 代 2% 性別 不明 18% 40 代 10% 不明 13% 80 代以上 13% 70 代 25% 50 代 12% 60 代 20% 女性 27% 男性 60% 60 代以上の高齢者の割合が半数以上を占め 男性が多い

結果 2 臨床診断 唾液腺疾患 5% 嚢胞 5% 炎症 8% 悪性腫瘍 + 白板症 30% 粘膜疾患 52% 3 割が前癌病変や悪性腫瘍などを疑う病変であった

結果 3 受診率 なし あり 47% 生検なし 21% 53% 生検あり 79% 相談症例の 47% が当科を受診し その約 8 割に生検を行った

結果 4 地域別の症例内訳 平均 :25km 最遠部 :84km ( 天草市 ) 10 人 6 人 14 人 2 人 3 人 5 人 口腔外科専門施設のない県北や阿蘇地域 八代市を中心に 相談症例が多い傾向であった

結果 5 口腔癌患者の詳細 年齢性別原発巣病理診断 TNM 分類治療方針 64 男性右側上顎歯肉 CIS TisN0M0 腫瘍切除術 69 男性正中口蓋 SCC T1N0M0 腫瘍切除術 ステージ I, II 症例が多い 81 男性正中下顎歯肉 SCC T2N0M0 下顎辺縁切除術 78 男性左側下顎歯肉 SCC T2N0M0 希望により手術回避 抗がん剤内服 56 男性左側舌 SCC T2N2cM0 舌部分切除術 + 両側頸部郭清術 術後 CRT 84 男性左側上顎歯肉 SCC T4bN2bM0 ベストサポーティブケア 相談症例 40 例中 6 例 (15%) が口腔がんであった

結果 6 地域別の口腔癌患者 平均 :48km 最遠部 :84km( 天草市 ) 10 人 6 人 14 人 2 人 3 人 5 人 口腔癌患者の紹介元と当科までの距離は平均 48km で 本システムが遠方の患者の診断に寄与していると思われた

症例供覧 1 支援システムでのやり取り 紹介元より 69 歳 男性の患者さんです 口蓋病変の自覚は約 1 年前からあり 2か月に1 度ほど痛むとのことです 大きさの変化は最近はないとのことです 9 mm 7 mmほどの隆起物が認められます 中山 腫瘍性病変を疑います 悪性の有無を確認するために生検を行うのが望ましい所見です 当科初診 初診時に生検を施行

症例供覧 1 病理組織学的所見 ( 生検標本 ) 上皮脚の延長があり 基底層の消失を認める 病理組織学的診断 : 扁平上皮癌

症例供覧 1 経過 全身麻酔下に正中口蓋腫瘍切除術を行った 術後 5 か月経過し 再発なく良好に経過

症例供覧 2 支援システムでのやり取り 紹介元より補綴治療時に下顎前歯部歯肉の白色病変を認めました 白板症と考え経過観察中ですが 対応についてご教示いただけると幸いです 中山より写真から判断すると 白板症の臨床診断だと思いますが 一部に上皮異形成や悪性化を認める可能性も否定できませんので 生検にて鑑別を行う方が良いと思います 当科初診 初診時に生検を施行

症例供覧 2 初診時所見 3 2 頬舌側歯肉に表面粗造な白色病変を認める

症例供覧 2 病理組織学的所見 ( 生検標本 ) 核が腫大した異型細胞が胞巣を形成し 間質へ増殖を認める 病理組織学的診断 : 扁平上皮癌

症例供覧 2 経過 全身麻酔下に下顎辺縁切除術を行った 術後 5 か月経過し 再発なく経過良好

まとめ 1 相談を受けた 40 例中 6 例 (15%) で口腔がんの診断が得られ その多くが早期がんであったことから 本支援システムは口腔がん の早期診断に寄与していると考えられた 2 遠方からの相談症例が多く 遠隔地において受診の必要性を判断 する際に 本システムの有用性が示された 3 受診を勧めたにもかかわらず 未受診患者を認めたため 今後は 各歯科医院との連携をさらに深め 受診率の向上につなげたい

講演の内容 1. 口腔がんの特徴 2. 熊本大学における口腔がんの現状 3. 口腔がんの早期発見へ向けた取り組み 口腔粘膜疾患鑑別システムの紹介 4. 口腔がんに対する当科での治療 手術 抗がん剤併用の放射線治療など

口腔癌に対する治療法 1. 手術療法 2. 放射線療法 3. 化学療法 4. 免疫療法 これらを組み合わせた集学的治療が行われる

口腔癌に対する治療法 1. 手術療法 2. 放射線療法 3. 化学療法 4. 免疫療法 これらを組み合わせた集学的治療が行われる

舌癌 : 舌半側切除と前腕皮弁による再建術 舌切除前 血管吻合術後 前腕皮弁 術後 6 年 再建術後 6 年

下顎歯肉癌 : 頸部郭清術 下顎骨の切除 チタンプレート再建 切除域を設定 縫縮 下顎区域切除術 頸部郭清術

下顎骨切除後の腸骨移植術 73 歳 男性 74 歳 女性 77 歳 男性 77 歳 男性

腸骨移植術後のパノラマ X 線写真 腸骨移植前 腸骨移植後

腸骨移植後の CT による評価

腸骨移植術 インプラント埋入 遊離粘膜移植術 上部構造装着 腸骨移植後 遊離粘膜移植後 インプラント埋入後 上部構造装着後

口蓋癌 : 上顎骨切除患者への治療 術前 術後約 2 週 術後約 2 週 ~ 半年 診査 印象採得 術後約半年 術後閉鎖床装着 顎義歯装着

上顎歯肉癌術後 : 顎義歯装着前後の口元の変化

口腔癌に対する治療法 1. 手術療法 2. 放射線療法 3. 化学療法 4. 免疫療法 これらを組み合わせた集学的治療が行われる

放射線治療と口腔粘膜炎 皮膚炎

スペーサー装着による口腔粘膜炎の軽減 スペーサー

2017 年日本口腔腫瘍学会参加メンバー 昨日の懇親会後

2017 年 日本癌学会参加メンバー

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