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収益認識に関する会計基準

7. 我が国の場合 第 4 項に示される政府が企業に課す賦課金の例としては 固定資産税 特別土地保有税 自動車取得税などが挙げられる 8. 日本基準において諸税金に関する会計処理については 監査 保証委員会実務指針第 63 号 諸税金に関する会計処理及び表示に係る監査上の取り扱い があるが ここでは

売上減少か?-「収益認識に関する論点の整理」

適用時期 5. 本実務対応報告は 公表日以後最初に終了する事業年度のみに適用する ただし 平成 28 年 4 月 1 日以後最初に終了する事業年度が本実務対応報告の公表日前に終了している場合には 当該事業年度に本実務対応報告を適用することができる 議決 6. 本実務対応報告は 第 338 回企業会計

1. のれんを資産として認識し その後の期間にわたり償却するという要求事項を設けるべきであることに同意するか 同意する場合 次のどの理由で償却を支持するのか (a) 取得日時点で存在しているのれんは 時の経過に応じて消費され 自己創設のれんに置き換わる したがって のれんは 企業を取得するコストの一

ならないとされている (IFRS 第 15 号第 8 項 ) 4. 顧客との契約の一部が IFRS 第 15 号の範囲に含まれ 一部が他の基準の範囲に含まれる場合については 取引価格の測定に関する要求事項を設けている (IFRS 第 15 号第 7 項 ) ( 意見募集文書に寄せられた意見 ) 5.

できる 105. 前項の取扱いを適用する場合には 次の事項を注記する (1) その旨及び決算月に実施した計量の日から決算日までに生じた収益の見積りが極めて困難と認められる理由 (2) 当連結会計年度及び当事業年度の決算月の翌月に実施した計量により確認した使用量に基づく収益の額 ( この収益の額が 決

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従って IFRSにおいては これらの減価償却計算の構成要素について どこまで どのように厳密に見積りを行うかについて下記の 減価償却とIFRS についての説明で述べるような論点が生じます なお 無形固定資産の償却については 日本基準では一般に税法に準拠して定額法によることが多いですが IFRSにおい

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3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

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会計上異なる結果が生じる可能性があるとしていま す イセンス付与に関しても 約定の性質の定義に係る ガイダンス等 IASB がの必要なしと決定した論 点についてを加えています 両審議会は 以下の論点については同じ修正を行っています a. 履行義務の識別 b. 本人か代理人かの検討 c. 売上高ベース

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1 本会計基準等の概要以下の概要は 本会計基準等の内容を要約したものです 本会計基準等の理解のために 本会計基準等の基本となる原則である収益を認識するための 5 つのステップについて 別紙 1 に取引例及びフローを含めた説明を示しています また 本会計基準等と従来の日本基準又は日本基準における実務と

に暫定的に合意した 特定の状況 ( 例えば 企業に税務当局との未解決の係争がある状況 ) に範囲を限定しようとすると 恣意的なルールにつながるであろうと考えたからである ただ 2015 年 1 月の委員会の議論で 繰延税金を含まないことに対する懸念が出され 最終的には当期税金及び派生する繰延税金を対

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平成 26 年 5 月に 顧客との契約から生じる収益 (IASB においては IFRS 第 15 号 ( 平成 30 年 1 月 1 日 以後開始事業年度から適用 ) FASB においては Topic606( 平成 29 年 12 月 15 日後開始事業年度から適 用 )) を公表しました これらの

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参考資料 日本語粗訳 このペーパーは IASB による公開会議での討論のために IFRS 財団のスタッフによって作られたものであり IASB または IASB のメンバー個人の見解を表していているものではありません IFRS の適用に関するコメントは それが受け入れ可能な見解であるか否かを定める目的

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085 貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準 新株予約権 少数株主持分を株主資本に計上しない理由重要度 新株予約権を株主資本に計上しない理由 非支配株主持分を株主資本に計上しない理由 Keyword 株主とは異なる新株予約権者 返済義務 新株予約権は 返済義務のある負債ではない したがって

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2018 年 8 月 10 日 各 位 上場会社名 エムスリー株式会社 ( コード番号 :2413 東証第一部 ) ( ) 本社所在地 東京都港区赤坂一丁目 11 番 44 号 赤坂インターシティ 代表者 代表取締役 谷村格 問合せ先 取締役 辻高宏

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[ 設例 11] 返品権付きの販売 [ 設例 12] 価格の引下げ [ 設例 12-1] 変動対価の見積りが制限されない場合 [ 設例 12-2] 変動対価の見積りが制限される場合 [ 設例 13] 数量値引きの見積り 7. 顧客に支払われる対価 [ 設例 14] 顧客に支払われる対価 8. 履行義

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Transcription:

第 8 回基準諮問会議 資料番号資料 (3)-4 日付 03 年 7 月 6 日 議題 実務対応レベルの新規テーマの評価 項目ポイント引当金 ( 実務対応専門委員会による評価 ) 基準諮問会議への検討要望の内容 ( テーマ ) ポイント引当金 ( 提案理由 ) 我が国においては 小売 通信 航空 サービス等の業種において 企業の販売促進の手段のつとしてポイント制度が採用されている 我が国では ポイント制度の普及に伴い 利用実績等のデータが整備され かつ重要性が高まってきたため ポイント引当金を計上する会社が増加してきたが 企業会計原則 注解 8 に照らして会計処理が行われていることから 実務においてばらつきが生じている 本来的には 引当金に関する包括的な会計基準の検討が必要かもしれないが 引当金は 経済環境の変化や企業の事業内容の多様化 複雑化などに依存して 多様な実務が存在することから 個別具体的に取扱いを検討することが実務に資するものと考える ( 具体的内容 ) 企業が顧客に付与するポイントと将来の商品又はサービスとの交換については 顧客への商品又はサービスの販売促進に資する別個の取引として認識するという考え方と そのポイントを付与する元となった当初売上取引の構成要素として取り扱うという考え方があるが いずれの考え方が適切か 将来 ポイントと交換される商品又はサービスに備えて引当金を認識する場合 引当金は 売価又は原価のいずれを基礎に測定すべきか 取引の概要. ポイント制度は 小売業 サービス業などで 販売促進の手段として用いられているが ポイント制度の内容は多様であり 制度の内容によって会計処理が変わりうるため 制度の内容を把握することが必要となる 典型的には以下のようなスキームがみられる

( ポイント制度例 : 家電量販店 各種専門店等 ) 小売店顧客 3 a 3 b : 顧客への販売額に一定割合のポイントを付与する : 顧客はポイントを蓄積する ( 有効期限内 他社ポイント 他社商品 電子マネー に利用できなければ失効する ) 3 a : 顧客は保有しているポイントをその店舗 の商品の購入代金に充当する または 3 b : 顧客は購入代金への充当の代わりに 提 携他社のポイント等と交換することもできる ( ポイント制度例 : マイレージ ) : 航空会社は顧客の搭乗区間距離に応じたマ イレージを付与する 航空会社 3 a 顧客 3 b : 顧客は有効期限内でマイレージを蓄積する 3 a : 顧客は蓄積したマイレージを特典航空券に交換して搭乗する または 他社航空券 他社ポイント 3 b : 提携他航空会社の航空券 提携他社のポイントと交換することもできる ( ポイント制度例 3: クレジットカード会社 ) クレジットカード会社 3 : 顧客は加盟店でクレジットカードを利用して商品を購入する : 加盟店はクレジットカード会社に手数料を 加盟店 顧客 支払う 商品 4 他社ポイント 3: クレジットカード会社はカード利用者に利用額に応じたポイントを付与する 4 顧客はポイントを蓄積し 商品や他社ポイン ト等と交換する ( ポイント制度例 4: キャンペーンシール ) メーカー 商品 顧客 : メーカーは商品にシールを張り付けて出荷する : 顧客は購入した商品に張り付けられているシールを集め 集まったシールをメーカーに送 3 キャンペーン品 付する 3: メーカーは顧客にキャンペーンの商品を送 付する

. いずれのポイント制度でも 企業が顧客への取引金額 ( 又は取引数量 ) の一定割合のポイントを付与する点では共通している 一方で 有効期限 交換に必要なポイント数 ポイントの交換対象等は各ポイント制度により異なる 3. 有効期限 交換に必要なポイント数有効期限については 年 年などのものが多くみられるが 無期限のものもある また 交換に必要な最低ポイント数を定めているものもあれば 最初のポイント付与時から 随時交換可能なものもある これらの有効期限や交換に必要なポイント数により ポイントの利用率が異なることになり 概ね 以下のように分類されると思われる 利用率 (a) 比較的高い 主な特徴 有効期限が長い ( 又は無期限 ) いつでも利用でき る (b) 比較的低い 有効期限が短い 一定ポイント数に到達しないと利 用できない 4. ポイントの交換対象ポイントの交換対象としては 自社の商品 サービスに充当する例が多くみられるが 最近では 他社のポイントに交換するものやキャッシュ バックするものも見られる また 他社の商品と交換する例もみられる 自社の商品 サービスに充当する場合には 第 8 項で分析しているように 引当金の計上を 売価を基礎とするか 原価を基礎とするかという問題が生じうる 5. 売上値引 売上割戻との関係 一定額又は一定数量以上の購入をした顧客へインセンティブを与えるという意味では 類似の制度として 優良顧客への値引き制度や売上割戻がある これらについては 売上の減額の会計処理が一般的であり 必要に応じて 引当金の計上が行 他に 来店やアンケート回答等 売上取引以外のもの対してポイントを付与するケースも見られるが 本テーマの検討においては 取り扱っていない 3

われているが ポイント制度のように実務上のばらつきは少ないものと考えられる ため 本テーマでは検討の対象としないこととする 取引の状況取引の発生の程度 6. 平成 3 年 月 日 ~ 平成 3 年 月 3 日の決算日を対象とした有価証券報告書検索によると ポイント引当金 ( ポイントサービス引当金 ポイントプログラム引当金等の類似科目を含む ) の該当件数は 47 社 販売促進引当金 かつ会計方針にポイントを基礎としている記載があるものの該当件数は 4 社であった 論点の分析現行の会計基準等との関係 7. 現行の会計基準では これらポイント制度について個別に定めた会計基準等は無いが ポイント発行企業の多くは 企業会計原則注解 8 の考え方 に基づき引当金を計上しているものと思われる 国際的な会計基準等 8. 国際財務報告基準 (IFRS) では ポイント制度に関連するものとして IFRIC 解釈指針第 3 号 カスタマー ロイヤルティ プログラム ( 以下 IFRIC 第 3 号 ) が定められている IFRIC 第 3 号では 以下を対象範囲としている (a) 企業が販売取引の一部として顧客に付与するものであり かつ (b) 追加的な適格要件があればその達成を条件に 顧客が将来において無償又は割引価格の財又はサービスに交換することができる 9. IFRIC 第 3 号第 5 項では 企業は IAS 第 8 号の第 3 項を適用し 特典クレジッ 注解 8 の引当金の計上要件は 将来の特定の費用又は損失である その発生が当期以前の事象に起因する 3 発生の可能性が高い 4 金額を合理的に見積もることができる である 4

トを それらが付与された販売取引 ( 当初の売上 ) の独立した識別可能な構成要素として会計処理しなければならない 当初の売上に関して受領したか又は受領し得る対価の公正価値は 特典クレジットと当該販売のその他の構成要素との間で配分しなければならない としている 3 すなわち ポイントの付与は 当初の売上の構成要素と考え 当初の取引の受取対価の一部 ( 特典クレジット分 ) の収益は繰延べられる また 同第 6 項では特典クレジットに配分される対価は 公正価値を参照して測定するとされている 0. なお 国際会計基準審議会 (IASB) と米国財務会計基準審議会 (FASB) では 現在 収益認識に関する会計基準の改正を審議中であり 0 年 月に公表された再公開草案 顧客との契約から生じる収益 ( 以下 収益公開草案 という ) では ポイントを契約における別個の履行義務として識別し ポイントの交換可能性を考慮して独立販売価格を見積り 取引価格を独立販売価格の比率で製品とポイントに配分することとしている この方法によると 付与した時点では企業はポイントに対する履行義務を充足していないため 当初の売上時にポイント分については収益が計上されず ポイントに配分された取引価格は ポイントの交換時に収益認識されることとなる. 米国基準においては カスタマー ロイヤルティ プログラムについて直接的に定 3 IFRIC 第 3 号の結論に至るまでの検討では 以下の 3 つの見解が議論された 見解 : カスタマー ロイヤルティ プログラムは販売数量を増やすために設計されたマーケティングのツールであるため このプログラムのコストはマーケティング費用である また 特典の価値は多くの場合 それらを得るために必要となる購入金額と比較して僅少であり 特典に交換する義務は販売取引の重要な要素では無いと考えられる したがって その義務は IAS 第 37 号 引当金 偶発負債及び偶発資産 に従って 当初販売時に費用として認識すべきである 見解 : 販売取引の結果として顧客に付与された特典クレジットは 取引そのものの要素であり 売上取引の一環として顧客に対して付与されたものであるから マーケティング費用とは区別され 当初の売上に関して受領した対価の一部を特典クレジットに配分して 企業が義務を果たすまで負債として認識すべきである 見解 3: どの会計処理を採用すべきかを決定する判断基準は 特典の相対的価値もしくは性質 又はそれらを提供する方法を参照して カスタマー ロイヤルティ プログラムの内容によって決めるべきである IFRIC では ロイヤルティ特典はすでに引渡された財及びサービスと直接関係するコストでは無く むしろ 後日に引き渡される別個の財又はサービスであるとして見解 を採用している 見解 3 については 概念的に正当化することが困難とされている 5

めているガイダンスは無い 実務上は FASB による会計基準のコード化体系 (ASC) サブトピック 605-5 収益認識: 複数の要素から成る取り決め を参照してポイントの履行まで収益を繰延べる会計処理 あるいは ASC サブトピック 605-50 収益認識 : 顧客への支払い及びインセンティブ を参照して費用を未払計上する処理の両方が行われていると考えられる なお 収益公開草案が最終基準化された場合 同基準を適用することとなる ポイント制度の会計処理の考え方 ( 論点 ). ポイント制度の会計処理について 会計単位の考え方によって以下の つの会計処理が考えられる [ 案 ]: ポイントを付与した売上取引とポイントの付与を つの会計単位と考える ポイントは一つの契約の構成要素 ( 履行義務 ) であり 取引対価の配分が行われ ポイントの付与に配分された金額は ポイントの使用時点で収益認識されることとなる この考え方は 現行の IFRIC 第 3 号及び収益公開草案で採用されている [ 案 ]: ポイントを付与した売上取引とポイントの付与を別の会計単位と考える この場合 収益認識はポイントを付与した売上取引の時点で完結し ポイントの使用は収益認識には関連しない ポイントは 顧客がポイントを使用した時点で企業が果たすべき義務と考えられる 従って 負債に該当し 引当金として会計処理されることになる 3. 現状 我が国では IFRS の適用を見据えて案 の会計処理に変更したいというニーズが見受けられるものの 基本的に案 の会計処理がなされており 実務のばらつきは生じていないものと考えられる 4. 案 は履行義務の識別などの論点に関連するため 検討する場合には 収益認識に関する包括的な検討が必要となると考えられる 間もなく最終化が予定されている IASB と FASB が検討中の収益認識の基準については 将来的に 日本でもその考え 6

方を採用するかどうかの検討を行う可能性があるが その中で考えるべき課題と考 えられる 引当金の考え方を採用した場合の会計処理 ( 論点 ) 5. ポイントの付与を引当金として会計処理する場合 ポイントの付与により生じた顧客に対する義務をどのように捉えるかによって つのアプローチが考えられる [ アプローチ ]: ポイントの付与により生じた義務を 顧客がポイントを使用した時点で関連する売上取引に対して値引きを行う義務 と捉え 売価ベースでの引当を行う [ アプローチ ]: ポイントの付与により生じた義務を 顧客がポイントを使用した時点で商品等 4 を引き渡す ( 又はサービスを提供する ) 義務 と捉え 原価ベース 5 での引当を行う 6. 制度例 の3 b や制度例 の3 b 制度例 3 及び制度例 4 のようにポイントの使用に対応する売上取引が存在しない場合には値引き対象が存在しないことから アプローチ が適切と考えられる しかし 制度例 の3 a 及び制度例 の3 a のようにポイントの使用に対応する売上取引が存在する場合 ポイントの付与により生じた義務をどちらのアプローチで考えるかについては 考え方の問題であり 客観的な判断基準を見出すのは困難であると考えられる 専門委員会において聞かれた意見 7. これまで以下のような意見が聞かれている ( 新規テーマとして検討を行うべきとの意見 ) IFRS を導入する企業が増えている中 GAAP 差異を減らす方向が望ましい 論点 は収益認識基準全体の中で検討すべき課題としているが 論点 に特化して検討することも可能ではないか 4 自社商品又は他社商品のみに限らず 他社ポイントなども含む 5 他社商品や他社ポイントと交換する場合には 他社と精算する料率ベースとなる 7

( 新規テーマとすることは難しいとの意見 ) 論点 は考え方の相違によるものであり どちらかに決める性質のものでは無いのではないか ポイント制度は IFRS でも取扱いが明確でないところがある IFRS の収益基準が間もなく公表されることもあり その運用を踏まえて検討する方が良いのではないか テーマアップの要否の評価 8. テーマアップの要件を基にした テーマアップの要否に関する分析は次のとおりである () 広範な影響があるか 第 6 項に記載の通り 既にポイント引当金を計上している企業は約 60 社あり 関連する業種では ほぼ全社に影響があると考えられるため 広範な影響があると考えられる () 作成者 利用者 監査人等からのニーズはあるか 本件の提案は 基準上の取扱いの明確化を求めて 監査人からなされたものであ る (3) 会計実務における多様性はあるか ( 多様性の解消により比較可能性の改善が見込まれるか ) 論点 については 現行の実務ではほとんどの場合 引当金によって会計処理されていると考えられ ばらつきは生じていないと考えられる 論点 の引当金の計上方法 ( 売価か原価か ) については 一定のばらつきが生じていると考えられる (4) 会計基準レベルのものではないか 8

第 4 項に記載の通り 論点 については 収益認識に関する包括的な検討が求 められるため 会計基準レベルに該当すると考えられる 論点 については 引当 金の実務上の運用に関する論点であり 実務対応レベルのものと考えられる (5) 適時に実務対応報告等の開発が可能か 論点 については IASB と FASB による収益認識に関する会計基準の改正及びその運用状況を踏まえる必要があるため 相当の時間を要するものと考えられる 論点 については 第 6 項に記載の通り ポイントの付与により生じた義務をどのように捉えるかについて客観的な判断基準を見出すのが困難なため 短期間で実務対応報告を開発するのは難しいと考えられる 実務対応専門委員会における評価 9. 上記を踏まえ 実務対応専門委員会におけるテーマアップの評価は以下の通りとする 将来的に検討課題となることは認識しつつ 今回は ASBJ の新規テーマとして取り上げない旨を提案してはいかがか 以上 9